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分類 - Wikipedia

分類ぶんるい(ぶんるい、えい: classification)とは、

  • ある基準きじゅんしたがって、物事ものごとたものどうしにまとめてけること[1]
  • 論理ろんりがく物事ものごと徹底的てっていてき区分くぶんし、るいしゅ系列けいれつかたちをとった体系たいけい形成けいせいすること[1]

概要がいよう

編集へんしゅう

複数ふくすう事物じぶつ現象げんしょうを、なんらかの基準きじゅんしたがってたものグループ(れ)をつくり、けることである。そうしてつくられたグループをカテゴリという。そして「分類ぶんるい」は、より専門せんもんてきには、それを徹底的てっていてきおこない、カテゴリを体系たいけいすること、整理せいり整頓せいとんされたカテゴリの体系たいけいつくること、でもある。

図書館としょかん情報じょうほうがく研究けんきゅうしゃ緑川みどりかわ信之のぶゆき表現ひょうげんでは、『分類ぶんるいという言葉ことばは、分類ぶんるいすること を意味いみする場合ばあいもあれば、分類ぶんるいされたもの を意味いみすることもある[2]』(つまり「分類ぶんるい」は「分類ぶんるいする」という行為こういしている場合ばあいもあり、すでに分類ぶんるいがなされた状態じょうたい(カテゴリの体系たいけい、カテゴリの整頓せいとんされたリスト、および個々ここ要素ようそかくカテゴリのしたにグループされている状態じょうたい)もしうる。)

分類ぶんるいという行為こういをどのように理解りかいするかについては、じつ多種たしゅ多様たよう見解けんかいがあり、かく時代じだいや、かく分野ぶんや専門せんもんごとに様々さまざま傾向けいこうがあるのだが、ここでひとつの見解けんかい紹介しょうかいしてみる。図書館としょかん情報じょうほうがく研究けんきゅうしゃ緑川みどりかわ信之のぶゆきによると、「分類ぶんるい」は4つの段階だんかいけることができる、という[2]

  1. 対象たいしょうけること(区分くぶん[2]
  2. けられた対象たいしょう体系たいけいてき配置はいちすること(体系たいけい[2]
  3. 特定とくてい対象たいしょう分類ぶんるい体系たいけいなか位置いちづけること(分類ぶんるい作業さぎょう[2]
  4. 分類ぶんるい体系たいけい特定とくてい項目こうもく位置いちづけられている対象たいしょうすこと(検索けんさく[2]

たとえば映画えいがジャンル製作せいさくこくける段階だんかいが「区分くぶん」で、けられた映画えいが体系たいけいてき配置はいちする段階だんかいが「体系たいけい」だという。これら1つもくと2つ段階だんかいをまとめて「分類ぶんるい体系たいけい構築こうちく段階だんかいぶ、とのことである[2]。 (なお、図書館としょかん業務ぎょうむというのは、利用りようしゃからの要請ようせいおうじて書籍しょせき検索けんさくして書庫しょこなどからして手渡てわたす、ということまでふくまれているので、その影響えいきょうけてこの図書館としょかん情報じょうほうがく研究けんきゅうしゃはこの解説かいせつで(4)の「検索けんさく」まで「分類ぶんるい」にふくめてしまっているが、通常つうじょう図書館としょかん情報じょうほうがく以外いがい分野ぶんやでは、(1)~(3)を「分類ぶんるい」とび、(4)は「検索けんさく」というべつ概念がいねんだとしていることがおおい。(4)が重要じゅうようでない、という意味いみではなく、一般いっぱんには、(4)はべつ重要じゅうよう概念がいねん行為こういだとされており、(4)は(分類ぶんるい成果せいか利用りようした)べつ行為こういつぎ段階だんかい行為こうい、だとされている。)

分類ぶんるいには「区分くぶん原則げんそく」というものが一応いちおうあるが、実際じっさい区分くぶん作業さぎょうおこなときにはそれがまもれないという問題もんだい多々たたきがちで、それは「複数ふくすう区分くぶんはいってしまう対象たいしょうあらわれること」および「どの区分くぶんにも分類ぶんるいできない対象たいしょうあらわれること」であるが、それらの問題もんだいへの解決かいけつさく一応いちおうある。→#区分くぶんのしかた

