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木 - Wikipedia

多年生たねんせい木本もくほん植物しょくぶつ

(き)とは、

セコイアデンドロン
リュウケツジュ
en:Jedediah Smith Redwoods State Parkうちにあるセコイア巨木きょぼく根元ねもと

「き」「」や「」というのは古代こだいからもちいられてきた呼称こしょう概念がいねんである。

現代げんだいでは、「」は高木たかぎ低木ていぼく総称そうしょうである[2]とも、おおきさによって高木たかぎ喬木たかぎ きょうぼく)と低木ていぼく(灌木 かんぼく)に区別くべつする[1]ともかんがえられている。「」とって、たちき(立木たちき)をしていることもある[2]。また「」とって、とく高木たかぎ場合ばあいもある。

現代げんだい植物しょくぶつがくでは(素朴そぼく言葉ことばとしてもちいられている「」というかたりけ、学術がくじゅつてき用語ようごもちいる場合ばあい)「木本もくほん植物しょくぶつ」という用語ようごんでおり[1]、これは「くさ草本そうほん植物しょくぶつ)」と対比たいひするかたりである[1]

たかさは、たかいものではたとえばオーストラリア大陸たいりくユーカリ一種いっしゅ北米ほくべい大陸たいりくセコイアデンドロン(セコイアオスギ)のように130mほどにたっするものがあり、ちいさいものではフッキソウヤブコウジのようなれいがある[1]

高木たかぎあつまり森林しんりんをつくる

高木たかぎあつまってできた植物しょくぶつ社会しゃかい森林しんりんであり、地球ちきゅう陸地りくちのほぼ半分はんぶん森林しんりんめられているものの、近年きんねん伐採ばっさい森林しんりん破壊はかい)が進行しんこうちゅうである[1]樹木じゅもくたか密度みつどあつまっているものを密林みつりん、まばらに生育せいいくしているものを疎林そりんぶ。森林しんりんによる植生しょくせい地球ちきゅう自然しぜん環境かんきょうささえているうえ、後述こうじゅつするように人類じんるい燃料ねんりょうたきぎ)や建築けんちく材料ざいりょう木材もくざい材木ざいもく)、食料しょくりょう採取さいしゅ堆肥たいひ利用りよう観賞かんしょう庭園ていえん公園こうえん盆栽ぼんさい)、さらに防風ぼうふうりん防砂ぼうさりん防潮ぼうちょうりんなどとして現代げんだいいたるまで利用りようしてきた。自然しぜん植生しょくせいたよるだけでなく、植樹しょくじゅ植林しょくりんにより有用ゆうようしゅ維持いじ拡大かくだいし、そだったのち伐採ばっさい加工かこうする林業りんぎょういとなんできた。

樹木じゅもく生育せいいくできる気候きこうにおいて自然しぜん状態じょうたいでまったく樹木じゅもく生育せいいくしないということはめずらしく、なんらかのかたち樹木じゅもく生育せいいくしている。気候きこう限界げんかいえて寒冷かんれい地域ちいき南極大陸なんきょくたいりくなど)や乾燥かんそうした地域ちいきオアシスのぞ砂漠さばくなど)、森林しんりん限界げんかいよりさらに標高ひょうこうたか単体たんたいられなくなる高山こうざんなど、樹木じゅもく生育せいいくできない土地とちおおい。

ケッペンの気候きこう区分くぶんにおいては乾燥かんそうしすぎて樹木じゅもく生育せいいくしない地帯ちたい乾燥かんそうたい寒冷かんれいすぎて樹木じゅもく生育せいいくしない地帯ちたい寒帯かんたいび、樹木じゅもく生育せいいくする3気候きこう熱帯ねったい温帯おんたいひやたい)と区別くべつする。ただし、これはあくまでも降雨こううりょう気温きおんによる区分くぶんであり、乾燥かんそうたいにおいては外来がいらい河川かせんオアシスなど、降雨こううによらず水分すいぶんることのできる地点ちてんにおいては樹木じゅもく生育せいいくしている。また、まれに樹木じゅもく発芽はつがじゅうふん発育はついくして地下ちか水脈すいみゃく到達とうたつさせたのちに周囲しゅうい気候きこう乾燥かんそうした場合ばあい本来ほんらいまった樹木じゅもく生育せいいくできる条件じょうけんがないのもかかわらず樹木じゅもく存在そんざいすることとなる。こうしたれいもっと著名ちょめいなもののひとつに、アフリカテネレ砂漠さばく存在そんざいしたテネレのがある。この地球ちきゅうじょうもっと孤立こりつしたところにっていたとしてられ、もっとちかべつからすくなくとも200㎞ははなれたところにっていた。

古来こらい人間にんげん生活せいかつ文化ぶんか密接みっせつ関係かんけいがあり、よう東西とうざいわず祭祀さいしなんらかのかかわりをっている[1]

学術がくじゅつてき定義ていぎめぐって

編集へんしゅう

だい多数たすう専門せんもん同意どういするような明瞭めいりょう植物しょくぶつがくてき定義ていぎ提唱ていしょうされていない。

たとえば『岩波いわなみ生物せいぶつがく事典じてんだいよんはん(1403ぺーじ)にる【木本もくほん】のこうでは「くきおよびにおいて肥大ひだい成長せいちょうにより多量たりょう木部きべ形成けいせいし、その細胞さいぼうかべおおくがして強固きょうこになっている植物しょくぶつ草本そうほんたいする」としている。ただし、この定義ていぎ厳密げんみつしたがえばかどうかまよパパイヤなどはもちろん、ナスキクなど一般いっぱんには「くさ」としてあつかわれるおおくの植物しょくぶつになってしまう。しかも、これらもたね固有こゆう性質せいしつではない。ナスキクマメアブラナなどには、通常つうじょうくさとして生育せいいくしているが、条件じょうけんがそろえばれることなく連続れんぞくてき生長せいちょうし、じく肥大ひだいさせるたねもたくさんある。たとえば、ナストウガラシ温帯おんたいではくさであるが、熱帯ねったい亜熱帯あねったいでは明瞭めいりょう灌木分類ぶんるいされる性質せいしつしめす。

