この項目 こうもく では、ブナ科 か コナラ属 ぞく の植物 しょくぶつ について説明 せつめい しています。「櫟 くぬぎ 」と書 か くイチイについては「イチイ 」を、「橡 とち 」と書 か くトチノキについては「トチノキ 」をご覧 らん ください。
クヌギ (櫟 くぬぎ ・椚 くぬぎ ・橡 とち 、学名 がくめい : Quercus acutissima )は、ブナ科 か コナラ属 ぞく の落葉 らくよう 高木 たかぎ 。山地 さんち などに生 は え、雑木林 ぞうきばやし の景観 けいかん をつくり出 だ す代表 だいひょう 的 てき な樹 き 種 しゅ としても知 し られる。樹皮 じゅひ からしみ出 だ す樹液 じゅえき にはカブトムシ などの昆虫 こんちゅう がよく集 あつ まり、実 じつ はドングリとよばれ、材 ざい は薪 たきぎ や家具 かぐ 、シイタケ 栽培 さいばい の原木 げんぼく など様々 さまざま に利用 りよう されてきた。樹皮 じゅひ は染料 せんりょう や薬用 やくよう にも使 つか われる。
落葉 らくよう 広葉樹 こうようじゅ 。大 だい 高木 たかぎ で、樹高 きだか は15メートル (m) ほどになる。萌芽 ほうが 力 りょく が強 つよ く、生長 せいちょう すると広大 こうだい な樹冠 じゅかん を形成 けいせい する。幹 みき は直立 ちょくりつ するが、里山 さとやま などの雑木林 ぞうきばやし では伐採 ばっさい による更新 こうしん で株立 かぶだ ち が多 おお い。樹皮 じゅひ は暗 くら い灰 はい 褐色 かっしょく から黒褐色 こっかっしょく 、厚 あつ いコルク 状 じょう で縦 たて に深 ふか く不規則 ふきそく な割 わ れ目 め が生 しょう じる。樹皮 じゅひ の見 み た目 め は、同属 どうぞく のコナラ よりもゴツゴツした印象 いんしょう を与 あた える。一 いち 年 ねん 枝 えだ は褐色 かっしょく や淡 あわ 褐色 かっしょく で、無 む 毛 け または少 すこ し毛 げ がある。
葉 は は互生 ごせい し、7 - 15センチメートル (cm) の長 ちょう 楕円 だえん 状 じょう の披針形 ひしんけい で、葉 は の左右 さゆう は不 ふ 整形 せいけい で、葉 は 縁 えん には2ミリメートル (mm) ほどある針 はり 状 じょう の鋸歯 きょし が並 なら ぶ。葉 は 身 み は薄 うす いが硬 かた く、濃緑 こみどり 色 しょく で表面 ひょうめん にはつやがある。葉 は はクリ に非常 ひじょう によく似 に た印象 いんしょう で、見分 みわ けがつきにくいが、クヌギの鋸歯 きょし の先 さき は針 はり のように尖 とが っている。新緑 しんりょく ・紅葉 こうよう が美 うつく しく、紅葉 こうよう 期 き の葉色 はいろ は緑色 みどりいろ から黄 き 変 へん して、すぐに茶褐色 ちゃかっしょく へと変色 へんしょく する。紅葉 こうよう 後 ご に完全 かんぜん な枯葉 かれは になっても離 はなれ 層 そう が形成 けいせい されないため枝 えだ からなかなか落 お ちず、冬 ふゆ も枝 えだ についていることがある。これは同属 どうぞく のカシワ と同様 どうよう である。
花期 かき は春 はる から晩春 ばんしゅん にかけて(4 - 5月 がつ ごろ)で、雌雄 しゆう 別 べつ の風媒花 ふうばいか である。雄花 おばな は黄 き 褐色 かっしょく の10 cmほど雄花 おばな 序 じょ が穂状 すいじょう になって垂 た れ下 さ がり、小 ちい さな花 はな をつける。雌花 めばな は、上部 じょうぶ の葉 は の付根 つけね に非常 ひじょう に小 ちい さい赤 あか っぽい花 はな をつける。雌花 めばな は受粉 じゅふん すると果実 かじつ を付 つ ける。
