コケモモ

コケモモ
	果実かじつをつけたコケモモ
保全ほぜん状じょう況きょう評価ひょうか
	LEAST CONCERN; (IUCN Red List Ver.3.1 (2001));
分類ぶんるい
学名がくめい
	Vaccinium vitis-idaea L. (1753)
シノニム
	Vaccinium vitis-idaea L. subsp. minus (Lodd., G.Lodd. et W.Lodd.) Hultén (1937); Vaccinium vitis-idaea L. var. minus Lodd., G.Lodd. et W.Lodd. (1825); Vaccinium minus (Lodd., G.Lodd. et W.Lodd.) Vorosch. (1963); Rhodococcum vitis-idaea (L.) Avrorin (1959); Rhodococcum minus (Lodd., G.Lodd. et W.Lodd.) Avrorin (1722);
和名わみょう
	コケモモ（苔桃こけもも）、ヒロハコケモモ、; オオバコケモモ
英名えいめい
	cowberry（旧きゅう大陸たいりく亜種あしゅ）; lingonberry（新大陸しんたいりく亜種あしゅ）

コケモモ（苔桃こけもも^[8]、学名がくめい: Vaccinium vitis-idaea）は、ツツジ科かスノキ属きぞくの常緑じょうりょく小しょう低木ていぼく。果実かじつを食用しょくようとするが、栽培さいばいされることは稀まれで、野生やせいのものを採取さいしゅするのが一般いっぱん的てきである。

分布ぶんぷ・生育せいいく地ち

自然しぜんでの生育せいいく地ちはユーラシアの北部ほくぶや北きたアメリカの周しゅう北林きたばやし（北半球きたはんきゅうの寒帯かんたいの森林しんりん）で、北半球きたはんきゅう北部ほくぶの温帯おんたいから北極圏ほっきょくけんに近ちかい地域ちいきまで分布ぶんぷする^[9]。日本にっぽんでは、北海道ほっかいどう、本州ほんしゅう、四国しこく、九州きゅうしゅうに分布ぶんぷする^[9]。亜あ高山こうざんから高山たかやまのハイマツなどの針葉樹しんようじゅ林りん下した、岩いわ礫つぶて地ちなどに自生じせいする^[9]。森林しんりんに生育せいいくするため、日陰ひかげで湿度しつどが高たかく、また土壌どじょうが酸性さんせいの場所ばしょを好このむ。多おおくのツツジ科かの植物しょくぶつと同様どうよう、栄養分えいようぶんの少すくない土地とちでも耐たえられるが、アルカリ性あるかりせいの土壌どじょうでは生育せいいくできない。耐寒たいかん性せいにすぐれ、-40℃以下いかでも耐たえることができる一方いっぽう、夏なつが暑あつい場所ばしょでは生育せいいくしにくい。

特徴とくちょう

花はな大雪山たいせつざん 2006年ねん7月がつ

常緑じょうりょく広葉樹こうようじゅの小しょう低木ていぼくで、樹高きだかは10 - 20センチメートル (cm) 程度ていどで、茎くきの下部かぶは地面じめんを這はい^[8]、よく分ぶん枝えだして直立ちょくりつした幹みきはぎっしりと密集みっしゅうしている^[9]。

葉はは互生ごせいし、葉は身みは長ながさ1 - 3 cmの長ちょう楕円だえん形がたから倒卵形とうらんけいで、皮質ひしつで光沢こうたくがあり、裏面りめんは淡あわ緑色みどりいろ^[9]^[8]。寒冷かんれい地ちに生育せいいくする広葉樹こうようじゅではあるが、冬ふゆでも葉はを落おとさない。地中ちちゅうの根茎こんけいを伸のばすことで株かぶが拡大かくだいする。

花期かきは初夏しょか（6 - 7月がつごろ）^[9]。枝えだの先さきに総状そうじょう花序かじょをつくり、淡紅あわべに色しょくを帯おびた白色はくしょくの花はなをつける^[8]。花冠かかんは、長ながさ約やく6ミリメートル (mm) の釣鐘つりがね型がたで、浅あさく4裂きれして反そり返かえる^[9]。果はて期きは8 - 10月がつで、果実かじつは直径ちょっけい7 mmほどの球形きゅうけい果はてで、秋あきに赤あかく熟じゅくす^[9]^[8]。

コケモモとクランベリー（ツルコケモモ）はよく混同こんどうされるが、花はなが白しろく、花冠かかんが部分ぶぶん的てきにおしべと柱頭ちゅうとうを囲かこっている点てんで異ことなる（クランベリーの花はなはピンク色ぴんくいろで、花冠かかんが後うしろに反そり返かえっている）。また、果実かじつも球状きゅうじょうで、クランベリーほど洋ようナシ型がたにはならない。コケモモと同おなじように果樹かじゅとして利用りようされるスノキ属きぞくの植物しょくぶつとしては、他たにブルーベリー、ビルベリー、ハックルベリーなどがある。コケモモは英語えいごではリンゴンベリー、フィンランドではプオルッカと呼よばれている。

亜種あしゅ

コケモモは以下いかの2亜種あしゅが知しられている。

Vaccinium vitis-idaea var. vitis-idaea L. ：英名えいめいはCowberry（カウベリー）。ユーラシアに生育せいいく。葉はの長ながさは10 - 25ミリメートル。
Vaccinium vitis-idaea var. minus Lodd. ：英名えいめいはLingonberry（リンゴンベリー）。北きたアメリカに生育せいいく。葉はの長ながさは7 - 20ミリメートル。