一般いっぱんてきには顕花植物けんかしょくぶつそう子葉しよう植物しょくぶつ木本もくほんするものは樹皮じゅひ裏側うらがわにある形成けいせいそうのみがきており、それの成長せいちょうもとづき成長せいちょう肥大ひだいするのが木本もくほんとされる[3] が、たん子葉しよう植物しょくぶつ場合ばあいは、成長せいちょう組織そしきみきうち拡散かくさんしているので、成長せいちょうがあっても、樹皮じゅひ裏側うらがわだけが成長せいちょうしているわけではない。たとえば、ドラセナ一種いっしゅリュウケツジュなどは推定すいてい3000ねん古木ふるきがあるが、たん子葉しよう植物しょくぶつなので、四季しき場所ばしょそだてても年輪ねんりん出来できない。また、そう子葉しよう植物しょくぶつバオバブ気温きおんつねあたたかい場所ばしょ自生じせいするが、雨季うき乾季かんき成長せいちょう年輪ねんりん出来でき報告ほうこくがある。

一方いっぽう明瞭めいりょうくき肥大ひだいみとめられないモウソウチクココヤシなどは、その地上ちじょう強固きょうこかつ10mをえる「高木たかぎ」になるが、には分類ぶんるいされない。わさってできたにせくきみきかわりになり、たけたかくなるバナナや、くき補強ほきょうすることによりたかくなるヘゴなども10メートルちかくの「大木たいぼく」になり、成長せいちょうしたがって「みき」がふとくなるが、これらはには分類ぶんるいされない。造園ぞうえんかい樹木ききまなぶでは「特種とくしゅじゅ」としてあつかわれている。

によくされる議論ぎろんとしては以下いかのようなものがある。年輪ねんりんができる植物しょくぶつ木本もくほんるい)、できない植物しょくぶつくさ草本そうほんるい)と定義ていぎする。ところが、「パパイア」には年輪ねんりんができないので、「くさ」に分類ぶんるいされる。ただし、年輪ねんりんは、ぶしによる寒暖かんだん変化へんかや、乾燥かんそう湿潤しつじゅん変化へんかにより組織そしき生長せいちょうスピードが変化へんかした結果けっかしょうじるから、あきらかにであっても、連続れんぞくてき生長せいちょうする条件じょうけん熱帯ねったい雨林うりんのように、1ねんつうじて寒暖かんだんなどが変化へんかしない環境かんきょう生長せいちょうした場合ばあいなど)では、年輪ねんりんはできないか、非常ひじょう不明瞭ふめいりょうなものとなる[4]

さらにべつ見解けんかいとして、とは非常ひじょうあつくなった細胞さいぼうしつんだ細胞さいぼうにより生体せいたい支持しじされている植物しょくぶつである、とするものがある。細胞さいぼう非常ひじょうあつ細胞さいぼうかべ発達はったつさせ、んで生体せいたい支持しじ使つかわれるようになることを、あるいは木質もくしつという。具体ぐたいてきにいうと、いわゆる木材もくざいは、しゅとして道管どうかんからっているが、この道管どうかん細胞さいぼうかべあつくなって、最後さいごには細胞さいぼうそのものはんで、のこった細胞さいぼうかべパイプかたちみずをくみげる仕事しごとつづけるものである。そのような部分ぶぶんをもつ植物しょくぶつ樹木じゅもくだ、という判断はんだんである。上述じょうじゅつたけやココヤシなどは、これによればなされる。

しかし、現実げんじつにはほとんどの維管たば植物しょくぶつ道管どうかんかり導管どうかん細胞さいぼうかべかべにより肥大ひだいするため(つまり程度ていどもの)、なにをもって「非常ひじょうあつ細胞さいぼうかべ」とするかは完全かんぜん恣意しいとなり、厳密げんみつ適用てきようすればほぼすべてが分類ぶんるいされてしまう。

上田うえだひろし一郎いちろう京都大学きょうとだいがく名誉めいよ教授きょうじゅ、「世界せかいたけ博士はかせ」)は「たけのようででなく、くさのようでくさでなく、たけたけだ!」と力説りきせつしていた[5]。つまり、この発言はつげんしめすように専門せんもんでも維管たば植物しょくぶつくさに2分類ぶんるいするような定義ていぎ策定さくてい同意どういしかねるものである。

進化しんかてき意味いみ

編集へんしゅう

陸上りくじょう植物しょくぶつのみにられる植物しょくぶつかたちである。水中すいちゅう植物しょくぶつのうち、海藻かいそう分類ぶんるいされるコンブのようにおおきくなるものはあるが、それらは柔軟じゅうなん細長ほそなが構造こうぞうをしており、みきのような構造こうぞうたない。これは、水中すいちゅうではからだささえる必要ひつようがないこと、ぎゃく陸上りくじょうではそれをささえる仕組しくみなしには生存せいぞんできないことによる。陸上りくじょう生活せいかつおこなうために、植物しょくぶつ空気くうきちゅうひろげられるや、それをささえるくき、それにからだ固定こてい保持ほじし、みずげる発達はったつさせた。そのことでからだ空中くうちゅうすことができるようになったことが、今度こんど他者たしゃよりたか位置いちてそのうえひろげる競争きょうそうしたのであろう。そしてこれをだい規模きぼおこなうための適応てきおうが、木質もくしつ肥大ひだい成長せいちょうであり、それをささえるもさらに発達はったつし、そのような構造こうぞう獲得かくとくすることで植物しょくぶつ地上ちじょうでもっともたか生物せいぶつとなりた。また、胞子ほうしによる繁殖はんしょくから種子しゅし形成けいせいいた生殖せいしょく方法ほうほう進化しんかは、自由じゆうみず依存いぞんしない生殖せいしょく確保かくほする方向ほうこう進化しんかといわれるが、同時どうじにそのような構造こうぞう地表ちひょうをはるかにはなれたえださき形成けいせいされるようになったことの影響えいきょうかんがえられる。

