(Translated by https://www.hiragana.jp/)
放射線 - Wikipedia

放射線ほうしゃせん

たか運動うんどうエネルギーをもってながれる物質ぶっしつ粒子りゅうし電磁波でんじは総称そうしょう

放射線ほうしゃせん(ほうしゃせん、えい: Ionizing radiationionising radiation )とは、たか運動うんどうエネルギーをもってながれる物質ぶっしつ粒子りゅうしアルファ線あるふぁせんタ線たせん中性子ちゅうせいしせん陽子ようしせんじゅうイオンせん中間子ちゅうかんしせんなど[1]粒子りゅうし放射線ほうしゃせん)とこうエネルギーの電磁波でんじはガンマ線がんませんXせんのような電磁でんじ放射線ほうしゃせん)の総称そうしょうをいう[2][注釈ちゅうしゃく 1]。「放射線ほうしゃせん」にすべての電磁波でんじはふくめ、電離でんりこすエネルギーのたかいものを電離でんり放射線ほうしゃせん、そうでないものを電離でんり放射線ほうしゃせんけることもあるが、一般いっぱんに「放射線ほうしゃせん」とだけいうと、こうエネルギーの電離でんり放射線ほうしゃせんほうしていることがおお[注釈ちゅうしゃく 2][注釈ちゅうしゃく 3]

日本にっぽん国内こくない使用しようされている標識ひょうしき
JIS標識ひょうしきでは、黄色おうしょくあか紫色むらさきいろである(病院びょういんないではJIS標識ひょうしき採用さいようされている)。
おおくの国々くにぐににて提示ていじされている標識ひょうしき
イギリス国内こくないではこの標識ひょうしき設置せっちされている。
IAEAにて制定せいていされている標識ひょうしき

なお、広辞苑こうじえんには「放射ほうしゃせい元素げんそ放射ほうしゃせい崩壊ほうかいともな放出ほうしゅつされる粒子りゅうし放射線ほうしゃせん電磁でんじ放射線ほうしゃせんおもアルファ線あるふぁせんタ線たせんガンマ線がんません)をす」[3]、とあるが、これは放射ほうしゃせい物質ぶっしつ放射能ほうしゃのう問題もんだいとする文脈ぶんみゃくではそれをす、というくらいの意味いみである[注釈ちゅうしゃく 4]

概要がいよう

編集へんしゅう

放射ほうしゃせい物質ぶっしつ放射ほうしゃせい崩壊ほうかいこすことで不安定ふあんてい原子核げんしかく構造こうぞうから安定あんていした原子核げんしかく構造こうぞう変化へんかしようとするが、そのさい粒子りゅうしまたは電磁波でんじはかたち放出ほうしゅつされるのが放射線ほうしゃせんである[注釈ちゅうしゃく 5][注釈ちゅうしゃく 6]放射線ほうしゃせんは、直接的ちょくせつてきあるいは間接かんせつてきに、物質ぶっしつちゅう原子げんし分子ぶんし電離でんりまたは励起れいきさせる(物質ぶっしつにエネルギーをあたえる)[注釈ちゅうしゃく 7]

放射線ほうしゃせん生物せいぶつにとって有害ゆうがいであり[4]強度きょうどによってはいたらせるため、放射線ほうしゃせん防護ぼうごのために各国かっこく法律ほうりつ制定せいていされている。ただし、どの程度ていど線量せんりょう)でどのようながいがあるかについては様々さまざま見解けんかいがあり、その基準きじゅん国際こくさい統一とういつされていない。

また、放射線ほうしゃせん人間にんげん五感ごかんではかんじることができないため、必然ひつぜんてき放射線ほうしゃせん測定そくていのための測定そくていもちいて検出けんしゅつ測定そくていおこなう。生活せいかつ環境かんきょうにある放射線ほうしゃせんは「環境かんきょう放射線ほうしゃせん」とばれるが、だれしも世界せかい平均へいきん合計ごうけいで2.4[mSv]前後ぜんこう自然しぜん放射線ほうしゃせんによる被曝ひばくけているとわれる。

放射線ほうしゃせん応用おうよう範囲はんいひろく、工業こうぎょう農業のうぎょう医療いりょうその分野ぶんや有効ゆうこう利用りようされている。ただし、放射線ほうしゃせんあつかいには注意ちゅういようするため、あつかいにかんする資格しかくがいくつか存在そんざいする[注釈ちゅうしゃく 8]

放射線ほうしゃせん種類しゅるい

編集へんしゅう
 
放射線ほうしゃせん透過とうか能力のうりょくうえからそれぞれアルファ線あるふぁせんタ線たせんガンマ線がんません中性子ちゅうせいしせん透過とうか能力のうりょくアルファ線あるふぁせんかみ1まい程度ていど遮蔽しゃへいできる。タ線たせんあつすうmmのアルミニウムいたふせぐことができる。ガンマ線がんません透過とうかりょくつよく、コンクリートであれば50cm、なまりであっても10cmのあつみが必要ひつようになる。中性子ちゅうせいしせん挙動きょどうがほかの放射線ほうしゃせんいちじるしくことなり、なまりなどの金属きんぞく(原子げんし番号ばんごうおおきな元素げんそ)によって遮蔽しゃへいすることはできず、みずやコンクリートのあつかべふくまれる水素すいそ原子げんしによって遮断しゃだんできる。

放射線ほうしゃせんにはその発生はっせい機構きこう物理ぶつりてき性質せいしつによってさまざまなものが存在そんざいする。放射線ほうしゃせんは、その物理ぶつりてき性質せいしつからおおまかに電磁でんじ放射線ほうしゃせん粒子りゅうし放射線ほうしゃせんけることができる。

電磁でんじ放射線ほうしゃせん (electromagnetic radiation)

編集へんしゅう

おも電磁でんじ放射線ほうしゃせんガンマ線がんませんγ線がんませんXせん 電磁でんじ放射線ほうしゃせん波長はちょう非常ひじょうみじか電磁波でんじはである[注釈ちゅうしゃく 9]公衆こうしゅう被曝ひばく問題もんだいとなるのは、この波長はちょうきわめてみじかいことでたか透過とうかせいをもった電磁でんじ放射線ほうしゃせんである[注釈ちゅうしゃく 10][注釈ちゅうしゃく 11]

粒子りゅうし放射線ほうしゃせん (particle radiation)

編集へんしゅう

おも粒子りゅうし放射線ほうしゃせんアルファ線あるふぁせんα線あるふぁせんタ線たせんβ線べーたせん電子でんしせん[注釈ちゅうしゃく 12]陽子ようしせん中性子ちゅうせいしせんじゅう粒子りゅうしせんなど 粒子りゅうし放射線ほうしゃせん質量しつりょうった粒子りゅうし運動うんどうによってしょうじるものである。その物理ぶつりてき実体じったいとしては、原子げんし構成こうせいしている素粒子そりゅうし原子核げんしかくそのものであったりする[注釈ちゅうしゃく 13][注釈ちゅうしゃく 14]