利用りよう

赤あかく熟じゅくした果実かじつは生食なましょくできるほか、ジャムや果実かじつ酒しゅなどにする^[9]。北海道ほっかいどうではフレップとよばれる^[8]。フレップはアイヌ語ごが語源ごげん^[10]。野生やせいのコケモモは北欧ほくおうで一般いっぱん的てきに見みられ、とくにスカンディナヴィア諸国しょこくでは公有こうゆう地ちから収穫しゅうかくすることが許可きょかされている。果実かじつは甘あまみとほどよい酸味さんみがあり、砂糖さとうなどを加くわえて煮詰につめて、ジャムやコンポート（砂糖さとう煮に）、ジュース、シロップ、ゼリー、アイスクリームの材料ざいりょうなどに加工かこうする^[8]。長期ちょうき保存ほぞんするときは、砂糖さとう漬づけが向むいている^[8]。コケモモのコンポートは肉にく料理りょうりの添そえ物ものとすることがある。

コケモモは有機ゆうき酸さん、ビタミンC、βべーたカロテン、ビタミンB類るいの他ほか、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンを含ふくむ。

葉はには、色素しきそ沈着ちんちゃくに対たいする予防よぼう効果こうかや、紫外線しがいせんが原因げんいんとなるしみ・そばかすの症状しょうじょうの改善かいぜんに効きくアルブチン^[11]、メチルアルブチンなどの化学かがく物質ぶっしつを含ふくみ、日本にっぽんや北きたアメリカにおいてはウワウルシ（日本にっぽんには自生じせいしない）の代用だいようとして薬草やくそうとして利用りようされる。

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

^ Maiz-Tome (2016)
^ ^a ^b ^c 米倉よねくら浩司こうじ・梶田かじた忠ただし (2003-). “Vaccinium vitis-idaea L. コケモモ（標準ひょうじゅん）”. BG Plants 和名わみょう−学名がくめいインデックス（YList）. 2022年ねん12月がつ20日はつか閲覧えつらん。
^ 米倉よねくら浩司こうじ・梶田かじた忠ただし (2003-). “Vaccinium vitis-idaea L. subsp. minus (Lodd., G.Lodd. et W.Lodd.) Hultén コケモモ（シノニム）”. BG Plants 和名わみょう−学名がくめいインデックス（YList）. 2022年ねん12月がつ20日はつか閲覧えつらん。
^ 米倉よねくら浩司こうじ・梶田かじた忠ただし (2003-). “Vaccinium vitis-idaea L. var. minus Lodd., G.Lodd. et W.Lodd. コケモモ（シノニム）”. BG Plants 和名わみょう−学名がくめいインデックス（YList）. 2022年ねん12月がつ20日はつか閲覧えつらん。
^ 米倉よねくら浩司こうじ・梶田かじた忠ただし (2003-). “Vaccinium minus (Lodd., G.Lodd. et W.Lodd.) Vorosch. コケモモ（シノニム）”. BG Plants 和名わみょう−学名がくめいインデックス（YList）. 2022年ねん12月がつ20日はつか閲覧えつらん。
^ 米倉よねくら浩司こうじ・梶田かじた忠ただし (2003-). “Rhodococcum vitis-idaea (L.) Avrorin コケモモ（シノニム）”. BG Plants 和名わみょう−学名がくめいインデックス（YList）. 2022年ねん12月がつ20日はつか閲覧えつらん。
^ 米倉よねくら浩司こうじ・梶田かじた忠ただし (2003-). “Rhodococcum minus (Lodd., G.Lodd. et W.Lodd.) Avrorin コケモモ（シノニム）”. BG Plants 和名わみょう−学名がくめいインデックス（YList）. 2022年ねん12月がつ20日はつか閲覧えつらん。
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h 高橋たかはし秀男ひでお監修かんしゅう 2003, p. 194.
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ 平野ひらの隆久たかひさ監修かんしゅう永岡書店ながおかしょてん編へん 1997, p. 259.
^ 瀧井たきい康やすし勝しょう『366日にち誕生たんじょう花はなの本ほん』日本にほんヴォぉーグ社ぐしゃ、1990年ねん11月30日にち、289頁ぺーじ。ISBN 4529020398。
^ “スーパーフード「コケモモ」から7種しゅの植物しょくぶつ性せいアルブチンを抽出ちゅうしゅつ美白びはくだけじゃない！エイジングケア化粧けしょう品ひん原料げんりょうを開発かいはつ〜未み利用りよう若葉わかばを活用かつようして産地さんち・環境かんきょうに配慮はいりょした化粧けしょう品ひん事業じぎょうを推進すいしん〜”. サティス製薬せいやく (2021年ねん8月がつ5日にち). 2023年ねん10月がつ16日にち閲覧えつらん。

参考さんこう文献ぶんけん

Maiz-Tome, L. (2016), “Vaccinium vitis-idaea.”, The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T18748884A78457217 (UK), 2016-1.RLTS.T18748884A78457217.en. Downloaded on 25 September 2018, https://doi.org/10.2305/IUCN
高橋たかはし秀男ひでお監修かんしゅう田中たなかつとむ・松原まつばら渓けい著ちょ『日本にっぽんの山菜さんさい』学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃ〈フィールドベスト図鑑ずかん13〉、2003年ねん4月がつ1日にち、194頁ぺーじ。ISBN 4-05-401881-5。
平野ひらの隆久たかひさ監修かんしゅう永岡書店ながおかしょてん編へん『樹木じゅもくガイドブック』永岡書店ながおかしょてん、1997年ねん5月がつ10日とおか、259頁ぺーじ。ISBN 4-522-21557-6。