生態せいたいがくてき意味いみ

編集へんしゅう

樹木じゅもくは、それが可能かのう条件下じょうけんかでは、ほとんどの陸上りくじょう環境かんきょうにおいて、そのもっとおおきくなる植物しょくぶつである。樹木じゅもく生育せいいくすれば、それによって地面じめんおおわれ、そのしたはそれがない場合ばあいとははるかにことなった環境かんきょうとなる。これによって形成けいせいされるそうかん、あるいはそこにられる生物せいぶつ群集ぐんしゅう森林しんりんという。したがって、樹木じゅもく生育せいいくは、あるめんでその地域ちいき生物せいぶつ環境かんきょう重要じゅうよう特徴とくちょう形成けいせいする。気候きこう生態せいたいけいをそこに成立せいりつする森林しんりんかたけるのはそのためである。

また、樹木じゅもくは、そのからだ支持しじするためにふとくてかたみきつ。この部分ぶぶんはその群集ぐんしゅう、あるいは生態せいたいけいにおける生物せいぶつりょうおおきな部分ぶぶんめる。つまり、生産せいさんぶつ多量たりょうたくわえ、保持ほじするというてんで、きわめて特異とくい生産せいさんしゃである。その資源しげんだい部分ぶぶんセルロースリグニンという、いずれも分解ぶんかい困難こんなん物質ぶっしつであり、しかも頑丈がんじょう緻密ちみつ構造こうぞうつくるため、これをこなせる生物せいぶつすくない。菌糸きんしをのばし、その表面ひょうめん消化しょうか吸収きゅうしゅうおこなうという生活せいかつかたをもつ菌類きんるいは、この資源しげん利用りようして進化しんかしてきたというめんがある。それをふくめて、この資源しげんめぐっては、分解ぶんかいしゃばれるような、独特どくとく生物せいぶつかかわりがられる。そこに生息せいそくする動物どうぶつにも、シロアリキクイムシなど、菌類きんるい原生げんせい生物せいぶつとの共生きょうせい関係かんけいつものがある。

 
樹木じゅもくしたから様子ようす

他方たほうふとくてたかびるくきや、こまかくかれた枝葉えだはは、生物せいぶつにとっては複雑ふくざつ多様たよう構造こうぞう提供ていきょうするものであり、生物せいぶつ多様たようせい維持いじおおきな意味いみをもつ。また、森林しんりんにおいて、生産せいさんそう樹木じゅもく上部じょうぶ集中しゅうちゅうする。しかし、それらは地上ちじょうからはなれて存在そんざいするみきからびたものである。したがって、ここを生息せいそくとする場合ばあい場所ばしょえようとすれば、ばないかぎりは、一旦いったん地上ちじょうにおりなければならない。これは大変たいへんなエネルギーロスである。動物どうぶつ飛行ひこう滑空かっくう能力のうりょく発達はったつは、ここにかかわる場合ばあいおおいとかんがえられる。

分類ぶんるいがくてき意味いみ

編集へんしゅう

樹木じゅもくになる植物しょくぶつは、シダ植物しょくぶつ種子しゅし植物しょくぶつのみである。コケ植物しょくぶつには樹木じゅもくはない。

シダ植物しょくぶつには、古生代こせいだいにはリンボクなど多数たすう樹木じゅもく存在そんざいしたが、それらの子孫しそんはごく小型こがた草本そうほんとして生活せいかつしている。現在げんざいのシダるい大型おおがたになるのは、ヘゴなど、いわゆるせいシダである。ただし、そのくき肥大ひだい成長せいちょうおこなうことがなく[6]下部かぶ表面ひょうめんおおささえられている。

裸子植物らししょくぶつ祖先そせんとされるシダ種子しゅし植物しょくぶつ大型おおがたで、裸子植物らししょくぶつのほとんどが木本もくほんである。中生代ちゅうせいだい地上ちじょうおおったのは、裸子植物らししょくぶつ森林しんりんであった。それ以降いこうは、その出現しゅつげんした被子植物ひししょくぶつおおくの場所ばしょってわられ、裸子植物らししょくぶつ寒冷かんれいなどにその勢力せいりょくおおくを保持ほじしている。

植物しょくぶつ木本もくほんのものも草本そうほんのものもあるが、どうやら草本そうほん性質せいしつ木本もくほんからてき出現しゅつげんしたとかんがえられている。とくそう子葉しよう植物しょくぶつ木本もくほんのものがおおい。非常ひじょうおおくのぐんがあるが、森林しんりん形成けいせいからると、ブナ植物しょくぶつ重要じゅうようである。

たん子葉しよう植物しょくぶつだい部分ぶぶん草本そうほんである。樹木じゅもくてき外見がいけんつものはあるが、おおくは普通ふつう意味いみでの木本もくほんはなく、いずれも特殊とくしゅ構造こうぞうをしている。バナナぐきではなくにせくきで、さやかさなりったものである。イネタケ草本そうほんのままであるが、木質もくしつつよく、木本もくほんくさどちらともれる[7]ヤシタコノキなどはより木本もくほんであるが、成長せいちょうのための構造こうぞうがないため、くきふとっていかない。センネンボクなどは特殊とくしゅな維管たば形成けいせいそう発達はったつさせ、肥大ひだい成長せいちょうをするため、木本もくほんといっていい。

