この項目 こうもく では、物質 ぶっしつ について説明 せつめい しています。材質 ざいしつ については「マチエール 」をご覧 らん ください。
物質 ぶっしつ ( ぶっしつ ) は、最 もっと も初等 しょとう 的 てき には、場所 ばしょ をとり一定 いってい の量 りょう (mass)をもつもののことである[ 1] 。同 おな じことを、もう少 すこ し技術 ぎじゅつ 的 てき 用語 ようご を使 つか えば、ものが質量 しつりょう と体積 たいせき を持 も っていれば物質 ぶっしつ であるというのが古典 こてん 的 てき 概念 がいねん である[ 2] 。
いわゆる「もの」のことで、生命 せいめい や精神 せいしん (心 しん )と対比 たいひ される概念 がいねん [ 3] 。「生命 せいめい の世界 せかい 、物質 ぶっしつ の世界 せかい 」などと使 つか う。
(哲学 てつがく )感覚 かんかく によってその存在 そんざい が認 みと められるもの[ 3] 。人間 にんげん の意識 いしき に映 えい じはするが、意識 いしき からは独立 どくりつ して存在 そんざい すると考 かんが えられるもの[ 3] 。
(物理 ぶつり 学 がく )物体 ぶったい をかたちづくり、任意 にんい に変化 へんか させることのできない性質 せいしつ をもつ存在 そんざい 。空間 くうかん の一部 いちぶ を占 し め、有限 ゆうげん の質量 しつりょう をもつもの。[ 3]
(化学 かがく ) 化学 かがく 品 ひん の分類 ぶんるい および表示 ひょうじ に関 かん する世界 せかい 調和 ちょうわ システム (GHS)においては、「物質 ぶっしつ 」(Substance) という用語 ようご は次 つぎ の意味 いみ で使用 しよう される。自然 しぜん 状態 じょうたい にあるか、または任意 にんい の製造 せいぞう 過程 かてい において得 え られる化学 かがく 元素 げんそ およびその化合 かごう 物 ぶつ をいう。製品 せいひん の安定 あんてい 性 せい を保 たも つ上 うえ で必要 ひつよう な添加 てんか 物 ぶつ や用 もち いられる工程 こうてい に由来 ゆらい する不純物 ふじゅんぶつ を含 ふく むが、当該 とうがい 物質 ぶっしつ の安定 あんてい 性 せい に影響 えいきょう せず、またその組成 そせい を変化 へんか させることなく分離 ぶんり することが可能 かのう な溶媒 ようばい は除 のぞ く(GHS7版 はん 1.3.3.1.2)。
「matter(物質 ぶっしつ )」という概念 がいねん は西洋 せいよう 哲学 てつがく 史 し において、古代 こだい ギリシアで発祥 はっしょう したが、その正体 しょうたい について、20世紀 せいき 初頭 しょとう 以前 いぜん の科学 かがく 者 しゃ や哲学 てつがく 者 しゃ 、宗教 しゅうきょう 家 か は論争 ろんそう を繰 く り返 かえ した[ 4] 。1930年代 ねんだい 初頭 しょとう 以降 いこう 、原子 げんし の構造 こうぞう が明 あき らかになり、その性質 せいしつ を説明 せつめい する量子力学 りょうしりきがく が成立 せいりつ すると、物質 ぶっしつ の本質 ほんしつ を厳密 げんみつ かつ統一 とういつ 的 てき に理解 りかい する事 こと が可能 かのう になった。これは、20世紀 せいき における最大 さいだい の科学 かがく 的 てき 成果 せいか の一 ひと つである。
古代 こだい ギリシャでは物質 ぶっしつ は「本質 ほんしつ 的 てき に不 ふ 活性 かっせい なもの」と見 み なす人 ひと がいたが、ビュヒナーやマルクス主義 まるくすしゅぎ では「運動 うんどう や活動 かつどう と一体 いったい で切 き り離 はな せないもの(つまり活性 かっせい のあるもの)」と見 み なした[ 4] 、
デカルト が「本質 ほんしつ 的 てき に空間 くうかん に延長 えんちょう する(空間 くうかん を占 し める)もの」と見 み なしたのに対 たい しライプニッツ やボスコヴィチ は物質 ぶっしつ を「延長 えんちょう の無 な い(空間 くうかん を占 し めない)、エネルギーの中心 ちゅうしん 」と見 み なしたし[ 4] 、バークリー やカント が物質 ぶっしつ を「本質 ほんしつ 的 てき に理解 りかい 不能 ふのう のもの(あるいは不 ふ 可知 かち のもの)」と見 み なしたが、ホッブズ は「哲学 てつがく にとっての唯一 ゆいいつ な明瞭 めいりょう な根拠 こんきょ 」と見 み なしたし[ 4] 、
デモクリトス が「その本質 ほんしつ として永遠 えいえん に現実 げんじつ 的 てき 」と見 み なしたが、プラトン やヘーゲル は「可能 かのう 態 たい 以上 いじょう のものではありえないある種 しゅ の存在 そんざい 」と見 み なした、といった具合 ぐあい である[ 4] 。