分類ぶんるいなかの「区分くぶん」という行為こういは、多種たしゅ多様たよう基準きじゅん観点かんてん)でおこなうことができる。素朴そぼく基本きほんてき分類ぶんるいほうから解説かいせつすると、たとえばかず着目ちゃくもくして個数こすう分類ぶんるいする方法ほうほう質量しつりょう分類ぶんるいする方法ほうほうながさで分類ぶんるいする方法ほうほう年齢ねんれい分類ぶんるいする方法ほうほうなどがある。またほかにも、いろ分類ぶんるいする方法ほうほうせい分類ぶんるいする方法ほうほう とう等々とうとう多種たしゅ多様たよう分類ぶんるいほうがある。→#分類ぶんるい種類しゅるい

ひとつひとつの学問がくもんには、おおかれすくなかれ、様々さまざま分類ぶんるいほうによってさまざまな「もの」や「こと」を分類ぶんるいする、というプロセスや手法しゅほうふくまれている。学問がくもん歴史れきしさかのぼると、おおくの学問がくもんアリストテレス(「まんがく」とばれる、古代こだいギリシア時代じだい人物じんぶつ)にたどりくが、このアリストテレスがすでに分類ぶんるいという手法しゅほう強力きょうりょくもちいていた。多様たようなものごとをまず分類ぶんるいし、カタログし、ひとつひとつのカテゴリを、できるだけりこぼさないように「しらみつぶし」に、緻密ちみつに、ねばづよ研究けんきゅうしてゆく、ということをおこなったのであり、それを長年ながねんわたりやりつづけた結果けっか、「まんがく」とばれるまでにいたったのである。現代げんだい研究けんきゅうしゃたちも、各自かくじ研究けんきゅうをするじょうで、ほぼかならず、おおかれすくなかれ、分類ぶんるいという行為こういおこなっている。

分類ぶんるい効能こうのう

整理せいり整頓せいとん情報じょうほうアクセスとの関連かんれんでは、一般いっぱんろんとしてえば、さまざまなモノ(物理ぶつりてき存在そんざい)はあらかじめ概念的がいねんてき分類ぶんるいすることによって、物理ぶつりてきにも整理せいり整頓せいとんすることができるような状態じょうたいになる。利用りようするがわは、諸々もろもろのものがあらかじめ分類ぶんるいされたうえで、分類ぶんるい体系たいけい沿って配置はいちされていると、もとめているモノに迅速じんそくにアクセスすることができ、ふたたすことが容易よういになり、一般いっぱんろんとしては、その時間じかん短縮たんしゅくされる。たとえば図書館としょかんでは多数たすうの(無数むすうの)書籍しょせき図書としょ分類ぶんるいほうもとづいて分類ぶんるいされることによって、図書館としょかんスタッフは、あるいちさつをどの書架しょか配置はいちしたらよいか判断はんだんできるようになり、結果けっかとして類似るいじ内容ないよう書籍しょせきおおくがちか場所ばしょおさまることになる。図書館としょかん利用りようしゃがわにとっては、書籍しょせき分類ぶんるいされていることで、書架しょかまえで、つぎからつぎへと複数ふくすうほんにとり、パラパラと目次もくじ本文ほんぶん一部いちぶなどを確認かくにんして、このみのいちさつえらぶことができるようになる。(もしも、類似るいじ書籍しょせき図書館としょかんないはなれた場所ばしょに、あまりにバラバラにはなれた状態じょうたい配置はいちされると、利用りようしゃさがしているうちに迷子まいごになったり時間じかんがかかりすぎて、複数ふくすう書籍しょせきをチラと確認かくにんしたうええらぶ、ということもできなくなる。)

分類ぶんるいしグループすることのべつ効能こうのうとしては、(あらかじめ適切てきせつ分類ぶんるいほう選択せんたくしておけば、のはなしではあるが)分類ぶんるいみの要素ようそは、グループまとめて同一どういつあつかかたをできることである。たとえばごみも、あらかじめリサイクル工程こうてい考慮こうりょしつつ分類ぶんるいわく用意よういし、それにしたがって各人かくじん分類ぶんるいしてて、分別ふんべつ収集しゅうしゅうすれば、リサイクルさい資源しげん)しやすくなる。リサイクルは資源しげん種類しゅるいによってその工程こうていはかなりことなるので、ごみが分類ぶんるいされて分別ふんべつされていれば、たとえばペットボトルはペットボトルなりのリサイクル工程こうていへ、アルミかんはアルミかんなりのリサイクル工程こうていへ...と、それぞれ適切てきせつ工程こうていおくんでやることができる。