種類しゅるい

編集へんしゅう

樹木じゅもくはその性質せいしつによって様々さまざま分類ぶんるいされる。形状けいじょうによっても、樹木じゅもくほそ針葉樹しんようじゅひろおおきく広葉樹こうようじゅとにおおきく二分にぶんされる[8]広葉樹こうようじゅ温暖おんだん熱帯ねったいから温帯おんたいにかけてひろがり、なつみどり樹林じゅりんかた樹林じゅりん照葉樹しょうようじゅりんなどの樹林じゅりん形成けいせいする。針葉樹しんようじゅ寒冷かんれい地域ちいき適応てきおうしたしゅであり、温帯おんたい北部ほくぶからひやたいにかけて広大こうだい針葉樹しんようじゅりん形成けいせいする。

落葉らくよう有無うむについては、一年中いちねんじゅうつけている常緑樹じょうりょくじゅと、ぶしによりすべとす落葉樹らくようじゅとに大別たいべつされる。落葉樹らくようじゅいちねんごとにすべとすが、常緑樹じょうりょくじゅえかわらないわけではなく、おおよそ3ねんから5ねんふるとす[9]常緑樹じょうりょくじゅはさらに、ひろ常緑じょうりょく広葉樹こうようじゅツバキタブノキクスノキなど。常緑じょうりょく広葉樹こうようじゅりんつくる)と、ほそ常緑じょうりょく針葉樹しんようじゅ耐寒たいかんせいがあり温帯おんたい北部ほくぶからひやたい分布ぶんぷする。モミトウヒなど)にかれる。落葉樹らくようじゅ同様どうように、温帯おんたい分布ぶんぷする落葉らくよう広葉樹こうようじゅブナミズナラなど)とひやたい北部ほくぶ分布ぶんぷする落葉らくよう針葉樹しんようじゅカラマツメタセコイアなど)に大別たいべつされる。

樹木じゅもく常緑じょうりょく落葉らくようは、その地域ちいき気候きこう条件じょうけんによって左右さゆうされる。植物しょくぶつ生育せいいくとく不利ふり期間きかんがない場合ばあいとす必要ひつようがないため常緑じょうりょくとなる。熱帯ねったい雨林うりん常緑樹じょうりょくじゅによって構成こうせいされるのはこのためである[10]温帯おんたいのうちでもそれほどつよ乾燥かんそう寒気さむけにさらされない場合ばあいは、乾燥かんそう適応てきおうしたかたじゅ寒気さむけ適応てきおうした照葉樹しょうようじゅなどのように、ある程度ていど抵抗ていこうりょくそなえた常緑じょうりょくしげらせている場合ばあいおお[11]。しかし温帯おんたいのうちでもつよ乾季かんき寒冷かんれいふゆなど、をつけたままでは不利ふりになる期間きかんおお地域ちいきにおいては落葉樹らくようじゅ優勢ゆうせいとなる。しかしひやたいはいると、1ねんとしてふたたしげらせるだけの余裕よゆうがなく光合成こうごうせいができるようになった場合ばあいにはすぐにそれを開始かいししなければならないため、樹木じゅもくふたた常緑じょうりょくとなる。しかしひやたいでも寒帯かんたいにほどちか地域ちいきになると、ふゆ寒気さむけがあまりにもきびしすぎるためとさざるをなくなり、落葉らくよう針葉樹しんようじゅ生育せいいくするようになる[12]

構造こうぞう

編集へんしゅう
 
イチイみき断面だんめん外側そとがわいろうす部分ぶぶんが「あたりざい」、内側うちがわいろ部分ぶぶんが「心材しんざい」である。

基本きほんてき構造こうぞうは、くさとそれほどわるものではない(上述じょうじゅつ)。すなわち光合成こうごうせいおこなとう生産せいさんすると、地中ちちゅうふかくにびて養分ようぶんみず吸収きゅうしゅうする、そしてそのふたつをつなぎ養分ようぶんみずおく構造こうぞうかたみきをもち、そこからいくほんものえだばす。みき木質もくしつし、次第しだいふと成長せいちょうする。みきもっと外側そとがわにはそと樹皮じゅひがあり、これが表面ひょうめんおおっている。そのすぐ内側うちがわにあるうち樹皮じゅひともばれ、生産せいさんされた養分ようぶん全体ぜんたいへとはこんでいる。その内側うちがわには形成けいせいそう存在そんざいし、ここでおこなわれる細胞さいぼう分裂ぶんれつによって年々ねんねんふとくなっていく。形成けいせいそう内側うちがわ木部きべとなり、基本きほんてきにはんだ細胞さいぼうによって構成こうせいされるが一部いちぶきた細胞さいぼう存在そんざいする[13]木部きべ外側そとがわあたりざい内側うちがわ心材しんざいとに大別たいべつされ、あたりざい部分ぶぶんにおいてから吸収きゅうしゅうされた水分すいぶん全体ぜんたいへと輸送ゆそうしている。ただしこの輸送ゆそうあたりざい全体ぜんたいおこなわれるのではなく、そのほとんどがもっとも外側そとがわあたりざい最新さいしん年輪ねんりん)の部分ぶぶんによっておこなわれる[14]。また、年輪ねんりんにおいていろうす幅広はばひろ部分ぶぶんはやざいばれ夏季かき成長せいちょうした部分ぶぶんいろせま部分ぶぶんばんざいばれ冬季とうき成長せいちょうした部分ぶぶんである。はやざい部分ぶぶんおもみずとおし、ばんざい部分ぶぶんつうすいよりも全体ぜんたい強度きょうど増進ぞうしんやくだっている[15]あたりざいはやがて内側うちがわから徐々じょじょ心材しんざいへと変化へんかしていく。心材しんざい部分ぶぶんにおいてつうすいおこなわれず、木全きまたからだささえる役割やくわりたすことになる。

えださきにはけ、はなかせ、おも種子しゅしをもって繁殖はんしょくする。

土壌どじょうでは、樹木じゅもくかぎらずおおくの植物しょくぶつきん菌糸きんし接続せつぞくしている。きんからリンなどのミネラル獲得かくとくし、一方いっぽうきんから光合成こうごうせい炭水化物たんすいかぶつ生成せいせいぶつる。菌糸きんしことなる樹木じゅもくむすぶことができ、ネットワークが形成けいせいされ、ある場所ばしょからべつ場所ばしょ栄養素えいようそおよびシグナルを伝達でんたつする[16]

