カール・フォン・リンネ

カール・フォン・リンネ（Carl von Linné スウェーデン語ご発音はつおん: [ˈkɑːɭ ˈfɔnː lɪˈneː] ( 音声おんせいファイル)、1707年ねん5月23日にち - 1778年ねん1月がつ10日とおか）は、スウェーデンの博物はくぶつ学者がくしゃ、生物せいぶつ学者がくしゃ、植物しょくぶつ学者がくしゃ。カール・フォン・リネー、ラテン語らてんご名なのカロルス・リンナエウス（Carolus Linnaeus）、同名どうめいの息子むすこと区別くべつするために大だいリンネとも。「分類ぶんるい学がくの父ちち」と称しょうされる。

カール・フォン・リンネ
カール・フォン・リンネ （アレクサンダー・ロスリン画が、1775年ねん）
生誕せいたん	Carl Nilsson Linnæus 1707年ねん5月23日にち スウェーデン・バルト帝国ていこく、スモーランド、ステンブルーフルト
死没しぼつ	(1778-01-10) 1778年ねん1月がつ10日とおか（70歳さい没ぼつ） スウェーデン・バルト帝国ていこく、ウプサラ
国籍こくせき	スウェーデン・バルト帝国ていこく
研究けんきゅう分野ぶんや	博物学はくぶつがく、生物せいぶつ学がく、植物しょくぶつ学がく
出身しゅっしん校こう	ルンド大学だいがく、ウプサラ大学だいがく
主おもな業績ぎょうせき	生物せいぶつ分類ぶんるいの体系たいけい化か、学名がくめいの体系たいけい化か
影響えいきょうを 受うけた人物じんぶつ	ギャスパール・ボアン
影響えいきょうを 与あたえた人物じんぶつ	カール・フォン・リンネ (子こ)、カール・ツンベルク
主おもな受賞じゅしょう歴れき	叙爵じょしゃく
命名めいめい者しゃ名めい略りゃく表記ひょうき （植物しょくぶつ学がく）	L.
署名しょめい
プロジェクト:人物じんぶつ伝でん

生涯しょうがい

幼少ようしょう期きからオランダ留学りゅうがくまで

カール・フォン・リンネ（1735-1740頃ごろ）

リンネソウをもつリンネ

スウェーデン南部なんぶのスモーランド (Småland) のステンブルーフルトにニルス・インゲマション (Nils Ingemarsson) の子ことして生うまれた。幼少ようしょう期きから花はなが大好だいすきで、8歳さいの頃ころには「小ちいさな博物はくぶつ学者がくしゃ」と呼よばれていた。若わかい頃ころには、父親ちちおやや母方ははかたの祖父そふと同様どうように聖職せいしょく者しゃとなる予定よていであったが、入学にゅうがくしたギムナジウムでは神学しんがくなど聖職せいしょく者しゃ系けいの教科きょうかに興味きょうみを持もたなかった。その一方いっぽうで彼かれは町まちの内科ないか医いから教おしえられた植物しょくぶつ学がくに興味きょうみを持もち、1727年ねんには医学いがくを学まなぶためにルンド大学だいがくへ入はいった。1年ねん後ご、さらに医学いがくや自然しぜん科学かがくを学まなぶためにウプサラ大学だいがく（ウップサーラ大学だいがく）へと移うつった。

この間あいだに、リンネは植物しょくぶつの分類ぶんるいの基礎きそが花はなの雄蕊おしべと雌蕊めしべにあると確信かくしんするようになり、短みじかい論文ろんぶんを書かいて助教授じょきょうじゅとなった。

1732年ねんに、ウプサラ（ウップサーラ）の科学かがくアカデミーは彼かれの、当時とうじは未知みちであったラップランド探検たんけんのために融資ゆうしをした。 この結果けっかが1737年ねんにFlora Lapponica 『ラップランド植物しょくぶつ誌し』として発行はっこうされた。

