(Translated by https://www.hiragana.jp/)
感情 - Wikipedia

感情かんじょう

ヒトなどの動物どうぶつがものごとや対象たいしょうたいしていだ気持きも

感情かんじょう(かんじょう)は、ヒトなどの動物どうぶつがものごとや対象たいしょうたいしていだ気持きものこと。よろこかなしみいかあきらおどろ嫌悪けんお恐怖きょうふなどがある(感情かんじょう一覧いちらん)。

感情かんじょうれいうえから時計とけいまわりに、興奮こうふん愛情あいじょう恐怖きょうふいかり・かなしみ・よろこび。

概要がいよう

編集へんしゅう

精神せいしん医学いがく心理しんりがくでは感情かんじょうえい: emotion)と気分きぶん(mood)を区別くべつすることがあり、前者ぜんしゃほうがより一時いちじてきなものをさす(しばしば天気てんき weather と天候てんこう climate にたとえられる)。しかし両者りょうしゃ区別くべつせずに使用しようする場合ばあいおおい。のう科学かがくまとには、感情かんじょう大脳だいのう表面ひょうめん大脳皮質だいのうひしつ)、およびのう深部しんぶあたりえんけいなど)、身体しんたい密接みっせつ相互そうご作用さようっているとする。また感情かんじょう思考しこう認知にんちは、たとえそのひと意識いしきにのぼらせなくても密接みっせつ関係かんけいっている(感情かんじょうのう科学かがくふし参照さんしょう)。

一般いっぱん人間にんげんヒト)は感情かんじょういだくが、ヒト以外いがい哺乳類ほにゅうるいも、大脳だいのうえんけい構造こうぞうはヒトと類似るいじしていること、あたりえんけいかく部位ぶいたいする電気でんき刺激しげき神経しんけい作用さよう物質ぶっしつ投与とうよにより、不安ふあん恐怖きょうふいかりなどヒトの情動じょうどう反応はんのう類似るいじした反応はんのうをみせることがふるくからられ、これらの動物どうぶつにも感情かんじょう情動じょうどう)があると推測すいそくされることもおおい。ただし、比較ひかく認知にんち科学かがくてきには研究けんきゅうはじまったばかりであり、あくまでも刺激しげき行動こうどう相関そうかん関係かんけい観測かんそくされているだけにすぎない、とする主張しゅちょうもある。

生活せいかつ文化ぶんかにおいては、たんに「じょう」とりゃくすることがある。他人たにん感情かんじょうふかくくみり(感受性かんじゅせいたかい)、場合ばあいによってはそれにともなった感情かんじょう態度たいどなみだながすなど)や行動こうどうあらわすほどにしんゆたかなことを「じょうあつい」という。「じょうあつ江戸えど気質きしつ」などの語句ごく使用しようされ、江戸えどいきひとつともされている。

感情かんじょう生物せいぶつがく

編集へんしゅう

生物せいぶつ学的がくてきには感情かんじょうおおきくよっつの要因よういんけることができる。(1)感情かんじょうこすのう科学かがくてきメカニズム、(2)感情かんじょう社会しゃかいてきメカニズム、(3)個人こじん感情かんじょう形作かたちづく感情かんじょう個体こたい発達はったつ、(4)たね普遍ふへんてき感情かんじょう形作かたちづくった進化しんかてき機能きのうである。ぜんしゃ至近しきん要因よういんこうしゃ究極きゅうきょく要因よういんばれる。

至近しきん要因よういん-感情かんじょうのう科学かがく

編集へんしゅう

生理学せいりがくまとには、感情かんじょうには身体しんたい感覚かんかく関連かんれんした無意識むいしき感情かんじょう(emotion, 情動じょうどう)と意識いしきてき感情かんじょう(feelingもしくはemotional feeling)と分類ぶんるいされることがおおい。意識いしきてき感情かんじょう(feeling)には、大脳皮質だいのうひしつ大脳だいのう表面ひょうめん)とりわけ帯状おびじょうかい前頭葉ぜんとうよう関与かんよしている。無意識むいしき感情かんじょうには、皮質ひしつのう中心ちゅうしんほう)のひらたももたい視床ししょう下部かぶ脳幹のうかんくわえて、自律じりつ神経しんけいけい内分泌ないぶんぴつけい骨格こっかくすじなどの末梢まっしょうけいのうそと組織そしき)が関与かんよする。しかし、感情かんじょう情動じょうどう皮質ひしつ帯状おびじょうかいのみで成立せいりつする、という反論はんろん存在そんざいする(Rollsたち)。

