(Translated by https://www.hiragana.jp/)
脊索動物 - Wikipedia

脊索せきさく動物どうぶつ(せきさくどうぶつ、学名がくめい:Chordata)は、新口にのくち動物どうぶつぞくする動物どうぶつ一群いちぐんである。

脊索せきさく動物どうぶつ
Chordata
様々さまざま脊索せきさく動物どうぶつ
左上ひだりうえアムールトラ脊椎動物せきついどうぶつ)、みぎじょうホヤの1しゅさく動物どうぶつ)、左下ひだりしたオーエディゲラむし動物どうぶつ)、みぎナメクジウオの1しゅあたまさく動物どうぶつ
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
階級かいきゅうなし : 新口にのくち動物どうぶつ Deuterostomia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
学名がくめい
Chordata
Haeckel, 1874
和名わみょう
脊索せきさく動物どうぶつ (せきさくどうぶつ)
下位かい分類ぶんるい

概要がいよう 編集へんしゅう

魚類ぎょるい両生類りょうせいるい爬虫類はちゅうるい鳥類ちょうるい哺乳類ほにゅうるいなど背骨せぼね脊椎せきつい)をもつ動物どうぶつふくんだ脊椎動物せきついどうぶつと、それときんえん動物どうぶつぐんであるあたまさく動物どうぶつナメクジウオ)とさく動物どうぶつホヤ)をわせたものである。

うち骨格こっかくあるいはそれにちか機構きこう獲得かくとくした動物どうぶつぐんである。分類ぶんるいじょう脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata としてあつかわれる。また、絶滅ぜつめつした動物どうぶつグループで初期しょき脊椎動物せきついどうぶつちかいのではないかとかんがえられていてながらく正体しょうたい不明ふめいであったコノドントは、やはり最近さいきん研究けんきゅうあごるいのヤツメウナギにちかいことがわかっている。

特徴とくちょう 編集へんしゅう

  • 単一たんいつの「がわ神経しんけいかん」をゆうする。これは、からだがわにある中空なかぞら神経しんけいさくのことで、本来ほんらい上皮じょうひせいである。脊椎動物せきついどうぶつではここから中枢ちゅうすう神経しんけいけいのう脊髄せきずい)がさら分化ぶんかする。
  • 神経しんけいかんはらがわに「脊索せきさく」をもつ。ただし、脊椎動物せきついどうぶつでははい発生はっせい過程かていにおいて、脊索せきさくよりのちからだぶしから発生はっせいした脊椎せきついこつがこれにわるために、消失しょうしつすることもおおい。ヤツメウナギなどでは脊椎せきつい形成けいせいされたのち成体せいたいでものこる。
  • 咽頭いんとうに「えらきれ」をゆうする。ただし、陸棲りくせい脊椎動物せきついどうぶつではこうしたえらきれ発生はっせい咽頭いんとうきれあるいは咽頭いんとう嚢としてられるのみで、そのあたま頚部けいぶしょ器官きかんふく甲状腺こうじょうせん胸腺きょうせんなど)にかたちえるため、成体せいたいではられない。詳細しょうさい咽頭いんとうゆみ参照さんしょう
  • 咽頭いんとうはらがわうちはしらばれる器官きかんをもつ。脊椎動物せきついどうぶつではうちはしらてき甲状腺こうじょうせんになっていることがほとんどである。
  • すじぶし (myomere)[1]をもつ。
  • からだ構造こうぞうは、基本きほんてき左右さゆう対称たいしょうである。

分類ぶんるいがく 編集へんしゅう

経緯けいい 編集へんしゅう

18世紀せいき発見はっけんされた当時とうじ、ナメクジウオは軟体動物なんたいどうぶつナメクジ一種いっしゅであるとかんがえられていた。また、ホヤも同様どうよう軟体動物なんたいどうぶつ分類ぶんるいされていた。1840年代ねんだいはいると、ナメクジウオは脊索せきさくえらきれがわ神経しんけいさくをもつことがあきらかにされ、脊椎動物せきついどうぶつとの類似るいじ指摘してきされるようになった。1866ねん、アレサンデル・コワレフスキー (Alexander Kovalevsky) はホヤるい幼生ようせいにもつじくさくじょう器官きかんが、脊椎動物せきついどうぶつやナメクジウオの脊索せきさくあいどうであることをしめした。これによって、脊椎動物せきついどうぶつ、ナメクジウオをふくあたまさく動物どうぶつ、およびホヤをふくさく動物どうぶつ、がたん系統けいとうぐんであることがひろれられるようになった。

