硫黄いおう酸化さんか物ぶつ

硫黄いおう酸化さんか物ぶつ（いおうさんかぶつ、英えい: sulfur oxide）は、硫黄いおうの酸化さんか物ぶつの総称そうしょう。一酸化いっさんか硫黄いおう (SO)、二酸化にさんか硫黄いおう（亜硫酸ありゅうさんガス）(SO₂)、三さん酸化さんか硫黄いおう (SO₃) などが含ふくまれる。化学かがく式しきから SO_x （ソックス）と略称りゃくしょうされる。

概要がいよう

石油せきゆや石炭せきたんなど硫黄いおう分ぶんが含ふくまれる化石かせき燃料ねんりょうを燃焼ねんしょうさせることにより発生はっせいする。大気たいき汚染おせんや酸性さんせい雨うなどの原因げんいんの一ひとつとなる有毒ゆうどく物質ぶっしつ。また、自然しぜん界かいにおいても火山かざんガスなどに含ふくまれている。無色むしょくで刺激しげき臭しゅうがあり、水みずにとけやすい。

硫黄いおう酸化さんか物ぶつは水みずと反応はんのうすることで、硫酸りゅうさんや亜硫酸ありゅうさんを生しょうじる。

1960年代ねんだいから1970年代ねんだいには、石油せきゆや石炭せきたんを燃もやすときに排はいガス処理しょり装置そうちをつけていなかったため、産業さんぎょう活動かつどうの活性かっせい化かに伴ともない硫黄いおう酸化さんか物ぶつが大量たいりょうに排出はいしゅつされ、大気たいき汚染おせんの原因げんいんとなった。特とくに三重みえ県けん四日市よっかいち市しのコンビナートでは、四日市よっかいちぜんそくとしても知しられる公害こうがい病びょうが発生はっせいし、社会しゃかい問題もんだいとなった。現在げんざいでは、大気たいき汚染おせん防止ぼうし法ほうによって環境かんきょう基準きじゅんが定さだめられるとともに、光ひかり触媒しょくばいを用もちいた酸化さんか物ぶつ浄化じょうか技術ぎじゅつや排煙はいえん脱硫だつりゅう技術ぎじゅつの進歩しんぽ、脱硫だつりゅうした軽油けいゆの使用しようなどによって、硫黄いおう酸化さんか物ぶつの大気たいき中ちゅう濃度のうどは大幅おおはばに改善かいぜんされている。

一方いっぽう、中国ちゅうごくで発生はっせいした硫黄いおう酸化さんか物ぶつが偏西風へんせいふうによって日本にっぽんに運はこばれ、大気たいき汚染おせんが酸性さんせい雨うの原因げんいんとなることが懸念けねんされてきている。国立こくりつ環境かんきょう研究所けんきゅうじょの調査ちょうさでは、日本にっぽんで観測かんそくされる硫黄いおう酸化さんか物ぶつのうち 49% が中国ちゅうごく起源きげんのものとされ、続つづいて日本にっぽん 21%、火山かざん 13%、朝鮮ちょうせん 12% とされている^{[要よう出典しゅってん]}。