またものごとは多様たようであり、混沌こんとんとしており、あまりに多様たようなことに一気いっき着手ちゃくしゅすると、能力のうりょくがあるひとでもちから意識いしき分散ぶんさんしてしまったり、作業さぎょう時間じかんがバラバラに分割ぶんかつされすぎて、不可能ふかのうになることはおおいが、混沌こんとんなかにある特徴とくちょう共通きょうつうてん)をつけ、ひとまとまりのちいさなグループ(カテゴリ)をつくることで、(全体ぜんたい一気いっき対象たいしょうにすることは困難こんなんなので後回あとまわしにしておいて)とりあえず着手ちゃくしゅしやすいカテゴリをひとつえらぶことも可能かのうになり、焦点しょうてんをひとつのカテゴリにててそれに対処たいしょし、それができたら2つめのカテゴリに着手ちゃくしゅする、などと、「段階だんかいむ」ということが可能かのうになるわけであり、分類ぶんるいという行為こういは、有限ゆうげん能力のうりょくしかたない人間にんげん(スーパーマンではない普通ふつう人間にんげん、「全知全能ぜんちぜんのうかみ」ではない人間にんげん)に、問題もんだい解決かいけつのきっかけ、糸口いとぐちあたえてくれる。

恣意しいせい混乱こんらん

分類ぶんるいというのは、なんらかの基準きじゅん人間にんげん設定せっていし、その基準きじゅんもとづいてカテゴリ(グループの「わく」)を複数ふくすうつくり、個々ここのものごとをいずれかのカテゴリわくなかれてゆくことである。基準きじゅん人間にんげん設定せっていするので、その意味いみでは「恣意しいてき」である(つまり、その基準きじゅん自体じたい絶対ぜったいではなく、基準きじゅん設定せっていしうる)。 べつ基準きじゅん設定せっていしたり採用さいようしたりすれば、ことなる分類ぶんるいをすることもできる。その意味いみで、分類ぶんるいという行為こういにはつね恣意しいせいがつきまとう。またカテゴリとカテゴリのあいだ明確めいかくな《線引せんひき》ができない場合ばあいは、分類ぶんるいという行為こうい困難こんなんになり、むずかしい問題もんだいしょうじる。→#恣意しいせい混乱こんらん

分類ぶんるい種類しゅるい

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区分くぶん種類しゅるい

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まず区分くぶん属性ぞくせい基準きじゅん)の種類しゅるい解説かいせつすると、どの属性ぞくせい基準きじゅんとしてカテゴリけするのか、属性ぞくせいえらかた多種たしゅ多様たようである。あまりに多様たようすぎて網羅もうらてきげることは不可能ふかのうであるが、ここでは比較的ひかくてき頻繁ひんぱんえらばれている属性ぞくせい分類ぶんるい基準きじゅん)をげる。

ひとつには《かず》を基準きじゅんにして分類ぶんるいする方法ほうほう」がある。

たとえば、なにかの《個数こすう》のるい基準きじゅんにする方法ほうほうがあり、たとえばものについて《車輪しゃりんかず》を基準きじゅんにして「二輪車にりんしゃ / 三輪車さんりんしゃ / よんりんしゃ...」と分類ぶんるいする方法ほうほうや、鉄道てつどう線路せんろについて本数ほんすう基準きじゅんにして「単線たんせん / 複線ふくせん / 複々線ふくふくせん」と分類ぶんるいする方法ほうほう航空機こうくうきについてつばさかず基準きじゅんにして「複葉ふくよう / 単葉たんよう 」と分類ぶんるいする方法ほうほう望遠鏡ぼうえんきょうつつかず基準きじゅんにして「単眼たんがんきょう / 双眼鏡そうがんきょう」と分類ぶんるいする方法ほうほう世帯せたい人数にんずう基準きじゅんにして「一人ひとり世帯せたい / 二人ふたり世帯せたい / さんにん世帯せたい ... 」と分類ぶんるいする方法ほうほうなどである。

