(Translated by https://www.hiragana.jp/)
水 - Wikipedia

みず

化学かがくしきH₂Oであらわされる、水素すいそ酸素さんそ化合かごうぶつ

みずみずえい: water言語げんご呼称こしょう言語げんごでの呼称こしょう」のこう参照さんしょう)とは、化学かがくしき H2Oあらわされる、水素すいそ酸素さんそ化合かごうぶつである[1]日本語にほんごにおいてはとく対比たいひしてもちいられ[1]液体えきたいではあるが温度おんどひくく、かつ凝固ぎょうこしてこおりにはなっていないものう。また、液状えきじょうもの全般ぜんぱん[1][ちゅう 1]

水面すいめんからかえっていく水滴すいてき
海水かいすい

この項目こうもくでは、みずかんする文化ぶんかてき事項じこうしゅとして解説かいせつする。みず化学かがくてき物理ぶつりがくてき事項じこうは「みず性質せいしつ」を参照さんしょう

概要がいよう

編集へんしゅう

みずは、ヒトひと)をふくおおくの生命せいめいたいにとって不可欠ふかけつ物質ぶっしつであり、地球ちきゅう生命せいめい発生はっせい存続そんぞくしうる惑星わくせい位置いちハビタブルゾーンは、惑星わくせい表面ひょうめん液体えきたいみず存在そんざいしうる温度おんどたもてる恒星こうせいからの距離きょりおも基準きじゅんとなる(→#生物せいぶつみず)。ひとは、尿にょうあせとして、成人せいじん男性だんせいで1にち4リットルあまり、成人せいじん女性じょせいで1にち3リットルのみず体外たいがい排出はいしゅつし、これは体内たいないにあるみずの10%程度ていど相当そうとうし、ものふくまれる飲料いんりょうすいを20だい男性だんせいで1にち1.8リットル、20だい女性じょせいで1.4リットル必要ひつようがある[2]みず様々さまざま産業さんぎょう活動かつどうにも不可欠ふかけつである。

古代こだいギリシャではタレスが「万物ばんぶつアルケーみず」とし、エンペドクレスよんだい元素げんその1つで基本きほんてき元素げんそとしてみずげた。古代こだいインドでも五大ごだいの1つとされ、中国ちゅうごくぎょうせつでも基本きほん要素ようそひとつとなされている。18世紀せいき後半こうはんまで、よう東西とうざいわず人々ひとびとはそうした理解りかいをしていた。それがわったのは、19世紀せいき前半ぜんはんに、ドルトン、ゲイリュサック、フンボルトらの実験じっけんおこなわれ、アボガドロによって分子ぶんしせつとなえられたことによって、 あらわすことができる水素すいそ酸素さんそ化合かごうぶつ理解りかいされるようになった。(→#みず知識ちしき歴史れきし概略がいりゃく

常温じょうおんつねあつでは液体えきたいで、透明とうめいではあるが、ごくわずかにあお緑色みどりいろていしている(ただし、重水じゅうすい無色むしょくである)。また無味むみ無臭むしゅうである。日常にちじょう生活せいかつひともちいるコップ1はい風呂ふろおけ程度ていどりょうみずにはほとんどしょくいので、みずいろは「無色むしょく透明とうめい」と形容けいようされる。詩的してき表現ひょうげんでは、なにかのいろまっていないことの象徴しょうちょうとしてみずもちいられることがある[ちゅう 2]。しかし、うみみずうみダムおおきなかわなど、あつそうして存在そんざいする大量たいりょうみずいろ青色あおいろえる。このような状態じょうたいえるみずいろを、日本語にほんごではそのまま水色みずいろんでいる。(→みずいろ

化学かがく発展はってんしてからは化学かがくしき  あらわされ、「水素すいそ原子げんし酸素さんそ原子げんし共有きょうゆう結合けつごうむすびついている」と理解りかいされている。(→みず性質せいしつ

またみずは、かつて1 kgや1 cal単位たんい基準きじゅんとしてもちいられていた。(→みず性質せいしつ

前述ぜんじゅつのように、みずは、すべての既知きち生命せいめいたいにとって不可欠ふかけつ物質ぶっしつで、その身体しんたい構成こうせいする物質ぶっしつもっとおおくをめている。細胞さいぼうかく細胞さいぼうしつもっとおお物質ぶっしつでもあり、細胞さいぼうない物質ぶっしつ代謝たいしゃするさい媒体ばいたいとしても利用りようされている。通常つうじょう質量しつりょうにして生物せいぶつたいの70–80 %がみずによってめられている。人体じんたいも60–70 %程度ていどみずである。(→#生物せいぶつみず

地球ちきゅう表面ひょうめんとく海洋かいよう豊富ほうふ存在そんざいする。みず人類じんるいにとって身近みぢかであって、地球ちきゅうじょう生物せいぶつ生存せいぞん必要ひつよう物質ぶっしつである。しかし宇宙うちゅう全体ぜんたいると、じつ液体えきたい状態じょうたい存在そんざいしているりょうすくない。(→#みず分布ぶんぷ

現代げんだい人類じんるいみず使用しようりょうやく7わり農業のうぎょう用水ようすいである。現代げんだい東京とうきょう家庭かていでのみず使用しようりょうおおじゅんならべると、トイレ風呂ふろ炊事すいじである。(→#みず使用しようりょう

以下いかでは、みずかんする人類じんるい知識ちしき歴史れきし概略がいりゃく解説かいせつし、つづいて現代げんだい物理ぶつりがくでのみず理解りかいなどを解説かいせつする。

呼称こしょう

編集へんしゅう

日常にちじょうてき日本語にほんごでは、おな液体えきたいみずでも温度おんどによって名称めいしょうえてける。低温ていおん常温じょうおんではみずぶが、温度おんどたかくなると[ちゅう 3]べつ漢字かんじてる。しかし、英語えいご(water)やフランス語ふらんすご(eau)やスペイン(agua)などでは、液体えきたいであれば温度おんどによらず名称めいしょう不変ふへんである[ちゅう 4]

