喫煙きつえん

喫煙きつえん（きつえん、英えい: Smoking, Tobacco Smoking）は、タバコの葉はを乾燥かんそう・発酵はっこうなどの工程こうていを経へて加工かこうした物ものに火ひをつけて、くすぶるように燃焼ねんしょうさせて発生はっせいする、（不可視ふかしな）燃焼ねんしょうガスと煙けむりを吸引きゅういんする行為こういである。

喫煙きつえんする男性だんせい

副ふく流りゅう煙けむりを出だしているたばこ

たばこの煙けむりを吸引きゅういんするためのさまざまな器具きぐ (1)シガーボックスとカッター (2)葉巻はまき (3)各種かくしゅパイプ (4)フーカー（水みずパイプ） (5)線香せんこう (6)ボング

一般いっぱん的てきな喫煙きつえんのイメージ

たばこ喫煙きつえんの起源きげんは紀元前きげんぜん10世紀せいきの頃ころ・地域ちいきはマヤ文明ぶんめいとされ、古ふるくからアメリカ先住民せんじゅうみんの間あいだに喫煙きつえんの習慣しゅうかんが広ひろまっていた。大だい航海こうかい時代じだいの到来とうらいと共ともにヨーロッパに伝播でんぱし、様々さまざまな薬効やっこうがあると信しんじられたことにより、15世紀せいきから16世紀せいきにかけて、100年間ねんかんという当時とうじとしては短みじかい期間きかんで急速きゅうそくに世界せかいへ広ひろまった。そのため、世界せかいで「tobacco」、「tabaco」などとほぼ同おなじ名前なまえがついている。ヨーロッパ・アジア地域ちいきにおいても、大麻たいまなどの喫煙きつえん習慣しゅうかんがあったとされるが、起源きげんは明あきらかでない。葉巻はまき、パイプなど様々さまざまな喫煙きつえん方法ほうほうが考案こうあんされ普及ふきゅうしており、今日きょう世界せかい的てきにもっともポピュラーな喫煙きつえん方法ほうほうは安価あんかで手軽てがるな紙巻かみまきたばこ（シガレット）である。

喫煙きつえんは、タバコの葉はに含ふくまれるニコチンを摂取せっしゅする手段しゅだん、または行為こういを指さすが、広義こうぎには大麻たいまの吸引きゅういんを含ふくむことがある。19世紀せいきに出現しゅつげんした紙巻かみまきたばこのほか、噛かみたばこ、葉巻はまき、嗅かぎたばこなどの伝統でんとう的てき商品しょうひんもある。また特殊とくしゅな紙巻かみまきたばことして薬用やくようたばこと称しょうしているものも存在そんざいする。

なお、現代げんだいでは「たばこを『吸すう』」という表現ひょうげんが一般いっぱん的てきに用もちいられる。以前いぜんは、「のむ（飲のむ・呑のむ・喫む）」と表現ひょうげんされる場合ばあいもあった。

歴史れきし

喫煙きつえんする人ひとを象かたどった石像せきぞう

インディアンによる喫煙きつえん

アメリカ先住民せんじゅうみんの喫煙きつえんについては「喫煙きつえんの宗教しゅうきょう的てき見解けんかい」も参照さんしょう

たばこの喫煙きつえんは、ヨーロッパの探検たんけん家かが到達とうたつする前まえから、アメリカ先住民せんじゅうみんによって行おこなわれており、1500年ねん前まえのマヤ文明ぶんめいにおける美術びじゅつ作品さくひんにも喫煙きつえんが描えがかれている。マヤ人じんたちはたばこを生贄いけにえを捧ささげる儀式ぎしき、占うらない、魔除まよけけといった宗教しゅうきょう的てきな用途ようとで用もちいていた。また、北米ほくべいのインディアンは、現在げんざいも宗教しゅうきょう的てきな儀式ぎしきにタバコの葉はを用もちいている。インディアンたちの喫煙きつえん法ほうは、地面じめんに浅あさい穴あなを掘ほり、枝えだや土どでドームを作つくり、中なかでタバコの葉はを燻いぶした煙けむりを、何なん箇所かしょか開あけた穴あなから跪ひざまずいて吸すうというものだった。また、粘土ねんどで作つくったパイプも使つかわれており、あまり首くびの曲まがっていない、直ちょく管かん型がたのものだった。このクレイパイプは、数すう千せん年ねん前まえのインディアンの遺跡いせきからも出土しゅつどしている。

