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環境 - Wikipedia

環境かんきょう

人間にんげん生物せいぶつ家庭かてい社会しゃかい自然しぜんなどの外的がいてき総体そうたい

環境かんきょう(かんきょう、英語えいご: environment)は、広義こうぎにおいてはひと生物せいぶつ家庭かてい社会しゃかい自然しぜんなどの外的がいてきこと総体そうたいであり、狭義きょうぎではそのなかひと生物せいぶつなんらかの影響えいきょうあたえるものだけを場合ばあいもある。とく限定げんていしない場合ばあい人間にんげん中心ちゅうしんとする生物せいぶつ生態せいたいけい環境かんきょうのことである場合ばあいおおい。

生物せいぶつ物理ぶつりがくてき環境かんきょうは、生物せいぶつまたは個体こたいぐん生物せいぶつてきおよび生物せいぶつてき環境かんきょうであり、その結果けっかそれらの生存せいぞん発達はったつおよび進化しんか影響えいきょうあたえる要因よういんふく[1]生物せいぶつ物理ぶつりがくてき環境かんきょうは、微視的びしてきから地球ちきゅう規模きぼ規模きぼ規模きぼことなりる。その属性ぞくせいおうじて細分さいぶんすることもできる。れいとしては、海洋かいよう環境かんきょう大気たいき環境かんきょう地球ちきゅう環境かんきょうなどがある [2]かく生物せいぶつがそれ自身じしん環境かんきょうっていることをかんがえると、生物せいぶつ物理ぶつりがくてき環境かんきょうかず無数むすうにある。

環境かんきょうという用語ようごは、人類じんるい関連かんれんした単一たんいつ地球ちきゅう環境かんきょう、または英国えいこく環境庁かんきょうちょうなどの地域ちいき生物せいぶつ物理ぶつりがくてき環境かんきょうすことがある。

環境かんきょう我々われわれき、我々われわれたいして存在そんざいするだけでなく、我々われわれやその生活せいかつかかわって、安息あんそく仕事しごと条件じょうけんとしてつ。また狭義きょうぎ環境かんきょうについては、人間にんげん生産せいさん消費しょうひ活動かつどうによって汚染おせんし、破壊はかいするという関係かんけいせいなかおおきな環境かんきょう問題もんだいになってきた。

環境かんきょう保護ほご主義しゅぎひろ範囲はんい社会しゃかいてきおよび哲学てつがくてき運動うんどうであり、それはだい部分ぶぶん生物せいぶつ物理ぶつりがくてき環境かんきょうたいする人間にんげん活動かつどう悪影響あくえいきょう最小限さいしょうげんおさえ、補償ほしょうすることを目的もくてきとしている。環境かんきょう保護ほご主義しゅぎしゃにとっての関心事かんしんじ通常つうじょう自然しぜん環境かんきょう関連かんれんしており、より重要じゅうようなものは気候きこう変動へんどうたね絶滅ぜつめつ汚染おせん、そして太古たいこからの森林しんりん喪失そうしつである。

日本にっぽんでは1971ねん環境省かんきょうしょう前身ぜんしんである環境庁かんきょうちょう発足ほっそくし、政治せいじ課題かだいとして環境かんきょう問題もんだい本格ほんかくてきまれるようになる。

環境かんきょう」という用語ようご

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コトバンクによると[3]もと中国ちゅうごくの11世紀せいきからの用語ようごで、和製わせい漢語かんごになる。

研究けんきゅうしゃ早田そうだ(2003)は、環境かんきょうは「environment」の訳語やくごとして、全国ぜんこくだかおんな協会きょうかい理事りじちょうだい日本にっぽん優生ゆうせいかい創始そうししゃでもある市川いちかわげんさんが、1900ねんに「パーカー統合とうごう教授きょうじゅ原理げんり[4]初出しょしゅつでそれ以前いぜんは、「environment」の訳語やくごとして「たまきぞう」「外界がいかい」などが使用しようされたとしている[5]

