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情報 - Wikipedia

情報じょうほう

らされられるもの、データや知識ちしき伝達でんたつ

情報じょうほう(じょうほう、英語えいご: informationラテン語らてんご: informatio)とは

  1. あるものごとの内容ないよう事情じじょうについてのらせ[1]のこと。
  2. 文字もじ数字すうじなどの記号きごうシンボル媒体ばいたいによって伝達でんたつされ、において、状況じょうきょうたいする知識ちしきをもたらしたり、適切てきせつ判断はんだんたすけたりするもの[1]のこと。
  3. 生体せいたいはたらくためにもちいられている指令しれい信号しんごう[1]のこと。
  4. 情報じょうほう理論りろん通信つうしん理論りろん)での用法ようほう価値かち判断はんだんのぞいて、量的りょうてき存在そんざいとしてとらえたそれ

概説がいせつ 編集へんしゅう

情報じょうほうとはなにかといういに、ただひとつのこたえをあたえることは困難こんなんである[2]

対応たいおうする英語えいごの "information" は、informの名詞めいしがたであり、(しんにおいて)form(かたち)をあたえる、といった意味いみがあり、語源ごげんとしてはラテン語らてんごのinformationem(=しん精神せいしんかたちあたえる)、さらに語源ごげんさかのぼれば、ギリシャのeidosというかたりにもさかのぼり、プラトンによるideaイデアろんにおける用法ようほうにもさかのぼることができる。

情報じょうほうという用語ようごは、informationは歴史れきしてきると哲学てつがくてき意味いみ継承けいしょうしている。が、近代きんだいでは、1の意味いみの、事象じしょう事物じぶつ過程かてい事実じじつなどの対象たいしょうについてりえたこと、つまり「らせ」の意味いみひろ使つかわれてきた。20世紀せいき、1940年代ねんだいまでの日常にちじょう言語げんごでは、情報じょうほう諜報ちょうほうちか意味いみなされ、なんらかの価値かちあることをったとき「情報じょうほうた」といったようにもちいていた[2]。《価値かち》とむすびつけられたものを《情報じょうほう》としていたわけである。

1の意味いみでの情報じょうほうは「情報じょうほう交換こうかんする[1]」「情報じょうほうなが[1]」「情報じょうほうれる[1]」「極秘ごくひ情報じょうほう[1]」などのようにもちいられている[1]

2の意味いみ情報じょうほうは、「情報じょうほう時代じだい[1]」「情報じょうほう社会しゃかい」のようにもちいられている。

3の意味いみでの情報じょうほうは、生体せいたい神経しんけいけいのそれ[1]や、内分泌ないぶんぴつけいホルモン情報じょうほう[1]などの生体せいたいシグナルのほかにも、遺伝子いでんし保持ほじされているそれ、あるいは生命せいめいきる過程かてい遺伝子いでんし細胞さいぼうないあらたにくわえられたりきかえられたりするそれ[3]で、ほかにも環境かんきょうなかひかりおと生命せいめい影響えいきょうあたえうるあらゆるものを「情報じょうほう」とみなすことができる。

情報じょうほうという概念がいねんは、生命せいめいしん知識ちしき意味いみ、パターン、知覚ちかく知識ちしき表現ひょうげん教育きょういく通信つうしんコミュニケーション制御せいぎょ等々とうとう概念がいねん密接みっせつ関連かんれんしているのである。