日本語にほんごでは、などからのぼった水蒸気すいじょうき凝結ぎょうけつして空気くうきちゅうこまかなつぶとして存在そんざいするみずは、湯気ゆげう。

用途ようと性質せいしつ存在そんざいする場所ばしょなどによるけもおこなわれている。たとえば、みずなかでも、とく飲用いんようきょうせるものを飲料いんりょうすいう。うみにある塩分えんぶんなどをおおふくみず海水かいすい地下ちか存在そんざいするみず地下水ちかすいび、地下水ちかすいみボトルにめた製品せいひんボトルウォーターぶ。また、用途ようとによって、農業のうぎょう用水ようすい工業こうぎょう用水ようすいなどの呼称こしょうもある。機能きのう水質すいしつもとづく、上水じょうすいちゅうみず下水げすいという呼称こしょうもある。

言語げんごでの呼称こしょう

編集へんしゅう

古代こだいギリシアでは「δでるたωおめがρろー」。発音はつおん時代じだいとも変遷へんせんしており、紀元前きげんぜん5世紀せいきIPA: /hý.dɔːr/「ヒュドール」、紀元前きげんぜん1世紀せいきは IPA: /ˈ(h)y.dor/「ヒュドル」あるいは「ユドル」であった。

なお、きん現代げんだい学問がくもんみず関連かんれん事物じぶつについての造語ぞうごをする場合ばあい古代こだいギリシアの「δでるたωおめがρろー」を接頭せっとうとしてもちいるために(若干じゃっかん変形へんけいさせて)「hydro-[ちゅう 5]使用しようされることがある(れい: えい: hydrogen水素すいそ」〈「みずむもの」「みずのもと」といった意味いみ造語ぞうご〉、ハイドロプレーニング現象げんしょう)。この学術がくじゅつてき接頭せっとう発音はつおんは、言語げんごごとにことなり、英語えいごでは/haɪdrə/「ハイドロ」、フランス語ふらんすごでは/idʁɔ/「イドロ」である。

ラテン語らてんごではaquaアクア」である。これも伝統でんとうてき学術がくじゅつ用語ようごに、さらに学術がくじゅつてき分野ぶんや商用しょうようふくむ)でも造語ぞうごもちいられ、様々さまざま言語げんごで「aqua-」「アクア~」といったかたり表現ひょうげん多数たすう存在そんざいする。

その言語げんごでは

  • 英語えいご : water/ˈwɔːtə(r)/、ウォーター)
  • ドイツ : Wasser/ˈvasɐ/、ヴァッサー)
  • フランス語ふらんすご : eau/o/、オ)
  • イタリア : acqua/ˈakkwa/、アックア)
  • スペイン : agua/ˈaɣwa/、アグア)
  • ポルトガル : águaポルトガル /ˈaɣwɐ/ブラジル /ˈagwə/、アグア)
  • ロシア : вода/vaˈda/、ヴァダ)
  • ギリシャ : νερό/nɛ.'ɾɔ/、ネロ)
  • ヒンディー : पानी(パーニー)
  • ペルシャ : آب(アーブ)
  • アラビア : ماء(マーイ)
  • ヘブライ : מים(マイム)
  • 中国ちゅうごく : みず拼音: shuǐ、シュイ)
  • チベット : ཆུ (チュウ)
  • タイ : น้ำ/náam/、ナーム)
  • マオリ : wai
  • 韓国かんこく : /muɭ/、ムル) / 수[みず]/sʰu/、ス)
  • モンゴル : ᠤᠰᠦус、オス)
  • トルコ : su(ス)
  • アイヌ : ワッカwakka

である。

自然しぜん科学かがくでの

編集へんしゅう

みず概念がいねん自然しぜん科学かがくてき拡張かくちょうして、化学かがくしき 表現ひょうげんできる物質ぶっしつ広義こうぎの「みず」とすれば、固体こたいこおり液体えきたいみず気体きたい水蒸気すいじょうき、ということになる。

IUPAC系統けいとうめいオキシダン (oxidane) だが、ほとんどもちいられない。また、一酸化いっさんか水素すいそ一酸化いっさんか水素すいそ酸化さんか水素すいそみずさん水酸化すいさんか水素すいそといったかたをすることも可能かのうである。(→水素すいそ化物ばけもの

不純物ふじゅんぶつをほとんどふくまないみずを「じゅんみず」とぶ(たとえば、加熱かねつしてできた水蒸気すいじょうき凝結ぎょうけつした蒸留じょうりゅうすいなど)。とく純度じゅんどたかみずは「ちょうじゅんみず」という呼称こしょうもある。

みず化学かがくしき  水素すいそが2つとも同位どういたい重水素じゅうすいそであるみず重水じゅうすいび、化学かがくしき  あらわす。水素すいその1つが重水素じゅうすいそであり、もう1つがけい水素すいそであるみずは、はん重水じゅうすいび、 あらわす。水素すいその1つがさん重水素じゅうすいそ(トリチウム)であるみずは、トリチウムすい(またはさん重水素じゅうすいそすい)とび、 あらわす。重水じゅうすいはん重水じゅうすいとトリチウムすいあわせ、さらに酸素さんそ同位どういたい水素すいそ化合かごうぶつであるみずふくめて、たん重水じゅうすいぶこともある。この広義こうぎ重水じゅうすいたいして、普通ふつうみずは、軽水けいすいばれる。

軽水けいすい重水じゅうすい電子でんし状態じょうたいおなじなので、化学かがくてき性質せいしつひとしい。しかし、質量しつりょうが2ばい、3ばいとなる水素すいそ同位どういたい化合かごうぶつであるみずでは、結合けつごう解離かいり反応はんのう速度そくどなどの物性ぶっせい顕著けんちょあらわれる。(→速度そくどろんてき同位どういたい効果こうか

気象きしょう用語ようご

編集へんしゅう

気象きしょうかんする用語ようごでは、みずつぶおおきさによって、きり(もや)とぶ(これらを総称そうしょうした一般いっぱん用語ようごとしてかすみもある)。それらが上空じょうくうにある状態じょうたいでは、くもぶ。くもから凝縮ぎょうしゅくしておおきめの水滴すいてきとなって地上ちじょうちてくるみずあめぶ。上空じょうくう水蒸気すいじょうき凝固ぎょうこして結晶けっしょうとなったこおりゆきばれ、一体いったい結晶けっしょうになっていないつぶは、おおきさによって(あられ)や(ひょう)とぶ。それらがみず混合こんごうした状態じょうたいになっていれば、(みぞれ)とばれる。

