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二進法 にしんほう ( にしんほう 、( 英 えい : binary numeral system, base-2 numeral system )とは、底 そこ を2 とする位取 くらいど り記数 きすう 法 ほう および命数 めいすう 法 ほう である。二進法 にしんほう によって表 あらわ された数 かず を二 に 進数 しんすう ( にしんすう 、( 英 えい : binary number )と呼 よ ぶ。二進法 にしんほう において、位 くらい は順 じゅん に底 そこ 2の冪 べき (…, 1 / 4 , 1 / 2 , 1, 2, 4, … )ごとに取 と り、位 くらい の値 ね は 0 または 1 を取 と る(例 れい :十 じゅう 進数 しんすう の 7 (= 4 + 2 + 1) は二進法 にしんほう で 111 、1.75 (= 1 + 0.5 + 0.25) は 1.11 と表 あらわ される)。
二進法 にしんほう で表 あらわ された数 かず
二 に を底 そこ とする位取 くらいど り記数 きすう 法 ほう を二 に 進 しん 記数 きすう 法 ほう または単 たん に二進法 にしんほう と呼 よ ぶ。二進法 にしんほう による数 かず の表示 ひょうじ は、一 いち の位 い を k = 0 とし添字 そえじ k で位 くらい の位置 いち を表 あらわ し、位 くらい の値 ね を d k ∈ {0, 1} で表 あらわ せば、以下 いか のように書 か ける:
d
n
−
1
⋯
d
1
d
0
.
d
−
1
⋯
.
{\displaystyle d_{n-1}\cdots d_{1}d_{0}.d_{-1}\cdots \,.}
これは以下 いか の総和 そうわ の略記 りゃっき と見 み なせる:
∑
k
n
−
1
d
k
2
k
=
d
n
−
1
2
n
−
1
+
⋯
+
2
d
1
+
d
0
+
d
−
1
2
+
⋯
.
{\displaystyle \sum _{k}^{n-1}d_{k}2^{k}=d_{n-1}2^{n-1}+\cdots +2d_{1}+d_{0}+{\frac {d_{-1}}{2}}+\dotsm {}\,.}
例 たと えば十進法 じっしんほう における 21.25 は二進法 にしんほう において、
10101.01
2
=
16
+
4
+
1
+
1
4
=
21.25
{\displaystyle 10101.01_{2}=16+4+1+{\frac {1}{4}}=21.25}
と表 あらわ される(添字 そえじ の 2 は二 に 進 しん 表記 ひょうき であることを示 しめ す)。負 まけ の数 かず は一般 いっぱん 的 てき な記数 きすう 法 ほう と同 おな じく、負号 ふごう をつけて表 あらわ す(例 れい :−10101.012 )。
十進法 じっしんほう など一般 いっぱん の位取 くらいど り記数 きすう 法 ほう と同様 どうよう に、二進法 にしんほう においても小数 しょうすう 部 ぶ が有限 ゆうげん の長 なが さとなる数 かず は一部 いちぶ の有理数 ゆうりすう に限 かぎ られ、また円周 えんしゅう 率 りつ のような無理 むり 数 すう を厳密 げんみつ に表 あらわ すことはできない。二進法 にしんほう の場合 ばあい 、有理数 ゆうりすう を表 あらわ す既 すんで 約分 やくぶん 数 すう について、分母 ぶんぼ が2の冪 べき ならば有限 ゆうげん 小数 しょうすう として書 か けるが、そうでないならば有限 ゆうげん 小数 しょうすう としては書 か けない。例 たと えば十進法 じっしんほう では 1 / 5 を有限 ゆうげん 小数 しょうすう 0.2 で表 あらわ せるが、二進法 にしんほう では循環 じゅんかん 小数 しょうすう 0.0011 2 = 0.00110011…2 で表 あらわ さなければならない。