以上いじょうのように混沌こんとんとしたかたられかたをするものではあるがまた一方いっぽうで、情報じょうほう理論りろんって、意味いみとの対応たいおうけを完全かんぜん外部がいぶし、シンボルならべたれつであり[4]情報じょうほうりょうとしてはかられるものが情報じょうほうである。と、捨象しゃしょうしてしまうかんがかたもまたある。これは、たとえるならば、自動車じどうしゃエンジンについて技術ぎじゅつてき工学こうがくてき進歩しんぽがあった結果けっか科学かがくてき理論りろんてきエントロピーなどといったかたち理論りろんてき抽象ちゅうしょうてき整理せいりされ、ぎゃくにその理論りろんがわから技術ぎじゅつてき工学こうがくてきがわにアプローチがされるようになったものとている、とえるかもしれない[5]。しかし、「通信つうしん技術ぎじゅつコンピュータ自動じどう制御せいぎょ装置そうち等々とうとう開発かいはつされたことによって、この意味いみでの《情報じょうほう》という概念がいねんあらたに形成けいせいされたのである」[5]などといった記述きじゅつられることもあるようだが、『通信つうしん数学すうがくてき理論りろん』がかれたのは1940年代ねんだい後半こうはんであり、通信つうしんこそ発展はってんしていたが「コンピュータ、自動じどう制御せいぎょ装置そうち等々とうとう開発かいはつ」よりもまえのことで(最初さいしょのコンピュータは誕生たんじょうしていたが、情報じょうほう理論りろん誕生たんじょううながすような直接ちょくせつ関連かんれんがあったとはいにくい)、すくなくとも科学かがくてきにはそのような記述きじゅつなにかを誤解ごかいしているものとおもわれる。

日本語にほんご単語たんごの「情報じょうほう 編集へんしゅう

日本語にほんごの「情報じょうほう」は1876ねん明治めいじ9ねん)に出版しゅっぱんされた『ふつこく歩兵ほへい陣中じんちゅう要務ようむ實地じっち演習えんしゅう軌典』[6]において、仏語ふつご renseignement (案内あんない情報じょうほう)の訳語やくごとして「てきじょうほうする」意味いみもちいられたのが最初さいしょである[7]英語えいごintelligenceの意味いみでの「情報じょうほう」のかたり使用しようは、外務省がいむしょう国際こくさい情報じょうほう統括とうかつかん組織そしき防衛ぼうえいしょう情報じょうほう本部ほんぶなどの情報じょうほう機関きかんに、現在げんざいでもられる[8]

informationのわけとしては、19世紀せいきにはまだ情報じょうほうというかたりをあてることはされていない。たとえば、1879ねん明治めいじ12ねんかん民情みんじょう一新いっしん』で、福澤ふくさわ諭吉ゆきちはinformationの社会しゃかいてき影響えいきょうについてろんじたが、当時とうじ日本語にほんご対応たいおうする訳語やくご存在そんざいせず「インフォルメーション」(59ページ最終さいしゅうぎょう)と仮名書かながきしている。

ただしこのあいだずっと、intelligenceの意味いみでしか使つかわれていなかった、とする主張しゅちょう事実じじつ誤認ごにんとみてよい。実際じっさいによりひろ意味いみで「情報じょうほう」のかたり使つかわれているれいもあり、たとえば1940ねん昭和しょうわ15ねん発足ほっそく組織そしき名前なまえ情報じょうほうきょく」(いわゆる内閣ないかく情報じょうほうきょく)がある。また、太平洋戦争たいへいようせんそう以前いぜん現在げんざいとほぼ同様どうよう感覚かんかくで「情報じょうほう」のかたり使つかわれているのを、たとえば海野うみの十三じゅうざ作品さくひんちゅうなどにることができる。

詳細しょうさいについては、情報処理じょうほうしょり学会がっかい創立そうりつ45周年しゅうねん記念きねんとして、どう学会がっかい学会がっかい情報処理じょうほうしょり』に寄稿きこう掲載けいさいされた、「情報じょうほうという言葉ことばたずねて」(1)~(3)によいまとめがある。[9]

