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情報公開 - Wikipedia

情報じょうほう公開こうかい(じょうほうこうかい)とは、くになどの公的こうてき機関きかんが、業務ぎょうむじょう記録きろくとう開示かいじすることである。

情報じょうほう公開こうかい理念りねん

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情報じょうほう公開こうかいには政治せいじ行政ぎょうせいにおける決定けっていプロセスが不透明ふとうめいだと、効率こうりつ事例じれい公正こうせい事例じれいしょうじるおそれがあるため、だれがどのような根拠こんきょ決定けっていおこなったか国民こくみんやマスコミがかんすることができるようにして透明とうめいせいたかめるという目的もくてきがある[1]

国民こくみん権利けんり存在そんざいする一方いっぽうで、文書ぶんしょ公開こうかいすることにより、プライバシー侵害しんがいこされるおそれもある。公文書こうぶんしょあつかアーキビスト情報じょうほう公開こうかいするまえに、情報じょうほう内容ないよう公開こうかい相応ふさわしいものであるかを審査しんさする義務ぎむがある。また、文書ぶんしょ内容ないよう国家こっか機密きみつ国家こっか安全あんぜんかかわるものについては、慎重しんちょうにならざるをない。

各国かっこく情報じょうほう公開こうかい制度せいど

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スウェーデン

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情報じょうほう公開こうかい制度せいど先駆さきがけとなったのはスウェーデンとされている。スウェーデンでは民主みんしゅ主義しゅぎ確立かくりつよりも情報じょうほう公開こうかい制度せいど発達はったつのほうがはやく、1776ねん出版しゅっぱん自由じゆうほう検閲けんえつ禁止きんしとあわせて民衆みんしゅう請求せいきゅうによる公文書こうぶんしょ公開こうかい制度せいどさだめられた[1]

日本にっぽん

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日本にっぽん情報じょうほう公開こうかいほう行政ぎょうせい機関きかん保有ほゆうする情報じょうほう公開こうかいかんする法律ほうりつ)が制定せいていされたのは2001ねんのことである。

そもそも情報じょうほう公開こうかい観念かんねんがなかったため、日本にっぽん政府せいふかく官庁かんちょう作成さくせいされた公式こうしき文書ぶんしょ保管ほかんする国立こくりつ公文書こうぶんしょかんができたのも1971ねんである。日本にっぽんはつ公文書こうぶんしょかん1959ねん山口やまぐちけん文書ぶんしょかんであるが、情報じょうほう公開こうかいのためではなく歴史れきし資料しりょう保存ほぞん目的もくてき設立せつりつされている。一般いっぱんてきに、公文書こうぶんしょかん古文書こもんじょなど純粋じゅんすい歴史れきしてき価値かちたか資料しりょう保存ほぞんする「書類しょるい博物館はくぶつかんてき役目やくめと、県政けんせいなどの重要じゅうよう公文書こうぶんしょ保管ほかんする「書類しょるい金庫きんこてき役目やくめつ。

1988ねん昭和しょうわ63ねん)に公文書こうぶんしょかんほう施行しこうされ、日本国にっぽんこく政府せいふ地方ちほう公共こうきょう団体だんたいたいして、公文書こうぶんしょ保存ほぞん一般いっぱん公開こうかい義務ぎむがあることが明文化めいぶんかされた。しかし四半世紀しはんせいき以上いじょうった2016ねん平成へいせい28ねん現在げんざいも、まだ都道府県とどうふけん半分はんぶん程度ていどしか公文書こうぶんしょかん設立せつりつされていない。近年きんねんは、頻繁ひんぱん平成へいせいだい合併がっぺいおこなわれていることから、公文書こうぶんしょ移管いかん管理かんり予算よさんについて意見いけん一致いっちず、合併がっぺいまえにあった公文書こうぶんしょしつが、存亡そんぼう危機ききうこともある。

