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果物 - Wikipedia

果物くだもの

食用しょくようとなる果実かじつ

果物くだもの(くだもの、えい: fruits フルーツ)は、食用しょくようになる果実かじつ水菓子みずがし[注釈ちゅうしゃく 1]菓子かしともいう。

樹木じゅもくになっている状態じょうたい果物くだものいちれいリンゴ
樹木じゅもくにならないイチゴなどは「果実かじつてき野菜やさい」に分類ぶんるいされる。

英語えいごでfruitとえば果実かじつ全般ぜんぱんである(日本語にほんごの「果実かじつ」よりもさらにひろ範囲はんいす)。日本語にほんごの「果物くだもの」は、食用しょくようになる果実かじつおよ果実かじつてき野菜やさい後述こうじゅつ)のうち、つよ甘味あまみゆうし、調理ちょうりせずそのまましょくすることが一般いっぱんてきであるものを「果物くだもの」と傾向けいこうがある。狭義きょうぎには樹木じゅもくになるもののみをす。農林水産省のうりんすいさんしょうでは、統計とうけいじょう果実かじつ果樹かじゅ木本もくほんせいなどの永年えいねん作物さくもつ)になるものとしつつ、野菜やさい分類ぶんるいされるもののうちイチゴメロンスイカなど果実かじつてき利用りようをするものを「果実かじつてき野菜やさい」としてあつかっている[1]


概説がいせつ

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果物くだものとは、食用しょくようになる果実かじつのことである。 果物くだものはさまざまな栄養素えいようそふくんでいる。人体じんたい必要ひつよう糖分とうぶんカリウムビタミン豊富ほうふなものもおおい。→#栄養えいようめん効能こうのう

果実かじつ乾燥かんそうさせ、ドライフルーツとするれいおおい。乾燥かんそうさせた場合ばあい糖分とうぶん濃度のうどたかくなり、保存ほぞんてきする。中東ちゅうとうではデーツナツメヤシ果実かじつ乾燥かんそうさせたもの)がふるくからひろしたしまれており、聖書せいしょにも登場とうじょうする。「砂漠さばくたび食料しょくりょうきてもデーツのじつひとつぶべれば数日すうじつびられる」などといわれている。なお乾燥かんそうしたくにでは、せいのみずみずしい果物くだものみずぶん補給ほきゅうげんとしても重要じゅうよう役割やくわりたしている。日本にっぽんでは果物くだものは、糖分とうぶん補給ほきゅうのため(あまたのしむため)や、ビタミンみなもととしてられてきた歴史れきしがある。

料理りょうり利用りようしたり、パンクッキーれられることもある。そのあまみや酸味さんみこうばしさなどを利用りようする。たねによってはタンパク質たんぱくしつ分解ぶんかい酵素こうそふくむ(パイナップルパパイヤなど)ため、肉類にくるいやわらかくする効果こうかのために利用りようされる場合ばあいもある。砂糖さとうくわえて煮込にこジャム(やコンポートるい)にして保存ほぞんしている。それをパンクラッカーわせたり、あるいはヨーグルトチーズなどの乳製品にゅうせいひんわせて朝食ちょうしょくときべることもある。また午後ごごの「おちゃ」や「おやつ」の時間じかんに、イギリスでは「午後ごご紅茶こうちゃ」のでジャムやコンポートるいあじわったり、北欧ほくおうのおちゃ時間じかんフィーカ」ではさまざまなかたち果物くだものっている。日本にっぽんの「おやつ」などになま果物くだものべたり、あるいはパンにジャムをってべたり、ヨーグルトにジャムをくわえたものべる、などもひろおこなわれている。