生命せいめい情報じょうほう 編集へんしゅう

多様たよう意味いみ 編集へんしゅう

冒頭ぼうとう説明せつめいしたように、生命せいめいかかわる情報じょうほうとしては、神経しんけいけいのそれ[1]や、内分泌ないぶんぴつけいホルモン情報じょうほう[1]身体しんたいなか細胞さいぼう同士どうしが、神経しんけいシステムをもちいずに、微量びりょう物質ぶっしつによっておこなっている、じかにやりとりしているそれ)、遺伝子いでんし保持ほじされているそれ、あるいは生命せいめいきる過程かてい遺伝子いでんし細胞さいぼうないあらたにくわえられたりきかえられたりするそれ[3]げられる。ほかにも環境かんきょうなかひかりおと生命せいめい影響えいきょうあたえうるあらゆるものを「情報じょうほう」とみなすことができる。DNAやRNAがっている情報じょうほうリボソームなどが翻訳ほんやくし、タンパク質たんぱくしつ合成ごうせいされる。

のうなか発生はっせいする意識いしきも、のう器官きかんごとの情報処理じょうほうしょり統合とうごうされて発生はっせいしているものだとかんがえられている。(意識いしき相関そうかんするのう活動かつどう)(統合とうごう情報じょうほう理論りろん)

感覚かんかくへの入力にゅうりょくだけとする限定げんていてき解釈かいしゃく 編集へんしゅう

一部いちぶひとは「情報じょうほうは、生物せいぶつ有機ゆうきてきシステムへの入力にゅうりょく」と限定げんていてき解釈かいしゃくする場合ばあいがある。さらにDusenberyは入力にゅうりょくを2つに分類ぶんるいしてかんがえた。あるしゅ入力にゅうりょくはその生物せいぶつたとえば、食物しょくもつ)やシステム(たとえば、エネルギー)が機能きのう維持いじするのに重要じゅうよう役割やくわりたす。Dusenberyは著書ちょしょSensory Ecology[10](1992)のなかでそのような入力にゅうりょくを「原因げんいん入力にゅうりょく (causal input)」 としょうした。入力にゅうりょく情報じょうほう)は原因げんいん入力にゅうりょくとの関連かんれんせいにおいてのみ重要じゅうようであり、将来しょうらい、いつどこで原因げんいん入力にゅうりょくられるのかを予測よそくするやくつ。一部いちぶ情報じょうほう情報じょうほうとの関連かんれんにおいて重要じゅうようだが、最終さいしゅうてきには原因げんいん入力にゅうりょくとの関連かんれんがなければ意味いみがない、という。実際じっさい情報じょうほう通常つうじょう よわ刺激しげきとしてなんらかの感覚かんかくシステム検出けんしゅつされ、エネルギー入力にゅうりょくによって増幅ぞうふくされてから生物せいぶつ装置そうちにとって意味いみのあるものになる。たとえば、植物しょくぶつにとってひかり原因げんいん入力にゅうりょくであることがおおいが、動物どうぶつにとっても情報じょうほう提供ていきょうする。はな反射はんしゃする特定とくていいろひかり光合成こうごうせいおこなうにはよわすぎるが、ミツバチ視覚しかくはそのひかり検出けんしゅつし、みつ花粉かふんという原因げんいん入力にゅうりょくつけるのに使つかう。植物しょくぶつがわかられば、そのような情報じょうほう発信はっしんすることでミツバチをせ、受粉じゅふん手伝てつだわせるという意味いみがある。

情報じょうほう判断はんだん意識いしき有無うむ 編集へんしゅう

一般いっぱんシステム理論りろん見解けんかい 編集へんしゅう

1945ねん提唱ていしょうされた「一般いっぱんシステム理論りろん」は、その科学かがくてき工学こうがくてき部分ぶぶんシステム科学かがくシステム工学こうがくとしてひろ発展はってん発展はってんてき解消かいしょうのようになったため、以下いかもっぱ哲学てつがくてき議論ぎろんであるが、情報じょうほうを「なんらかの「パターン」」だと「なす」。パターンがべつのパターンの生成せいせい変換へんかん影響えいきょうあたえる、となす。一般いっぱんシステム理論りろんというかんがかたでは、パターンを知覚ちかくする意識いしき理論りろんふくまれておらず、パターンを評価ひょうかする必要ひつようもない、とかんがえる。たとえばDNAについててみると、ヌクレオチド配列はいれつ有機ゆうきたい形成けいせい発育はついく影響えいきょうあたえる。一般いっぱんシステム理論りろんにおける《情報じょうほう》はこうした用法ようほうもちいられており、意識いしきがなくとも情報じょうほう存在そんざいする、として、システムないを(フィードバックによって)循環じゅんかんするパターンを情報じょうほうぶことができる、とかんがえる。

