カリウム (ドイツ語 ご : Kalium [ˈkaːliʊm] 、新 しん ラテン語 らてんご : kalium )は原子 げんし 番号 ばんごう 19番 ばん の元素 げんそ である。ポタシウム (剥 へず 荅叟母 はは 、Potassium [poʊˈtæsiəm] ) 、加里 かり (カリ)ともいう。元素 げんそ 記号 きごう はK 。原子 げんし 量 りょう は39.10。アルカリ金属 きんぞく 、典型 てんけい 元素 げんそ のひとつ。生物 せいぶつ にとって必須 ひっす 元素 げんそ である。
外見 がいけん
銀 ぎん 白色 はくしょく カリウムのスペクトル線 せん
一般 いっぱん 特性 とくせい
名称 めいしょう , 記号 きごう , 番号 ばんごう
カリウム, K, 19
分類 ぶんるい
アルカリ金属 きんぞく
族 ぞく , 周期 しゅうき , ブロック
1 , 4 , s
原子 げんし 量 りょう
39.0983 (1)
電子 でんし 配置 はいち
[Ar ] 4s1
電子 でんし 殻 から
2, 8, 8, 1(画像 がぞう )
物理 ぶつり 特性 とくせい
相 そう
固体 こたい
密度 みつど (室温 しつおん 付近 ふきん )
0.89 g/cm3
融点 ゆうてん での液体 えきたい 密度 みつど
0.828 g/cm3
融点 ゆうてん
336.53 K , 63.38 °C , 146.08 °F
沸点 ふってん
1032 K , 759 °C , 1398 °F
三重 みえ 点 てん
336.35 K ( 63 °C ), kPa
臨界 りんかい 点 てん
2223 K , 16[ 1] MPa
融解 ゆうかい 熱 ねつ
2.33 kJ/mol
蒸発 じょうはつ 熱 ねつ
76.9 kJ/mol
熱容量 ねつようりょう
(25 °C ) 29.6 J/(mol·K)
原子 げんし 特性 とくせい
酸化 さんか 数 すう
1(強 つよ 塩基 えんき 性 せい 酸化 さんか 物 ぶつ )
電気 でんき 陰性 いんせい 度 ど
0.82(ポーリングの値 ね )
イオン化 いおんか エネルギー
第 だい 1: 418.8 kJ/mol
第 だい 2: 3052 kJ/mol
第 だい 3: 4420 kJ/mol
原子 げんし 半径 はんけい
227 pm
共有 きょうゆう 結合 けつごう 半径 はんけい
203±12 pm
ファンデルワールス半径 はんけい
275 pm
その他 た
結晶 けっしょう 構造 こうぞう
体 からだ 心 こころ 立方 りっぽう
磁性 じせい
常 つね 磁性 じせい
電気 でんき 抵抗 ていこう 率 りつ
(20 °C ) 72 nΩ おめが ⋅m
熱 ねつ 伝導 でんどう 率 りつ
(300 K) 102.5 W/(m⋅K)
熱 ねつ 膨張 ぼうちょう 率 りつ
(25 °C ) 83.3 μ みゅー m/(m⋅K)
音 おと の伝 つた わる速 はや さ (微細 びさい ロッド)
(20 °C ) 2000 m/s
ヤング率 りつ
3.53 GPa
剛性 ごうせい 率 りつ
1.3 GPa
体積 たいせき 弾性 だんせい 率 りつ
3.1 GPa
モース硬度 こうど
0.4
ブリネル硬度 こうど
0.363 MPa
CAS登録 とうろく 番号 ばんごう
7440-09-7
主 おも な同位 どうい 体 たい
詳細 しょうさい はカリウムの同位 どうい 体 たい を参照 さんしょう
英語 えいご 圏 けん とフランス語 ふらんすご 圏 けん ではポタシウム と呼 よ ばれる。一方 いっぽう 、ドイツ語 ご 圏 けん ではカリウム と呼 よ ばれており、ラテン語 らてんご 及 およ び日本語 にほんご の名称 めいしょう もこれに従 したが っている[ 2] 。国際 こくさい 純正 じゅんせい ・応用 おうよう 化学 かがく 連合 れんごう (IUPAC) では、元素 げんそ 記号 きごう はドイツ語 ご からK とし[ 3] 、IUPAC名 めい は英語 えいご から potassium を採用 さいよう している。因 ちな みに、実際 じっさい の英語 えいご の発音 はつおん は「ポタシア ム」である。
英語 えいご の potassium (ポタシウム)という名称 めいしょう は、potash という言葉 ことば に由来 ゆらい する[ 4] 。これは、様々 さまざま なカリウム塩 しお を抽出 ちゅうしゅつ する初期 しょき の方法 ほうほう で、木 き や葉 は を燃 も やした灰 はい (ash ) を鍋 なべ (pot ) に入 い れ、水 みず を加 くわ えて加熱 かねつ し、溶液 ようえき を蒸発 じょうはつ させるというものである。1807年 ねん にイギリスのハンフリー・デービー が電気 でんき 分解 ぶんかい によってカリウム元素 げんそ を単 たん 離 はな した際 さい に、potash に因 ちな んで potassium と命名 めいめい した。
ドイツ語 ご のKalium (カリウム)という名称 めいしょう 及 およ び元素 げんそ 記号 きごう "K"は、アルカリ の語源 ごげん である kali に由来 ゆらい しており、kali はアラビア語 ご で「植物 しょくぶつ の灰 はい 」を意味 いみ する アラビア語 ご : القَلْيَه (al-qalyah ) に由来 ゆらい する[ 5] 。1797年 ねん 、ドイツのマルティン・クラプロート は、リューサイト (英語 えいご 版 ばん ) とリチア雲母 うんも という鉱物 こうぶつ の中 なか に potash を発見 はっけん し、potash が植物 しょくぶつ の成長 せいちょう の産物 さんぶつ ではなく、実 じつ は新 あたら しい元素 げんそ を含 ふく んでいることに気付 きづ き、これを kali と呼 よ ぶことを提案 ていあん した[ 6] 。デービーの電気 でんき 分解 ぶんかい による単 たん 離 はなれ ・新 しん 元素 げんそ 発表 はっぴょう 後 ご の1809年 ねん 、ドイツのルートヴィヒ・ヴィルヘルム・ギルバート (英語 えいご 版 ばん ) がデービーの potassium に 対 たい してKalium という名前 なまえ を提案 ていあん した[ 7] 。1814年 ねん 、スウェーデンのイェンス・ベルセリウス は、kalium という名称 めいしょう と元素 げんそ 記号 きごう "K"を提案 ていあん した[ 8] 。
日本 にっぽん では一般 いっぱん にはドイツ語 ご のカリウム が定着 ていちゃく しているが、日本 にっぽん の医学 いがく 、薬学 やくがく 、栄養 えいよう 学 がく などの分野 ぶんや では、英語 えいご のポタシウム (Potassium [poʊˈtæsiəm] )が使 つか われることもある。和名 わみょう では、かつて加里 かり (カリ)または剥 へず 荅叟母 はは (ぽたしうむ)という当 あ て字 じ が用 もち いられた。
カリウム以後 いご 、新 あら たに発見 はっけん された金属 きんぞく 元素 げんそ にはラテン語 らてんご の派生 はせい 名詞 めいし 中性 ちゅうせい 語尾 ごび 「-ium 」をつける習慣 しゅうかん が一般 いっぱん 化 か した。非金属 ひきんぞく に「-ium 」がつけられるのはヘリウム だけである。なお、ヘリウムに対 たい しても貴 き ガス に共通 きょうつう の語尾 ごび 「-on」に直 なお す意見 いけん もあったが、見送 みおく られた。
カリウムの炎 ほのお 色 しょく 反応 はんのう
カリウムの単体 たんたい 金属 きんぞく は激 はげ しい反応 はんのう 性 せい を持 も つ。電子 でんし を1個 いっこ 失 うしな って陽 ひ イオンK+ になりやすく、自然 しぜん 界 かい ではその形 かたち でのみ存在 そんざい する。地殻 ちかく 中 ちゅう では2.6 %を占 し める7番目 ばんめ に存在 そんざい 量 りょう の多 おお い元素 げんそ であり、花崗岩 かこうがん やカーナライト などの鉱石 こうせき に含 ふく まれる。塩化 えんか カリウム の形 かたち で採取 さいしゅ され、そのままあるいは各種 かくしゅ の加工 かこう を経 へ て別 べつ の化合 かごう 物 ぶつ として、肥料 ひりょう 、食品 しょくひん 添加 てんか 物 ぶつ 、火薬 かやく などさまざまな用途 ようと に使用 しよう されている。
銀 ぎん 白色 はくしょく の金属 きんぞく で、常温 じょうおん ・常 つね 圧 あつ で安定 あんてい な結晶 けっしょう 構造 こうぞう は体 からだ 心 こころ 立方 りっぽう 構造 こうぞう (BCC)である[ 9] 。比重 ひじゅう は0.86で水 みず より軽 かる く、リチウム に次 つ いで2番目 ばんめ に比重 ひじゅう の軽 かる い金属 きんぞく である。融点 ゆうてん は 63.7 °C 、沸点 ふってん は 774 °C [ 9] 。ナイフ で簡単 かんたん に切 き れる軟 やわ らかい金属 きんぞく である。
カリウムの電子 でんし 配置 はいち は[Ar] 4s1 であり、電子 でんし を1つ失 うしな うことで非常 ひじょう に安定 あんてい なアルゴン と同 おな じ希 まれ ガス型 がた の電子 でんし 配置 はいち となる。そのため、カリウムの第 だい 1イオン化 いおんか エネルギー は418.8 kJ/molと非常 ひじょう に低 ひく く、容易 ようい に電子 でんし を1つ失 うしな いK+ の陽 ひ イオンとなる。対照 たいしょう 的 てき に、電子 でんし を2個 こ 失 うしな えば安定 あんてい な希 まれ ガス型 がた の電子 でんし 配置 はいち が崩 くず れるため、第 だい 2イオン化 いおんか エネルギーは3052 kJ/molと非常 ひじょう に高 たか く[ 10] 、+2価 か の酸化 さんか 状態 じょうたい の化合 かごう 物 ぶつ は容易 ようい には形成 けいせい されない[ 11] 。このようにカリウムは1価 か の陽 ひ イオンに非常 ひじょう になりやすい性質 せいしつ を有 ゆう しているが、アルカリド イオンのK− も知 し られている[ 11] 。
