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湿度 - Wikipedia

湿度しつど

大気たいきちゅうふくまれる水蒸気すいじょうきりょう割合わりあい

湿度しつど(しつど、えい: humidity)とは、大気たいきなか水蒸気すいじょうきりょう(いわゆる「しめっぽさ」)をあらわ数値すうちである。様々さまざま定義ていぎがある。

相対そうたい湿度しつどが100%になると結露けつろしょうじる。

気象きしょう予報よほうなどでは、一般いっぱん相対そうたい湿度しつどもちいられる。相対そうたい湿度しつどとは、飽和ほうわ水蒸気すいじょうきりょう水蒸気すいじょうきとして存在そんざい可能かのう最大さいだい水蒸気すいじょうきりょう)にたいする、実際じっさい水蒸気すいじょうきりょう比率ひりつである。なお、飽和ほうわ水蒸気すいじょうきりょう温度おんどごとにことなり、おな温度おんどのもとでは一定いっていする。

絶対ぜったい湿度しつどabsolute humidity)とは、国際こくさいてきには容積ようせき絶対ぜったい湿度しつどのことである。しかし、日本にっぽんでは空気くうき調和ちょうわ工学こうがく分野ぶんやでは重量じゅうりょう絶対ぜったい湿度しつど混合こんごう)が「絶対ぜったい湿度しつど」とばれる。

分類ぶんるい

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容積ようせき絶対ぜったい湿度しつど

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容積ようせき絶対ぜったい湿度しつど英語えいご: volumetric humidity略称りゃくしょう: VH)とは、大気たいき容積ようせきあたりの水蒸気すいじょうき質量しつりょうである。単位たんいグラムまい立方りっぽうメートル(g/m3)がもちいられる。

容積ようせき Va空気くうきちゅうふくまれる水蒸気すいじょうき質量しつりょうmw とすると、容積ようせき絶対ぜったい湿度しつど ρろーw

 

あらわされる。水蒸気すいじょうき理想りそう気体きたいとみなして近似きんじすれば、気温きおんθしーた水蒸気すいじょうきぶんあつe として

 

近似きんじされる[1]。これは、飽和ほうわ水蒸気すいじょうきりょう相対そうたい湿度しつどをかけたひとしい。

相対そうたい湿度しつど

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相対そうたい湿度しつど英語えいご: relative humidity略称りゃくしょう: RH)とは、ある気温きおんにおける飽和ほうわ水蒸気すいじょうきあつたいする実際じっさい空気くうき水蒸気すいじょうきぶんあつである。一般いっぱん百分率ひゃくぶんりつパーセント、%)であらわされる。

空気くうき水蒸気すいじょうきぶんあつe気温きおん θしーた における飽和ほうわ水蒸気すいじょうきあつes(θしーた) とすると、相対そうたい湿度しつど φふぁい

 

あらわされる[1][2]水蒸気すいじょうき理想りそう気体きたいとみなして近似きんじすれば、水蒸気すいじょうきぶんあつ水蒸気すいじょうきりょう比例ひれいする。空気くうきちゅうふくまれる水蒸気すいじょうきりょうρろーw気温きおん θしーた空気くうきふくむことのできる最大さいだい水蒸気すいじょうきりょう飽和ほうわ水蒸気すいじょうきりょう)を ρろーw,s(θしーた) とすれば

 

近似きんじされる[1]

分母ぶんぼ飽和ほうわ水蒸気すいじょうきりょうは、気温きおんたかくなるほどおおきくなり、1あたりの増加ぞうかりょう拡大かくだいする。このため、相対そうたい湿度しつどおなじでも、気温きおんたかいほど空気くうきちゅう実際じっさい水蒸気すいじょうきりょうおおい。また、気温きおんがると分母ぶんぼちいさくなるので、相対そうたい湿度しつど上昇じょうしょうする。相対そうたい湿度しつどが100%になると空気くうきちゅう水蒸気すいじょうき飽和ほうわし、それ以上いじょう水蒸気すいじょうき凝集ぎょうしゅうして液体えきたいとなって結露けつろしょうじる。このときの温度おんど露点ろてん温度おんどという。

臨界りんかい相対そうたい湿度しつど

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尿素にょうそクエン酸くえんさんなどの水溶すいようせい物質ぶっしつではてい湿度しつどではまった吸湿きゅうしつこらず、ある相対そうたい湿度しつど以上いじょう急激きゅうげき吸湿きゅうしつりょう増大ぞうだいする場合ばあいがある。このような変化へんかこる相対そうたい湿度しつど臨界りんかい相対そうたい湿度しつど (critical relative humidity、CRH) とぶ。臨界りんかい相対そうたい湿度しつど飽和ほうわ水溶液すいようえき蒸気じょうきあつ空気くうきちゅう蒸気じょうきあつひとしいてんである。したがって、臨界りんかい相対そうたい湿度しつど以上いじょう相対そうたい湿度しつどでは固体こたい完全かんぜん溶解ようかいされ、さらに希釈きしゃくされてその溶液ようえき蒸気じょうきあつ空気くうきちゅう蒸気じょうきあつひとしくなるまで吸湿きゅうしつ進行しんこうする。一般いっぱん臨界りんかい相対そうたい湿度しつどたかいものは吸湿きゅうしつしにくく、ひくいものは吸湿きゅうしつしやすい。