1735年ねん、学位がくいを取得しゅとくするためにオランダへと向むかい、ハルデルウェイクで医学いがく博士はかせ号ごうを授与じゅよされる。その後ご、ライデンでヤン・フレデリック・グロノヴィウス (Jan Frederik Gronovius) に会あい、分類ぶんるい学がくにおける彼かれの研究けんきゅうの草稿そうこうを見みせた。それを見みたグロノヴィウスは感銘かんめいを受うけ、印刷いんさつ費ひの援助えんじょを申もうし出でた。さらにスコットランドの医師いしアイザック・ローソン (Isaac Lawson) が追加ついかで資金しきんを提供ていきょうし、1735年ねん6月がつ、Systema Naturae 『自然しぜんの体系たいけい』の初版しょはんを出版しゅっぱんした。ライデンでは高名こうみょうな医師いしであるヘルマン・ブールハーフェとも親交しんこうを結むすんでいる。その後ご、同年どうねん8月がつに銀行ぎんこう家かで博物学はくぶつがく好すきのジョージ・クリフォード3世せいに出会であい、ヘームステーデのハルテカンプ邸ていにある彼かれの植物しょくぶつ園えんの研究けんきゅうを依頼いらいされた。この結果けっかは1737年ねんと1738年ねんに、『クリフォード氏し庭園ていえん誌し』ならびに『クリフォード氏し植物しょくぶつ園えん誌し』として出版しゅっぱんされている。またこの時期じき、1736年ねんにはイギリスを訪おとずれ、オックスフォードやチェルシーを回まわっている。

1737年ねんにはライデンで Genera Plantarum 『植物しょくぶつ属ぞく誌し』を著あらわした。北半球きたはんきゅうの亜あ高山こうざん帯たい・高山たかやま帯たいに生はえるスイカズラ科かの常緑じょうりょく低木ていぼくリンネソウ（Linnaea borealis L.）は、ヤン・フレデリック・グロヴィウスがこの植物しょくぶつを愛好あいこうしていたリンネにちなみ命名めいめいしこの『植物しょくぶつ属ぞく誌し』で公表こうひょうした。のちにリンネも1753年ねんの『植物しょくぶつ種しゅ誌し』でこれを採用さいようし学名がくめいとした。

ウプサラ大学だいがく教授きょうじゅ

リンネは1738年ねんにライデンを出発しゅっぱつし、パリに立たち寄よって多おおくの学者がくしゃと交流こうりゅうしたのち、スウェーデンへと帰国きこくしてストックホルムで開業医かいぎょういとなった。病院びょういんは順調じゅんちょうで多おおくの患者かんじゃが押おし寄よせるようになり、まもなくスウェーデン海軍かいぐんの軍医ぐんいを兼任けんにんするようになった。またこの時期じきにカール・グスタフ・テッシンをはじめとする多おおくの有力ゆうりょく者しゃと知しり合あいになり、彼かれらの推挙すいきょで1739年ねんにはスウェーデン王立おうりつ科学かがくアカデミーの初代しょだい総裁そうさいに就任しゅうにんしている。

1741年ねんに、リンネは医師いしの娘むすめ、サラ・モレア（Sara Elisabeth Moraea）と結婚けっこんした。同年どうねん、ウプサラ大学だいがくの医学いがく教授きょうじゅに就任しゅうにんした。当時とうじウプサラ大学だいがくにはもう1人ひとり、ニルス・ローゼン・フォン・ローゼンシュタイン（ニルス・ルセーン）も医学いがく教授きょうじゅとなっていたが、両者りょうしゃの間あいだで担当たんとう科目かもくの論争ろんそうがあり、結局けっきょく翌よく1742年ねんの初はじめにリンネが植物しょくぶつ学がくや薬物やくぶつ学がく、ローゼン（ルセーン）が臨床りんしょう医学いがくや解剖かいぼう学がく、生理学せいりがくを担当たんとうすることで決着けっちゃくした。これによりリンネは大学だいがく付属ふぞくの植物しょくぶつ園えんの管理かんりも担当たんとうすることとなり、彼かれはその維持いじと拡充かくじゅうに意いを注そそいだ。リンネは植物しょくぶつ園えんの中なかにある園長えんちょう公邸こうていにその死しまで居住きょじゅうし、公邸こうていと植物しょくぶつ園えんはリンネ庭園ていえんとして現存げんそんしている。

リンネは植物しょくぶつだけではなく、動物どうぶつに分野ぶんやを拡ひろげて分類ぶんるいを研究けんきゅうし続つづけた。鉱物こうぶつについても研究けんきゅうした。現代げんだいでは鉱物こうぶつを生物せいぶつと同列どうれつに扱あつかうことはないが、当時とうじの博物学はくぶつがくでは自然しぜんに存在そんざいするものを植物しょくぶつ・動物どうぶつ・鉱物こうぶつに分わけており、リンネはこれらを植物しょくぶつ界かい・動物界どうぶつかい・鉱物こうぶつ界さかいの三界さんがいに分類ぶんるいした。