みず知識ちしき歴史れきし概略がいりゃく

編集へんしゅう

古代こだいから18世紀せいきまで

編集へんしゅう

古代こだいギリシアの哲学てつがくしゃ一般いっぱん最初さいしょ哲学てつがくしゃとされる、紀元前きげんぜん6世紀せいきころ人物じんぶつミレトスタレスは、万物ばんぶつ根源こんげんアルケー探求たんきゅうするなかで「アルケーはみずである」とべたとつたえられている[3][ちゅう 6]

おなじく古代こだいギリシアエンペドクレスは、空気くうきみず古代こだいギリシア: πぱいυうぷしろんρろー, αήρ, ὕδでるたωおめがρろー, γがんまηいーた[ちゅう 7]ギリシア: φωτιά, αέρας, νερό, γがんまηいーた: ignis, aer, aqua, terra)を4つのリゾーマタ(古代こだいギリシア: ιいおたζぜーたὤματα、「物質ぶっしつ」の今日きょう元素げんそのこと)とし、それの集合しゅうごう離散りさんによって自然しぜんかいのできごとを説明せつめいする、いわゆるよん元素げんそせつとなえた[3]。これはアリストテレス継承けいしょうされた。

古代こだいインドでも、みずふう およびこれにそらくわえた五大ごだい思想しそうとなえられていた[3]。また中国ちゅうごくにおいても、万物ばんぶつきむみずの5種類しゅるい元素げんそからるとするぎょうせつとなえられた。

つまり、よう東西とうざいわず、みずは、基本きほんてきな4~5しゅ元素げんその1つだとかんがえられていた。こうしたみず理解りかいは、2000ねん以上いじょう、18世紀せいき後半こうはん時点じてんでも、ごく一般いっぱんてきであった。

こうした理解りかい変化へんかしょうはじめたのは18世紀せいきまつである[3]人類じんるい歴史れきしなかても、ごく最近さいきんのことである。18世紀せいきまつに、キャベンディッシュが、金属きんぞくさんとが反応はんのうしたときに、かるなぞ気体きたい現在げんざいでは水素すいそばれているもの)が発生はっせいし、それは簡単かんたんえてみずになることを発見はっけんした[3]。また、ラボアジエが、この燃焼ねんしょう化合かごうする相手あいて空気くうきちゅう酸素さんそであることをたしかめた[3]。これによって「みず元素げんそではなかった」というかんがかた登場とうじょうした。ただし、ラボアジエの実験じっけんがあっても、人々ひとびとかんがかたただちに変化へんかしたわけではない。人々ひとびと学者がくしゃらもおおむねよん元素げんそかんがかたをそれまでどおりもちいていた、と科学かがく史家しかたちは指摘してきしている。18世紀せいきまでの文献ぶんけんあらわれる「aqua」「water」「みず」などは、基本きほん元素げんそとしてのみずであると理解りかいするのが妥当だとうである。

19世紀せいき

編集へんしゅう

その、19世紀せいき初頭しょとう、イギリスのドルトン実験じっけん結果けっか水素すいそ酸素さんそ重量じゅうりょうで1:7で化合かごうするとし(のちただしくは1:8と判明はんめい)、1805ねんにはゲイ・リュサックフンボルトなどがそれぞれ、体積たいせきで2:1で化合かごうすることを見出みいだした[3]。さらに1811ねんに、アボガドロ分子ぶんしせつとなえ、その枠組わくぐみのなかみず分子ぶんし さだめられた。この19世紀せいき初頭しょとうに、西欧せいおう学者がくしゃたちのみず理解りかいわったと科学かがく史家しからによって指摘してきされており、どう世紀せいきとおして一般いっぱん人々ひとびと理解りかい変化へんかしていったとかんがえてよい[ちゅう 8]

分子ぶんしせつ成立せいりつともにあったというてんなどで、みず近代きんだい化学かがく発展はってんのきっかけをつくった物質ぶっしつである[3]。この時期じきは、おおむねphilosophia(哲学てつがく)を母胎ぼたいとしてscientia(科学かがく)がまれつつあった時期じき一致いっちしている。こうしたあたらしい独特どくとく哲学てつがくおこなひとかず徐々じょじょえ、かれらが自分じぶんたちのことを哲学てつがくしゃ区別くべつするためにscientist(科学かがくしゃ)という用語ようごヒューウェルによって1833ねん造語ぞうごされ その使用しよう提唱ていしょうされた。

みずこおり近代きんだい以降いこう主要しゅよう研究けんきゅう年譜ねんぷ

編集へんしゅう

みず性質せいしつ

編集へんしゅう

みず分布ぶんぷ

編集へんしゅう
 
地球ちきゅう表面ひょうめんやく71 %は海水かいすいおおわれている。(→うみ
 
地球ちきゅう表面ひょうめん淡水たんすいのほとんどは氷河ひょうがこおりゆか氷山ひょうざんとして存在そんざいする。
 
みず循環じゅんかんのモデル

地球ちきゅうじょうみず

編集へんしゅう

地球ちきゅうじょうにはおおくのみず存在そんざいしており、生物せいぶつ生育せいいくねつ循環じゅんかん重要じゅうよう役割やくわりっている。このみず存在そんざいは、気象きしょうがく海洋かいようがくなどの地球ちきゅう科学かがく生態せいたいがくにおけるおおきな要因よういんひとつである。水蒸気すいじょうき最大さいだい温室おんしつ効果こうかガスでもある[5]

地球ちきゅうみず総量そうりょうやく14おく km3(= 1.4×1018 m3)とわれ、その97 %が海水かいすいとして存在そんざいし、淡水たんすいのこり3 %にぎない。地球ちきゅう表面ひょうめん淡水たんすいのほとんどは氷河ひょうが氷山ひょうざんとして、固体こたいかたち存在そんざいしている。こおり状態じょうたい淡水たんすいだい部分ぶぶん南極大陸なんきょくたいりくグリーンランドめている[6]

位置いち 淡水たんすいみずうみ 河川かせんみず 地下水ちかすいあさ 地下水ちかすいふか 土壌どじょうみず 氷河ひょうが 大気たいき 塩水えんすいみずうみ 海洋かいよう
存在そんざい (%) 0.009 0.0001 0.31 0.31 0.005 2.15 0.001 0.008 97.2

