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脂肪 - Wikipedia

脂肪しぼう

栄養素えいようそひと

脂肪しぼう(しぼう)は、物性ぶっせいじょう本来ほんらい意味いみでは油脂ゆし動植物どうしょくぶつふくまれるもの)のうち、常温じょうおん個体こたいのものをいう[1]栄養えいようがくうえでは、広義こうぎには中性ちゅうせい脂肪しぼうふくあい脂質ししつ、ステロールるいなど有機ゆうき溶媒ようばいけるいちぐん有機ゆうき化合かごうぶつ総称そうしょう脂質ししつ)をいう[2]狭義きょうぎには、このうち中性ちゅうせい脂肪しぼうのみを[2]

概要がいよう

編集へんしゅう

脂肪しぼう主成分しゅせいぶんトリアシルグリセロール(トリグリセリド)でグリセロールの3つの水酸基すいさんき脂肪酸しぼうさんが エステル結合けつごうしたものであるが、脂肪酸しぼうさん炭素たんそすうあるいはじゅう結合けつごう位置いちかずによって多様たよう種類しゅるいがある[1]脂肪酸しぼうさんのうちじゅう結合けつごうをもたないものを飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんじゅう結合けつごうをもつものを飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんという[1]動植物どうしょくぶつちゅう油脂ゆし場合ばあい動物どうぶつ油脂ゆし飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん割合わりあいおお常温じょうおん固体こたいのものがおおいのにたいし、植物しょくぶつ油脂ゆし飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんおおふくんでいるために常温じょうおん液体えきたいのものがおおく、これらを区別くべつせずに「脂肪しぼう」とぶこともおお[1]

脂質ししつは、炭水化物たんすいかぶつたんぱくしつともに「さんだい栄養素えいようそ」と総称そうしょうされ、生命せいめい活動かつどうのエネルギーげんであり、その組織そしき構築こうちくするための材料ざいりょうにもなっている[1]疫学えきがく調査ちょうさ動物どうぶつ実験じっけん臨床りんしょう研究けんきゅうから食事しょくじちゅう脂肪しぼう食事しょくじ脂肪しぼう)が血清けっせい脂質ししつ影響えいきょうおよぼしていることはられているが、その作用さよう影響えいきょう機構きこうについてはかっていないてんおお[3]

食事しょくじ調査ちょうさは、うしぶた牛乳ぎゅうにゅうなど動物どうぶつせい食品しょくひんおお飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん摂取せっしゅしん疾患しっかんなど病気びょうきとの関連かんれん見出みいだしており、脂肪しぼうこまかい区別くべつ周知しゅうちさせることはむずかしいとかんがえた栄養えいよう学者がくしゃたちが、「脂肪しぼうくない」という単純たんじゅんなメッセージをつくったが、実際じっさいには一価いっか飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんあたい飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん摂取せっしゅりょうおおくてもそうしたリスクをげる傾向けいこうがみられている[4]。こうした科学かがくてき検証けんしょう蓄積ちくせきにより2015ねんのアメリカの食生活しょくせいかつ指針ししん脂肪しぼうを30%にひかえるという指針ししん撤廃てっぱいした[5]

発見はっけん

編集へんしゅう

20世紀せいき初頭しょとうまでに、タンパク質たんぱくしつ炭水化物たんすいかぶつ必要ひつよう食品しょくひん成分せいぶんだとられていたが、脂肪酸しぼうさん炭水化物たんすいかぶつから合成ごうせいできるのですぐれたエネルギーげんではあるが、必要ひつよう不可欠ふかけつではないとかんがえられていた[6]。20世紀せいき初頭しょとう技術ぎじゅつでは食物しょくもつから脂肪しぼう完全かんぜん抽出ちゅうしゅつできず、脂肪しぼう除去じょきょしてラットにあたえる実験じっけんでは、実際じっさいには脂肪しぼう残留ざんりゅうしていた[6]。1912ねんトマス・バー・オズボーン英語えいごばんラファイエット・メンデル英語えいごばんはそうした技術ぎじゅつによってラットでの脂肪しぼう不要ふようだと確認かくにんし、1920年代ねんだいまでに必要ひつよう不可欠ふかけつではないので必要ひつよう最小限さいしょうげん非常ひじょうすくなくすべきとの見解けんかいしめし、どう時代じだい研究けんきゅうしゃおおくはこの見解けんかいしたがった[6]。オズボーンは全米ぜんべい科学かがくアカデミーのメンバーで食物しょくもつタンパク質たんぱくしつ国際こくさいてき著名ちょめいなアメリカの生化学せいかがくしゃであり、メンデルはアメリカ栄養えいよう研究所けんきゅうじょ初代しょだい所長しょちょうなど、両者りょうしゃ国際こくさいてきにも権威けんいてきほかにも数々かずかず地位ちいめていたためである[6]