炎 ほのお 色 しょく 反応 はんのう において、カリウムとその化合 かごう 物 ぶつ は淡 あわ 紫色 むらさきいろ を呈 てい する。主要 しゅよう な輝線 きせん は波長 はちょう 404.5 nmの紫色 むらさきいろ のスペクトル線 せん および、波長 はちょう 769.9 nmと766.5 nmの赤色 あかいろ の対 たい となったスペクトル線 せん (双子 ふたご 線 せん )である[ 12] 。ナトリウムと共存 きょうぞん していると、ナトリウムの強 つよ い黄色 おうしょく の発色 はっしょく によって覆 おお い隠 かく されることもあるが、コバルトガラス を使 つか うことでこのナトリウムの強 つよ く黄色 きいろ い炎 ほのお 色 しょく を除去 じょきょ することができる[ 13] 。
アルカリ金属 きんぞく 類 るい の窒素 ちっそ 以外 いがい の試薬 しやく に対 たい する反応 はんのう 性 せい は電気 でんき 陰性 いんせい 度 ど が低 ひく いほど高 たか くなるため、カリウムは、より電気 でんき 陰性 いんせい 度 ど の大 おお きいリチウム 、ナトリウム よりも反応 はんのう 性 せい が高 たか く、より電気 でんき 陰性 いんせい 度 ど の小 ちい さいルビジウム 、セシウム よりは反応 はんのう 性 せい が低 ひく い[ 14] 。切断 せつだん してすぐのカリウムの断面 だんめん は銀色 ぎんいろ の外観 がいかん をしているが、空気 くうき によってただちに酸化 さんか されて灰色 はいいろ へと変色 へんしょく していく[ 15] 。
水 みず 、ハロゲン元素 げんそ と激 はげ しく発火 はっか して反応 はんのう する。高温 こうおん では水素 すいそ とも反応 はんのう し水素 すいそ 化 か カリウム を生成 せいせい する[ 16] 。カリウムと水 みず との反応 はんのう においては、反応 はんのう によって水素 すいそ が発生 はっせい し、さらに発生 はっせい した水素 すいそ が引火 いんか するに足 た る反応 はんのう 熱 ねつ を生 しょう じるため爆発 ばくはつ の危険 きけん がある[ 17] 。そのうえ、水素 すいそ の燃焼 ねんしょう によって生 しょう じた水 みず が残 のこ ったカリウムと再 ふたた び反応 はんのう して水素 すいそ をさらに発生 はっせい させるため、金属 きんぞく カリウムが消費 しょうひ され尽 つ くすまでこの反応 はんのう は進行 しんこう し続 つづ ける[ 18] 。このカリウムの性質 せいしつ は、金属 きんぞく カリウムやナトリウム-カリウム合金 ごうきん として、蒸留 じょうりゅう 前 まえ に溶媒 ようばい を乾燥 かんそう させるための強力 きょうりょく な乾燥 かんそう 剤 ざい として利用 りよう される[ 18] [ 19] 。空気 くうき 中 なか においても酸素 さんそ との接触 せっしょく により反応 はんのう 熱 ねつ で自然 しぜん 発火 はっか することもある[ 20] 。そのため金属 きんぞく カリウムの保管 ほかん は空気 くうき や水 みず から遮断 しゃだん する必要 ひつよう があり、ほかのアルカリ金属 きんぞく と同様 どうよう 、鉱油 こうゆ やケロシン のようなアルカリ金属 きんぞく 類 るい と直接 ちょくせつ 反応 はんのう をしない炭化 たんか 水素 すいそ 中 なか やアルゴンで満 み たしたガラスアンプル中 ちゅう などで保管 ほかん される[ 5] 。アルコール とも反応 はんのう してアルコキシド を生成 せいせい する[ 21] 。カリウムは液体 えきたい アンモニア に対 たい する溶解 ようかい 度 ど が非常 ひじょう に高 たか く、0 °Cで1000 gのアンモニアに対 たい して480 gのカリウムが溶解 ようかい する。その溶液 ようえき は黄 き みがかった青色 あおいろ であり、その電気 でんき 伝導 でんどう 度 ど は液体 えきたい 金属 きんぞく に類似 るいじ している。純粋 じゅんすい な液体 えきたい アンモニアに対 たい しては、徐々 じょじょ に反応 はんのう してKNH2 を形成 けいせい するが、微量 びりょう の遷移 せんい 金属 きんぞく 元素 げんそ の塩 しお が存在 そんざい していると反応 はんのう が加速 かそく される[ 22] 。
カリウムの化合 かごう 物 ぶつ は、K+ イオンの水 みず 和 わ エネルギーの高 たか さのため水 みず に対 たい する溶解 ようかい 性 せい が非常 ひじょう に高 たか く、したがってカリウムイオンを沈降 ちんこう 分離 ぶんり させることは困難 こんなん である。考 かんが えられる沈降 ちんこう 方法 ほうほう としては、テトラフェニルホウ酸 さん ナトリウム やヘキサクロリド白金 はっきん (IV)酸 さん 、亜 あ 硝酸 しょうさん コバルチナトリウム との反応 はんのう が挙 あ げられる[ 18] 。
溶液 ようえき 中 ちゅう のカリウム濃度 のうど は、一般 いっぱん にフレーム測光 そっこう 法 ほう (英語 えいご 版 ばん ) や原子 げんし 吸光分析 ぶんせき 、イオンクロマトグラフィー によって測定 そくてい される[ 23] [ 24] 。誘導 ゆうどう 結合 けつごう プラズマ発光 はっこう 分光 ぶんこう 分析 ぶんせき [ 25] 、イオン選択 せんたく 電極 でんきょく (英語 えいご 版 ばん ) なども利用 りよう される。イオン選択 せんたく 電極 でんきょく を用 もち いて測定 そくてい する場合 ばあい には、イオン選択 せんたく 電極 でんきょく において通常 つうじょう 用 もち いられる塩化 えんか カリウムを用 もち いた塩 しお 橋 きょう を使用 しよう すると、塩 しお 橋 きょう からのカリウムイオンの混入 こんにゅう により分析 ぶんせき 誤差 ごさ が生 しょう じるため、カリウムを分析 ぶんせき する際 さい には硝酸 しょうさん アンモニウムなどが用 もち いられる[ 26] 。また、カリウムは非常 ひじょう にイオン化 いおんか しやすいため、原子 げんし 吸光分析 ぶんせき を行 おこな う際 さい にほかの共存 きょうぞん 元素 げんそ のイオン化 いおんか 平衡 へいこう に干渉 かんしょう (イオン化 いおんか 干渉 かんしょう )して、ほかの元素 げんそ の測定 そくてい 値 ち に影響 えいきょう を与 あた える[ 27] 。
カリウムイオンは銀 ぎん (1)イオンやタリウム(1)イオンとの“ナイトの動 うご きの関係 かんけい 性 せい ”による類似 るいじ 点 てん がよく知 し られている。“ナイトの動 うご きの関係 かんけい 性 せい ”とは、主 おも 族 ぞく 元素 げんそ 後方 こうほう において、ある元素 げんそ と、その元素 げんそ の一 ひと つ下 か の周期 しゅうき で二 ふた つ右 みぎ の族 ぞく であるような元素 げんそ の間 あいだ に相関 そうかん が見 み られるという法則 ほうそく である。特 とく にタリウムイオンは生化学 せいかがく 的 てき に類似 るいじ 性 せい が強 つよ い。[ 28]
カリウムを含 ふく んでいる長石 ちょうせき (花崗岩 かこうがん などの主成分 しゅせいぶん )
単体 たんたい のカリウムは、カリウムのその強 つよ い反応 はんのう 性 せい のために自然 しぜん 中 ちゅう からは産出 さんしゅつ しない[ 18] 。カリウムはさまざまな化合 かごう 物 ぶつ として地殻 ちかく のおよそ2.6 %を占 し めており、地殻 ちかく の2.8 %を占 し めるナトリウムに次 つ いで地殻 ちかく 中 ちゅう で7番目 ばんめ に存在 そんざい 量 りょう の多 おお い元素 げんそ である(地殻 ちかく 中 ちゅう の元素 げんそ の存在 そんざい 度 ど も参照 さんしょう )[ 33] 。たとえば花崗岩 かこうがん はカリウムをおおよそ5 %と、地殻 ちかく の平均 へいきん 量 りょう 以上 いじょう を含 ふく んでいる。金属 きんぞく カリウムは非常 ひじょう に電気 でんき 的 てき に陽性 ようせい であり(電気 でんき 陰性 いんせい 度 ど )、また非常 ひじょう に反応 はんのう 性 せい が高 たか いため、鉱石 こうせき から直接 ちょくせつ 生産 せいさん することは難 むずか しい[ 15] 。
工業 こうぎょう 原料 げんりょう としてのカリウム資源 しげん はほぼすべて塩化 えんか カリウムの形 かたち で採取 さいしゅ される。年間 ねんかん 生産 せいさん 量 りょう は3500万 まん トン(K2 O換算 かんさん 、2008年 ねん )である[ 34] 。2008年 ねん において、おもな産地 さんち はカナダ(30.0 %)、ロシア連邦 れんぽう (19.2 %)、ベラルーシ(14.2 %)である[ 34] 。推定 すいてい 埋蔵 まいぞう 量 りょう はK2 O換算 かんさん でおよそ180億 おく トン[ 34] 。カリウムは植物 しょくぶつ の成長 せいちょう に必須 ひっす であるため、塩化 えんか カリウムの90 %以上 いじょう はそのまま、もしくは硫酸 りゅうさん カリウムの形 かたち で肥料 ひりょう (カリ肥料 かりひりょう )として用 もち いられる[ 35] 。残 のこ りは水酸化 すいさんか カリウムを経由 けいゆ して、炭酸 たんさん カリウムとなる。