かく放射線ほうしゃせん物質ぶっしつとの相互そうご作用さよう

編集へんしゅう
 
電離でんり放射線ほうしゃせん物質ぶっしつとの相互そうご作用さようあらわした (記号きごう意味いみは、―;粒子りゅうしせん、~;電磁波でんじは、○;電離でんり作用さよう)。うえからアルファ線あるふぁせんタ線たせんガンマ線がんません中性子ちゅうせいしせん物質ぶっしつとの相互そうご作用さようあらわしている。 荷電かでん粒子りゅうしせん(ここではアルファ線あるふぁせんタ線たせん)が物質ぶっしつ衝突しょうとつすると電離でんりこるが貫通かんつうりょくちいさい。アルファ線あるふぁせん放出ほうしゅつしたほうのかく運動うんどうエネルギーをち、はんとべ・リコイルなどとばれる。タ線たせん電離でんりさせた電子でんしもまた電離でんり作用さようゆうするがこれをデルタせん (放射線ほうしゃせん)という。さらタ線たせん減速げんそくともなって制動せいどう放射ほうしゃこる。一方いっぽう、Xせんガンマ線がんません中性子ちゅうせいしせん電荷でんかたないため、直接ちょくせつ電離でんり作用さようをせず、間接かんせつてき電離でんり作用さよう荷電かでん粒子りゅうしせんくらちいさいが、貫通かんつうりょくおおきい。中性子ちゅうせいし水素すいそなどのけい元素げんそ衝突しょうとつするとはんとべ陽子ようし(ちゅう赤丸あかまる)をしょうじ、この陽子ようし電離でんり作用さようつ。弾性だんせい散乱さんらんでは衝突しょうとつしただけでガンマ線がんません発生はっせいさせる。また中性子ちゅうせいし捕獲ほかくきた場合ばあいにもガンマ線がんません放出ほうしゅつされる。

放射線ほうしゃせん物質ぶっしつにエネルギーをあたえるが、放射線ほうしゃせん種類しゅるいによってエネルギーをあたえる相互そうご作用さよう仕組しくみはことなる。電磁でんじ放射線ほうしゃせん粒子りゅうし放射線ほうしゃせんか、粒子りゅうし放射線ほうしゃせん場合ばあい電荷でんか有無うむ質量しつりょうおおきさによってもエネルギーをあたえる機構きこうことなる。

放射線ほうしゃせん検出けんしゅつにはおも電離でんり励起れいき現象げんしょう利用りようされるが、その放射線ほうしゃせん原因げんいんとして発生はっせいするてき現象げんしょう利用りようしているものもある。

電磁でんじ放射線ほうしゃせん物質ぶっしつとの相互そうご作用さよう

編集へんしゅう

電磁でんじ放射線ほうしゃせんガンマ線がんません、X せん)と物質ぶっしつとの相互そうご作用さようとしてはひかりでん効果こうかコンプトン散乱さんらん電子でんしたい生成せいせいレイリー(コヒーレント)散乱さんらんひかりかく反応はんのうの5つである。とりわけ最初さいしょの3つの相互そうご作用さようとく重要じゅうようである[5]

粒子りゅうし放射線ほうしゃせん物質ぶっしつとの相互そうご作用さよう

編集へんしゅう

物質ぶっしつとの相互そうご作用さようかんがえるうえ粒子りゅうし放射線ほうしゃせん電子でんしからなる放射線ほうしゃせん[注釈ちゅうしゃく 15]中性子ちゅうせいしせんおよじゅう荷電かでん粒子りゅうし放射線ほうしゃせん[注釈ちゅうしゃく 16]の3つに分類ぶんるいされる[6]

電子でんしからなる放射線ほうしゃせん物質ぶっしつとの相互そうご作用さよう
電子でんしからなる放射線ほうしゃせん物質ぶっしつ通過つうかちゅうこす相互そうご作用さようとしては、電離でんり励起れいき制動せいどう放射ほうしゃ散乱さんらんがある[注釈ちゅうしゃく 17]なお、一定いってい条件じょうけんしたに、電磁でんじ放射線ほうしゃせん電子でんしおおきい原子げんし番号ばんごう物質ぶっしつ放射線ほうしゃせん入射にゅうしゃするとカスケードシャワー[注釈ちゅうしゃく 18]ばれる現象げんしょう発生はっせいする[8]
中性子ちゅうせいし物質ぶっしつとの相互そうご作用さよう
中性子ちゅうせいし電荷でんかっていないということが最大さいだい特徴とくちょうである。
中性子ちゅうせいしせん物質ぶっしつとの相互そうご作用さようはただ原子核げんしかくとの衝突しょうとつのみである[注釈ちゅうしゃく 19][注釈ちゅうしゃく 20]。さらに、衝突しょうとつ散乱さんらん弾性だんせい散乱さんらん弾性だんせい散乱さんらん)と吸収きゅうしゅう反応はんのう中性子ちゅうせいし捕獲ほかく核分裂かくぶんれつ反応はんのう中性子ちゅうせいし放出ほうしゅつ反応はんのう荷電かでん粒子りゅうし放出ほうしゅつ反応はんのうなど)に分類ぶんるいされる[10]
じゅう荷電かでん粒子りゅうし放射線ほうしゃせん物質ぶっしつとの相互そうご作用さよう
じゅう荷電かでん粒子りゅうし放射線ほうしゃせん物質ぶっしつとの相互そうご作用さようおも電離でんり励起れいきである[注釈ちゅうしゃく 21]。ほかじゅう荷電かでん粒子りゅうし低速ていそくであるとき原子核げんしかくとの弾性だんせい衝突しょうとつ、および相当そうとうたかいエネルギーをつとき制動せいどう放射ほうしゃ発生はっせいする[注釈ちゅうしゃく 22][注釈ちゅうしゃく 23]

放射線ほうしゃせん線量せんりょう概念がいねん

編集へんしゅう

放射線ほうしゃせん線量せんりょう概念がいねんはその測定そくていしたいものにおうじて様々さまざま存在そんざいしている。詳細しょうさいかく線量せんりょう概念がいねん項目こうもく参照さんしょう放射能ほうしゃのう強度きょうどについては、放射能ほうしゃのう#放射ほうしゃせい崩壊ほうかいはやさとしての放射能ほうしゃのう (activity) とその単位たんい参照さんしょう