果物くだものなかには、糖分とうぶんだけでなく酵素こうそまでふくみ、(さほど手間てまをかけずとも、つぶして放置ほうちするだけで)それ自体じたい発酵はっこうしゅとなるものもあり、さけ原料げんりょうとしてももちいられてきた。代表だいひょうてきなものとしてブドウがある。もともと糖分とうぶん酵素こうそ両方りょうほうふくみ、つぶして放置ほうちしておくだけで勝手かって発酵はっこうしてさけワイン)になる。ワインは「もっとふるくから存在そんざいするさけ」や「最初さいしょさけ」と推定すいていされており、地中海ちちゅうかい周辺しゅうへんヨーロッパ(の大陸たいりくがわ)で太古たいこからもっとまれているさけであり、そして欧米おうべい諸国しょこく南米なんべいオーストラリアふくむ)でも非常ひじょうひろまっていった。日本にっぽんでも中世ちゅうせい宣教師せんきょうしみ、さらに1870ねんにワイン醸造じょうぞうしょつくられそれ以降いこう醸造じょうぞうもはじまり、現在げんざいでは世界中せかいじゅうまれている。リンゴ発酵はっこうしゅシードル)も同様どうようである。果実かじつからつくさけを(ブドウののワインは別格べっかくとして、それ以外いがい果物くだものからつくさけを)フルーツワインう。

果物くだもの欧州おうしゅうでも日本にっぽんでも、むかしから、贈答ぞうとうひんや、入院にゅういんしたひとなどへのお見舞みまいのしなとして利用りようされることもおおい。

熱帯ねったい果樹かじゅでは「さんだい果物くだもの」とばれるのがマンゴーチェリモヤマンゴスチンである。ドリアンは「果物くだものおう」、マンゴスチンは「果物くだもの女王じょおう」ともわれる。

べられる果実かじつがなる樹木じゅもく果樹かじゅう。

日本にっぽんでは古代こだいから中世ちゅうせい時代じだいには果物くだもの菓子かしなか包摂ほうせつされていたが、江戸えど時代じだい中期ちゅうき加工かこうひんについては「菓子かし」、果実かじつは「水菓子みずがし」としるすようになり菓子かしとは別種べっしゅのものとして理解りかいされるようになっていった。さらに幕末ばくまつきょうざか果実かじつを「クダモノ」とうようになり果物くだもの名称めいしょう成立せいりつした[2]

果樹かじゅによる分類ぶんるい

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以下いか分類ぶんるいは『農学のうがく基礎きそシリーズ 果樹かじゅ園芸えんげいがく基礎きそ』を参照さんしょうしている[3]

落葉らくようせい果樹かじゅ

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じんはてるい

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はなゆかはなたくとも)というはながら先端せんたんにある部分ぶぶん発達はったつして果実かじつになる、すなわにせはてばれるタイプの果実かじつをつける。英語えいごではPome fruitとばれる。

核果かっかるい

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子房しぼうかべ発達はったつして果実かじつになるタイプの果実かじつはて)をつけるもののうち、うち果皮かひ硬化こうか種子しゅしから形成けいせいされ、かくばれる状態じょうたいになる。バラサクラぞくられる。英語えいごではStone fruit(ストーンフルーツ)とばれる。

からはてるい

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種実たねざねるい、またはけんはてるいともばれる。果皮かひ乾燥かんそうしてかたくなっており、おも種子しゅし食用しょくようとしてもちいる果樹かじゅ。アーモンドは果実かじつ構造こうぞうとしては核果かっかるい同様どうようであるが、種子しゅし食用しょくようとするため、けんはてるい分類ぶんるいされる。英語えいごではNut(ナッツ)とばれる。

なお、これはあくまでも上記じょうき農学のうがくしょにしたがって掲載けいさいするものであって、通常つうじょう日本語にほんごでアーモンドや胡桃くるみ、カシューナッツなどのしょくして「果物くだもの」とぶことはほぼない(意味いみつうじるかという観点かんてんからえば「果物くだもの」とぶのは語彙ごい誤用ごようであるといってつかえない)。これらを包括ほうかつてき名称めいしょう通常つうじょうナッツ」である。

高木たかぎせい
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低木ていぼくせい
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えきはて(berry)

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ブドウ、キウイフルーツ、カキなどのように成熟せいじゅくすると果肉かにく細胞さいぼうがほぼえき胞でめられしるやわらかくなる果実かじつえきはて(berry、ベリー)とぶこともある。