ニューメキシコで産出 さんしゅつ したカリ岩塩 がんえん
純粋 じゅんすい なカリウム金属 きんぞく は水酸化 すいさんか カリウム の電気 でんき 分解 ぶんかい という、19世紀 せいき 初期 しょき にハンフリー・デービー がカリウムを単 たん 離 はな した方法 ほうほう とほぼ同 おな じプロセスで単 たん 離 はなれ することができる[ 15] 。この電気 でんき 分解 ぶんかい による製法 せいほう は1920年代 ねんだい に開発 かいはつ され産業 さんぎょう 規模 きぼ で用 もち いられていたものの、金属 きんぞく ナトリウムと塩化 えんか カリウムを化学 かがく 平衡 へいこう を利用 りよう して反応 はんのう させることによる熱 ねつ 的 てき 方法 ほうほう が1950年代 ねんだい には主流 しゅりゅう となった。この方法 ほうほう は反応 はんのう 時間 じかん および反応 はんのう に用 もち いるナトリウムの量 りょう を変 か えることでナトリウム-カリウム合金 ごうきん も生産 せいさん することができる。フッ化 か カリウム と炭化 たんか カルシウム の反応 はんのう を利用 りよう するグリースハイマー法 ほう もまた、カリウムの生産 せいさん に利用 りよう される[ 36] [ 37] 。
Na
+
KCl
⟶
NaCl
+
K
{\displaystyle {\ce {Na + KCl -> NaCl + K}}}
(熱 ねつ 的 てき 方法 ほうほう )
2
KF
+
CaC
2
⟶
2
K
+
CaF
2
+
2
C
{\displaystyle {\ce {2KF + CaC2 -> 2K + CaF2 + 2C}}}
(グリースハイマー法 ほう )
また、カーナライト やラングバイナイト (英語 えいご 版 ばん ) 、ポリハライト (英語 えいご 版 ばん ) 、カリ岩塩 がんえん などカリウム含有 がんゆう 量 りょう が非常 ひじょう に高 たか い鉱石 こうせき を用 もち いて、商業 しょうぎょう 生産 せいさん できる規模 きぼ のカリウム塩類 えんるい を抽出 ちゅうしゅつ することもできる[ 36] 。世界 せかい における主要 しゅよう なカリウムの供給 きょうきゅう 源 げん はカナダ 、ロシア 、ベラルーシ 、ドイツ 、イスラエル 、アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく 、ヨルダン だが、ほかにも世界中 せかいじゅう のさまざまな場所 ばしょ で採掘 さいくつ されている[ 38] 。カナダの行政 ぎょうせい 区 く 、サスカチュワン州 しゅう の地下 ちか 3000フィート には、地球 ちきゅう 上 じょう で最大 さいだい のカリウム鉱床 こうしょう が発見 はっけん されている。サスカチュワンでは大 だい 規模 きぼ な鉱山 こうざん が1960年代 ねんだい から操業 そうぎょう しており、ブレアモア (英語 えいご 版 ばん ) 地層 ちそう において、鉱山 こうざん に縦穴 たてあな 貫通 かんつう 孔 あな を通 とお すために湿 しめ った砂 すな を凍 こお らせる手法 しゅほう を開発 かいはつ した。サスカチュワンのおもなカリウム採掘 さいくつ 会社 かいしゃ としてポタッシュ・コープ (英語 えいご 版 ばん ) がある[ 39] 。
海 うみ はもうひとつの主要 しゅよう なカリウム源 げん であるが、単位 たんい 量 りょう あたりのカリウム含有 がんゆう 量 りょう は0.39 g/Lと、ナトリウムが10.8 g/Lであるのと比 くら べて非常 ひじょう に低 ひく い[ 40] [ 41] [ 42] 。これはカリウムが土壌 どじょう に吸着 きゅうちゃく されやすく、また植物 しょくぶつ によって吸収 きゅうしゅう されるためである[ 43] 。
カリウム鉱山 こうざん の採掘 さいくつ の結果 けっか 生 しょう じた、主 しゅ として塩化 えんか ナトリウムからなるボタ山 やま (ドイツ)
さまざまな方法 ほうほう でカリウム塩類 えんるい をナトリウムおよびマグネシウム化合 かごう 物 ぶつ から分離 ぶんり し、それによって生 しょう じたナトリウムやマグネシウムの副産物 ふくさんぶつ は地下 ちか に保存 ほぞん されるかボタ山 やま に積 つ み上 あ げられる。採掘 さいくつ されたカリウム鉱石 こうせき の大 だい 部分 ぶぶん は処理 しょり されて最終 さいしゅう 的 てき に塩化 えんか カリウムとなる。塩化 えんか カリウムは鉱山 こうざん 産業 さんぎょう において、カリ(potash )、カリの塩 しお (muriate of potash )もしくは単純 たんじゅん にMOPと呼 よ ばれる[ 36] 。
試薬 しやく グレードの金属 きんぞく カリウムは、1ポンド あたりおよそ10ドル (1 kgあたり22ドル)で売 う られている。純度 じゅんど の低 ひく いものは相応 そうおう に安 やす く販売 はんばい される。カリウム金属 きんぞく 市場 いちば は、金属 きんぞく カリウムの長期 ちょうき 保管 ほかん が困難 こんなん であるために不安定 ふあんてい である。金属 きんぞく カリウムは、その表面 ひょうめん で超 ちょう 酸化 さんか カリウム が形成 けいせい されないように乾燥 かんそう した不 ふ 活性 かっせい ガスもしくは無水 むすい の鉱油 こうゆ 中 ちゅう で保存 ほぞん しなければならない。この超 ちょう 酸化 さんか 物 ぶつ は引 ひ っかかれた際 さい に爆発 ばくはつ を起 お こす、感 かん 圧 あつ 性 せい の爆薬 ばくやく である。超 ちょう 酸化 さんか 物 ぶつ の形成 けいせい が引 ひ き起 お こす爆発 ばくはつ は、時 とき に消火 しょうか の難 むずか しい火災 かさい を引 ひ き起 お こす[ 44] 。
キログラム単位 たんい よりも多 おお い量 りょう のカリウムは1 kgあたり700ドルと、非常 ひじょう に大 おお きなコストが生 しょう じる。これは危険 きけん 物 ぶつ の輸送 ゆそう に必要 ひつよう なコストのためである[ 45] 。
人体 じんたい で8番目 ばんめ もしくは9番目 ばんめ に多 おお く含 ふく まれる元素 げんそ であり、体重 たいじゅう のおよそ0.2 %を占 し めている(すなわち、60 kgの成人 せいじん ではおよそ120 gのカリウムが含 ふく まれる)[ 46] 。これは硫黄 いおう や塩素 えんそ と同 どう 程度 ていど の含有 がんゆう 量 りょう であり、主要 しゅよう なミネラル でカリウムより多 おお く含 ふく まれているのはカルシウム とリン のみである[ 47] 。
ナトリウム-カリウムポンプによるイオンの輸送 ゆそう
カリウムは人体 じんたい に不可欠 ふかけつ の電解 でんかい 質 しつ であり、脳 のう および神経 しんけい などにおけるニューロン の情報 じょうほう 伝達 でんたつ に重要 じゅうよう な役割 やくわり を果 は たしている。カリウムはイオン (陽 ひ イオン )K+ としておもに細胞 さいぼう 内 うち に分布 ぶんぷ しており、その濃度 のうど は細胞 さいぼう 内 ない 液 えき が 100–150 mol/m3 と高 こう 濃度 のうど に保 たも たれているのに対 たい し、細胞 さいぼう 外 がい 液 えき の濃度 のうど は3.5–4.5 mol/m3 程度 ていど と非常 ひじょう に小 ちい さく保 たも たれている。これは、いわゆるナトリウム-カリウムイオンポンプ の働 はたら きによるものである[ 48] 。このイオンポンプは、アデノシン三 さん リン酸 さん (ATP)を1個 いっこ 消費 しょうひ して、ナトリウムイオン3個 こ を細胞 さいぼう 外 がい へと運 はこ び出 だ し、カリウムイオン2個 こ を細胞 さいぼう 内 ない へと運 はこ び込 こ む。このイオンポンプの働 はたら きによって細胞 さいぼう の内外 ないがい にイオン濃度 のうど 差 さ が生 しょう じ、細胞 さいぼう 膜 まく 上 うえ に電気 でんき 的 てき な勾配 こうばい を発生 はっせい させる。この電気 でんき 勾配 こうばい は通常 つうじょう 時 じ は静止 せいし 電位 でんい と呼 よ ばれる値 ね に保 たも たれているが、カリウムイオンチャネル が開 ひら くとカリウムイオン濃度 のうど の高 たか い細胞 さいぼう 内 ない からカリウムイオン濃度 のうど の低 ひく い細胞 さいぼう 外 がい へと濃度 のうど 勾配 こうばい の方向 ほうこう にカリウムイオンが移動 いどう し、また、ナトリウムイオンチャネルが開 ひら くと、同様 どうよう にナトリウム濃度 のうど の高 たか い細胞 さいぼう 外 がい からナトリウムイオン濃度 のうど の低 ひく い細胞 さいぼう 内 ない へとナトリウムイオンが移動 いどう する。カリウムイオンはナトリウムイオンよりもイオン半径 はんけい が大 おお きく、その違 ちが いによって細胞 さいぼう 膜 まく のイオンポンプおよびイオンチャネルはこれらを区別 くべつ することができ、一方 いっぽう を通過 つうか させてもう一方 いっぽう を通過 つうか させないように選択 せんたく 的 てき に機能 きのう することが可能 かのう である[ 49] 。このイオンチャネルの開閉 かいへい による細胞 さいぼう 内外 ないがい のイオン濃度 のうど のバランスの変化 へんか によって膜 まく 電位 でんい (細胞 さいぼう 外 がい に対 たい する細胞 さいぼう 内 ない 電位 でんい )が変化 へんか し、それによって活動 かつどう 電位 でんい が発生 はっせい (いわゆる「点火 てんか 」)する。この活動 かつどう 電位 でんい が伝導 でんどう することで情報 じょうほう が伝達 でんたつ されていく。活動 かつどう 電位 でんい が生 しょう じて細胞 さいぼう 膜 まく が脱 だつ 分極 ぶんきょく (ナトリウムイオンの移動 いどう によって正 せい の膜 まく 電位 でんい が発生 はっせい )している場合 ばあい には、カリウムイオンチャネルが開 ひら くことで再 さい 分極 ぶんきょく (膜 まく 電位 でんい が静止 せいし 電位 でんい に戻 もど る)させることになる。