用語ようご 意味いみ 単位たんい
吸収きゅうしゅう線量せんりょう[注釈ちゅうしゃく 24] 放射線ほうしゃせんによって物質ぶっしつたエネルギーをあらわ尺度しゃくど Gyグレイ[注釈ちゅうしゃく 25]
等価とうか線量せんりょう 人体じんたいかく臓器ぞうきたいして定義ていぎされる、放射線ほうしゃせん影響えいきょうあらわ尺度しゃくど Svシーベルト[注釈ちゅうしゃく 26]
実効じっこう線量せんりょう 個人こじんからだ全体ぜんたいたいして定義ていぎされる、放射線ほうしゃせん影響えいきょうあらわ尺度しゃくど Svシーベルト
照射しょうしゃ線量せんりょう 照射しょうしゃされた放射線ほうしゃせん総量そうりょうあらわ尺度しゃくど Rレントゲン[注釈ちゅうしゃく 27][注釈ちゅうしゃく 28]

放射線ほうしゃせん検出けんしゅつ測定そくてい

編集へんしゅう

放射線ほうしゃせん肉眼にくがんにもえずあつくもないので、検知けんちするために特別とくべつ測定そくてい器具きぐもちいる。測定そくていしたいせんしゅ目的もくてきおうじて適切てきせつ器具きぐえらばなければならない[11]

放射線ほうしゃせん検出けんしゅつもちいられる反応はんのう

編集へんしゅう

放射線ほうしゃせん物質ぶっしつ相互そうご作用さようするが、そのうちの一部いちぶおよびそれらから誘発ゆうはつされるてき現象げんしょう放射線ほうしゃせん検出けんしゅつ原理げんりとして利用りようされている[12][注釈ちゅうしゃく 29]

電離でんり (ionize)
放射線ほうしゃせん物質ぶっしつとの相互そうご作用さようによって原子げんし電離でんりされる。このとき放出ほうしゅつされた電子でんしイオンとでイオンたい生成せいせいされることになるが、これらを電気でんきてきあつめて入射にゅうしゃした放射線ほうしゃせん電離でんりをもたらした放射線ほうしゃせん)を検出けんしゅつすることができる。電離でんり反応はんのう利用りようした検出けんしゅつとしては、比例ひれい計数けいすうかんガイガー=ミュラー計数けいすうかん半導体はんどうたい検出けんしゅつ電離でんりばこきりばこあわばこ放電ほうでんばこなどがある。
励起れいき (electrical excitation)
放射線ほうしゃせんによって励起れいきされた原子げんし分子ぶんしが、その発光はっこうすることがある。発光はっこうする物質ぶっしつシンチレータ (scintillator) とぶ。この発光はっこう現象げんしょう利用りようして放射線ほうしゃせん検出けんしゅつ原理げんりとするものをシンチレーション検出けんしゅつぶ。
その現象げんしょう利用りようしたもの
  1. 化学かがく反応はんのう放射線ほうしゃせんにより誘発ゆうはつされた化学かがく反応はんのう写真しゃしん作用さよう検出けんしゅつ原理げんりとしているものもある。フィルムバッジなど
  2. 放射線ほうしゃせん損傷そんしょう放射線ほうしゃせんによって、物質ぶっしつ結晶けっしょう格子こうし欠陥けっかんしょうじたり、物質ぶっしつ材料ざいりょう科学かがくてき物性ぶっせい変化へんかしたりすることを放射線ほうしゃせん損傷そんしょうけたという。放射線ほうしゃせん損傷そんしょう利用りようした検出けんしゅつとしては固体こたい飛跡ひせき検出けんしゅつばれるものがある。
  3. チェレンコフ放射ほうしゃ:チェレンコフ検出けんしゅつ

用途ようとおうじた測定そくてい方法ほうほう

編集へんしゅう
環境かんきょうにある放射線ほうしゃせん測定そくてい
個人こじん線量せんりょう測定そくてい

放射線ほうしゃせん障害しょうがいとその防護ぼうご

編集へんしゅう

人体じんたい放射線ほうしゃせんにさらされることを被曝ひばくう。被曝ひばくは、放射線ほうしゃせん身体しんたい外部がいぶからびる外部がいぶ被曝ひばくと、体内たいない放射ほうしゃせい物質ぶっしつんだことによる被曝ひばくである内部ないぶ被曝ひばく分類ぶんるいされる。

放射線ほうしゃせん生物せいぶつにとって有害ゆうがいであり[4]びた放射線ほうしゃせん線量せんりょうおうじてなんらかの障害しょうがい放射線ほうしゃせん障害しょうがいあらわれる。放射線ほうしゃせん障害しょうがいおおまかに線量せんりょうおうじてかくりつてき影響えいきょう (stochastic effects) と確定かくていてき影響えいきょう (deterministic effects) に分類ぶんるいされる[注釈ちゅうしゃく 30]

放射線ほうしゃせん障害しょうがい歴史れきしおおむレントゲンによる Xせん発見はっけん1895ねん)からはじまるが、放射線ほうしゃせん防護ぼうごについては1940ねんごろの原爆げんばく開発かいはつから保健ほけん物理ぶつりという名称めいしょう調査ちょうさ研究けんきゅうされている。

国際こくさい放射線ほうしゃせん防護ぼうご委員いいんかい(ICRP)の勧告かんこくでは、「事故じこなどによる一般いっぱん公衆こうしゅう被曝ひばくりょう[注釈ちゅうしゃく 31]は、年間ねんかん 1 mSv(ミリシーベルト)をえないように」とされた(1990ねん平成へいせい2ねん勧告かんこくによる)[14]。(なお、放射線ほうしゃせんあつか作業さぎょうしゃについてはしょ事情じじょう考慮こうりょして)、5年間ねんかんで 100 mSv をえてはならないとされた[14]。2007ねん勧告かんこくでは、これに追加ついかするかたちで、個人こじん直接ちょくせつ利益りえきける状況じょうきょうでは1から20 mSv 以下いかとし、事故じこ発生はっせいとう被曝ひばく低減ていげん対策たいさく崩壊ほうかいしている状況じょうきょうでは20から 100 mSv 以下いかとした[15]

内部ないぶ被曝ひばく防止ぼうし気密きみつせいたか衣服いふく空気くうきちゅう微粒子びりゅうしのぞくフィルター、放射能ほうしゃのう汚染おせんされたみず食品しょくひん飲食いんしょくけることによって防護ぼうごされる。

外部がいぶ被曝ひばく中性子ちゅうせいしせん場合ばあいみずパラフィンなど水素すいそふくむもの(重水素じゅうすいそはより有効ゆうこう)、ガンマ線がんませんやXせんなどこうエネルギーの光子こうしなまりなど原子げんし番号ばんごうおおきい元素げんそふせぐのが有効ゆうこうである。

原子げんし番号ばんごうおおきさが重要じゅうようでありおもければいいやくではない[16]。100keVのXせん場合ばあいなまりてつの14ばい質量しつりょう減衰げんすい係数けいすうたかい。ただ1MeV以上いじょうこうエネルギーガンマ線がんませんでは原子げんし番号ばんごうおおきくてもたいして遮蔽しゃへい能力のうりょくわらない[17]

