ネオン (英 えい : neon [ˈniːɒn] 、仏 ふつ : néon )は、原子 げんし 番号 ばんごう 10の元素 げんそ である。元素 げんそ 記号 きごう はNe 。原子 げんし 量 りょう は20.180。
外見 がいけん
無色 むしょく の気体 きたい に高 こう 電圧 でんあつ をかけると赤 あか 橙色 だいだいいろ に発光 はっこう する。 ネオンのスペクトル
一般 いっぱん 特性 とくせい
名称 めいしょう , 記号 きごう , 番号 ばんごう
ネオン, Ne, 10
分類 ぶんるい
貴 き ガス
族 ぞく , 周期 しゅうき , ブロック
18 , 2 , p
原子 げんし 量 りょう
20.1797 (6)
電子 でんし 配置 はいち
1s2 2s2 2p6
電子 でんし 殻 から
2, 8(画像 がぞう )
物理 ぶつり 特性 とくせい
相 そう
気体 きたい
密度 みつど
(0 °C , 101.325 kPa) 0.9002 g/L
融点 ゆうてん
24.56 K , −248.59 °C , −415.46 °F
沸点 ふってん
27.07 K , −246.08 °C , −410.94 °F
三重 みえ 点 てん
24.5561 K ( −249 °C ), 43[1] [2] kPa
臨界 りんかい 点 てん
44.4 K , 2.76 MPa
融解 ゆうかい 熱 ねつ
0.335 kJ/mol
蒸発 じょうはつ 熱 ねつ
1.71 kJ/mol
熱容量 ねつようりょう
(25 °C ) 5R /2 = 20.786 J/(mol·K)
蒸気 じょうき 圧 あつ
圧力 あつりょく (Pa)
1
10
100
1 k
10 k
100 k
温度 おんど (K)
12
13
15
18
21
27
原子 げんし 特性 とくせい
酸化 さんか 数 すう
1[3] , 0
イオン化 いおんか エネルギー
第 だい 1: 2080.7 kJ/mol
第 だい 2: 3952.3 kJ/mol
第 だい 3: 6122 kJ/mol
共有 きょうゆう 結合 けつごう 半径 はんけい
58 pm
ファンデルワールス半径 はんけい
154 pm
その他 た
結晶 けっしょう 構造 こうぞう
面 めん 心 こころ 立方 りっぽう 格子 こうし 構造 こうぞう
磁性 じせい
反 はん 磁性 じせい [4]
熱 ねつ 伝導 でんどう 率 りつ
(300 K) 49.1x10−3 W/(m⋅K)
音 おと の伝 つた わる速 はや さ
(gas, 0 °C) 435 m/s
体積 たいせき 弾性 だんせい 率 りつ
654 GPa
CAS登録 とうろく 番号 ばんごう
7440-01-9
主 おも な同位 どうい 体 たい
詳細 しょうさい はネオンの同位 どうい 体 たい を参照 さんしょう
ギリシャ語 ご の「新 あたら しい」を意味 いみ する「νέος (neos )」に由来 ゆらい する[5] 。
ジョゼフ・ジョン・トムソン の写真 しゃしん 乾板 かんぱん 。右 みぎ 下 か に2つのネオン同位 どうい 体 たい (ネオン20、ネオン22)の衝突 しょうとつ 痕 こん が見 み られる
ネオンは1898年 ねん にロンドン で、イギリス 人 ひと 化学 かがく 者 しゃ ウィリアム・ラムゼー 卿 きょう (1852–1916年 ねん )とモーリス・トラバース (1872–1961年 ねん )が発見 はっけん した[6] 。この当時 とうじ 、すでにヘリウム とアルゴン の存在 そんざい が知 し られていたこと、さらに周期 しゅうき 律 りつ が知 し られていたことから、その存在 そんざい が確実視 かくじつし されていたが、この発見 はっけん によって周期 しゅうき 表 ひょう の空欄 くうらん が1つ埋 う まった。発見 はっけん に至 いた った手法 しゅほう は液化 えきか 空気 くうき の分留 ぶんりゅう である。ラムゼーが、液体 えきたい 状 じょう になるまで冷却 れいきゃく した大気 たいき を暖 あたた めて気化 きか したガス をそれぞれ分留 ぶんりゅう する実験 じっけん を行 おこな っているとき、大気 たいき 主成分 しゅせいぶん (窒素 ちっそ ・酸素 さんそ ・アルゴン )を取 と り除 のぞ いたあとに残 のこ る物質 ぶっしつ からクリプトン ・キセノン ・ネオン をそれぞれ見 み つけた[7] 。