1752年ねん、乳母うばの弊害へいがいに関かんする論文ろんぶん（Linnaeus, Carolus (1752). “Nutrix noverca”. Les chef-d'oeuvredse Monsieurd e Sauvages 2: 215-244. ）を執筆しっぴつし、雌めすの生殖せいしょくについて「母親ははおやになること」が自然しぜんであり、乳母うばは自然しぜんの法則ほうそくに反はんするとして、乳母うばの習慣しゅうかんへ反対はんたい運動うんどうを行おこなった。

1753年ねんにSpecies Plantarum『植物しょくぶつ種しゅ誌し（植物しょくぶつの種たね）』を出版しゅっぱんした。植物しょくぶつの学名がくめいは現在げんざいでもここが起点きてんとされる。リンネは『植物しょくぶつ種しゅ誌し』において植物しょくぶつ界かいを「綱つな」・「目め」・「属ぞく」・「種たね（および変種へんしゅ）」の4つの階級かいきゅうを用もちいて組織そしき化かした。またここで、属ぞく名めいの後のちに一いち語ごからなる "trivial name" (nomen triviale) をつなげて二に語ご名めいからなる学名がくめいを厳格げんかくに用もちいることを体系たいけいづけた。リンネは当時とうじ、多おおくの分類ぶんるい法ほうに使用しようされていた扱あつかいにくい記述きじゅつ法ほう（多た名な法ほう） 、例たとえば "Physalis annua ramosissima, ramis angulosis glabris, foliis dentato-serratis" のような冗長じょうちょうな名前なまえを好このまず、"Physalis angulata"（ヒロハフウリンホオズキ）のように簡潔かんけつで、現在げんざい身近みぢかな種たね名めいに変かえた。なお、二に語ご名めい自体じたいはリンネの1737年ねんの著作ちょさく、 Critica Botanica にてすでに現あらわれている。また、リンネが二に名めい法ほうを用もちいる約やく100年ねん前まえに、ギャスパール・ボアンは、兄あにジャン・ボアンの記述きじゅつをもとに Pinax theatri botanici 『ピナクス』 (1620)を著あらわしたが、ここではラテン語らてんごでの長ながい記述きじゅつを削けずり、2単語たんごで記述きじゅつすることが多おおかった。ボアンによって集大成しゅうたいせいされた植物しょくぶつの種たねについての情報じょうほうと相違そうい点てんを羅列られつした簡素かんそな記載きさいによる情報処理じょうほうしょりが、リンネの『植物しょくぶつ種しゅ誌し』に与あたえた影響えいきょうは少すくなくないと考かんがえられている。イギリスのジョン・レイ (1627-1705)も体系たいけい的てきには用もちいていないながらも、二に名めい法ほうを用もちいたと言いわれている。

スウェーデンのアドルフ・フレドリク王おうは1757年ねんにリンネを貴族きぞくに叙じょし、枢密院すうみついんが叙爵じょしゃくを確認かくにんした後のちにリンネは姓せいのフォン・リンネを得え、後のちにしばしばカール・リンネとサインした（出身しゅっしん地ちにちなんでカロルス・リンネウス・スモランデル (Carolus Linnaeus Smolander) とも署名しょめいしている）。この姓せいは、彼かれの父ちちがルンド大学だいがくの大学だいがく入学にゅうがく許可きょかのときに牧師ぼくしに相応ふさわしいラテン語らてんごの姓せいリンネを採用さいようしたのである。これはスモーランドの Stegaryd に生はえていた大おおきなフユボダイジュ Tilia cordata（スウェーデン語ご: Lind）からとったものである。また、彼かれの親戚しんせきは同おなじくフユボダイジュのラテン語らてんご名めいにちなむティランデル (Tiliander)、リンデリウス (Lindelius) という姓せいを名乗なのった。当時とうじのスウェーデン人じんの多おおくは姓せいを持もたず、父ちち称しょうを用もちいていた。リンネの祖父そふはインゲマル・ベングトソン（Ingemar Bengtsson 「ベングトの子こ」）と名乗なのり、同おなじく父ちちはインゲマション、つまり「インゲマルの子こ」と名乗なのっていたわけである。