このなかで、淡水たんすいみずうみ河川かせんすい地下水ちかすいあさが、人間にんげん直接ちょくせつ利用りよう可能かのうみずで、総量そうりょうの1 %未満みまんである。飲料いんりょうすいとして利用りようできるみずはさらにすくない。海水かいすい天然てんねんおよび人工じんこうすべてのよごれをわせだか濃度のうど汚染おせんされているため、みず資源しげんとしての利用りよう価値かちはほとんどない[6]

地球ちきゅうにおける継続けいぞくてきみず循環じゅんかんみず循環じゅんかんばれている。太陽たいようからあたえられたエネルギーを主因しゅいんとして、かたしょうえきしょうしょうあいだ相互そうご状態じょうたい変化へんかさせながら、蒸発じょうはつ降水こうすい地表ちひょうりゅう土壌どじょうへの浸透しんとうなどをて、地球ちきゅうじょうえず循環じゅんかんしている。また、この循環じゅんかん過程かてい地球ちきゅう表面ひょうめんねつ移動いどう浸食しんしょく運搬うんぱん堆積たいせきなどの地形ちけい形成けいせいする作用さようおこなわれる。

太陽系たいようけいみず

編集へんしゅう
  • 太陽系たいようけい惑星わくせいおよび衛星えいせい表面ひょうめん存在そんざいするみずのほとんどはこおりまたは水蒸気すいじょうきであり、地球ちきゅう以外いがい液体えきたいみず存在そんざいする場所ばしょすくない。そうからわかるように、液体えきたいみず存在そんざいできる温度おんど範囲はんいこうあつほどひろくなる。ぎゃくに、火星かせいのように気圧きあつひく環境かんきょうでは、液体えきたいみず安定あんてい存在そんざいすることはできない。しかし、かつての火星かせい表面ひょうめんには液体えきたいみずがあったことが判明はんめいしている。
  • 木星もくせい衛星えいせいの1つであるエウロパには、内部ないぶ液体えきたいみずからなるうみ存在そんざいするのではないかとかんがえられている。

太陽系たいようけいがいみず

編集へんしゅう

太陽系たいようけいがい惑星わくせいには、大量たいりょう液体えきたいみず保持ほじしている可能かのうせいのある惑星わくせい複数ふくすうつかっている。たとえばケプラー22bグリーゼ581dHD 85512 bといった惑星わくせいは、地球ちきゅうおなじような環境かんきょうみずうみつと推定すいていされている。しかし、GJ 1214 bかに55ばんぼしeといった惑星わくせいは、地球ちきゅうことなり、高温こうおんだかあつちょう臨界りんかいすいうみつとされている。

2011ねんクエーサーAPM 08279+5255降着こうちゃく円盤えんばんに、地球ちきゅうみずの140ちょうばいという膨大ぼうだいりょうみず発見はっけんされた。APM 08279+5255は、宇宙うちゅう誕生たんじょうから16おくねん時代じだい存在そんざいする天体てんたいであり、このことは、すでにこの時代じだい大量たいりょうみず存在そんざいしていたことしめしている[7]

2012ねんにはハッブル宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょう観測かんそくにより、GJ 1214 b高温こうおん水蒸気すいじょうき大気たいきつことが確認かくにんされた。大気たいきしたにはちょう臨界りんかいすいうみ存在そんざいする可能かのうせいがある[8]

生物せいぶつみず

編集へんしゅう
 
みず生命せいめい維持いじかせない
 
様々さまざま生命せいめい宿やどサンゴ礁さんごしょう
 
極地きょくち風景ふうけい

生物せいぶつたい構成こうせいする物質ぶっしつで、もっとおおくをめる物質ぶっしつみずである。かく細胞さいぼうしつもっとおお物質ぶっしつでもあり、細胞さいぼうない物質ぶっしつ代謝たいしゃするさい媒体ばいたいとしても利用りようされている。通常つうじょう質量しつりょうにして生物せいぶつたいの70 % – 80 %がみずによってめられており、そのうちわずかすうパーセントでも不足ふそくすると生命せいめい活動かつどう不都合ふつごうあらわれる場合ばあいがある。

きている細胞さいぼうには(理想りそうてき溶媒ようばいである)みずおおふくまれており、生命せいめい現象げんしょうつかさど化学かがく反応はんのう提供ていきょうし、またみずそのものが種々しゅじゅ化学かがく反応はんのう基質きしつとなっている。体液たいえきとして、体内たいない物質ぶっしつ輸送ゆそう分泌ぶんぴつぶつ粘膜ねんまくもちいられる。また高分子こうぶんしくさりゲルすることでからだささえる構造こうぞうからだレンズにも利用りようされている。クマムシのようにきびしい環境かんきょうにもえられる生物せいぶつは、体内たいない水分すいぶん放出ほうしゅつし、活性かっせい状態じょうたいつくすことができる。

なお、「生物せいぶつ太古たいこうみ誕生たんじょうした」とされることがある。生物せいぶつ化学かがく組成そせい海水かいすい組成そせいていることもそのせつ根拠こんきょの1つである。地上ちじょう生物せいぶつもその先祖せんぞをたどれば水中すいちゅう生活せいかつおくっていた、とされる。

陸上りくじょうのように、つねみずかっていない環境かんきょうでは、生物せいぶつにとってもっと重要じゅうよう問題もんだいの1つがみず確保かくほである。陸上りくじょう脊椎動物せきついどうぶつでは、周囲しゅうい湿しめっていなければ活動かつどうできないたねおおい。陸上りくじょう生物せいぶつられる進化しんかてき形態けいたいおおくが、みず確保かくほ自由じゆうすいかぎられた環境かんきょうへの適応てきおうである。クマムシの場合ばあいも、頻繁ひんぱん乾燥かんそうにさらされる環境かんきょうへの適応てきおうとして、休眠きゅうみん能力のうりょく発達はったつしたとかんがえられている。

地球ちきゅうがい生命せいめい探査たんさにおいても、液体えきたいみずほし表面ひょうめんまたは内部ないぶ安定あんていして存在そんざいしているほしであること生物せいぶつ存在そんざいする条件じょうけんひとつとしてかんがえられている。みず以外いがい溶媒ようばいとした生物せいぶつ理論りろんじょうかんがえられるが、ひくぎる沸点ふってん存在そんざいりょう不足ふそくなどなんらかの問題もんだいっており、みずより生物せいぶつ発生はっせいしにくいだろうとかんがえられている(わりの生化学せいかがく)。