1929ねんには、ミネソタ大学だいがくのジョージ・オズワルド・バー(George Oswald Burr)が ωおめが-6けいあたい飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんであるリノールさんのラットでの欠乏症けつぼうしょう確認かくにんし、必須ひっす栄養素えいようそだと報告ほうこくされた[6]。この見解けんかい栄養えいよう研究所けんきゅうじょ見解けんかい対立たいりつしたので疑義ぎぎされたが、すうねん追試ついしおこなわれれられていった[6]。また1931ねんにジョージ・オズワルド・バーは、ωおめが-3けいαあるふぁリノレンさんがラットで合成ごうせいされなかったことを報告ほうこくし、これも必須ひっす脂肪酸しぼうさんだと結論けつろんした[6]。しかし、欠乏症けつぼうしょう実験じっけんにてリノールさん競合きょうごうする結果けっか確認かくにんされるため、ながあいだαあるふぁリノレンさんでも確実かくじつだとみなされなかった[6]

1960ねんまでにはカルフォルニア大学だいがくロサンゼルスこうのジム・ミードが、リノールさんがアラキドンさん変換へんかんされることを確認かくにんした[6]。1964ねんにはカロリンスカ研究所けんきゅうじょで、アラキドンさんがプロスタグランジンに変換へんかんされたことが確認かくにんされた[6]

1960年代ねんだいのアメリカでの食事しょくじ調査ちょうさは、飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん摂取せっしゅちゅうコレステロールの濃度のうど上昇じょうしょうさせ、植物しょくぶつ魚油ぎょゆ低下ていかさせることをあきらかにし、その食事しょくじ指導しどうそう脂肪しぼうりょうらすのではなく、飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんわりに飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん摂取せっしゅすることが重要じゅうようだとし、飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん摂取せっしゅりょう増加ぞうかした結果けっか1970-1980年代ねんだいにはアメリカじんきょせいこころ疾患しっかん発生はっせいりつ低下ていかさせた[4]

だが、脂肪しぼうこまかい区別くべつ周知しゅうちさせることはむずかしいのではとかんがえた栄養えいよう学者がくしゃたちは、脂肪しぼうがよくないという単純たんじゅんなメッセージをした[4]。アメリカ農務のうむしょう意図いととは、アメリカにててい脂肪しぼうしょくにすることで必然ひつぜんてき飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん摂取せっしゅりょうらすということであった[4]

1994ねん世界せかい保健ほけん機関きかんによる、「人間にんげん栄養えいようがくにおける脂肪しぼうあぶら」(Fats and oils in human nutrition)では、トランス脂肪酸しぼうさんによる飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん影響えいきょう報告ほうこくされた[7]。2003ねんにはトランス脂肪酸しぼうさんを1%未満みまんにすべきとした[8]

脂肪酸しぼうさん比率ひりつよりも、飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん摂取せっしゅりょうほう重要じゅうようという科学かがくてき検証けんしょうによって、2015ねんのアメリカの食生活しょくせいかつ指針ししんは、以前いぜんしめした脂肪しぼうを30%にひかえるという指針ししん撤廃てっぱいした[5]

生体せいたいでの利用りよう

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脂肪しぼう蓄積ちくせき

編集へんしゅう

脂質ししつは、生命せいめい活動かつどうのエネルギーげんであるとともに、その組織そしき構築こうちくするための材料ざいりょうにもなっており、動物どうぶつ食餌しょくじから直接ちょくせつ脂質ししつるほか、炭水化物たんすいかぶつをもとに体内たいない合成ごうせいしている[1]。なお、飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんには一価いっか飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんあたい飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんがあるが[9]、ヒトなどの哺乳類ほにゅうるい特定とくていあたい飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん体内たいない生成せいせいできないため必須ひっす脂肪酸しぼうさんばれることもある[1]

脂肪しぼう生物せいぶつ利用りようするほかのエネルギーげん比較ひかくすると、炭水化物たんすいかぶつグルコースブドウ糖ぶどうとう)などにくらべて単位たんい重量じゅうりょうあたりのエネルギー(熱量ねつりょう)ははるかにおおきい[1]。さらに実際じっさい生体せいたいないでは、グルコースは多数たすうつらなったグリコーゲンとしておおくの水分すいぶん結合けつごうして存在そんざいしているのにたいし、脂肪しぼう疎水そすいせいをもっており、みずふくめた実質じっしつてき単位たんい重量じゅうりょうあたりのエネルギーを比較ひかくすると脂肪しぼうはグリコーゲンのやく6ばいとなる[1]