20世紀 せいき 初頭 しょとう まで、科学 かがく 界 かい において原子 げんし の存在 そんざい の有無 うむ について論争 ろんそう が続 つづ いたために、物質 ぶっしつ について様々 さまざま な解釈 かいしゃく が共存 きょうぞん した。例 たと えば、物質 ぶっしつ はものの仮 かり の姿 すがた にすぎず、エネルギーのみが本質 ほんしつ であるとする Energetiker 論 ろん 者 しゃ は原子 げんし の存在 そんざい を否定 ひてい した。1930年代 ねんだい 初頭 しょとう までに電子 でんし と陽子 ようし 、中性子 ちゅうせいし が相次 あいつ いで実験 じっけん 的 てき に発見 はっけん されて、量子力学 りょうしりきがく が完成 かんせい することによって、矛盾 むじゅん の無 な い、物質 ぶっしつ の統一 とういつ 的 てき な理解 りかい がはじめて可能 かのう になった。物質 ぶっしつ は物理 ぶつり 化学 かがく 的 てき には「原子 げんし で構成 こうせい されるもの」、初等 しょとう 量子力学 りょうしりきがく または第 だい 一 いち 量子 りょうし 化 か の範囲 はんい では「質量 しつりょう をもつ波 なみ 」、場 ば の量子 りょうし 論 ろん または第 だい 二 に 量子 りょうし 化 か においては「場 ば の励起 れいき 状態 じょうたい 」と理解 りかい される。一般 いっぱん に、1/2のスピン角 かく 運動 うんどう 量 りょう をもつクオークやレプトンなど物質 ぶっしつ を構成 こうせい するフェルミ粒子 りゅうし はパウリの排他 はいた 原理 げんり に従 したが い、2 ふた つ以上 いじょう の粒子 りゅうし が同一 どういつ の量子 りょうし 状態 じょうたい を占 し めることができないため、「場所 ばしょ をとるもの」の性質 せいしつ を持 も つ。一方 いっぽう 、光子 こうし のようにスピン角 かく 運動 うんどう 量 りょう が1であるような素粒子 そりゅうし は、複数 ふくすう の粒子 りゅうし が同一 どういつ の量子 りょうし 状態 じょうたい を占有 せんゆう することが許 ゆる されるボース粒子 りゅうし であるために、パウリの排他 はいた 原理 げんり に従 したが わず、「場所 ばしょ をとる」という物質 ぶっしつ 特有 とくゆう の性質 せいしつ を持 も たない。また、光子 こうし はゲージ粒子 りゅうし の一種 いっしゅ であり、質量 しつりょう をもたない。光子 こうし と光子 こうし は直接 ちょくせつ は相互 そうご 作用 さよう したり、原子 げんし のような構造 こうぞう を作 つく ったりはしない。このため日常 にちじょう 生活 せいかつ においても、光 ひかり や電波 でんぱ は「物質 ぶっしつ の一種 いっしゅ 」であるとは認識 にんしき されない。
クオークやレプトンそのものは元来 がんらい 、SU(2)L ゲージ対称 たいしょう 性 せい を保 たも つ性質 せいしつ を持 も つために質量 しつりょう を持 も たないが、ビッグバン 後 ご 、宇宙 うちゅう が冷却 れいきゃく する過程 かてい でヒッグス場 じょう が自発 じはつ 的 てき 対称 たいしょう 性 せい の破 やぶ れにより有限 ゆうげん な真空 しんくう 期待 きたい 値 ち を獲得 かくとく すると、この量子 りょうし 場 じょう との相互 そうご 作用 さよう により質量 しつりょう をもつ物質 ぶっしつ 粒子 りゅうし が出現 しゅつげん したと考 かんが えられている。一方 いっぽう 、ヒッグス場 じょう のうち、電荷 でんか をもつSU(2)弱 じゃく アイソスピンゲージ群 ぐん のz成分 せいぶん は真空 しんくう 期待 きたい 値 ち をもたないために、光 ひかり とは相互 そうご 作用 さよう せず、光子 こうし は質量 しつりょう を獲得 かくとく しない。この理論 りろん は、2012年 ねん のヒッグス粒子 りゅうし の発見 はっけん により実証 じっしょう された。こうして「場所 ばしょ をとり、質量 しつりょう があるような物質 ぶっしつ 」の背景 はいけい にある複雑 ふくざつ な機構 きこう が解明 かいめい された。宇宙 うちゅう には重力 じゅうりょく 相互 そうご 作用 さよう はするが、直接的 ちょくせつてき な検出 けんしゅつ が難 むずか しい、正体 しょうたい 不明 ふめい の暗黒 あんこく 物質 ぶっしつ が充満 じゅうまん している証拠 しょうこ が得 え られつつある。また、中性子 ちゅうせいし のみで構成 こうせい された中性子星 ちゅうせいしせい や、超 ちょう 高温 こうおん で出現 しゅつげん するクオークグルーオンプラズマなど、新 あら たな物質 ぶっしつ の形態 けいたい が存在 そんざい することがわかってきた。