かずもちいる分類ぶんるいでも、たとえば《質量しつりょう》(おも)の分類ぶんるいする方法ほうほうがある。たとえばボクシングの選手せんしゅを、《体重たいじゅう》を基準きじゅんにして「ヘビーきゅう / ミドルきゅう / ウェルターきゅう / ライトきゅう / フェザーきゅう ...」などと分類ぶんるいする方法ほうほうがある。(分類ぶんるいのカテゴリめいはボクシングのものとはことなるが)アマチュアレスリング柔道じゅうどうでも体重たいじゅう基準きじゅんにして選手せんしゅ分類ぶんるいしている。→#体重たいじゅうべつ階級かいきゅう

ながさ》や《たかさ》や《距離きょり》をもちいて分類ぶんるいする方法ほうほうもある。

かずもちいる分類ぶんるいなかには、《年齢ねんれい》による分類ぶんるいもある。年齢ねんれい基準きじゅんにして人間にんげんを、「10さい未満みまん / 10代 / 20だい / 30だい / 40だい ...」などと分類ぶんるいする方法ほうほうである。「20さい未満みまん / 20さい以上いじょう」という線引せんひきをして分類ぶんるいしたり、それを「子供こども小人こども) / 大人おとな」という言葉ことばだい分類ぶんるいすることもある。(ただし、線引せんひきの基準きじゅんは、こくごと、領域りょういきごとにことなり、あるひとつのくにりあげても、選挙せんきょけんでは○○さい線引せんひき、飲酒いんしゅについては××とし線引せんひき、喫煙きつえんについては△△とし線引せんひき、といった調子ちょうしで、バラバラになっているくにおおい。)また反対はんたいに、0さい / 1さい / 2さい / 3さい ...といちさいきざみでこまかく分類ぶんるいする方法ほうほうもある。

いろ》(色彩しきさい)で分類ぶんるいする方法ほうほうもある。たとえば「あかリンゴ / あおリンゴ」と分類ぶんるいする方法ほうほうや、人間にんげんかみを(あるいは人間にんげん自体じたいを)、かみいろ基準きじゅんにして「赤毛あかげ / 金髪きんぱつ / 栗毛くりげ(ブルネットbrunette) / 黒髪くろかみ / 白髪はくはつ ... 」などと分類ぶんるいする方法ほうほうである。(ただし、「いろ」はスペクトラムてきに、つまり連続れんぞくてき変化へんかするものなので、線引せんひきは曖昧あいまいである。また、そのあいまいなかみいろが、ひと年齢ねんれいとともにすこしずつ変化へんかしてゆく。たとえば 欧米おうべいじんでも、(少年しょうねんちゃ(っぽい)→(中年ちゅうねん)こげちゃ(っぽい)→(高齢こうれい)シルバー(っぽい) などと、連続れんぞくてきに、曖昧あいまい変化へんかするひとが いる / おおい。つまり、あくまで便宜べんぎてき分類ぶんるいであり、厳密げんみつ分類ぶんるいはほとんど不可能ふかのうである。)また20世紀せいき前半ぜんはんまでははだいろ基準きじゅんにして人間にんげんを「白人はくじん / 黒人こくじん / 黄色おうしょくじん ...」などと分類ぶんるいすることがたりまえのようにおこなわれていたが、20世紀せいきなかばあたりからはそうした分類ぶんるい行為こうい倫理りんりてきには問題もんだいだとして問題もんだいされるようになり、21世紀せいきはいってからは(すくなくとも行政ぎょうせいなどで、公式こうしきには)人間にんげんはだいろ分類ぶんるいすることはひかえられるようになってきている。