常緑じょうりょくせい果樹かじゅ

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柑橘類かんきつるい

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ミカンのミカンぞく、キンカンぞく、カラタチぞくなどにぞくする植物しょくぶつ総称そうしょう。カラタチ以外いがい常緑じょうりょくせい

熱帯ねったい果樹かじゅ

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トロピカルフルーツ。亜熱帯あねったいから熱帯ねったい分布ぶんぷする常緑じょうりょくせい果樹かじゅ

たね状態じょうたいによる分類ぶんるい

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英語えいごけんではプラム、アンズ(アプリコット)、モモのようにたね部分ぶぶんいしのようにかたい果物くだものストーンフルーツという[4]。また、イチゴ、ラズベリー、ブルーベリー、スグリのように、かたいかわおおきなたねのない果物くだものソフトフルーツという[4]

栄養えいようめん効能こうのう

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果物くだもの糖分とうぶん構成こうせい

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あまみはフルクトースグルコースショとうなどで構成こうせいされている。

がん予防よぼう可能かのうせい

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果物くだものは、野菜やさいとともにがん予防よぼう可能かのうせいおおきいものとされている[5][6]

高血圧こうけつあつ予防よぼう

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腎臓じんぞう障害しょうがいがなくカリウム摂取せっしゅしても問題もんだいがなければ、カリウムを豊富ほうふふく野菜やさい果物くだもの摂取せっしゅやすことにより高血圧こうけつあつ降圧こうあつ期待きたいできる[7][8]

食用しょくよう

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果物くだものは、栄養えいようまとには(植物しょくぶつ組織そしき全般ぜんぱんくらべて)果糖かとうふくみ、とうしつ糖分とうぶん)がおおく、カロリーたかく、ビタミンるいおおふくみ、消化しょうかしやすい、という性質せいしつがあり、あじとしては甘味あまみ酸味さんみつ。

保存ほぞんしょく

果物くだものには収穫しゅうかくがあり年間ねんかんとおして収穫しゅうかくできるわけではないため、ジャムコンポートシロップなどの果物くだもの加工かこう食品しょくひんがある[4]

むかしから病人びょうにん果物くだものをあてがうことがおこなわれており、病人びょうにんのお見舞みまいには果物くだものわせが定番ていばんである。

メロンやリンゴなどの水分すいぶんりょうおお果物くだものは、生水なまみず摂取せっしゅむずかしい時代じだい地域ちいき飲料いんりょうすい供給きょうきゅうげんとなっている[9]

生物せいぶつがく果物くだもの

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植物しょくぶつ繁殖はんしょく戦略せんりゃく果物くだもの

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とり果実かじつべ、種子しゅしとおくへはこ役割やくわりになう。

果物くだもの」は動物どうぶつべたがる果実かじつである。「果物くだもの」とわれる果実かじつは、生物せいぶつがくてき果実かじつ分類ぶんるいうえではいくつかの類型るいけいにまたがるが、いずれにしても、一般いっぱんてき植物しょくぶつ組織そしきよりもやわらかく、糖分とうぶん、ビタミンCなどをおおふく部分ぶぶんつ。またあか黄色きいろ着色ちゃくしょくするれいおおい。

これは植物しょくぶつ繁殖はんしょくかんする戦略せんりゃくとして、動物どうぶつべさせ、それによって種子しゅし散布さんぷ動物どうぶつになわせる、と方針ほうしんによっている。植物しょくぶつ移動いどうできないため、種子しゅし形成けいせいさいにこれが移動いどうすることは、花粉かふん媒介ばいかいならんでその分布ぶんぷ拡大かくだい個体こたいぐん維持いじにおいてきわめて重要じゅうようである。そのために様々さまざま戦略せんりゃくをとる植物しょくぶつ存在そんざいするが、動物どうぶつはこばせるのはその代表だいひょうてき方法ほうほうひとつである。そのための具体ぐたいてき方法ほうほうひとつが種子しゅしおよびその周辺しゅうへん動物どうぶつ食料しょくりょうとして魅力みりょくてき性質せいしつあたえることで、動物どうぶつがそれをべ、あるいはべる目的もくてき輸送ゆそうになう、とうものである。種子しゅしそのものを食料しょくりょうとするれいドングリなど)もあるが、それよりは周辺しゅうへんしょくとしたほうが種子しゅし犠牲ぎせいすくない。これが果物くだものというありかたである。