果 はて 期 き は翌年 よくねん の秋 あき 。果実 かじつ は堅 けん 果 はて で、他 た のブナ科 か の樹 き 木 こ の実 み とともにドングリ とよばれ親 した しまれている。ドングリの中 なか では直径 ちょっけい が約 やく 2 cmと大 おお きく、ほぼ球形 きゅうけい で、基部 きぶ 半分 はんぶん は椀 わん 型 がた の殻 から 斗 と につつまれている。殻 から 斗 と の回 まわ りには線 せん 状 じょう の鱗片 りんぺん (総 そう 苞 つと 片 へん )が、密 みつ に線 せん 状 じょう になってたくさんつく。この鱗片 りんぺん は細 ほそ く尖 とが って反 そ り返 かえ った棘 とげ 状 じょう であり、この種 たね の特徴 とくちょう でもある。ドングリは結実 けつじつ した翌年 よくねん の秋 あき に成熟 せいじゅく する。実 じつ は渋 しぶ 味 あじ が強 つよ いため、そのままでは食用 しょくよう にならない。
冬芽 とうが は枝 えだ に互生 ごせい し、枝 えだ 先 さき には頂 いただき 芽 め と頂 いただき 生 せい 側 がわ 芽 め が1 - 3個 こ のつく。長 ちょう 卵 たまご 形 がた で多数 たすう の芽 め 鱗 うろこ に包 つつ まれており、芽 め 鱗 うろこ の縁 えん に毛 け がある。葉 は 痕 こん は半円 はんえん 形 がた で、維管束 たば 痕 あと は多数 たすう 見 み える。コナラ は春 はる の芽吹 めぶ きが銀灰色 ぎんかいしょく であるのに対 たい して、クヌギは黄 き 褐色 かっしょく で見分 みわ けやすい。
表皮 ひょうひ
葉 は と実 みのる
冬 ふゆ も枝 えだ に残 のこ った枯 か れ葉 は
他 た のブナ科 か 樹木 じゅもく と同 おな じく、菌類 きんるい と樹木 じゅもく の根 ね が共生 きょうせい して菌 きん 根 ね を形成 けいせい している。樹木 じゅもく にとっては菌 きん 根 ね を形成 けいせい することによって菌類 きんるい が作 つく り出 だ す有機 ゆうき 酸 さん や抗生 こうせい 物質 ぶっしつ による栄養分 えいようぶん の吸収 きゅうしゅう 促進 そくしん や病原 びょうげん 微生物 びせいぶつ の駆除 くじょ 等 とう の利点 りてん があり、菌類 きんるい にとっては樹木 じゅもく の光合成 こうごうせい で合成 ごうせい された産物 さんぶつ の一部 いちぶ を分 わ けてもらうことができるという相 あい 利 り 共生 きょうせい の関係 かんけい があると考 かんが えられている。菌類 きんるい の子 こ 実体 じったい は人間 にんげん がキノコとして認識 にんしき できる大 おお きさに育 そだ つものが多 おお く、中 なか には食用 しょくよう にできるものもある。土壌 どじょう 中 ちゅう には菌 きん 根 ね から菌糸 きんし を通 とお して、同種 どうしゅ 他 た 個体 こたい や他 た 種 たね 植物 しょくぶつ に繋 つな がる広大 こうだい なネットワークが存在 そんざい すると考 かんが えられている[ 10] [ 11] [ 12] [ 13] [ 14] [ 15] 。アカマツ苗木 なえぎ に感染 かんせん した菌 きん 根 ね では全部 ぜんぶ の部分 ぶぶん の成長 せいちょう を促進 そくしん するのではなく、地下 ちか 部 ぶ の成長 せいちょう は促進 そくしん するが地上 ちじょう 部 ぶ の成長 せいちょう はむしろ抑制 よくせい するという報告 ほうこく [ 16] がある。外 そと 生 せい 菌 きん 根性 こんじょう の樹 き 種 しゅ にスギ やニセアカシア の混生 こんせい や窒素 ちっそ 過多 かた の富 とみ 栄養 えいよう 状態 じょうたい になると菌 きん 根 ね に影響 えいきょう を与 あた えるという報告 ほうこく がある[ 17] [ 12] [ 18] [ 19] [ 20] 。