せい》によって分類ぶんるいする方法ほうほうもある。 動物どうぶつかんしては、基本きほんてきには「オス / メス」と分類ぶんるいすることがおこなわれている(ただし、動物界どうぶつかいひろ見渡みわたすと、きている途中とちゅう性別せいべつ変化へんかする事例じれいもあり、単純たんじゅんには分類ぶんるいできない場合ばあいもある。)人間にんげんかんしても生物せいぶつがくてきせい基準きじゅんにして「男性だんせい / 女性じょせい」と分類ぶんるいする方法ほうほうが(ひとつのオーソドックスな方法ほうほうとして)ある(だが、20世紀せいき後半こうはんあたりから、それほど単純たんじゅん問題もんだいではない、と指摘してきされることもえている。たとえば「身体しんたいおとこだが性的せいてき指向しこうおんな」とか「身体しんたいおんなだが性的せいてき指向しこうおとこ」とか「身体しんたいおとこおんな)だが、どちらのせいひと性的せいてき対象たいしょうだとかんじる(どちらでもある)」というひとなどがいる、という指摘してきや、性別せいべつ適合てきごう手術しゅじゅつけるひともいる、LGBT存在そんざいしている、ということなどがしばしば指摘してきされるようになってきており、さまざまな角度かくどから、従来じゅうらい単純たんじゅんしすぎた分類ぶんるい是非ぜひなおされている。) またたとえばロマンス諸語しょごでは、すべての名詞めいしが「男性だんせい名詞めいし / 女性じょせい名詞めいし / 中性ちゅうせい名詞めいし」に分類ぶんるいされている。

以上いじょうは、ありきたりな分類ぶんるいれいであり、多種たしゅ多様たよう分類ぶんるい基準きじゅんのごく一部いちぶにすぎない。

たとえば音楽おんがく映画えいがならば《ジャンル》を基準きじゅんにして分類ぶんるいする方法ほうほうもあるし、たとえば、スマートフォンならば、《OS》を基準きじゅんにして、多様たよう機種きしゅを「Android搭載とうさい / iOS搭載とうさい (iPhone) / その」などと分類ぶんるいする方法ほうほうもあるわけで、分野ぶんやごとに様々さまざま分類ぶんるいほうがあり、ほとんど際限さいげんなく分類ぶんるい基準きじゅんがある、とってもい。

分類ぶんるい原理げんり

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区分くぶんのしかた

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区分くぶん原理げんりえら

区分くぶんをするためには、なんらかの観点かんてんもとづく必要ひつようがある[2]。たとえば(あくまでいちれいだが)映画えいがをジャンルで区分くぶんする場合ばあいは、この「ジャンル」が区分くぶん観点かんてんである[2]区分くぶんをするための観点かんてんのことを「区分くぶん原理げんり」(または「区分くぶん特性とくせい」)と[2]

区分くぶん作成さくせい

対象たいしょうぐん)をある区分くぶん原理げんりによって区分くぶんしたときにできるグループを「区分くぶん」とよぶ[2]たとえば映画えいがをジャンルという区分くぶん原理げんり区分くぶんすると、アクション映画えいが / SF映画えいが / 恋愛れんあい映画えいが... などの区分くぶんができる[2]

区分くぶんおこなとききがちな問題もんだい:「複数ふくすう区分くぶんはいってしまう対象たいしょうあらわれること」「どの区分くぶんにも分類ぶんるいできない対象たいしょうあらわれること」

なお、映画えいがにはアクション映画えいがでもありSF映画えいがでもあるものがある。そのような映画えいがはアクション映画えいが区分くぶんとSF映画えいが区分くぶん両方りょうほうぞくしていることになる[2]。このように対象たいしょうをどれか1つだけの区分くぶんぞくするようにできない区分くぶんは「相互そうご排他はいたてき」ではない[2]

一方いっぽう、どのような(用意よういされた)ジャンルにもぞくさない映画えいがもある[2]。このようにどこの区分くぶんにもぞくさない対象たいしょうてきてしまう区分くぶんは「包括ほうかつてき」(網羅もうらてき)ではない[2]

区分くぶん原則げんそく

対象たいしょう相互そうご排他はいたてきかつ包括ほうかつてき区分くぶんすることを「区分くぶん原則げんそく」とよぶ。うえ映画えいがのジャンルによる分類ぶんるいれいでも理解りかいできるように、「区分くぶん原則げんそく」をまもることは現実げんじつには困難こんなん場合ばあいおおい。だが、区分くぶん原則げんそくまもれているかかをつね意識いしきすることは重要じゅうようである[2]。 (たとえば,選択せんたくしき質問しつもんひょうで,選択肢せんたくし包括ほうかつてき区分くぶんになっておらず,どの項目こうもくにも該当がいとうしない(回答かいとうできない)場合ばあいがある。また,複数ふくすう項目こうもく該当がいとうするのに1つだけ回答かいとうするように指示しじされている場合ばあいも,回答かいとうこまる。