文化ぶんか

編集へんしゅう

古代こだいから豊穣ほうじょうなイメージを提供ていきょうしている主題しゅだいであり、現代げんだいでもそうありつづけている。とくおおきな樹木じゅもく神聖しんせいして、神木しんぼくとしてまつあがめることを巨木きょぼく信仰しんこうという。世界せかいじゅのようにてんとどや、世界せかいささえるかんする神話しんわ伝説でんせつ世界せかい各地かくちにみられる(北欧ほくおう神話しんわユグドラシルなど)。単独たんどく樹木じゅもくではなく、森林しんりんあるいはそれをやま信仰しんこう対象たいしょうとする場合ばあいもある(日本にっぽん神社じんじゃにある鎮守ちんじゅもりしゃくさむらなど)。

は、自然しぜん事物じぶつのうちでもっと豊富ほうふにして広範囲こうはんいにわたる象徴しょうちょう主題しゅだいひとつだ、と飯島いいじま吉晴よしはる濱谷はまや稔夫としおらは指摘してきしている[17]人類じんるいのあらゆる時代じだい地方ちほう文化ぶんか主題しゅだいとしてあらわれるが、それをおおまかに要約ようやくすると、中心ちゅうしんじく生命せいめい豊穣ほうじょう元祖がんそのイメージ、に大別たいべつすることも可能かのうであると飯島いいじまらは指摘してきした[17]分類ぶんるいのしかたはほかにもいくつもあるが、ここでは便宜べんぎてきにそれを採用さいようして説明せつめいすすめてみる。

中心ちゅうしんじく
樹木じゅもくは、おおくの民族みんぞく文化ぶんかにおいて、天空てんくうをつなぐ宇宙うちゅうじく世界せかいじくかんがえられた[17]ミルチア・エリアーデはこれを《中心ちゅうしんのシンボリズム》と定義ていぎした[17]。こうした宇宙うちゅうじく観念かんねんは、紀元前きげんぜん4000-3000ねんごろにはすでにあり、樹木じゅもくかぎらずはしらぼうとうやまなどは、みな同様どうようのシンボリズムを共有きょうゆうしていたのである[17]樹木じゅもくというのも地下ちかえだ天空てんくうびるためにそのシンボリズムを共有きょうゆうしていたのである[17]
 
ユグドラシル
代表だいひょうてきなものとしてあつかわれているものに、スカンジナビアにつたわる《エッダ》でうたわれたイグドラシルがある[17]
ガリアケルトじんオークゲルマンじん菩提樹ぼだいじゅイスラム教徒きょうとオリーブインドじんは「バニヤン」とばれるイチジクシベリア原住民げんじゅうみんぞくカラマツを、それぞれせいなるとして崇拝すうはいしていた[17]。これらのは、世界せかいじく、つまりてんむすばれるじょう神性しんせいとおみちとされたのである[17]
生命せいめいりょく豊穣ほうじょうのシンボル
 
カバラしるされている生命せいめい
豊穣ほうじょう生命せいめいりょく生産せいさんりょく象徴しょうちょうとなってきた[17]
ペルシア神話しんわゾロアスターきょうでは、ガオケレナ、サーエナのはあらゆる種類しゅるい薬草やくそう種子しゅし[18]しょくすといやしがられ、そのからは不老不死ふろうふし霊薬れいやくハオマつくられる。
インドでは、樹液じゅえきははしんちちとされ、すべてのなが果実かじつをみのらせるソーマあるいはアムリタである[17]古代こだい西にしアジアでは大地だいち女神めがみイシュタル恋人こいびと植物しょくぶつしんであり、イシュタルとせいこんおこなうことによって大地だいちはる再生さいせいふゆ種子しゅしごもりをかえ[17]
聖書せいしょでは、エデンのえん中心ちゅうしん生命せいめい知恵ちえならんでいたが、これらはしばしば一本いっぽんならとして表現ひょうげんされ、人間にんげんなま象徴しょうちょうする[17]。またキリスト教きりすときょうでは、十字架じゅうじかはしばしば永遠えいえん生命せいめいあらわ一本いっぽんとして表現ひょうげんされている[17]
元祖がんそのイメージ
イザヤしょ』の11しょうえがかれる「エッサイの」はユダヤじん歴史れきし象徴しょうちょうしている[17]。そしてこのエッサイの中世ちゅうせいヨーロッパキリスト教きりすときょう数多かずおお表現ひょうげんされたイメージであり、エッサイこしからえたには、マリアキリストみのっている[17]。ここから、ひとりのおとこからだからそだのイメージによって元祖がんそがたおよびそこから分岐ぶんき発展はってんしてゆくさま図示ずしする伝統でんとうしょうじた[17]
現代げんだい想像そうぞうりょくへの寄与きよ
 
2000ねん博覧はくらんかいでの建築けんちくぶつ
きん現代げんだいでも人間にんげん想像そうぞうりょくつねててきた[17]
シュルレアリストマックス・エルンストもり連作れんさくえがいたが、これはロマン中世ちゅうせい神秘しんぴ主義しゅぎ継承けいしょうしたもので、文明ぶんめいおかされない人間にんげん精神せいしん根源こんげん象徴しょうちょうするという[17]ピエト・モンドリアンも、連作れんさくにより宇宙うちゅうてきシンボリズムを抽象ちゅうしょうした[17]パウル・クレーワシリー・カンディンスキー芸術げいじゅつてき創造そうぞうのプロセスにたとえた[17]
大江おおえ健三郎けんざぶろう主題しゅだいとする一連いちれん作品さくひんなか宇宙うちゅうじゅのシンボリズムにふたたりょくあたえた[17]
日本にっぽん
日本にっぽん神社じんじゃには付随ふずいして神域しんいきかこむように樹木じゅもくのこされていることがおおく、これを鎮守ちんじゅもりぶ。さらに巨木きょぼくなどをそのまま神体しんたいとし、神木しんぼくとしてまつることもある[19]
日本語にほんご植物しょくぶつめいは、サカキエノキヒノキケヤキツバキイブキミズキサツキアオキエゴノキマサキカキウツギヤナギヤドリギスギクヌギなど、「キ」または「ギ」でわるものがすくなくない。

