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教科きょうか

教育きょういく用語ようご

教科きょうか（きょうか）とは、知識ちしきや技術ぎじゅつ、または、スキルや経験けいけん・リテラシーなどが組織そしき的てきに編成へんせいされたもののことである。

概要がいよう 編集へんしゅう

「教科きょうか」の起源きげんは古代こだいギリシャの 「三さん学がく四よん科か（術じゅつ）」からなる「七なな自由じゆう科か」とされ西欧せいおうの教科きょうかの原型げんけいになった[1]。

もともと西欧せいおうでは大学だいがくさらに大学だいがくへ入はいるための学校がっこうが設置せっちされ、学者がくしゃが教おしえる学問がくもんとして、または、大学だいがくに入はいって学問がくもんを学まなぶ素養そようを身みにつけるため「教科きょうか」の概念がいねんが発明はつめいされた[1]。しかし、近代きんだいになり世俗せぞく国家こっかが学校がっこう（近代きんだい学校がっこう）を制度せいど化かすると、学校がっこうは学問がくもん的てき要請ようせいとは異ことなる社会しゃかい的てき要請ようせい（特とくに国家こっか的てき要請ようせい）という公おおやけ教育きょういく独自どくじの性格せいかくをもつようになり、国語こくご、歴史れきし、自然しぜん科学かがく、家庭かていや職業しょくぎょうに関かかわる技術ぎじゅつや工学こうがくなど実学じつがく的てき教科きょうかが加くわえられるようになった[1]。また近代きんだい学校がっこうのカリキュラムの教科きょうかは、本来ほんらいの学問がくもんの体系たいけいとは異ことなる学習がくしゅう者しゃの経験けいけん（心身しんしんの発達はったつ）を含ふくめたものに変化へんかし、教科きょうか名めいに「初歩しょほ」や「活動かつどう」といった語句ごくを含ふくむものもみられるようになっている[1]。

日本にっぽんの教科きょうか 編集へんしゅう

教科きょうかの構成こうせい 編集へんしゅう

現在げんざい、教科きょうかは「国語こくご」・「算数さんすう」・「数学すうがく」・「英語えいご」・「社会しゃかい」・「理科りか」などで構成こうせいされている。

（教科きょうかの一覧いちらんについては、「教科きょうかの一覧いちらん」を参照さんしょうすること。）

（各かく学校がっこう種別しゅべつごとに開設かいせつされる教科きょうかの一覧いちらんは、各かく学校がっこう種しゅ（「小学校しょうがっこう」・「中学校ちゅうがっこう」・「高等こうとう学校がっこう」など）の記事きじを参照さんしょうすること。）

歴史れきし 編集へんしゅう

近代きんだい 編集へんしゅう

教科きょうかについては、明治めいじ時代じだいから度重たびかさなる再さい定義ていぎが続つづいている。

明治維新めいじいしんによる近代きんだい化か政策せいさく（西洋せいよう化か・欧化おうか主義しゅぎ）の一環いっかんとして、学制がくせいが施行しこうされ、1881年ねん（明治めいじ14年ねん）に小学校しょうがっこう令れいを全部ぜんぶ改正かいせい（第だい2次じ小学校しょうがっこう令れい）、尋常じんじょう小学校しょうがっこうの教科きょうかとして「修身しゅうしん・読書どくしょ・作文さくぶん・書写しょしゃ・算術さんじゅつ・体操たいそう」が基本きほん的てきなものとして定さだめられた。その後ご、1891年ねん（明治めいじ24年ねん）に小学校しょうがっこう令れいを再ふたたび全部ぜんぶ改正かいせい（第だい3次じ小学校しょうがっこう令れい）が定さだめられ、教科きょうかの数かずは、増加ぞうかの一途いっとをたどっていった。

やがて、日本にっぽんの学校がっこう教育きょういくは第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんの戦時せんじ体制たいせい下したに敷しかれ、1941年ねん（昭和しょうわ16年ねん）には、国民こくみん学校がっこう令れいが制定せいていされて、それまでの小学校しょうがっこう令れいにとって代かわられたが、このときに数個すうこの科目かもくから教科きょうかを編成へんせいすることにした。当時とうじの編成へんせいは次つぎの通とおりである。