問題もんだい解決かいけつほう
  • 包括ほうかつてき区分くぶんができない場合ばあいは(つまり、どの区分くぶんにもはいらない対象たいしょうのこってしまう場合ばあいに、それをふせぐためには)「その」(という一種いっしゅ区分くぶんわく)を用意よういする[2]。(なお複数ふくすうひと区分くぶん作業さぎょうをする場合ばあいは、責任せきにんしゃあらかじめ最初さいしょから「その」という区分くぶん(カテゴリ)を用意よういしておくことが有効ゆうこうであり、大切たいせつである。そうでないと、個々ここ作業さぎょうしゃは、どの区分くぶんにもれられない対象たいしょう出会であった段階だんかいで、ひとり途方とほうれてしまう。あらかじめ「その」というわく用意よういされていないと、しばしば、個々ここ区分くぶん作業さぎょう担当たんとうしゃは、やけくそになって(だまったまま、相談そうだんもせず)強引ごういん不適切ふてきせつ区分くぶんんでしまい、結果けっかとして、まれたさき区分くぶんにカテゴリ錯誤さくごの(「仲間なかまはずれ」の)要素ようそがチラホラとまぎ結果けっかみ、結局けっきょく分類ぶんるい全体ぜんたいをじわじわと崩壊ほうかいさせていってしまう。)
  • 相互そうご排他はいたてき区分くぶんができない場合ばあいは(つまり、複数ふくすう区分くぶんはい対象たいしょうが、あらわれる場合ばあいは)「複数ふくすう区分くぶんてはまる」をみとめる、などの対応たいおうがとられる[2]。(現代げんだいのようにデータベース道具どうぐとして使つかいつつ分類ぶんるい作業さぎょう区分くぶん作業さぎょう)をする場合ばあいは、あらかじめ、データベースの設計せっけい段階だんかいで、複数ふくすう区分くぶんてはまる対象たいしょうあらわれることを想定そうていして、それに対応たいおうできるようにデータベース設計せっけいをしておく必要ひつようがある。(たとえば項目こうもくめいをあらかじめ追加ついかしておくなど。たとえば映画えいがなら、たとえば「ジャンル1」「ジャンル2」...などと、複数ふくすうのジャンルわくをあらかじめ用意よういしておいて、個々ここ担当たんとうしゃレベルで該当がいとうするジャンルめい複数ふくすう記入きにゅうできるようにしておく方法ほうほうなどがある。)。ただし、そのような対応たいおうをするまえに、一度いちど本当ほんとう区分くぶん原則げんそくまもれないのか、よくかんがえる必要ひつようもある[2]。だが理詰りづめでよくよく検討けんとうして、やはり「区分くぶん原則げんそく」はこの分野ぶんやではまもれない、ということがあきらかならば、まもれないという前提ぜんてい区分くぶん方式ほうしき用意ようい(したりデータベース設計せっけいをしたり)せざるをない。


生物せいぶつ分類ぶんるい

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生物せいぶつについても様々さまざま分類ぶんるい方法ほうほうがありる。

一般人いっぱんじんによる分類ぶんるい

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一般人いっぱんじん生物せいぶつ学者がくしゃではない人々ひとびと)のあいだでは、動物どうぶつ / 植物しょくぶつとざっくりとけておいて、動物どうぶつのほうを「しし(けもの、四足しそく動物どうぶつ) / とり / さかな 」などと分類ぶんるいしたり、植物しょくぶつのほうは「野菜やさい / 果物くだもの / はな / 樹木じゅもく ...」などと分類ぶんるいすることがしばしばおこなわれている。

これは、学問がくもんてきると、あくまで人間にんげんがわ便宜べんぎもとづいてける方法ほうほうである。

生物せいぶつがく分類ぶんるい

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生物せいぶつがくなかでも様々さまざま分類ぶんるいほうがある。

なお生物せいぶつがくなかには分類ぶんるいがくという分野ぶんやがある。生物せいぶつがくでは「分類ぶんるい」と「分類ぶんるいがく」という用語ようご区別くべつすることがあるが、前者ぜんしゃは、種類しゅるい生物せいぶつたね妥当だとう仕方しかた命名めいめい整理せいりしてひとつの体系たいけいにまとめるのが課題かだい、とされ、後者こうしゃは、この分類ぶんるい仕方しかた理論りろんてき問題もんだいとする分野ぶんやということに(一応いちおうは)されているが、実際じっさいには「分類ぶんるいがく」というかたりで、分類ぶんるい仕事しごと内容ないようそのものもふくませてしている。

