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毒性 - Wikipedia

毒性どくせい(どくせい、えい: toxicity)とは、単一たんいつ化学かがく物質ぶっしつまたは複数ふくすう物質ぶっしつ特定とくてい混合こんごうぶつ生物せいぶつ損傷そんしょうあたえうる程度ていどあらわすものである[1]毒性どくせいは、動物どうぶつ細菌さいきん植物しょくぶつといった生物せいぶつ全体ぜんたいたいする影響えいきょうのほか、細胞さいぼう細胞さいぼう毒性どくせい)や肝臓かんぞうかん毒性どくせい)などの器官きかんすなわち生物せいぶつ部分ぶぶん構造こうぞうたいする影響えいきょうについてもす。日常にちじょうてき用法ようほうにおいて、この言葉ことばは「中毒ちゅうどく」と多少たしょうなりとも同義語どうぎごになることがある。

Toxicity
髑髏しゃれこうべほねが、毒性どくせいかんする一般いっぱんてきハザードシンボル
概要がいよう
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう

毒物どくぶつ影響えいきょう用量ようりょう依存いぞんてきである、というのが毒性どくせいがく中心ちゅうしんてき概念がいねんである。みずでさえも過剰かじょう摂取せっしゅした場合ばあいみず中毒ちゅうどくにつながる可能かのうせいがあり、一方いっぽうヘビどくのような猛毒もうどく物質ぶっしつであっても毒性どくせい作用さようあらわれない用量ようりょう存在そんざいする。この用量ようりょう反応はんのう限界げんかいという概念がいねん考慮こうりょして、近年きんねんではあらたな薬物やくぶつ毒性どくせい指数しすう (DTI)[2]提案ていあんされている[3]。DTIは薬物やくぶつ毒性どくせいさい定義ていぎし、かん毒性どくせい薬物やくぶつ同定どうていし、機構きこうてき洞察どうさつあたえ、臨床りんしょう転帰てんき予測よそくするもので、またスクリーニングツールとしての潜在せんざいせいがある。毒性どくせいたね特異とくいてきであるため、異種いしゅあいだ分析ぶんせきにおいて問題もんだいしょうじる。毒性どくせい評価ひょうか項目こうもく概念がいねん維持いじしつつ、動物どうぶつ実験じっけん回避かいひするためのあたらしいパラダイムおよび測定そくてい基準きじゅん進化しんかげつつある[4]

種類しゅるい

編集へんしゅう

一般いっぱんてきには化学かがくてき毒性どくせい生物せいぶつがくてき毒性どくせい物理ぶつりてき毒性どくせい放射線ほうしゃせん毒性どくせいの4種類しゅるい毒性どくせい物質ぶっしつがある。