背後はいご放射線ほうしゃせんにもをつけなければならない。反射はんしゃした放射線ほうしゃせん再度さいど患者かんじゃ同席どうせきする人間にんげん身体しんたいつらぬくこともある。背後はいごせんについてはむしろてつほう抑制よくせいできる[16]

このためなまりてつでサンドイッチする、表面ひょうめん塗装とそうするなどの工夫くふうをするとなまり単体たんたいもちいるよりい。

α線あるふぁせんβ線べーたせん放射線ほうしゃせんかみやアルミばんなどうすい、かる物質ぶっしつでも容易ようい遮蔽しゃへいできる。ただしガンマ線がんませんなどの放射線ほうしゃせんしょうじることもあること注意ちゅうい

放射線ほうしゃせん利用りよう

編集へんしゅう

農業のうぎょう工業こうぎょう領域りょういきにおいては、放射線ほうしゃせん性質せいしつ(1.透過とうかする性質せいしつ、2.生物せいぶつがくてき作用さよう、3.化学かがくてき作用さよう、4.電離でんり励起れいき作用さようなど)を上手じょうず利用りようした様々さまざま技術ぎじゅつ製品せいひんなどがある。以下いかかく性質せいしつごとに利用りようれいしめ[注釈ちゅうしゃく 32]

1. 透過とうかする性質せいしつ
Xせん撮影さつえい非破壊ひはかい検査けんさ

放射線ほうしゃせん一種いっしゅである X せんもちいた撮影さつえい医療いりょう分野ぶんや工業こうぎょう分野ぶんや とうにおいても非破壊ひはかい検査けんさひとつの手法しゅほうとして利用りようされている [注釈ちゅうしゃく 33] [注釈ちゅうしゃく 34] [注釈ちゅうしゃく 35]

2. 生物せいぶつがくてき作用さよう
放射線ほうしゃせん滅菌めっきん輸血ゆけつよう血液けつえきへの放射線ほうしゃせん照射しょうしゃ

放射線ほうしゃせん生物せいぶつ作用さようは、医療いりょう衛生えいせい器具きぐ殺菌さっきん滅菌めっきん処理しょりひとつの手法しゅほうとして利用りようされている[注釈ちゅうしゃく 36]とくにプラスチック製品せいひんたいしてコバルト60からのガンマ線がんません照射しょうしゃもちいられている[注釈ちゅうしゃく 37][注釈ちゅうしゃく 38][注釈ちゅうしゃく 39][注釈ちゅうしゃく 40]

発芽はつが防止ぼうし品種ひんしゅ改良かいりょうにんむしほう

動植物どうしょくぶつ品種ひんしゅ改良かいりょう手法しゅほうとして放射線ほうしゃせん障害しょうがい遺伝いでんてき影響えいきょう利用りようされていることもある。食品しょくひん分野ぶんやにおいては植物しょくぶつ品種ひんしゅ改良かいりょう放射線ほうしゃせん照射しょうしゃ利用りようされており[19]、また農業のうぎょう分野ぶんやにおいてはにんちゅうほう使つかった農業のうぎょう害虫がいちゅう駆除くじょ利用りようされている[注釈ちゅうしゃく 41]

3. 化学かがくてき作用さよう
電子でんしせん架橋かきょう技術ぎじゅつ

高分子こうぶんしのプラスチックやゴムなど有機ゆうき材料ざいりょうガンマ線がんません電子でんしせん照射しょうしゃすると、分子ぶんしくさりあいだ結合けつごうする反応はんのう架橋かきょう[注釈ちゅうしゃく 42])や分子ぶんしくさりれてちいさな分子ぶんしになる反応はんのう切断せつだん)がこる[注釈ちゅうしゃく 43][注釈ちゅうしゃく 44]

4. 電離でんり励起れいき作用さよう

火災かさい報知ほうち設備せつびけむり感知かんちなかには、アメリシウム241のアルファ線あるふぁせんもちいている製品せいひんもある。

医療いりょう利用りよう

編集へんしゅう
放射線ほうしゃせん医学いがく
放射線ほうしゃせんは、放射線ほうしゃせん療法りょうほうとして脳腫瘍のうしゅよう皮膚ひふがんなどの悪性あくせい腫瘍しゅよう(まれに良性りょうせい腫瘍しゅようも)を治療ちりょうするためにももちいられる[注釈ちゅうしゃく 45][注釈ちゅうしゃく 46]。さらに、放射ほうしゃせい物質ぶっしつ利用りようした治療ちりょうほうとして、放射線ほうしゃせんのでるくぎかん)を病巣びょうそう挿入そうにゅうしてがん細胞さいぼう死滅しめつさせるしょうせんげん治療ちりょうほうなどがある。

日本にっぽんにおける法的ほうてき規制きせい

編集へんしゅう

被曝ひばくによる放射線ほうしゃせん障害しょうがいけることを目的もくてきに、日本にっぽんにおいてはつぎのような様々さまざま法律ほうりつ成立せいりつし、規制きせいされている。

電離でんり放射線ほうしゃせんからの労働ろうどうしゃ保護ほごかんする条約じょうやく (だい115ごう)
1960ねん昭和しょうわ35ねん)6がつ採択さいたくされた国際こくさい労働ろうどう機関きかんによる電離でんり放射線ほうしゃせん被曝ひばくしうるすべての労働ろうどうしゃ保護ほごのための条約じょうやく。16さい以下いかもの雇用こよう禁止きんし被曝ひばくりょう限度げんど基準きじゅん設置せっち雇用こようしゃによる事前じぜん事後じご健康けんこう診断しんだん正当せいとう医師いし助言じょげんはんした作業さぎょう禁止きんしさだめられる。日本にっぽんは1973ねん7がつ31にち批准ひじゅんしている[21]
原子力げんしりょく基本きほんほう
条文じょうぶんほう
原子力げんしりょく研究けんきゅう開発かいはつおよ利用りよう推進すいしんによって将来しょうらいにおけるエネルギー資源しげん確保かくほすることを目的もくてきとする[注釈ちゅうしゃく 47]
かく原料げんりょう物質ぶっしつかく燃料ねんりょう物質ぶっしつおよ原子げんし規制きせいかんする法律ほうりつ規制きせいほう
条文じょうぶんほう - れい
放射ほうしゃせい同位どうい元素げんそとうによる放射線ほうしゃせん障害しょうがい防止ぼうしかんする法律ほうりつ障害しょうがい防止ぼうしほう
条文じょうぶんほう - れい - 規則きそく
一般いっぱん公衆こうしゅうふくめて放射線ほうしゃせん障害しょうがい防止ぼうしはかるため、放射ほうしゃせい同位どうい元素げんそのぞかく燃料ねんりょう物質ぶっしつかく原料げんりょう物質ぶっしつ)などの使用しよう販売はんばい賃貸ちんたい廃棄はいき規制きせい目的もくてきとする[注釈ちゅうしゃく 48]
電離でんり放射線ほうしゃせん障害しょうがい防止ぼうし規則きそく電離でんりそく
条文じょうぶん規則きそく
厚生こうせい労働省ろうどうしょうれい放射線ほうしゃせんあつか事業じぎょうしょはたらひと安全あんぜん確保かくほ目的もくてきとする[注釈ちゅうしゃく 49]
人事院じんじいん規則きそくいち〇—
条文じょうぶん規則きそく
電離でんり放射線ほうしゃせん障害しょうがい防止ぼうし規則きそく国立こくりつ機関きかんばん
船員せんいん電離でんり放射線ほうしゃせん障害しょうがい防止ぼうし規則きそく
電離でんり放射線ほうしゃせん障害しょうがい防止ぼうし規則きそく船員せんいんばん
医療いりょうほう施行しこう規則きそく医療いりょうほう
条文じょうぶん規則きそくだいよんしょう
厚生こうせい労働ろうどう省令しょうれい放射線ほうしゃせん療法りょうほうという利益りえきがある医療いりょう分野ぶんやにおける放射線ほうしゃせん利用りよう規制きせい目的もくてきとする。
放射ほうしゃせい同位どうい元素げんそとう車両しゃりょう運搬うんぱん規則きそく
国土こくど交通省こうつうしょうれい運搬うんぱん安全あんぜん運転うんてんしゃ安全あんぜん確保かくほ目的もくてきとする[注釈ちゅうしゃく 50]
福島ふくしま復興ふっこう再生さいせい特別とくべつ措置そちほう
条文じょうぶんほうだいよんしょう
東京電力とうきょうでんりょく原子力げんしりょく事故じこにより被災ひさいしたどもをはじめとする住民じゅうみんとう生活せいかつまもささえるための被災ひさいしゃ生活せいかつ支援しえんとうかんする施策しさく推進すいしんかんする法律ほうりつ
条文じょうぶんほうだいじゅうさんじょう