植物しょくぶつ一般いっぱんてき組織そしきたとえばくきは、きたはら形質けいしつふくむから、それなりにバランスのれた食料しょくりょうでありる。しかし細胞さいぼうかべセルロースという丈夫じょうぶ成分せいぶんつくられていること、セルロースそれ自体じたいもカロリーはたかいものの消化しょうか困難こんなんなものであることなど、植物しょくぶつえさとするのはなんたかく、専門せんもんてきしょくうえしゃ様々さまざま特異とくい適応てきおうてき形質けいしつつのが普通ふつうである(すりつぶす複数ふくすうかれた複雑ふくざつ消化しょうかかんなど)。それにたいして果物くだものしょく一般いっぱんてき植物しょくぶつ組織そしきより、はるかに動物どうぶつ利用りようされやすくなっている。

(やや目的もくてきろんてき説明せつめいとしては)「果物くだもの糖分とうぶんおおいのも、消化しょうか酵素こうそふくまれるのも、動物どうぶつがそれを利用りようする場合ばあい利便りべんはかっている(=目的もくてきとしている)ものであり、それによってよりおおくの動物どうぶつせることを目指めざしている」と説明せつめいしてもよい。また(目的もくてきろんてき説明せつめいけて)「さまざまな性質せいしつ果実かじつをもつ植物しょくぶつが(突然変異とつぜんへんいや さまざまな交配こうはいによって)まれたが、自然しぜん選択せんたく結果けっか動物どうぶつ利用りようしやすい果実かじつをもつ植物しょくぶつが、結果けっかとして、よりおおのこり、その形質けいしつ が/も のこった。」などと説明せつめいしてもよい。「植物しょくぶつにとってはそのような果実かじつつことはコストがかかり損失そんしつしょうじるが、動物どうぶつ誘引ゆういんすることで種子しゅし散布さんぷをより効率こうりつよくおこなうための投資とうしである」と説明せつめいしてもよい。果実かじつじゅくするにれてあか黄色おうしょくなどに着色ちゃくしょくするのも、動物どうぶつにとって目立めだつようになり、ごろらせる信号しんごう効果こうかっている。

果物くだものが「美味おいしい」と動物どうぶつにとってかんじられるのは、そのあじ動物どうぶつ全般ぜんぱんこのみに合致がっちしていることによる。人類じんるい果実かじつこのむのも、植物しょくぶつのこの戦略せんりゃくせられたもの/ったもの とかんがえてもよい。

ビタミンC合成ごうせいのううしなった動物どうぶつしゅとの共生きょうせい

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L-グロノラクトンオキシダーゼ(ビタミンC合成ごうせい酵素こうそ遺伝子いでんし活性かっせいは、いくつかのたね進化しんかのなかでそれぞれ独立どくりつうしなわれている。哺乳類ほにゅうるいではテンジクネズミや霊長れいちょうちょくはながこの遺伝子いでんし活性かっせいうしなっており、そのためにビタミンCを合成ごうせいできないが、その原因げんいんとなった突然変異とつぜんへんいべつのものである。どちらの系統けいとうでも、活性かっせいうしなった遺伝子いでんし多数たすう変異へんい蓄積ちくせきしつつ、にせ遺伝子いでんしとしてのこっている[10]スズメ鳥類ちょうるいでは、活性かっせい喪失そうしつなんこっており、またおそらくはさい獲得かくとくこったために、たねによってビタミンC合成ごうせい能力のうりょくことなる。に、コウモリるいもこの遺伝子いでんし活性かっせいうしなっている[11]。これらの動物どうぶつ遺伝子いでんし変異へんいによるビタミンC合成ごうせい能力のうりょくうしなったにもかかわらず継続けいぞくてき生存せいぞん最大さいだい理由りゆうは、これらの動物どうぶつ果物くだものとうのビタミンCを豊富ほうふふく食餌しょくじ日常にちじょうてきられる共生きょうせい環境かんきょうにあったためである。