1492年ねん10月12日にち、クリストファー・コロンブスは乾燥かんそうしたタバコの葉はをアラワク族ぞくから与あたえられたが、興味きょうみを示しめさず廃棄はいきしてしまった。その後ごロドリゴ・デ・ヘレス（Rodrigo de Jerez）とルイス・バーエス・デ・トーレス（Luis Váez de Torres）が喫煙きつえんを目撃もくげきした最初さいしょのヨーロッパ人じんとなり、ヘレスがアメリカ州しゅうの外そとで喫煙きつえんした最初さいしょの人物じんぶつとして記録きろくされている。16世紀せいきには喫煙きつえんの習慣しゅうかんは主おもに船乗ふなのりの間あいだで一般いっぱん的てきなものであった。1560年代ねんだいにジョン・ホーキンス（John Hawkins）の船員せんいんによってイングランドにもたらされたが、1580年代ねんだいに至いたるまで大おおきな影響えいきょうを与あたえることはなかった。イングランドでは1820年代ねんだい後期こうきから広ひろく浸透しんとうし始はじめた。1828年ねん、スペインで紙巻かみまきたばこ（シガレット）が登場とうじょうし、一定いっていの商業しょうぎょう的てきな拡張かくちょうをもたらしたが、20世紀せいき初頭しょとうに安価あんかな機械きかい製造せいぞう法ほうが普遍ふへん化かされると、その依存いぞん性せいにより爆発ばくはつ的てきに喫煙きつえん人口じんこうが増加ぞうかした。

第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせんの間あいだ、たばこ製品せいひんは典型てんけい的てきな軍事ぐんじ補給ほきゅう物資ぶっしの一ひとつであった。以降いこう、紙巻かみまきたばこを用もちいた喫煙きつえんは、魅力みりょく的てきで気楽きらくな生活せいかつ様式ようしきの一部いちぶとしてたばこ会社かいしゃにより宣伝せんでんされ、女性じょせいの喫煙きつえんも社会しゃかいの中なかに浸透しんとうし始はじめた。

喫煙きつえんの有害ゆうがい性せいに関かんする歴史れきし

1905年ねんの風刺ふうし画が

煙草たばこを吸すうことで、一時いちじ的てきに疲労ひろうや苦痛くつうが緩和かんわされることから、古ふるくから煙草たばこは薬草やくそうとする場合ばあいが多おおかった。しかし同時どうじに、喫煙きつえん者しゃの様子ようすや、煙草たばこの常習じょうしゅう性せいなどから、喫煙きつえんは薬くすりではなく毒どくではないかという認識にんしきが存在そんざいした。例たとえば、ドイツの哲学てつがく者しゃのゲーテは「喫煙きつえんにはひどい無作法ぶさほう、無礼ぶれいな非ひ社会しゃかい性せいがある。喫煙きつえん者しゃはあたり一帯いったいの空気くうきを汚よごし、喫煙きつえんしたくない、社交しゃこう性せいのある、普通ふつうの優やさしい人間にんげんを窒息ちっそくさせる……」と手紙てがみに記しるしている。日本にっぽんでも面めん山やま和尚おしょうなど、何人なんにんもの仏教ぶっきょう僧侶そうりょや医師いしが煙草たばこの害がい、受動じゅどう喫煙きつえんの害がいなどを報告ほうこくしている。スコットランド及およびイングランドの国王こくおうジェームズ1世せいは喫煙きつえんを「肺はいに危険きけんな風習ふうしゅう」、そして煙草たばこの煙けむりを「地獄じごくから立たち上のぼる業火ごうかの煙けむり」と表現ひょうげん、煙草たばこに重税じゅうぜいをかけた。

1900年ねん、生命せいめい統計とうけい学者がくしゃらが肺癌はいがんの増加ぞうかを指摘してき（喫煙きつえんと疾患しっかんの関連かんれんを示唆しさした最初さいしょとされる）。その後ごさまざまな研究けんきゅうが行おこなわれ、たばこやたばこ煙けむりの成分せいぶんが分析ぶんせきされ始はじめた。やがて臨床りんしょう的てき・病理びょうり学がく的てき・疫学えきがく的てきに、たばこの人体じんたいへの影響えいきょうの研究けんきゅうが進すすみ、1930年ねんには肺はいや循環じゅんかん器き疾患しっかんの発症はっしょう率りつや死亡しぼう率りつの上昇じょうしょうが指摘してきされた。その後ごもさまざまな国くに・研究けんきゅう機関きかんでたばこの研究けんきゅうは増ふえていき、ドイツではナチス統治とうち下かで、またアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは1938年ねんごろ生物せいぶつ学者がくしゃレイモンド・パール（Raymond Pearl）が、たばこは健康けんこうに悪影響あくえいきょうを及およぼすと発表はっぴょうしている。

