花壇 かだん (かだん)とは、花 はな などの植物 しょくぶつ を植 うえ 栽または展示 てんじ する造園 ぞうえん 技法 ぎほう 、または園芸 えんげい 技法 ぎほう のひとつである。造園 ぞうえん 上 じょう の花壇 かだん と園芸 えんげい 上 じょう の花壇 かだん は共通 きょうつう 点 てん も多 おお いが根本 こんぽん 的 てき に異 こと なる部分 ぶぶん もある。主 おも に鑑賞 かんしょう 目的 もくてき で作 つく られ、季 き 節 ぶし 的 てき 、形態 けいたい 的 てき 、植物 しょくぶつ の3つの要素 ようそ からなる。
花壇 かだん
邸宅 ていたく 内 ない に造 つく られたイングリッシュガーデンの花壇 かだん
現代 げんだい では世界中 せかいじゅう の住宅 じゅうたく や公共 こうきょう 施設 しせつ に作 つく られている。花壇 かだん の正確 せいかく な起源 きげん は明 あき らかではないが、古代 こだい エジプト中 ちゅう 王国 おうこく 時代 じだい のテーベ にある遺跡 いせき からは、約 やく 4000年 ねん 前 まえ の花壇 かだん らしき遺構 いこう が発見 はっけん されている[ 1] 。
造園 ぞうえん 上 じょう の花壇 かだん は土壌 どじょう を煉瓦 れんが や擁 よう 壁 かべ 等 とう で囲 かこ み、その中 なか に草本 そうほん 類 るい を植 うえ 栽するもので、日本 にっぽん 庭園 ていえん にはあまり見 み られず西洋 せいよう 式 しき 庭園 ていえん の整形 せいけい 式 しき で好 この んで用 もち いられる手法 しゅほう である。住宅 じゅうたく 庭園 ていえん では重要 じゅうよう な役割 やくわり を果 は たすことが多 おお い。また、管理 かんり の手間 てま が大変 たいへん なので常時 じょうじ 管理 かんり することができない広場 ひろば や公園 こうえん 、庭園 ていえん などでは花 はな が枯 か れ、土 ど だけになってしまっていたりしているところもある。そのため潅水 かんすい や施肥 せひ などの管理 かんり を常 つね に怠 おこた らない努力 どりょく と根気 こんき 強 つよ さが必要 ひつよう である。
春 はる 花壇 かだん 、夏 なつ 花壇 かだん など季 き 節 ぶし ごとに開花 かいか する草花 くさばな が異 こと なる花壇 かだん を指 さ す。基本 きほん 的 てき に花壇 かだん はこのことを考 かんが えて作 つく られる。
花 はな をどのように見 み せるかという観点 かんてん では花壇 かだん の種類 しゅるい は多岐 たき にわたる。以下 いか に代表 だいひょう 的 てき なものを挙 あ げる。
カーペット 状 じょう に広 ひろ がる花壇 かだん で主 おも に花 はな の色 いろ で模様 もよう を描 えが いたりする。丈 たけ の低 ひく い草花 くさばな を敷 し き詰 つ めるので草丈 くさたけ は10cm程度 ていど が望 のぞ ましい。四方 しほう から鑑賞 かんしょう する事 こと を考 かんが えて作 つく られるのでスペースに余裕 よゆう があったり設置 せっち 場所 ばしょ と見 み る場所 ばしょ との高低 こうてい 差 さ のある場合 ばあい などには有効 ゆうこう な形態 けいたい である。
建物 たてもの や道路 どうろ 沿 ぞ いの細長 ほそなが い空間 くうかん を利用 りよう する花壇 かだん 。基本 きほん 的 てき な形 かたち は長方形 ちょうほうけい で草丈 くさたけ は30~40cmが望 のぞ ましい。庭園 ていえん では園 えん 路 ろ 沿 ぞ いなどに広 ひろ く用 もち いられる代表 だいひょう 的 てき な形態 けいたい である。