なお、哲学 てつがく 的 てき に言 い えば、物質 ぶっしつ は宇宙 うちゅう を構成 こうせい する諸 もろ 存在 そんざい のうちの1つである。哲学 てつがく 的 てき には物質 ぶっしつ と対置 たいち される概念的 がいねんてき 存在 そんざい は「非 ひ 物質 ぶっしつ 」と呼 よ ばれ、空間 くうかん 、時間 じかん 、情報 じょうほう を始 はじ めとして、多数 たすう 存在 そんざい する。一方 いっぽう 、現代 げんだい 科学 かがく における場 ば の量子 りょうし 論 ろん においては、真空 しんくう は場 ば の基底 きてい 状態 じょうたい 、物質 ぶっしつ はスピン1/2の場 ば の励起 れいき 状態 じょうたい 、光 ひかり はスピン1の場 ば の励起 れいき 状態 じょうたい であると理解 りかい される。一方 いっぽう 、時間 じかん と空間 くうかん を量子 りょうし 化 か して重力 じゅうりょく 現象 げんしょう を説明 せつめい する量子 りょうし 重力 じゅうりょく 理論 りろん は、まだ成立 せいりつ にいたっていない。なお、WMAP 等 ひとし の人工 じんこう 衛星 えいせい による宇宙 うちゅう マイクロ波 は 背景 はいけい 放射 ほうしゃ の観測 かんそく 結果 けっか により、原子 げんし 等 とう の通常 つうじょう 物質 ぶっしつ は宇宙 うちゅう の全 ぜん エネルギーの5%程度 ていど に相当 そうとう しているに過 す ぎないことが見積 みつ もられている。一方 いっぽう 、残 のこ りの70%は暗黒 あんこく エネルギー 、25%前後 ぜんこう は暗黒 あんこく 物質 ぶっしつ で構成 こうせい されていると考 かんが えられている。このように、人間 にんげん が日常 にちじょう 的 てき に接 せっ する物質 ぶっしつ は、宇宙 うちゅう 全体 ぜんたい に存在 そんざい する物質 ぶっしつ の形態 けいたい のうちの一部 いちぶ に過 す ぎないことがわかっている。
物質 ぶっしつ は変化 へんか 、現象 げんしょう 、出来事 できごと などと区別 くべつ されることが多 おお い。変化 へんか は物質 ぶっしつ に生 しょう じる1つの出来事 できごと 、現象 げんしょう でありうるが、変化 へんか 自体 じたい は物質 ぶっしつ ではない。ある現象 げんしょう やある出来事 できごと も、そこに物質 ぶっしつ が関与 かんよ していることはあるが、それ自体 じたい としては物質 ぶっしつ ではない。物質 ぶっしつ はそうした現象 げんしょう や出来事 できごと が起 お こる場 ば や対象 たいしょう のような位置 いち を占 し めている。日本語 にほんご ではこの区別 くべつ は、物 もの と事 こと の区別 くべつ 、「モノ」と「コト」の区別 くべつ として、日常 にちじょう 的 てき に用 もち いられている。
この様 よう に、観念 かんねん 的 てき には物質 ぶっしつ の概念 がいねん と存在 そんざい 概念 がいねん と分離 ぶんり することは難 むずか しい。この様 よう な観念論 かんねんろん は、デカルト の「われ思 おも う、ゆえにわれあり」という観念論 かんねんろん より派生 はせい しており、「物体 ぶったい を認識 にんしき することが、すなわち存在 そんざい である」と概念 がいねん 付 つ けられる為 ため に他 た ならない。存在 そんざい と結 むす び付 つ けられた物質 ぶっしつ は、その性質 せいしつ (物性 ぶっせい )以外 いがい にも哲学 てつがく 的 てき な属性 ぞくせい (記事 きじ 存在 そんざい を参照 さんしょう のこと)が付加 ふか される。そして、物質 ぶっしつ に着目 ちゃくもく 、執着 しゅうちゃく する姿勢 しせい は「物質 ぶっしつ 主義 しゅぎ 」と呼 よ ばれる。また、そのような信念 しんねん の持 も ち主 ぬし は「物質 ぶっしつ 主義 しゅぎ 者 しゃ 」と呼 よ ばれる。
すなわち物質 ぶっしつ と対比 たいひ されることのある概念 がいねん として、心 しん (精神 せいしん 、意識 いしき )、情報 じょうほう 、エネルギー 、空間 くうかん などがあるが、これは人間 にんげん の直感 ちょっかん による区分 くぶん であり、現代 げんだい 科学 かがく の知見 ちけん とは必 かなら ずしも一致 いっち しない。
メソポタミア では紀元前 きげんぜん 3000年 ねん までに、液体 えきたい の蒸留 じょうりゅう および鉱石 こうせき の昇華 しょうか 用 よう の巧妙 こうみょう に考案 こうあん された過熱 かねつ ポットが用 もち いられていた[ 5] 。それからほどなくして、東 ひがし 地中海 ちちゅうかい あたりには合金 ごうきん ・ガラス ・香料 こうりょう の製造 せいぞう 技術 ぎじゅつ が広 ひろ がっていった[ 5] 。一方 いっぽう 、物質 ぶっしつ の変化 へんか に関 かん するもろもろの過程 かてい を当時 とうじ の人々 ひとびと は、自然 しぜん 神 しん や半 はん 神 かみ たちの人格 じんかく 的 てき な関係 かんけい 、という神話 しんわ のかたちで説明 せつめい したものもあった[ 5] 。バビロニア には「七 なな つの主 しゅ 天体 てんたい 」「七 なな つの金属 きんぞく 」「七 なな つの人体 じんたい 部位 ぶい 」「七 なな つの色 いろ 」「(一 いち 週間 しゅうかん の)七 なな つの日 ひ 」「魂 たましい の目覚 めざ めの七 なな つの段階 だんかい 」といった複雑 ふくざつ な理論 りろん 体系 たいけい があったが、現代 げんだい の「物質 ぶっしつ 」に相当 そうとう するような概念 がいねん がはっきりとあったとは言 い えず、経験 けいけん の様々 さまざま の要素 ようそ ・側面 そくめん の一部 いちぶ として他 ほか と混 こん 然 しか 一体 いったい であった[ 5] 。