1939年ねんから1963年ねんの間あいだに、肺癌はいがんに関かんしてだけで29の逆ぎゃく向むき研究けんきゅうが行おこなわれ、1952年ねん-1956年ねんの疫学えきがく研究けんきゅうの発表はっぴょう以降いこう、喫煙きつえんと肺癌はいがんの関係かんけいが特とくに注目ちゅうもくされるようになり、1950年代ねんだいから1960年代ねんだいの間あいだに医学いがく界かいや各国かっこく政府せいふ のコンセンサス「喫煙きつえんは、特とくに肺癌はいがんや心臓しんぞう血管けっかん疾患しっかんに関かんして健康けんこうを脅おびやかす」が発表はっぴょうされた。リーダーズ・ダイジェスト誌しも、喫煙きつえんがいかに公衆こうしゅう衛生えいせいに害がいを及およぼすかを示しめすことによって喫煙きつえん率りつを減少げんしょうさせるキャンペーンを始はじめた。

1954年ねん初頭しょとう、たばこ産業さんぎょうの代表だいひょう者しゃらは、喫煙きつえんと健康けんこうの問題もんだい研究けんきゅうを後押あとおしする目的もくてきで、「たばこ産業さんぎょう研究けんきゅう会かい」（Tobacco lndustry Research Committee／TIRC）を設立せつりつし、研究けんきゅうに積極せっきょく的てきに資金しきん提供ていきょう・情報じょうほう収集しゅうしゅうを行おこない、喫煙きつえんが健康けんこうを害がいするとの科学かがく的てきな証拠しょうこはないと主張しゅちょうした。

1964年ねん、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく公衆こうしゅう衛生局えいせいきょく総そう監かんのルーサー・テリーらの報告ほうこくで『喫煙きつえんと健康けんこう』が発表はっぴょうされた。様々さまざまな禁煙きんえん政策せいさく（en:Cigarette Labeling and Advertising Act、en:Public Health Cigarette Smoking Act）に影響えいきょうを与あたえた。

以前いぜんと比くらべると禁煙きんえん活動かつどうが進すすんだが、世界せかい保健ほけん機構きこう（WHO）は2008年ねん時点じてんで、「世界せかい各国かっこくで喫煙きつえんによる死しの予防よぼうが不十分ふじゅうぶんである」と表明ひょうめいしている。また、同どう機構きこうは、「たばこにより世界せかい全体ぜんたいで毎年まいとし540万まん人にんが死亡しぼうしている」と報告ほうこくしている。

2017年ねん11月26日にちよりアメリカ連邦れんぽう裁判所さいばんしょは、タバコ会社かいしゃ大手おおてであるアルトリア、R.Jレイノルズ、フィリップモリスUSAなどに対たいし、タバコの健康けんこうへの有害ゆうがいな影響えいきょうについて告知こくち広告こうこくを出だすように命令めいれいを下くだした。約やく1年間ねんかんテレビCM、新聞しんぶんにより告知こくち広告こうこくが行おこなわれている。

その中なかで、平均へいきんで1日にちに1200人にんのアメリカ人じんが喫煙きつえんにより死亡しぼうしていること、殺人さつじんや自殺じさつ、交通こうつう事故じこによる死し、エイズや薬物やくぶつ乱用らんよう、アルコールが原因げんいんの死しなどを全部ぜんぶ合算がっさんした数かずよりも多おおくの人ひとが、喫煙きつえんにより死亡しぼうしていることを明記めいきするように求もとめている。

日本にっぽんでも現在げんざいでは、受動じゅどう喫煙きつえんによる死者ししゃが年間ねんかん15000人にんと推定すいていされ（厚生こうせい労働省ろうどうしょう）、ガンや心筋梗塞しんきんこうそく、中耳炎ちゅうじえんや虫歯むしばなどの口腔こうくうの病気びょうき、不ふ妊にんや流産りゅうざんなどの原因げんいんになることが指摘してきされている。