ひと場合ばあい実際じっさい  編集へんしゅう

情報じょうほう」と「知識ちしき」の複雑ふくざつ定義ていぎ意味いみてき論理ろんりてき分析ぶんせきむずかしいが、情報じょうほうから知識ちしきへの変換へんかん条件じょうけん重要じゅうようなポイントであり、とくナレッジマネジメントにおいて重要じゅうようである。知的ちてき労働ろうどうしゃ調査ちょうさ判断はんだんくだすとき、つぎのような過程かている。

  • 効率こうりつてき価値かち意味いみすために情報じょうほう吟味ぎんみする。
  • 可能かのうならばメタデータ参照さんしょうする。
  • かんがえられるおおくの文脈ぶんみゃくなかから、適切てきせつ文脈ぶんみゃく確立かくりつする。
  • その情報じょうほうからあらたな知識ちしきす。
  • られた知識ちしきから、なんらかの意思いし決定けっていまたは推奨すいしょうおこなう。

Stewart (2001)[11] は、情報じょうほうから知識ちしきへの変換へんかん現代げんだい企業きぎょうにとって価値かち創造そうぞう競争きょうそうりょく中核ちゅうかくでありもっと重要じゅうようなものだ、とした。

マーシャル・マクルーハンメディアとその文化ぶんかてき影響えいきょうについて、様々さまざま人工じんこうぶつ構造こうぞう参照さんしょうし、それらが人類じんるい行動こうどう思考しこう様式ようしき形成けいせいしているとした。また、そういう意味いみフェロモンも「情報じょうほう」だとわれることがおおい。

生態せいたいがくてき情報じょうほう 編集へんしゅう

環境かんきょうちゅう個体こたい活動かつどうするという生態せいたいがくてき事実じじつを、情報じょうほう概念がいねんによってとらえるきもある。

1950年代ねんだい米国べいこく心理しんり学者がくしゃJ.J.ギブソンは《刺激しげき情報じょうほう》《アフォーダンス》という概念がいねん提唱ていしょうした[2]情報じょうほう人間にんげんとはべつにいわば“環境かんきょう”のがわ存在そんざいし、そこに意味いみ価値かち (アフォーダンス) が存在そんざいすることを知覚ちかくしゃらせる、というかんがかたであり、《情報じょうほう》の概念がいねん理解りかいするには《環境かんきょう》と《人間にんげん》の関係かんけい考慮こうりょすることが重要じゅうようであるというめんから把握はあくされたのである[2]

物事ものごと関係かんけいせい記述きじゅつしている文書ぶんしょ、またはその状態じょうたい情報じょうほうである。

物理ぶつり情報じょうほう宇宙うちゅう 編集へんしゅう

マクスウェルの悪魔あくまという1867ねんごろに考案こうあんされ、20世紀せいきにも議論ぎろんおこなわれた思考しこう実験じっけんに、情報じょうほうかかわっている。この実験じっけんでは、情報じょうほうエントロピー直接的ちょくせつてき関係かんけいしめされている。この思考しこう実験じっけんながらく難問なんもんとして議論ぎろんまととなっていたが、1980年代ねんだいに、けいのエントロピーを増大ぞうだいさせずに情報じょうほう破壊はかいすることはできない、との見解けんかいたっした。エントロピーの増大ぞうだいとは、一般いっぱんてきにはねつ発生はっせい意味いみする。このかんがかた論理ろんり回路かいろ適用てきようすると、ANDゲート発生はっせいするねつエネルギーの理論りろんてき最小さいしょうNOTゲートのそれよりもおおきいということになる(ANDゲートは2ビットを入力にゅうりょくとして1ビットを出力しゅつりょくするため、情報じょうほう破壊はかいされているが、NOTゲートではたん反転はんてんさせるだけで情報じょうほう破壊はかいされていないため)。こういった理論りろん量子りょうしコンピュータとも関連かんれんする(可逆かぎゃく計算けいさん)。