emotionについては情動じょうどう参照さんしょうのこと。

たとえば我々われわれ恐怖きょうふかんじるとき、同時どうじみゃくがはやくなり、くちかわき、あせにぎるのをかんじる。恐怖きょうふかんじているのは皮質ひしつであり、末梢まっしょう反応はんのう動悸どうきなど)をこすのは皮質ひしつである。しかし感情かんじょうについてかんがえるとき、両者りょうしゃはなしてかんがえることはできない。

アントニオ・ダマシオらは、スタンレー・シャクターらの感情かんじょう要因よういんせつ発展はってんさせ、感情かんじょう体験たいけん認識にんしきすることは、刺激しげきたいして発生はっせいした身体しんたい反応はんのう説明せつめいするために皮質ひしつつくストーリーであると主張しゅちょうしている。たとえば、被験者ひけんしゃにアドレナリンを注射ちゅうしゃしたのち不快ふかい環境かんきょういたところ、アドレナリンの副作用ふくさようらされていない被験者ひけんしゃは、アドレナリンによりこった動悸どうきあせなどの反応はんのう環境かんきょうのせいにし不快ふかいがったが、副作用ふくさようらせておいた被験者ひけんしゃはアドレナリンのせいだと判断はんだんし、不快ふかいさもすくなかったという。つまり皮質ひしつが、身体しんたい反応はんのうを、前後ぜんご文脈ぶんみゃくらしわせて解釈かいしゃく感情かんじょうというストーリーをつくったということになる。

(ちゅう)シャクターらは、感情かんじょう2要因よういんせつを1960年代ねんだいとなえたが、その2要因よういんとなるような直接ちょくせつ証拠しょうこられなかったため、かれ自身じしん仮説かせつ修正しゅうせいして、生理せいりてき基盤きばん(=情動じょうどう)にもとづいてその感情かんじょう形成けいせいされる、という感情かんじょうの2段階だんかいせつとなえた(1982ねん)。これを発展はってんさせたのが、Lazarusたちで、感情かんじょう社会しゃかいせいふくめたより複雑ふくざつなものとして定義ていぎした(罪悪ざいあくかん、やきもち、嫉妬しっとあい、などもふくめた)。

マグダ・アーノルド感情かんじょう理論りろんでは、外界がいかいからの刺激しげきたいして、まず危険きけんであるか有益ゆうえきであるか皮質ひしつおよび帯状おびじょうかい無意識むいしき判断はんだんし、つぎ皮質ひしつどう行動こうどうするかを判断はんだんする。その判断はんだんもとづいて末梢まっしょう反応はんのう交感神経こうかんしんけい興奮こうふん骨格こっかくすじ緊張きんちょうなど)がこり、最後さいご皮質ひしつにてそれを意識いしきてき感情かんじょうとして認識にんしきする。このせつ根拠こんきょとなる実験じっけんてき証拠しょうこは、つよ感情かんじょう惹起じゃっきする視覚しかく刺激しげき短時間たんじかん(30ms以下いか呈示ていじすると、意識いしきじょう認識にんしきできない(サブリミナル効果こうか参照さんしょう)にもかかわらず末梢まっしょうでは反応はんのうられるという事実じじつである。しかし意識いしきかんして、どこでどのように感情かんじょう意識いしき発生はっせいしているか、というてんについては、いまだ諸説しょせつあり、詳細しょうさい不明ふめいである。