1758年ねんには『自然しぜんの体系たいけい』の第だい10版はんを著あらわした。これはのちに『国際こくさい動物どうぶつ命名めいめい規約きやく』において、1758年ねん1月がつ1日にちに出版しゅっぱんされたとみなし、動物どうぶつ命名めいめい法ほうの起点きてんの日付ひづけとして用もちいる。リンネは1735年ねんの『自然しぜんの体系たいけい』初版しょはんでは哺乳類ほにゅうるいを「四足しそく綱つな Quadrupedia」としていたが、ヒトを四足しそく動物どうぶつに入いれたことで自然しぜん主義しゅぎ者ものたちから批判ひはんを受うけた。リンネはこれを受うけて「ヒトがもともと四よつん這ばいで歩あるいていなかったとしても、女性じょせいから生うまれるヒトは母乳ぼにゅうで成長せいちょうすることは認みとめざるを得えないだろう」と、第だい10版はんでは雌めすの乳房ちぶさ (female mammae)をその象徴しょうちょうとして、「乳房ちぶさの mammae」に由来ゆらいする「哺乳類ほにゅうるい Mammalia」とした。今日きょうでは、哺乳類ほにゅうるいの定義ていぎを乳腺にゅうせん（mammary gland）を持もつこととし、これは乳汁にゅうじゅうを分泌ぶんぴつしない雄ゆうや乳頭にゅうとうを持もたない単たん孔あな類るいにもうまく当あてはまる。

リンネの講義こうぎは人気にんきがあり、多おおくの聴講ちょうこう者しゃを呼よび寄よせた。また彼かれは、その業績ぎょうせきと外向がいこう的てき性格せいかく、面倒めんどう見みの良よさから多おおくの弟子でしに慕したわれた。リンネは弟子でしたちに世界せかい各地かくちでの博物はくぶつ標本ひょうほんの収集しゅうしゅうを依頼いらいし、これに応こたえて多おおくの弟子でしが世界中せかいじゅうで生物せいぶつ収集しゅうしゅうに従事じゅうじし膨大ぼうだいな標本ひょうほんを師しの元もとへと送おくった。彼かれらはリンネの使徒しとたちと呼よばれ、北きたアメリカへ向むかったペール・カルム、西にしアフリカのアーダム・アフセリウス、ケープ植民しょくみん地ちと日本にっぽんでの収集しゅうしゅうを行おこなったカール・ツンベルク、広東かんとんに向むかったペール・オスベックやオーロフ・トレーン、ジェームズ・クックの第だい2回かい航海こうかいに参加さんかし南太平洋みなみたいへいようを回まわったアンデシュ・スパルマン、ロシアで収集しゅうしゅうを行おこなったヨハン・ペーテル・ファルク、北きたアフリカに向むかったヨーラン・ロートマンなどが知しられている。こうした採集さいしゅう旅行りょこうはしばしば探検たんけんとなり、過酷かこくなものとなることも多おおく、なかには南みなみアメリカに向むかったペール・レーフリングやエジプトからイエメンに向むかったペール・フォッスコールのように、採集さいしゅう行ぎょうの途中とちゅうで命いのちを落おとすものもいた。

1778年ねんに死去しきょ。リンネの仕事しごとは息子むすこのカールに引ひき継つがれたが、カールはリンネの死しからわずか5年ねん後ごに急逝きゅうせいし、リンネの高弟こうていであったカール・ツンベルクがその後ごを引ひき継ついだ。