量子りょうしもつれ現象げんしょうによって、2つの粒子りゅうし分離ぶんりして参照さんしょうされていない状態じょうたいで、あるしゅの、光速こうそくえて「情報じょうほう」がもたらされる、ようにえる現象げんしょうがある(「相互そうご作用さよう」ではない)。2つの粒子りゅうしはなれ、一方いっぽう粒子りゅうし観測かんそくされて量子りょうし状態じょうたい決定けっていされたとすると、自動的じどうてき他方たほう粒子りゅうし量子りょうし状態じょうたい決定けっていされる(ベルの不等式ふとうしきやぶれ)。

しかし、これを利用りようして情報じょうほう間接かんせつてきであっても光速こうそくえて伝達でんたつすることはできない。アリスとボブがはなれた場所ばしょるものとし、たがいにもつれの状態じょうたいにある量子りょうしがそれぞれの手元てもとにあるものとする。アリスがその量子りょうし観測かんそくすることで、ボブの手元てもとにある量子りょうしについての情報じょうほうも、アリスはることができる。しかしその情報じょうほうにもとづいてボブが手元てもと量子りょうしなにかをするためには、なんらかの(古典こてんてきな)方法ほうほうでアリスからその情報じょうほうおくってもらう以外いがい手段しゅだんい。まとめると、観測かんそくによって、なにか「光速こうそくえた情報じょうほう伝達でんたつ」のようなことがきるわけではない。

なお、極端きょくたんな(しかし検証けんしょう可能かのうせいい)仮説かせつとしては、我々われわれ宇宙うちゅう物理ぶつり世界せかい情報処理じょうほうしょりてきな「シミュレーション」である、といったようなものもある(デジタル物理ぶつりがく)。

量子りょうし重力じゅうりょく理論りろん実現じつげんすると期待きたいされているちょうつる理論りろんは、ブラックホールねつ力学りきがく解析かいせきまれたホログラフィック原理げんり関連かんれんし、その原理げんりは「ちょん宇宙うちゅう宇宙うちゅう地平ちへいめんうええがかれた2次元じげん情報じょうほう構造こうぞうなせる」という。

また2000年代ねんだいはいってからは、量子りょうし情報じょうほうから時空じくうあいだ創発そうはつするという理論りろんてき仮説かせつがっている。

情報じょうほう理論りろん数学すうがく 編集へんしゅう

 
"Wikipedia" というかたりASCIIコードを二進法にしんほう表現ひょうげんしたもの。二進法にしんほう情報じょうほうのエレクトロニクスにおいて、ほとんどの場面ばめん使つかわれている。

価値かち判断はんだんのぞいた)情報じょうほうりょうてき側面そくめん情報じょうほうりょう)については、コルモゴロフらによる確率かくりつろん確立かくりつといった背景はいけいもあるわけであるが、1948ねんシャノンによって形式けいしきされ[2]、こんにちでは「情報じょうほう理論りろん」とばれている。たとえば、天気てんきに「れ」「くもり」「あめ」「ゆき」の4つの選択肢せんたくしがあり、いずれのかくりつおな場合ばあいは、「れ」であることがわかれば、  = 2ビット情報じょうほうられたことになる、とかんがえるわけである[2]

このようにとらえた「情報じょうほう」からは、価値かちてき側面そくめんてられてしまっており、すでに「情報じょうほう」という言葉ことば日常にちじょうてき用法ようほうとは合致がっちしないが、それとはべつのひとつの用法ようほうしめしている。