霊長れいちょうでこの酵素こうそ活性かっせいうしなわれたのはやく6300まんねんまえであり、ちょくはな酵素こうそ活性かっせいなし)ときょくはな酵素こうそ活性かっせいあり)の分岐ぶんきこったのとほぼ同時どうじである。ビタミンC合成ごうせい能力のうりょくうしなったちょくはなにはメガネザル下目しため真猿しんえん下目しため(サル、類人猿るいじんえん、ヒト)がふくまれている[12]果物くだものとの共生きょうせい関係かんけいはヒトの直系ちょっけい祖先そせんふくすくなくとも6300まんねん以上いじょう共生きょうせい関係かんけいにあったとかんがえられる。

果樹かじゅがたえだ名称めいしょう

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果樹かじゅ栽培さいばいするときかたち主幹しゅかんおよ骨格こっかくえだ配置はいちがたまる。

主幹しゅかんがた(しゅかんけい)
主幹しゅかん中央ちゅうおうにまっすぐびたがたよう主幹しゅかんがたでも、樹齢じゅれいすすむにつれ、変則へんそく主幹しゅかんがた移行いこうする。ハウスミカンなどのちょう密植みっしょく栽培さいばいもちいられる。
変則へんそく主幹しゅかんがた(へんそくしゅかんけい)
主幹しゅかんを2~3mでり、しゅえだを3~4ほん配置はいちするがた。カキやクリ
ひらくこころ自然しぜんがた(かいしんしぜんけい)
主幹しゅかんを60cm程度ていどもうけ、しゅえだ気味ぎみに3~4ほん設置せっちするがた。カンキツやウメ
ひらきしんがた(かいしんけい)
さかずきじょうがた(はいじょうけい)ともぶ。しゅえだ開帳かいちょうさせ3~4ほん設置せっちするがた
たな仕立したて
たな使用しようして、えだたな誘引ゆういんする。ブドウ・キウイフルーツ・ナシでもちいられる。

えだ名称めいしょう

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えだ名称めいしょうは、しゅとして剪定せんてい作業さぎょうをするさいにそれぞれのえだ役割やくわり明確めいかくさせるために使用しようされる。この名称めいしょうにより剪定せんてい作業さぎょう説明せつめいすることができる。また、摘果てきかや摘蕾作業さぎょうにも使用しようされる。

主幹しゅかん(しゅかん)
地面じめんからさい上位じょういしゅえだ分岐ぶんきてんまでみきす。
しゅえだ(しゅし)
主幹しゅかんから直接ちょくせつかれたえだぬしえだがわえだ結果けっかははえだ結果けっかえだけるえだがた基本きほんとなるえだ剪定せんていするさいには、しゅえだ本数ほんすう最初さいしょ確認かくにんする。
ぬしえだ(あしゅし)
しゅえだからかれたえだがわえだ結果けっかははえだ結果けっかえだけるえだしゅえだめられない空間くうかんぬしえだ配置はいちする。しゅえだとともに骨格こっかくえだばれ、がた構成こうせいする。
骨格こっかくえだ(こっかくし)
骨組ほねぐみとなるえだで、しゅえだぬしえだをさす。
がわえだ(そくし)
結果けっかははえだ結果けっかえだをつけるえだ
発育はついくえだ(はついくし)
だけをつけたいちねんえだ
結果けっかははえだ(けっかぼし)
結果けっかえだびてはなする昨年さくねん生長せいちょうしたえだ。この結果けっかえだえだこと。カンキツ、カキとう結果けっかははえだせい
結果けっかえだ(けっかし)
花芽かがけて、開花かいか結実けつじつするえだ総称そうしょうである。ながさによりたんはてえだ(たんかし)・ちゅうはてえだ(ちゅうかし)・ちょうはてえだ(ちょうかし)とばれる。このさい区分くわけするながさには諸説しょせつあり一定いっていではない。たんはてえだ花芽かがみつについたえだ花束はなたばじょう(かそくじょう)たんはてえだという。
徒長とちょうえだ(とちょうし)
しんこずえ(しんしょう)
あたらしく生長せいちょうしたえだしゅ習性しゅうせいかたにより、結果けっかえだ結果けっかははえだ発育はついくえだ徒長とちょうえだになる。