人間にんげんみず

編集へんしゅう

人体じんたいみず

編集へんしゅう

人体じんたいにおける水分すいぶんりょう年齢ねんれい性別せいべつによってことなり、新生児しんせいじやく80 %、成人せいじんで60 %前後ぜんご高齢こうれいしゃは50 %たいとなる。また女性じょせい男性だんせいくらべて体内たいない脂肪しぼうぶんおお関係かんけい水分すいぶんりょう同年代どうねんだい男性だんせいくらべてややすくない[9]。そして「その人体じんたいみずのうち45 %までが、細胞さいぼううちふうめられたみずで、のこり15 %が血液けつえきリンパ液りんぱえきなど細胞さいぼうそとにあるみず[10]」とわれている。この細胞さいぼうないえき細胞さいぼうがいえき両者りょうしゃ総称そうしょうして体液たいえきぶ。この体液たいえき生命せいめい維持いじ活動かつどう重要じゅうよう役割やくわりたす。

なおニッスイによると、1にち排出はいしゅつされるみずりょう体重たいじゅう60 kgの成人せいじん男性だんせいで2500 mLであり、内訳うちわけとしては尿にょうが1400 mL、くそ100 mL、あせ500 mL、はいからの呼気こき500 mLである。また、1にち必要ひつようみずりょう当然とうぜん2500 mLで、一般いっぱん飲料いんりょうすいから1200 mL、食物しょくもつから1000 mLが摂取せっしゅされ、のこりは体内たいないおこなわれた代謝たいしゃ結果けっかしょうじたみずを300 mLているという[9]一方いっぽうで、ハーバード健康けんこう出版しゅっぱんきょくは1にち必要ひつようみず摂取せっしゅりょうやく1400 - 1900 mLとしており、そこには食事しょくじによってられる水分すいぶんふくまれる[11]

みず強力きょうりょく水素すいそ結合けつごう水分すいぶん同士どうしっているために蒸発じょうはつ潜熱せんねつおおい。このためあせ蒸発じょうはつすることにより、非常ひじょう効率こうりつ体温たいおん放散ほうさんできる。しかし、発汗はっかんしても液体えきたいとしてながちるりょうおおときは、このかぎりではない。

脱水だっすいしょう

体内たいない水分すいぶんりょう不足ふそくした状態じょうたい医学いがくてきには脱水だっすいぶ。水分すいぶん喪失そうしつりょうたいして水分すいぶん摂取せっしゅりょう不足ふそくすることによってこる。脱水だっすい症状しょうじょう長引ながびくと、尿にょう感染かんせんしょう腎臓じんぞう結石けっせき便秘べんぴなどの特定とくてい症状しょうじょうのリスクがたかまるほか、持続じぞくてき注意ちゅうい作業さぎょう記憶きおくなどの認知にんちスキルをよわめることがわかった[12]水分すいぶん摂取せっしゅ不足ふそく、あるいは水分すいぶん喪失そうしつ過剰かじょう、あるいは水分すいぶん摂取せっしゅ不足ふそく水分すいぶん喪失そうしつ過剰かじょう同時どうじ進行しんこうによってきる。具体ぐたいてきには、高温こうおん環境かんきょうじゅう作業さぎょうはげしい運動うんどう発熱はつねつ下痢げり嘔吐おうと食事しょくじ不足ふそくなどが原因げんいんとなってきる。

みず中毒ちゅうどく

人体じんたい過剰かじょう水分すいぶん投与とうよされた場合ばあい細胞さいぼうがいえき浸透しんとうあつ異常いじょうがり、ていナトリウムしょうによって悪心あくしん頭痛ずつう間代まだいせい痙攣けいれん意識いしき障害しょうがいなどの症状しょうじょうこす。これをみず中毒ちゅうどくい、輸液ミス、しんいんせいいんSIADHなどの結果けっかとしてられる。なお致死ちしりょう体重たいじゅう65 kgのヒトで10 – 30 L/である。

人間にんげん健康けんこうみず

編集へんしゅう

十分じゅうぶんみずむことはおおくの理由りゆう重要じゅうようである。細胞さいぼう栄養素えいようそ供給きょうきゅうし、体温たいおん血圧けつあつ調節ちょうせつし、関節かんせつなめらかにし、感染かんせんふせぎ、臓器ぞうきただしく機能きのうつづけるのをたすける。みずはまた、食物しょくもつ消化しょうかかんとおって移動いどうつづけ、腎臓じんぞう健康けんこうをサポートする。全米ぜんべい医学いがくアカデミーは、健康けんこう男性だんせいが1にちあたり13カップの水分すいぶん摂取せっしゅすることを示唆しさしているが、そのすべてがみず液体えきたいとう炭酸たんさんすいである必要ひつようはない。おおくの食品しょくひんにはかなりのりょう水分すいぶんふくまれている。尿にょういろは、水分すいぶん摂取せっしゅりょう監視かんしする簡単かんたん方法ほうほうである。水分すいぶん補給ほきゅうされているとき、尿にょう透明とうめいかるいわらのいろあいだにあるべきである。黄色きいろまたは琥珀こはくしょくは、よりおおくのみず必要ひつようがあることをしめしている[12]

安全あんぜんみずめるかどうか、ということは人間にんげん健康けんこうおおきな影響えいきょうおよぼしている。汚物おぶつなどにれた不衛生ふえいせいみずむと、感染かんせんしょうコレラちょうチフス赤痢せきりなど)でいのちとすものる。そしてこれらの病気びょうき伝染でんせんする。体力たいりょくよわ乳幼児にゅうようじは、不衛生ふえいせいみずると、しばしばひど下痢げりこし脱水だっすい症状しょうじょう死亡しぼうする。老人ろうじん免疫めんえきりょくよわく、不衛生ふえいせいみずいのちとしやすい。また、不衛生ふえいせいみず寄生虫きせいちゅう問題もんだいこす。