  • R.M.Yassineスケールは、毒性どくせい測定そくていするために使用しようされる主要しゅよう尺度しゃくどである。
  • 化学かがく毒性どくせい物質ぶっしつには、なまり水銀すいぎんフッ水素すいそさん塩素えんそガスなどの無機物むきぶつと、メチルアルコール大半たいはん薬品やくひん生物せいぶつ由来ゆらい毒物どくぶつなどの有機ゆうき化合かごうぶつふくまれる。ウラニウムのような一部いちぶよわ放射ほうしゃせい物質ぶっしつ化学かがくてき毒物どくぶつである。一方いっぽう物質ぶっしつとの化学かがくてき相互そうご作用さようというよりも物質ぶっしつ自体じたいからさんされる電離でんり放射線ほうしゃせんによって有害ゆうがい影響えいきょう放射線ほうしゃせん中毒ちゅうどく)がこされるラジウムなどのつよ放射ほうしゃせい物質ぶっしつ化学かがくてき毒物どくぶつ該当がいとうしない。
  • 病気びょうきこす微生物びせいぶつ寄生虫きせいちゅうひろ意味いみ有毒ゆうどくであるが、一般いっぱんてきには有毒ゆうどく物質ぶっしつというよりも病原びょうげんたいばれている。 病原びょうげんたい生物せいぶつがくてき毒性どくせいは「閾値りょう」が単一たんいつ生物せいぶつであるかもしれず、測定そくてい困難こんなん場合ばあいがある。理論りろんてきにはいち個体こたいウイルスバクテリアワーム繁殖はんしょくして深刻しんこく感染かんせんこす可能かのうせいがある。 しかし、宿主しゅくしゅないにおける生物せいぶつ固有こゆう毒性どくせいは、宿主しゅくしゅ損傷そんしょうけていない免疫めんえきシステムがそなえる対抗たいこう能力のうりょくによってバランスがう。その場合ばあい有効ゆうこう毒性どくせいはこの関係かんけい双方そうほう部分ぶぶんわせとなる。場合ばあいによっては、たとえばコレラなどの病気びょうき生物せいぶつ自体じたいではなく生物せいぶつから分泌ぶんぴつされる生存せいぞん物質ぶっしつによってこされる。そういった生存せいぞん生物せいぶつがくてき毒物どくぶつが、微生物びせいぶつ植物しょくぶつきんによりさんされる場合ばあい英語えいごでは一般いっぱんにtoxin(毒素どくそ)とばれ、動物どうぶつによりさんされる場合ばあいはvenom(毒液どくえき)とばれる。
  • 物理ぶつりてき毒物どくぶつとは、それらの物理ぶつりてき性質せいしつ理由りゆう生物せいぶつがくてきプロセスに損傷そんしょうあたえる物質ぶっしつのことである。 れいとしては、石炭せきたん粉塵ふんじんアスベスト繊維せんい微細びさい粉末ふんまつされた二酸化にさんかケイ素けいそなどがあり、これらはどれも吸入きゅうにゅうすると最終さいしゅうてき致命ちめいてきになりる。腐食ふしょくせい化学かがく物質ぶっしつ組織そしき破壊はかいするため物理ぶつりてき毒性どくせい保有ほゆうしているが、その生物せいぶつがくてき活性かっせい直接ちょくせつ妨害ぼうがいしないかぎりそれらは直接的ちょくせつてき有毒ゆうどくではない。体内たいない水分すいぶんおおすぎると生体せいたいイオン濃度のうど劇的げきてき低下ていかするため、極端きょくたん大量たいりょう摂取せっしゅをすると、みず物理ぶつりてき毒物どくぶつとして作用さようすることがありうる。窒息ちっそくせいガスは、環境かんきょうちゅう酸素さんそ置換ちかんすることによって作用さようするが化学かがくてき有毒ゆうどくガスではなく活性かっせいガスなので、物理ぶつりてき毒物どくぶつなすことができる。
  • すでにれたように、放射線ほうしゃせん生物せいぶつ有害ゆうがい影響えいきょうあたえる可能かのうせいがある[5]