しかし、そもそも情報じょうほうの「価値かち」とはなんなのか、という議論ぎろん追加ついかする必要ひつようがある。前述ぜんじゅつの4種類しゅるい天候てんこうが、それが天気てんき予報よほうとしての情報じょうほうならば、情報じょうほう理論りろんでは全体ぜんたいにおけるかくりつたかいものほど情報じょうほうりょうすくなく、かくりつひくいものほど情報じょうほうりょうおおいとしてあつかう。たとえばそれが、沖縄おきなわけん静岡しずおかけん平野へいや天気てんきについてであった場合ばあいは、「ゆき」である可能かのうせいきわめてひくいため、「ゆき」の場合ばあい情報じょうほうりょうおおい、ということになる。これは日常にちじょうてき感覚かんかくにも合致がっちしているし、可逆かぎゃくデータ圧縮あっしゅく原理げんりとして日常にちじょうてき応用おうようされてもいる。

情報じょうほう通信つうしん 編集へんしゅう

情報じょうほう理論りろん背景はいけいには「情報じょうほう通信つうしん」がある(シャノンの論文ろんぶんのタイトルは「通信つうしん数学すうがくてき理論りろん」であった)。

情報じょうほう科学かがく情報じょうほう工学こうがく 編集へんしゅう

情報じょうほうという言葉ことば現在げんざいのように多義たぎてきもちいられるようになったのは1940年代ねんだい以降いこう通信つうしん工学こうがく制御せいぎょ工学こうがくコンピュータ科学かがくひとし発展はってんうところがおおきい[2]

様々さまざま分野ぶんやでの情報じょうほうにかかわる科学かがくてき研究けんきゅう結果けっかとして、情報じょうほう科学かがくてき方法ほうほうろんによってあつか情報じょうほう科学かがく次第しだいかたちづくられてきたのである[2]

自然しぜん科学かがくにおいては、物質ぶっしつについては物質ぶっしつ科学かがくによって、エネルギーについてはエネルギー科学かがくによって、科学かがく領域りょういきつくされた物理ぶつり法則ほうそく還元かんげんして説明せつめいできるとしばしばしんじられているが、《情報じょうほう》というのはそうした物質ぶっしつ科学かがくやエネルギー科学かがくあつかえるものとはべつ存在そんざいとして(物理ぶつり法則ほうそくではあつかえない存在そんざいとして)、情報じょうほう科学かがくというべつ科学かがくあつかうべき存在そんざいとされるようになった[2]意味いみ関連かんれんのある《情報じょうほう》という存在そんざいあつか情報じょうほう科学かがくは20世紀せいき最大さいだい知的ちてき遺産いさんのひとつである[2]ともかんがえられている。

情報じょうほうという実体じったいのないものを、幾何きかがくとしてとらえる「情報じょうほう幾何きかがく」とばれる学問がくもん甘利あまり俊一しゅんいちによって提案ていあんされている。この学問がくもん統計とうけい物理ぶつりがく人工じんこう知能ちのうといった分野ぶんや応用おうよう可能かのうである。

工業こうぎょう規格きかくじょう定義ていぎ 編集へんしゅう

情報処理じょうほうしょり用語ようご工業こうぎょう規格きかくとしては、国際こくさい規格きかく ISO/IEC 2382-1 およびそれと一致いっちしている日本工業規格にほんこうぎょうきかく JIS X 0001(情報処理じょうほうしょり用語ようご基本きほん用語ようご)において、「情報じょうほう」の用語ようご定義ていぎは "Knowledge concerning objects, such as facts, events, things, processes, or ideas, including concepts, that within a certain context has a particular meaning." つまり「事実じじつ事象じしょう事物じぶつ過程かてい着想ちゃくそうなどの対象たいしょうぶつかんしてたことであって、概念がいねんふくみ、一定いってい文脈ぶんみゃくちゅう特定とくてい意味いみをもつもの」とされている。