裁判所さいばんしょおよ国会こっかい保有ほゆうする、情報じょうほう公開こうかい請求せいきゅうかんする法律ほうりつはない。ただし、裁判所さいばんしょについては、対審たいしん判決はんけつ公開こうかいされている(日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい82じょう1こう裁判所さいばんしょほう70じょう参照さんしょう)。民事みんじ訴訟そしょう記録きろくについて民事みんじ訴訟そしょうほうだい91じょうだい1こう何人なんにん民事みんじ訴訟そしょう記録きろく閲覧えつらん請求せいきゅうすることが可能かのうであり、どうほうだい92じょうだい1こうにより閲覧えつらん制限せいげん決定けっていがなされないかぎりは閲覧えつらんすることができ、民事みんじ裁判さいばん記録きろく保存ほぞんについては事件じけん記録きろくとう保存ほぞん規程きてい昭和しょうわ39ねん12月12にち最高さいこう裁判所さいばんしょ規程きていだい8ごう)で規定きていされている。刑事けいじ訴訟そしょう記録きろくについては刑事けいじ訴訟そしょうほうだい53じょうだい1こうで「何人なんにんも、被告ひこく事件じけん終結しゅうけつ訴訟そしょう記録きろく閲覧えつらんすることができる。ただし、訴訟そしょう記録きろく保存ほぞんまた裁判所さいばんしょしくは検察庁けんさつちょう事務じむ支障ししょうのあるときは、このかぎりでない」と規定きていされ、確定かくてい判決はんけつとなった刑事けいじ裁判さいばん記録きろく保存ほぞんについては刑事けいじ確定かくてい訴訟そしょう記録きろくほう規定きていされている。

また、司法しほう行政ぎょうせい文書ぶんしょについては「最高さいこう裁判所さいばんしょ保有ほゆうする司法しほう行政ぎょうせい文書ぶんしょ開示かいじとうかんする事務じむ取扱とりあつかい要綱ようこう」により、開示かいじもとめることができる。また、国会こっかいについてはほん会議かいぎ委員いいんかい公開こうかいと、議事ぎじろく公表こうひょうさだめられている(憲法けんぽう57じょう国会こっかいほう62じょう63じょう参照さんしょう)。

なお国会こっかいのうち、衆議院しゅうぎいんおよ参議院さんぎいん事務じむきょくについては、それぞれ「衆議院しゅうぎいん事務じむきょく保有ほゆうする議院ぎいん行政ぎょうせい文書ぶんしょ開示かいじとうかんする事務じむ取扱とりあつかい規程きてい」「参議院さんぎいん事務じむきょく保有ほゆうする事務じむきょく文書ぶんしょ開示かいじかんする事務じむ取扱とりあつかい規程きてい」がさだめられているが、最高裁判所さいこうさいばんしょ情報じょうほう公開こうかい制度せいど運用うんよう同様どうように、開示かいじ決定けってい法的ほうてき性質せいしつ明確めいかくさ、開示かいじ決定けっていによる資料しりょう複写ふくしゃにおいて、著作ちょさくけん侵害しんがいおそれがある、などの問題もんだいてんがある。

行政ぎょうせい機関きかんじゅんじる組織そしきである独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじんなどの情報じょうほう開示かいじについては、独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん情報じょうほう公開こうかいほうがある。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b 高岡たかおかのぞむ日本にっぽんはスウェーデンになるべきか』PHP新書しんしょ、45ぺーじ

関連かんれん文献ぶんけん

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  • 日下部くさかべさとし武器ぶきとしての情報じょうほう公開こうかい ─権力けんりょくの「うち」を見抜みぬく』筑摩書房ちくましょぼう〈ちくま新書しんしょ1366〉、2018ねん11月5にちISBN 978-4-480-07184-2 
  • せらはたはじめ公文書こうぶんしょ管理かんり民主みんしゅ主義しゅぎ なぜ,公文書こうぶんしょのこされなければならないのか』岩波書店いわなみしょてん岩波いわなみブックレット No.1000〉、2019ねん5がつ8にちISBN 9784002710006 
  • せらはたけげん国家こっか記録きろく 政府せいふはなぜ公文書こうぶんしょかくすのか?』集英社しゅうえいしゃ集英社しゅうえいしゃ新書しんしょ0996〉、2019ねん10がつ17にちISBN 978-4087210965 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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