1910年 ねん 12月、フランス の技術 ぎじゅつ 者 しゃ ジョルジュ・クロード がネオンガスを封入 ふうにゅう した管 かん に放電 ほうでん することで、新 あら たな照明 しょうめい 器具 きぐ を発明 はつめい した。パリ の政府 せいふ 庁舎 ちょうしゃ グラン・パレ で公開 こうかい 後 ご 、1912年 ねん には彼 かれ は仲間 なかま たちとこの放電 ほうでん 管 かん をネオン管 かん として販売 はんばい し始 はじ め、理髪 りはつ 店 てん で最初 さいしょ の広告 こうこく として使用 しよう された。1915年 ねん に特許 とっきょ を取得 しゅとく し「クロードネオン社 しゃ 」を設立 せつりつ [8] 。1923年 ねん 、彼 かれ らがネオン管 かん をアメリカ に紹介 しょうかい すると、早速 さっそく ロサンゼルス のパッカード 自動車 じどうしゃ 販売 はんばい 代理 だいり 店 てん に2つの大 おお きなネオンサイン が備 そな えられた。赤々 あかあか と輝 かがや き人目 ひとめ を惹 ひ くネオンの広告 こうこく は、他社 たしゃ との差別 さべつ 化 か を鮮明 せんめい に映 うつ し出 だ した[9] 。
1913年 ねん にジョゼフ・ジョン・トムソン が、陽極線 ようきょくせん の成分 せいぶん 分析 ぶんせき を行 おこな っていた際 さい 、磁界 じかい や電界 でんかい を通 とお る流 なが れを導 みちび き出 だ し、写真 しゃしん 乾板 かんぱん 上 じょう に写 うつ り込 こ んだ軌跡 きせき から偏向 へんこう を計測 けいそく して、ネオン原子 げんし の基本 きほん 的 てき 性質 せいしつ の解明 かいめい が始 はじ まった。写真 しゃしん には2本 ほん の光 ひかり 軌跡 きせき が見 み つかり、これは異 こと なる放物線 ほうぶつせん を描 えが くネオンの偏向 へんこう があることを示 しめ していた。トムソンは、これが同 おな じネオン元素 げんそ で分子 ぶんし 量 りょう が異 こと なるものが2種類 しゅるい あるために起 お こった現象 げんしょう と結論 けつろん づけた[10] 。これは最初 さいしょ の安定 あんてい 的 てき な同位 どうい 体 たい 発見 はっけん であり、その手法 しゅほう は改良 かいりょう され現在 げんざい の質量 しつりょう 分析 ぶんせき 法 ほう へ[11] と発展 はってん した。
単 たん 原子 げんし 分子 ぶんし として存在 そんざい し、単体 たんたい は常温 じょうおん 常 つね 圧 あつ で無色 むしょく 無臭 むしゅう の気体 きたい 。融点 ゆうてん −248.7 °C 、沸点 ふってん −246.0 °C (ただし融点 ゆうてん 沸点 ふってん とも異 こと なる実験 じっけん 値 ち あり)。密度 みつど は0.900 g/L(0 °C、1 atm)、液体 えきたい 時 とき は 1.21 g/mL( −246 °C )。空気 くうき 中 ちゅう に 18.2× 10−6 含 ふく まれ、貴 き ガスとしてはアルゴン に次 つ ぐ割合 わりあい で存在 そんざい する。
質量 しつりょう 磁化 じか 率 りつ −4.20× 10−9 m3 /kg 。水 みず に溶解 ようかい する体積 たいせき 比 ひ は0.012[12] 。
ネオンの三重 みえ 点 てん (約 やく 24.5561 K)はITS-90 の定義 ていぎ 定点 ていてん になっている[13] 。
ネオンはガスとしてのみならず、物質 ぶっしつ 全体 ぜんたい でももっとも反応 はんのう 性 せい に乏 とぼ しい元素 げんそ である[14] 。
ネオン放電 ほうでん 管 かん
ネオンのスペクトル。なお、可視 かし 光 こう 領域 りょういき は対応 たいおう する色 いろ で、紫外線 しがいせん (左 ひだり )と赤外線 せきがいせん (右 みぎ )領域 りょういき は白 しろ い線 せん で現 あらわ している
ネオンサイン
ネオンは貴 き ガスとしては2番目 ばんめ に軽 かる く、ガイスラー管 かん に詰 つ め放電 ほうでん すると橙 だいだい 赤色 あかいろ で光 ひか るため、ネオン管 かん の封入 ふうにゅう 気体 きたい として利用 りよう される[12] 。実際 じっさい は、アルゴン や水銀 すいぎん などの添加 てんか 物 ぶつ を用 もち いてさまざまな色 いろ を出 だ す。標準 ひょうじゅん 的 てき な電圧 でんあつ と電流 でんりゅう 下 か において、ネオンのプラズマ は貴 き ガス中 ちゅう でもっとも激 はげ しい光 ひかり を放 はな つ。