低 てい 山地 さんち や平地 ひらち で照葉樹 しょうようじゅ 林 りん に混成 こんせい して生 ば え、特 とく に関東平野 かんとうへいや ではコナラ やアカシデ などとともに、雑木林 ぞうきばやし を構成 こうせい する代表 だいひょう 的 てき な樹 き 種 しゅ としても知 し られる。また、薪炭 しんたん 目的 もくてき の伐採 ばっさい によって、この種 たね などの落葉樹 らくようじゅ が優先 ゆうせん する森林 しんりん が成立 せいりつ する場合 ばあい があり、往々 おうおう にして里山 さとやま と呼 よ ぶのはこのような林 はやし であることが多 おお い。また、これを薪炭 しんたん 用材 ようざい として人為 じんい 的 てき に植 う えられた物 もの も多 おお い。
日本 にっぽん を含 ふく むアジア 北東 ほくとう 部 ぶ に分布 ぶんぷ する。日本 にっぽん では主 おも に本州 ほんしゅう 、四国 しこく 、九州 きゅうしゅう の各地 かくち に広 ひろ く分布 ぶんぷ し、一部 いちぶ は北海道 ほっかいどう 南部 なんぶ にもある。沖縄 おきなわ の一部 いちぶ でも植 うえ 栽可能 かのう である。
また、このようにいわゆる里山 さとやま の代表 だいひょう 的 てき な構成 こうせい と認 みと められて来 き たために、近年 きんねん の広葉樹 こうようじゅ の植樹 しょくじゅ の際 さい に選 えら ばれることが多 おお い。しかし、元来 がんらい その分布 ぶんぷ は日本 にっぽん の中 なか ではやや北 きた に位置 いち するものである。
薪炭 しんたん 材 ざい としては落葉 らくよう ブナ科 か 樹木 じゅもく 、いわゆるナラ類 るい の中 なか でも別格 べっかく で非常 ひじょう に評価 ひょうか が高 たか い。特 とく に木炭 もくたん に加工 かこう される場合 ばあい 、殆 ほとん ど黒炭 こくたん に加工 かこう される。燃焼 ねんしょう 時 じ のにおいが少 すく なく、火持 ひも ちがいいことの他 ほか にも、断面 だんめん に菊 きく の花 はな の模様 もよう が現 あらわ れ見 み た目 め もよく「菊 きく 炭 ずみ 」などと呼 よ ばれ茶 ちゃ の湯 ゆ 用 よう の高級 こうきゅう 木炭 もくたん である。大阪 おおさか 府 ふ 北部 ほくぶ の能勢 のせ ・池田 いけだ 地域 ちいき が代表 だいひょう 的 てき な産地 さんち であったことから産地 さんち を採 と って「池田 いけだ 炭 すみ 」とも呼 よ ばれる。別名 べつめい 「一庫 ひとくら 炭 ずみ 」とも呼 よ ばれる。
材質 ざいしつ は硬 かた く、材 ざい は建築 けんちく 材 ざい や器具 きぐ 材 ざい 、家具 かぐ 材 ざい 、車両 しゃりょう 、船舶 せんぱく に使 つか われるほか、伐採 ばっさい しても萌芽 ほうが 再生 さいせい 力 りょく により繰 く り返 かえ し収穫 しゅうかく できるところが重宝 ちょうほう されて薪 たきぎ や薪炭 しんたん 、シイタケ の原木 げんぼく 栽培 さいばい の榾 ほた 木 き (ほだぎ)として用 もち いられる。落葉 らくよう は腐葉土 ふようど として作物 さくもつ の肥料 ひりょう に利用 りよう される。