  • 補足ほそく1
    上記じょうきしたような身体しんたい感情かんじょう密接みっせつなつながりは、感情かんじょう関係かんけいする日常にちじょうてき言葉ことばにもよくみられる。たとえば、「むねいたむ」、「断腸だんちょうおもい」、「にくおどる」、「あせにぎる」、「むねをおどらせる」、「はらつ」、「はらわたがえくりかえる」、「あたまのぼる」、「むかつく」、「苦々にがにがしい」、「なまりんだような」、「ちむぐりさ(=きもくるしい、沖縄おきなわ方言ほうげん)」など。このうちのいくつかは典型てんけいてき交感神経こうかんしんけい亢進こうしん反応はんのうであり、いくつかはそれらに起因きいんするかもしれない消化しょうかかん症状しょうじょうである。
  • 補足ほそく2
    精神せいしん疾患しっかん治療ちりょうもちいられる認知にんち行動こうどう療法りょうほうは、「認知にんち仕方しかたえることによって感情かんじょう調整ちょうせいする」という理論りろんもとづいており、皮質ひしつ皮質ひしつ相互そうご作用さよう応用おうようした好例こうれいえる。また、自律じりつ訓練くんれんほうは「あたたかい」「気持きもちがおちついている」など、リラックスした身体しんたい状態じょうたいをイメージしながら心身しんしん緊張きんちょうをとる訓練くんれんほうであり、ストレス解消かいしょう心身しんしんしょう神経症しんけいしょうなどの治療ちりょうもちいられる。これも末梢まっしょう自律じりつ神経しんけい反応はんのう感情かんじょう相互そうご作用さよう応用おうようしたいちれいである。
  • 2012ねん10がつ脳神経のうしんけい外科げか世界せかいてき権威けんいであるエベン・アレグザンダーは「死後しご世界せかい存在そんざいする」と発言はつげんした。かつては一元論いちげんろんしゃ死後しご世界せかい否定ひていしていた人物じんぶつであったが、のうやまいおかされ入院にゅういんちゅう臨死りんし体験たいけん経験けいけんして回復かいふくした。退院たいいん体験たいけんちゅうのう状態じょうたい徹底的てっていてき調査ちょうさした結果けっか昏睡こんすい状態じょうたいにあった7日間にちかんのうだい部分ぶぶん機能きのう停止ていししていたことを確認かくにんした。そしてあらゆる可能かのうせい検討けんとうした結果けっか、「あれは死後しご世界せかい間違まちがいない」と判断はんだんして、自分じぶん体験たいけんから「のうそれ自体じたい意識いしきつくさないのでは?」との実体じったい二元論にげんろん仮説かせつてている。

個体こたい発達はったつ

編集へんしゅう

おさなあかぼうでも生後せいご数日すうじつ母親ははおや表情ひょうじょう反応はんのうするようになる。またちゅういた物体ぶったいせるとながつめるなど、なんらかの感情かんじょうっているとかんがえられる。主要しゅよう感情かんじょうは4さいごろまでには形成けいせいされる。

進化しんか心理しんりがく想定そうていする要因よういん

編集へんしゅう

進化しんか心理しんりがくでは、感情かんじょう仕組しくみは、環境かんきょうおうじて素早すばや行動こうどう決定けっていするための生物せいぶつがくてき適応てきおうであり、進化しんか過程かてい形成けいせいされたとかんがえる。進化しんか心理しんり学者がくしゃ親族しんぞくあいだ愛情あいじょう血縁けつえん選択せんたくによって、親子おやこあいだ夫婦ふうふあいだ愛情あいじょう反目はんもく親子おやこ対立たいりつ性的せいてき対立たいりつ要因よういんによって進化しんかしたとかんがえている。またレダ・コスミデスのような研究けんきゅうしゃはそれぞれの感情かんじょうことなる選択せんたくあつによって形成けいせいされ、ことなる機能きのうち、したがってことなる神経しんけいてき基盤きばんあるいはモジュールつとかんがえている。ロバート・トリヴァースリチャード・アレグザンダーマーティン・ノヴァクといった進化しんか生物せいぶつ学者がくしゃゲーム理論りろんいえは、友情ゆうじょう協力きょうりょく裏切うらぎり、罪悪ざいあくかん公平こうへいさ、道徳どうとくかんなどをこす動機どうきとして一部いちぶ感情かんじょう進化しんかし、それは互恵ごけいてき利他りた主義しゅぎ間接かんせつ互恵ごけいせい一般いっぱん互酬せい理論りろんからみちびきだせるとかんがえている。このような視点してんからは、感情かんじょうすくなくとも部分ぶぶんてきには生得しょうとくてきであり、一般いっぱん認知にんち能力のうりょくからある程度ていど独立どくりつしており、内外ないがい刺激しげきたいして瞬時しゅんじ自律じりつてき発動はつどうするとかんがえられる。この生物せいぶつがくてき適応てきおうという視点してん機能きのう主義しゅぎ心理しんりがくにもさかのぼることができる。