利用りよう

編集へんしゅう
 
ふたた木材もくざいさが見直みなおされはじめた

人類じんるいにとってもっと身近みぢかにある存在そんざいひとつであり、をそのまま、あるいは素材そざいとして、有史ゆうし以前いぜんからさまざまな用途ようと使用しようしてきた。

利用りようとしてもっと一般いっぱんてきなものは、たおして木材もくざいとすることである。木材もくざい建築けんちくざい家具かぐ楽器がっきやスポーツ用品ようひん各種かくしゅ用品ようひんなどさまざまな道具どうぐ材料ざいりょうとして利用りようされる。材木ざいもく供給きょうきゅうもとめての人工じんこうりんつくられる。内装ないそう無垢むくざい使用しようしたいえシックハウス症候群しょうこうぐん対策たいさくふたた見直みなおされはじめた。また、フィトンチッド総称そうしょうされるはっするかおりはリラックス効果こうかみとめられている[20]沈香じんこう白檀びゃくだんなどの芳香ほうこう香木こうぼくとして古来こらいより珍重ちんちょうされ、これらのこうたのしむ香道こうどうばれる芸道げいどう日本にっぽんには存在そんざいする。中世ちゅうせいはい蒸留じょうりゅうほう一般いっぱんすると、こうしたかお成分せいぶん蒸留じょうりゅうして精油せいゆ(エッセンシャルオイル)とばれる芳香ほうこう成分せいぶん抽出ちゅうしゅつすることがひろおこなわれるようになり、食品しょくひん化粧けしょうひんくすり、そしてアロマテラピーなどでさかんに使用しようされるようになった[20]

また、人類じんるい歴史れきしのはじめから、燃料ねんりょうとしても利用りようされてきた。をそのままったのち乾燥かんそうさせたものはたきぎばれ、人類じんるいもっと基本きほんてき燃料ねんりょうひとつとなった。さらにこのきにして炭化たんかすることで、燃料ねんりょうとしての有用ゆうようせいたかめたのがすみ木炭もくたん)である[21]木炭もくたん石炭せきたん燃料ねんりょう主役しゅやくとなるまで世界せかいひろ使用しようされ、現代げんだいにおいても一部いちぶ使用しようされることがある。先進せんしんこくにおいては電気でんきガス完全かんぜん燃料ねんりょう主体しゅたいとなり、燃料ねんりょうとすることは特殊とくしゅ状況じょうきょうのぞきそれほどおこなわれなくなっているが、こうしたインフラととのっていない発展はってん途上とじょうこくにおいてははいまだに燃料ねんりょう主役しゅやくとなっている。しかしこうした薪炭しんたんよう木材もくざい使用しよう途上とじょうこくにおける森林しんりん破壊はかい主因しゅいんひとつとなっている[22]。また、先進せんしんこくにおいても2000年代ねんだい以降いこう地球ちきゅう温暖おんだん原油げんゆ価格かかく高騰こうとうなどによって再生さいせい可能かのうエネルギー注目ちゅうもくされるようになり、もその一部いちぶとして木質もくしつペレットのように固形こけいしたり、セルロース分解ぶんかいしてバイオマスエタノール原料げんりょうにするなどの方法ほうほうふたた燃料ねんりょうとしての注目ちゅうもくたかまっている[23]。なお、直接ちょくせつやすほかに、ハゼノキシロダモ、ウルシのからろうって木蝋もくろうとし、ろうそく原料げんりょうとすることもかつてはひろおこなわれ、現代げんだいにおいても使用しようされることがある[24]

樹皮じゅひもまた、古来こらいより様々さまざま用途ようともちいられた。樹皮じゅひからはなが繊維せんいれるため、オヒョウ樹皮じゅひからつくられるアイヌじんアットゥシや、カジノキからつくられる南太平洋みなみたいへいようタパのように、樹皮じゅひからぬのふくつくることもおこなわれた。カジノキの樹皮じゅひかみ原料げんりょうとして中国ちゅうごく使用しようされ、日本にっぽんにおいてもカジノキのきんえんであるコウゾ和紙わししゅ原料げんりょうとして使用しようされた[25]樹皮じゅひではなく全体ぜんたい繊維せんいからパルプつく使用しようするようになったものの、はいまだにかみしゅ原料げんりょうであることにはわりなく、木材もくざい消費しょうひにおいておおきな部分ぶぶんめている[26]基盤きばんとした製材せいざいぎょう木材もくざい工業こうぎょう製紙せいしぎょうはいずれも現代げんだい工業こうぎょうなかである程度ていど割合わりあいめている。また、くと初期しょき化学かがく工業こうぎょう重要じゅうようであったはい生産せいさんすることができ、これが近代きんだい以前いぜんのヨーロッパにおいてガラス工業こうぎょう森林しんりん立地りっちする理由りゆうとなった。はこのほかにも、加熱かねつ処理しょりおこなうことで様々さまざま化学かがく物質ぶっしつ生産せいさんすることができる。この処理しょり木炭もくたん生産せいさん付随ふずいしておこなうことができ、19世紀せいきにいたるまでは、木炭もくたん生産せいさん副産物ふくさんぶつとして酢酸さくさんメタノールアセトンテレピンクレオソートピッチなどが生産せいさんされていた。こうして木材もくざい利用りようから初期しょき化学かがく工業こうぎょう成立せいりつしたが、やがてコークス生産せいさんコールタール石油せきゆ原料げんりょうってわられることとなった[27]

