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パラジウム - Wikipedia

パラジウム

原子げんし番号ばんごう46の元素げんそ

パラジウムえい: palladium)は原子げんし番号ばんごう46の元素げんそ元素げんそ記号きごうPd白金はっきんぞく元素げんその1つ。貴金属ききんぞくにも分類ぶんるいされる。

ロジウム パラジウム ぎん
Ni

Pd

Pt
外見がいけん
ぎん白色はくしょく
一般いっぱん特性とくせい
名称めいしょう, 記号きごう, 番号ばんごう パラジウム, Pd, 46
分類ぶんるい 遷移せんい金属きんぞく
ぞく, 周期しゅうき, ブロック 10, 5, d
原子げんしりょう 106.42
電子でんし配置はいち [Kr] 4d10
電子でんしから 2, 8, 18, 18(画像がぞう
物理ぶつり特性とくせい
そう 固体こたい
密度みつど室温しつおん付近ふきん 12.023 g/cm3
融点ゆうてんでの液体えきたい密度みつど 10.38 g/cm3
融点ゆうてん 1828.05 K, 1554.9 °C, 2830.82 °F
沸点ふってん 3236 K, 2963 °C, 5365 °F
融解ゆうかいねつ 16.74 kJ/mol
蒸発じょうはつねつ 362 kJ/mol
熱容量ねつようりょう (25 °C) 25.98 J/(mol·K)
蒸気じょうきあつ
圧力あつりょく (Pa) 1 10 100 1 k 10 k 100 k
温度おんど (K) 1721 1897 2117 2395 2753 3234
原子げんし特性とくせい
酸化さんかすう 6, 4, 2, 1, 0(じゃく塩基えんきせい酸化さんかぶつ
電気でんき陰性いんせい 2.20(ポーリングの
イオン化いおんかエネルギー だい1: 804.4 kJ/mol
だい2: 1870 kJ/mol
だい3: 3177 kJ/mol
原子げんし半径はんけい 137 pm
共有きょうゆう結合けつごう半径はんけい 139±6 pm
ファンデルワールス半径はんけい 163 pm
その
結晶けっしょう構造こうぞう めんこころ立方りっぽう
磁性じせい つね磁性じせい[1]
電気でんき抵抗ていこうりつ (20 °C) 105.4 nΩおめが⋅m
ねつ伝導でんどうりつ (300 K) 71.8 W/(m⋅K)
ねつ膨張ぼうちょうりつ (25 °C) 11.8 μみゅーm/(m⋅K)
おとつたわるはや
微細びさいロッド)
(20 °C) 3070 m/s
ヤングりつ 121 GPa
剛性ごうせいりつ 44 GPa
体積たいせき弾性だんせいりつ 180 GPa
ポアソン 0.39
モース硬度こうど 4.75
ビッカース硬度こうど 461 MPa
ブリネル硬度こうど 37.3 MPa
CAS登録とうろく番号ばんごう 7440-05-3
おも同位どういたい
詳細しょうさいパラジウムの同位どういたい参照さんしょう
同位どういたい NA 半減はんげん DM DE (MeV) DP
100Pd syn 3.63 d εいぷしろん - 100Rh
γがんま 0.084, 0.074, 0.126 -
102Pd 1.02% 中性子ちゅうせいし56安定あんてい
103Pd syn 16.991 d εいぷしろん - 103Rh
104Pd 11.14% 中性子ちゅうせいし58安定あんてい
105Pd 22.33% 中性子ちゅうせいし59安定あんてい
106Pd 27.33% 中性子ちゅうせいし60安定あんてい
107Pd trace 6.5×106 y βべーた- 0.033 107Ag
108Pd 26.46% 中性子ちゅうせいし62安定あんてい
110Pd 11.72% 中性子ちゅうせいし64安定あんてい

特徴とくちょう性質せいしつ

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常温じょうおんつねあつ安定あんてい結晶けっしょう構造こうぞうは、めんこころ立方りっぽう構造こうぞう (fcc)。ぎん白色はくしょく金属きんぞく遷移せんい金属きんぞく)で、比重ひじゅうは12.0、融点ゆうてんは1555 °C実験じっけん条件じょうけんとうにより若干じゃっかんことなることあり)。希少きしょう金属きんぞくの1つ。

耐食性たいしょくせいやわらかさをち、合金ごうきん素材そざいとして利用りよう

パラジウムは白金はっきんぞくなかたい酸性さんせいもっとよわい。酸化さんかりょくのあるさん硝酸しょうさんなど)にはける。酸化さんかざい存在そんざいすると塩酸えんさんにもける。

名称めいしょう

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名前なまえはこの前年ぜんねん発見はっけんされた小惑星しょうわくせいパラス (pallas) にちなんだもの[2]

自分じぶん体積たいせきの935ばいもの水素すいそ吸収きゅうしゅうするため、水素すいそ吸蔵合金ごうきんとして利用りようされる。加工かこうのしやすさから電子でんし部品ぶひん材料ざいりょうとしても使つかわれたが、供給きょうきゅうシェアの6わりロシア依存いぞんしており、価格かかく不安定ふあんていなことからニッケルなどの金属きんぞくへの代替だいたいすすめられている。

特筆とくひつすべきは、パラジウムは日本にっぽん歯科しか治療ちりょうインレー)の合金ごうきんとして利用りようされている。いわゆる「ぎん」とは、金銀きんぎんパラジウム合金ごうきんのことで、ぎんには20%以上いじょうのパラジウムをふくんでいる[3]