また、右 みぎ 心房 しんぼう にある洞 ほら 房 ぼう 結節 けっせつ から発生 はっせい する活動 かつどう 電位 でんい によって心拍 しんぱく の調節 ちょうせつ が行 おこな われているが、そのためには適切 てきせつ なカリウムイオン濃度 のうど が必要 ひつよう である。静脈 じょうみゃく 注射 ちゅうしゃ 、あるいは何 なん らかの異常 いじょう によりカリウムイオンの血 ち 中 ちゅう 濃度 のうど が過剰 かじょう になる高 こう カリウム血 ち 症 しょう となった場合 ばあい 、洞 ほら 房 ぼう 結節 けっせつ のペースメーキングに変調 へんちょう を生 しょう じさせ、致命 ちめい 的 てき な不整脈 ふせいみゃく を引 ひ き起 お こしたり、心 しん 停止 ていし に至 いた ることもある。また、心臓 しんぞう などの外科 げか 手術 しゅじゅつ で心 しん 停止 ていし が必要 ひつよう な場合 ばあい には塩化 えんか カリウムが用 もち いられ、塩化 えんか カリウムはアメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく において薬殺 やくさつ 刑 けい にも用 もち いられる[ 50] 。
経口 けいこう 摂取 せっしゅ の場合 ばあい 、吸収 きゅうしゅう は比較的 ひかくてき 緩 ゆる やかである。また、吸収 きゅうしゅう 後 ご は細胞 さいぼう へ速 すみ やかに取 と り込 こ まれることや、過剰 かじょう 分 ぶん が腎臓 じんぞう のK+ 調節 ちょうせつ 機能 きのう により排泄 はいせつ されることなどから、細胞 さいぼう 外 がい 液 えき 中 ちゅう 濃度 のうど は低 てい レベルに維持 いじ される。1981年 ねん にモネル・ケミカル・センシズ・センターが発表 はっぴょう したアルカリ金属 きんぞく のハロゲン化物 ばけもの に対 たい する味覚 みかく 調査 ちょうさ によると、臭 におい 化 か カリウムおよび塩化 えんか カリウムの溶液 ようえき に対 たい する味覚 みかく は、濃度 のうど が希薄 きはく な状態 じょうたい では苦味 にがみ が強 つよ いが、濃 こ くなるほど苦味 にがみ が弱 よわ まって塩味 しおあじ が強 つよ くなる傾向 けいこう が示 しめ された[ 51] [ 52] 。
一 いち 日 にち の所要 しょよう 量 りょう は約 やく 0.8–1.6 gとされる[ 53] 。2016年 ねん 3月 がつ 更新 こうしん の厚生 こうせい 労働省 ろうどうしょう 「日本人 にっぽんじん の食事 しょくじ 摂取 せっしゅ 基準 きじゅん 」によると、目安 めやす 量 りょう は男性 だんせい 3000 mg/日 にち 、女性 じょせい 2600 mg/日 ひ (いずれも15歳 さい 以上 いじょう )と勧告 かんこく されている[ 53] が、アメリカ 、イギリス では生活 せいかつ 習慣 しゅうかん 病 びょう 予防 よぼう の観点 かんてん から、男女 だんじょ ともに目安 めやす 量 りょう 4700 mg/日 にち 、推奨 すいしょう 量 りょう 3500 mg/日 にち としている[ 53] 。植物 しょくぶつ 、動物 どうぶつ の細胞 さいぼう には豊富 ほうふ に含 ふく まれており、通常 つうじょう の食事 しょくじ で生命 せいめい を維持 いじ するために必要 ひつよう なカリウムは十分 じゅうぶん に賄 まかな われる。そのため、カリウムの血 ち 中 ちゅう 濃度 のうど の低下 ていか による低 てい カリウム血 ち 症 しょう (カリウム欠乏症 けつぼうしょう )の顕著 けんちょ な徴候 ちょうこう や症状 しょうじょう が健康 けんこう な人 ひと に現 あらわ れることは稀 まれ である[ 53] 。カリウムの豊富 ほうふ な食品 しょくひん として、パセリ や乾燥 かんそう させたアンズ 、粉 こな ミルク 、チョコレート 、木 こ の実 み (特 とく にアーモンド とピスタチオ )、ジャガイモ 、タケノコ 、バナナ 、アボカド 、ダイズ 、糠 ぬか などに特 とく に多 おお く含 ふく まれるが、大 だい 部分 ぶぶん の果実 かじつ 、野菜 やさい 、肉 にく 、魚 さかな において人体 じんたい に十分 じゅうぶん な量 りょう が含 ふく まれている[ 54] 。なお、カリウムの最適 さいてき 摂取 せっしゅ 量 りょう に関 かん しては、いくつかの議論 ぎろん が存在 そんざい する。たとえば、アメリカ医学 いがく 研究所 けんきゅうじょ は2004年 ねん にカリウムの食事 しょくじ 摂取 せっしゅ 量 りょう 基準 きじゅん (英語 えいご 版 ばん ) を1日 にち あたり4000 mg(100 mEq )と指定 してい したが、アメリカ人 じん の平均 へいきん 的 てき カリウム摂取 せっしゅ 量 りょう はその半分 はんぶん 程度 ていど しかないため、大 だい 部分 ぶぶん が摂取 せっしゅ 不足 ふそく であることになる[ 55] 。同様 どうよう に欧州 おうしゅう 連合 れんごう 、特 とく にドイツ とイタリア においても、カリウムは一般 いっぱん 的 てき に摂取 せっしゅ 不足 ふそく の傾向 けいこう にあると考 かんが えられている[ 56] 。
高血圧 こうけつあつ についての疫学 えきがく 的 てき 研究 けんきゅう および動物 どうぶつ 実験 じっけん の結果 けっか 、カリウム含有 がんゆう 量 りょう の高 たか い食品 しょくひん の摂取 せっしゅ によって高血圧 こうけつあつ のリスクを低減 ていげん できることが示 しめ され、高血圧 こうけつあつ を原因 げんいん としない脳卒中 のうそっちゅう についても低減 ていげん されると考 かんが えられている。イタリアの研究 けんきゅう 者 しゃ によるメタアナリシス に基 もと づいた報告 ほうこく (2011年 ねん )によると、一 いち 日 にち に1.46 g以上 いじょう カリウムを摂取 せっしゅ すると脳卒中 のうそっちゅう のリスクが21 %低減 ていげん するとされる[ 57] 。また、ラット を用 もち いた研究 けんきゅう において、カリウムの欠乏 けつぼう はチアミン (ビタミンB1 )の摂取 せっしゅ 不足 ふそく と複 ふく 合 ごう すると心臓 しんぞう 病 びょう を誘発 ゆうはつ することが示 しめ された[ 58] 。
医薬 いやく 的 てき 用途 ようと のカリウムサプリメント はループ利尿 りにょう 薬 やく やサイアザイド利尿 りにょう 薬 やく と併用 へいよう して使 つか われることが多 おお い。これは、利尿 りにょう 剤 ざい の薬効 やっこう として尿 にょう が体外 たいがい へ排出 はいしゅつ される際 さい に副作用 ふくさよう として排出 はいしゅつ されてしまうカリウムの補充 ほじゅう を目的 もくてき としている。典型 てんけい 的 てき な医薬 いやく 用 よう サプリメントは、一 いち 回 かい につき400 mg(10 mgEq 、牛乳 ぎゅうにゅう 250 mLや100 %オレンジジュース200 mLに含 ふく まれるカリウムとほぼ同等 どうとう )から800 mg(20 mgEq )の範囲 はんい で服用 ふくよう される。多 おお くのサプリメントに使 つか われている塩化 えんか カリウムは、胃 い や腸 ちょう の粘膜 ねんまく に刺激 しげき を与 あた えるため、消化 しょうか 管 かん 通過 つうか 障害 しょうがい のある患者 かんじゃ には禁忌 きんき である。また、カリウムイオンが高 こう 濃度 のうど となることで細胞 さいぼう 破壊 はかい を引 ひ き起 お こす恐 おそ れもあるため、一般 いっぱん 的 てき に、浸出 しんしゅつ を緩 ゆる やかにするタブレットやカプセルなどの形態 けいたい で提供 ていきょう される。
非 ひ 医薬 いやく 的 てき 用途 ようと としてもカリウムサプリメントは広 ひろ く利用 りよう されている。塩化 えんか カリウムのようなカリウム塩 しお は水 みず によく溶 と けるものの、濃度 のうど の高 たか い溶液 ようえき では味覚 みかく (苦味 にがみ と塩味 しおあじ )を刺激 しげき するため、サプリメント飲料 いんりょう などにおいては、経口 けいこう 摂取 せっしゅ の障害 しょうがい とならないよう口当 くちあ たりをよくする研究 けんきゅう も行 おこな われている[ 59] [ 60] 。なお、健康 けんこう 的 てき な悪影響 あくえいきょう を避 さ けるため、アメリカでは処方箋 しょほうせん 不要 ふよう なカリウム錠 じょう のカリウム含有 がんゆう 量 りょう を一 いち 錠 じょう あたり99 mg以下 いか に法規 ほうき 制 せい している。