また、研究けんきゅうしゃ長沼ながぬま(2008)は『「環境かんきょう」をめぐる言語げんごてき「メタ環境かんきょう」 : 翻訳ほんやく文法ぶんぽうてき比喩ひゆ』のなかで、大正たいしょう11ねん(1922ねん)に初版しょはんされた『齋藤さいとう英和ひでかず辭典じてん』には environment の訳語やくごとして「環境かんきょう」が登場とうじょうしてくる。レイチェル・カーソン(Rachel Carson)が Silent Spring をうたのが1962ねんである。そして、その邦訳ほうやくが2ねん日本にっぽん出版しゅっぱんされている。この翻訳ほんやくしょは、1964ねん刊行かんこうされた青樹あおきやないちやくなま妙薬みょうやく』である。その文庫本ぶんこぼんとしてタイトルが『沈黙ちんもくはる』と改題かいだいされ、このみじか段落だんらくで、surrounding が2かい、environment が1かい使用しようされているが、すべて「環境かんきょう」と訳出やくしゅつされている。[6]

1961ねん設立せつりつ環境かんきょう開発かいはつセンターにすぐに入所にゅうしょした田村たむらあきらは「浅田あさだたかし戦略せんりゃく」《都市とし計画けいかく Planners No.14》 1997 p.7で「たん建物たてものをつくる、道路どうろをつくるのではなく、より環境かんきょうつくるといった意味いみ当時とうじとしては きわめてユニークだった『環境かんきょう』という言葉ことば使つかっています。環境かんきょうという言葉ことば当時とうじ環境かんきょう衛生えいせい程度ていど理解りかいしか一般いっぱんてきにはなかったころのことです。『随分ずいぶん、し尿にょう処理しょり会社かいしゃ間違まちがえられたよ』と浅田あさださんはっていました。」とこたえている。

小林こばやし治人はるひと環境かんきょうデザインとしつらえけい」(『しつらえけい その発想はっそう展開てんかい』1996ねん、マルモ出版しゅっぱん所収しょしゅう)にも「わたし記憶きおくでは「環境かんきょう」という言葉ことば日本にっぽんで、計画けいかく設計せっけい対象たいしょうとしてもちいられたのは、東京とうきょうによって実施じっしされた「代々木公園よよぎこうえん計画けいかく設計せっけい懸賞けんしょう募集ぼしゅう」(1964ねん)にはしはっしているとおもう。当時とうじ環境かんきょうという言葉ことばれたおおくの人々ひとびとが、環境かんきょう衛生えいせいというとらえかたをするのが普通ふつう状況じょうきょうにあった。わたしたち環境かんきょう計画けいかく研究けんきゅうグループのメンバーの集合しゅうごう場所ばしょに「環境かんきょう計画けいかく研究けんきゅうしつ」とがみをしておいたら、衛生えいせい器材きざいのセールスマンがおとずれてたという時代じだいであった。」とある。

生活せいかつ環境かんきょう相互そうご作用さよう

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のこったすべての生命せいめいはその環境かんきょう条件じょうけん順応じゅんのうしたにちがいない。温度おんどひかり湿度しつど土壌どじょう栄養素えいようそなどはすべて、あらゆる環境かんきょうないのあらゆるたね影響えいきょうあたえる。しかし、人生じんせい今度こんどはその状態じょうたいをさまざまなかたち修正しゅうせいする。大気たいきちゅうへの酸素さんそ混入こんにゅうなど、わたしたちの惑星わくせい歴史れきし沿ったいくつかの長期ちょうきてき修正しゅうせい重要じゅうようである。このプロセスは、その代謝たいしゃ炭素たんそ使用しようして大気たいきちゅう酸素さんそ放出ほうしゅつする嫌気いやけせい微生物びせいぶつによる二酸化炭素にさんかたんそ分解ぶんかい構成こうせいされていた。これは酸素さんそベースの植物しょくぶつ動物どうぶつ生命せいめいおおきな酸素さんそ現象げんしょう存在そんざいにつながった。