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう

注釈ちゅうしゃく

編集へんしゅう
  1. ^ 通常つうじょう電離でんり放射線ほうしゃせん定義ていぎされ[よう出典しゅってん]物質ぶっしつ通過つうかするさい直接ちょくせつ、あるいは間接かんせつにその物質ぶっしつ原子げんし電離でんりする能力のうりょくつ。
  2. ^ *電離でんり放射線ほうしゃせんにはα線あるふぁせんβ線べーたせんγ線がんませんXせん中性子ちゅうせいしせん陽子ようしせん陽電子ようでんしせんじゅう粒子りゅうしせんなどがふくまれる。
  3. ^ 電磁波でんじは工学こうがくでは、放射ほうしゃする電磁でんじかいのことを「放射ほうしゃかい」または「放射ほうしゃ電磁でんじかい」とぶことがあるが、空気くうき電離でんりする能力のうりょくたない電磁波でんじはのことを「放射線ほうしゃせん」とはばない。
  4. ^ なお、日本にっぽん法律ほうりつ原子力げんしりょく基本きほんほう」の放射線ほうしゃせん定義ていぎは「電磁波でんじはまた粒子りゅうしせんのうち、直接ちょくせつまた間接かんせつ空気くうき電離でんりする能力のうりょくをもつもので、政令せいれいさだめるもの」(出典しゅってん原子力げんしりょく基本きほんほうだい3じょうだい5ごう)をいい、2012ねん現在げんざい政令せいれいさだめられているものは「いち.アルファ線あるふぁせんじゅう陽子ようしせん陽子ようしせんそのじゅう荷電かでん粒子りゅうしせんおよびタ線たせん .中性子ちゅうせいしせん さん.ガンマ線がんませんおよ特性とくせいエックス線えっくすせん軌道きどう電子でんし捕獲ほかくともなって発生はっせいする特性とくせいエックス線えっくすせんかぎる。) よん.1メガ電子でんしボルト以上いじょうのエネルギいちゆうする電子でんしせんおよエックス線えっくすせん」(かく燃料ねんりょう物質ぶっしつかく原料げんりょう物質ぶっしつ原子げんしおよ放射線ほうしゃせん定義ていぎかんする政令せいれいだい4じょう)である。
  5. ^ 放射能ほうしゃのう」という言葉ことばが「放射ほうしゃせい物質ぶっしつ」の意味いみ使つかわれることがあるが、本来ほんらい放射能ほうしゃのう」の意味いみは「放射線ほうしゃせん能力のうりょく」であり、放射能ほうしゃのう物質ぶっしつである放射ほうしゃせい物質ぶっしつとはことなる。また、「放射能ほうしゃのうれ」と(あまりくわしくないような)マスコミ関係かんけいしゃっている場合ばあい、「放射ほうしゃせい物質ぶっしつ」がれていることをおうとしている場合ばあいと「放射線ほうしゃせん」がれていることをそうとしている場合ばあいがある。「放射能ほうしゃのう」という言葉ことば実質じっしつじょう放射ほうしゃせい物質ぶっしつ」と同義どうぎもちいられてしまっている。それをみとめても、放射ほうしゃせい物質ぶっしつ放射線ほうしゃせんまったくの別物べつものである。放射ほうしゃせい物質ぶっしつを「放射能ほうしゃのう物質ぶっしつ」「放射線ほうしゃせん物質ぶっしつ」などと表記ひょうきしたりするのは誤解ごかい助長じょちょうする可能かのうせいがあり、科学かがくてき、または社会しゃかいてき文章ぶんしょうでは適切てきせつではない。
  6. ^ なお、放射線ほうしゃせん一般いっぱんてきこうエネルギーであることが条件じょうけんとされるが、中性子ちゅうせいしせんかぎってはていエネルギーであっても放射線ほうしゃせんあつかいされることがおおい。
  7. ^ 電離でんり作用さよう:原子げんし軌道きどう電子でんしをはじきばすことによって、原子げんしイオンと電子でんし分離ぶんりする作用さよう
  8. ^ 日本にっぽんにおける関連かんれん資格しかくとして、診療しんりょう放射線ほうしゃせん技師ぎし診療しんりょうエックス線えっくすせん技師ぎし放射線ほうしゃせん取扱とりあつかい主任しゅにんしゃエックス線えっくすせん作業さぎょう主任しゅにんしゃガンマ線がんません透過とうか写真しゃしん撮影さつえい作業さぎょう主任しゅにんしゃなどがある。
  9. ^ 電磁波でんじはには、電波でんぱ(ラジオに使つかわれている中波ちゅうは短波たんぱ、テレビのちょう短波たんぱ通信つうしんのマイクロなど)、とお赤外線せきがいせん赤外線せきがいせん可視かし光線こうせん紫外線しがいせん相当そうとうし、それぞれ波長はちょうことなるにぎない。なお、波長はちょうによって名前なまえをつけて区別くべつしているのは、発生はっせい方法ほうほうやものにたったときの反応はんのうおおきなちがいがあるためである。ちなみに、紫外線しがいせん電離でんり作用さようゆうするが放射線ほうしゃせんふくめないことがおおい。
  10. ^ なぜレントゲン写真しゃしんれるのかとえば、X せん人体じんたい透過とうかするためである。
  11. ^ なお、電磁波でんじは電磁気でんじきがくてき波動はどう現象げんしょうであるが、ひかりでん効果こうかやコンプトン散乱さんらんなど量子力学りょうしりきがくてき効果こうかあつかさい粒子りゅうし光子こうし光量子こうりょうし)であるともかんがえることができる。
  12. ^ 原子核げんしかく崩壊ほうかいによらず加速器かそくき電子でんし加速かそくするものをす。
  13. ^ α線あるふぁせんβ線べーたせんはその発見はっけん歴史れきしなか物理ぶつりてき正体しょうたい不明ふめい時代じだい名前なまえがつけられたために、粒子りゅうし放射線ほうしゃせんとはことなって実体じったいとは関係かんけい名前なまえになっている。
  14. ^ アルファ線あるふぁせんタ線たせんなどの荷電かでん粒子りゅうし放射線ほうしゃせんきりばこもちいることでその飛跡ひせき可視かしすることができる。
  15. ^ タ線たせん電子でんしせん区別くべつされることからこのような表現ひょうげんとした。なお、陽電子ようでんし(positron)もふくむ。
  16. ^ アルファ線あるふぁせん陽子ようしせんなど
  17. ^ 陽電子ようでんしについてはたい消滅しょうめつによる光子こうし放出ほうしゅつもあるとされる[7]
  18. ^ えい: cascade shower
  19. ^ 電荷でんかい。また電気でんきてき中性ちゅうせいであることから、ほか荷電かでん粒子りゅうしくらべて原子げんし原子核げんしかく直接ちょくせつ反応はんのうすることが容易よういであるためである。