主おもな業績ぎょうせき

1735年ねんに出版しゅっぱんした『自然しぜんの体系たいけい』（Systema Naturae）

以下いかのような功績こうせきにより、「分類ぶんるい学がくの父ちち」と称しょうされる。

• それまでに知しられていた動植物どうしょくぶつについての情報じょうほうを整理せいりして分類ぶんるい表ひょうを作つくり、その著作ちょさく『自然しぜんの体系たいけい』（Systema Naturae、1735年ねん）において、生物せいぶつ分類ぶんるいを体系たいけい化かした。その際さい、それぞれの種たねの特徴とくちょうを記述きじゅつし、類似るいじする生物せいぶつとの相違そうい点てんを記しるした。これにより、近代きんだい的てき分類ぶんるい学がくがはじめて創始そうしされた。
• 生物せいぶつの学名がくめいを、属ぞく名めいと種たね小名しょうみょう（種たね形容けいよう語ご）の2語ごのラテン語らてんごで表あらわす二に名めい法ほう（または二に命名めいめい法ほう）を体系たいけいづけた。ラテン語らてんごは「西洋せいようの漢文かんぶん」であり、生物せいぶつの学名がくめいを2語ごのラテン語らてんごに制限せいげんすることで、学名がくめいが体系たいけい化かされるとともに、その記述きじゅつが簡潔かんけつになった。現在げんざいの生物せいぶつの学名がくめいは、リンネの分類ぶんるい体系たいけいをもとに、分類ぶんるい群ぐんによって国際こくさい動物どうぶつ命名めいめい規約きやく・国際こくさい藻類そうるい・菌類きんるい・植物しょくぶつ命名めいめい規約きやく・国際こくさい細菌さいきん命名めいめい規約きやくに基もとづいて決定けっていされている。
• 分類ぶんるいの基本きほん単位たんいである種しゅのほかに、綱つな、目め、属ぞくという上位じょういの分類ぶんるい階級かいきゅうを設もうけ、それらを階層かいそう的てきに位置いちづけた。後世こうせいの分類ぶんるい学者がくしゃたちがこの分類ぶんるい階級かいきゅうをさらに発展はってんさせ、現代げんだい行おこなわれているような精緻せいちな階層かいそう構造こうぞうを作つくり上あげた。これは現在げんざいでも「リンネ式しき階層かいそう分類ぶんるい体系たいけい」として広ひろく用もちいられている。
• カール・フォン・リンネの発案はつあんにより、火星かせいを表あらわす惑星わくせい記号きごうの「♂」を生物せいぶつ学がくで雄ゆう（オス）を表あらわす記号きごうとして使つかい始はじめた。

後世こうせいの言及げんきゅう

• 「分類ぶんるい学がく Taxonomy」という言葉ことばを作つくったオーギュスタン・ピラミュ・ドゥ・カンドールはリンネの分類ぶんるいを自然しぜん分類ぶんるいではなく人為じんい分類ぶんるいと評ひょうしたが、リンネは生殖せいしょくこそが植物しょくぶつにとって元もとも重要じゅうようであり、生殖せいしょく形質けいしつに基もとづく分類ぶんるいこそが自然しぜん分類ぶんるいであると考かんがえていた。
• 学名がくめいの著者ちょしゃ名めいとして、動物どうぶつでは省略しょうりゃくしないため、Linnaeusを用もちいる。植物しょくぶつではL.（またはLinn.）と略記りゃっきする。一文字ひともじのみの略記りゃっきを用もちいることができるのはリンネのみである。なお、息子むすこの小しょうリンネはふつうL.f.、またはL.fil.と略記りゃっきされる。
• 2015年ねんまで流通りゅうつうしていた旧きゅうスウェーデン100クローナ紙幣しへいにその肖像しょうぞうを見みることができる。
• 硫化りゅうか鉱物こうぶつのリンネ鉱こう（Linnaeite、Co⁺²Co⁺³₂S₄）は1845年ねんにスウェーデンのバストネス鉱山こうざん (Bastnäs Mines) で発見はっけんされ、リンネの鉱物こうぶつ学がくへの貢献こうけんを称となえて命名めいめいされた。
• ジャン・ジャック・ルソーはリンネについて「地球ちきゅう上じょうで彼かれほど偉大いだいな人物じんぶつを私わたしは知しらない」と記しるしている。
• リンネの膨大ぼうだいな標本ひょうほんや資料しりょうは、死後しご6年ねん経たった1784年ねんにリンネ未亡人みぼうじんのサラからイギリスの植物しょくぶつ学者がくしゃジェームズ・エドワード・スミスへと売却ばいきゃくされた。スミスは1788年ねんにロンドン・リンネ協会きょうかいを設立せつりつしたのちも個人こじんでこのコレクションを保有ほゆうしていたが、スミス死後しごの1828年ねんに協会きょうかいへと売却ばいきゃくされ、その後ごはロンドン・リンネ協会きょうかいにて保管ほかんされている。
• リンネが管理かんりしていたウプサラ大学だいがくの植物しょくぶつ園えん及および園長えんちょう公邸こうていはリンネ庭園ていえんとして現存げんそんしている。また、1758年ねんに購入こうにゅうし夏なつをすごしたハンマルビーの別荘べっそうは1880年ねんにスウェーデン政府せいふが買かい上あげ、記念きねん館かんとして公開こうかいされている。