関連かんれんする研究けんきゅう

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公共こうきょう公園こうえん生態せいたいけいには、野生やせい生物せいぶつえさをやる人間にんげんふくまれることがよくある。

環境かんきょう科学かがく生物せいぶつ物理ぶつりがくてき環境かんきょうない相互そうご作用さよう研究けんきゅうである。この科学かがく分野ぶんや一部いちぶは、環境かんきょうたいする人間にんげん活動かつどう影響えいきょう調査ちょうさである。生態せいたいがく生物せいぶつがく下位かい分野ぶんや、および環境かんきょう科学かがく一部いちぶは、人間にんげん環境かんきょうへの影響えいきょう研究けんきゅうとしてあやまっていることがよくあります。環境かんきょう研究けんきゅうは、人間にんげんかれらの環境かんきょうとの相互そうご作用さよう体系たいけいてき研究けんきゅうである、よりひろ学問がくもん分野ぶんやである。それは自然しぜん環境かんきょうつくられた環境かんきょうおよび社会しゃかいてき環境かんきょうふくひろ研究けんきゅう分野ぶんやである。

関連かんれんする研究けんきゅうひとつは、生物せいぶつ物理ぶつりがくてき環境かんきょう研究けんきゅうするために地理ちり情報じょうほう科学かがく採用さいようすることをふくむ。[7]

様々さまざま用法ようほう

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環境かんきょうなかでもおも自然しぜんかんするしょ問題もんだい環境かんきょう問題もんだいという。生物せいぶつとそれを環境かんきょうとの学問がくもん生態せいたいがくという。

自然しぜんとはやまかわ々や草花くさばな動物どうぶつ気象きしょうなどであり、それと区別くべつして人為じんいてきつくられた造形ぞうけいぶつたとえば、建物たてもの道路どうろ家具かぐなどは物的ぶってき環境かんきょうとしてげられる。

エコロジーしょく文化ぶんか関係かんけいした環境かんきょう問題もんだいについては、かく記事きじ参考さんこうのこと。

主体しゅたいをどうとらえるか

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より厳密げんみつかんがえると、環境かんきょうとは、あるものを主体しゅたいにとった場合ばあいにおける、それをき、直接ちょくせつ間接かんせつ関係かんけいつものすべてをすものである。したがって、主体しゅたいをどうるかによってその内容ないよう変化へんかする。

たとえば動物どうぶつたね主体しゅたいかんがえた場合ばあい、そのたねしゅ生物せいぶつとの関係かんけい食物しょくもつ連鎖れんさ競争きょうそう関係かんけいなど)、それにその周囲しゅうい物理ぶつりてき化学かがくてき条件じょうけん環境かんきょうとしてげられる。しかし、そのたねなかいち個体こたいげた場合ばあい、これにくわえてたねない個体こたいあいだ関係かんけい個体こたいぐん密度みつど家族かぞくなど)を環境かんきょう条件じょうけんとしてかんがえなければならない。たとえばある個体こたいぐん増加ぞうかりつはその密度みつど依存いぞんする場合ばあいがあり、これを密度みつど効果こうかぶ。

公害こうがいびょう

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たとえば、公害こうがいびょうとして有名ゆうめい水俣病みなまたびょうれいげる。