次 つぎ に学術 がくじゅつ の世界 せかい で「フォアゾクラティカーVorsokratiker」と呼 よ ばれているソクラテス以前 いぜん の哲学 てつがく 者 しゃ (紀元前 きげんぜん 6世紀 せいき ころ~前 まえ 4世紀 せいき ころ)は、さかんに自然 しぜん について考察 こうさつ していたわけであるが、現代 げんだい まで伝 つた わっているのは基本 きほん 的 てき に、後 ご の哲学 てつがく 者 しゃ たちが書 か いた文章 ぶんしょう の中 なか に含 ふく まれる断片 だんぺん 的 てき なテキストなので、彼 かれ らがどのように考 かんが えていたのか正確 せいかく に知 し ることは難 むずか しい。彼 かれ らは深 ふか い思想 しそう をたたえていたようにも読 よ めるが、伝 つた えられたのが断片 だんぺん 的 てき な短 みじか い言葉 ことば であるがゆえにそういう印象 いんしょう を生 う んでいるだけなのか判断 はんだん のつきかねる面 めん もある[ 5] 。
イオニア人 じん たちは、α あるふぁ ρ ろー χ かい η いーた アルケー を探求 たんきゅう したが、このアルケーというのは現代 げんだい ではぴったり一致 いっち する概念 がいねん があるわけではないが、「原理 げんり 」とも「起源 きげん 」とも、知識 ちしき 理論 りろん の「公理 こうり 」とも、物質 ぶっしつ 世界 せかい の「(構成 こうせい )単位 たんい 」とも言 い えるようなものであったのかも知 し れない[ 5] 。(アルケーの探求 たんきゅう などと関連 かんれん させて)「イオニア人 じん たちはミュトス(神話 しんわ )を超 こ えてソピア(知 ち )へと向 む かった」などと言 い われる。アルケーは、タレス が水 みず と、アナクシメネス が空気 くうき と、ヘラクレイトス が火 ひ と言 い ったと伝 つた わるが、それはそこに語 かた られる水 みず や空気 くうき や火 ひ が、生命 せいめい ・心 しん ・思考 しこう なども含 ふく めて全 すべ ての自然 しぜん の諸 しょ 現象 げんしょう を説明 せつめい するのに充分 じゅうぶん なほどに精巧 せいこう なものだ、とする見方 みかた を示 しめ している[ 5] 。またアナクシメネスにおいては空気 くうき が「すべてのものがそこにおいて構成 こうせい されている」といった性質 せいしつ のものとされていたことからすると、それは形而上学 けいじじょうがく 的 てき な宇宙 うちゅう 論 ろん へと連 つら なるものであったともいえる[ 5] 。こうした考 かんが え方 かた は、現代 げんだい では唯物 ゆいぶつ 論 ろん 寄 よ りのものと見 み なされることが多 おお いが、その一方 いっぽう で彼 かれ らは物質 ぶっしつ 的 てき 存在 そんざい の内 うち に生命 せいめい 力 りょく を見出 みいだ していた[ 5] 。
デモクリトス は原子 げんし 論 ろん を、プラトン は有 ゆう 機体 きたい 論 ろん を、アリストテレス は質料 しつりょう 形相 ぎょうそう 論 ろん を提示 ていじ した[ 5] 。これら、紀元前 きげんぜん 400年 ねん から紀元前 きげんぜん 300年 ねん ころにかけて提示 ていじ された競合 きょうごう 的 てき な理論 りろん は、この時代 じだい にしてすでに、その後 ご の時代 じだい の哲学 てつがく や学問 がくもん が見 み せることになるおおまかな輪郭 りんかく をあらかじめ示 しめ しており[ 5] 、これらの観念 かんねん 群 ぐん は、その後 ご 物質 ぶっしつ に関 かん する知識 ちしき が進展 しんてん する中 なか で、繰 く り返 かえ し現 あらわ れてくることになり、大 おお きな影響 えいきょう を与 あた えることになった[ 5] 。
デモクリトス (B.C 460-367)の原子 げんし 論 ろん については「原子 げんし 論 ろん 」の記事 きじ に説明 せつめい を譲 ゆず ろう。