生成せいせいされた脂肪しぼう脂肪しぼう組織そしき構成こうせいする脂肪しぼう細胞さいぼう蓄積ちくせきされる[1]

脂肪しぼう分解ぶんかい

編集へんしゅう

空腹くうふく運動うんどうなどでエネルギーが必要ひつようとなったときは、脂肪しぼう細胞さいぼう蓄積ちくせきされていた脂肪しぼう脂肪酸しぼうさんとグリセロールに加水かすい分解ぶんかいされてちゅう放出ほうしゅつされ、これを脂肪しぼう動員どういんという[1]脂肪酸しぼうさんタンパク質たんぱくしつアルブミン結合けつごうして血液けつえきからだかく組織そしきへとおくられ、細胞さいぼうないミトコンドリア完全かんぜん酸化さんかされてエネルギーを放出ほうしゅつする[1]

安静あんせい強度きょうどひく運動うんどうには脂肪しぼうほうとうよりもおお使つかわれている。血糖けっとうグリコーゲン利用りようしやすいが貯蔵ちょぞうりょうおおくはないので安静あんせいなどではあまりおおくは使つかわれず、強度きょうどたか運動うんどうなどにとう優先ゆうせんてき使つかわれるようになる[10]

運動うんどうには脂肪しぼうよりもグリコーゲンが優先ゆうせんてき利用りようされる[1]。また、脂肪酸しぼうさん酸化さんかには大量たいりょう酸素さんそ必要ひつようとするため脂肪しぼう消費しょうひには持続じぞくてきゆう酸素さんそ運動うんどう有効ゆうこうとされる[1]

栄養えいようがくじょう脂質ししつ

編集へんしゅう

タンパク質たんぱくしつ脂肪しぼう炭水化物たんすいかぶつのカロリーベースでの摂取せっしゅバランスのことを、それぞれの頭文字かしらもじをとってPFCバランスという。

こころ血管けっかんけいのリスクをげる飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん摂取せっしゅおお食事しょくじじょうきょうであれば、脂質ししつ全体ぜんたい摂取せっしゅりょうらすことでそのリスクを回避かいひするという目的もくてき達成たっせいされる。 しかし飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんしん血管けっかんけいのリスクをげる種類しゅるい脂肪酸しぼうさんえても目的もくてき達成たっせいされ、脂質ししつ全体ぜんたい摂取せっしゅ比率ひりつがっている[4]

1994ねん世界せかい保健ほけん機関きかんによる「人間にんげん栄養えいようがくにおける脂肪しぼうあぶら」(Fats and oils in human nutrition)は、成人せいじん脂質ししつ摂取せっしゅりょうは15%以上いじょうとし、下回したまわ集団しゅうだんにおいては確保かくほ努力どりょく必要ひつようだとされた[7]

厚生こうせい労働省ろうどうしょうの1999ねん栄養えいよう所要しょようりょうの6改定かいていでは、脂質ししつはエネルギー比率ひりつ成人せいじんで20-25%の範囲はんいのぞましい。飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん一価いっか飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんあたい飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんのぞましい摂取せっしゅ割合わりあいは、おおむね3:4:3であり、ωおめが-6脂肪酸しぼうさんωおめが-3脂肪酸しぼうさんは、健康けんこうじんでは4:1程度ていどである[11]

いちにちのエネルギー必要ひつようりょうかりに、男性だんせいでは2660(kcal)、女性じょせいでは1995(kcal)とすると、脂肪しぼうのエネルギーりょうは9 kcal/gであり、かりに20%のてはめると、以下いかのとおりとなる。

  • 男性だんせいでは、2660 kcal/にち x 0.2 / 9 kcal/g =60 g/植物しょくぶつだいさじ4はい/にち相当そうとう
  • 女性じょせいでは、1995 kcal/にち x 0.2 / 9 kcal/g =45 g/植物しょくぶつだいさじ3はい/にち相当そうとう

食品しょくひんちゅう脂質ししつ

編集へんしゅう
 
調理ちょうり使つか油脂ゆしるいにおけるかく脂肪酸しぼうさん比率ひりつ

食品しょくひんちゅうそう脂肪しぼう各種かくしゅ脂肪しぼう混合こんごうぶつからなる[9]飽和ほうわ脂肪しぼうおよそう脂肪しぼう(トランス脂肪酸しぼうさんあたい飽和ほうわ脂肪しぼうおよ一価いっか飽和ほうわ脂肪しぼうふく)を栄養えいよう表示ひょうじらん記載きさいするくにもある[9]