古代こだいでも中世ちゅうせいでも、人類じんるいのほとんどは水道すいどうしで生活せいかつしていたとかんがえてい。都市としらすにしても上水道じょうすいどうかった。安全あんぜんみず方法ほうほうとして古代こだいからおこなわれている1つの方法ほうほうは、煮沸しゃふつ(しゃふつ)してからくちれる方法ほうほうである。ほかにも、太陽光たいようこうによる殺菌さっきんおこな太陽たいようすい殺菌さっきんなどがある。

みず利用りよう

編集へんしゅう
 
みず基本きほんてき消火しょうかざいでもある
 
スイミングをするひと
 
現代げんだい水道すいどう蛇口じゃぐち

みず使用しよう形態けいたいおおきく都市とし用水ようすい農業のうぎょう用水ようすいけられ、さらに都市とし用水ようすい生活せいかつ用水ようすい工業こうぎょう用水ようすいけられる[13]

世界せかいみず使用しようりょう

編集へんしゅう

世界せかいみず使用しようりょうは、1995ねん段階だんかい年間ねんかんやく3570 km3で、内訳うちわけとしては、農業のうぎょう用水ようすいやく2503 km3/としやく7わり最大さいだい工業こうぎょう用水ようすいやく715 km3/とし生活せいかつ用水ようすいやく354 km3/としだった、とも推定すいていされている。みず使用しようりょうは1950ねんから1995ねんまでで2.6ばいになっているともされ、2025ねんには30おくにん以上いじょうみずりょうしつ限界げんかいみずストレス)に直面ちょくめんする、とも予想よそうされている[14]仮想かそうすいという指標しひょうみず使用しようりょう計算けいさんされている。

家庭かていでのみず使用しようじょうきょう用途ようと

編集へんしゅう

家庭かていでのみず使用しようりょうは、地域ちいきによっていちじるしくことなる。途上とじょうこくなかには、1にち1にんたりすうリットル程度ていどくにられる。その一方いっぽうで、先進せんしんこくでは1にち1にんたりすうひゃくリットルというくにおおく、途上とじょうこく先進せんしんこくあいだにはおおきながある。日本にっぽん家庭かてい使用しようりょう先進せんしん諸国しょこく同様どうようとくおお部類ぶるいはい[ちゅう 9]

日本にっぽんでの使用しようじょうきょうの1れいとして東京とうきょう家庭かていでのそれをげると、1にち1人ひとりたり242 Lのみず使つかっている(2005ねん現在げんざい東京とうきょう水道局すいどうきょく調しらべ)。家庭かていでのみず使用しようりょうのうち、28 %がトイレ、24 %が風呂ふろ、23 %が炊事すいじ、17 %が洗濯せんたくであった(2002ねん東京とうきょう水道局すいどうきょく[15]

水道すいどう

編集へんしゅう
 
古代こだいローマ水道すいどうきょうであるフランスポン・デュ・ガール

マ帝国まていこく古代こだいローマ)は、土木どぼく技術ぎじゅつひいでており、ローマにみずくべく水道すいどう建設けんせつした。これのおかげでローマのむローマ市民しみん公衆こうしゅう浴場よくじょう利用りようすることができた。ローマには公共こうきょう水洗すいせんトイレもあった。いしせいのベンチじょうものしたみずながれており、ベンチにはあながあいており、そこにこしかけてようをすれば、排泄はいせつぶつながれてゆくのである。ローマのようにみずがふんだんにある都市とし生活せいかつ世界せかいてき例外れいがいてきであり、るいない状態じょうたいであった。 マ帝国まていこく時代じだい、ローマという都市とし人々ひとびと風呂ふろ頻繁ひんぱんはいっていたわけだが、そのかれら(かつてのマ帝国まていこく中核ちゅうかくてき市民しみんいまのローマ市民しみんやイタリアじん)は頻繁ひんぱん風呂ふろはい習慣しゅうかんうしなった[ちゅう 10]

都市としでは、都市とし生活せいかつするもの安全あんぜん飲料いんりょうすいをいかにしてとどけるかということは、都市としおさめるもの政治せいじおこなものにとっておおきな問題もんだいである。

日本にっぽん江戸えどでは、水不足みずぶそく状態じょうたい改善かいぜんするために、1652ねん玉川上水たまがわじょうすい建設けんせつ計画けいかくされ、よく1653ねん、まずは本線ほんせん建設けんせつされた。なん工事こうじ幕府ばくふ用意よういした資金しきんそこをついてしまい、玉川たまがわ兄弟きょうだい自宅じたくって建設けんせつ続行ぞっこうしたという。うけたまわおう3ねん(1654ねん)6がつから、江戸えどちゅうへのつうすい開始かいしされた。

京都きょうとでは1885ねん明治めいじ18ねん)に琵琶湖びわこだい1疏水そすい着工ちゃっこうし、1890ねん明治めいじ23ねん)に完成かんせいした。

 
ヨーロッパのしょう都市とし広場ひろばなどにある 「fonteフォンテ」 や「fontaineフォンテーヌ」(=「いずみ」)のれい

中世ちゅうせいヨーロッパでは、かく都市とし外敵がいてきふせぐべくかべ建設けんせつし(城塞じょうさい都市とし)、自治じちおこなわれ、独立どくりつせいたかく、ちいさなくにのような様相ようそうていする都市としおおかった。ヨーロッパの都市としでは、まち広場ひろばなどに、都市としちかくのやまなどから水道すいどうみずき、そのみずす fonte フォンテ (イタリア、ポルトガルフランス語ふらんすごでは fontaine フォンテーヌ、日本語にほんごでは「いずみ」)を設置せっちして、飲料いんりょうすい市民しみん提供ていきょうしている都市としおおかった。市民しみんおけって広場ひろばにやってきて、この「いずみ」でみずんで、みずはいったおもおけっていえまではこび、かくいえでそれを使つかうのである。つまり「水道すいどう」があるといってもそういう程度ていどのことであったのであり、基本きほんてきかくいえまでかれていたわけではない。