混合こんごうぶつ臨界りんかい相対そうたい湿度しつどかく成分せいぶん臨界りんかい相対そうたい湿度しつどよりひくく、混合こんごうぶつABの臨界りんかい相対そうたい湿度しつど CRHABは、かく成分せいぶんA、Bそれぞれの臨界りんかい相対そうたい湿度しつど CRHA、CRHBせき近似きんじすることができる。

CRHAB = CRHA × CRHB

これはエルダーの仮説かせつ (Elder's hypothesis) とわれ、この場合ばあい、A、Bりょう成分せいぶん飽和ほうわ水溶液すいようえき蒸気じょうきあつ臨界りんかい相対そうたい湿度しつど対応たいおうする。

重量じゅうりょう絶対ぜったい湿度しつど

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1気圧きあつにおける重量じゅうりょう絶対ぜったい湿度しつどのグラフ。よこじく気温きおんたてじくかわ空気くうき1kgあたりの水分すいぶんりょう(g/kg(DA))。相対そうたい湿度しつど100%ときと50%についてしめす。

重量じゅうりょう絶対ぜったい湿度しつど、あるいは混合こんごう英語えいご: mixing ratio, humidity ratio)とは、乾燥かんそう空気くうきdry air)の質量しつりょうたいする水蒸気すいじょうき質量しつりょうである。単位たんいには kg/kg(DA) がもちいられる(DA は dry air意味いみする)。水蒸気すいじょうきふく混合こんごう空気くうき湿潤しつじゅん空気くうき湿しめ空気くうき)という。湿潤しつじゅん空気くうきから水蒸気すいじょうきのぞいた空気くうき成分せいぶん乾燥かんそう空気くうきである。空気くうき調和ちょうわ工学こうがくにおいては、湿しめ空気くうきせんなどで一般いっぱんてきもちいられる。

水蒸気すいじょうきりょうρろーw乾燥かんそう空気くうき密度みつどρろーDA とすると、重量じゅうりょう絶対ぜったい湿度しつど x

 

あらわされる[2]水蒸気すいじょうき乾燥かんそう空気くうきをそれぞれ理想りそう気体きたいとみなして近似きんじすれば、水蒸気すいじょうきぶんあつe空気くうき圧力あつりょくP とすれば

 

近似きんじされる[1][2][3]

湿しめ英語えいご: specific humidity)とは、湿潤しつじゅん空気くうき質量しつりょうたいする水蒸気すいじょうき質量しつりょうである。

水蒸気すいじょうきりょう 乾燥かんそう空気くうき密度みつど  とすると、湿しめ s

 

あらわされる[2]水蒸気すいじょうき乾燥かんそう空気くうきをそれぞれ理想りそう気体きたいとみなして近似きんじすれば、水蒸気すいじょうきあつe空気くうき圧力あつりょくP とすれば

 

近似きんじされる[2][3]

その湿度しつど表現ひょうげん

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あらわねつ
湿しめ空気くうき状態じょうたい変化へんかで、ぜん熱量ねつりょう変化へんかたいするあらわねつりょう変化へんかぶん割合わりあいう。

湿度しつど変化へんか

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地球ちきゅうじょう各地かくちにおける湿度しつどは、各地かくち降水こうすいりょう気温きおんおおきな影響えいきょうける。降水こうすいりょうおお地域ちいき湿度しつどたかく、気温きおん低下ていか飽和ほうわ水蒸気すいじょうきりょう低下ていかにつながるので絶対ぜったい湿度しつどがる。また、湿度しつどぶしによってもおおきく変化へんかし、雨季うきにはたかくなり、乾季かんきにはひくくなる。

日本にっぽんでは一般いっぱん夏季かき湿度しつどたかく、冬季とうき湿度しつどがるため、材木ざいもくなどの含水りょう低下ていか冬季とうき火事かじおおい。これは、なつ湿しめふゆいぬいである温帯おんたい湿潤しつじゅん気候きこう温帯おんたいなつ気候きこうひやたい湿潤しつじゅん気候きこう地域ちいきなどでも同様どうようである。一方いっぽうなついぬいふゆ湿しめである地中海ちちゅうかいせい気候きこう地域ちいきでは、冬季とうき湿度しつどがり、夏季かき湿度しつどひくくなってやま火事かじ多発たはつする。乾燥かんそうによる火災かさい目安めやすとして、実効じっこう湿度しつどという指標しひょうもちいられる。乾燥かんそう注意報ちゅういほう基準きじゅんには、相対そうたい湿度しつど最小さいしょうである最小さいしょう湿度しつどと、実効じっこう湿度しつどもちいられる。いちにち変化へんかは、ほぼ気温きおん依存いぞんし、昼間ひるま低下ていかし、夜間やかん気温きおんがるにつれて湿度しつどがる。気温きおん低下ていかする夜間やかん夜露よつゆしょうじたり、早朝そうちょうきりのぼるとえるのは、このためである。