測定そくてい

編集へんしゅう

毒性どくせいは、目標もくひょうぶつ生物せいぶつ器官きかん組織そしきまたは細胞さいぼう)にたいするその影響えいきょうによって測定そくていすることができる。 一般いっぱんてき個体こたいおな用量ようりょう毒性どくせい物質ぶっしつたいしてさまざまな程度ていど反応はんのうしめすため、個体こたいぐんにおけるあたえられる結果けっか蓋然性がいぜんせい関連かんれんする個体こたいぐんレベルの毒性どくせい尺度しゃくどがしばしば使用しようされる。そのような尺度しゃくどの1つが半数はんすう致死ちしりょう (LD50) である。 そうしたデータが存在そんざいしない場合ばあい既知きち類似るいじする毒物どくぶつとの比較ひかく類似るいじ生物せいぶつにおけるたような曝露ばくろとの比較ひかくによって推定すいていおこなわれる。そのにデータおよび評価ひょうかプロセスの確実かくじつせい説明せつめいする「安全あんぜんりつ」が加味かみされる。たとえば、ある用量ようりょう毒物どくぶつ実験じっけんようラットで安全あんぜんであればその10ぶんの1の用量ようりょうがヒトにとって安全あんぜんであると仮定かていすると、両者りょうしゃ哺乳ほにゅう動物どうぶつあいだたねあいだ差異さい安全あんぜんりつ10で許容きょようすることができる。データがさかなからの場合ばあい両者りょうしゃ脊索せきさく動物どうぶつクラス(魚類ぎょるい哺乳類ほにゅうるいあいだのよりおおきなちがいを説明せつめいするためこのりつを100で使用しようする場合ばあいもある。同様どうように、妊娠にんしんちゅう特定とくてい罹病りびょうなど毒物どくぶつ影響えいきょうけやすいとかんがえられる個人こじんには、保護ほごりつやして使つかうことも可能かのうである。このほか、効果こうか化合かごうぶつ非常ひじょう類似るいじしているとおもわれるあらたに合成ごうせいされたまだ研究けんきゅう化学かがく物質ぶっしつには、おそらく効果こうかもよりちいさいことを考慮こうりょして追加ついか保護ほごりつ10をてることも可能かのうである。このアプローチが非常ひじょう近似きんじてきなことは明白めいはくである。しかし、そういった保護ほごりつはわざと非常ひじょう保守ほしゅてき数値すうちにしてあり、この手法しゅほう多種たしゅ多様たよう用途ようとにおいて有用ゆうようであることが判明はんめいしている。

がんの原因げんいんとなる物質ぶっしつ毒性どくせいのあらゆる側面そくめん評価ひょうかするにはさらなる問題もんだいがある、というのも発癌はつがんせい物質ぶっしつたいして最小さいしょう有効ゆうこうりょうがあるのか不明瞭ふめいりょうで、ちいさすぎてそのリスクを確認かくにんしきれていないのである。さらに、完全かんぜん効果こうかすのに必要ひつようなものががん細胞さいぼう形質けいしつ転換てんかんされた単一たんいつ細胞さいぼうだけのこともありうる(単一たんいつヒットせつ[注釈ちゅうしゃく 1]

純粋じゅんすい化学かがく薬品やくひんよりも化学かがく薬品やくひん混合こんごうぶつ毒性どくせい判断はんだんするほうがむずかしい。なぜなら、個々ここ成分せいぶんはそれ自身じしん毒性どくせいしめすが、成分せいぶん同士どうし相互そうご作用さようして増強ぞうきょうまたは低減ていげん効果こうか可能かのうせいがあるからである。一般いっぱんてき混合こんごうぶつには、ガソリンタバコけむり産業さんぎょう廃棄はいきぶつなどがある。機能きのう不全ふぜん下水げすい処理しょりじょうからの排出はいしゅつぶつなど、化学かがく物質ぶっしつ生物せいぶつがくてき物質ぶっしつ両方りょうほうふくむ、複数ふくすう種類しゅるい毒物どくぶつがある状況じょうきょうはさらに複雑ふくざつとなる。

様々さまざま生物せいぶつがくてきシステムにたいする毒性どくせいぜん臨床りんしょう試験しけんが、治験ちけんやく固有こゆう生物せいぶつしゅ器官きかん用量ようりょうへの毒性どくせい効果こうかあきらかにしている。 物質ぶっしつ毒性どくせいは、(a)物質ぶっしつへの偶発ぐうはつてき曝露ばくろ研究けんきゅう(b)細胞さいぼう細胞さいぼうかぶもちいた生体せいたいがい実験じっけん(c)実験じっけん動物どうぶつにおける生体せいたい曝露ばくろ、により観察かんさつすることが可能かのうである。毒性どくせい試験しけんおもに、がんこころ毒性どくせい皮膚ひふへの刺激しげきといった特定とくてい有害ゆうがい事象じしょうやその終点しゅうてん調しらべるために使用しようされる。毒性どくせい試験しけんはまた毒性どくせいりょう(NOAEL)の算出さんしゅつにも有用ゆうようであり、臨床りんしょう試験しけんにおいても役立やくだ[7]