建物 たてもの を背景 はいけい にした花壇 かだん でブロック塀 へい や壁 かべ などに沿 そ う形 かたち で作 つく られる。視点 してん が一方向 いちほうこう なので前方 ぜんぽう は低 ひく く後方 こうほう は高 たか めの草花 くさばな を植 う えるのが普通 ふつう である。
花壇 かだん の中央 ちゅうおう が高 たか くその周囲 しゅうい に行 い くにしたがって低 ひく くなるように草花 くさばな を植 う える。四方 しほう からの鑑賞 かんしょう を考慮 こうりょ する。
沈床花壇 かだん (Sunken garden)は花壇 かだん を周 まわ りから低 ひく く据 す えて、周囲 しゅうい から下 した へ見 み やすくしている。
平安 へいあん 時代 じだい の「前栽 せんざい 」「壷 つぼ 庭 にわ 」なども花壇 かだん の一種 いっしゅ としてとらえることができる。
色 いろ が鮮明 せんめい である
開花 かいか 期間 きかん が長 なが い
栽培 さいばい が容易 ようい -定植 ていしょく 後 ご の管理 かんり 、移植 いしょく や病害虫 びょうがいちゅう に強 つよ い
性質 せいしつ が強健 きょうけん
潅水 かんすい に対 たい して要求 ようきゅう が少 すく なくてよい
草丈 くさたけ が低 ひく く、同 どう 一 いち 草花 くさばな で高 たか さが揃 そろ う
花 はな の色 いろ が複数 ふくすう である(豊富 ほうふ である)
わき芽 め が次々 つぎつぎ と開花 かいか する
同 どう 一花 ひとはな が長期間 ちょうきかん 開花 かいか
短期間 たんきかん で開花 かいか が終了 しゅうりょう するが次 つぎ のつぼみが開花 かいか する
クリスマスローズ、アイビー、パンジー、デージーなどが混 こん 植 うえ された花壇 かだん
上記 じょうき 、造園 ぞうえん 上 じょう の花壇 かだん も園芸 えんげい 的 てき にそのまま通用 つうよう するが、日本 にっぽん の伝統 でんとう 園芸 えんげい における花壇 かだん にはそれに該当 がいとう しない部分 ぶぶん もある。
日本 にっぽん の伝統 でんとう 園芸 えんげい における花壇 かだん
編集 へんしゅう
埼玉 さいたま 県 けん 花 はな と緑 みどり の振興 しんこう センターが展示 てんじ した桜草 さくらそう 花壇 かだん
造園 ぞうえん 上 じょう の「花壇 かだん 」は英語 えいご の flower bed の訳語 やくご として明治 めいじ 時代 じだい 以降 いこう に定着 ていちゃく したもので、それ以前 いぜん から使 つか われている「花壇 かだん 」の語義 ごぎ とは異 こと なる部分 ぶぶん がある。本来 ほんらい の「花壇 かだん 」は、もともと文字通 もじどお り「花 はな を陳列 ちんれつ する壇 だん 」という意味 いみ であり、仏壇 ぶつだん 、祭壇 さいだん 等 ひとし の用例 ようれい があるように、「壇 だん 」とは立体 りったい 的 てき な構造 こうぞう 物 ぶつ である。つまり日本 にっぽん の伝統 でんとう 的 てき 園芸 えんげい における花壇 かだん とは、本来 ほんらい の字義 じぎ 通 どお り、園芸 えんげい 植物 しょくぶつ の展示 てんじ スペース、展示 てんじ 台 だい である。江戸 えど 時代 じだい の元禄 げんろく 8年 ねん (1695年 ねん )に発行 はっこう された伊藤 いとう 伊兵衛 いへえ による園芸 えんげい 書 しょ 「花壇 かだん 地 ち 錦 にしき 抄 しょう 」が用例 ようれい として著名 ちょめい である。ただし、英語 えいご の flower bed の訳語 やくご 的 てき 意味 いみ としての「花壇 かだん 」的 てき 存在 そんざい は、既 すで に平安 へいあん 時代 じだい の文芸 ぶんげい 作品 さくひん 中 ちゅう に「前栽 せんざい 」として見 み いだすことができる。またその定義 ていぎ での日本 にっぽん 最古 さいこ の花壇 かだん 遺構 いこう は、16世紀 せいき の一 いち 乗 じょう 谷 たに 朝倉 あさくら 氏 し 遺跡 いせき 朝倉 あさくら 館 かん にある。ただしそれが実際 じっさい に「花壇 かだん 」と呼 よ ばれたかどうかは分 わ からない。