感情かんじょう分類ぶんるい

編集へんしゅう
 
プルチック感情かんじょう。このほかに、感情かんじょう干渉かんしょうしあうプルチックの混合こんごう感情かんじょう(Dyad、ダイアド)がある。
 
ラッセルのえんたまきモデル。1980ねんに James Russell によって提案ていあんされた[1]

人間にんげんにはどのような感情かんじょうがあるのかについては古来こらい様々さまざま議論ぎろんされてきた。以下いかに、歴史れきしてき文化ぶんかてき経緯けいい感情かんじょう研究けんきゅう歴史れきしもとづく分類ぶんるいくわしくは感情かんじょう一覧いちらん参照さんしょう

ろくじょう

編集へんしゅう

一般いっぱんに、6種類しゅるい代表だいひょうてき感情かんじょうとして、

  1. いか
  2. あい
  3. らく
  4. あい (いとしみ)
  5. にく (にくしみ)

総称そうしょうされることがおおい。

中国ちゅうごくじょう(ごじょう)

編集へんしゅう

人間にんげん代表だいひょうてき感情かんじょうを、

  1. (よろこび)
  2. いか (いかり)
  3. あい (かなしみ)
  4. らく (たのしみ)
  5. 怨 (うらみ)

いつつにまとめてあらわす。

ななじょう

編集へんしゅう

書物しょもつによってななじょう中国語ちゅうごくごばん内容ないようことなる。

さんけい
「曰喜怒きど、曰哀懼、あいあくよくななじょう」とあり、
  1. いか
  2. あい
  3. 懼 (おそれ)
  4. あい (いとしみ)
  5. あく (にくしみ)
  6. よく

ななじょうひとにそなわっているとう。

中国ちゅうごく医学いがく
喜怒きどおもえ悲恐おどろきななじょうあり、日本にっぽん馴染なじみがかたりである、おもかんがえのである。これらが過剰かじょうとなると精神せいしん障害しょうがいきるとされる[2]

部首ぶしゅが「しん」で感情かんじょうあらわ漢字かんじ

編集へんしゅう

(いむ) ・しのぶ (しのぶ) ・いか (いかる) ・おそれ (おそれる) ・はじ (はじらう) ・こい (こい) ・悲 (かなしい) ・愁 (うれえる) ・慕 (したう) ・ゆう (うれえる) ・かい (あやしむ) ・こわ (こわい) ・悔 (くやむ) ・恨 (うらむ) ・惜 (おしむ) ・悼 (いたむ) ・愉 (たのしむ) ・にく (にくむ) ・いきどお (いきどおる) ・ふところ (なつかしむ) 等々とうとう

感情かんじょうあらわ和語わご

編集へんしゅう

感情かんじょうあらわ形容詞けいようしおよび形容動詞けいようどうし (れい:かなしい) 、その感情かんじょうをいだいている/いだく動作どうさあらわ動詞どうし (れい:かなしむ) 、抽象ちゅうしょうされた名詞めいし (れい:かなしみ) をしめす。ただし、「あいする」「嫌悪けんおする」のように「 (漢字かんじ) +〜する」は漢語かんござっているためのぞいた。