動物どうぶつ油脂ゆし飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん割合わりあいおお常温じょうおん固体こたいのものがおお[1]動物どうぶつせい脂肪しぼう)。ちち脂肪しぼうがよりおおく、魚類ぎょるい脂肪しぼうには多量たりょう飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんふくむものがおおい。

植物しょくぶつ油脂ゆし飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんおおふくんでいるために常温じょうおん液体えきたいのものがおお[1]植物しょくぶつ)。ただし、ヤシ(ココナッツ)やカカオバターのように飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん大量たいりょうふくあぶらもある。

 
かく脂肪酸しぼうさんそう脂肪しぼうたいする比率ひりつ(%)[12]
食品しょくひん 飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん 一価いっか飽和ほうわ あたい飽和ほうわ
食用しょくよう
菜種油なたねあぶら(キャノーラ) 08 64 28
ヤシ(ココナッツ) 87 13 01
コーン 13 24 59
綿実油めんじつゆ[13] 27 19 54
オリーブ・オイル[14] 14 73 11
パームかく[13] 86 12 02
パーム[13] 51 39 10
ピーナッツオイル[15] 17 46 32
こめ 25 38 37
サフラワーあぶらだかオレイン[16] 06 75 14
サフラワーあぶらだかリノール[13][17] 06 14 75
だい豆油 15 24 58
サフラワー[18] 11 20 69
乳製品にゅうせいひん
ちち脂肪しぼう(バター)[13] 66 30 04
チーズ、レギュラー 64 29 03
チーズ、ライト 60 30 00
アイスクリーム、グルメ 62 29 04
アイスクリーム、ライト 62 29 04
牛乳ぎゅうにゅうぜんちち 62 28 04
牛乳ぎゅうにゅう、2%てい脂肪しぼう 62 30 00
*ホイップクリーム[19] 66 26 05
にく
牛肉ぎゅうにく 33 38 05
ひきにく 38 44 04
ポークチョップ 35 44 08
ハム 35 49 16
にわとりむね 29 34 21
にわとり 34 23 30
ターキーむね 30 20 30
ターキー、しもあし 32 22 30
さかな、オレンジラフィー 23 15 46
さけ(シャケ) 28 33 28
ホットドッグ、牛肉ぎゅうにく 42 48 05
ホットドッグ、ターキー 28 40 22
バーガー、ファーストフード 36 44 06
チーズバーガー、どう 43 40 07
チキン・サンドイッチ、パン粉ぱんこ 20 39 32
チキン・サンドイッチ、グリル 26 42 20
ソーセージ、ポーリッシュ 37 46 11
ソーセージ、ターキー 28 40 22
ピザ、ソーセージ 41 32 20
ピザ、チーズ 60 28 05
種子しゅしとナッツ
亜麻あま 08 23 65
ゴマ 14 38 44
ダイズ 14 22 57
アーモンド乾燥かんそう 09 65 21
カシューナッツ乾燥かんそう 20 59 17
マカダミア乾燥かんそう 15 79 02
マカダミア乾燥かんそう 14 50 31
ペカン乾燥かんそう 08 62 25
クルミ乾燥かんそう 09 23 63
菓子かしとベーカリー
チョコレートバー 59 33 03
キャンデー、果物くだものあじチュウ 14 44 38
クッキー、オートミール・レーズン 22 47 27
クッキー、チョコチップ 35 42 18
ケーキ、イエロー(スポンジ) 60 25 10
ペイストリー、デニッシュ 50 31 14
調理ちょうりちゅうおよび卓上たくじょう
バター棒状ぼうじょう 63 29 03
バター、ホイップ 62 29 04
マーガリン棒状ぼうじょう 18 39 39
マーガリン、容器ようき 16 33 49
マーガリン、ライト・容器ようき 19 46 33
ラード 39 45 11
ショートニング 25 45 26
にわとり 30 45 21
牛脂ぎゅうし 41 43 03
ドレッシング、ブルーチーズ 16 54 25
ドレッシング、イタリアン・ライト 14 24 58
卵黄らんおう英語えいごばん[20] 36 44 16
アボカド[21] 16 71 13
  • 3%がトランス脂肪酸しぼうさん

脂質ししつ摂取せっしゅ基準きじゅん

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脂質ししつのうち、ωおめが-6脂肪酸しぼうさんωおめが-3脂肪酸しぼうさん必須ひっす脂肪しぼうである。ωおめが-6とωおめが-3けいのバランスについては必須ひっす脂肪酸しぼうさん#バランス参照さんしょう

