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ネオン - Wikipedia

ネオン

原子げんし番号ばんごう10の元素げんそ

ネオンえい: neon [ˈniːɒn]ふつ: néon)は、原子げんし番号ばんごう10の元素げんそである。元素げんそ記号きごうNe原子げんしりょうは20.180。

フッ素ふっそ ネオン ナトリウム
He

Ne

Ar
外見がいけん
無色むしょく気体きたいこう電圧でんあつをかけるとあか橙色だいだいいろ発光はっこうする。


ネオンのスペクトル
一般いっぱん特性とくせい
名称めいしょう, 記号きごう, 番号ばんごう ネオン, Ne, 10
分類ぶんるい ガス
ぞく, 周期しゅうき, ブロック 18, 2, p
原子げんしりょう 20.1797(6) 
電子でんし配置はいち 1s2 2s2 2p6
電子でんしから 2, 8(画像がぞう
物理ぶつり特性とくせい
そう 気体きたい
密度みつど (0 °C, 101.325 kPa)
0.9002 g/L
融点ゆうてん 24.56 K, −248.59 °C, −415.46 °F
沸点ふってん 27.07 K, −246.08 °C, −410.94 °F
三重みえてん 24.5561 K (−249 °C), 43[1][2] kPa
臨界りんかいてん 44.4 K, 2.76 MPa
融解ゆうかいねつ 0.335 kJ/mol
蒸発じょうはつねつ 1.71 kJ/mol
熱容量ねつようりょう (25 °C) 5R/2 = 20.786 J/(mol·K)
蒸気じょうきあつ
圧力あつりょく (Pa) 1 10 100 1 k 10 k 100 k
温度おんど (K) 12 13 15 18 21 27
原子げんし特性とくせい
酸化さんかすう 1[3], 0
イオン化いおんかエネルギー だい1: 2080.7 kJ/mol
だい2: 3952.3 kJ/mol
だい3: 6122 kJ/mol
共有きょうゆう結合けつごう半径はんけい 58 pm
ファンデルワールス半径はんけい 154 pm
その
結晶けっしょう構造こうぞう めんこころ立方りっぽう格子こうし構造こうぞう
磁性じせい はん磁性じせい[4]
ねつ伝導でんどうりつ (300 K) 49.1x10−3  W/(m⋅K)
おとつたわるはや (gas, 0 °C) 435 m/s
体積たいせき弾性だんせいりつ 654 GPa
CAS登録とうろく番号ばんごう 7440-01-9
おも同位どういたい
詳細しょうさいネオンの同位どういたい参照さんしょう
同位どういたい NA 半減はんげん DM DE (MeV) DP
20Ne 90.48% 中性子ちゅうせいし10安定あんてい
21Ne 0.27% 中性子ちゅうせいし11個いっこ安定あんてい
22Ne 9.25% 中性子ちゅうせいし12安定あんてい

名称めいしょう

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ギリシャの「あたらしい」を意味いみする「νέοςneos)」に由来ゆらいする[5]

 
ジョゼフ・ジョン・トムソン写真しゃしん乾板かんぱんみぎに2つのネオン同位どういたい(ネオン20、ネオン22)の衝突しょうとつこんられる

ネオンは1898ねんロンドンで、イギリスひと化学かがくしゃウィリアム・ラムゼーきょう(1852–1916ねん)とモーリス・トラバース(1872–1961ねん)が発見はっけんした[6]。この当時とうじ、すでにヘリウムアルゴン存在そんざいられていたこと、さらに周期しゅうきりつられていたことから、その存在そんざい確実視かくじつしされていたが、この発見はっけんによって周期しゅうきひょう空欄くうらんが1つまった。発見はっけんいたった手法しゅほう液化えきか空気くうき分留ぶんりゅうである。ラムゼーが、液体えきたいじょうになるまで冷却れいきゃくした大気たいきあたためて気化きかしたガスをそれぞれ分留ぶんりゅうする実験じっけんおこなっているとき、大気たいき主成分しゅせいぶん窒素ちっそ酸素さんそアルゴン)をのぞいたあとにのこ物質ぶっしつからクリプトンキセノンネオンをそれぞれつけた[7]

1910ねん12月、フランス技術ぎじゅつしゃジョルジュ・クロードがネオンガスを封入ふうにゅうしたかん放電ほうでんすることで、あらたな照明しょうめい器具きぐ発明はつめいした。パリ政府せいふ庁舎ちょうしゃグラン・パレ公開こうかい、1912ねんにはかれ仲間なかまたちとこの放電ほうでんかんネオンかんとして販売はんばいはじめ、理髪りはつてん最初さいしょ広告こうこくとして使用しようされた。1915ねん特許とっきょ取得しゅとくし「クロードネオンしゃ」を設立せつりつ[8]。1923ねんかれらがネオンかんアメリカ紹介しょうかいすると、早速さっそくロサンゼルスパッカード自動車じどうしゃ販売はんばい代理だいりてんに2つのおおきなネオンサインそなえられた。赤々あかあかかがや人目ひとめくネオンの広告こうこくは、他社たしゃとの差別さべつ鮮明せんめいうつした[9]