「日本にっぽんの喫煙きつえん」も参照さんしょう

影響えいきょう

社会しゃかい

灰皿はいざらが設置せっちされたベンチ

喫煙きつえんする女性じょせい

税収ぜいしゅう源げん

世界せかい保健ほけん機構きこうは、喫煙きつえんが世界せかい経済けいざいに及およぼすコストは年間ねんかん1兆ちょうドルを超こえるとする一方いっぽうで、2013年ねん-2014年ねんにおけるたばこ税ぜいの税収ぜいしゅうを約やく2,690億おくドルと推定すいていしている。

経済けいざい的てき損失そんしつ

世界銀行せかいぎんこうは喫煙きつえんの全ぜん経済けいざい効果こうかを分析ぶんせきし、たばこを経済けいざい活動かつどうから締しめ出だした場合ばあい、現役げんえき喫煙きつえん者しゃがたばこに費ついやす金銭きんせんは他たの商品しょうひん・サービスに用もちいられて新あらたに雇用こようと経済けいざい活動かつどうが生うまれ、大半たいはんの国くにではたばこ産業さんぎょうで失うしなわれた雇用こようを穴埋あなうめできると試算しさんしている。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの場合ばあい、たばこ消費しょうひをなくしたならば13万まん人にん以上いじょうの雇用こよう増加ぞうかが見込みこめるという試算しさんがある。また保健ほけん社会しゃかい福祉ふくし省しょうは、喫煙きつえんが毎年まいとし1670億おくドル（喫煙きつえん者しゃ一いち人にん当あたり約やく3650ドル、現役げんえき喫煙きつえん者しゃがたばこ購買こうばいに使つかう810億おくドル の倍ばい以上いじょう）の経済けいざい損失そんしつになっていると試算しさんしている。

貧困ひんこん

喫煙きつえんは、世界せかいの貧困ひんこん問題もんだいとの関連かんれん性せいについてしばし議論ぎろんされる。国内外こくないがいの研究けんきゅうにおいては、喫煙きつえん率りつと貧困ひんこん状況じょうきょうの関連かんれんを示唆しさする統計とうけいが存在そんざいする。 世界銀行せかいぎんこうは、2020年ねんまでには喫煙きつえんで死亡しぼうする10人にんのうち7人にんは低てい～中ちゅう所得しょとく諸国しょこくが占しめるようになると予測よそくしている。

死因しいん

喫煙きつえんは、世界せかいで最大さいだいの予防よぼう可能かのうな死因しいんであるとされる。

火事かじ

タバコの火ひの不ふ始末しまつは火事かじの原因げんいんの上位じょういとなっている。

歩あるきタバコ

詳細しょうさいは「路上ろじょう喫煙きつえん」および「歩あるきたばこ」を参照さんしょう

成人せいじんが手てに持もつタバコの高たかさがちょうど子供こどもの目めの高たかさあたりとなり、眼めに接触せっしょくした場合ばあい失明しつめいの危険きけん性せいが有ある。非常ひじょうに危険きけんかつ迷惑めいわくな行為こういとされ、各かく自治体じちたいに置おいて条例じょうれいで規制きせいされている。

悪臭あくしゅう

たばこの煙けむりにはアセトアルデヒドやアンモニアやスカトールをはじめとする臭においの元もととなる成分せいぶんが数すう千せん種類しゅるい以上いじょう含ふくまれており、それらを燃焼ねんしょうさせることでより強つよい悪臭あくしゅうとなる。消けし臭しゅう剤ざい・芳香ほうこう剤ざい市場いちばでは主おもな悪臭あくしゅう源げんのひとつに「たばこの臭くさい」が挙あげられ、アンケートでも嫌きらいな臭くさい第だい1位いになることもある。喫煙きつえん者しゃの中なかにも、たばこの臭においを忌避きひする傾向けいこうがある。また煙けむりにはタールが含ふくまれているため、衣服いふくなどに吸着きゅうちゃくした臭においは取とれにくい。エアコンにこびり付ついたたばこの悪臭あくしゅう除去じょきょは難むずかしく、フィルターの交換こうかんやエバポレーターの洗浄せんじょうなど手間てまと費用ひようを要ようする。