体内 たいない のカリウム濃度 のうど が高 たか まると高 こう カリウム血 ち 症 しょう が引 ひ き起 お こされ、致命 ちめい 的 てき な不整脈 ふせいみゃく を誘発 ゆうはつ する危険 きけん がある[ 61] 。健康 けんこう であれば、カリウムを過剰 かじょう に摂取 せっしゅ しても腎臓 じんぞう の調節 ちょうせつ 機能 きのう によりカリウム濃度 のうど は抑制 よくせい されているが、腎臓 じんぞう 病 びょう の患者 かんじゃ においては、腎不全 じんふぜん によってカリウム濃度 のうど の制御 せいぎょ 機能 きのう が低下 ていか しているため対応 たいおう できない。このような腎不全 じんふぜん による高 こう カリウム血 ち 症 しょう の対症療法 たいしょうりょうほう として、カリウムの摂取 せっしゅ 制限 せいげん やカリウムイオン交換 こうかん 樹脂 じゅし 薬 やく の服用 ふくよう などが行 おこな われる[ 62] 。
一方 いっぽう 、嘔吐 おうと 、下痢 げり 、多 た 尿 にょう 症 しょう などによって引 ひ き起 お こされる体液 たいえき 中 ちゅう のカリウム不足 ふそく は、低 てい カリウム血 ち 症 しょう として知 し られる致命 ちめい 的 てき な状態 じょうたい を引 ひ き起 お こすことがある[ 63] 。これは、カリウムが生体 せいたい の神経 しんけい 伝達 でんたつ において非常 ひじょう に重要 じゅうよう な役割 やくわり を担 にな っていることと関連 かんれん している。カリウム欠乏 けつぼう の徴候 ちょうこう としては、筋力 きんりょく の低下 ていか 、イレウス (腸閉塞 ちょうへいそく )、心電図 しんでんず の異常 いじょう 、反射 はんしゃ 機能 きのう の低下 ていか が挙 あ げられ、重度 じゅうど の場合 ばあい では呼吸 こきゅう 困難 こんなん やアルカローシス 、不整脈 ふせいみゃく も認 みと められる[ 64] 。
植物 しょくぶつ にとってカリウムは、新陳代謝 しんちんたいしゃ を良 よ くし、葉 は や茎 くき を丈夫 じょうぶ にする不可欠 ふかけつ な要素 ようそ である[ 65] 。植物 しょくぶつ の生育 せいいく に欠 か かせないため、窒素 ちっそ 、リン酸 さん と並 なら んで肥料 ひりょう の三 さん 要素 ようそ の一 ひと つに数 かぞ えられる。
カリウム不足 ふそく になると植物 しょくぶつ の伸長 しんちょう が抑 おさ えられ、幼 よう 葉 は が青 あお 緑色 みどりいろ になることがある[ 65] 。一方 いっぽう 、カリウム過多 かた になると、窒素 ちっそ 、カルシウム、マグネシウムの吸収 きゅうしゅう が阻害 そがい される[ 65] 。
カリウムはほかの多 おお くの元素 げんそ と同 おな じように、金属 きんぞく カリウム単体 たんたい としてよりも、カリウム化合 かごう 物 ぶつ としての用途 ようと のほうが重要 じゅうよう である。しかし、同 おな じアルカリ金属 きんぞく であるナトリウムがカリウムとほぼ同 おな じような用途 ようと を持 も つため、より安価 あんか なナトリウム塩 しお で代替 だいたい 可能 かのう な用途 ようと も多 おお く、コスト 面 めん で劣 おと るカリウムの用途 ようと は非常 ひじょう に限 かぎ られている。たとえば、2008年度 ねんど の水酸化 すいさんか ナトリウムの日本 にっぽん における消費 しょうひ 量 りょう は98万 まん 6744トンであるが、同年 どうねん の水酸化 すいさんか カリウムの日本 にっぽん における消費 しょうひ 量 りょう は2万 まん 8044トンでしかない[ 66] 。
硫酸 りゅうさん カリウムおよび硫酸 りゅうさん マグネシウムからなる肥料 ひりょう
カリウムイオンは植物 しょくぶつ にとって重要 じゅうよう な主要 しゅよう 栄養 えいよう 元素 げんそ のひとつであり、さまざまなタイプの土壌 どじょう に含 ふく まれている[ 67] 。近代 きんだい の高 こう 収穫 しゅうかく 率 りつ な農業 のうぎょう においては、土壌 どじょう 中 ちゅう のカリウムは自然 しぜん に供給 きょうきゅう されるよりも非常 ひじょう に速 はや い割合 わりあい で消費 しょうひ されるため、肥料 ひりょう としてカリウムを人工 じんこう 的 てき に土壌 どじょう に補給 ほきゅう する必要 ひつよう がある。大 だい 部分 ぶぶん の種類 しゅるい の農作物 のうさくもつ に含 ふく まれるカリウム量 りょう は通常 つうじょう 収穫 しゅうかく 量 りょう の0.5–2 %の範囲 はんい であり、それだけの量 りょう のカリウムが収穫 しゅうかく ごとに土壌 どじょう から持 も ち出 だ される。カリウム肥料 ひりょう は農業 のうぎょう や園芸 えんげい 、水 みず 耕 こう 栽培 さいばい などの耕作 こうさく 、栽培 さいばい において、塩化 えんか 物 ぶつ (KCl)や硫酸 りゅうさん 塩 しお (K2 SO4 )、硝酸塩 しょうさんえん (KNO3 )のような形 かたち で利用 りよう される(また、植物 しょくぶつ 由来 ゆらい の肥料 ひりょう である草 くさ 木灰 きばい において炭酸 たんさん 塩 しお (K2 CO3 )の形 かたち での利用 りよう がある)。世界 せかい で生産 せいさん されるカリウム製品 せいひん のおよそ93 %(2005年 ねん [ 42] )が肥料 ひりょう として消費 しょうひ されており、そのうち90 %は塩化 えんか カリウムとして供給 きょうきゅう されている[ 67] 。塩化 えんか カリウムはカーナライト(KCl、MgCl2 、6H2 O)鉱石 こうせき などから、塩化 えんか カリウムと塩化 えんか マグネシウム の溶解 ようかい 度 ど 差 さ を利用 りよう して水中 すいちゅう で分離 ぶんり することによって製造 せいぞう される[ 68] 。塩化 えんか 物 ぶつ に敏感 びんかん な作物 さくもつ や、硫黄 いおう 分 ぶん を必要 ひつよう とするような作物 さくもつ に対 たい しては硫酸 りゅうさん カリウムが用 もち いられる。硫酸 りゅうさん カリウムはラングバイナイト (英語 えいご 版 ばん ) (MgSO4 、KCl、3H2 O)やカイナイト (英語 えいご 版 ばん ) ((Mg, K)SO4 )のような鉱石 こうせき の複 ふく 分解 ぶんかい によって生産 せいさん される[ 69] 。硝酸 しょうさん カリウムの肥料 ひりょう としての消費 しょうひ 量 りょう は非常 ひじょう に少 すく ない[ 70] 。肥料 ひりょう 成分 せいぶん の表記 ひょうき は通常 つうじょう 、窒素 ちっそ 、リン、カリウムの順 じゅん に示 しめ され、カリウム量 りょう はK2 Oとして表 あらわ される[ 71] 。
前述 ぜんじゅつ のように、カリウムイオンは人 ひと の生命 せいめい と健康 けんこう を支 ささ えるのに重要 じゅうよう な役目 やくめ を果 は たす栄養素 えいようそ である。高血圧 こうけつあつ を抑 おさ えるためにナトリウムの摂取 せっしゅ 量 りょう を制限 せいげん している人々 ひとびと によって、食塩 しょくえん の代替 だいたい として塩化 えんか カリウムが用 もち いられる(代用 だいよう 塩 しお )。昆布 こぶ 、わかめ 、ひじき などの海藻 かいそう 類 るい に多 おお く含 ふく まれる。アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく 農務 のうむ 省 しょう は、トマトペースト、オレンジジュース 、テンサイ 、ホワイトビーンズ、ジャガイモ、バナナその他 た 多 おお くのカリウムをよく含 ふく む食品 しょくひん をリストアップし、カリウム含有 がんゆう 量 りょう をランク付 づ けしている[ 72] 。一方 いっぽう で腎臓 じんぞう 病 びょう の患者 かんじゃ にはカリウム摂取 せっしゅ 制限 せいげん を行 おこな う必要 ひつよう があり、近年 きんねん は水 みず 耕 こう 栽培 さいばい でカリウム含有 がんゆう 量 りょう を大幅 おおはば に抑 おさ えたレタス などの生 なま 野菜 やさい の生産 せいさん も行 おこな われている。
酒石酸 しゅせきさん カリウムナトリウム (KNaC4 H4 O6 、ロッシェル塩 しお )はベーキングパウダー の主成分 しゅせいぶん であり、鏡 かがみ に銀 ぎん メッキをする際 さい にも用 もち いられる。臭素 しゅうそ 酸 さん カリウム は強力 きょうりょく な酸化 さんか 剤 ざい (E924)であり、パン生地 ぱんきじ や魚肉 ぎょにく 練 ね り製品 せいひん の改良 かいりょう 剤 ざい として用 もち いられていた[ 73] 。また、亜硫酸 ありゅうさん 水素 すいそ カリウム(KHSO3 )はワイン やビール などの防腐 ぼうふ 剤 ざい として用 もち いられていたが、肉 にく には用 もち いられなかった[ 74] 。亜硫酸 ありゅうさん 水素 すいそ カリウムは織物 おりもの や麦 むぎ わらの漂白 ひょうはく 剤 ざい としてや、皮 かわ なめし剤 ざい としても用 もち いられていた。
硝酸 しょうさん コバルトカリウム(コバルト・イエロー)