ちゅう近世きんせいのヨーロッパのみず事情じじょう理解りかいするためのれいの1つとして、フランスの首都しゅとパリみず事情じじょうについて説明せつめいすると、パリのみず事情じじょう劣悪れつあくであった。16世紀せいき・17世紀せいき・18世紀せいきと、パリ市民しみん安全あんぜん飲料いんりょうすいをたっぷりと確保かくほできていたわけではない。基本きほんてきに、風呂ふろはいる、などということはかんがえられない状態じょうたいであった。やることとえば、ぬのみずふくませて身体しんたいくということだったり、せいぜいやるとしても、身体しんたいがあまりにくさくなったら、おけたらいきむたらい)を用意よういして、ふくいでそのなかって、おけにくんだみずをチョロチョロと身体しんたいにかけてながし、すうふんにはそそくさと身体しんたいく、という程度ていどであった。 汚水おすいあつかいもひど状態じょうたいで、パリに下水道げすいどう整備せいびされていなかったため、市民しみんは、汚物おぶついえ(アパルトマン)のまえ街路がいろてていた。当時とうじ、パリの街路がいろみちはしなかみずあつまるようにしてあり、あめになるとそこを雨水あまみずながれるのだが、そこに汚物おぶつ大量たいりょうながれ、まち全体ぜんたい悪臭あくしゅうただよっていたのである。そのような状態じょうたい常態じょうたいすると、おわりいには、建物たてものの3かい・4かいなどにみ、いちいち1かいまであるいてりる手間てま面倒めんどうかんじるものなどではおけはいった汚物おぶつまどから直接ちょくせつげるような不届ふとどしゃすらもいた。パリのまちあるくには、足元あしもと汚水おすいにもけなければならないし、同時どうじに、頭上ずじょうにも注意ちゅういはらって汚物おぶつをかけられないようにける必要ひつようすらあったのである。

この状況じょうきょうわったのは19世紀せいきのことで、オスマンがおこなったパリ改造かいぞう(オスマニザシオン)の成果せいかであり、オスマンは、パリ市民しみんのために安全あんぜんみず豊富ほうふ確保かくほするために、パリから100 kmもはなれた水源すいげんからパリにみずくという決断けつだんおこない、それが成功せいこうし、かく家庭かてい充分じゅうぶんみずとどけることが可能かのうになり、その結果けっか当時とうじ、パリのかく家庭かていバスタブ風呂ふろはいるということがちょっとした流行りゅうこうになった[16]

地域ちいきによっては現代げんだいでも水道すいどうくにおおい。毎日まいにちすいバケツなどでいえまではこ地域ちいきもある。さらに、水源すいげんとおいため自力じりき長距離ちょうきょりあるかなければならず、その労働ろうどうにな子供こども通学つうがくさえままならない地域ちいきもある[よう出典しゅってん]

日本にっぽんではおこなわれていないが、くに地域ちいきによっては、虫歯むしば予防よぼうのために水道すいどうすいフッ化物ばけもの添加てんかされている。一方いっぽう、ほとんどのボトル飲料いんりょうすいにはフッ化物ばけものふくまれていないため、こうした地域ちいきでは水道すいどうすいんだほう口腔こうくう健康上けんこうじょうのぞましいとかんがえられている[17]

みず芸術げいじゅつ

編集へんしゅう
 
噴水ふんすい

みず人類じんるいにとってもっと身近みぢか重要じゅうよう物質ぶっしつであり、かつ様々さまざま態様たいようせることから、みずをモチーフとした数々かずかず芸術げいじゅつ作品さくひんされている。

みずそのものをれた作品さくひんとして、庭園ていえんにおけるいけ噴水ふんすいなどがある。

代表だいひょうてき慣用かんよう

編集へんしゅう
  • 水掛みずかろん - 双方そうほう主張しゅちょうをいい解決かいけつしない議論ぎろんのこと。みずしい双方そうほうが、みずってまであらそよう由来ゆらいする成句せいくだとわれている。
  • 湯水ゆみずのように(ごとく) - 大量たいりょう使つかうことをし、通常つうじょう無駄遣むだづかいや乱費らんぴ表現ひょうげんとしてもちいられる。日本にっぽんではかつて「みず安全あんぜんはタダ」などわれ、みず非常ひじょう安価あんかまたは無料むりょう代名詞だいめいしであった。茶道さどう点前てまえ茶道具ちゃどうぐきよめるために大量たいりょう湯水ゆみず使つかうことに由来ゆらいする。
  • 水商売みずしょうばい(またはその略称りゃくしょう「おみず」) - 飲食いんしょくぎょうまたは風俗ふうぞくぎょう別称べっしょう。1にち客数きゃくすう安定あんていしない(水物みずものである)から。一説いっせつに、さけ水割みずわよう水道すいどうすい値段ねだんける(かねる)ことから。
  • みずながす - 過去かこ因縁いんねんわすれること。よごぶつみずかしてながるにまかせるのが古来こらい流儀りゅうぎである。実際じっさいに、おおくの汚物おぶつ水中すいちゅうにおける自然しぜん浄化じょうか作用さようとその人工じんこうてき応用おうようである汚水おすい処理しょりによって処理しょりされる。

ほかにも、世間せけん市場いちば普遍ふへんてきもの貨幣かへい情報じょうほうなど)をみずたとえて、「洪水こうずいのような」「氾濫はんらんする」などと表現ひょうげんされることがある。

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう

注釈ちゅうしゃく

編集へんしゅう
  1. ^ エンジンの「冷却れいきゃくすい」などみず以外いがい物質ぶっしつおおふくまれた混合こんごうぶつみずばれる場合ばあいがある。日本語にほんご以外いがいでも、しばしば液体えきたい全般ぜんぱんしている。たとえば、フランス語ふらんすごではeau de vie(オー・ドゥ・ヴィ=いのちみず)がブランデーるいすなど、eau(みず)はしばしば液体えきたい全般ぜんぱんしている。そうした用法ようほうは、様々さまざま言語げんごでかなり一般いっぱんてきである。
  2. ^ ただし、これはメタファーであって、物理ぶつりがくてき言葉ことば使つかかたとはことなる。
  3. ^ とく温度おんどたかみず熱湯ねっとうねっとうぶ。工学こうがくてき分野ぶんやではねつすいねっすいというかたりもちいられる。たいして、技術ぎじゅつ用語ようごではたか温度おんど相当そうとうするものみず場合ばあいがある(れい冷却れいきゃくすい)。アイヌでは、低温ていおんみずのことをワッカ、高温こうおんみず)のことをウセイう。
  4. ^ 英語えいごでは、温度おんどたか場合ばあいでも名詞めいし(water)は変化へんかせず、形容詞けいようし付加ふかする(hot water)。
  5. ^ 純粋じゅんすいみずのみならず、高温こうおん溶解ようかいしたものではなく低温ていおん凝固ぎょうこしていない液体えきたい、もしくは「液状えきじょうぶつ全般ぜんぱん」を場合ばあいがある
  6. ^ これをつたえているのは、アリストテレスしょなどである。
  7. ^ これらは「ηいーた」が「e」に変化へんかし、「-o」がくことで現代げんだい接頭せっとうとなっている。
  8. ^ 共通きょうつう支持しじされている理論りろん体系たいけい矛盾むじゅんする断片だんぺんてき発見はっけんがいくつあっても人々ひとびとかんがかた体系たいけい理論りろん体系たいけい)は基本きほんてき変化へんかせず、それがわるのは、あくまでべつ理論りろん体系たいけいあらわれたときだけである」とするかんがかたは、20世紀せいき科学かがく哲学てつがくしゃクーンパラダイムシフトという用語ようごもちいて提唱ていしょうした。
  9. ^ 家庭かていでのみず使用しようじょうきょう用途ようとについての関連かんれん資料しりょう
  10. ^ このあたりの経緯けいい事情じじょうはヤマザキ・マリなども調しらべており『テルマエ・ロマエ』にいている。