ほうにおける情報じょうほう定義ていぎ 編集へんしゅう

法学ほうがく博士はかせ白田しろたしげるあきら調査ちょうさ研究けんきゅう[12]によると、日本にっぽんにおける法律ほうりつ判例はんれいうえにおける「情報じょうほう」の意味いみはおおむねつぎ傾向けいこうがあるとされる。

  • 法律ほうりつにおいては、おおむね電子でんし計算けいさんうえの「データ」と同義どうぎもちいられる。
  • 行政ぎょうせい事件じけん判例はんれいにおいては、電子でんし計算けいさん書類しょるいなど媒体ばいたいにかかわらず、記録きろく一般いっぱんしめ上位じょうい概念がいねんとして使用しようされている。
  • 民事みんじ事件じけん判例はんれいにおいては、「記録きろく一般いっぱん」にかぎらず、幅広はばひろく「らせ」や「知識ちしき」の総体そうたいしめ上位じょうい概念がいねんとして使用しようされるが、社会しゃかい一般いっぱんにおける「情報じょうほう」という単語たんご曖昧あいまいせいにひきづられるように、曖昧あいまい平易へいいもちいられる傾向けいこうにある。

経済けいざいざいとしての情報じょうほう 編集へんしゅう

経済けいざいざいとしての情報じょうほうには、以下いかのような性質せいしつがある[13]

  • 複製ふくせい容易よういである‥‥‥通常つうじょうざいは、もうひとつくろうとすれば、自動車じどうしゃをもう1だいつく場合ばあいのように、それなりの部品ぶひん作業さぎょう必要ひつようであるが、情報じょうほう場合ばあい複製ふくせい容易よういである。
  • 取引とりひき可逆かぎゃくである‥‥‥通常つうじょうざいは、いったん取引とりひきしても、もと状態じょうたいもどすことは不可能ふかのうではないが、情報じょうほう場合ばあいは、いったんわたせば、おぼえるなどの方法ほうほうにより、もと状態じょうたいもどせない場合ばあいおおい。
  • 情報じょうほう価値かちは、おおくのひとっているかどうかによってわる‥‥‥おおくのひとっている情報じょうほう価値かちちいさく、だれらない情報じょうほう価値かちおおきいことがおおい。
  • 情報じょうほうは、分割ぶんかつ困難こんなんなことがおおい‥‥‥データてき情報じょうほうは、分割ぶんかつ可能かのうであるが、アイデアの核心かくしんのような情報じょうほうは、分割ぶんかつ困難こんなんである。
  • 情報じょうほう生産せいさん確実かくじつであることがおおい‥‥‥温度おんど記録きろくなど、データてき情報じょうほうは、確実かくじつ生産せいさんされるが、発明はつめい発見はっけんは、確実かくじつにしかおこなわれない。
  • 情報じょうほう消費しょうひには確実かくじつせいがある‥‥‥ほん映画えいがのように、情報じょうほう購入こうにゅうして内容ないようるまで、その価値かち正確せいかくにはからない。

記録きろくとしての情報じょうほう 編集へんしゅう

記録きろく情報じょうほうとくした形態けいたいの1つである。記録きろくとは、経済けいざい活動かつどう取引とりひき副産物ふくさんぶつとしてされ、その価値かちみとめられて保持ほじされている情報じょうほうである。そのしゅたる価値かちとは、その組織そしき活動かつどう証拠しょうことしての価値かちだが、情報じょうほうとしての価値かちから保持ほじされることもある。記録きろく管理かんり記録きろく完全かんぜんせい保証ほしょうし、それらを必要ひつようなだけ長期間ちょうきかんわたって保持ほじすることを目的もくてきとする。