分類ぶんるい

編集へんしゅう
 
有毒ゆうどく化学かがく物質ぶっしつかんする国際こくさいてきなピクトグラム

物質ぶっしつ規制きせいけて適切てきせつあつかわれるためには、それらが適切てきせつ分類ぶんるいされて表示ひょうじされる必要ひつようがある。分類ぶんるいは、承認しょうにんされた試験しけん方法ほうほうまたは計算けいさんによって決定けっていされ、政府せいふおよび科学かがくしゃによって設定せっていされたカットオフの水準すいじゅんたとえば、毒性どくせいりょう許容きょよう濃度のうど[8]たいよういちにち摂取せっしゅりょうレベル)がさだめられている。殺虫さっちゅうざいは、安定あんていした毒性どくせいランクおよび毒性どくせいラベルのシステムれいである。現在げんざい試験しけん種類しゅるい試験しけんすう、カットオフレベルにかんしておおくのくにことなる規制きせいおこなっているが、化学かがくひん分類ぶんるいおよび表示ひょうじかんする世界せかい調和ちょうわシステム[9][10]推進すいしんがこれらのくにをまとめつつある。どう分類ぶんるいは、物理ぶつり化学かがくてき危険きけんせい爆発ばくはつぶつおよびこうぶつ[11]健康けんこうじょう危険きけんせい[12]環境かんきょうじょう危険きけんせい[13]という3分野ぶんやけている。

健康けんこうたいする有害ゆうがいせい

編集へんしゅう

物質ぶっしつ全身ぜんしん致死ちしさせたり、特定とくてい器官きかん致死ちしさせたり、重大じゅうだいあるいは軽度けいど損傷そんしょうわせたり、がんこす可能かのうせいがある毒性どくせい種類しゅるい。これらが毒性どくせいとはなにかについての世界せかいてきみとめられた定義ていぎである[12]。この定義ていぎからはずれるものはなにであれ、毒物どくぶつ形式けいしきとして分類ぶんるいされることはない。

急性きゅうせい毒性どくせい

編集へんしゅう

詳細しょうさい急性きゅうせい毒性どくせい参照さんしょう

急性きゅうせい毒性どくせい経口けいこうけいかわまたは吸入きゅうにゅう暴露ばくろ致死ちしてき影響えいきょう着目ちゃくもくしている。じゅう大度たいどは5つの区分くぶん分類ぶんるいされ、そこでは区分くぶん1がもっとすくないりょう暴露ばくろ致命ちめいてきになるもので、区分くぶん5はもっと多量たりょう暴露ばくろ致命ちめいてきにあるというものである。 以下いかひょうかく区分くぶん上限じょうげんしめしている[14]

暴露ばくろ経路けいろ 区分くぶん1 区分くぶん2 区分くぶん3 区分くぶん4 区分くぶん5
経口けいこう: LD50(mg/kg 体重たいじゅう 5 50 300 2000 5000
けいがわ: LD50(mg/kg 体重たいじゅう 50 200 1000 2000 5000
気体きたい吸入きゅうにゅう: LC50ppmV ※体積たいせき濃度のうど 100 500 2500 20000 定義ていぎ
蒸気じょうき吸入きゅうにゅう: LC50 (mg/L) 0.5 2.0 10 20 定義ていぎ
粉塵ふんじんおよびミスト: LC50 (mg/L) 0.05 0.5 1.0 5.0 定義ていぎ

注記ちゅうき:未定義みていぎとしたは、経口けいこうまたはけいがわでの区分くぶん5のどう程度ていど投与とうよりょうであると推定すいていされている[14]

その暴露ばくろ方法ほうほう重症じゅうしょう

編集へんしゅう
 
パッチテスト

皮膚ひふへの腐食ふしょくせいおよび刺激しげきせいは、皮膚ひふパッチテスト分析ぶんせきとおして決定けっていされる。これは損傷そんしょうじゅう大度たいど、すなわち発生はっせいした時期じきやどれだけの期間きかんそれがのこるのか、それが可逆かぎゃくてきか、そして何人なんにん被験者ひけんしゃ被害ひがいけたか、などを調しらべるものである。