この病気びょうき原因げんいんは、チッソ水俣みなまた工場こうじょう廃液はいえきふくまれた水銀すいぎん水俣みなまたわん生態せいたいけいまれ、食物しょくもつ連鎖れんさつうじて変化へんか濃縮のうしゅくされたうえ地域ちいき住民じゅうみんがそれを摂取せっしゅし、その毒性どくせいによって発病はつびょうするものである。いわゆる公害こうがいびょうというのは、このように人間にんげん原因げんいん物質ぶっしつとうつくり、それが直接ちょくせつ人間にんげんるのではなく、その地域ちいき生物せいぶつ群集ぐんしゅうまれ、生態せいたいけい循環じゅんかんつうじてふたた人間にんげんまれたときに、そこではじめて結果けっかあらわれるものである。公害こうがいというのは、おおやけがい、つまり人間にんげんはたらきで環境かんきょうはたらきかけたしっぺがえしが人間にんげんもどってきた、という把握はあくもとづく。つまり、環境かんきょう主体しゅたい人間にんげんととらえ、人間にんげんがそれを環境かんきょう汚染おせんしたため、その悪影響あくえいきょう人間にんげん自身じしんけた、とるわけである。

しかし、この病気びょうき被害ひがいしゃ主体しゅたいれば、はなしおおきくちがうことになる。その場合ばあい、チッソ水俣みなまた工場こうじょうという一部いちぶ人間にんげん企業きぎょう)の活動かつどうが、うみよごした結果けっか、その環境かんきょう汚染おせん影響えいきょう有毒ゆうどくとなったさかなべた食物しょくもつ連鎖れんさとおしてネコ漁民ぎょみん被害ひがいけた、というふうになる。この場合ばあいあきらかにチッソ水俣みなまた工場こうじょうがわ加害かがいしゃ漁民ぎょみん被害ひがいしゃ立場たちばとなる。この結果けっかは、人間にんげん集団しゅうだんない差異さい視野しやれるかどうかにかかわっている。

ただ、いずれの立場たちばるにせよ、人間にんげん環境かんきょうふくめてかんがえなければならない問題もんだいではあるので、それを環境かんきょう問題もんだいというのは間違まちがいではない。しかし、環境かんきょうという言葉ことば内容ないよう曖昧あいまいにするのに役立やくだっている側面そくめんわすれてはならない。 2006ねん水俣病みなまたびょう公式こうしき認定にんてい50周年しゅうねんにあたり、とき環境かんきょう大臣だいじん小池こいけ百合子ゆりこ政府せいふとして公式こうしき謝罪しゃざいした。

具体ぐたいてき内容ないよう

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人間にんげん集団しゅうだん主体しゅたいにとった場合ばあいには、以下いかのようなものが環境かんきょうとしてげられるであろう。

集団しゅうだんない個人こじんげた場合ばあい、さらにつぎのようなものがげられる。

依然いぜん課題かだいとしてのこ環境かんきょう問題もんだいとして以下いかのようなものがげられる。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Biology online. “Environment. Definition”. 2012ねん3がつ15にち閲覧えつらん
  2. ^ Kemp, David Walker (1998). Environment Dictionary. London, UK: Routledge 
  3. ^ 環境かんきょう コトバンク
  4. ^ パーカー統合とうごう教授きょうじゅ原理げんり
  5. ^ 早田そうだおさむ日本にっぽんにおける用語ようご環境かんきょう」の導入どうにゅう過程かてい」『早稲田わせだ社会しゃかい科学かがく総合そうごう研究けんきゅうだい3かんだい3ごう早稲田大学わせだだいがく社会しゃかい科学かがく学会がっかい、2003ねん3がつ、65-72ぺーじISSN 13457640NAID 110000975599 
  6. ^ 長沼ながぬま美香子みかこ環境かんきょう」をめぐる言語げんごてき「メタ環境かんきょう」 : 翻訳ほんやく文法ぶんぽうてき比喩ひゆ」『文化ぶんかコミュニケーション論集ろんしゅうだい6ごう立教大学りっきょうだいがく、2008ねん、33-45ぺーじISSN 13488422NAID 110007704248 
  7. ^ Deng, Y. X., and J. P. Wilson. 2006. “The Role of Attribute Selection in GIS Representations of the Biophysical Environment”. Annals of the Association of American Geographers 96 (1). [Association of American Geographers, Taylor & Francis, Ltd.]: 47-63. JSTOR 3694144.

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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