デジタル機器 きき での使用 しよう
編集 へんしゅう
電子 でんし 式 しき コンピュータ の電子 でんし 回路 かいろ などのデジタル回路 かいろ (デジタル論理 ろんり 回路 かいろ )、磁気 じき ディスク等 ひとし の記憶 きおく メディアでは、電圧 でんあつ の高低 こうてい 、磁極 じきょく の N/S など、物理 ぶつり 現象 げんしょう を二 に 状態 じょうたい のみに縮退 しゅくたい して扱 あつか う(離散 りさん 化 か などと言 い う[注 ちゅう 1] )ので、それに、真 しん と偽 にせ の2つの値 ね (2値 ち の真理 しんり 値 ち )のみを使用 しよう する二 に 値 ち 論理 ろんり (しばしば、電子 でんし 的 てき には H と L 、論理 ろんり 的 てき には T と F という記号 きごう が使 つか われる)をマッピングする。更 さら にそこで数値 すうち を扱 あつか うには、それに「0 と 1 」の二進法 にしんほう をマッピングするのが最適 さいてき である。
多 おお くの応用 おうよう で見 み られるように桁 けた 数 かず が有限 ゆうげん の場合 ばあい は、数学 すうがく 的 てき に言 い うなら「有理数 ゆうりすう の部分 ぶぶん 集合 しゅうごう 」が表現 ひょうげん されているわけであるが、通常 つうじょう は「有限 ゆうげん 精度 せいど の実数 じっすう 」が表現 ひょうげん されていると解釈 かいしゃく される。このため、コンピュータやデジタル機器 きき は二 に 進数 しんすう が使用 しよう される。
また、八 はち 進 しん 法 ほう や十 じゅう 六 ろく 進 しん 法 ほう や三 さん 十 じゅう 二進法 にしんほう は同 おな じく2の冪 べき を底 そこ とするためしばしば利用 りよう される。
ビット 列 れつ によって負 まけ の数 かず の値 ね を表 あらわ すため広 ひろ く用 もち いられる方法 ほうほう の一 ひと つとして、2の補数 ほすう 表現 ひょうげん がある。2の補数 ほすう 表現 ひょうげん は、n 桁 けた のビット列 びっとれつ の最 さい 上位 じょうい ビットの重 おも みを +2n −1 ではなく −2n −1 とするものである。2の補数 ほすう 表現 ひょうげん は、そのビットパターンが、加減 かげん (及 およ び、乗 じょう )の演算 えんざん において特別 とくべつ な処理 しょり が不要 ふよう なものになる、という特長 とくちょう を持 も つ。ただし、溢 あふ れ(オーバーフロー)の扱 あつか いが違 ちが ってくる(これは、例 たと えばx86プロセッサにおける、キャリーフラグとオーバフローフラグの違 ちが いのことである(ステータスレジスタ#キャリーとオーバーフロー を参照 さんしょう ))。
他 た のN進 すすむ 法 ほう から二進法 にしんほう への変換 へんかん 方法 ほうほう
編集 へんしゅう
「十進法 じっしんほう から二進法 にしんほう への変換 へんかん 方法 ほうほう 」などといったものを考 かんが える必要 ひつよう はない。どちらも数 かず の「表現 ひょうげん 法 ほう 」 に過 す ぎないのだから、単 たん に「表現 ひょうげん 法 ほう → 数 かず → 表現 ひょうげん 法 ほう 」といったようにして変換 へんかん すれば良 よ いのである。
正 せい の整数 せいすう m を十進法 じっしんほう から二進法 にしんほう に変換 へんかん するのは次 つぎ のようにする。
m を x に代入 だいにゅう する。
x を 2 で割 わ って、余 あま りを求 もと める。
x/2 の商 しょう を x に代入 だいにゅう する。
2. に戻 もど る。x = 0 であれば終了 しゅうりょう 。
余 あま りを求 もと めた順 じゅん の逆 ぎゃく に並 なら べると、それが二進法 にしんほう に変換 へんかん された結果 けっか になる。
例 れい :192 を二進法 にしんほう に変換 へんかん する。
