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属 (分類学) - Wikipedia

ぞく (分類ぶんるいがく)

分類ぶんるい階級かいきゅう
ぞくめいから転送てんそう

ぞく(ぞく、ラテン語らてんご: genus, pl.:genera)は、生物せいぶつ分類ぶんるいリンネしき階級かいきゅう分類ぶんるいにおける基本きほんてき階級かいきゅうの1つ、および、その階級かいきゅうぞくするタクソンである。ぞくしたたねうえ位置いちする。ぞくしたぞく(subgenus、pl.: subgenera)をもうけることがある。

生物せいぶつはそれぞれに一定いってい特徴とくちょうち、それ以外いがいのものとはある程度ていど明確めいかく区別くべつできるたねという単位たんいからなっている(というのが異論いろんはあるが一応いちおう一般いっぱんてき判断はんだんである)。それらを比較ひかくし、体系たいけいてきにまとめようとするのが分類ぶんるいがくであるが、このとき、基本きほんてきからだ構造こうぞう性質せいしつがほとんど共通きょうつうであり、些細ささい部分ぶぶんでのみ区別くべつできるたねのまとまりをさきかんがえる。これがぞくである。

この場合ばあい、どのような形質けいしつ基本きほんてきであり、どのような形質けいしつ些細ささいであるかはその分類ぶんるいぐんによってことなっており、より自然しぜん分類ぶんるいちかづくようにそれらをえらぶのが分類ぶんるい学者がくしゃ判断はんだんである。たとえば種子しゅし植物しょくぶつであれば、一般いっぱんてきにははな構造こうぞうしべ内部ないぶ構造こうぞう維管たば配置はいちなどは基本きほんてきなものであり、はないろかたちなどはより些末な形質けいしつであるとなされている。つまり植物しょくぶつ全体ぜんたい姿すがたはな構造こうぞうがほぼおなじで、はなおおきさやいろかたちことなっていて、それらにちゅうあいだがたがなければ同属どうぞく別種べっしゅかんがえる。

もっとも、この部分ぶぶん恣意しいせいはいるのを問題もんだいし、できるだけおおくの形質けいしつ抽出ちゅうしゅつ機械きかいてき操作そうさまかせる分岐ぶんき分類ぶんるいがくや、外部がいぶ形態けいたいよりもより直截ちょくせつ系統けいとう関係かんけいあきらかになるとかんがえられる分子ぶんし遺伝いでんがくてき方法ほうほうれられつつある。しかしいずれにせよ形態けいたいてき特徴とくちょう重要じゅうようなものとなされる場合ばあいおおく、あらたな方法ほうほうでそれまでの判断はんだんとはことなった結果けっか場合ばあいには、それらのたね形態けいたいについてあらなおされるのが普通ふつうである。

そもそも「ぞく」と「たね」は、アリストテレス論理ろんりがくはしはっするかたりである。ある特定とくてい事物じぶつ類似るいじによりあつめたものを「たね (species)」としたとき、それをさらに一般いっぱんしたものを「るい (genus)」という。たとえば「動物どうぶつ生物せいぶついちである」とったときは動物どうぶつが「たね」で生物せいぶつが「るい」であり、「昆虫こんちゅう節足動物せっそくどうぶついちである」とうときには昆虫こんちゅうが「たね」で節足動物せっそくどうぶつが「るい」である。

しかし生物せいぶつがくにおいては、世代せだいえてはん永続えいぞくてき同質どうしつ個体こたい集団しゅうだんを「たね」とし、それらをあつめた最初さいしょるいのみを「ぞく」とんでいる。このようなぞく概念がいねん16世紀せいきごろから発達はったつし、アウグスト・クイリヌス・リヴィヌス (1652-1723) とジョゼフ・ピトン・ド・トゥルヌフォール (1656-1708) によって確立かくりつされた。

はじめてカール・フォン・リンネ分類ぶんるいがく日本にっぽん紹介しょうかいした伊藤いとう圭介けいすけ泰西たいせい本草ほんぞうめい疏』(たいせいほんぞうめいそ)においては「るい」とやくされていたが、宇田川うだがわよううえがくけいばら』(しょくがくけいげん)で「ぞく」の訳語やくごがあてられて現在げんざいまでもちいられている。