このほか、きずつけてそこからながれだす樹脂じゅし使用しようすることもひろおこなわれている。こうした利用りようのうちもっと重要じゅうようなものはゴム採取さいしゅであり、電気でんき機械きかい輸送ゆそう機械きかい発展はってん非常ひじょう重要じゅうよう役割やくわりたした。合成ごうせいゴム開発かいはつされると天然てんねんゴム重要じゅうようせい低下ていかしたが、現代げんだいにおいても採取さいしゅおこなわれている[28]樹液じゅえき利用りようとしては、ウルシから採取さいしゅされるうるし塗料とりょうとして漆器しっきなどに使用しようされ[29]松脂まつやにおよびそれからできるテレピンロジン各種かくしゅ用途ようと使用しようされる。コルクガシ樹皮じゅひコルクとして使用しようする。

食用しょくよう薬用やくよう

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上記じょうきのような素材そざいとしての利用りようのほか、をそのまま食料しょくりょうみなもととすることもひろおこなわれる。木質もくしつしている部分ぶぶん人間にんげん食糧しょくりょうとして使用しようすることはできないが、若葉わかば果実かじつ塊茎かいけいなどさまざまな部分ぶぶん人類じんるい食糧しょくりょうとして使用しようされてきた。なかでも食糧しょくりょう利用りようとしてもっと重要じゅうようなものは、果実かじつ果物くだものとして使用しようすることである。果物くだもの収穫しゅうかくできる果樹かじゅ)はしばしばはたけのように一定いってい区画くかくひとつのしゅあつめて栽培さいばいされ、その区画くかく果樹かじゅえんばれる。果物くだもの収穫しゅうかくするためにブドウリンゴ柑橘類かんきつるいなど様々さまざま果実かじつ栽培さいばいされている。このほか、アーモンドピスタチオなどのように種子しゅしナッツとして食用しょくようとすることもおこなわれる。ナッツにはアーモンドやクルミのように油脂ゆし主成分しゅせいぶんとするものと、クリトチのようにデンプン主成分しゅせいぶんとするものがあり、とく後者こうしゃ農耕のうこう社会しゃかい山村さんそんにおいては主食しゅしょくとしておおきな役割やくわりたしてきた[30]

直接ちょくせつ食用しょくようのほか、アカシアなどのミツバチあつめる蜂蜜はちみつみつげんとしても使用しようされる。サトウカエデサトウヤシのように、樹液じゅえきから砂糖さとうメープルシロップといった甘味あまみりょう採取さいしゅできるもある[31]セイロンニッケイ(シナモン)の樹皮じゅひコショウ種子しゅしのように、香辛料こうしんりょうとして使用しようされるもある。アブラヤシからパームココヤシからココナッツオイルといった油脂ゆし採取さいしゅできるもあれば、カカオコーヒーノキといった嗜好しこうひん生産せいさんになくてはならないもある。

2018ねんには酵素こうそ酵母こうぼくわえて発酵はっこうさせ、かおりのあるさけつく技術ぎじゅつ森林しんりん総合そうごう研究所けんきゅうじょ開発かいはつされた[32]

特殊とくしゅ利用りようほうとして、サゴヤシからは木質もくしつした樹幹じゅかんたくわえられているデンプン採取さいしゅして主食しゅしょくとする[33]。またアクしたすぎ微細びさい食物しょくもつ繊維せんいとして食品しょくひん添加てんかする製品せいひん販売はんばいされている[34]

目印めじるし標識ひょうしき

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所有しょゆうするはたけ境界きょうかいがわかるようにえたりなどがられる。

森林しんりんにおいては、林業りんぎょうおこなきこり伐採ばっさいをする樹木じゅもく選別せんべつするのにReißhakenドイツばんというナイフでXしるしなどにきずけたり、動物どうぶつくま縄張なわばしめすためにクマハギくまぎ)をおこなったりする。こういったきずつける行為こういれる原因げんいんとなるため、きこりはテープ(せんテープ)や着色ちゃくしょくマーカーを使つかうようになった(これらのマークは、きこりによってことなり統一とういつするルールはない)[35]

また、登山とざんしゃ山岳さんがくかいなどが、みちまよわないようコースサインとしてテープや着色ちゃくしょくマーカーを使つかうケースがある[36]

そのにも、行政ぎょうせい土地とちうため[37]水源すいげん管理かんり電力でんりょく会社かいしゃ山菜さんさいりなどで、森林しんりんにテープをける場合ばあいがあり、これによって登山とざんしゃまよれいもみられる[38]

 
盆栽ぼんさい

きた木陰こかげつくり、日除ひよけ、風除かざよけの防風ぼうふうりん高潮こうちょうふせ防潮ぼうちょうりんといった保安ほあんりんとして利用りようできる[39]果実かじつ樹液じゅえきみき食糧しょくりょうとなるたねもあり、人家じんか周辺しゅうへんえること世界せかいひろおこなわれている。

うるおいと木陰こかげもとめて樹木じゅもく栽培さいばいすることもよくおこなわれる。市街地しがいち道路どうろ沿ってうえ栽されたものを街路がいろじゅ道路どうろほか河川かせんたんならんでえているものは並木なみきにわ仕切しきりとするものを生垣いけがきいえおおうようにつくられるのが屋敷やしきりんといったふうに、様々さまざまがある。また、屋敷やしきりんとはべつに、住居じゅうきょ付属ふぞくする庭園ていえん庭木にわきうえ栽し、美観びかんととのえることはひろおこなわれている[40]。こうした用途ようと使用しようするための樹木じゅもく栽培さいばいは、園芸えんげい農業のうぎょう重要じゅうよう一部分いちぶぶんめている。世界せかい各地かくちには開発かいはつ災害さいがいなどからのがなが時間じかんびた巨樹きょじゅ巨木きょぼく)や老木ろうぼくおお存在そんざいしており、一部いちぶ保護ほご対象たいしょう観光かんこう名所めいしょ天然記念物てんねんきねんぶつとなっている。

