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二進法 - Wikipedia

二進法にしんほう

2をそことし、そこおよびそのべき基準きじゅんにしてかずあらわ方法ほうほう

二進法にしんほうにしんほうえい: binary numeral system, base-2 numeral system)とは、そこ2とする位取くらいど記数きすうほうおよび命数めいすうほうである。二進法にしんほうによってあらわされたかず進数しんすうにしんすうえい: binary number)とぶ。二進法にしんほうにおいて、くらいじゅんそこ2のべき…, 1/4, 1/2, 1, 2, 4, …)ごとにり、くらいは 0 または 1 をる(れいじゅう進数しんすう7 (= 4 + 2 + 1)二進法にしんほう1111.75 (= 1 + 0.5 + 0.25)1.11あらわされる)。

記数きすうほう 編集へんしゅう

 
二進法にしんほうあらわされたかず

そことする位取くらいど記数きすうほうしん記数きすうほうまたはたん二進法にしんほうぶ。二進法にしんほうによるかず表示ひょうじは、いちk = 0 とし添字そえじ kくらい位置いちあらわし、くらいdk ∈ {0, 1}あらわせば、以下いかのようにける:

 

これは以下いか総和そうわ略記りゃっきなせる:

 

たとえば十進法じっしんほうにおける 21.25二進法にしんほうにおいて、

 

あらわされる(添字そえじの 2 はしん表記ひょうきであることをしめす)。まけかず一般いっぱんてき記数きすうほうおなじく、負号ふごうをつけてあらわす(れい−10101.012)。

十進法じっしんほうなど一般いっぱん位取くらいど記数きすうほう同様どうように、二進法にしんほうにおいても小数しょうすう有限ゆうげんながさとなるかず一部いちぶ有理数ゆうりすうかぎられ、また円周えんしゅうりつのような無理むりすう厳密げんみつあらわすことはできない。二進法にしんほう場合ばあい有理数ゆうりすうあらわすんで約分やくぶんすうについて、分母ぶんぼが2のべきならば有限ゆうげん小数しょうすうとしてけるが、そうでないならば有限ゆうげん小数しょうすうとしてはけない。たとえば十進法じっしんほうでは 1/5有限ゆうげん小数しょうすう 0.2あらわせるが、二進法にしんほうでは循環じゅんかん小数しょうすう 0.00112 = 0.00110011…2あらわさなければならない。

デジタル機器ききでの使用しよう 編集へんしゅう

電子でんししきコンピュータ電子でんし回路かいろなどのデジタル回路かいろ(デジタル論理ろんり回路かいろ)、磁気じきディスクひとし記憶きおくメディアでは、電圧でんあつ高低こうてい磁極じきょくの N/S など、物理ぶつり現象げんしょう状態じょうたいのみに縮退しゅくたいしてあつかう(離散りさんなどと[ちゅう 1])ので、それに、しんにせの2つの(2真理しんり)のみを使用しようする論理ろんり(しばしば、電子でんしてきには HL論理ろんりてきには TF という記号きごう使つかわれる)をマッピングする。さらにそこで数値すうちあつかうには、それに「01」の二進法にしんほうをマッピングするのが最適さいてきである。

おおくの応用おうようられるようにけたかず有限ゆうげん場合ばあいは、数学すうがくてきうなら「有理数ゆうりすう部分ぶぶん集合しゅうごう」が表現ひょうげんされているわけであるが、通常つうじょうは「有限ゆうげん精度せいど実数じっすう」が表現ひょうげんされていると解釈かいしゃくされる。このため、コンピュータやデジタル機器きき進数しんすう使用しようされる。

また、はちしんほうじゅうろくしんほうさんじゅう二進法にしんほうおなじく2のべきそことするためしばしば利用りようされる。

負数ふすうあつか 編集へんしゅう

ビットれつによってまけかずあらわすためひろもちいられる方法ほうほうひとつとして、2の補数ほすう表現ひょうげんがある。2の補数ほすう表現ひょうげんは、n けたビット列びっとれつさい上位じょういビットのおもみを +2n−1 ではなく −2n−1 とするものである。2の補数ほすう表現ひょうげんは、そのビットパターンが、加減かげん(および、じょう)の演算えんざんにおいて特別とくべつ処理しょり不要ふようなものになる、という特長とくちょうつ。ただし、あふれ(オーバーフロー)のあつかいがちがってくる(これは、たとえばx86プロセッサにおける、キャリーフラグとオーバフローフラグのちがいのことである(ステータスレジスタ#キャリーとオーバーフロー参照さんしょう))。