かた

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花芽かが(はなめ)
よくはるはなっているえだ一緒いっしょっている場合ばあいもある。
(はめ)
よくはる生長せいちょうするえだだけをっている

栽培さいばい

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果樹かじゅ栽培さいばい基本きほん栄養えいよう生長せいちょう生殖せいしょく生長せいちょう調整ちょうせいさせ、安定あんてい生産せいさん目的もくてきとするため、この両方りょうほう生長せいちょう均衡きんこう維持いじ基本きほんとなる。

苗木なえぎ生産せいさん

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果樹かじゅ形質けいしつ固定こていしていないため、種子しゅしから育成いくせいした場合ばあいおやことなる形質けいしつ苗木なえぎができてしまう。したがって、種子しゅしによる繁殖はんしょく実生みしょうほう)は、台木だいぎ生産せいさん利用りようさせる。よって、果樹かじゅ苗木なえぎ生産せいさん栄養えいよう生殖せいしょくによっておこなわれる。方法ほうほうは、株分かぶわひこばい利用りようである。苗木なえぎ生産せいさんではないが、こうによる成木なりき品種ひんしゅ更新こうしんほうもある。

受粉じゅふん

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しゅにより、雌雄しゆうかぶ(キウイフルーツ)や自家じか和合わごうせい (植物しょくぶつ)(リンゴ・ナシ・オウトウなど)や他家たけ和合わごうせいひとし場合ばあい受粉じゅふんせず果実かじつ結果けっかしない場合ばあいがあるため、授粉じゅ設置せっちひとにより授粉させる必要ひつようがある。

たんため結果けっかせい

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温州うんしゅうミカンや一部いちぶカキとうでは受粉じゅふんせずとも、結果けっかをする。このような性質せいしつたんため結果けっかせいという。また、ジベレリンもちいてブドウや日向ひなたなつは、たんため結果けっかをさせ、たねなし果実かじつつくれる。

剪定せんてい

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肥料ひりょうあたえること。ぐん水平すいへい分布ぶんぷ樹冠じゅかん同等どうとうかそれよりもひろがっている。そのため、みきまわりには養分ようぶん吸収きゅうしゅうできるほそすくないためみきまわりに施肥せひをしない。

元肥もとごえはるこえ
初期しょき生長せいちょううように休眠きゅうみんあたえる。
追肥ついひなつこえ
果実かじつ肥大ひだい促進そくしんするためにあたえる。温州うんしゅうミカンではなつこえ重視じゅうし施肥せひ体系たいけい近年きんねんおおい。
れいこえあきこえ
あき貯蔵ちょぞう養分ようぶん蓄積ちくせき目的もくてきとする。

人類じんるい最初さいしょ栽培さいばいした果物くだものひとつはイチジクで、ヨルダン渓谷けいこくにあるむら遺跡いせきGilgal I英語えいごばん)からしん石器せっき時代じだい(11,300ねんまえ)には栽培さいばいはじまったと示唆しさされている[13][14]詳細しょうさいは、イチジクの栽培さいばい英語えいごばん)。

7000‐1まんねんまえには、クックの初期しょき農業のうぎょう遺跡いせきからバナナ栽培さいばい確認かくにんされた[15][16]

日本にっぽんにおける果物くだもの伝来でんらい栽培さいばい開始かいし年代ねんだい

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日本にっぽん伝来でんらい栽培さいばい開始かいし以下いかのものとなる[17]