記録きろく管理かんりにおける国際こくさい標準ひょうじゅんとして ISO 15489 がある。そのなかでは記録きろくを「組織そしきまたは個人こじん法律ほうりつじょう義務ぎむしたがって、または業務ぎょうむじょう取引とりひきにおいて、証拠しょうことして作成さくせいし、り、維持いじする情報じょうほう」と定義ていぎしている。International Committee on Archives (ICA) は電子でんしてき記録きろくかんする国際こくさい組織そしきであり、記録きろくを「なんらかの活動かつどう開始かいし遂行すいこう完了かんりょうかく段階だんかいにおいて生成せいせい収集しゅうしゅう受信じゅしんされた特定とくてい記録きろく情報じょうほうであり、十分じゅうぶん内容ないよう構造こうぞうゆうしていて、その活動かつどう証拠しょうことなるもの」と定義ていぎしている。

情報じょうほう記号きごうがく 編集へんしゅう

Beynon-Davies[14][15]は、記号きごうおよび信号しんごう-記号きごうけいにおける情報じょうほう多面ためんてき概念がいねん提唱ていしょうした。記号きごう自体じたい記号きごうがくにおける4つの相互そうご依存いぞんしたレベル、そう分野ぶんや、すなわちかたりようろん意味いみろん統語とうごろん・Empiricsにおいて考慮こうりょされる。これらの4つのそうは、社会しゃかい物理ぶつり世界せかい技術ぎじゅつ世界せかい接続せつぞくする役目やくめになっている。

かたりようろんは、通信つうしんやコミュニケーションの目的もくてきあつかう。かたりようろんは、記号きごう発行はっこう記号きごう使つかわれる文脈ぶんみゃくとを接続せつぞくするものである。かたりようろん注目ちゅうもくするのは、コミュニケーションをおこなおうとするもの意図いとである。いいかえれば、かたりようろん言語げんご行為こういむすびつける[16]

意味いみろんは、コミュニケーション行為こういによって伝達でんたつされるメッセージの意味いみあつかう。意味いみろんはコミュニケーションの内容ないよう考察こうさつする。意味いみろん記号きごう意味いみ研究けんきゅうするもので、記号きごう行為こうい関係かんけい研究けんきゅうするものである。意味いみろん記号きごうとそれが概念がいねん指示しじぶつ関係かんけいとく記号きごう人間にんげん行為こうい関係かんけい研究けんきゅうするものである。

統語とうごろんはメッセージを表現ひょうげんするさい使つかわれる形式けいしきあつかう。統語とうごろんはコミュニケーションにおける記号きごう体系たいけい論理ろんり文法ぶんぽう研究けんきゅうする分野ぶんやである。統語とうごろん記号きごう記号きごう体系たいけい内容ないようよりも形式けいしき研究けんきゅうする分野ぶんやである。

Empiricsはメッセージを伝達でんたつする信号しんごう通信つうしん媒体ばいたい物理ぶつり特性とくせいについての研究けんきゅうである。Empiricsは通信つうしんとその属性ぞくせいたとえば、おとひかり電子でんしなど)を研究けんきゅうする分野ぶんやである。

Nielsen (2008)[17]では、辞書じしょにおける記号きごうがく情報じょうほう関係かんけいろんじている。そこで提唱ていしょうされた lexicographic information cost という概念がいねんは、辞書じしょ使つかさい目的もくてき項目こうもくつけるのにかかるコストと、その項目こうもくかれている内容ないよう理解りかいして情報じょうほう生成せいせいするのにかかるコストをすものである。


Shu-Kun Lin はあらたに情報じょうほうを「データ圧縮あっしゅくのデータ全体ぜんたい」と定義ていぎした[18]

出典しゅってん 編集へんしゅう

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m デジタル大辞泉だいじせん
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  3. ^ a b 関連かんれん項目こうもく: エピジェネティックス細胞さいぼう記憶きおく
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参考さんこう文献ぶんけん 編集へんしゅう

関連かんれん項目こうもく 編集へんしゅう

外部がいぶリンク 編集へんしゅう