のNすすむほうから二進法にしんほうへの変換へんかん方法ほうほう 編集へんしゅう

十進法じっしんほうから二進法にしんほうへの変換へんかん方法ほうほう」などといったものをかんがえる必要ひつようはない。どちらもかずの「表現ひょうげんほうぎないのだから、たんに「表現ひょうげんほうかず表現ひょうげんほう」といったようにして変換へんかんすればいのである。

せい整数せいすう 編集へんしゅう

せい整数せいすう m を十進法じっしんほうから二進法にしんほう変換へんかんするのはつぎのようにする。

  1. m を x に代入だいにゅうする。
  2. x を 2 でって、あまりをもとめる。
  3. x/2 のしょうを x に代入だいにゅうする。
  4. 2. にもどる。x = 0 であれば終了しゅうりょう

あまりをもとめたじゅんぎゃくならべると、それが二進法にしんほう変換へんかんされた結果けっかになる。

れい:192二進法にしんほう変換へんかんする。

2)192   192=20×192
2) 960 192=21× 96+20×0
2) 480 192=22× 48+21×0+20×0
2) 240 192=23× 24+22×0+21×0+20×0
2) 120 192=24× 12+23×0+22×0+21×0+20×0
2) 60 192=25× 6+24×0+23×0+22×0+21×0+20×0
2) 30 192=26× 3+25×0+24×0+23×0+22×0+21×0+20×0
2) 11 192=27× 1+26×1+25×0+24×0+23×0+22×0+21×0+20×0
0…1

よって 19210 = 110000002 である。

せいで 1 未満みまんかず 編集へんしゅう

せいで 1 未満みまん (0 < m < 1) であるかず m を十進法じっしんほうから二進法にしんほう変換へんかんするのはつぎのようにする。

  1. 1 を n に、m を x に代入だいにゅうする。
  2. 2x < 1 ならば、小数点しょうすうてん以下いかだい n くらいは 0 になる。2x > 1 ならば、小数点しょうすうてん以下いかだい n くらいは 1 になる。
  3. 2x = 1 ならば終了しゅうりょう
  4. 2x > 1 ならば 2x - 1 を x に代入だいにゅうする。2x < 1 ならば 2x を x に代入だいにゅうする。
  5. n + 1 を n に代入だいにゅうする。
  6. 小数点しょうすうてん以下いか桁数けたすう必要ひつよう桁数けたすうまでもとまっているか、循環じゅんかん小数しょうすうとなったら終了しゅうりょうする。
  7. 2. へもどる。

計算けいさんれい1: 1/3 を二進法にしんほう変換へんかんする。

処理しょり 途中とちゅう結果けっか
  0.
  0.0
  0.01
  0.010

ここで「処理しょり」の部分ぶぶん最後さいご 」はそれ以前いぜんてきたしきである。このため、これ以上いじょうつづけてもおなしきかえしで永久えいきゅうわらないことがわかる。すなわち小数しょうすうの「01」が循環じゅんかんすることがわかるので終了しゅうりょうする。

よって1/310=0.010101…2=0.012

(なお、アンダーバーの部分ぶぶん01)は無限むげんかえしという意味いみ

計算けいさんれい 2: 十進法じっしんほうでの 0.1 を二進法にしんほう変換へんかんする。

処理しょり 途中とちゅう結果けっか
0.1 0.
0.1×2=0.2<1 0.0
0.2×2=0.4<1 0.00
0.4×2=0.8<1 0.000
0.8×2=1.6≥1 0.0001
0.6×2=1.2≥1 0.00011
0.2×2=0.4<1 0.000110
0.4×2=0.8<1 0.0001100