2)192 192=20 ×192
2) 96 …0 192=21 × 96+20 ×0
2) 48 …0 192=22 × 48+21 ×0+20 ×0
2) 24 …0 192=23 × 24+22 ×0+21 ×0+20 ×0
2) 12 …0 192=24 × 12+23 ×0+22 ×0+21 ×0+20 ×0
2) 6 …0 192=25 × 6+24 ×0+23 ×0+22 ×0+21 ×0+20 ×0
2) 3 …0 192=26 × 3+25 ×0+24 ×0+23 ×0+22 ×0+21 ×0+20 ×0
2) 1 …1 192=27 × 1+26 ×1+25 ×0+24 ×0+23 ×0+22 ×0+21 ×0+20 ×0
0…1
よって 19210 = 110000002 である。
正 せい で 1 未満 みまん の数 かず
編集 へんしゅう
正 せい で 1 未満 みまん (0 < m < 1) である数 かず m を十進法 じっしんほう から二進法 にしんほう に変換 へんかん するのは次 つぎ のようにする。
1 を n に、m を x に代入 だいにゅう する。
2x < 1 ならば、小数点 しょうすうてん 以下 いか 第 だい n 位 くらい は 0 になる。2x > 1 ならば、小数点 しょうすうてん 以下 いか 第 だい n 位 くらい は 1 になる。
2x = 1 ならば終了 しゅうりょう 。
2x > 1 ならば 2x - 1 を x に代入 だいにゅう する。2x < 1 ならば 2x を x に代入 だいにゅう する。
n + 1 を n に代入 だいにゅう する。
小数点 しょうすうてん 以下 いか の桁数 けたすう が必要 ひつよう な桁数 けたすう まで求 もと まっているか、循環 じゅんかん 小数 しょうすう となったら終了 しゅうりょう する。
2. へ戻 もど る。
計算 けいさん の例 れい 1: 1/3 を二進法 にしんほう に変換 へんかん する。
処理 しょり
(途中 とちゅう )結果 けっか
1
3
{\displaystyle {\begin{matrix}{\frac {1}{3}}\end{matrix}}}
0.
1
3
×
2
=
2
3
<
1
{\displaystyle {\begin{matrix}{\frac {1}{3}}\times 2={\frac {2}{3}}<1\end{matrix}}}
0.0
2
3
×
2
=
1
1
3
≥
1
{\displaystyle {\begin{matrix}{\frac {2}{3}}\times 2=1{\frac {1}{3}}\geq 1\end{matrix}}}
0.01
1
3
×
2
=
2
3
<
1
{\displaystyle {\begin{matrix}{\frac {1}{3}}\times 2={\frac {2}{3}}<1\end{matrix}}}
0.010
ここで「処理 しょり 」の部分 ぶぶん の最後 さいご 「
1
3
×
2
=
2
3
<
1
{\displaystyle {\begin{matrix}{\frac {1}{3}}\times 2={\frac {2}{3}}<1\end{matrix}}}
」はそれ以前 いぜん に出 で てきた式 しき である。このため、これ以上 いじょう 続 つづ けても同 おな じ式 しき の繰 く り返 かえ しで永久 えいきゅう に終 お わらないことがわかる。すなわち小数 しょうすう 部 ぶ の「01」が循環 じゅんかん することがわかるので終了 しゅうりょう する。
よって1/310 =0.010101…2 =0.01 2
(なお、アンダーバーの部分 ぶぶん (01 )は無限 むげん に繰 く り返 かえ しという意味 いみ )
計算 けいさん の例 れい 2: 十進法 じっしんほう での 0.1 を二進法 にしんほう に変換 へんかん する。
処理 しょり
(途中 とちゅう )結果 けっか
0.1
0.
