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神経系 - Wikipedia

神経しんけいけい

神経しんけいとおして外部がいぶ情報じょうほう伝達でんたつ処理しょりおこな動物どうぶつ器官きかん

神経しんけいけい(しんけいけい、えい: nervous system)とは、おも神経しんけい細胞さいぼう(ニューロン)の連鎖れんさによってつくられる神経しんけいとおして、外部がいぶ情報じょうほう伝達でんたつ処理しょりおこな動物どうぶつ器官きかん[1]

神経しんけいけい
ヒトの神経しんけいけい
概要がいよう
表記ひょうき識別しきべつ
ラテン語らてんご systema nervosum
MeSH D009420
TA A14.0.00.000
FMA 7157
解剖かいぼうがく用語ようご

内容ないようてきには、ひとつの動物どうぶつたいにおける神経しんけい全体ぜんたい配置はいちのありかた場合ばあいと、どういち体内たいないでの、神経しんけい系統けいとうおおきな区別くべつ場合ばあいがある。前者ぜんしゃ動物どうぶつ分類ぶんるいにおいて、上位じょうい分類ぶんるいぐん特徴付とくちょうづける重要じゅうよう特徴とくちょうなされる。

また、神経しんけいけい情報じょうほうわたしする対象たいしょうである「外部がいぶ」にも2つの意味いみがあり、ひとつは生体せいたい外部がいぶ場合ばあいと、もうひとつは生体せいたい内部ないぶながら神経しんけいけい外部がいぶ場合ばあい両方りょうほうがある[1]

構造こうぞうによる分類ぶんるい

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海綿動物かいめんどうぶつ平板へいばん動物どうぶつ神経しんけいけいたない。それ以外いがい動物どうぶつもんは、それぞれに独特どくとく神経しんけいけいつ。神経しんけいけい発達はったつは、体制たいせい発達はったつかんがえた場合ばあいに、ひとつの高等こうとうさの指標しひょうとなる。

ヒトの神経しんけいけい

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中枢ちゅうすう神経しんけいけい のう脊髄せきずいとをあわせて中枢ちゅうすう神経しんけいけいぶ。

神経しんけいけいは、突起とっきふく神経しんけい細胞さいぼう単位たんいをいうニューロンがシナプス連続れんぞくし、神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつ分泌ぶんぴつされること興奮こうふん伝達でんたつする機能きのうからつ。これはニューロン連鎖れんさばれ、感覚かんかく運動うんどうまたは自浄じじょう作用さようから、記憶きおく思考しこうまた判断はんだん感情かんじょうなどの精神せいしん活動かつどう大元おおもとでもあるとかんがえられる[2]。ニューロン連鎖れんさ伝導でんどうというまった経路けいろたばをつくる。この経路けいろには求心きゅうしんせい感覚かんかくせいうえこうせい)と遠心えんしんせい運動うんどうせいしたぎょうせい)という方向ほうこうせいがあり、ひとつのニューロン連鎖れんさ双方向そうほうこう情報じょうほうをやりりしない[2]

一般いっぱんヒト神経しんけいけいは、おおきく中枢ちゅうすう神経しんけいけい末梢まっしょう神経しんけいけいの2つにけられている[3][4]

中枢ちゅうすう神経しんけいけい

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中枢ちゅうすう神経しんけいけいのう脊髄せきずい部分ぶぶんし、ヒトではとく大脳だいのうおおきく発達はったつしている[5]組織そしきは、神経しんけい組織そしきばれ、実際じっさい情報じょうほう伝達でんたつおこなうニューロンと、そのあいだめながらすうばい存在そんざいするグリア細胞さいぼう神経しんけいにかわ細胞さいぼう)やオリゴデンドログリアアストログリアなどから構成こうせいされる[6]

のうなかでヒトの場合ばあい80%をめる大脳だいのうは、表面ひょうめんがりくねった大脳だいのうみぞ構造こうぞうったはいしろしつ大脳皮質だいのうひしつかずcmあり、そのしたにははくただしという神経しんけい線維せんい集合しゅうごうし、さらにおくにははいしろしつ大脳だいのう基底きていかくがある[5]大脳皮質だいのうひしつ脳幹のうかん周囲しゅうい中心ちゅうしんひらたももかくなどと大脳だいのうえんけい形成けいせいする皮質ひしつと、ヒトでは大脳皮質だいのうひしつの90%に相当そうとうするしん皮質ひしつけられる。前者ぜんしゃ本能ほんのう行動こうどう情動じょうどう行動こうどう制御せいぎょし、後者こうしゃ運動うんどう感覚かんかくまた意識いしき思考しこうなど精神せいしん活動かつどういとなとなる[5]