栄養えいよう摂取せっしゅ目標もくひょう範囲はんい世界せかい保健ほけん機関きかん、2003ねん[8]
食物しょくもつ要素ようそ 目標もくひょうそうエネルギー%)
そう脂肪しぼう 15-30%
飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん 10%未満みまん
あたい飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんあたい飽和ほうわ 6-10%
ωおめが-6脂肪酸しぼうさんあたい飽和ほうわ 5-8%
ωおめが-3脂肪酸しぼうさんあたい飽和ほうわ 1-2%
トランス脂肪酸しぼうさん 1%未満みまん
一価いっか飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん 差分さぶん

健康けんこうへの影響えいきょう

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飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんは、バター乳製品にゅうせいひん脂肪しぼうおおにくおおくの加工かこう食品しょくひん主要しゅよう脂肪しぼうである[9]飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん植物しょくぶつにはおおくはないが、パームやココナッツのように例外れいがいもある[9]

飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんのうち、一価いっか飽和ほうわ脂肪しぼうオリおりブ油ぶゆ、カノーラキャノーラ)、アボカドナッツなどにおおふくまれる[9]一方いっぽう飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんのうち、あたい飽和ほうわ脂肪しぼう主要しゅようなものにωおめが-6脂肪酸しぼうさんωおめが-3脂肪酸しぼうさんがあり、ωおめが-6脂肪酸しぼうさん摂取せっしゅげんとしてヒマワリベニバナ大豆だいずゴマ油ごまあぶらなど、ωおめが-3脂肪酸しぼうさん摂取せっしゅげんとしてカノーラ(キャノーラ)やマーガリン魚介ぎょかいるいなどがある[9]

飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんは、にく乳製品にゅうせいひんおお有害ゆうがいなLDLコレステロールを増加ぞうかさせ、保護ほごてきなHDLコレステロールも増加ぞうかさせる、水素すいそ添加てんかされたあぶらであるトランス脂肪酸しぼうさん有害ゆうがいなLDLの増加ぞうか保護ほごてきなHDLの低下ていかであり、一方いっぽう植物しょくぶつ、ナッツ、全粒粉ぜんりゅうこさかな豊富ほうふ一価いっか飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんあたい飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんとくにそのうちのωおめが-3脂肪酸しぼうさん有害ゆうがいなLDLを減少げんしょうさせ、保護ほごてきなHDLを増加ぞうかさせ、またインスリン抵抗ていこうせい改善かいぜんし、心臓しんぞうのリズムを安定あんていさせる[22]。トランス脂肪酸しぼうさん飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんすくなく、それを飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんえることで心臓しんぞうびょう糖尿とうにょうびょうのリスクが減少げんしょうする[22]

脂肪しぼう摂取せっしゅりょうおお場合ばあいに、きょせいこころ疾患しっかんしょうじるリスクがたかまるという関係かんけいられるのは飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんのみであり、一価いっか飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんあたい飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん割合わりあいおお摂取せっしゅする集団しゅうだんではそのリスクはひく[4]。そのため、ギリシャのクレタとうでは脂肪しぼう摂取せっしゅカロリーが40%とおおいが心臓しんぞうびょう発生はっせいりつ日本にっぽん伝統でんとうしょくのようにひく[4]。ギリシャの食事しょくじについては地中ちちゅう海食かいしょく参照さんしょう。ナッツるい脂肪しぼうおも飽和ほうわ脂肪しぼうであり、ちゅうのコレステロールの比率ひりつ改善かいぜんさせ、ナッツをべているひとでは肥満ひまんすくない[4]

トランス脂肪酸しぼうさん(TFA)のおお食品しょくひんは、「悪玉あくだま」LDLコレステロールを増加ぞうかさせ、「善玉ぜんだま」HDLコレステロールを減少げんしょうさせるといわれている[9]

脂質ししつしん血管けっかん疾患しっかん発症はっしょうリスク
(WHO/FAO、2003ねん[23]
リスク低下ていか 関連かんれんなし リスク増加ぞうか
確実かくじつ リノールさん
さかな魚油ぎょゆ(DHAEPA)
ミリスチンさん
パルミチンさん
トランス脂肪酸しぼうさん
可能かのうせいたか αあるふぁ-リノレンさん
オレインさん
フィトステロール
ステアリンさん 食事しょくじからのコレステロール
可能かのうせいがある ラウリンさん豊富ほうふあぶら

出典しゅってん

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関連かんれん項目こうもく

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