物質ぶっしつからの皮膚ひふ腐食ふしょくとは、塗布とふから4時間じかん以内いない表皮ひょうひとおって真皮しんぴ浸透しんとうするもので、その損傷そんしょうが14にち以内いないもともどらない必要ひつようがある。腐食ふしょくほど深刻しんこくではない損傷そんしょうしめすものは皮膚ひふ刺激しげきせいとされる。具体ぐたいてきには、塗布とふの72時間じかん以内いないや14にち以内いないに3にち連続れんぞくして塗布とふしたのち損傷そんしょう発生はっせいするもの、または2人ふたり被験者ひけんしゃで14日間にちかん持続じぞくする炎症えんしょうこす場合ばあいである。塗布とふの72時間じかん以内いないや3にち連続れんぞく塗布とふで(皮膚ひふ刺激しげきせいほど深刻しんこくではない)ちいさな損傷そんしょうについては軽度けいど皮膚ひふ刺激しげきせいとされる。

たいするじゅうあつし損傷そんしょうせいは、21日間にちかん完全かんぜん回復かいふくしない組織そしき損傷そんしょうまたは視力しりょく低下ていかふくむものである。刺激しげきせいは21にち以内いない完全かんぜん回復かいふくする変化へんかともなうものである。

分野ぶんや

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  • 呼吸こきゅうかんさくせいは、物質ぶっしつ吸入きゅうにゅうされると呼吸こきゅう過敏かびんしょうこす。
  • 皮膚ひふかんさくせい物質ぶっしつは、皮膚ひふ接触せっしょくからアレルギー反応はんのうこす。
  • 発癌はつがんせい物質ぶっしつは、がん誘発ゆうはつするかがん発生はっせいりつ増加ぞうかさせる。
  • 生殖せいしょく毒性どくせいは、せい機能きのうまたは生殖せいしょく能力のうりょくのいずれかにおいて、おやまたは子孫しそんのいずれかに悪影響あくえいきょうおよぼす。
  • 特定とくてい標的ひょうてき臓器ぞうき毒素どくそは、特定とくてい臓器ぞうきにのみ損傷そんしょうあたえる。
  • 吸引きゅういんせい呼吸こきゅう有害ゆうがいせいは、吸入きゅうにゅうにより損傷そんしょうこす可能かのうせいがある固体こたいまたは液体えきたいのこと。

環境かんきょうたいする有害ゆうがいせい

編集へんしゅう

環境かんきょうたいする有害ゆうがいせいは、環境かんきょう悪影響あくえいきょうおよぼす任意にんい条件じょうけん、プロセス、状態じょうたいとして定義ていぎしうる。 これらの有害ゆうがいせい物理ぶつりてきまたは化学かがくてきなもので、空気くうきみず土壌どじょう存在そんざいする可能かのうせいがある。 これらの条件じょうけんは、生態せいたいけいない人間にんげん生物せいぶつ多大ただいがいおよぼす可能かのうせいがある。

環境かんきょう有害ゆうがいせい一般いっぱんてきれい

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  • みず: 洗剤せんざい化学かがく肥料ひりょう下水げすい処方しょほうやく農薬のうやく除草じょそうざい重金属じゅうきんぞくPCB
  • 土壌どじょう: 重金属じゅうきんぞく除草じょそうざい農薬のうやく、PCB
  • 空気くうき: 粒子りゅうしじょう物質ぶっしつ一酸化いっさんか炭素たんそ二酸化にさんか硫黄いおう二酸化にさんか窒素ちっそアスベスト地上ちじょうレベルのオゾンなまり航空機こうくうき燃料ねんりょう鉱業こうぎょう産業さんぎょうプロセス由来ゆらいのもの)[15]