屋外 おくがい に設 もう けられることが多 おお く、主 おも に特定 とくてい の古典 こてん 園芸 えんげい 植物 しょくぶつ [要 よう 出典 しゅってん ] を多数 たすう 陳列 ちんれつ し鑑賞 かんしょう するもので、目的 もくてき としては風雨 ふうう から観賞 かんしょう 適期 てっき の植物 しょくぶつ を守 まも りまた鑑賞 かんしょう しやすくすること、多 おお くの品種 ひんしゅ を並 なら べることで相乗 そうじょう 的 てき な美 び の演出 えんしゅつ 効果 こうか を高 たか めることなどである。また一部 いちぶ の植物 しょくぶつ を除 のぞ き多 おお くの場合 ばあい は鉢植 はちう えを並 なら べるので、良 よ い作 さく のものばかりを陳列 ちんれつ でき、また一番 いちばん 美 うつく しく見 み える面 めん を前 まえ に向 む けたり、高 たか さや色彩 しきさい の組 く み合 あ わせも自由 じゆう にできる。多 おお くは小屋掛 こやが け式 しき で、長方形 ちょうほうけい の場所 ばしょ に柱 はしら を立 た て、屋根 やね を設 もう け、三方 さんぽう をよしずなどで囲 かこ う。前方 ぜんぽう 上部 じょうぶ を幕 まく で飾 かざ ることもある。その中 なか に特定 とくてい の園芸 えんげい 植物 しょくぶつ を陳列 ちんれつ するが、菊 きく ならば植木鉢 うえきばち をそのまま並 なら べるか土中 どちゅう に鉢 はち を埋 う め、または土 ど を寄 よ せて鉢 はち を隠 かく す。芍薬 しゃくやく の場合 ばあい ははじめから地 ち 植 う えで栽培 さいばい したスペースに小屋掛 こやが けする。
また、桜草 さくらそう の場合 ばあい は5段 だん の棚 たな を設 もう け、各 かく 段 だん に7鉢 はち から8鉢 はち の鉢植 はちう えを陳列 ちんれつ する。屋根 やね には耐 たい 水性 すいせい と透 とおる 光 ひかり 性 せい のある油障子 あぶらしょうじ を使 つか い、背景 はいけい には障子 しょうじ を立 た てることもある。また両 りょう 袖 そで には袖垣 そでがき を添 そ える。この他 ほか 朝顔 あさがお や撫子 なでしこ 等 ひとし でも花壇 かだん が組 く まれ、鑑賞 かんしょう された。
いずれにしても観賞 かんしょう 適期 てっき が過 よ ぎれば鉢植 はちう えは栽培 さいばい 場 じょう に戻 もど され、小屋組 こやぐ みは解体 かいたい 撤去 てっきょ される。
この造園 ぞうえん 上 じょう の花壇 かだん との違 ちが いは、西欧 せいおう の園芸 えんげい が庭園 ていえん 術 じゅつ とほとんど同義 どうぎ であるのに対 たい し、日本 にっぽん の園芸 えんげい は庭園 ていえん 術 じゅつ とは別 べつ の存在 そんざい として確立 かくりつ していることから来 き ていると言 い える。西欧 せいおう の園芸 えんげい でこれに近 ちか いものとしては、イギリスの古典 こてん 的 てき 草花 くさばな (フローリスツ・フラワー )[要 よう 出典 しゅってん ] に同様 どうよう のものがあり、劇場 げきじょう に見立 みた てて「シアター」または「ステージ」と呼 よ ばれたが、現在 げんざい はほとんど行 おこ なわれない。
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