参考さんこう文献ぶんけん

• カール・フォン・リンネ 著ちょ、ヴォルフ・レペニース、ラルス・グスタフソン 編へん『神罰しんばつ』小川おがわさくえ（訳わけ）、法政大学ほうせいだいがく出版しゅっぱん局きょく〈叢書そうしょウニベルシタス〉、1995年ねん3月がつ。ISBN 4-5880-0472-7。 
• 図録ずろく『リンネと博物学はくぶつがく 自然しぜん誌し科学かがくの源流げんりゅう』 千葉ちば県立けんりつ中央ちゅうおう博物館はくぶつかん、平成へいせい6年ねん（1994年ねん）特別とくべつ展てん
• ハインツ・ゲールケ『リンネ 医師いし・自然しぜん研究けんきゅう者しゃ・体系たいけい家か』梶田かじた昭あきら（訳わけ）、博品社はくひんしゃ、1994年ねん2月がつ。ISBN 4-9387-0611-3。 
• 西村にしむら三郎さぶろう『リンネとその使徒しとたち 探検たんけん博物学はくぶつがくの夜明よあけ』人文書院じんぶんしょいん、1989年ねん5月がつ。ISBN 4-409-51020-7。 
  • 第だい16回かい大佛だいぶつ次郎じろう賞しょう（1989年度ねんど）
• 西村にしむら三郎さぶろう『リンネとその使徒しとたち 探検たんけん博物学はくぶつがくの夜明よあけ』朝日新聞社あさひしんぶんしゃ〈朝日あさひ選書せんしょ〉、1997年ねん11月。ISBN 4-02-259688-0。 
• 松永まつなが俊男としお『博物学はくぶつがくの欲望よくぼう リンネと時代じだい精神せいしん』講談社こうだんしゃ〈講談社こうだんしゃ現代新書げんだいしんしょ〉、1992年ねん8月がつ。ISBN 4-0614-9110-5。 
• 巌いわお佐さ庸いさお、倉谷くらたに滋しげる、斎藤さいとう成しげる也、塚谷つかたに裕一ひろいち『岩波いわなみ生物せいぶつ学がく辞典じてん 第だい5版はん』岩波書店いわなみしょてん、2013年ねん2月がつ26日にち。ISBN 9784000803144。 
• 大場おおば秀章ひであき『植物しょくぶつ分類ぶんるい表ひょう』アボック社しゃ、2009年ねん11月20日にち。ISBN 978-4900358614。 
• 動物どうぶつ命名めいめい法ほう国際こくさい審議しんぎ会かい 著ちょ、野田のだ泰一やすいち・西川にしかわ輝昭てるあき 編へん『国際こくさい動物どうぶつ命名めいめい規約きやく 第だい４版はん 日本語にほんご版ばん ［追つい補ほ］』日本にっぽん分類ぶんるい学会がっかい連合れんごう、東京とうきょう、2005年ねん10月がつ。ISBN 4-9980895-1-X。http://ujssb.org/iczn/index.html。 
• 馬渡まわたり峻たかし輔 著しる、岩いわ槻けやき邦男くにお、馬渡まわたり峻たかし輔 編へん『生物せいぶつの種たね多様たよう性せい』裳も華はな房ぼう〈バイオディバーシティ・シリーズ〉、1996年ねん8月がつ10日とおか、12-52頁ぺーじ。ISBN 4785358246。 
• チャールズ・フィリップス『ナショナルジオグラフィック 世界せかいの国くに スウェーデン』ほるぷ出版しゅっぱん、2010年ねん。ISBN 978-4-593-58564-9。 

関連かんれん項目こうもく

• アレクサンダー・フォン・フンボルト
• 学名がくめい
• 『自然しぜんの体系たいけい』（英語えいご）
  • 同どう 第だい10版はん（英語えいご）
  • 同どう 第だい12版はん（英語えいご）
• 生物せいぶつの分類ぶんるい
• 花はな時計とけい
• リンネ・メダル

外部がいぶリンク

• リンネ祝祭しゅくさい記念きねん2007
• 『リンネ』 - コトバンク
• Linné on line
• Carl Linnaeus
• Carl Linnaeus Collection in Biodiversity Heritage Library
• Species Plantarum『植物しょくぶつ種しゅ誌し』in botanicus.org