  • 縄文じょうもん時代じだい:カキ、ブドウ、ヤマモモ、キイチゴ、クリ、クルミ、シイ、ハシバミ、カヤ
  • 弥生やよい時代じだい:ナシ、ビワ、ウメ、モモ、スモモ、グミ
  • 奈良なら時代じだい:コウジ、タチバナ、ユズ、ナツメ、クワ、ムベ
  • 鎌倉かまくら安土あづち桃山ももやま:クネンボ、コミカン、ブドウ(甲州こうしゅうブドウ)、ザクロ、イチョウ
  • 江戸えど時代じだい:ウンシュウミカン、キンカン、ブンタン、ビワ[からビワ]、マルメロ、チュウゴクオウトウ、ユスラウメ、イチジク、サンショウ、バナナ、パイナップル、パパイヤ、レイシ、スターフルーツ、リュウガン、クルミ[テウチグルミ]
  • 明治めいじ時代じだい:オレンジ、レモン、ポンカン、メドラー、リンゴ[栽培さいばいリンゴ]、セイヨウナシ、モモ[水蜜すいみつもも]、オウトウ[あまはてオウトウ、さんはてオウトウ]、オリーブ、ストロベリー、ブドウ[ヨーロッパけい、アメリカけい]、キイチゴ[ブラックベリー、ラズベリー]、スグリ、アボカド、グアバ、パッションフルーツ、マンゴー、クルミ[ペルシャグルミ]、アーモンド、ピスタチオ
  • 大正たいしょう時代ときよ:グレープフルーツ、キウイフルーツ、ブルーベリー、アセロラ、ペカン

CCDによる収穫しゅうかく悪化あっかリスク

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果物くだものができるためには、原則げんそくてき受粉じゅふん必要ひつようであり、受粉じゅふんければ果物くだものはできない。受粉じゅふん昆虫こんちゅう依存いぞんしているが、現代げんだい農業のうぎょうにおいては、とく養蜂ようほうっているミツバチ依存いぞんしている割合わりあいおおきい。近年きんねん北米ほくべいやヨーロッパにおいてはちぐん崩壊ほうかい症候群しょうこうぐん(CCD)という、ミツバチが大量たいりょう失踪しっそうしたりんでしまう現象げんしょう頻発ひんぱつしており、北米ほくべいのミツバチはすうぶんの1がんでしまった。もしもこれ放置ほうちしさらに拡大かくだいするとミツバチの全滅ぜんめつ可能かのうせいすらあり、果物くだもの収穫しゅうかくだかなど農業のうぎょう全般ぜんぱんおおきな悪影響あくえいきょうおよぼす可能かのうせいがあると予見よけんされ、社会しゃかい問題もんだいした。そのリスクのおおきさを考慮こうりょして、ヨーロッパの各国かっこくではすでにネオニコチノイドけい殺虫さっちゅうざい使用しよう禁止きんしなどの対策たいさくおこなっている。米国べいこくではネオニコチノイドけい殺虫さっちゅうざい製造せいぞうしている大手おおて化学かがくメーカーの政治せいじてき圧力あつりょくのためか調査ちょうさ結果けっか隠蔽いんぺいされたり、対策たいさく後手ごてにまわったり、不完全ふかんぜん対策たいさくにとどまる、などのことがきている[よう出典しゅってん]

防疫ぼうえき

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輸入ゆにゅうされる果物くだものは、植物しょくぶつ防疫ぼうえきしょ防疫ぼうえきおこなう。また、熱帯ねったいせい果物くだものおおくは輸入ゆにゅう禁止きんしひんであるが、輸出ゆしゅつこくめされた消毒しょうどくほうによって「条件じょうけん輸入ゆにゅう解禁かいきん植物しょくぶつ」とされる。消毒しょうどく方法ほうほうは、薬剤やくざい燻蒸くんじょうのほか、飽和ほうわ蒸気じょうきあたためるふけ熱処理ねつしょり温湯ぬるゆ処理しょり低温ていおん処理しょりなどがあり、ふけ熱処理ねつしょりでの消毒しょうどくおお[18]