また、地球ちきゅう温暖おんだん危険きけんせい近年きんねんさけばれるなかで、森林しんりん効用こうよう注目ちゅうもくされるようになってきている。樹木じゅもく光合成こうごうせいによって地球ちきゅう大気たいきふくまれる温暖おんだんガスである二酸化炭素にさんかたんそ吸収きゅうしゅうして自身じしん成長せいちょうさせているため、樹木じゅもくやすことは有効ゆうこう温暖おんだん対策たいさくひとつである[41]。ただし、成熟せいじゅくした樹木じゅもくになると二酸化炭素にさんかたんそ吸収きゅうしゅうりょうたいする呼吸こきゅうりょう排出はいしゅつりょう)が段々だんだんおおくなるため、二酸化炭素にさんかたんそ吸収きゅうしゅう維持いじするためには定期ていきてき森林しんりん手入ていれをする必要ひつようがあるとされている[42]

脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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  3. ^ NPO法人ほうじん共存きょうぞんもりネットワーク企画きかく 鈴木すずき京子きょうこ赤堀あかほりくすのきつよし浜田はまだ久美子くみこちょ基礎きそからまなもりひとらし』(のうやま漁村ぎょそん文化ぶんか協会きょうかい 2010ねん3がつ10日とおかだい1さつ)p.52
  4. ^ NPO法人ほうじん共存きょうぞんもりネットワーク企画きかく 鈴木すずき京子きょうこ赤堀あかほりくすのきつよし浜田はまだ久美子くみこちょ基礎きそからまなもりひとらし』(のうやま漁村ぎょそん文化ぶんか協会きょうかい 2010ねん3がつ10日とおかだい1さつ)p.57
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  7. ^ NPO法人ほうじん共存きょうぞんもりネットワーク企画きかく 鈴木すずき京子きょうこ赤堀あかほりくすのきつよし浜田はまだ久美子くみこちょ基礎きそからまなもりひとらし』(のうやま漁村ぎょそん文化ぶんか協会きょうかい 2010ねん3がつ10日とおかだい1さつ)p.53
  8. ^ 関岡せきおか東生とうせい監修かんしゅう図解ずかい 知識ちしきゼロからの林業りんぎょう入門にゅうもん』(いえ光協会ひかりきょうかい 2016ねん11月1にちだい1はん発行はっこう)p.56
  9. ^ ピーター・トーマス『樹木ききまなぶ』(築地つきじしょかん 2001ねん7がつ30にち初版しょはん発行はっこう)p.27
  10. ^ ピーター・トーマス『樹木ききまなぶ』(築地つきじしょかん 2001ねん7がつ30にち初版しょはん発行はっこう)p.28
  11. ^ ほりだいざいでわかる樹木じゅもく知識ちしき』(講談社こうだんしゃ 2012ねん6がつ20日はつかだい1さつ発行はっこう)p.55
  12. ^ ピーター・トーマス『樹木ききまなぶ』(築地つきじしょかん 2001ねん7がつ30にち初版しょはん発行はっこう)pp.28-29
  13. ^ ピーター・トーマス『樹木ききまなぶ』(築地つきじしょかん 2001ねん7がつ30にち初版しょはん発行はっこう)pp.34-35
  14. ^ ほりだいざいでわかる樹木じゅもく知識ちしき』(講談社こうだんしゃ 2012ねん6がつ20日はつかだい1さつ発行はっこう)p.6
  15. ^ ほりだいざいでわかる樹木じゅもく知識ちしき』(講談社こうだんしゃ 2012ねん6がつ20日はつかだい1さつ発行はっこう)p.42
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  20. ^ a b NPO法人ほうじん共存きょうぞんもりネットワーク企画きかく 鈴木すずき京子きょうこ赤堀あかほりくすのきつよし浜田はまだ久美子くみこちょ基礎きそからまなもりひとらし』(のうやま漁村ぎょそん文化ぶんか協会きょうかい 2010ねん3がつ10日とおかだい1さつ)p.77
  21. ^ NPO法人ほうじん共存きょうぞんもりネットワーク企画きかく 鈴木すずき京子きょうこ赤堀あかほりくすのきつよし浜田はまだ久美子くみこちょ基礎きそからまなもりひとらし』(のうやま漁村ぎょそん文化ぶんか協会きょうかい 2010ねん3がつ10日とおかだい1さつ)p.26
  22. ^ 世界せかい森林しんりんまもるために 3」環境省かんきょうしょう(2017ねん5がつ27にち閲覧えつらん
  23. ^ NPO法人ほうじん共存きょうぞんもりネットワーク企画きかく 鈴木すずき京子きょうこ赤堀あかほりくすのきつよし浜田はまだ久美子くみこちょ基礎きそからまなもりひとらし』(のうやま漁村ぎょそん文化ぶんか協会きょうかい 2010ねん3がつ10日とおかだい1さつ)pp.79-80 
  24. ^ NPO法人ほうじん共存きょうぞんもりネットワーク企画きかく 鈴木すずき京子きょうこ赤堀あかほりくすのきつよし浜田はまだ久美子くみこちょ基礎きそからまなもりひとらし』(のうやま漁村ぎょそん文化ぶんか協会きょうかい 2010ねん3がつ10日とおかだい1さつ)pp.29-30
  25. ^ NPO法人ほうじん共存きょうぞんもりネットワーク企画きかく 鈴木すずき京子きょうこ赤堀あかほりくすのきつよし浜田はまだ久美子くみこちょ基礎きそからまなもりひとらし』(のうやま漁村ぎょそん文化ぶんか協会きょうかい 2010ねん3がつ10日とおかだい1さつ)p.45
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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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