出典しゅってん

編集へんしゅう
  1. ^ a b c 広辞苑こうじえんだいはん p.2551「みず
  2. ^ 医薬いやく基盤きばん健康けんこう栄養えいよう研究所けんきゅうじょ山田やまだ陽介ようすけらの国際こくさい研究けんきゅうチームがべい科学かがく雑誌ざっしサイエンス』に発表はっぴょうした論文ろんぶんによる。「みず4リットル 1にち体外たいがいに/国際こくさいチーム/調査ちょうさ/20だい男性だんせい 1.8リットルの補給ほきゅう必要ひつよう毎日新聞まいにちしんぶん朝刊ちょうかん2022ねん12月3にち総合そうごう社会しゃかいめん同日どうじつ閲覧えつらん
  3. ^ a b c d e f g h 平凡社へいぼんしゃ世界せかいだい百科ひゃっか事典じてんだい27かん、pp. 342–343【みず】>【みず科学かがく
  4. ^ Cowan, M. L.; Bruner, B. D.; Huse, N.; Dwyer, J. R.; Chugh, B.; Nibbering, E. T. J.; Elsaesser, T.; Miller, R. J. D. (2005-03-10). “Ultrafast memory loss and energy redistribution in the hydrogen bond network of liquid H2O”. Nature 434 (7030): 199–202. doi:10.1038/nature03383. ISSN 0028-0836. https://doi.org/10.1038/nature03383. 
  5. ^ Kielh, J. T.; Trenberth, K. E. (1997). "Earth's annual global mean energy budget (PDF) ." Bull. Am. Meteorol. Soc. 78: 197 – 298 によると、温室おんしつ効果こうかのうち60 %が水蒸気すいじょうき由来ゆらいする。だい2二酸化炭素にさんかたんそ (26 %) である。
  6. ^ a b 環境かんきょう保全ほぜん対策たいさく研究けんきゅうかい へんてい水質すいしつ汚濁おだく対策たいさく基礎きそ知識ちしき』(8はん社団しゃだん法人ほうじん産業さんぎょう環境かんきょう管理かんり協会きょうかい、2008ねんISBN 4-914953-41-2 
  7. ^ Astronomers Find Largest, Most Distant Reservoir of Water” (英語えいご). Mission News. NASA (2011ねん7がつ22にち). 2012ねん5がつ19にち閲覧えつらん
  8. ^ “New Type of Alien Planet Is a Steamy 'Waterworld'” (英語えいご). Search for Life (Space.com). (2012ねん2がつ21にち). http://www.space.com/14634-alien-planet-steamy-waterworld-gj1214b.html 2016ねん5がつ5にち閲覧えつらん 
  9. ^ a b おいしさを科学かがくする「水分すいぶん”. PR「GLOBAL」 ニッスイアカデミー. ニッスイ (2008ねん10がつ). 2015ねん5がつ7にち閲覧えつらん
  10. ^ しょく通信つうしんNo.175 みず”. コスモス薬局やっきょくグループ (2004ねん6がつ). 2020ねん5がつ19にち閲覧えつらん
  11. ^ Better Bladder and Bowel Control: Practical strategies for managing incontinence” (英語えいご). Harvard Health. 2022ねん7がつ28にち閲覧えつらん
  12. ^ a b Solan, Matthew (2021ねん7がつ1にち). “How to hydrate” (英語えいご). Harvard Health. 2021ねん6がつ27にち閲覧えつらん
  13. ^ 秋葉あきばみちひろし上下水道じょうげすいどうシステムにたいする地震じしんリスクとその対策たいさく国立こくりつ保健ほけん医療いりょう科学かがくいん(2021ねん10がつ8にち閲覧えつらん
  14. ^ 進藤しんどうそう (2002-10). 世界せかいみず危機ききだい3かい世界せかいすいフォーラム 2. みず危機きき現実げんじつ (3) 世界せかいみず利用りよう (PDF). ARIC情報じょうほう (農業のうぎょう農村のうそん整備せいび情報じょうほう総合そうごうセンター) (67): p. 12. オリジナルの2011-09-17時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110917020507/http://www.aric.or.jp/03_book/61_70/no67/topics/67.pdf 2008ねん3がつ9にち閲覧えつらん. 
  15. ^ みず大切たいせつにする習慣しゅうかん”. PR情報じょうほう 節水せっすい習慣しゅうかん. 東京とうきょう水道すいどうきょく. 2007ねん10がつ29にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2007ねん10がつ15にち閲覧えつらん
  16. ^ 大森おおもり弘喜ひろき19世紀せいきパリのみずまわり事情じじょう衛生えいせい」『成城大學せいじょうだいがく經濟けいざい研究けんきゅうだい196ごう成城大学せいじょうだいがく、2012ねん3がつ、1-58ぺーじNAID 1100095762662023ねん5がつ12にち閲覧えつらん 
  17. ^ MD, Robert H. Shmerling (2016ねん11月3にち). “Water, water everywhere” (英語えいご). Harvard Health. 2021ねん7がつ13にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

編集へんしゅう

外部がいぶリンク

編集へんしゅう