純粋 じゅんすい なカリウム蒸気 じょうき は数種類 すうしゅるい の磁気 じき センサ に用 もち いられる[ 75] 。また、光 ひかり 電子 でんし 素子 そし としても用 もち いられる。ナトリウムとカリウムの合金 ごうきん (NaK、ナトリウムカリウム合金 ごうきん )は熱 ねつ 交換 こうかん 媒体 ばいたい として原子 げんし 炉 ろ の冷却 れいきゃく 材 ざい などに低 てい 融点 ゆうてん 合金 ごうきん として用 もち いられる液体 えきたい であり、希 まれ ガス や溶媒 ようばい からわずかに含 ふく まれる二酸化炭素 にさんかたんそ や水 みず 、あるいは酸素 さんそ を高度 こうど に除去 じょきょ するための反応 はんのう 剤 ざい 、乾燥 かんそう 剤 ざい としても用 もち いられる。ナトリウムカリウム合金 ごうきん はまた、反応 はんのう 性 せい 蒸留 じょうりゅう (英語 えいご 版 ばん ) においても用 もち いられる[ 76] 。ナトリウム、カリウム、セシウム をそれぞれ12 %、47 %、41 %含 ふく んだ三 さん 元 げん 合金 ごうきん は、合金 ごうきん としては最低 さいてい である融点 ゆうてん −78 °C を持 も つ[ 77] 。
すべてのカリウム化合 かごう 物 ぶつ は強 つよ いイオン性 せい を有 ゆう しているため、カリウムはしばし有用 ゆうよう な陰 かげ イオンを保持 ほじ させるのに用 もち いられ、その一 いち 例 れい として、クロム酸 さん カリウム (K2 CrO4 )がある。クロム酸 さん カリウムは黄色 おうしょく の染料 せんりょう やインク、爆薬 ばくやく や花火 はなび 、皮 かわ なめし剤 ざい 、ハエ取 と り紙 し 、安全 あんぜん マッチ [ 78] などさまざまな用途 ようと に用 もち いられるが、これらはカリウムイオンの特性 とくせい というよりはむしろクロム酸 さん イオンの特性 とくせい であり、カリウムイオンはクロム酸 さん イオンを保持 ほじ する役目 やくめ を担 にな っている。
水酸化 すいさんか カリウム
水酸化 すいさんか カリウム は強 つよ 塩基 えんき であり、強酸 きょうさん や弱酸 じゃくさん を中和 ちゅうわ してpH をコントロールするために用 もち いられる。また、カリウム塩類 えんるい の生産 せいさん や、エステル の加水 かすい 分解 ぶんかい 反応 はんのう 、洗剤 せんざい 産業 さんぎょう における油脂 ゆし のけん化 か などにも用 もち いられる[ 79] 。
硝酸 しょうさん カリウム
硝酸 しょうさん カリウム (KNO3 、硝石 しょうせき )は、火薬 かやく (黒色 こくしょく 火薬 かやく )において酸化 さんか 剤 ざい として働 はたら き、また肥料 ひりょう としても重要 じゅうよう である。歴史 れきし 的 てき には、チリ硝石 ちりしょうせき の主成分 しゅせいぶん である硝酸 しょうさん ナトリウム に塩化 えんか カリウムを反応 はんのう させる「転化 てんか 法 ほう 」と呼 よ ばれる方法 ほうほう によって工業 こうぎょう 生産 せいさん されていたが、ハーバー・ボッシュ法 ほう による空気 くうき から化学 かがく 的 てき に窒素 ちっそ を固定 こてい する手法 しゅほう (化学 かがく 的 てき 窒素 ちっそ 固定 こてい 法 ほう )が確立 かくりつ してからは、炭酸 たんさん カリウムもしくは水酸化 すいさんか カリウムを硝酸 しょうさん に溶解 ようかい させる方法 ほうほう で作 つく られるようになった[ 80] 。また、グアノ や蒸発 じょうはつ 岩 がん などの天然 てんねん 鉱石 こうせき からも得 え られる。
過 か マンガン酸 さん カリウム
シアン化カリウム しあんかかりうむ (KCN、青酸 せいさん カリ)は銅 どう や貴金属 ききんぞく (特 とく に金 きむ や銀 ぎん )を錯体 さくたい を形成 けいせい することによって溶解 ようかい させる用途 ようと に使 つか われ、それらの金属 きんぞく の電 でん 鋳 い や電解 でんかい めっき 、金 きむ 鉱山 こうざん の採掘 さいくつ にも用 もち いられる。シアン化カリウム しあんかかりうむ はまた、有機 ゆうき 合成 ごうせい においてニトリル 類 るい を合成 ごうせい するためにも用 もち いられ、さらには、シアン化 か 銀 ぎん とともにメッキ 浴 よく としても用 もち いられる[ 81] 。シアン化カリウム しあんかかりうむ はこのように多 おお くの用途 ようと を有 ゆう する有用 ゆうよう な化合 かごう 物 ぶつ であるが、生物 せいぶつ に対 たい して非常 ひじょう に強 つよ い毒性 どくせい を示 しめ す[ 82] 。炭酸 たんさん カリウム (K2 CO3 、ポタッシュ)は穏 おだ やかな乾燥 かんそう 剤 ざい として用 もち いられ、ガラスや石鹸 せっけん 、カラーテレビ のブラウン管 ぶらうんかん 、蛍光 けいこう 灯 とう 、織物 おりもの の染料 せんりょう や顔料 がんりょう の製造 せいぞう にも利用 りよう される。過 か マンガン酸 さん カリウム (KMnO4 )は酸化 さんか 剤 ざい や漂白 ひょうはく 剤 ざい 、浄化 じょうか 物質 ぶっしつ として利用 りよう され、サッカリン の製造 せいぞう にも用 もち いられる。塩素 えんそ 酸 さん カリウム (KClO3 )はマッチや爆薬 ばくやく に加 くわ えられる。臭 におい 化 か カリウム (KBr)は、以前 いぜん は写真 しゃしん の定着 ていちゃく 剤 ざい や医薬品 いやくひん の鎮静 ちんせい 剤 ざい として用 もち いられていた[ 67] 。また、フェリシアン化カリウム しあんかかりうむ やフェロシアン化カリウム しあんかかりうむ も写真 しゃしん の作成 さくせい に利用 りよう される。ヘキサフルオロケイ酸 さん カリウム (K2 SiF6 )は琺瑯 ほうろう や陶器 とうき の釉薬、特殊 とくしゅ ガラスなどの用途 ようと に利用 りよう される。ヨウ化 か カリウム (KI)は殺菌 さっきん 消毒 しょうどく 薬 やく などに使 つか われる。
超 ちょう 酸化 さんか カリウム は橙色 だいだいいろ 固体 こたい であり、持 も ち運 はこ び可能 かのう な酸素 さんそ 源 げん として自給 じきゅう 式 しき ガスマスク に用 もち いられる。気体 きたい の酸素 さんそ よりも使用 しよう する容積 ようせき が小 ちい さくて済 す むため、鉱山 こうざん や潜水 せんすい 艦 かん 、宇宙船 うちゅうせん において呼吸 こきゅう のための酸素 さんそ 供給 きょうきゅう システムとしても広 ひろ く用 もち いられている[ 83] [ 84] 。また、過 か 酸化 さんか カリウム は二酸化炭素 にさんかたんそ 吸収 きゅうしゅう 剤 ざい として利用 りよう される。
4
KO
2
+
2
CO
2
⟶
2
K
2
CO
3
+
3
O
2
↑
{\displaystyle {\ce {4KO2 + 2CO2 -> 2K2CO3 + 3O2 (^)}}}
ヘキサニトロコバルト(III)酸 さん カリウム (K3 [Co(NO2 )6 ]、硝酸 しょうさん コバルトカリウムとも呼 よ ばれる)はオーレオリンもしくはコバルトイエローと呼 よ ばれる色 いろ の絵 え の具 ぐ として用 もち いられる[ 85] 。
カリウムアミド は、強 つよ い求 もとめ 核 かく 性 せい を有 ゆう するアミドアニオン(NH2 − )源 みなもと として芳香 ほうこう 族 ぞく 求 もとめ 核 かく 置換 ちかん 反応 はんのう などに利用 りよう される強 つよし 塩基 えんき 性 せい の化合 かごう 物 ぶつ であり、液体 えきたい アンモニアにカリウムを反応 はんのう させることで得 え られる[ 86] 。また、有機 ゆうき 金属 きんぞく 化合 かごう 物 ぶつ であるアルキル化 か カリウムは、しばし反 はん 応 おう の中 なか 間 あいだ 体 たい として利用 りよう されている。しかし、単 たん 離 はな されたアルカリ金属 きんぞく のアルキル化合 かごう 物 ぶつ は少 すく なく、その例外 れいがい 的 てき なものとしてメチルカリウム (CH3 K)がある。これはメチル水銀 すいぎん とナトリウム-カリウム合金 ごうきん との反応 はんのう によって得 え られ、副 ふく 生成 せいせい 物 ぶつ としてナトリウムアマルガムが形成 けいせい される。カリウムの金属 きんぞく 有機 ゆうき 化合 かごう 物 ぶつ はイオン性 せい 物質 ぶっしつ であるため炭化 たんか 水素 すいそ などの有機 ゆうき 溶媒 ようばい への溶解 ようかい 性 せい はそれほど高 たか くない。また、反応 はんのう 性 せい が強 つよ く空気 くうき 中 ちゅう で発火 はっか し、水 みず と激 はげ しく反応 はんのう する[ 87] 。カリウムのアルコキシド は強 つよ 塩基 えんき 性 せい の求 もとめ 核 かく 剤 ざい としてハロアルカンの脱 だつ 離反 りはん 応 おう などに利用 りよう される[ 88] 。代表 だいひょう 的 てき なものにクライゼン縮 ちぢみ 合 あい に利用 りよう されるカリウム tert-ブトキシド がある。このようなカリウムのアルコキシドは、水素 すいそ 化 か カリウムもしくは金属 きんぞく カリウムとアルコールとを反応 はんのう させることによって合成 ごうせい される。水素 すいそ 化 か カリウム は、アルコールのヒドロキシ基 もと からプロトン を引 ひ き抜 ぬ くことが可能 かのう なほどの強力 きょうりょく な塩基 えんき であり、反応 はんのう 後 ご の副 ふく 生成 せいせい 物 ぶつ が水素 すいそ しか発生 はっせい しない利点 りてん を有 ゆう している[ 89] 。