生物せいぶつがくではたとえばつぎのような分類ぶんるい体系たいけいがある。

生物せいぶつがく分類ぶんるい基準きじゅん絶対ぜったいてきなものではなく、時代じだいとともに変化へんかしてきている。 生物せいぶつがくのかつての(初期しょきの)主要しゅよう基準きじゅんは「生物せいぶつ形質けいしつ類似るいじせい」(類縁るいえん関係かんけい)であった。これはのち進化しんかろん関係かんけいづけられて理解りかいされるようになったわけではあるが、結局けっきょく、「類縁るいえん関係かんけい」という基準きじゅんは「進化しんかによる分類ぶんるいぐん分岐ぶんきふるいかあたらしいか」という基準きじゅんえられた。さらに、分子生物学ぶんしせいぶつがく発展はってんうところがおおきい。「進化しんかによる分類ぶんるいぐん分岐ぶんきふるいかあたらしいか」という基準きじゅんわって「DNAの変化へんか速度そくど」という基準きじゅん時間じかんじくがかなり定量ていりょうてきろんじられるようになっている。最近さいきんでは、DNA塩基えんき配列はいれつをかなり短期間たんきかん短時間たんじかん)で分析ぶんせきしデータできるようになったおかげで、コンピュータをもちいてその変化へんかりょうを(コンピュータ・プログラムによって計算けいさんもとめ、関係かんけい系統けいとうを、なか自動的じどうてきに)算出さんしゅつして分類ぶんるいする手法しゅほう充実じゅうじつしてきており、それがたか評価ひょうかている。

数学すうがくにおける分類ぶんるい

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分類ぶんるい集合しゅうごう

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分類ぶんるいは、多数たすうある属性ぞくせいなかから、特定とくてい属性ぞくせい焦点しょうてんて、その属性ぞくせい基準きじゅんにして、対象たいしょうをグループけすることである。だが個々ここ存在そんざい要素ようそ)は、複数ふくすう属性ぞくせいそなえている。属性ぞくせいごとに、独立どくりつ分類ぶんるい作業さぎょうおこなえる。これはさまざまな基準きじゅん設定せっていして、ひとつのはは集合しゅうごうから、さまざまな部分ぶぶん集合しゅうごうつくることと同類どうるい作業さぎょうである。

たとえば、イギリスじんという集団しゅうだん着目ちゃくもくした場合ばあいでも

  • 年齢ねんれいという属性ぞくせい基準きじゅんにして)10さい未満みまん / 10代 / 20だい / 30だい /...
  • せいという属性ぞくせい基準きじゅんとして)男性だんせい / 女性じょせい / その ....
  • (アンケート調査ちょうさでの「一番いちばんきなスポーツは?」という設問せつもんたいする回答かいとう内容ないようという属性ぞくせい基準きじゅんにして)ラグビー一番いちばんき / クリケット一番いちばんき / 乗馬じょうば一番いちばんき / サッカー一番いちばんき / ... / 回答かいとう /...

などと様々さまざま分類ぶんるい可能かのうであり、つまり、「イギリスじん」という集合しゅうごうかんしても、さまざまな部分ぶぶん集合しゅうごうつくることができる。

恣意しいせい混乱こんらん

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分類ぶんるいというのは、なんらかの基準きじゅん人間にんげん設定せっていし、その基準きじゅんもとづいてカテゴリ(グループの「わく」)を複数ふくすうつくり、個々ここのものごとをいずれかのカテゴリわくなかれてゆくことである。基準きじゅん人間にんげん設定せっていするので、その意味いみでは「恣意しいてき」である(つまり、その基準きじゅん自体じたい絶対ぜったいではなく、基準きじゅん設定せっていしうる)。 べつ基準きじゅん設定せっていしたり採用さいようしたりすれば、ことなる分類ぶんるいをすることもできる。その意味いみで、分類ぶんるいという行為こういにはつね恣意しいせいがつきまとう。