  • 国民こくみん科か（修身しゅうしん・国語こくご・国史こくし・地理ちり）
  • 理数りすう科か（数学すうがく・算数さんすう・理科りか）
  • 体からだ錬ね科か（体操たいそう・武道ぶどう・水練すいれん）
  • 芸能げいのう科か（音楽おんがく・習字しゅうじ・図画ずが・工作こうさく・裁縫さいほう・家事かじ） - 裁縫さいほうは国民こくみん学校がっこう尋常じんじょう科か・高等こうとう科かの女子じょし、家事かじは国民こくみん学校がっこう高等こうとう科かの女子じょしのみ
  • 実業じつぎょう科か（農業のうぎょう・工業こうぎょう・商業しょうぎょう・水産すいさん）- 国民こくみん学校がっこう高等こうとう科かのみ
  • 外国がいこく語ご・その他た必要ひつような科目かもく

これが現代げんだいの「教科きょうか・科目かもく制せい」の原型げんけいとなっていった。

現代げんだい 編集へんしゅう

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん敗戦はいせん後のちには、GHQによる占領せんりょう下かに置おかれた中なかでの戦後せんご改革かいかくの一環いっかんとして、1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）に旧きゅう教育きょういく基本きほん法ほう・学校がっこう教育きょういく法ほうが施行しこうされ、1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）に試案しあんという形かたちで各かく学校がっこうの学習がくしゅう指導しどう要領ようりょうが発表はっぴょうされた。そこでは、教科きょうかは、「社会しゃかいの要求ようきゅう」を考かんがえた「教育きょういくの目標もくひょう」に達たっするための「多面ためん的てきな内容ないよう」をその「性質せいしつ」によって分類ぶんるいした、「幾いくつかのまとまり」と定義ていぎしていた。このときは、小学校しょうがっこうでは特とくに科目かもくという概念がいねんは用もちいられなかった。対たいして、中学校ちゅうがっこうでは教育きょういく体系たいけいの一部いちぶが完全かんぜんに整備せいびされなかったので、すべてを教科きょうかではなく「科目かもく」とした。また、高等こうとう学校がっこうの社会しゃかい・数学すうがく・理科りか・実業じつぎょう（農業のうぎょう・工業こうぎょう・商業しょうぎょう・水産すいさん・家庭かていで構成こうせい）では、数個すうこの科目かもくで教科きょうかを構成こうせいする形かたちが用もちいられた。

1951年ねん（昭和しょうわ26年ねん）には、学習がくしゅう指導しどう要領ようりょうが改訂かいていされ、教科きょうかは、「個人こじん生活せいかつ、家庭かてい生活せいかつおよび社会しゃかい生活せいかつ・経済けいざい生活せいかつおよび職業しょくぎょう生活せいかつなど」の側面そくめんを持もつ「一般いっぱん目標もくひょう」の到達とうたつを分担ぶんたんするものであって、「各かく方面ほうめんにわたる学習がくしゅう経験けいけん」を組織そしきし、「計画けいかく的てき、組織そしき的てき」に学習がくしゅうせしめるための「組織そしき」であると再さい定義ていぎした。このとき、小学校しょうがっこうでは、改正かいせい前まえと同様どうように科目かもくは設もうけられなかった。中学校ちゅうがっこうでは、科目かもくを整理せいりして、すべて教科きょうかとなった。高等こうとう学校がっこうでは、いずれかの教科きょうかにすべての科目かもくが属ぞくするという形かたちになった。

これは1958年ねん（昭和しょうわ33年ねん）から1960年ねん（昭和しょうわ35年ねん）に告示こくじされた学習がくしゅう指導しどう要領ようりょうでも変かわらなかったが、1968年ねん（昭和しょうわ43年ねん）から1970年ねん（昭和しょうわ45年ねん）に告示こくじされた学習がくしゅう指導しどう要領ようりょうでは、中学校ちゅうがっこうで一部いちぶの教科きょうかの中なかで「分野ぶんや」を設もうけ、後期こうき中等ちゅうとう教育きょういく（高等こうとう学校がっこう・中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこうの後期こうき課程かてい、などにおける教育きょういく）の科目かもくのように作用さようしている。