臭 におい 化 か カリウムは、赤 あか 外 がい 分光 ぶんこう 法 ほう において分析 ぶんせき 試料 しりょう の錠剤 じょうざい を作 つく るためのマトリックスとして用 もち いられる(臭 におい 化 か カリウム錠剤 じょうざい 法 ほう )[ 90] 。フェリシアン化カリウム しあんかかりうむ (ヘキサシアノ鉄 てつ (III)酸 さん カリウム、赤 あか 血 ち 塩 しお ) K3 [Fe(CN)6 ] は、チオクローム法 ほう と呼 よ ばれるチアミン(ビタミンB1 )の分析 ぶんせき において、チアミンを酸化 さんか させる酸化 さんか 剤 ざい として用 もち いられる[ 91] 。また、フェリシアン化 か カリウムはフェロシアン化カリウム しあんかかりうむ (ヘキサシアノ鉄 てつ (II)酸 さん カリウム)K4 [Fe(CN)6 ] とともに、鉄 てつ イオンの定性 ていせい 分析 ぶんせき にも用 もち いられる[ 92] 。二 に クロム酸 さん カリウム (K2 Cr2 O7 )や過 か マンガン酸 さん カリウムは、その強 つよ い酸化 さんか 力 りょく を利用 りよう して酸化 さんか 還元 かんげん 滴 しずく 定 じょう における1次 じ 標準 ひょうじゅん 物質 ぶっしつ として用 もち いられる[ 93] 。また、一価 いっか のカリウムイオンのイオン半径 はんけい はNH4 + のそれと非常 ひじょう に近 ちか い値 ね であるので、NH4 + と置換 ちかん が可能 かのう である。それゆえ、実験 じっけん において水素 すいそ 結合 けつごう の影響 えいきょう の有無 うむ を調 しら べたい時 とき に、水素 すいそ 結合 けつごう を形成 けいせい するNH4 + を、水素 すいそ 結合 けつごう を形成 けいせい しないK+ と置換 ちかん して、結果 けっか に変化 へんか が生 しょう じるか否 ひ かを観察 かんさつ するということが行 おこな われる。
前述 ぜんじゅつ のカリウム40がアルゴン40へと崩壊 ほうかい する特性 とくせい は、一般 いっぱん 的 てき に岩 いわ の放射 ほうしゃ 年代 ねんだい 測定 そくてい に利用 りよう されている(カリウム-アルゴン法 ほう )。岩石 がんせき がマグマ から形成 けいせい された時点 じてん では岩石 がんせき 中 ちゅう にアルゴン40は含 ふく まれていないが、岩石 がんせき が形成 けいせい されて以降 いこう は岩石 がんせき 中 ちゅう のカリウム40の崩壊 ほうかい によってアルゴン40が生成 せいせい し岩石 がんせき 中 ちゅう に蓄積 ちくせき されていく。岩石 がんせき 中 ちゅう のアルゴン40の存在 そんざい 量 りょう は、岩石 がんせき が形成 けいせい されてからの時間 じかん に比例 ひれい して増加 ぞうか していくため、岩石 がんせき 中 ちゅう のカリウム40の濃度 のうど と蓄積 ちくせき されたアルゴン40の量 りょう を測定 そくてい することで岩石 がんせき の年代 ねんだい を推定 すいてい することができる。年代 ねんだい 測定 そくてい にもっとも適 てき した鉱石 こうせき には、白 しろ 雲母 うんも 、黒 くろ 雲母 うんも 、深成岩 しんせいがん /広域 こういき 変成岩 へんせいがん の角 すみ 閃石 や火山岩 かざんがん の長石 ちょうせき などがある。火山 かざん 流 ながれ や浅 あさ い貫入 かんにゅう に由来 ゆらい する岩石 がんせき 試料 しりょう もまた、加熱 かねつ されて試料 しりょう 中 ちゅう のアルゴンが失 うしな われるような変化 へんか を受 う けていないそのままの状態 じょうたい の試料 しりょう であれば、すべて年代 ねんだい 測定 そくてい することができる[ 94] [ 30] 。年代 ねんだい 測定 そくてい 以外 いがい では、カリウムの同位 どうい 体 たい は風化 ふうか の研究 けんきゅう における放射 ほうしゃ 性 せい トレーサー として幅広 はばひろ く用 もち いられる。また、カリウムが生命 せいめい 維持 いじ のために必要 ひつよう とされる栄養素 えいようそ であるため、生物 せいぶつ 地球 ちきゅう 化学 かがく 的 てき 循環 じゅんかん の研究 けんきゅう にも用 もち いられる。
カリウム40はフェルミ粒子 りゅうし であるため、低温 ていおん 物理 ぶつり 学 がく において使 つか われることがある。2003年 ねん には50万 まん 個 こ のカリウム40原子 げんし を用 もち いてフェルミ凝縮 ぎょうしゅく による縮退 しゅくたい 物 ぶつ を生成 せいせい することに成功 せいこう し、2013年 ねん には10万 まん 個 こ のカリウム40原子 げんし を用 もち いて絶対 ぜったい 零 れい 度 ど を下回 したまわ る負 ふ 温度 おんど の状態 じょうたい を実現 じつげん することに初 はじ めて成功 せいこう した[ 95] 。
ハンフリー・デービー
カリウムは、草木 くさき を焼 や いた灰 はい として古来 こらい から利用 りよう されてきたが、これがナトリウム塩 しお とは根本 こんぽん 的 てき に異 こと なる物質 ぶっしつ であるということは理解 りかい されていなかった。元素 げんそ としてのカリウムや、ほかの塩類 えんるい から分離 ぶんり された独立 どくりつ した要素 ようそ としてのカリウム塩類 えんるい は古代 こだい ローマ時代 じだい には知 し られておらず、元素 げんそ のラテン語 らてんご 名 な は古典 こてん ラテン語 らてんご でなく、むしろ新 しん ラテン語 らてんご であった[ 5] 。カリウムは、カノ のハウサ人 じん による濃 こ 青色 あおいろ の織物 おりもの を生産 せいさん するために、灰 はい とインディゴ 、湯 ゆ を混 ま ぜ合 あ わせて使 つか われていた秘密 ひみつ の成分 せいぶん であった[ 96] 。
1736年 ねん 、ゲオルク・シュタール はナトリウムとカリウムの塩 しお の重要 じゅうよう な差異 さい について彼 かれ が提唱 ていしょう するに至 いた った実験 じっけん 的 てき な徴候 ちょうこう を得 え [ 97] 、1736年 ねん 、アンリ=ルイ・デュアメル・デュ・モンソー によってその違 ちが いが証明 しょうめい された[ 98] 。1807年 ねん 、イギリス のハンフリー・デービー が新 あたら しく発見 はっけん されたボルタ電池 でんち を用 もち いて、水酸化 すいさんか カリウム (苛性 かせい カリ)を電気 でんき 分解 ぶんかい (溶融 ようゆう 塩 しお 電解 でんかい )することによって金属 きんぞく カリウムを初 はじ めて単 たん 離 はな した。この元素 げんそ は電気 でんき 分解 ぶんかい によって分離 ぶんり された最初 さいしょ の金属 きんぞく であった[ 99] 。植物 しょくぶつ はほとんどナトリウムを含有 がんゆう しないため、potashはおもにカリウム塩 しお であり、残 のこ りの成分 せいぶん は主 おも に水溶 すいよう 性 せい の低 ひく いカルシウム塩 しお である。
その数 すう 年 ねん 後 ご 、デービーはカリウムを単 たん 離 はな したのと類似 るいじ した技術 ぎじゅつ によって、植物 しょくぶつ 塩 しお でない、鉱石 こうせき より誘導 ゆうどう された水酸化 すいさんか ナトリウム から金属 きんぞく ナトリウムを単 たん 離 はな し、カリウムとナトリウムの元素 げんそ 、塩類 えんるい が違 ちが う物質 ぶっしつ であることを示 しめ した[ 100] [ 101] [ 101] [ 102] 。この単 たん 離 はな された金属 きんぞく ナトリウムおよび金属 きんぞく カリウムがともに元素 げんそ であることが示 しめ されたが、この見解 けんかい が一般 いっぱん に認 みと められるまでには長 なが い時間 じかん がかかった[ 103] 。
長 なが い間 あいだ 、カリウムの大 おお きな用途 ようと はガラス、石鹸 せっけん と漂白 ひょうはく 剤 ざい の製造 せいぞう に限 かぎ られていた[ 104] 。動物 どうぶつ 性 せい 油脂 ゆし および木炭 もくたん や植物 しょくぶつ 油 ゆ から作 つく られるカリウム石鹸 せっけん は軟石鹸 せっけん として知 し られ、非常 ひじょう に水 みず によく溶 と け柔 やわ らかい傾向 けいこう があり重宝 ちょうほう されていた[ 67] [ 105] 。1840年 ねん ドイツ のユストゥス・フォン・リービッヒ によって、カリウムが植物 しょくぶつ のために必要 ひつよう な元素 げんそ であり、しかも大 だい 部分 ぶぶん の土壌 どじょう においてカリウムが欠乏 けつぼう していることが発見 はっけん され[ 106] 、カリウム塩類 えんるい の需要 じゅよう は急激 きゅうげき に増加 ぞうか した。モミの木 き から作 つく られる木 き の灰 はい がカリウム源 げん として使 つか われていたが、ドイツのシュタースフルト (英語 えいご 版 ばん ) 近郊 きんこう においてカリウム塩 しお を含 ふく んだ鉱床 こうしょう が発見 はっけん され、1868年 ねん にドイツ でカリウム肥料 ひりょう の工業 こうぎょう 規模 きぼ の生産 せいさん が始 はじ まった[ 107] [ 108] [ 109] 。その他 た のカリウム鉱床 こうしょう は、1960年代 ねんだい までにカナダで大 おお きなものが発見 はっけん され、主要 しゅよう な生産 せいさん 源 げん となった[ 110] [ 111] 。