0.1×2=0.2 <1
0.0
0.2×2=0.4 <1
0.00
0.4×2=0.8 <1
0.000
0.8×2=1.6 ≥1
0.0001
0.6×2=1.2 ≥1
0.00011
0.2×2=0.4 <1
0.000110
0.4×2=0.8 <1
0.0001100
ここで「処理 しょり 」の部分 ぶぶん の最後 さいご 「0.4×2 = 0.8 < 1」はそれ以前 いぜん に出 で てきた式 しき である。このため、これ以上 いじょう 続 つづ けても同 おな じ式 しき の繰 く り返 かえ しで永久 えいきゅう に終 お わらないことがわかる。すなわち小数 しょうすう 部 ぶ の「0011」が循環 じゅんかん することがわかるので終了 しゅうりょう する。
よって 0.110 = 0.0001100110011…2 = 0.00011 2 である。
二 に 進 しん 命数 めいすう 法 ほう とは、2 を底 そこ とする命数 めいすう 法 ほう である。
通常 つうじょう 、二進法 にしんほう の数詞 すうし を持 も つとされるものは二 ふた つ組 ぐみ で数 かぞ える体系 たいけい であり、乗算 じょうざん が含 ふく まれない。以下 いか にパプアニューギニアの南 みなみ キワイ語 ご [1] (Southern Kiwai) およびシッサノ語 ご [2] (Sissano) の数詞 すうし を示 しめ す[3] 。
十 じゅう 進 しん
二 に 進 しん
南 みなみ キワイ語 ご
シッサノ語 ご
1
1
neis
puntanen
2
10
netewa
eltin
3
11
netewa nao
eltin puntanen
4
100
netewa netewa
eltin eltin
5
101
netewa netewa nao
eltin eltin puntanen
現代 げんだい 日本 にっぽん における万 まん 進 しん 、あるいは十 じゅう 二進法 にしんほう 体系 たいけい であるダース ・グロスなどのように、2倍 ばい ごとに新 あたら しい単位 たんい が命名 めいめい される体系 たいけい は、自然 しぜん 言語 げんご では、パプアニューギニア のメルパ語 ご [4] (Melpa) でのみ知 し られている[3] 。
十 じゅう 進 しん
二 に 進 しん
メルパ語 ご
1
1
tenta
2
10
ralg
3
11
raltika
4
100
timbakaka
5
101
timbakaka pamb ti
6
110
timbakaka pamb ralg
7
111
timbakakagul raltika
8
1000
engaka
9
1001
engaka pamb ti
10
1010
engaka pamb ralg pip
^ 量子 りょうし 化 か とも言 い うが、量子 りょうし 物理 ぶつり におけるいわゆる量子 りょうし のような意味 いみ (重 かさ ね合 あ わせ状態 じょうたい など)ではない。
^ Gordon, Raymond G., Jr., ed. (2005), “Kiwai, Southern” , Ethnologue: Languages of the World (15 ed.), http://www.ethnologue.com/show_language.asp?code=kjd 2008年 ねん 3月 がつ 12日 にち 閲覧 えつらん 。
^ Gordon, Raymond G., Jr., ed. (2005), “Sissano” , Ethnologue: Languages of the World (15 ed.), http://www.ethnologue.com/show_language.asp?code=sso 2008年 ねん 3月 がつ 12日 にち 閲覧 えつらん 。
^ a b Lean, Glendon Angove (1992). “TALLIES AND 2-CYCLE SYSTEMS” . Counting Systems of Papua New Guinea and Oceania . Ph.D. thesis, Papua New Guinea University of Technology. オリジナル の2007年 ねん 9月 がつ 5日 にち 時点 じてん におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160304132322/http://www.uog.ac.pg/glec/thesis/ch2web/ch2.htm
^ Gordon, Raymond G., Jr., ed. (2005), “Melpa” , Ethnologue: Languages of the World (15 ed.), http://www.ethnologue.com/show_language.asp?code=med 2008年 ねん 3月 がつ 12日 にち 閲覧 えつらん 。
^ a b ライプニッツ『ライプニッツ著作 ちょさく 集 しゅう 10 中国 ちゅうごく 学 がく ・地質 ちしつ 学 がく ・普遍 ふへん 学 がく 』下村 しもむら 寅太郎 とらたろう ほか 監修 かんしゅう 、工作 こうさく 舎 しゃ 、1991年 ねん 、p12。
^ Sanchez, Julio; Canton, Maria P. (2007), Microcontroller programming : the microchip PIC , Boca Raton, Florida: CRC Press, p. 37, ISBN 0-8493-7189-9
^ W. S. Anglin and J. Lambek, The Heritage of Thales , Springer, 1995, ISBN 0-387-94544-X
^ Bacon, Francis (1605), The Advancement of Learning (英語 えいご ), vol. 6, London, Chapter 1
^
Claude E. Shanon (1937), A Symbolic Analysis of Relay and Switching Circuits , Massachusetts Institute of Technology, Dept. of Electrical Engineering, http://hdl.handle.net/1721.1/11173
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