ここで「処理しょり」の部分ぶぶん最後さいご「0.4×2 = 0.8 < 1」はそれ以前いぜんてきたしきである。このため、これ以上いじょうつづけてもおなしきかえしで永久えいきゅうわらないことがわかる。すなわち小数しょうすうの「0011」が循環じゅんかんすることがわかるので終了しゅうりょうする。

よって 0.110 = 0.0001100110011…2 = 0.000112 である。

命数めいすうほう 編集へんしゅう

しん命数めいすうほうとは、2 をそことする命数めいすうほうである。 通常つうじょう二進法にしんほう数詞すうしつとされるものはふたぐみかぞえる体系たいけいであり、乗算じょうざんふくまれない。以下いかにパプアニューギニアのみなみキワイ[1] (Southern Kiwai) およびシッサノ[2] (Sissano) の数詞すうししめ[3]

じゅうしん しん みなみキワイ シッサノ
1 1 neis puntanen
2 10 netewa eltin
3 11 netewa nao eltin puntanen
4 100 netewa netewa eltin eltin
5 101 netewa netewa nao eltin eltin puntanen

現代げんだい日本にっぽんにおけるまんしん、あるいはじゅう二進法にしんほう体系たいけいであるダース・グロスなどのように、2ばいごとにあたらしい単位たんい命名めいめいされる体系たいけいは、自然しぜん言語げんごでは、パプアニューギニアメルパ[4] (Melpa) でのみられている[3]

じゅうしん しん メルパ
1 1 tenta
2 10 ralg
3 11 raltika
4 100 timbakaka
5 101 timbakaka pamb ti
6 110 timbakaka pamb ralg
7 111 timbakakagul raltika
8 1000 engaka
9 1001 engaka pamb ti
10 1010 engaka pamb ralg pip

歴史れきし 編集へんしゅう

 
ライプニッツによる八卦はっけ二進法にしんほう比較ひかく[5]

中国ちゅうごくにはふるくからえき八卦はっけろくじゅうよんがあり、それぞれ 3 ビットと 6 ビットに相当そうとうしている。えきけいろくじゅうよん配列はいれつ対応たいおうする整数せいすうじゅんになっていて、それらを 1→2→4→8→16→32→64 と進展しんてんさせる「いちばいほう」を11世紀せいき儒学じゅがくしゃ邵雍考案こうあんした。ただし、かれらがそれを整数せいすう(ないし、かず)に対応たいおうするとして理解りかいしていたという証拠しょうこはない。その配列はいれつはそれぞれが種類しゅるいをとる要素ようその 6 タプル辞書じしょしき順序じゅんじょならべたものとることもできる。

インド学者がくしゃピンガラ (Pingala, 紀元前きげんぜん200ねんごろ) は韻律いんりつ数学すうがくてき表現ひょうげんする方法ほうほう考案こうあんし、それが現在げんざいられている最古さいこ二進法にしんほう記述きじゅつひとつとされている[6][7]

同様どうよう二進法にしんほうてき組合くみあわせの使用しようは、アフリカのヨルバじんおこなっていたうらなIfá にもあり、中世ちゅうせいヨーロッパやアフリカのジオマンシーにもられる。2 をそことする体系たいけいはサハラ以南いなんのアフリカでジオマンシーになが使つかわれていた。

1605ねんフランシス・ベーコンはアルファベットの文字もじを2しゅ記号きごうれつあらわ体系たいけいろんじ、任意にんい無作為むさくいなテキストでかすかに判別はんべつ可能かのうなフォントの変化へんか符号ふごうできるとした。一般いっぱん理論りろんとしてかれ指摘してきした重要じゅうようてんは、おな方法ほうほうをあらゆるもの適用てきようできるというてんであり、「2種類しゅるいことなる状態じょうたいをそれらのもの表現ひょうげんできればよく、かねトランペットひかり松明たいまつマスケットじゅうなど同様どうよう性質せいしつがあればどんなものでもよい」とした[8]。これをベーコンの暗号あんごう英語えいごばんぶ。