ジュエリーよう貴金属ききんぞくとして

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貴金属ききんぞくとしてジュエリーにも利用りようされている。

もっとおおいのは、プラチナ950や900の、またホワイトゴールドきんとしての利用りようである。プラチナの場合ばあいかたさの調節ちょうせつ色調しきちょうのため、ホワイトゴールドは金色きんいろ白色はくしょくのために利用りようされる。近年きんねん価格かかくたかいプラチナや、ホワイトゴールドにわって、パラジウムをメインに使用しようした合金ごうきんのジュエリーが生産せいさんされはじめている。パラジウムは鋳造ちゅうぞうにガスを大量たいりょうんで(す)がやすく、大気たいきちゅうでのろうづけれやすくむずかしいため、最近さいきんまでジュエリーに加工かこうされなかったが、技術ぎじゅつ進歩しんぽ開発かいはつすすんであたらしいジャンルとして注目ちゅうもくされている。

ジュエリーようパラジウム合金ごうきんは、ISO9202、JIS-H6309が、Pd950と、Pd500を品位ひんい区分くぶんとしてさだめている。また、CIBJO(国際こくさい貴金属ききんぞく宝飾ほうしょくひん連盟れんめい)は、前記ぜんき2しゅに、Pd999をくわえている。Pd950は、ネックレスやリングなどの一般いっぱんてきなジュエリーにもちいられている。Pd500は、ぎんとの合金ごうきんとして、ソフトホワイトの名称めいしょう変色へんしょくしないぎん合金ごうきんとしてもちいられていた時代じだいがあったが、現在げんざいぎん合金ごうきんというよりパラジウム合金ごうきんとして認知にんちされている。

造幣局ぞうへいきょく貴金属ききんぞく品位ひんい証明しょうめい制度せいどは、きむぎん、プラチナ合金ごうきん品位ひんい検定けんていおこなっている[4]が、パラジウム合金ごうきん品位ひんい検定けんていおこなっていない。

触媒しょくばいとして

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工業こうぎょうてきには自動車じどうしゃ排気はいきガス浄化じょうかよう触媒しょくばいさんげん触媒しょくばい)やエチレンからのアセトアルデヒドの合成ごうせいワッカー酸化さんか)にもちいる触媒しょくばいなど、様々さまざま反応はんのう触媒しょくばいとして使つかわれている。有機ゆうき合成ごうせい分野ぶんやにおいては接触せっしょく還元かんげん触媒しょくばいとして、活性炭かっせいたんに担持させたパラジウム炭素たんそ常用じょうようされる。またおもホスフィン錯体さくたいが、クロスカップリングはんおうヘック反応はんのうなどC-C結合けつごう生成せいせい反応はんのう触媒しょくばいとしてもちいられる。実験じっけんしつから工業こうぎょうレベルまで応用おうよう範囲はんいひろく、これらパラジウム触媒しょくばいもちいる反応はんのう開発かいはつたいし、リチャード・ヘック根岸ねぎし英一ひでかず鈴木すずきあきららに2010ねんノーベル化学かがくしょうおくられている。

1803ねんイギリス化学かがくしゃ物理ぶつり学者がくしゃウイリアム・ウォラストン (W. H. Wollaston) によって発見はっけん[2]

産出さんしゅつ

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2007ねんにおいてパラジウムの世界せかい産出さんしゅつりょうは、ロシアが44%、みなみアフリカ共和きょうわこくが40%、カナダが6%、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくが5%をめる。

パラジウムは、プラチナニッケルなどの副産物ふくさんぶつとして生産せいさんされるため、生産せいさんりょうしゅ産物さんぶつ産出さんしゅつ動向どうこう左右さゆうされる。2010年代ねんだいみなみアフリカのプラチナ鉱山こうざん閉鎖へいさ相次あいつぐとパラジウムの生産せいさんりょう減少げんしょうして価格かかく高騰こうとう2018ねんには過去かこ最高さいこう記録きろくした[5]

また、2022ねんにはロシアのウクライナ侵攻しんこうたいする、ロシアへの経済けいざい制裁せいさいにより、歯科しか治療ちりょう自動車じどうしゃ部品ぶひんとう使つかわれるパラジウムが不足ふそく価格かかく高騰こうとうすると懸念けねんされている。[6]

同位どういたい

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出典しゅってん

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  1. ^ Magnetic susceptibility of the elements and inorganic compounds (PDF) (2004ねん3がつ24にち時点じてんアーカイブ), in Handbook of Chemistry and Physics 81st edition, CRC press.
  2. ^ a b 桜井さくらいひろし元素げんそ111のしん知識ちしき講談社こうだんしゃ、1998ねん、218ぺーじISBN 4-06-257192-7 
  3. ^ 東北大学とうほくだいがく歯科しか金属きんぞくアレルギーの発病はつびょうメカニズムを解明かいめい!(マイナビニュース、2022ねん9がつ29にち掲載けいさい
  4. ^ 貴金属ききんぞく製品せいひん品位ひんい区分くぶん証明しょうめい記号きごう 独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん造幣局ぞうへいきょく
  5. ^ アングル:急騰きゅうとうするパラジウム、16ねんぶりの「かね等価とうか」に接近せっきん”. ロイター (2018ねん11月19にち). 2018ねん11月19にち閲覧えつらん
  6. ^ 日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい. “ロシアのウクライナ侵攻しんこう パラジウム高騰こうとう 歯科しか治療ちりょうぎん」に影響えいきょう | NHK”. NHK首都しゅとけんナビ. 2022ねん6がつ4にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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