人間 にんげん の目 め には一般 いっぱん に赤 あか - オレンジ色 しょく に見 み えるこの光 ひかり は、実際 じっさい には多 おお くの波長 はちょう からなっている。強 つよ い緑色 みどりいろ の光線 こうせん も含 ふく まれるが、これは分光 ぶんこう しないと判断 はんだん できない[15] 。ネオン管 かん は高 こう 電圧 でんあつ がかかると、管内 かんない に封入 ふうにゅう されているネオンがイオン化 いおんか するために、サージ電流 でんりゅう を素早 すばや く流 なが す性質 せいしつ があり、落雷 らくらい の電気 でんき をアース に流 なが し機器 きき 類 るい を守 まも る避雷塔 とう にも使 つか われる[5] 。
ネオンは窒素 ちっそ や酸素 さんそ よりも原子 げんし 番号 ばんごう が大 おお きく、原子 げんし 1つを比 くら べた場合 ばあい は、ネオンの方 ほう が重 おも い。しかし、ネオンは地球 ちきゅう の地表 ちひょう 付近 ふきん でも単 たん 原子 げんし 分子 ぶんし として存在 そんざい できるのに対 たい し、同 おな じ条件 じょうけん で窒素 ちっそ や酸素 さんそ は二 に 原子 げんし 分子 ぶんし として存在 そんざい する。気体 きたい は同 どう 一 いち 体積 たいせき 当 あ たりの分子 ぶんし 数 すう がおおよそ等 ひと しいので、ネオンは地球 ちきゅう の地表 ちひょう 付近 ふきん の空気 くうき の大 だい 部分 ぶぶん を占 し める窒素 ちっそ 分子 ぶんし や酸素 さんそ 分子 ぶんし よりも軽 かる く、このため、ネオンの気球 ききゅう はヘリウムと比 くら べればゆっくりであるが上昇 じょうしょう する[16] 。
液体 えきたい ネオンの気化 きか 熱 ねつ は1.8 kJ /mol であり、極 ごく 低温 ていおん 環境 かんきょう での冷媒 れいばい として非常 ひじょう に効率 こうりつ が高 たか く、経済 けいざい 的 てき である[5] [17] 。
同 おな じ質量 しつりょう で気体 きたい ・液体 えきたい の体積 たいせき 比率 ひりつ 差 さ が大 おお きいこともネオンの特徴 とくちょう である。通常 つうじょう の気体 きたい :液体 えきたい 比率 ひりつ が500–800倍 ばい なのに対 たい し、ネオンは1400倍 ばい にもなる。そのため貯蔵 ちょぞう 性 せい ・輸送 ゆそう 性 せい に優 すぐ れる。また、ネオンは窒素 ちっそ 分子 ぶんし に近 ちか い密度 みつど があるため、酸素 さんそ とネオンを混合 こんごう して作 つく った人工 じんこう 空気 くうき の中 なか では、ほとんど音速 おんそく が変化 へんか しない。よって、酸素 さんそ とヘリウムの混合 こんごう 気 き のような声 こえ の変化 へんか は起 お こさない。この特徴 とくちょう を生 い かして大 だい 深度 しんど 潜水 せんすい のテクニカルダイビング や宇宙 うちゅう で使用 しよう されることもある[5] 。
工業 こうぎょう 的 てき には、空気 くうき を液化 えきか ・分留 ぶんりゅう して作 つく る手段 しゅだん が唯一 ゆいいつ 事業 じぎょう 性 せい を持 も てる[5] 。半導体 はんどうたい 製造 せいぞう ではエキシマレーザー とフッ化 か クリプトンレーザーのバッファガスとして欠 か かせないが、工業 こうぎょう 用 よう のネオンはロシア で生産 せいさん され、ウクライナ で精製 せいせい されるネオンのシェアが高 たか かった為 ため 、2014年 ねん のクリミア危機 きき で価格 かかく が高騰 こうとう したことから、利用 りよう 量 りょう の削減 さくげん や再 さい 利用 りよう の技術 ぎじゅつ 開発 かいはつ が行 おこな われた[18] 。2016年 ねん にはアメリカのリンデ が増産 ぞうさん を発表 はっぴょう した[18] 。
このほかにも、ヘリウムとの混合 こんごう ガスはレーザー 光 ひかり の波長 はちょう を揃 そろ えることができる(ヘリウムネオンレーザー )[5] 。
20 Ne、21 Ne、22 Neの3種類 しゅるい の安定 あんてい 同位 どうい 体 たい の存在 そんざい が知 し られている。地球 ちきゅう では、これらのうち20 Neが約 やく 9割 わり を占 し めていて、22 Neが1割 わり 弱 じゃく 、21 Neはごくわずかである。
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