また大脳だいのうにはいくつかの「」がある。中心ちゅうしんみぞまえにあり顔面がんめん全身ぜんしん運動うんどう支配しはいする運動うんどうは、右脳うのうひだり半身はんしんを、左脳さのうみぎ半身はんしんという逆転ぎゃくてん状態じょうたいがある。中心ちゅうしんみぞうしろのからだせい感覚かんかく感覚かんかく情報じょうほう判断はんだんする場所ばしょであり、ここも左右さゆう逆転ぎゃくてんがある。特殊とくしゅ感覚かんかくはいくつかの場所ばしょにあり、視覚しかくつかさど視覚しかくとそれを映像えいぞう意味いみするだい視覚しかくからだせい感覚かんかくしたにある味覚みかくがわあたま内面ないめん嗅覚きゅうかく運動うんどうせい言語げんご中枢ちゅうすう感覚かんかくせい言語げんご中枢ちゅうすう言語げんご、さまざまな感覚かんかくかくやら高次こうじ精神せいしん機能きのう発揮はっきする連合れんごうなどである[5]

小脳しょうのう大脳だいのうのち下部かぶにあるこぶしだいおおきさで、のう重量じゅうりょうの10%程度ていどめる。ここは大脳だいのうからの指令しれいけて体位たいい平衡へいこうなど、運動うんどう方向ほうこうおおきさとう的確てきかく制御せいぎょする機能きのう[5]ちゅうのう大脳だいのう小脳しょうのうかくれた中心ちゅうしんにある脊髄せきずいへの伝達でんたつ経路けいろたばであり、また意識いしきしない骨格こっかくすじ眼球がんきゅうまたは聴覚ちょうかく連動れんどうする反射はんしゃ運動うんどうなどの制御せいぎょ関与かんよする[5]あいだのう視床ししょう視床ししょう下部かぶからなり、まつはてたい付随ふずいする。視床ししょう大脳皮質だいのうひしつかう求心きゅうしんせい伝道でんどうかなら経由けいゆする中継ちゅうけいてんである。視床ししょう下部かぶ自律じりつ機能きのう統合とうごう中枢ちゅうすうとして自律じりつ神経しんけい制御せいぎょするとともに、ホルモン分泌ぶんぴつとおして内分泌ないぶんぴつけいをコントロールする[5]

大脳だいのうささえるみきのようにえるため脳幹のうかんばれる部位ぶいは、延髄えんずいはし形成けいせいされる。はしよこはし繊維せんい左右さゆう小脳しょうのうつなぐようにえるためにう。ながさ3cmほど延髄えんずいは、きりたい大脳皮質だいのうひしつからの伝達でんたつを、オリーブでちゅうのう小脳しょうのう脊髄せきずい連結れんけつさせる。また背面はいめんにある菱形ひしがたはいしろしつ部分ぶぶんは、基本きほんてき生命せいめい維持いじのための自律じりつせいおよび運動うんどうせい部分ぶぶん中枢ちゅうすうにな[5]

脊髄せきずい

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脊髄せきずいは、椎骨ついこつつらなりのなかにある脊柱せきちゅうかんなかにおさまったながやく40cm、ふとやく1cmの円柱えんちゅうじょう器官きかんであり、下部かぶではきりのようにほそくなる。断面だんめんはHがたはいしろしつ周囲しゅういしろしつおおっており、中心ちゅうしんにはあながある。前方ぜんぽうぜんかく)は骨格こっかくすじ制御せいぎょする遠心えんしんせい運動うんどう神経しんけいあつまり、うしろはぎゃく求心きゅうしんせい感覚かんかく神経しんけい細胞さいぼう情報じょうほう延髄えんずいつたえる[5]

脊髄せきずいからは左右さゆう31つい脊髄せきずい神経しんけいばす神経しんけいたば)があり、それぞれの神経しんけい全身ぜんしんつたわる。しいあいだあなおうじて分類ぶんるいされ、あご神経しんけい(C8つい)、むね神経しんけい(T12つい)、こし神経しんけい(L5つい)、仙骨せんこつ神経しんけい(S5つい)、尾骨びこつ神経しんけい(1つい)がある。