金属 きんぞく カリウムと水 みず との反応 はんのう 。カリウムと水 みず との反応 はんのう で生 しょう じた水素 すいそ がピンクもしくは薄紫 うすむらさき 色 しょく で燃焼 ねんしょう している(この炎 ほのお 色 しょく はカリウムの蒸気 じょうき によるものである)。強 つよ アルカリ性 あるかりせい の水酸化 すいさんか カリウムは水溶液 すいようえき として生成 せいせい する
単体 たんたい の金属 きんぞく カリウムは消防 しょうぼう 法 ほう 第 だい 2条 じょう 第 だい 7項 こう および別表 べっぴょう 第 だい 一 いち 第 だい 3類 るい 1号 ごう により第 だい 3類 るい 危険 きけん 物 ぶつ に指定 してい されている[ 112] 。また毒物 どくぶつ 及 およ び劇 げき 物 ぶつ 取締 とりしまり 法 ほう に定 さだ める劇 げき 物 ぶつ に該当 がいとう する[ 113] 。
カリウムは水 みず と激 はげ しく反応 はんのう し、水酸化 すいさんか カリウムと水素 すいそ ガスを発生 はっせい させる[ 17] 。
2
K
(
s
)
+
2
H
2
O
(
l
)
⟶
2
KOH
(
aq
)
+
H
2
↑
(
g
)
{\displaystyle {\ce {2K(s) + 2H2O(l) -> 2KOH(aq) + H2 (^) (g)}}}
この反応 はんのう は発熱 はつねつ 反応 はんのう であり、その発熱 はつねつ 量 りょう は発生 はっせい した水素 すいそ を引火 いんか させるのに十分 じゅうぶん な熱量 ねつりょう である。そのため、酸素 さんそ 存在 そんざい 下 か において爆発 ばくはつ するおそれがある。また、反応 はんのう によって生 しょう じる水酸化 すいさんか カリウムは皮膚 ひふ に炎症 えんしょう を起 お こし、眼球 がんきゅう 角膜 かくまく を不 ふ 可逆 かぎゃく 的 てき に破壊 はかい し、失明 しつめい を引 ひ き起 お こすほどの強 つよ アルカリである。
カリウムの微細 びさい 粒子 りゅうし は空気 くうき 中 ちゅう において室温 しつおん で発火 はっか し、加熱 かねつ されれば塊状 かいじょう 金属 きんぞく でも発火 はっか する。発火 はっか したカリウムに水 みず をかけると、カリウムの密度 みつど は0.89 g/cm3 と水 みず より軽 かる いため、燃焼 ねんしょう しているカリウムが水 みず に浮 う かび大気 たいき 中 ちゅう の酸素 さんそ にさらに曝 さら されることになり、また、水 みず とカリウムの反応 はんのう によって水素 すいそ と反応 はんのう 熱 ねつ が生成 せいせい するため、カリウムによる火災 かさい はより一層 いっそう 悪化 あっか する。そのため、通常 つうじょう の消火 しょうか 活動 かつどう ではカリウムによる火 ひ に対 たい して、効果 こうか がないか悪化 あっか させることとなる。カリウムの火 ひ の消火 しょうか には、乾燥 かんそう した塩化 えんか ナトリウム (食卓 しょくたく 塩 しお )、炭酸 たんさん ナトリウム(ソーダ灰 はい )、および二酸化 にさんか ケイ素 けいそ (砂 すな )が効果 こうか 的 てき である。また、金属 きんぞく 火災 かさい 用 よう に設計 せっけい された一部 いちぶ の粉末 ふんまつ 消火 しょうか 器 き や、窒素 ちっそ およびアルゴン も効果 こうか 的 てき である。
カリウムはハロゲンと激 はげ しく反応 はんのう し、臭素 しゅうそ と反応 はんのう すると爆発 ばくはつ する。硫酸 りゅうさん ともまた爆発 ばくはつ 的 てき に反応 はんのう する。燃焼 ねんしょう によってカリウムは過 か 酸化 さんか 物 ぶつ や超 ちょう 酸化 さんか 物 ぶつ を形成 けいせい し、これらは油 あぶら のような有機物 ゆうきぶつ もしくは金属 きんぞく カリウムと激 はげ しく反応 はんのう する可能 かのう 性 せい がある[ 114] 。
カリウムは空気 くうき 中 ちゅう の水蒸気 すいじょうき と反応 はんのう するため、通常 つうじょう 乾燥 かんそう した鉱油 こうゆ 中 ちゅう で保管 ほかん されるが、リチウム やナトリウムと異 こと なり無 む 期限 きげん に鉱油 こうゆ 中 ちゅう に保存 ほぞん してはいけない。半年 はんとし から1年 ねん 以上 いじょう 保管 ほかん されると、刺激 しげき に敏感 びんかん な過 か 酸化 さんか 物 ぶつ が金属 きんぞく カリウム上 じょう や保管 ほかん 容器 ようき のふたの下 か に形成 けいせい され、ふたを開 あ けた際 さい に爆発 ばくはつ する。そのため、カリウムは酸素 さんそ を含 ふく まない不 ふ 活性 かっせい な気体 きたい もしくは真空 しんくう 下 か で保存 ほぞん しない限 かぎ り、3か月 げつ 以上 いじょう は保管 ほかん しないことが推奨 すいしょう される[ 115] 。
金属 きんぞく カリウムは反応 はんのう 性 せい が非常 ひじょう に高 たか いため、扱 あつか う人 ひと の皮膚 ひふ や目 め を完全 かんぜん に保護 ほご し、カリウムとの間 あいだ に防 ぼう 爆 ばく 壁 かべ を置 お くことが望 のぞ ましく、非常 ひじょう に慎重 しんちょう に取 と り扱 あつか わなければならない。
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La dénomination de Potasche (potasse) que la nouvelle nomenclature françoise a consacrée comme nom de tout le genre, ne sauroit faire fortune auprès des chimistes allemands, qui sentent à quel point la dérivation étymologique en est vicieuse. Elle est prise en effet de ce qu'anciennement on se servoit pour la calcination des lessives concentrées des cendres, de pots de fer ( pott en dialecte de la Basse-Saxe) auxquels on a substitué depuis des fours à calciner.
Je propose donc ici, de substituer aux mots usités jusqu'ici d'alcali des plantes, alcali végétal, potasse, &c. celui de kali, & de revenir à l'ancienne dénomination de natron, au lieu de dire alcali minéral, soude &c."
(This alkali [i.e., potash] — [which] therefore can no longer be viewed as a product of growth in plants — occupies a proper place in the originally simple series of the mineral realm, and it becomes necessary to assign it a name that is better suited to its nature.
The name of "potash" (potasse ), which the new French nomenclature has bestowed as the name of the entire species [i.e., substance], would not find acceptance among German chemists, who feel to some extent [that] the etymological derivation of it is faulty. Indeed, it is taken from [the vessels] that one formerly used for the roasting of washing powder concentrated from cinders: iron pots (pott in the dialect of Lower Saxony), for which roasting ovens have been substituted since then.
Thus I now propose to substitute for the until now common words of "plant alkali", "vegetable alkali", "potash", etc., that of kali ; and to return to the old name of natron instead of saying "mineral alkali", "soda", etc.)
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