EPAは試験しけんおよび規制きせいおこな優先ゆうせん汚染おせん物質ぶっしつのリストを維持いじ管理かんりしている[16]

職業しょくぎょうじょう有害ゆうがいせい

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不思議ふしぎくにのアリス』にてくる「帽子ぼうしのようにくるう」「マッドハッター(くるった帽子ぼうし)」との表現ひょうげんは、帽子ぼうし形状けいじょうととのえるのに有毒ゆうどく化学かがく物質ぶっしつおも水銀すいぎん)を使つかっていた帽子ぼうしかんする職業しょくぎょうじょう既知きち毒性どくせい由来ゆらいする。

医療いりょう廃棄はいきぶつ処方しょほうやく処理しょり起因きいんする有害ゆうがいせい
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芸術げいじゅつにおける有害ゆうがいせい
編集へんしゅう

芸術げいじゅつ使つか道具どうぐ素材そざい手法しゅほう毒性どくせいかならずしも十分じゅうぶん理解りかいされていなかったものの、芸術げいじゅつにおける有害ゆうがいせい芸術げいじゅつにとってなん世紀せいきにもわたる問題もんだいであった。有毒ゆうどく元素げんそなかでも なまりカドミウムは、芸術げいじゅつ使つか油絵あぶらえ顔料がんりょうとしてれられることもおおく、たとえば「なまりしろ」「カドミウムレッド」などの名前なまえがついている。

20世紀せいきになると版画はんが芸術げいじゅつが、接着せっちゃくざい塗料とりょう顔料がんりょう溶剤ようざいふくまれる、標示ひょうじおおくに毒性どくせい表示ひょうじあたえられていない有毒ゆうどく物質ぶっしつ有毒ゆうどく技法ぎほう有毒ゆうどくけむり認識にんしきするようになった。シルクスクリーン洗浄せんじょうするためのキシロール使用しようがそのいちれいである。画家がかたちは、テレビン油てれびんゆなどの塗装とそう媒体ばいたいシンナーうことの危険きけんせい気付きづはじめたのである。1998ねんにキースハワードはスタジオやワークショップないにある有毒ゆうどく物質ぶっしつ気付きづき、フォトエッチング、デジタル画像がぞう、アクリルレジスト[注釈ちゅうしゃく 2]のハンドエッチングほうふくむ12の革新かくしんてき凹版おうはん印刷いんさつ製版せいはん技術ぎじゅつ詳述しょうじゅつし、無毒むどく凹版おうはん印刷いんさつ無毒むどくリトグラフあたらしい方法ほうほう導入どうにゅうすることを発表はっぴょうした[18]

環境かんきょうハザードのマッピング

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おおくの環境かんきょう健康けんこうマッピングツールがある。TOXMAPアメリカ国立こくりつ医学いがく図書館としょかん (NLM) の専門せんもん情報じょうほうサービス部門ぶもん[19]からの米国べいこく地図ちず使用しようした地理ちり情報じょうほうシステム(GIS)で、これは米国べいこく環境かんきょう保護ほごちょう (EPA) の有害ゆうがい化学かがく物質ぶっしつ排出はいしゅつ目録もくろくやスーパーファンド計画けいかく[注釈ちゅうしゃく 3]のデータを視覚しかくてき探索たんさくする手助てだすけとなっている。TOXMAPはべい連邦れんぽう政府せいふより資金しきん提供ていきょうされているリソースである。 TOXMAPの化学かがくてきおよび環境かんきょうてき健康けんこう情報じょうほうは、NLMの毒物どくぶつがくデータネットワーク(TOXNET)[21]およびPubMed信頼しんらいできる情報じょうほうげんから取得しゅとくされたものである。