1989年ねん（平成へいせい元年がんねん）の「小学校しょうがっこう学習がくしゅう指導しどう要領ようりょう」の改正かいせいで、教科きょうか「生活せいかつ」が新設しんせつされた。1998年ねん（平成へいせい10年ねん）から1999年ねん（平成へいせい11年ねん）に告示こくじされた学習がくしゅう指導しどう要領ようりょうにおいては、「総合そうごう的てきな学習がくしゅうの時間じかん」が設もうけられ、教科きょうか「生活せいかつ」は、「総合そうごう的てきな学習がくしゅうの時間じかん」と同等どうとうなものと位置いちづけられ、教科きょうかごとに教科きょうかそのものの性質せいしつが多様たよう化かしつつある。

ヨーロッパの教科きょうか 編集へんしゅう

ドイツの教科きょうか 編集へんしゅう

ドイツの基礎きそ学校がっこう（Grundschule、4年ねん制せいまたは6年ねん制せいの初等しょとう教育きょういくの学校がっこう）では、教科きょうかとして

  • 「ドイツ語ご」
  • 「算数さんすう」
  • 「事実じじつ教授きょうじゅ（理科りか・社会しゃかい・地理ちり（郷土きょうど）・交通こうつう教育きょういく等とうの統合とうごう教科きょうか）」
  • 「美術びじゅつ」
  • 「音楽おんがく」
  • 「体育たいいく」
  • 「宗教しゅうきょう（倫理りんり）」

が設定せっていされている[2]。3年生ねんせいからは「第だい一いち外国がいこく語ご」（英語えいごまたはフランス語ふらんすごから選択せんたく）も教科きょうかに加くわわる[2]。

フランスの教科きょうか 編集へんしゅう

フランスでは基礎きそ学習がくしゅう期き（保育ほいく学校がっこう年長ねんちょう・小学しょうがく2年ねん）の教科きょうかとして

  • 「言語げんごの修得しゅうとく」
  • 「共ともに生いきる」
  • 「数学すうがく」
  • 「世界せかいの発見はっけん」
  • 「外国がいこく語ごまたは地域ちいき語ご」
  • 「芸術げいじゅつ教育きょういく」
  • 「体育たいいく・スポーツ」

が設定せっていされている[3]。

また、深化しんか学習がくしゅう期き（小学しょうがく3年ねん - 小学しょうがく5年ねん）の教科きょうかとして

  • 「言語げんごの修得しゅうとく」
  • 「公民こうみん教育きょういく」
  • 「文学ぶんがく・人文じんぶん教育きょういく（文学ぶんがく・文法ぶんぽう・外国がいこく語ごまたは地域ちいき語ご・歴史れきし・地理ちり・集団しゅうだん生活せいかつ（討議とうぎ）に細分さいぶん）」
  • 「科学かがく教育きょういく（数学すうがく・実験じっけん科学かがく・テクノロジーに細分さいぶん）」
  • 「芸術げいじゅつ教育きょういく（音楽おんがく教育きょういく、視覚しかく芸術げいじゅつに細分さいぶん）」
  • 「体育たいいく・スポーツ」

が設定せっていされている[3]。

脚注きゃくちゅう 編集へんしゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]
  1. ^ a b c d 安彦やすひこ忠彦ただひこ 2009.
  2. ^ a b 二宮にのみや晧 2006, p. 35.
  3. ^ a b 二宮にのみや晧 2006, p. 45-46.

参考さんこう文献ぶんけん 編集へんしゅう

  • 安彦やすひこ忠彦ただひこ「学校がっこう教育きょういくにおける「教科きょうか」の本質ほんしつと役割やくわり」『学校がっこう教育きょういく研究けんきゅう』第だい24巻かん、日本にっぽん学校がっこう教育きょういく学会がっかい、2009年ねん、20-31頁ぺーじ、doi:10.20576/bojase.KJ00007947263、ISSN 0913-9427、NAID 110009420363。 
  • 二宮にのみや皓あきら『世界せかいの学校がっこう : 教育きょういく制度せいどから日常にちじょうの学校がっこう風景ふうけいまで』学事がくじ出版しゅっぱん、2006年ねん。ISBN 4761911700。 NCID BA76230872。https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008141763-00。 

関連かんれん項目こうもく 編集へんしゅう

 
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