たとえば航空機こうくうき分類ぶんるいで、重量じゅうりょう密度みつど)が空気くうきよりかるけい航空機こうくうきと、空気くうきよりおもじゅう航空機こうくうきの2つに大別たいべつされているが、つばさかずもとづいて「単葉たんよう / 複葉ふくよう」と分類ぶんるいする方法ほうほうもあり、またエンジンの種類しゅるい基準きじゅんにして「ピストンレシプロ)/ ターボ」と分類ぶんるいする方法ほうほうもある。いずれもえらべるのに、あるひとがエンジンによる分類ぶんるいだけを採用さいようして無視むしすれば、それはそのひと恣意しいてきえらんだということであって、恣意しいせいがあるということになる。たとえかず基準きじゅんとした分類ぶんるい(「単葉たんよう / 複葉ふくよう」)をえらんでも、それだけをえらべば、やはりそれを採用さいようして分類ぶんるいほうてたということで、恣意しいせいっている。

おまけに、カテゴリの設定せってい方法ほうほうによっては、カテゴリとカテゴリのあいだ明確めいかくな《線引せんひき》ができないこともしょうじる。 たとえば「大型おおがた中型ちゅうがた小型こがた」は、分類ぶんるい基準きじゅん設定せっていする組織そしき個人こじんごとに、線引せんひきがことなっていて混乱こんらんしていることもおおい。たとえばなんメートル以上いじょうなんメートル以下いかを(あるいはなにkg以上いじょうなんkg以下いかを)「中型ちゅうがた」とうか、国際こくさい機関きかん特定とくていくに政府せいふ民間みんかん企業きぎょう団体だんたいなどによって数値すうちにズレがしょうじてしまっていることもある。

古代こだい中世ちゅうせい近世きんせい近代きんだい現代げんだい」「管楽器かんがっき弦楽器げんがっき打楽器だがっき ... 」などといった分類ぶんるいも、学者がくしゃごとに境界きょうかいせんことなっていて、学問がくもんじょう混乱こんらんしていることがあり、学派がくはごとにことなっていることがあり、その意味いみでも恣意しいせいがつきまとう。

さらにむずかしい問題もんだいもある。たとえば「科学かがく / 疑似ぎじ科学かがく」という分類ぶんるいについても、長年ながねんにわたって科学かがくしゃ科学かがく哲学てつがくしゃらから多数たすう基準きじゅん線引せんひきの方法ほうほう)が提案ていあんされていて、なが議論ぎろんつづいたが、すっきりと決着けっちゃくがつかないままになってしまっている。これを「線引せんひ問題もんだい」とう。両者りょうしゃあいだには、白黒しろくろがはっきりつけられない領域りょういき(グレーゾーン)がある、そのグレーゾーンというのが、「しろ付近ふきんから「くろ付近ふきんいたるまでの、スペクトラムのように しろくろ連続れんぞくてき変化へんかする領域りょういきである、と指摘してきしている研究けんきゅうしゃもおり、また「曖昧あいまいなシャドーゾーンが存在そんざいする」と指摘してきする科学かがくしゃもおり[3]、その結果けっか、まともな科学かがくしゃでも、いざ実際じっさいにさまざまな研究けんきゅう分類ぶんるいしようとするだんになるとなやんでしまうのである。おまけに、境界きょうかい科学かがく科学かがくというものもあり、それらとの線引せんひき(境界きょうかいせん)も曖昧あいまいで、なかのさまざまな研究けんきゅうすべ分類ぶんるいしようとこころみたりすると、(まともな科学かがくしゃでも)一体いったいどのカテゴリに分類ぶんるいしたらよいかわからなくなってしまうことがてくるわけである[よう出典しゅってん]

出典しゅってん

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  1. ^ a b 大辞林だいじりん分類ぶんるい
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 緑川みどりかわ信之のぶゆき、「分類ぶんるいをみつめなおす:区分くぶん原理げんり注目ちゅうもくして」『情報じょうほう科学かがく技術ぎじゅつ』 2016ねん 66かん 6ごう p.254-259, doi:10.18919/jkg.66.6_254, 情報じょうほう科学かがく技術ぎじゅつ協会きょうかい
  3. ^ en:Michael W. Friedlander(1995ねんAt the Fringes of Science(マイケル・フリードランダー『きわどい科学かがく ウソとマコトの境域きょういきさぐる』)

関連かんれん項目こうもく

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