数学すうがくてき二進法にしんほう確立かくりつしたのは17世紀せいきゴットフリート・ライプニッツで、"Explication de l'Arithmétique Binaire" という論文ろんぶん発表はっぴょうしている。ライプニッツは現代げんだい二進法にしんほうおなじく、1 と 0 を使つかって二進法にしんほうあらわした。ライプニッツは中国ちゅうごく愛好あいこうでもあり、のちに「えきけい」をって、その八卦はっけに 000 から 111 を対応たいおうさせ、かれ賞賛しょうさんしてきた中国ちゅうごく哲学てつがくてき数学すうがく偉大いだい成果せいか証拠しょうこだとした[5]

1800年代ねんだい中頃なかごろイギリス数学すうがくしゃジョージ・ブールブール代数だいすうブール論理ろんり)により、しんてきかず(ここでう「かず」は、数学すうがくてき広義こうぎ意味いみであり、普通ふつう二進法にしんほう対象たいしょうである、数値すうちという意味いみではない)の代数だいすうによる命題めいだい論理ろんり形式けいしきしめした。

1936-1937ねん中嶋なかじまあきらはしばみさわ正男まさおによる「継電器けいでんき回路かいろけるたん部分ぶぶん等価とうか変換へんかん理論りろん」、1937ねんクロード・シャノンによる "A Symbolic Analysis of Relay and Switching Circuits"英語えいごばん [9] により相次あいついで、リレーのようなスイッチング素子そしによる回路かいろディジタル回路かいろ)の設計せっけいがブール代数だいすうによっておこなえることがしめされ、1940年代ねんだいはじまり今日きょうまでつづくコンピュータの理論りろん基礎きそのひとつとなっている。

脚注きゃくちゅう 編集へんしゅう

注釈ちゅうしゃく 編集へんしゅう

  1. ^ 量子りょうしともうが、量子りょうし物理ぶつりにおけるいわゆる量子りょうしのような意味いみかさわせ状態じょうたいなど)ではない。

出典しゅってん 編集へんしゅう

  1. ^ Gordon, Raymond G., Jr., ed. (2005), “Kiwai, Southern”, Ethnologue: Languages of the World (15 ed.), http://www.ethnologue.com/show_language.asp?code=kjd 2008ねん3がつ12にち閲覧えつらん 
  2. ^ Gordon, Raymond G., Jr., ed. (2005), “Sissano”, Ethnologue: Languages of the World (15 ed.), http://www.ethnologue.com/show_language.asp?code=sso 2008ねん3がつ12にち閲覧えつらん 
  3. ^ a b Lean, Glendon Angove (1992). “TALLIES AND 2-CYCLE SYSTEMS”. Counting Systems of Papua New Guinea and Oceania. Ph.D. thesis, Papua New Guinea University of Technology. オリジナルの2007ねん9がつ5にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160304132322/http://www.uog.ac.pg/glec/thesis/ch2web/ch2.htm 
  4. ^ Gordon, Raymond G., Jr., ed. (2005), “Melpa”, Ethnologue: Languages of the World (15 ed.), http://www.ethnologue.com/show_language.asp?code=med 2008ねん3がつ12にち閲覧えつらん 
  5. ^ a b ライプニッツ『ライプニッツ著作ちょさくしゅう 10 中国ちゅうごくがく地質ちしつがく普遍ふへんがく下村しもむら寅太郎とらたろうほか 監修かんしゅう工作こうさくしゃ、1991ねん、p12。
  6. ^ Sanchez, Julio; Canton, Maria P. (2007), Microcontroller programming : the microchip PIC, Boca Raton, Florida: CRC Press, p. 37, ISBN 0-8493-7189-9 
  7. ^ W. S. Anglin and J. Lambek, The Heritage of Thales, Springer, 1995, ISBN 0-387-94544-X
  8. ^ Bacon, Francis (1605), The Advancement of Learning (英語えいご), vol. 6, London, Chapter 1
  9. ^ Claude E. Shanon (1937), A Symbolic Analysis of Relay and Switching Circuits, Massachusetts Institute of Technology, Dept. of Electrical Engineering, http://hdl.handle.net/1721.1/11173 

関連かんれん項目こうもく 編集へんしゅう