分類ぶんるいがくじょうあつか

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現在げんざい一般いっぱん使つかわれるめいほうめいほうめいしき命名めいめいほう)においては、生物せいぶつしゅ学名がくめいは2つの部分ぶぶんからなっている。ぞくめいたね小名しょうみょうである。たとえば、ヒト学名がくめい Homo sapiensホモ・サピエンス)は、ヒトが Homo ぞく一種いっしゅであることをあらわしている。ぞくめいイニシャルかなら大文字おおもじあらわされる。すなわち、ある生物せいぶつ新種しんしゅみとめ、それを記録きろくする、つまり新種しんしゅ記載きさいするためには、その生物せいぶつ所属しょぞくするぞく確定かくていしなければならない。現在げんざい分類ぶんるいがくは、基本きほんてきにはしゅあつか単位たんいとしているが、実際じっさいあつかいにおいては、むしろぞくがその単位たんいである。

動物どうぶつ場合ばあいうえからぞくまでの階級かいきゅうかならずそこにふくまれるどれか1つのぞく基準きじゅんとし、そのぞくめい由来ゆらいする名前なまえをつけるが、この基準きじゅんとなるぞくのことをタイプぞくぶ。植物しょくぶつでもぞく名前なまえ使つかって階級かいきゅうめいをつけた場合ばあいには、慣用かんようてきおなもちいることがある。

動物どうぶつ植物しょくぶつあいだではぞくめい(やぞく以外いがい階級かいきゅうめい)が重複じゅうふくすることがこりうる。これは国際こくさい動物どうぶつ命名めいめい規約きやく国際こくさい藻類そうるい菌類きんるい植物しょくぶつ命名めいめい規約きやく両方りょうほう推奨すいしょうとされているのだが、しかし両方りょうほう使つかわれている名前なまえすうせんえる。たとえば、Anuraキク植物しょくぶつぞくめいと、カエル階級かいきゅうめいとして使つかわれている。Aotus は "golden peas"(マメ)とヨザルぞくめいとして、Oenantheセリサバクヒタキぞくめいとして、Prunellaイワヒバリウツボグサぞくめいとして使つかわれている。

動物どうぶつがく植物しょくぶつがく内部ないぶぞくめい重複じゅうふくすることはゆるされない。このため、たとえばカモノハシ (platypus) のぞくめいOrnithorhynchusとされている。1799ねんジョージ・ショウ英語えいごばん によって Platypusぞくめいえらばれたが、その1793ねんにすでにヨハン・フリードリッヒ・ヴィルヘルム・ヘルプスト英語えいごばんによってやしなえきんせいキクイムシぞくめいとして使つかわれていた。どちらも動物どうぶつかんがえられるので両方りょうほうには使つかえない。1800ねんヨハン・フリードリッヒ・ブルーメンバッハによってカモノハシのぞくめいOrnithorhynchusえられた。

ぞく以下いか階級かいきゅう

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出典しゅってん

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  1. ^ 動物どうぶつ命名めいめいほう国際こくさい審議しんぎかい ちょ野田のだ泰一やすいち西川にしかわ輝昭てるあき へん国際こくさい動物どうぶつ命名めいめい規約きやくだい 4 はん日本語にほんごばん日本にっぽん動物どうぶつ分類ぶんるいがく関連かんれん学会がっかい連合れんごう札幌さっぽろ、2000ねん、xviii + 133 pp(93ぺーじ)。
  2. ^ 百花ひゃっか瞭然りょうぜん/植物しょくぶつの3命名めいめいほう”. 2017ねん5がつ25にち閲覧えつらん
  3. ^ 溝田みぞた浩二こうじ、「門外漢もんがいかんのための「学名がくめい」のはなし化学かがく生物せいぶつ 2004ねん 42かん 2ごう p.99-10, doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.42.99
  4. ^ 食品しょくひん関係かんけいある微生物びせいぶつ分類ぶんるい”. 2017ねん5がつ25にち閲覧えつらん
  5. ^ a b 岩本いわもと光雄みつおサルの分類ぶんるいめい(その2:オナガザル,マンガベイ,ヒヒ)」『霊長れいちょうるい研究けんきゅうだい2かん 1ごう日本にっぽん霊長れいちょうるい学会がっかい、1986ねん、76-88ぺーじ

関連かんれん項目こうもく

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