  20. ^ 弾性だんせい衝突しょうとつ弾性だんせい衝突しょうとつかえすことで、中性子ちゅうせいし速度そくどまわりの衝突しょうとつする原子げんし分子ぶんし速度そくどねつ統計とうけい力学りきがくてきひとしくなる。このようにねつ統計とうけい力学りきがくてき気体きたい分子ぶんしのようにあつかえる速度そくど中性子ちゅうせいしねつ中性子ちゅうせいし (thermal neutron) とび、核分裂かくぶんれつ反応はんのうなどにおいて重要じゅうよう役割やくわりたす[9]
  21. ^ 電荷でんかっているというてんでは電子でんしおなじであるが、電子でんし陽子ようしの1800ぶんの1の質量しつりょうしかたず、じゅう荷電かでん粒子りゅうし放射線ほうしゃせん物質ぶっしつとの相互そうご作用さよう電子でんしのものとかなりことなったものとなる。
  22. ^ 電子でんしことなり制動せいどう放射ほうしゃはほとんどの場合ばあい無視むししてよい。
  23. ^ じゅう荷電かでん粒子りゅうし放射線ほうしゃせん物質ぶっしつとの相互そうご作用さようのバリエーションはすくないが、その相互そうご作用さようによって物質ぶっしつあたえるエネルギーりょうおおきい。
  24. ^ 吸収きゅうしゅう線量せんりょう定義ていぎにおいて物質ぶっしつ指定していい。
  25. ^ Gy = J/kg として定義ていぎされる。1989ねん4がつ以前いぜん吸収きゅうしゅう線量せんりょう単位たんいとして radラドもちいられていた。G = 100rad。
  26. ^ 日本にっぽんでは1989ねん4がつ以前いぜんremレム使用しようされた。Sv = 100rem。
  27. ^ 1レントゲンは0°C、1気圧きあつ空気くうきちゅうで、2.58 × 10−4クーロン/kgの電離でんり発生はっせいさせる照射しょうしゃ線量せんりょう意味いみする。
  28. ^ この単位たんい国際こくさい単位たんいけい (SI) に採用さいようされず、日本にっぽんでは1989ねん4がつ国際こくさい単位たんいけいへの以降いこう使つかわれなくなった。
  29. ^ 詳細しょうさいかたについてはつぎ参照さんしょう[13]
  30. ^ 放射線ほうしゃせん生物せいぶつだけでなくコンピューターにとっても有害ゆうがいであり、コンピューターは放射線ほうしゃせんびることによってソフトウェアがエラーをこしたり、半導体はんどうたいとしての機能きのううしなわれたりする。人工じんこう衛星えいせい宇宙うちゅう空間くうかん被曝ひばくすることを前提ぜんていとしてたか放射線ほうしゃせんたいせいのあるシステムでつくられている。ロボットが放射能ほうしゃのうれをこしている原子げんし内部ないぶ作業さぎょうする場合ばあいにはコンピューターが放射線ほうしゃせん破壊はかいされる危険きけんがあり、特殊とくしゅ放射線ほうしゃせんたいせいった電子でんし機器ききでなければ正常せいじょう動作どうさできない。
  31. ^ 自然しぜん放射線ほうしゃせん医療いりょう行為こういによる被曝ひばくふくめないもの
  32. ^ 性質せいしつ分類ぶんるいについてはつぎ参照さんしょうした[18]
  33. ^ 医療いりょう分野ぶんやでは、おも放射線ほうしゃせん診断しんだんとしてXせん撮影さつえいXせんCT検査けんさもちいられている。
  34. ^ 工業こうぎょう分野ぶんやでは、たとえば自動車じどうしゃ最終さいしゅう検査けんさにおいては人間にんげんようの100ばい程度ていどつよXせん使つかった断層だんそう撮影さつえいによって、車体しゃたい全体ぜんたいいち検査けんさすることが可能かのうになっている。航空機こうくうき溶接ようせつ状態じょうたいや、半導体はんどうたいチップの破損はそん検査けんさにも使用しようする。
  35. ^ にはたとえば、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくをはじめとするおおくのくに出入国しゅつにゅうこく管理かんり現場げんばでは、テロ対策たいさく一環いっかんとして手荷物てにもつ検査けんさ厳重げんじゅうなXせん使つかった透視とうし画像がぞう検査けんさおこなわれている。
  36. ^ ガンマ線がんません照射しょうしゃによって、内部ないぶ透過とうかする放射線ほうしゃせんフリーラジカル内部ないぶ微生物びせいぶつDNARNAきずつけ生理せいり活性かっせいうしなわせることで滅菌めっきんおこなう。大腸菌だいちょうきんであれば、60グレイければ完全かんぜんぬ(死滅しめつする)。ただし、一部いちぶたい放射線ほうしゃせんきん強力きょうりょくなDNA修復しゅうふくのうによりはるかにつよ放射線ほうしゃせんにもえうる。たとえば、テルモコックス・ガンマトレランスは、セシウム137せんげんとする30,000グレイ非常ひじょう強力きょうりょくガンマ線がんませんにもえることができる。
  37. ^ 従来じゅうらいから医療いりょう衛生えいせい器具きぐ殺菌さっきん滅菌めっきん処理しょりは「高圧こうあつ蒸気じょうき処理しょり」と「酸化さんかエチレンガス処理しょり」がおこなわれているが、近年きんねん使用しようえるプラスチックせい使つか医療いりょう衛生えいせい用品ようひん高温こうおん処理しょりにはてきさず、また、金属きんぞく製品せいひんでも、こうあつ蒸気じょうきがまでの「ベイク処理しょり」には時間じかん手間てま費用ひようかる。酸化さんかエチレンガスを使つかうには個々ここ器具きぐ包装ほうそうするまえおこなわねばならず、処理しょり酸化さんかエチレンガスがけた状態じょうたいではさい汚染おせん可能かのうせいがあり、酸化さんかエチレンガスが残留ざんりゅうしたまま包装ほうそうすると医療いりょう従事じゅうじしゃへの健康けんこう被害ひがい懸念けねんされる。
  38. ^ 専用せんよう処理しょり工程こうていがある建物たてものまで対象たいしょう製品せいひんはこ手間てまのぞけば、出荷しゅっかまえのダンボールばこめられた形態けいたいでも使用しよう可能かのうでベルトコンベアでコバルト60の周囲しゅうい一周いっしゅうさせるだけの処理しょり簡便かんべんであり、残留ざんりゅうぶつのこらない。とくにプラスチックせいのチューブでは真空しんくう処理しょりなどの工夫くふうおこなわないかぎりガスが容易よういには内部ないぶわたらないため、ガンマ線がんません照射しょうしゃ利便りべんせいかされている。