エンペドクレス は、紀元前 きげんぜん 440年 ねん ごろに、空気 くうき が物質 ぶっしつ であることを実証 じっしょう した。 オリジナルとは少々 しょうしょう 異 こと なるが簡単 かんたん に確認 かくにん することができる。大 おお きなバケツに水 みず を一 いち 杯 はい に入 い れる。そのバケツに漏斗 ろうと の細 ほそ い口 くち を指 ゆび で塞 ふさ ぎながら、広 ひろ い開口 かいこう 部 ぶ を下 した に向 む けてバケツに入 い れると、漏斗 ろうと には水 みず が入 はい ってこない。指 ゆび を漏斗口 じょうごぐち から外 はず すとそこに水 みず が流 なが れ込 こ み、空気 くうき がその口 くち から勢 いきお いよくで出 で てくる。空気 くうき が水 みず が空間 くうかん を占 し めるのを邪魔 じゃま していたことから、空気 くうき は物質 ぶっしつ であるというわけである。物質 ぶっしつ の基本 きほん 的 てき な属性 ぞくせい の一 ひと つである、空間 くうかん を占有 せんゆう する(体積 たいせき を持 も つ)という性質 せいしつ を空気 くうき が持 も っていたことを実証 じっしょう したわけである。[ 6] これは、物質 ぶっしつ (Matter)の基本 きほん 的 てき な古典 こてん 的 てき 定義 ていぎ の一 ひと つである「物質 ぶっしつ は質量 しつりょう をもち、空間 くうかん を占有 せんゆう するもの」[ 7] という後者 こうしゃ の属性 ぞくせい を実証 じっしょう するものである。
プラトン
プラトン はイデア論 ろん を唱 とな え、永遠 えいえん 不変 ふへん なのはidea イデア である、としたのであるが、それに対 たい して物質 ぶっしつ をどのように見 み なしたかというと、永遠 えいえん に現実 げんじつ 的 てき なものではない、とした[ 5] 。物質 ぶっしつ 的 てき なものは「いつも生成 せいせい の過程 かてい の中 なか にあって、真実 しんじつ にあるものではない」(『ティマイオス 』27e-28a)としたのである。弁論 べんろん 術 じゅつ の方法 ほうほう と階層 かいそう 秩序 ちつじょ を用 もち いているイデア論 ろん は、部分 ぶぶん によって全体 ぜんたい を説明 せつめい するのではなく、全体 ぜんたい によって部分 ぶぶん を説明 せつめい する有 ゆう 機体 きたい 論 ろん 的 てき な傾向 けいこう を示 しめ している[ 5] 。
イデアは普遍 ふへん 的 てき 、絶対 ぜったい 的 てき 、永遠 えいえん 的 てき 、遍在 へんざい 的 てき 、可知 かち 的 てき 、調和 ちょうわ 的 てき で完全 かんぜん なものであったのに対 たい して、物質 ぶっしつ というのは特殊 とくしゅ 的 てき 、相対 そうたい 的 てき 、時間 じかん 的 てき 、局所 きょくしょ 的 てき で、混乱 こんらん し、不 ふ 協和 きょうわ で、欠陥 けっかん のあるものであった[ 5] 。
正 せい 四 よん 面体 めんてい
正 せい 八 はち 面体 めんてい
正 せい 二 に 十 じゅう 面体 めんてい
こうした見方 みかた をしていたにもかかわらずプラトンが原子 げんし 的 てき な構造 こうぞう についての仮説 かせつ も述 の べていた(『ティマイオス』53c-58c)と知 し ると多 おお くの人 ひと は驚 おどろ く[ 5] 。プラトンにおいては物質 ぶっしつ と空間 くうかん は《受容 じゅよう 体 たい 》として同一 どういつ 視 し された[ 5] 。彼 かれ の原子 げんし 的 てき な理論 りろん は、物質 ぶっしつ と空間 くうかん を同一 どういつ 視 し し、(材料 ざいりょう ではなく)幾何 きか 学 がく 的 てき 構造 こうぞう を用 もち いて説明 せつめい されている[ 5] 。彼 かれ はエンペドクレスの四 よん 元素 げんそ とテアイテトス が確立 かくりつ した五 いつ つの正 せい 立体 りったい を同一 どういつ 視 し した。正 せい 四 よん 面体 めんてい がひとつの「火 ひ 原子 げんし 」、正 せい 八 はち 面体 めんてい が2個 こ の「空気 くうき 原子 げんし 」、正 せい 二 に 十 じゅう 面体 めんてい が1個 いっこ の「水 みず 原子 げんし 」、だと考 かんが えた[ 5] 。①正方形 せいほうけい を半分 はんぶん にした三角形 さんかっけい ②正三角形 せいさんかっけい の半分 はんぶん の三角形 さんかっけい 、 これらを組 く み合 あ わせてできる幾何 きか 学 がく 的 てき 立体 りったい を用 もち いて幾何 きか 学 がく 的 てき な説明 せつめい を行 おこな ったのである[ 5] 。一 いち 個 こ の水 みず 原子 げんし (=正 せい 二 に 十 じゅう 面体 めんてい )は2個 こ の空気 くうき 原子 げんし (=正 せい 八 はち 面体 めんてい )および1個 いっこ の火 ひ 原子 げんし (=正 せい 四 よん 面体 めんてい )になることができる、ということになる。物質 ぶっしつ の秩序 ちつじょ に関 かん してこれほどまで幾何 きか 学 がく 的 てき な仮説 かせつ が提示 ていじ されているのは画期的 かっきてき なことである[ 5] 。