クヌギは成長 せいちょう が早 はや く植林 しょくりん から10年 ねん ほどで木材 もくざい として利用 りよう でき、木材 もくざい 生産 せいさん には効率 こうりつ がよいとされてきた。病気 びょうき も少 すく なく、手入 てい れをしなくても育 そだ つので人気 にんき があったが、もっぱら薪 たきぎ や炭 すみ 用 よう の利用 りよう が多 おお かったため、その後 ご はだんだんと植 う える人 ひと も減 へ っていった。
縄文 じょうもん 時代 じだい の遺跡 いせき からクヌギの実 み が土器 どき などともに発掘 はっくつ されたことから、灰汁 あく 抜 ぬ きをして食 た べたと考 かんが えられている。
飼料 しりょう としても利用 りよう できる。養蚕 ようさん では、屋内 おくない で蚕 かいこ を飼育 しいく する家 いえ 蚕 かいこ (かさん)が行 おこな われる以前 いぜん から、野外 やがい でクヌギの葉 は にヤママユガ (天蚕 てんさん )を付 つ けて飼育 しいく する方法 ほうほう が行 おこな われていた。
樹皮 じゅひ は樸 しらき 樕 (ボクソク)という生薬 きぐすり であり[ 23] 、十 じゅう 味 あじ 敗 はい 毒 どく 湯 ゆ [ 24] 、治 ち 打撲 だぼく 一方 いっぽう (ヂダボクイッポウ)[ 25] といった漢方薬 かんぽうやく に配合 はいごう される。
植 うえ 栽適期 き は12 - 3月、または6月 がつ - 7月 がつ 、10 - 11月とされるが、移植 いしょく は難 むずか しい。剪定 せんてい は3 - 4月 がつ に行 おこな う。施肥 せひ は行 おこな う必要 ひつよう がない。伐採 ばっさい しても切 き り株 かぶ から萌芽 ほうが 更新 こうしん が発生 はっせい し、再 ふたた び数 すう 年 ねん 後 ご には樹勢 じゅせい を回復 かいふく する。持続 じぞく 的 てき な利用 りよう が可能 かのう な里山 さとやま の樹木 じゅもく の一 ひと つで、農村 のうそん に住 す む人々 ひとびと に利用 りよう されてきた。庭木 にわき に1本 ほん 立 だ ちで植 う えられることもあるが、よほど広 ひろ いところでない限 かぎ り植 う えない方 ほう が賢明 けんめい だという意見 いけん もある。
実 じつ は爪楊枝 つまようじ を刺 さ して独楽 こま にするなど子供 こども の玩具 おもちゃ として利用 りよう される。
樹皮 じゅひ やドングリの殻 から は、つるばみ染 そ め (橡 とち 染 ぞ め)の染料 せんりょう として用 もち いられる。つるばみ染 そ めは、実 み の煮汁 にじる をそのまま使 つか うと黄 き 褐色 かっしょく が得 え られ、灰汁 あく を媒染剤 ばいせんざい とすると黄色 おうしょく が強 つよ くなってこれがツルバミ色 しょく とよんでいる。さらに媒染 ばいせん 材 ざい に鉄 てつ を加 くわ えると、染 そ め上 あ がりは黒 くろ から紺色 こんいろ になる。
中華人民共和国 ちゅうかじんみんきょうわこく 四川 しせん 省 しょう では、標高 ひょうこう 3,500 mを超 こ える地域 ちいき にクヌギ林 りん が成立 せいりつ しており、マツタケ 林 はやし として利用 りよう されている[ 27] 。