  39. ^ ほかにもたとえば医療いりょう分野ぶんやであれば、日本にっぽんでは2000ねん以降いこう移植いしょくへんたい宿主しゅくしゅびょう(GVHD)の予防よぼうのためにすべての他人たにん輸血ゆけつよう血液けつえき放射線ほうしゃせん照射しょうしゃして、これをこす細胞さいぼう障害しょうがいせいTリンパだまふくちゅうリンパだまこわしてから輸血ゆけつしている。この処理しょりによって、この病気びょうき実質じっしつてき根絶こんぜつ達成たっせいしている。
  40. ^ テロ対策たいさくとして炭疽たんそきん殺菌さっきんもちいられることもある。たとえば、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでのアメリカ炭疽たんそきん事件じけん以降いこう、50しゅうすべての郵便ゆうびんきょく放射線ほうしゃせん照射しょうしゃ装置そうちによって郵便ゆうびんぶつ炭疽たんそきんたいする殺菌さっきん処理しょりおこなっている。
  41. ^
    根絶こんぜつ
    駆除くじょ進行しんこうちゅう
    多数たすう タンザニアとエチオピアでのにんちゅう飼法使つかったツェツェバエの駆除くじょIAEA主導しゅどうしておこなわれている。
  42. ^ たとえば、タイヤの製造せいぞう工程こうてい途中とちゅうでタイヤのかたち成形せいけいされた合成ごうせいゴムに電子でんしせん照射しょうしゃして、ゴム分子ぶんしあいだ架橋かきょうつく強度きょうどすのに利用りようされる。従来じゅうらい架橋かきょうには硫黄いおうもちいられたが、電子でんしせん照射しょうしゃ導入どうにゅうはいタイヤは(問題もんだいのこるが)焼却しょうきゃく硫黄いおう酸化さんかぶつ (SOx) をしょうじなくなった[20]
  43. ^ この架橋かきょうがた分子ぶんし構造こうぞうをもつ高分子こうぶんしもちいて放射線ほうしゃせん利用りようして力学りきがくてき特性とくせいたい熱性ねっせい向上こうじょうさせるため、電子でんしせん加速器かそくきもちいて自動車じどうしゃのプラスチックせいやゴムせい部品ぶひんにも放射線ほうしゃせんてられて、エンジンルームなどの高温こうおん環境かんきょうにもえられる製品せいひんつくられている。 また、自動車じどうしゃのプラスチックせい内装ないそう部品ぶひんおおくには、その製造せいぞう過程かてい放射線ほうしゃせんてられている。ドアやシートに使つかわれる緩衝かんしょうざい断熱だんねつざいなどは、かたれられたプラスチックもとざい外側そとがわから放射線ほうしゃせんてられて外形がいけいかためられ、その加熱かねつ処理しょり内部ないぶ発泡はっぽうつくることで表面ひょうめん内部ないぶわせなどを必要ひつようとせずにことなった性状せいじょうつくることが可能かのうとなっている。
  44. ^ これら高分子こうぶんし架橋かきょうがた崩壊ほうかいがたかはその高分子こうぶんし(プラスチック、天然てんねんゴムなど)の分子ぶんし構造こうぞう依存いぞんする(最初さいしょから性質せいしつとしてまっている)。
  45. ^ 患部かんぶ照射しょうしゃしがん細胞さいぼうのDNAやRNAを破壊はかいして細胞さいぼう分裂ぶんれつ抑止よくししたりアポトーシス細胞さいぼう)をより強力きょうりょくにすすめてがん細胞さいぼうらすことに利用りようされることもある。一般いっぱんてき照射しょうしゃ方法ほうほうは、正常せいじょう細胞さいぼう許容きょよう線量せんりょう限界げんかい(50-60Gy)までを分割ぶんかつ(1にち2Gy程度ていど)して組織そしき照射しょうしゃし、正常せいじょう細胞さいぼう遺伝子いでんし破壊はかい修復しゅうふくしてのこるが、自己じこ修復しゅうふく作用さよう正常せいじょう細胞さいぼうよりおそいがん細胞さいぼう破壊はかいされた遺伝子いでんし修復しゅうふくする以前いぜん再度さいど照射しょうしゃけて遺伝子いでんし修復しゅうふくできないためにんでゆくことを利用りようして、がんをちいさくするというものである。
  46. ^ 放射線ほうしゃせん療法りょうほうとして、そのじゅう粒子りゅうしせん炭素たんそイオンせん)、陽子ようしせん水素すいそイオンせん)など、陽子ようし加速かそくしたものを利用りようする最新さいしん治療ちりょうほうなどが開発かいはつされている。粒子りゅうしせん治療ちりょう粒子りゅうしせん細胞さいぼうあたえるつよ細胞さいぼう破壊はかいりょくブラッグ・ピーク特性とくせい利用りようしてがんの治療ちりょうにあたるものである。
    独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん 国立こくりつがん研究けんきゅうセンターひがし病院びょういん ホームページ「陽子ようしせん治療ちりょうについて」2012-05-11更新こうしんばんより
    ただし、粒子りゅうしせん治療ちりょうサイクロトロン必要ひつようとするため、施設しせつきょだい設備せつび費用ひよう膨大ぼうだいなものとなる欠点けってんがある。
  47. ^ なお、かく燃料ねんりょう物質ぶっしつには臨界りんかいりょう存在そんざいし、てい放射能ほうしゃのうあつかりょう桁違けたちがいにおおく、放射ほうしゃせい同位どうい元素げんそ一律いちりつ規制きせいになじまないことから、障害しょうがい防止ぼうしほう適用てきようから除外じょがいされているかく燃料ねんりょう物質ぶっしつはこの法律ほうりつ規制きせいされる。
  48. ^ なお、薬事やくじほう規定きていする医薬品いやくひんとしての放射ほうしゃせい同位どうい元素げんそは、医療いりょうほうおよ薬事やくじほうにより規制きせいされ、障害しょうがい防止ぼうしほう施行しこうれいでは適用てきよう除外じょがいである(ただし、おな医薬品いやくひんでも臨床りんしょう研究けんきゅうもちいた場合ばあい薬事やくじほう適用てきようされず、障害しょうがい防止ぼうしほう適用てきようされる)。
  49. ^ 障害しょうがい防止ぼうしほうでは規制きせいされない1MeV以下いかXせん発生はっせい装置そうちは、この省令しょうれい規制きせいされる。
  50. ^ 障害しょうがい防止ぼうしほうことなり、規制きせい対象たいしょうひろかく燃料ねんりょう物質ぶっしつふくむ。