プラトンの物質 ぶっしつ 観 かん でもうひとつ重要 じゅうよう なのは《非 ひ 在 ざい 》という概念 がいねん である。彼 かれ はイデアという永遠 えいえん で完全 かんぜん に理解 りかい 可能 かのう な原型 げんけい を考 かんが えたわけであるが、だとするとその感覚 かんかく 的 てき 現 あらわ れが多様 たよう なのは何 なに によるものなのか? という疑問 ぎもん も生 しょう じるが、それを解決 かいけつ するために、《非 ひ 在 ざい 》がある(『ソピステス』241e)と述 の べる必要 ひつよう を感 かん じたのであった。(デモクリトス同様 どうよう に)充満 じゅうまん する存在 そんざい と対立 たいりつ する原理 げんり の必要 ひつよう 性 せい を感 かん じたのである[ 5] 。
なお新 しん プラトン主義 しゅぎ には「物質 ぶっしつ の慣性 かんせい 的 てき 受動 じゅどう 性 せい 」という概念 がいねん があるが、マックス・ヤンマー が「質量 しつりょう 」概念 がいねん の起源 きげん を探 さぐ った時 とき にたどり着 つ いたのはその概念 がいねん であった[ 5] 。
世界 せかい が物質 ぶっしつ だけからなるとか、全 すべ ての物事 ものごと は物質 ぶっしつ 的 てき 作用 さよう として説明 せつめい できると考 かんが える立場 たちば を唯物 ゆいぶつ 論 ろん などと呼 よ ぶ。唯物 ゆいぶつ 論 ろん という単語 たんご は、マルクス主義 まるくすしゅぎ のような思想 しそう や通俗 つうぞく 的 てき な信念 しんねん を反映 はんえい したものであり、通俗 つうぞく 的 てき な用法 ようほう が多 おお い。これとは異 こと なり、複数 ふくすう の実体 じったい を根本 こんぽん 原理 げんり とする実体 じったい 二元論 にげんろん もある。
これ以前 いぜん に、哲学 てつがく の分野 ぶんや では、機械 きかい 論 ろん 自体 じたい が絶対 ぜったい 的 てき なものではなく、生気 せいき 説 せつ も知 し られている。
物質 ぶっしつ もしくは物質 ぶっしつ 的 てき な対象 たいしょう が非 ひ 存在 そんざい であるとか、本質 ほんしつ に対置 たいち される概念 がいねん としての現象 げんしょう であるとする考 かんが え方 かた もある。代表 だいひょう 的 てき な研究 けんきゅう 者 しゃ としてバークリー の名 な を挙 あ げることが許 ゆる されるが、彼 かれ の哲学 てつがく は主観 しゅかん 的 てき 観念論 かんねんろん の典型 てんけい [ 8] であると看做 みな される。懐疑 かいぎ 論 ろん や不可知論 ふかちろん 、生気 せいき 説 せつ も哲学 てつがく の分野 ぶんや では、現代 げんだい でも主題 しゅだい になる。
ドルトン は原子 げんし 説 せつ を提唱 ていしょう し、アボガドロ は分子 ぶんし 説 せつ を提唱 ていしょう した。ラボアジェ による質量 しつりょう 保存 ほぞん 則 そく の確立 かくりつ 以来 いらい 、質量 しつりょう が物質 ぶっしつ を特徴 とくちょう づける本質 ほんしつ 的 てき な量 りょう と考 かんが えられるようになった。物質 ぶっしつ は置 お かれた条件 じょうけん により種々 しゅじゅ の相 あい 転移 てんい を起 お こす。特 とく に分子 ぶんし や原子 げんし が集 あつ まって構成 こうせい された多 おお くの物質 ぶっしつ は、固体 こたい ・液体 えきたい ・気体 きたい と呼 よ ばれる3つの相 そう をとる。それ以外 いがい にも、ボース=アインシュタイン凝縮 ぎょうしゅく 、超 ちょう 流動 りゅうどう 相 そう 、超 ちょう 臨界 りんかい 流体 りゅうたい などの特殊 とくしゅ な形態 けいたい をとることもある。
20世紀 せいき 初頭 しょとう までは、主 おも に哲学 てつがく の分野 ぶんや から派生 はせい して、物体 ぶったい の力学 りきがく 的 てき 運動 うんどう の法則 ほうそく など根元 ねもと 的 てき な原理 げんり の解明 かいめい を目的 もくてき とした物理 ぶつり 学 がく (Physics)と、中世 ちゅうせい や産業 さんぎょう 革命 かくめい 以降 いこう 、新 あら たな化合 かごう 物 ぶつ の合成 ごうせい 等 とう を主 おも な目的 もくてき として、より工学 こうがく 的 てき な要素 ようそ を伴 ともな って発展 はってん した化学 かがく (Chemistry)の境界 きょうかい は割合 わりあい に明確 めいかく であった。しかし原子 げんし の存在 そんざい が確認 かくにん されると、化学 かがく の分野 ぶんや において量子力学 りょうしりきがく 等 とう の理論 りろん を用 もち いて化合 かごう 物 ぶつ の構造 こうぞう や化学 かがく 反応 はんのう を解明 かいめい しようとする化学 かがく 物理 ぶつり 学 がく や、原子核 げんしかく 物理 ぶつり と化学 かがく が融合 ゆうごう した核 かく 化学 かがく と呼 よ ばれる分野 ぶんや が出現 しゅつげん した。現在 げんざい では、物理 ぶつり と化学 かがく の明確 めいかく な境界 きょうかい を見出 みいだ すことは難 むずか しく、主 おも に学校 がっこう 教育 きょういく における伝統 でんとう 的 てき な区分 くぶん が慣習 かんしゅう 的 てき に続 つづ いている側面 そくめん もある。