クヌギは幹 みき の一部 いちぶ から樹液 じゅえき がしみ出 で ていることがある。クヌギの樹液 じゅえき は、カブトムシ やクワガタ などの甲虫 かぶとむし 類 るい やチョウ 、オオスズメバチ などの好物 こうぶつ で、これら昆虫 こんちゅう が樹液 じゅえき を求 もと めて集 あつ まる。樹液 じゅえき は以前 いぜん はシロスジカミキリ が産卵 さんらん のために傷 きず つけた所 ところ から沁 し み出 だ すことが多 おお いとされ、現在 げんざい もほとんどの一般 いっぱん 向 む け書籍 しょせき でそう書 か かれていることが多 おお いが、近年 きんねん の研究 けんきゅう で主 しゅ としてボクトウガ の幼虫 ようちゅう が材 ざい に穿孔 せんこう した孔 あな の出入 でい り口 ぐち 周辺 しゅうへん を常 つね に加工 かこう し続 つづ けることで永続 えいぞく 的 てき に樹液 じゅえき を滲出 しんしゅつ させ、集 あつ まるアブ やガ のような軟弱 なんじゃく な昆虫 こんちゅう 、ダニ などを捕食 ほしょく していることが明 あき らかになった。
ウラナミアカシジミ という蝶 ちょう の幼虫 ようちゅう はクヌギの若葉 わかば を食 た べて成長 せいちょう する。またクヌギは、ヤママユガ 、クスサン 、オオミズアオ のような、ヤママユガ科 か の幼虫 ようちゅう の食 しょく 樹 じゅ の一 ひと つである。そのため昆虫 こんちゅう 採集 さいしゅう 家 いえ は採集 さいしゅう する種 たね にもよるがこの木 き を見 み ると立 た ち止 ど まって幹 みき 、枝 えだ 、葉 は 、さらには根元 ねもと まで一 いち 通 とお り確認 かくにん して昆虫 こんちゅう を探 さが すことが多 おお い。また、オオクワガタ などクヌギを主 おも な活動 かつどう 拠点 きょてん とする昆虫 こんちゅう を探 さが すために、それらの名産 めいさん 地 ち においてマニア が何 なん 時 じ 間 あいだ もクヌギを見張 みは っている光景 こうけい が見 み られることも珍 めずら しくない。
クヌギの由来 ゆらい は「国 くに の木 き 」という説 せつ もあるほど、一般 いっぱん 的 てき で庶民 しょみん 生活 せいかつ に根付 ねつ いた樹木 じゅもく であった。
鞍掛 くらかけ のクヌギ - 熊本 くまもと 県 けん 産山 うぶやま 村 むら 。根元 ねもと に乳房 ちぶさ のようなふくらみがあり、触 さわ ると乳 ちち の出 だし が良 よ くなるといわれる。熊本 くまもと 県 けん 指定 してい の文化財 ぶんかざい
以下 いか の自治体 じちたい の木 き として指定 してい されている。都道府県 とどうふけん の木 き としての指定 してい は無 な く、市町村 しちょうそん の木 き としての指定 してい 数 すう も身近 みぢか な樹木 じゅもく である割 わり には少 すく ない。
コナラ属 ぞく 内 ない の分類 ぶんるい は従来 じゅうらい 形態 けいたい 的 てき 特徴 とくちょう に基 もと づき、殻 から 斗 と の模様 もよう が鱗状 りんじょう のものをコナラ亜 あ 属 ぞく (Subgen. Quercus )、環状 かんじょう のものをアカガシ亜 あ 属 ぞく (Subgen. Cyclobalanopsis )と分 わ けられてきたが、遺伝子 いでんし 的 てき な系統 けいとう に基 もと づく他 ほか の分類 ぶんるい が幾 いく つか提唱 ていしょう されている[ 28] 。総説 そうせつ にDenk et al.(2017)がある[ 29] 。