そのは、脊椎動物せきついどうぶつを「脊椎動物せきついどうぶつもん」としてあつかい、あたまさく動物どうぶつさく動物どうぶつをまとめて「はらさく動物どうぶつもん」(Protochordata) としてあつかわれることもあった。しかし、さく動物どうぶつあたまさく動物どうぶつとは「脊椎動物せきついどうぶつちかい」という便宜べんぎてき理由りゆうから同門どうもんとしてあつかわれていた側面そくめんがあり、それらの系統けいとうあいだ類縁るいえん関係かんけいはそれほどちかくはなく、むしろあたまさく動物どうぶつ脊椎動物せきついどうぶつとのあいだほうちかいとかんがえられるようになったため、これらすべてを脊索せきさく動物どうぶつとしてまとめてあつか分類ぶんるい主流しゅりゅうになっている。一方いっぽう近年きんねん分子ぶんし進化しんかてき解析かいせきではさく動物どうぶつ脊椎動物せきついどうぶつ姉妹しまいぐんあたまさく動物どうぶつはそれらの祖先そせんてき系統けいとう関係かんけいとなることがしめされている。

むし動物どうぶつというカンブリア生息せいそくした動物どうぶつぐんは、かつては現生げんなま動物どうぶつもんとの類縁るいえん関係かんけい議論ぎろんてきであり、独立どくりつもんむし動物どうぶつもん)とされていた。のち脊索せきさく発見はっけんされ、脊索せきさく動物どうぶつ分類ぶんるいぐんむし動物どうぶつもん)としてみとめられるようにいたった[2]

後口あとくち動物どうぶつにおける脊索せきさく動物どうぶつ位置いち 編集へんしゅう

後口あとくち動物どうぶつ

? ちんうずちゅう動物どうぶつ

はんさく動物どうぶつ

棘皮動物きょくひどうぶつ

脊索せきさく動物どうぶつ

あたまさく動物どうぶつ

さく動物どうぶつ

脊椎動物せきついどうぶつ

後口あとくち動物どうぶつにおける脊索せきさく動物どうぶつ系統けいとうてき位置いち

さん胚葉はいよう動物どうぶつおおきく前口まえぐち動物どうぶつ後口あとくち動物どうぶつけられるが、脊索せきさく動物どうぶつ後者こうしゃふくまれる。後口あとくち動物どうぶつ内部ないぶでのかくグループの系統けいとうてき位置いち関係かんけい様々さまざま議論ぎろんがあったが、現在げんざいみぎのようにはんさく動物どうぶつ棘皮動物きょくひどうぶつたん系統けいとうであり、脊索せきさく動物どうぶつはその姉妹しまいぐんということで共通きょうつう見解けんかいられている。なお、ちんうずちゅう動物どうぶつ系統けいとうかんしてはいまだ様々さまざま議論ぎろんがある。近年きんねん一般いっぱんてき後口あとくち動物どうぶつふくめられるのが主流しゅりゅうになってきたが、なお反論はんろんもあり確定かくていしていない。

古典こてんてき分類ぶんるい 編集へんしゅう

あたまさく動物どうぶつナメクジウオ)とさく動物どうぶつ動物どうぶつホヤ)は、便宜べんぎじょうはらさく動物どうぶつとしてまとめられる場合ばあいがある。

系統けいとう分類ぶんるい 編集へんしゅう

きわめて概略がいりゃくだが、以下いか脊索せきさく動物どうぶつ系統けいとうじゅしめす。
あたまさく動物どうぶつさく動物どうぶつ位置いち、またえんこうるいたん系統けいとうせいなど、分子ぶんし系統けいとうによってあきらかにされた部分ぶぶんおおい。 ただし、コノドントやつばさかぶとるいえだ位置いちなど、いまさだかではないところもおおく、依然いぜんおおくの研究けんきゅうたれるところである。

脊索せきさく動物どうぶつ 
 あたまさく動物どうぶつ

 ナメクジウオ

 
さく動物どうぶつ 

 オタマボヤるい 

 タリアるい 

 ホヤるい 

 脊椎動物せきついどうぶつ 
 えんこうるい 

 ヌタウナギるい 

 ヤツメウナギるい 

 

 コノドント†  

 つばさかぶとるい

 きのえかわるい

 あごこうるい 

 いたかわるい

 軟骨なんこつ魚類ぎょるい

 くちるい 

 棘魚とげうおるい

 硬骨魚こうこつぎょるい 
 じょうひれるい 

 分岐ぶんきひれるい 

 

 軟質なんしつるい 

 しんひれるい         

 にくひれるい 
void
 四肢しし動物どうぶつ 

 両生類りょうせいるい

 ひつじまくるい 
 たんゆみるい 
void

 哺乳類ほにゅうるい

 りゅうゆみるい 
 そうゆみるい 

 うろこりゅうがたるい

 しゅりゅうがたるい

脚注きゃくちゅう 編集へんしゅう

  1. ^ Vがた筋肉きんにくどうからにかけてならび、ふしじょうつらなったもの。発生はっせいあらわれるすじぶし(myotome)のことではない。
  2. ^ García-Bellido, Diego C.; Lee, Michael S. Y.; Edgecombe, Gregory D.; Jago, James B.; Gehling, James G.; Paterson, John R. (2014-10-21). “A new vetulicolian from Australia and its bearing on the chordate affinities of an enigmatic Cambrian group”. BMC Evolutionary Biology 14 (1): 214. doi:10.1186/s12862-014-0214-z. ISSN 1471-2148. https://doi.org/10.1186/s12862-014-0214-z. 

参考さんこう文献ぶんけん 編集へんしゅう