1913ねんジョゼフ・ジョン・トムソンが、陽極線ようきょくせん成分せいぶん分析ぶんせきおこなっていたさい磁界じかい電界でんかいとおながれをみちびし、写真しゃしん乾板かんぱんじょううつんだ軌跡きせきから偏向へんこう計測けいそくして、ネオン原子げんし基本きほんてき性質せいしつ解明かいめいはじまった。写真しゃしんには2ほんひかり軌跡きせきつかり、これはことなる放物線ほうぶつせんえがくネオンの偏向へんこうがあることをしめしていた。トムソンは、これがおなじネオン元素げんそ分子ぶんしりょうことなるものが2種類しゅるいあるためにこった現象げんしょう結論けつろんづけた[10]。これは最初さいしょ安定あんていてき同位どういたい発見はっけんであり、その手法しゅほう改良かいりょうされ現在げんざい質量しつりょう分析ぶんせきほう[11]発展はってんした。

性質せいしつ用途ようと

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たん原子げんし分子ぶんしとして存在そんざいし、単体たんたい常温じょうおんつねあつ無色むしょく無臭むしゅう気体きたい融点ゆうてん−248.7 °C沸点ふってん−246.0 °C(ただし融点ゆうてん沸点ふってんともことなる実験じっけんあり)。密度みつどは0.900 g/L(0 °C、1 atm)、液体えきたいときは 1.21 g/mL(−246 °C)。空気くうきちゅう18.2×10−6ふくまれ、ガスとしてはアルゴン割合わりあい存在そんざいする。

質量しつりょう磁化じかりつ−4.20×10−9 m3/kgみず溶解ようかいする体積たいせきは0.012[12]

ネオンの三重みえてんやく24.5561 K)はITS-90定義ていぎ定点ていてんになっている[13]

ネオンはガスとしてのみならず、物質ぶっしつ全体ぜんたいでももっとも反応はんのうせいとぼしい元素げんそである[14]

 
ネオン放電ほうでんかん
 
ネオンのスペクトル。なお、可視かしこう領域りょういき対応たいおうするいろで、紫外線しがいせんひだり)と赤外線せきがいせんみぎ領域りょういきしろせんあらわしている
 
ネオンサイン

ネオンはガスとしては2番目ばんめかるく、ガイスラーかん放電ほうでんするとだいだい赤色あかいろひかるため、ネオンかん封入ふうにゅう気体きたいとして利用りようされる[12]実際じっさいは、アルゴン水銀すいぎんなどの添加てんかぶつもちいてさまざまないろす。標準ひょうじゅんてき電圧でんあつ電流でんりゅうにおいて、ネオンのプラズマガスちゅうでもっともはげしいひかりはなつ。人間にんげんには一般いっぱんあか - オレンジしょくえるこのひかりは、実際じっさいにはおおくの波長はちょうからなっている。つよ緑色みどりいろ光線こうせんふくまれるが、これは分光ぶんこうしないと判断はんだんできない[15]。ネオンかんこう電圧でんあつがかかると、管内かんない封入ふうにゅうされているネオンがイオン化いおんかするために、サージ電流でんりゅう素早すばやなが性質せいしつがあり、落雷らくらい電気でんきアースなが機器ききるいまもる避雷とうにも使つかわれる[5]

ネオンは窒素ちっそ酸素さんそよりも原子げんし番号ばんごうおおきく、原子げんし1つをくらべた場合ばあいは、ネオンのほうおもい。しかし、ネオンは地球ちきゅう地表ちひょう付近ふきんでもたん原子げんし分子ぶんしとして存在そんざいできるのにたいし、おな条件じょうけん窒素ちっそ酸素さんそ原子げんし分子ぶんしとして存在そんざいする。気体きたいどういち体積たいせきたりの分子ぶんしすうがおおよそひとしいので、ネオンは地球ちきゅう地表ちひょう付近ふきん空気くうきだい部分ぶぶんめる窒素ちっそ分子ぶんし酸素さんそ分子ぶんしよりもかるく、このため、ネオンの気球ききゅうはヘリウムとくらべればゆっくりであるが上昇じょうしょうする[16]

液体えきたいネオンの気化きかねつは1.8 kJ/mol であり、ごく低温ていおん環境かんきょうでの冷媒れいばいとして非常ひじょう効率こうりつたかく、経済けいざいてきである[5][17]

おな質量しつりょう気体きたい液体えきたい体積たいせき比率ひりつおおきいこともネオンの特徴とくちょうである。通常つうじょう気体きたい液体えきたい比率ひりつが500–800ばいなのにたいし、ネオンは1400ばいにもなる。そのため貯蔵ちょぞうせい輸送ゆそうせいすぐれる。また、ネオンは窒素ちっそ分子ぶんしちか密度みつどがあるため、酸素さんそとネオンを混合こんごうしてつくった人工じんこう空気くうきなかでは、ほとんど音速おんそく変化へんかしない。よって、酸素さんそとヘリウムの混合こんごうのようなこえ変化へんかこさない。この特徴とくちょうかしてだい深度しんど潜水せんすいテクニカルダイビング宇宙うちゅう使用しようされることもある[5]