気象きしょう観測かんそくじょう、1にちのうちもっとひくかった湿度しつど最小さいしょう湿度しつどとして記録きろくし、統計とうけいをとっていて、最低さいてい1971ねん1がつ19にち鹿児島かごしまけん屋久島やくしま[4][5]2005ねん4がつ9にち岐阜ぎふけん高山市たかやまし[6]0%が記録きろくされている。一方いっぽう最大さいだい湿度しつどは100%にちかになることがめずらしくなく、統計とうけいられていない[7]

また、都市としにより、湿度しつど長期ちょうきてき低下ていかする傾向けいこうがある。東京とうきょう大手町おおてまち)では、20世紀せいきあいだとし平均へいきん相対そうたい湿度しつどが20%程度ていど低下ていかした[7]土壌どじょうなどの吸湿きゅうしつせいのある地表ちひょうすくなくなった影響えいきょうとみられている。

湿度しつど影響えいきょう

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生物せいぶつ成分せいぶんだい部分ぶぶんみずであるから、湿度しつどはそのからだ活動かつどうおおきな影響えいきょうあたえる。ヒトにたいしては、乾燥かんそうくちびるのひびれや乾燥かんそうはだなどをこす原因げんいんとなる。

また、体感たいかん温度おんどなどの感覚かんかくてき温度おんどにも湿度しつど大小だいしょう影響えいきょうする。一般いっぱんてきに、湿度しつどたかいほどあたたかくかんじられ、その(体感たいかん温度おんどたいする湿度しつど大小だいしょうの)影響えいきょう気温きおんたかいほどおおきくなる。そのため、不快指数ふかいしすう温度おんど湿度しつど勘案かんあんして計算けいさんされる。また空気くうき調和ちょうわ設備せつびでは湿度しつど制御せいぎょ対象たいしょうであり、湿度しつど観測かんそくおこない、加湿かしつじょ湿しめなどをもちいて制御せいぎょおこなう。また、住宅じゅうたくなどを中心ちゅうしんに、加湿かしつじょ湿しめうつわ単独たんどくもちいることがある。たか湿度しつど環境かんきょうけるために、じょ湿しめ乾燥かんそうざいなどの部分ぶぶんてきじょ湿しめ装置そうち日常にちじょう生活せいかつ使用しようされることがあるほか、工業こうぎょうよう科学かがく実験じっけん研究けんきゅうようデシケーター)など、ひろ用途ようともちいられている。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c d 田中たなか 建築けんちく環境かんきょう工学こうがく、pp. 245–246
  2. ^ a b c d e 気象きしょうがく概説がいせつ学芸がくげいだい講義こうぎノート
  3. ^ a b 里村さとむら 雄彦たけひこ (2012ねん4がつ). “だい3しょう 大気たいき状態じょうたい方程式ほうていしきしょりょう” (PDF). https://ocw.kyoto-u.ac.jp/course/973/. 物理ぶつり気候きこうがく 講義こうぎノ-ト. 京都大学きょうとだいがくオープンコースウェア(OCW). 2015ねん10がつ12にち閲覧えつらん
  4. ^ にち最小さいしょう相対そうたい湿度しつど項目こうもく屋久島やくしま 気象庁きしょうちょう過去かこ気象きしょうデータ検索けんさく
  5. ^ 当時とうじ屋久島やくしま測候所そっこうじょしま北端ほくたんにあった
  6. ^ にち最小さいしょう相対そうたい湿度しつど項目こうもく高山たかやま 気象庁きしょうちょう過去かこ気象きしょうデータ検索けんさく
  7. ^ a b 相対そうたい湿度しつど月別つきべつ平年へいねん 理科りか年表ねんぴょう国立こくりつ天文台てんもんだい

出典しゅってん

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  • 温度おんどけい湿度しつどけい観測かんそく原理げんり 気象庁きしょうちょう
  • 湿度しつどについて勉強べんきょうしよう さんけいそう株式会社かぶしきがいしゃ
  • 神栄しんえい株式会社かぶしきがいしゃ電子でんし機器きき
  • 田中たなか俊六しゅんろく 最新さいしん 建築けんちく環境かんきょう工学こうがく』(改訂かいてい4はん井上いのうえ書院しょいん、2014ねんISBN 978-4-7530-1757-7 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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