次 つぎ に化学 かがく 変化 へんか の例 れい を挙 あ げる。
化合 かごう - 化学 かがく 変化 へんか により複数 ふくすう の物質 ぶっしつ から、別 べつ の単純 たんじゅん な物質 ぶっしつ が生成 せいせい する過程 かてい 。
分解 ぶんかい - 化学 かがく 変化 へんか によりある物質 ぶっしつ から、複数 ふくすう の物質 ぶっしつ が生成 せいせい する過程 かてい 。
酸化 さんか
還元 かんげん
単 たん に複数 ふくすう の物質 ぶっしつ を混合 こんごう した場合 ばあい は物理 ぶつり 変化 へんか と見 み なされる。特 とく に粒子 りゅうし 同士 どうし の混合 こんごう や懸 かか 濁 にご 液 えき の調製 ちょうせい 、またはその逆 ぎゃく の分離 ぶんり 、は明確 めいかく に物理 ぶつり 変化 へんか と見 み なされる。だが分子 ぶんし レベルの混合 こんごう の場合 ばあい には化学 かがく 変化 へんか を伴 ともな う場合 ばあい もあり、化学 かがく 変化 へんか とも物理 ぶつり 変化 へんか とも断定 だんてい しにくい場合 ばあい もある。
次 つぎ の例 れい は典型 てんけい 的 てき な物理 ぶつり 変化 へんか である。古代 こだい 以前 いぜん から、これらの変化 へんか では材質 ざいしつ が変化 へんか しないと認識 にんしき されていたと考 かんが えられる。
物体 ぶったい の変形 へんけい 、破壊 はかい 、切断 せつだん 、接合 せつごう 、組 く み立 た て
目 め に見 み える混合 こんごう 固体 こたい 粒子 りゅうし と液体 えきたい 、固体 こたい 粒子 りゅうし 同士 どうし
次 つぎ の例 れい は、物 もの の性質 せいしつ の一部 いちぶ が変化 へんか するが現在 げんざい では物理 ぶつり 変化 へんか と認識 にんしき されているものである。
われわれの身 み の回 まわ りにある土 ど 、水 みず 、そして、空気 くうき 、あらゆるものが物質 ぶっしつ である。その物質 ぶっしつ は純 じゅん 物質 ぶっしつ と混合 こんごう 物 ぶつ に分類 ぶんるい できる。純 じゅん 物質 ぶっしつ とは混合 こんごう 物 ぶつ から単一 たんいつ の成分 せいぶん を分離 ぶんり ・精製 せいせい したものである。混合 こんごう 物 ぶつ は何 なに 種類 しゅるい かの物質 ぶっしつ が混 ま じったものである。自然 しぜん に存在 そんざい する物質 ぶっしつ のほとんどが混合 こんごう 物 ぶつ である。[ 9]
物質 ぶっしつ を化学 かがく 的 てき 概念 がいねん で分類 ぶんるい する場合 ばあい 、化学 かがく 物質 ぶっしつ とい表 いあらわ される。
物質 ぶっしつ が単一 たんいつ の主 しゅ たる成分 せいぶん (化学 かがく 物質 ぶっしつ )で構成 こうせい される場合 ばあい は「純 じゅん 物質 ぶっしつ 」、複数 ふくすう の主成分 しゅせいぶん から構成 こうせい される場合 ばあい は「混合 こんごう 物 ぶつ 」と呼 よ ばれる。なお、純 じゅん 物質 ぶっしつ の微量 びりょう 副 ふく 成分 せいぶん は不純物 ふじゅんぶつ と呼 よ ばれ、不純物 ふじゅんぶつ と混合 こんごう 物 ぶつ とは存在 そんざい 比 ひ の程度 ていど の差 さ であり、その境界 きょうかい は曖昧 あいまい である。
物質 ぶっしつ の成分 せいぶん が同一 どういつ であっても化学 かがく 構造 こうぞう の違 ちが いにより異 こと なる化学 かがく 物質 ぶっしつ となる。
同素体 どうそたい - 同 どう 一 いち 元素 げんそ の単体 たんたい で化学 かがく 構造 こうぞう が異 こと なり物理 ぶつり 的 てき 性質 せいしつ (物性 ぶっせい )が異 こと なる物質 ぶっしつ 。
異性 いせい 体 たい - 分子 ぶんし の内部 ないぶ 構造 こうぞう が異 こと なる化学 かがく 物質 ぶっしつ 。
相 あい 変態 へんたい - 金属 きんぞく など圧力 あつりょく や温度 おんど により結晶 けっしょう 構造 こうぞう が変化 へんか した化学 かがく 物質 ぶっしつ 。
構成 こうせい する原子 げんし の核種 かくしゅ が異 こと なるものを「同位 どうい 体 たい 」と呼 よ ぶ。同位 どうい 体 たい は化学 かがく 的 てき 性質 せいしつ は同一 どういつ で物性 ぶっせい もほとんど同一 どういつ である為 ため 、同位 どうい 体 たい は化学 かがく 物質 ぶっしつ の違 ちが いとしては通常 つうじょう は区別 くべつ しない。放射線 ほうしゃせん に関 かん する物性 ぶっせい など特定 とくてい の用途 ようと に用 もち いる場合 ばあい はどの同位 どうい 体 たい であるかを区別 くべつ する。