Denk et al.(2017)においてアベマキ と共 とも にCerris 亜 あ 属 ぞく のCerris 節 ふし に入 い れられている。節 ふし 単位 たんい は異 こと なるが、同 どう 亜 あ 属 ぞく にはアラカシ 、シラカシ などのカシ類 るい 、また樫 かし とは付 つ くが少 すこ し異質 いしつ のウバメガシ なども入 はい る。落葉 らくよう ブナ科 か 樹木 じゅもく ということで所謂 いわゆる 「ナラ類 るい 」に入 い れられることがあるが、近 ちか いと思 おも われてきたコナラ 、ミズナラ 、カシワ はQuercus 亜 あ 属 ぞく に入 はい るために、クヌギとは亜 あ 属 ぞく 単位 たんい で異 こと なり遠縁 とおえん であるという。
標準 ひょうじゅん 和名 わみょう クヌギの由来 ゆらい は諸説 しょせつ あり、「クニギ(国 くに の木 き )」説 せつ 、「クノギ(食 しょく の木 き )」説 せつ 、「クリニキ(栗 ぐり 似 に 木 き )」説 せつ などある[ 30] 。「クニギ」は西日本 にしにほん を中心 ちゅうしん に方言 ほうげん 名 めい でもよく見 み られく[ 31] [ 32] [ 33] 。「クノギ」や「ドングリ」が食用 しょくよう になることを示 しめ した名前 なまえ も全国 ぜんこく 的 てき に多 おお い。
古名 こみょう はつるばみ といい[ 34] 、古 ふる くは『万葉集 まんようしゅう 』に記 しる されたという。
方言 ほうげん 名 めい は多数 たすう あり、前述 ぜんじゅつ の「クニギ」、「クノギ」の他 ほか に全国 ぜんこく 的 てき に「ドングリ」、「ドングリノキ」などと呼 よ ばれる。東海 とうかい 地方 ちほう ではクヌギを「トチ」、アベマキ を「ワタドチ」、トチノキ を「ホンドチ」と呼 よ び分 わ ける[ 31] [ 35] 。アベマキとの比較 ひかく 混同 こんどう の名前 なまえ は中国 ちゅうごく 地方 ちほう に多 おお く、「アベノキ」、「ワタノキ」「メクヌギ」「メク」「マキ」「ヒメマキ」などが見 み られる。ワタはコルク層 そう の厚 あつ さに、「メクヌギ」はこれがアベマキほど厚 あつ くないことに因 ちな んでいると見 み られ、アベマキはオクヌギ(雄 お クヌギ)と呼 よ ぶ地域 ちいき がある[ 31] 。樹皮 じゅひ をとらえた名前 なまえ としては「チチン」「チリメン」なども見 み られる。木材 もくざい が硬 かた いことを示 しめ すとみられる「カシ」「カタギ」「カナギ」「カッチングリ」「カナマキ」などは九州 きゅうしゅう を除 のぞ く各地 かくち に見 み られる[ 31] [ 36] 。西日本 にしにほん のブナ科 か 樹木 じゅもく によく見 み られる「ハハソ」「ホーソ」系 けい の名前 なまえ は比較的 ひかくてき 少 すく ない。静岡 しずおか にはこれ系 けい と見 み られる「ボーチョ」「ボーボー」があるという>[ 35] 。「ジタンボウ」「ジタングリ」(関東 かんとう 甲信 こうしん )、「ドーダ」(壱岐 いき ・対馬 つしま )、「ヒヨグリ」「ヒヨグンノキ」(山口 やまぐち ・熊本 くまもと )、「ツーラ」(宮崎 みやざき )ほか由来 ゆらい のよくわからないものも多数 たすう ある[ 31] 。
漢字 かんじ では名字 みょうじ などを含 ふく め、櫟 くぬぎ 、椚 くぬぎ 、橡 とち 、櫪 くぬぎ 、栩、椡、㓛刀、功刀 くぬぎ 、あるいは柞 なら (ははそ)などいくつかの字 じ をもっている。「橡 とち 」が読 よ み方 かた によってクヌギを指 さ すか、トチノキを指 さ すかは異 こと なるが前述 ぜんじゅつ のように方言 ほうげん がすでに似 に ている地方 ちほう がある。中国 ちゅうごく 名 な は「麻 あさ 櫟 くぬぎ 」と書 か く[ 1] 。
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