出典しゅってん

編集へんしゅう
  1. ^ a b 放射線ほうしゃせん科学かがくセンター 2013, p. 32, 放射線ほうしゃせん種類しゅるい.
  2. ^ アイソトープ協会きょうかい 1992, p. 7.
  3. ^ 広辞苑こうじえんだいはん p.2432【放射線ほうしゃせん
  4. ^ a b 国立こくりつ遺伝いでんがく研究所けんきゅうじょ
  5. ^ アイソトープ協会きょうかい 1992, p. 25.
  6. ^ アイソトープ協会きょうかい 1992, pp. 18–34.
  7. ^ アイソトープ協会きょうかい 1992, p. 24.
  8. ^ 宮武みやたけ 1960.
  9. ^ Raymond 1955, pp. 29–41.
  10. ^ アイソトープ協会きょうかい 1992, pp. 29–34.
  11. ^ くさあいだ 1995, pp. 113–121.
  12. ^ アイソトープ協会きょうかい 1992, pp. 35–36.
  13. ^ 福士ふくし 2008, p. 43.
  14. ^ a b Atomica「ICRP勧告かんこく(1990ねん)による個人こじん線量せんりょう限度げんどかんがえ」
  15. ^ ICRP 2007.
  16. ^ a b 信吉のぶよし, 大谷おおや放射線ほうしゃせん遮蔽しゃへい塗料とりょう」『いろざい協会きょうかいだい35かんだい12ごう、1962ねん、575–585ぺーじdoi:10.4011/shikizai1937.35.575 
  17. ^ 6-2-1-8 γ線がんません物質ぶっしつとの相互そうご作用さよう|JEMIMA 一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん 日本電気にほんでんき計測けいそく工業こうぎょうかい”. www.jemima.or.jp. 2022ねん7がつ30にち閲覧えつらん
  18. ^ くさあいだ 2007, pp. 142–143.
  19. ^ 独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん農業生物資源研究所のうぎょうせいぶつしげんけんきゅうじょ放射線ほうしゃせん育種いくしゅじょう
  20. ^ Mohammed 1986.
  21. ^ 電離でんり放射線ほうしゃせんからの労働ろうどうしゃ保護ほごかんする条約じょうやくだい115ごう

参考さんこう文献ぶんけん

編集へんしゅう
  • 東嶋ひがしじま和子かずこ放射線ほうしゃせん利用りよう基礎きそ知識ちしき:半導体はんどうたい強化きょうかタイヤから品種ひんしゅ改良かいりょう食品しょくひん照射しょうしゃまで』講談社こうだんしゃ、2006ねん
  • 放射線ほうしゃせん科学かがくセンター (2013), 放射線ほうしゃせんまめ知識ちしき らしのなか放射線ほうしゃせん, http://rcwww.kek.jp/kurasi/kurashi-all.pdf 
  • 日本にっぽんアイソトープ協会きょうかい(へん) へん放射線ほうしゃせん・アイソトープ 講義こうぎ実習じっしゅう丸善まるぜん、1992ねん 
  • 草間くさま 朋子ともこ甲斐かい 倫明みちあきばん 信彦のぶひこ放射線ほうしゃせん健康けんこう科学かがく杏林きょうりん書院しょいん、1995ねん 
  • 草間くさま 朋子ともこ(へん) へん看護かんご実践じっせん役立やくだ放射線ほうしゃせん基礎きそ知識ちしき患者かんじゃ自分じぶんをまもる15しょう医学書院いがくしょいん、2007ねん 
  • Raymond L.Murray ちょ杉本すぎもと 朝雄あさお(わけ) へん原子核げんしかく工学こうがく丸善まるぜん、1955ねん 
  • D.J.マルコム-ローズ ちょたき みゆき松浦まつうら 辰男たつお泉水せんすい だいわけへん化学かがく生化学せいかがくのための放射ほうしゃ化学かがく入門にゅうもん学会がっかい出版しゅっぱんセンター、1981ねん 
  • 福士ふくし 政広まさひろ齋藤さいとう 秀敏ひでとし三枝さえぐさ 健二けんじ入船いりふね 寅二とらじ中谷なかたに ただし一郎いちろう放射線ほうしゃせん基礎きそ計測けいそくがく』(改訂かいていばん医療いりょう科学かがくしゃ、2008ねんhttps://books.google.co.jp/books?id=EzoALERQ4kUC&printsec=frontcover&hl=ja&source=gbs_ge_summary_r#v=onepage&q&f=false 
  • 宮武みやたけ おさむ中山なかやま たかし『モンテカルロほう日刊工業新聞社にっかんこうぎょうしんぶんしゃ、1960ねん 
  • 国際こくさい放射線ほうしゃせん防護ぼうご委員いいんかいの2007ねん勧告かんこく ICRP Publication 103. 国際こくさい放射線ほうしゃせん防護ぼうご委員いいんかい. (2007). http://www.icrp.org/publication.asp?id=ICRP+Publication+103  日本語にほんごばんPDFあり
  • S. A. H. Mohammed; Walker (1986). “Application of Electron Beam Radiation Technology in Tire Manufacturing”. Rubber Chemistry and Technology. doi:10.5254/1.3538211. 

関連かんれん項目こうもく

編集へんしゅう

符号ふごう位置いち

編集へんしゅう
記号きごう Unicode JIS X 0213 文字もじ参照さんしょう 名称めいしょう
U+2622 - ☢
☢
radioactive

外部がいぶリンク

編集へんしゅう