花はな時計とけい

花はな時計とけい（はなどけい）は、花壇かだんと時計とけいが一体いったいとなったもの。モニュメントとして設置せっちされることが多おおい。

歴史れきし

花はな時計とけいの起源きげんに関かんする詳細しょうさいは不明ふめいだが、近代きんだいのヨーロッパで庭園ていえんの装飾そうしょくのために作つくられたのが始はじまりと見みられている。イギリス・エジンバラのプリンセスストリート庭園ていえん（Princes Street Gardens）に1903年ねんに設置せっちされたのが、現存げんそんする最古さいこの花はな時計とけいとして知しられる。設置せっち時じには分針ふんしんは無なく、翌年よくねんに設置せっちされたとされる^[1]。

日本にっぽん国内こくないで最古さいこのものは、1957年ねん4月がつ26日にちに神戸こうべ市役所しやくしょの新しん庁舎ちょうしゃ建設けんせつに合あわせ庁舎ちょうしゃの北側きたがわに設置せっちされた花はな時計とけいである。現在げんざいは日本にっぽん各地かくちに80以上いじょうの花はな時計とけいが設置せっちされている。

構造こうぞう

花はな時計とけいは多おおくの場合ばあい、アナログ時計とけいの文字もじ盤ばん部分ぶぶんと時計とけい機械きかい室しつからなる。文字もじ盤ばんは見みやすさや灌水の便びんを考かんがえて、10度どから20度どの角度かくどが付つけられる場合ばあいが多おおい。多おおくの場合ばあい、時計とけいの分針ふんしんと秒針びょうしんは別個べっこに制御せいぎょされている。花壇かだんは文字もじ盤ばんの部分ぶぶんに設置せっちされる場合ばあいと文字もじ盤ばんの周囲しゅういに設置せっちされる場合ばあいとがある。花はなは生花せいかを用もちいる場合ばあいと造花ぞうかを用もちいる場合ばあいとがある。生花せいかの花壇かだんを用もちい、かつ機械きかい室しつを花壇かだんの下したに設置せっちする場合ばあい、機械きかい室しつに防湿ぼうしつ・防水ぼうすい機能きのうを持もたせる必要ひつようがある。時刻じこく調整ちょうせいは専用せんようの時計とけい（親おや時計とけい）を使つかって行おこなわれるが、親おや時計とけいは機械きかい室内しつないや花はな時計とけいの近辺きんぺんに設置せっちされる。

花はな時計とけいの花はなは人ひとに摘つまれたり、鳥獣ちょうじゅうによる食害しょくがいに遭あうことがある。人ひとによる悪戯いたずらに対たいしては防犯ぼうはん装置そうちを設置せっちする、食害しょくがいに対たいしては被害ひがいに遭あいにくい花はなを多おおく植うえるといった対策たいさくが講こうじられている。

花はなそのものを利用りようした花はな時計とけい

花はなの1日にちにおける活動かつどうの周期しゅうき（開花かいか・閉花の時間じかん）を利用りようした花はな時計とけいも存在そんざいする。カール・フォン・リンネが1751年ねんに著書ちょしょPhilosophia Botanicaで考案こうあんし、200種類しゅるいほどの花はなを挙あげている。いわゆるリンネの花はな時計とけいHorologium Florae （Linnaeus' flower clock）である。

このような花はな時計とけいは夜よるでも時ときを知しる事ことが出来できる可能かのう性せいがあり、条件じょうけんが良よければ30分ふん以内いないの誤差ごさで時刻じこくを測はかれるとされるが^[2]、日照ひでり時間じかんや気温きおんなどの影響えいきょうを受うけるために日時計ひどけいと比くらべて精度せいどが劣おとり、かつ季き節ぶしごとに開花かいか時じ間あいだの異ことなる花はなを入手にゅうしゅすることが困難こんなんである。このため、時計とけいとしては普及ふきゅうせず、主おもに19世紀せいき初頭しょとうにおいて庭園ていえん装飾そうしょくや植物しょくぶつ園えんにおいて作つくられたのみである。

フランスの作曲さっきょく家かジャン・フランセはこの考案こうあんに感動かんどうし、「花はな時計とけい L'horloge de Flore 」(1959年ねん)を作曲さっきょくしたと言いわれる。この協奏曲きょうそうきょくには7つの時ときと花はなが選えらばれ、7曲きょくよりなるが、演奏えんそうは切きれ目めなく行おこなわれる。