水生すいせい毒性どくせい

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水生すいせい生物せいぶつ毒性どくせい試験しけんでは、致死ちしレベルを決定けっていするために、さかな甲殻こうかくるい主要しゅよう指標しひょうとなるたねをその環境かんきょうちゅう特定とくてい濃度のうど物質ぶっしつ曝露ばくろさせる。魚類ぎょるいは96あいだ甲殻こうかくるいは48あいだ曝露ばくろされる。GHSでは100 mg/Lをえる毒性どくせい定義ていぎされておらず、米国べいこく環境かんきょう保護ほごちょう現状げんじょう100 ppmをえる濃度のうどにおける水生すいせい毒性どくせいを「実質じっしつてき無毒むどく」としている[22]

曝露ばくろ 区分くぶん1 区分くぶん2 区分くぶん3
急性きゅうせい ≦ 1.0 mg/L ≦ 10 mg/L ≦ 100 mg/L
慢性まんせい ≦ 1.0 mg/L ≦ 10 mg/L ≦ 100 mg/L

注記ちゅうき区分くぶん4は慢性まんせい曝露ばくろかんして確立かくりつされており、水溶すいようせいひく水中すいちゅう溶解ようかいまでの濃度のうどでは急性きゅうせい毒性どくせいあらわれず、急速きゅうそく分解ぶんかいせいではなく生物せいぶつ蓄積ちくせきせいしめす logKow≧4であるもの[14]

毒性どくせい影響えいきょうあたえる要因よういん

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物質ぶっしつ毒性どくせいは、投与とうよ経路けいろ毒素どくそ皮膚ひふ塗布とふか、摂取せっしゅか、吸入きゅうにゅうか、注射ちゅうしゃか)、曝露ばくろ時間じかん短期たんき長期ちょうきか)、曝露ばくろ回数かいすう経時きょうじてきたんかい投与とうよふくすうかい投与とうよか)、毒物どくぶつ物理ぶつりてき形態けいたい固体こたい液体えきたい気体きたい)、個人こじん遺伝いでんてき構成こうせい個人こじん全般ぜんぱんてき健康けんこう状態じょうたい、その多数たすう様々さまざま要因よういんから影響えいきょうける可能かのうせいがある。これら要因よういん説明せつめいするのに使つかわれる用語ようごのいくつかはここにふくまれている。

急性きゅうせい曝露ばくろ
深刻しんこく生物せいぶつがくてき危害きがいまたは死亡しぼうにつながる可能かのうせいのある有毒ゆうどく物質ぶっしつへのたんかい暴露ばくろ急性きゅうせい曝露ばくろ一般いっぱんてきに1にち以内いない特徴とくちょうがある。
慢性まんせい曝露ばくろ
数ヶ月すうかげつまたはすうねん測定そくていされることがおおい、長期間ちょうきかんにわたる有毒ゆうどく物質ぶっしつへの継続けいぞくてき暴露ばくろ可逆かぎゃくてき副作用ふくさようこす可能かのうせいがある。

関連かんれん項目こうもく

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毒性どくせい種類しゅるい

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生物せいぶつ

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく
  1. ^ まれつきがん抑制よくせい遺伝子いでんし変異へんいがある遺伝いでんせい腫瘍しゅよう患者かんじゃは、1遺伝子いでんし打撃だげきはつがんするというせつ[6]一般いっぱんひとどう遺伝子いでんしに2以上いじょう打撃だげきけると発癌はつがんいたるとされる(クヌードソンの2ヒットせつ)。
  2. ^ エッチング処理しょりおこなさいに、加工かこうしたくない部分ぶぶんをあらかじめアクリル樹脂じゅし保護ほごする技法ぎほうのこと[17]
  3. ^ 信託しんたく基金ききん(スーパーファンド)を設立せつりつし、有毒ゆうどく廃棄はいきぶつ現場げんばつけてその責任せきにんしゃ追及ついきゅうしたり、汚染おせんされた土壌どじょう洗浄せんじょうすることを目的もくてきとした米国べいこく環境かんきょう保護ほごほう[20]
出典しゅってん
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  3. ^ Dixit, Vaibhav (2019). “A simple model to solve complex drug toxicity problem.”. Toxicology Research 8 (2): 157-171. doi:10.1039/C8TX00261D. 
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外部がいぶリンク

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