  • 形容詞けいようしおよび形容動詞けいようどうし
    かなしい・うらがなしい・ものがなしい・みじめだ・やるせない・たのしい・うれしい・しあわせだ・めでたい・いまわしい・はずかしい・うらめしい・にくたらしい・いやだ・きらいだ・さわやかだ・いつくしい・いとおしい・つまらない・おそろしい・こわい
  • 動詞どうし
    このむ・よろこぶ・いかる・おこる・かなしむ・おそれる・はじらう・はにかむ・うれえる・あやしむ・うらむ・にくむ・いきどおる・むかつく・きらう・けぎらいする・めでる・うんざりする・あきる・びびる
  • 名詞めいし
    よろこび・かなしみ・いかり・うらみ

インドの伝統でんとうてき美学びがく理論りろん

編集へんしゅう

ナヴァ・ラサ (人間にんげんの9つの基本きほんてき感情かんじょう) というものがあり、それは、

  1. シュリンガーラ (恋愛れんあい感情かんじょうこいする気持きもち、あいする気持きもち)
  2. ハースヤ (滑稽こっけいわらい)
  3. カルナ (かなしみ)
  4. ラウドラ (いかり)
  5. ヴィーラ (いさましい気持きもち、活力かつりょくあふれる気持きもち)
  6. バヤーナカ (おそれ)
  7. ビーバッサ (嫌悪けんお)
  8. アドブタ (おどろき・驚愕きょうがく)
  9. シャーンタ (平和へいわ)

の9つであるとされる (参考さんこう ラサ) 。

チャールズ・ダーウィン

編集へんしゅう

かなしみ、幸福こうふくいかり、軽蔑けいべつ嫌悪けんお恐怖きょうふおどろきというななつの基本きほんてき感情かんじょうが、文化ぶんかによってことならず、普遍ふへんてきおな方法ほうほう表現ひょうげんされるとかんがえていた。また子供こども成長せいちょうやオランウータンの感情かんじょう表現ひょうげん観察かんさつとおして、人間にんげん霊長れいちょうるい類似るいじせいいだした。

心理しんりがくてき感情かんじょう分類ぶんるい

編集へんしゅう

表情ひょうじょう認知にんちからみた感情かんじょう分類ぶんるいポール・エクマンつぎの6つの感情かんじょう生物せいぶつがくてき基盤きばんち、ヒューマン・ユニバーサルズであると結論けつろんした。

  • 幸福こうふくかんおどろき、おそれ、かなしみ、いかり、嫌悪けんお

エクマンは1990年代ねんだいにこのリストを拡張かくちょうし、以下いかくわえた。

  • たのしさ、軽蔑けいべつ満足まんぞく困惑こんわく興奮こうふんつみ意識いしき功績こうせきもとづく自負じふしん安心あんしん満足まんぞくかんよろこび、罪悪ざいあくかん

表情ひょうじょう

編集へんしゅう

感情かんじょう表情ひょうじょう仕草しぐさとなってあらわれる。表情ひょうじょう言語げんごコミュニケーション一部いちぶである。

表情ひょうじょう自律じりつてきはたらき、訓練くんれんしないと意識いしきてきにコントロールできない。またヒューマン・ユニバーサル性質せいしつであり、どの文化ぶんかでも基本きほんてき表情ひょうじょう共通きょうつうしている。進化しんかてき視点してんからは、コミュニケーション信号しんごう個体こたい操作そうさするために自由じゆうにコントロールできるほう有利ゆうりであるとかんがえられるが、そうなっていない。アモツ・ザハヴィのような一部いちぶ生物せいぶつ学者がくしゃは、正直しょうじき自分じぶん感情かんじょうつたえることがもっとも利益りえきられるからだとかんがえ、ハンディキャップ信号しんごう一種いっしゅではないかと主張しゅちょうしているが、実際じっさいにどのような利益りえきがあるのかはあきらかでない。