発生はっせい過程かてい

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発生はっせい過程かていでは、中枢ちゅうすう神経しんけいけいは、まず神経しんけいかんばれる中空なかぞら管状かんじょう構造こうぞうとして形成けいせいされ、からだ前後ぜんごじく沿ってのびる。この神経しんけいかんそと胚葉はいようせいである。このかんかべは、神経しんけい細胞さいぼうとグリア細胞さいぼうのもとになる細胞さいぼう神経しんけいみき細胞さいぼう構成こうせいされる。この細胞さいぼう分裂ぶんれつは、神経しんけいかん前部ぜんぶ部位ぶいよりもはげしい。その結果けっか神経しんけいかん前部ぜんぶだけがふくれることになる。そのふくれた部分ぶぶん将来しょうらいのうであり、それ以外いがい部分ぶぶん脊髄せきずいになる。神経しんけいかん内側うちがわ空洞くうどうは、成体せいたいになってものこされ、のうなかのうしつ脊髄せきずいなか脊髄せきずい中心ちゅうしんかんとなる。 神経しんけいけい発生はっせい特徴とくちょうづけるつぎ段階だんかいは、神経しんけい細胞さいぼう本来ほんらいあるべきただしい位置いち配置はいちされ、それぞれの神経しんけい細胞さいぼうまさしくシナプスで結合けつごうすることである。大脳だいのうなどの皮質ひしつ構造こうぞうをなす場所ばしょでは、神経しんけい細胞さいぼう層状そうじょう配置はいちされ、また神経しんけいかくにおいては、細胞さいぼう集合しゅうごうする。神経しんけい細胞さいぼうからは、じくさくおよびじょう突起とっき伸長しんちょうし、神経しんけい回路かいろ形成けいせいおこなわれる。

末梢まっしょう神経しんけいけい

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おも神経しんけい線維せんいたばや、局所きょくしょてき神経しんけい細胞さいぼうたいあつまって存在そんざいする神経しんけいぶしなどから構成こうせいされる。神経しんけい線維せんいたばは、神経しんけい細胞さいぼうたいからのびる神経しんけい線維せんいじくさく)が多数たすうあつまってたばになってはしるものである。中枢ちゅうすう神経しんけいけいからだかく部位ぶいむすはたらきをする。末梢まっしょう神経しんけい中枢ちゅうすう神経しんけいとつながる場所ばしょすべまっている。また、たばになった神経しんけい体内たいないでの走行そうこうパターンがまっており、すべ名前なまえがついている。

解剖かいぼうがくてき分類ぶんるい

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末梢まっしょう神経しんけいがどの中枢ちゅうすう神経しんけい接続せつぞくしているかによってけられる。

機能きのうてき分類ぶんるい

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末梢まっしょう神経しんけいはどのような信号しんごうつたえるかによってからだせい神経しんけいけい自律じりつ神経しんけいけいけられ、さらからだせい神経しんけいけい役割やくわりべつ感覚かんかく神経しんけい運動うんどう神経しんけい[3]自律じりつ神経しんけいけい作用さようべつ交感神経こうかんしんけいふく交感神経こうかんしんけい分類ぶんるいされる[4][7]

役割やくわりてき分類ぶんるい

末梢まっしょう神経しんけいがどの中枢ちゅうすう神経しんけい接続せつぞくしているかによってけられる。

発生はっせい過程かてい

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発生はっせい過程かていでは、末梢まっしょう神経しんけいけいは、神経しんけいかん周辺しゅうへん形成けいせいされる神経しんけいかんむりなどの細胞さいぼうぐん神経しんけいつつみ細胞さいぼうが、からだちゅうらばったものからこるとかんがえられている。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c 生化学せいかがく辞典じてんだい2はん、p.668 【神経しんけいけい
  2. ^ a b 解剖かいぼうがくだい2はん、p.116-118、だい8しょう 神経しんけいけい 1.神経しんけいけい構成こうせい
  3. ^ a b 神経しんけいけい概要がいよう”. こうがんざい治療ちりょう末梢まっしょう神経しんけい障害しょうがい. 静岡しずおかがんセンター. 2021ねん7がつ3にち閲覧えつらん
  4. ^ a b 堀内ほりうち智子さとこ. “神経しんけいけい内分泌ないぶんぴつけいのふしぎ”. www.ncsm.city.nagoya.jp. 名古屋なごや科学かがくかん. 2021ねん7がつ3にち閲覧えつらん
  5. ^ a b c d e f g h i 解剖かいぼうがくだい2はん、p.118-131、だい8しょう 神経しんけいけい 2.中枢ちゅうすう神経しんけいけい
  6. ^ 生化学せいかがく辞典じてんだい2はん、p.373 【グリア細胞さいぼう
  7. ^ 神経しんけい”. 中外製薬ちゅうがいせいやく企業きぎょう情報じょうほうサイト. からだとくすりのはなし. 2021ねん7がつ3にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 河野こうの邦雄くにお伊藤いとう隆造りゅうぞう坂本さかもと裕和ひろかず前島まえじまとおる樋口ひぐちかつら ちょ財団ざいだん法人ほうじん 東洋とうよう療法りょうほう学校がっこう協会きょうかい へん解剖かいぼうがくだい2はん』(だい2はんだい1さつ医歯薬出版いしやくしゅっぱん、2006ねんISBN 4-263-24207-6 
  • 生化学せいかがく辞典じてんだい2はん』(だい2はんだい6さつ東京とうきょう化学かがく同人どうじん、1995ねんISBN 4-8079-0340-3 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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