物質 ぶっしつ は通常 つうじょう 、巨視的 きょしてき には電荷 でんか を帯 お びていない。化学 かがく 変化 へんか により永続 えいぞく 的 てき な電荷 でんか をもつ原子 げんし ・分子 ぶんし を「イオン 」と呼 よ ぶ。イオンは正 せい と負 まけ とでイオン対 たい を形成 けいせい し、見 み かけ上 じょう は電荷 でんか を帯 お びていない状態 じょうたい で安定 あんてい 化 か している(高温 こうおん 化 か において原子核 げんしかく と分子 ぶんし との結合 けつごう が乖離 かいり した状態 じょうたい が「プラズマ 」)
物質 ぶっしつ は、ビッグバン により始 はじ まったエネルギー の形態 けいたい 分化 ぶんか の枝 えだ の1つを成 な している。
ビッグバン仮説 かせつ によれば、ビッグバンにより始 はじ まったエネルギーは、やがて素粒子 そりゅうし を生 う み出 だ し、素粒子 そりゅうし が結合 けつごう して原子 げんし となる。宇宙 うちゅう 初期 しょき には水素 すいそ やヘリウム といった最 もっと も軽 かる い元素 げんそ が作 つく られたと考 かんが えられている。これらの軽 けい 元素 げんそ からなる雲 くも は重力 じゅうりょく の影響 えいきょう により原始 げんし 星 ぼし を通 つう じて恒星 こうせい となる。より重 おも い鉄 てつ や珪素 けいそ 、我々 われわれ の体 からだ を構成 こうせい する炭素 たんそ や窒素 ちっそ などの元素 げんそ は恒星 こうせい 内部 ないぶ での核 かく 融合 ゆうごう 反応 はんのう で生成 せいせい し、超新星 ちょうしんせい 爆発 ばくはつ により恒星 こうせい 間 あいだ 空間 くうかん にばらまかれた。また、鉄 てつ より重 おも い元素 げんそ は超新星 ちょうしんせい 爆発 ばくはつ 時 じ に生成 せいせい したと考 かんが えられている。
ディラック方程式 ほうていしき によれば、物質 ぶっしつ を構成 こうせい するあらゆるスピン角 かく 運動 うんどう 量 りょう 1/2 の粒子 りゅうし と対 たい をなす、反 はん 粒子 りゅうし が存在 そんざい する。電子 でんし の反 はん 粒子 りゅうし を陽電子 ようでんし 、陽子 ようし の反 はん 粒子 りゅうし を反 はん 陽子 ようし 、中性子 ちゅうせいし の反 はん 粒子 りゅうし を反 はん 中性子 ちゅうせいし と呼 よ ぶ。反 はん 粒子 りゅうし は、粒子 りゅうし とは符号 ふごう が逆 ぎゃく の電荷 でんか をもつ。こうした反 はん 粒子 りゅうし で構成 こうせい された原子 げんし のことを反 はん 物質 ぶっしつ とよぶ。物質 ぶっしつ は反 はん 物質 ぶっしつ と衝突 しょうとつ すると対 たい 消滅 しょうめつ を起 お こし、両者 りょうしゃ は消 き えて、光子 こうし や中間子 ちゅうかんし など別 べつ の粒子 りゅうし に変化 へんか して放出 ほうしゅつ される。
^ Richard Moyer, Lucy Daniel et al. McGRAW-HILL Science Macmillan/McGraw-Hill Edition, 2002, ISBN 0-02-280036-0
^ ブルーバックス 新 あたら しい高校 こうこう 化学 かがく の教科書 きょうかしょ ー現代 げんだい 人 じん のための高校 こうこう 理科 りか ―, 佐伯 さえき 健夫 たけお , 2006, 株式会社 かぶしきがいしゃ 講談社 こうだんしゃ , ISBN 4062575086
^ a b c d 大辞泉 だいじせん
^ a b c d e 西洋 せいよう 思想 しそう 大 だい 事典 じてん vol.4、平凡社 へいぼんしゃ 1990 ハロルド・ジョンソン Harold J. Johnson『物質 ぶっしつ 概念 がいねん の変遷 へんせん 』 pp.88
^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w 西洋 せいよう 思想 しそう 大 だい 事典 じてん vol.4、平凡社 へいぼんしゃ 1990 ハロルド・ジョンソン Harold J. Johnson『物質 ぶっしつ 概念 がいねん の変遷 へんせん 』 pp.88-92
^ Lee R, Summerlin, Christie L. Borgford, and Julie B. Ealy "Chemical Demonstration", A Sourcebook for Teachers Volume 2, Second Edition , American Chemical Society, 1988
^ Sarquis and Sarquis, "Modern Chemistry", Houghton Mifflin Harcourt Publishing Company, 2017
^ 岩波書店 いわなみしょてん 『広辞苑 こうじえん 』
^ 竹内 たけうち 敬人 よしと 他 た 「改訂 かいてい 化学 かがく 基礎 きそ 」東京書籍 とうきょうしょせき . 平成 へいせい 30年 ねん . ISBN 978-4-48716547-6
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