日本にっぽん神話しんわ
日本にっぽんの『古事記こじき』や『日本書紀にほんしょき』では「タヂマモリが11だいたれじん天皇てんのういのちにより、非時ひじ菓(ときじくのかぐのこのみ)をもとめて常世とこよくにわたった」と記述きじゅつされている。10ねんかかってきのえだ果実かじつきのえだ日本にっぽんかえってきたが、たれじん天皇てんのうはすでにくなっていた。柑橘類かんきつるいで、これが水菓子みずがし果実かじつ)のもとになった、などとかたられる。タヂマモリは「(みず菓子かしかみ」としてまつられている。
豊作ほうさく儀式ぎしき
ばれる豊作ほうさくいの儀式ぎしき世界せかいてきおこなわれる。鉈などで果樹かじゅおどし、果樹かじゅやく人間にんげん豊作ほうさく約束やくそくする。さらに、鉈で果樹かじゅきずをつけたのち傷口きずぐちかゆ場合ばあいもある。
くだものの
日本にっぽん果物くだもの商業しょうぎょう協同きょうどう組合くみあい連合れんごうかいにちはてれん)は、果物くだものべる習慣しゅうかんひろめるために1998ねんより毎月まいつき8にちを「くだものの」と制定せいていしている[19]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 青木あおき直己なおき図説ずせつ 和菓子わがし今昔こんじゃく』(2はんあわ交社、19-21ぺーじ によれば、「水菓子みずがし」は、果物くだもの菓子かし意味いみしていたことの名残なごり。果物くだもの弥生やよい時代じだい以降いこう食料しょくりょう環境かんきょう変化へんかともなって食料しょくりょうから徐々じょじょ嗜好しこうひんとしての側面そくめんつよくなり、なが年月としつきをかけて「菓子かし」のいち分野ぶんやとなった。「菓子かし」の字義じぎからも果物くだものなどが菓子かしをさしていたことがほどける。

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう
  1. ^ 野菜やさい果物くだものちがいをおしえてください。また、すいか、メロンは野菜やさい果物くだもののどちらですか。:農林水産省のうりんすいさんしょう - ウェイバックマシン(2019ねん9がつ16にちアーカイブぶん
  2. ^ 並松なみまつ 信久のぶひさ、2021ねん、「和菓子わがし変遷へんせん菓子かし展開てんかい」、『京都産業大学きょうとさんぎょうだいがく日本にっぽん文化ぶんか研究所けんきゅうじょ紀要きよう』26かん京都産業大学きょうとさんぎょうだいがく日本にっぽん文化ぶんか研究所けんきゅうじょISSN 1341-7207NCID AN10537878 p. 303
  3. ^ 農学のうがく基礎きそシリーズ 果樹かじゅ園芸えんげいがく基礎きそ一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん のうやま漁村ぎょそん文化ぶんか協会きょうかい、2013ねん10がつ25にち、21ぺーじISBN 978-4-540-42204-1 
  4. ^ a b c 羽根はね 則子のりこ増補ぞうほ改訂かいてい イギリス菓子かし図鑑ずかん菓子かし由来ゆらいつくかたまことぶんどう新光しんこうしゃ、2019ねん、207ぺーじ 
  5. ^ 国立こくりつがんセンターがん対策たいさく情報じょうほうセンター (2009ねん2がつ25にち). “日本人にっぽんじんのためのがん予防よぼうほう現状げんじょうにおいて推奨すいしょうできる科学かがくてき根拠こんきょもとづくがん予防よぼうほう”. 2008ねん8がつ14にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2009ねん12月1にち閲覧えつらん
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参考さんこう文献ぶんけん

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たい果樹かじゅ栽培さいばい参考さんこう

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  • 新版しんぱん しゅう 果樹かじゅ栽培さいばい基礎きそ 発行はっこう:1994ねん2がつ25にち著者ちょしゃくまだい克己こっき鈴木すずき鐡男てつお 発行はっこうもと農文協のうぶんきょう
  • 最新さいしん 果樹かじゅ剪定せんてい 発行はっこう:1993ねん12月30にち編者へんしゃ農文協のうぶんきょう 発行はっこうもと農文協のうぶんきょう

果樹かじゅ園芸えんげいがく関連かんれん参考さんこう

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  • 農学のうがく基礎きそシリーズ 果樹かじゅ園芸えんげいがく基礎きそ 発行はっこう:2013ねん10がつ25にち著者ちょしゃ伴野とものきよし山田やまだ寿ひさしたいらさとし 発行はっこうもと農文協のうぶんきょう

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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