工業こうぎょうてきには、空気くうき液化えきか分留ぶんりゅうしてつく手段しゅだん唯一ゆいいつ事業じぎょうせいてる[5]半導体はんどうたい製造せいぞうではエキシマレーザーとフックリプトンレーザーのバッファガスとしてかせないが、工業こうぎょうようのネオンはロシア生産せいさんされ、ウクライナ精製せいせいされるネオンのシェアがたかかったため2014ねんのクリミア危機きき価格かかく高騰こうとうしたことから、利用りようりょう削減さくげんさい利用りよう技術ぎじゅつ開発かいはつおこなわれた[18]。2016ねんにはアメリカのリンデ増産ぞうさん発表はっぴょうした[18]

このほかにも、ヘリウムとの混合こんごうガスはレーザーひかり波長はちょうそろえることができる(ヘリウムネオンレーザー[5]

同位どういたい

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20Ne、21Ne、22Neの3種類しゅるい安定あんてい同位どういたい存在そんざいられている。地球ちきゅうでは、これらのうち20Neがやく9わりめていて、22Neが1わりじゃく21Neはごくわずかである。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Preston-Thomas, H. (1990). “The International Temperature Scale of 1990 (ITS-90)”. Metrologia 27: 3–10. http://www.bipm.org/en/publications/its-90.html. 
  2. ^ “Section 4, Properties of the Elements and Inorganic Compounds; Melting, boiling, triple, and critical temperatures of the elements”. CRC Handbook of Chemistry and Physics (85th edition ed.). Boca Raton, Florida: CRC Press. (2005) 
  3. ^ HNe”. NIST Chemistry WebBook. National Institute of Standards and Technology. 2013ねん1がつ23にち閲覧えつらん
  4. ^ Magnetic susceptibility of the elements and inorganic compounds Archived 2012ねん1がつ12にち, at the Wayback Machine., in Handbook of Chemistry and Physics 81st edition, CRC press.
  5. ^ a b c d e f 「【ネオン】」『元素げんそ111のしん知識ちしき』(だいろくさつ講談社こうだんしゃ、1998ねん初版しょはん1997ねん)、72–74ぺーじISBN 4-06-257192-7 
  6. ^ ウィリアム・ラムゼー、モーリス・W・トラバース (1898ねん). “On the Companions of Argon”. Proceedings of the Royal Society of London 63: 437–440. doi:10.1098/rspl.1898.0057. 
  7. ^ Neon: History” (英語えいご). Softciências. 2007ねん2がつ27にち閲覧えつらん
  8. ^ 小野おの博之ひろゆき. “ネオン余話よわ”. 社団しゃだん法人ほうじん全日本ぜんにほんネオン協会きょうかい. 2010ねん4がつ17にち閲覧えつらん
  9. ^ Mangum, Aja (2007ねん12月8にち). “Neon: A Brief History”. New York Magazine. http://nymag.com/shopping/features/41814/ 2008ねん5がつ20日はつか閲覧えつらん 
  10. ^ 1-3:中性子ちゅうせいし発見はっけん”. 九州大学きゅうしゅうだいがく粒子りゅうし物理ぶつりがく講座こうざ. 2010ねん4がつ17にち閲覧えつらん
  11. ^ かく燃料ねんりょうサイクル工学こうがく実験じっけん教育きょういくテキスト” (PDF). 財団ざいだん法人ほうじんエネルギー総合そうごう工学こうがく研究所けんきゅうじょ. pp. 81. 2010ねん4がつ17にち閲覧えつらん
  12. ^ a b 「【ネオン】」『岩波いわなみ理化学りかがく辞典じてん』(だいよんはんだいきゅうさつ岩波書店いわなみしょてん、1994ねん、948ぺーじISBN 4-00-080015-9 
  13. ^ The Internet resource for the International Temperature Scale of 1990”. 2009ねん7がつ7にち閲覧えつらん
  14. ^ Lewars, Errol G. (2008ねん). Modelling Marvels. Springer. pp. 70-71. ISBN 1402069723. https://books.google.co.jp/books?id=IoFzgBSSCwEC&pg=PA70&redir_esc=y&hl=ja 
  15. ^ Plasma” (英語えいご). 2007ねん3がつ5にち閲覧えつらん
  16. ^ Gallagher, R.; Ingram, P. (2001ねん). Chemistry for Higher Tier. University Press. ISBN 9780199148172. https://books.google.co.jp/books?id=SJtWSy69eVsC&pg=PA96&redir_esc=y&hl=ja 
  17. ^ NASSMC: News Bulletin” (2005ねん12月30にち). 2007ねん3がつ5にち閲覧えつらん
  18. ^ a b 株式会社かぶしきがいしゃインプレス (2022ねん2がつ28にち). “福田ふくだあきらのセミコン業界ぎょうかい最前線さいぜんせん半導体はんどうたい不足ふそくかぜに、2ねん連続れんぞく過去かこ最大さいだい更新こうしんする半導体はんどうたい市場いちば”. PC Watch. 2022ねん3がつ15にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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