感情かんじょうおかされる疾患しっかん状態じょうたい

編集へんしゅう
  • 感情かんじょう気分きぶんおかされる疾患しっかん代表だいひょうてきなものは気分きぶん障害しょうがいうつびょうそううつびょう躁病そうびょうなど)である。うつびょうではそもそもうつ気分きぶんんだ、つかれた、元気げんきのない、かなしい、きたいような、いやになる、にたい、絶望ぜつぼうてき)をていするが、躁状態じょうたいでは気分きぶん爽快そうかいになり、元気げんきで、活気かっきにあふれている、自信満々じしんまんまんうごまわりたいなどの気分きぶんていする。重症じゅうしょうになると攻撃こうげきてき気分きぶんいかりが前面ぜんめんてくる。
  • しかしそもそもうつ気分きぶんていする疾患しっかんはうつびょうだけではない。適応てきおう障害しょうがい統合とうごう失調しっちょうしょう摂食せっしょく障害しょうがいパーソナリティ障害しょうがいなど様々さまざま疾患しっかん合併がっぺいすることがある。また、精神せいしん疾患しっかんかぎらず、健康けんこうひとでも一時いちじてきそもそもうつてきになることはよくある。
  • 大脳だいのうえんけい一部いちぶをなすひらたももたいやその周辺しゅうへん破壊はかいされると、クリューヴァー・ビューシー症候群しょうこうぐん(Klüver-Bucy syndrome)とばれる、せい行動こうどう異常いじょう情動じょうどう異常いじょう(サルの場合ばあい、ヘビをてもまったこわがらずさわろうとする)、口唇こうしん傾向けいこうなどを特徴とくちょうとする状態じょうたいになる。
  • アレキシサイミア(alexithymia)は、精神せいしん医学いがく用語ようごで、みずからの感情かんじょう自覚じかく認知にんちしたり表現ひょうげんしたりすることが不得意ふとくいで、空想くうそうりょく想像そうぞうりょくける傾向けいこうのことをさす。この傾向けいこうひと心身しんしんしょうになりやすいといわれている。つまりみずからの感情かんじょう認識にんしきすることが苦手にがてなため、身体しんたい症状しょうじょうとしてあらわれてしまうという(くわしくはアレキシサイミア心身しんしんしょう参照さんしょう)。

イスラム世界せかい

編集へんしゅう

音楽おんがく人間にんげんあたえる感情かんじょう利用りようして医療いりょう行為こういとしての音楽おんがく療法りょうほうおこなわれていた(ユーナーニー医学いがく)。

感情かんじょう作用さようする薬物やくぶつ

編集へんしゅう
  • こううつやくこううつやくはうつびょう、うつ状態じょうたい治療ちりょうやくであり、んだ気分きぶん意欲いよく低下ていかなどを改善かいぜんする。セロトニンけいノルアドレナリンけいドパミンけい神経しんけい賦活ふかつすることで効果こうか発現はつげんする。こううつやくによってその3系統けいとう神経しんけいけいへのはたらきのつよさがことなり、薬剤やくざいごとに薬効やっこうことなる。
  • こう不安ふあんやくベンゾジアゼピン受容じゅようたいはたらくことで、不安ふあんのぞ作用さようがある。
  • 違法いほう薬物やくぶつである覚醒剤かくせいざいは、のうドーパミンけいつよ興奮こうふんさせることでこころよ気分きぶん発現はつげんする。しかし同時どうじドーパミンけい神経しんけい異常いじょうたし、様々さまざま副作用ふくさよう後遺症こういしょうたす。
  • そのにも、アルコール、ステロイドなど様々さまざま薬物やくぶつ感情かんじょう作用さようする。

感情かんじょう分析ぶんせきする医療いりょうよう工学こうがく技術ぎじゅつ

編集へんしゅう

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう
  1. ^ Russell, James A. (1980-12). “A circumplex model of affect.” (英語えいご). Journal of Personality and Social Psychology 39 (6): 1161–1178. doi:10.1037/h0077714. ISSN 1939-1315. http://doi.apa.org/getdoi.cfm?doi=10.1037/h0077714. 
  2. ^ みかどないけいもととい陰陽いんようおうぞうだいろんへん

関連かんれん項目こうもく

編集へんしゅう

外部がいぶリンク

編集へんしゅう