吸すい殻がら

側溝そっこうにポイ捨ぽいすてされた紙巻かみまきたばこの吸殻すいがら

「ポイ捨ぽいすて」も参照さんしょう

吸すい終おわったたばこを吸すい殻がらといい、世界中せかいじゅうで海岸かいがんゴミを拾ひろっている国際こくさい海岸かいがんクリーンアップキャンペーンによれば、上位じょうい十じゅう傑すぐるのプラスチックゴミ（2007年ねん現在げんざい）を除のぞくと、海岸かいがんゴミの中なかでは紙巻かみまきたばこ関係かんけいが最もっとも多おおく、残のこりの約やく3分ぶんの1を占しめる。

人体じんたい

喫煙きつえんが人体じんたいに与あたえる影響えいきょう

たばこの煙けむりには有害ゆうがい物質ぶっしつが大量たいりょうに含ふくまれ、健康けんこうに著いちじるしい悪影響あくえいきょうを与あたえる。たばこの喫煙きつえん、また受動じゅどう的てき喫煙きつえん環境かんきょうはIARC発はつがん性せいでグループ1（発はつがん性せいあり）に分類ぶんるいされる。世界せかい保健ほけん機関きかん (WHO) によると、世界せかいで喫煙きつえんによる死亡しぼう者しゃは年間ねんかん600万まん人にん、全ぜん世界せかいで、今日きょう喫煙きつえんをしている人々ひとびとの半数はんすうである6億おく5千せん万まん人にんは、喫煙きつえんが最終さいしゅう的てきに原因げんいんで死亡しぼうするとし、受動じゅどう喫煙きつえんががんなどの深刻しんこくな健康けんこう被害ひがいを引ひき起おこすことに疑問ぎもんの余地よちはないとしている。 また世界せかい医師いし会かいは、非ひ喫煙きつえん者しゃは受動じゅどう喫煙きつえんによって、毎年まいとし数すう十じゅう万まん人にんが死亡しぼうしており、職場しょくばの受動じゅどう喫煙きつえんによって死亡しぼうする労働ろうどう者しゃは毎年まいとしおよそ20万まん人にんいるとの声明せいめいを発表はっぴょうし、「喫煙きつえんをはじめとしたたばこ使用しようは、すべての臓器ぞうきを侵おかし、ガン・心臓しんぞう病びょう・脳卒中のうそっちゅう・慢性まんせい閉塞へいそく性せい肺はい疾患しっかん・胎児たいじへの傷害しょうがいなどの主要しゅような原因げんいんとなっている。」とし、また「4000種しゅ以上いじょうの化学かがく物質ぶっしつ、50種しゅ以上いじょうの発はつガン物質ぶっしつなどの有害ゆうがい物質ぶっしつを含ふくむたばこ煙けむりにさらされる非ひ喫煙きつえん者しゃは、肺はいガンや心臓しんぞう病びょうなどの病気びょうきで命いのちを脅おびやかされている。」とした。

喫煙きつえんが健康けんこうに有害ゆうがいであることを前提ぜんていとし、たばこ規制きせいに取とり組くむ国際こくさい組織そしきは、世界せかい医師いし会かい (World Medical Association)、国際こくさい薬学やくがく連合れんごう (International Pharmaceutical Federation)、国際こくさい歯科しか連盟れんめい (World Dental Federation)、世界せかい医療いりょう従事じゅうじ者しゃ協会きょうかい (World Health Professional Alliance)、世界せかい理学りがく療法りょうほう連盟れんめい (World Confederation for Physical Therapy) がある。

日本にっぽんでも健康けんこうに影響えいきょうする最大さいだいの原因げんいんである。欧州おうしゅう委員いいん会かいは、喫煙きつえんによる死亡しぼうを70万まん人にん、交通こうつう事故じこを4.3万まん人にん、自殺じさつ3.3万まん人にん、他殺たさつ1.8万まん人にんとしている。

スポーツや武道ぶどうの世界せかいでも喫煙きつえんは認みとめられないといわれるほどに害悪がいあくとされている風潮ふうちょうが強つよい。

たばこ関連かんれん疾患しっかん

「たばこの喫煙きつえんに関かんする疾患しっかんの一覧いちらん」および「女性じょせいによる喫煙きつえんの健康けんこうへの影響えいきょう」も参照さんしょう

依存いぞん症しょう

使用しよう人口じんこうに対たいする依存いぞん症しょうになった人ひとの割合わりあい（1999年ねん）

依存いぞん薬物やくぶつ	依存いぞん
タバコ	32%
ヘロイン	23%
コカイン	17%
アルコール	15%
抗こう不安ふあん剤ざい（鎮痛ちんつう剤ざいや睡眠すいみん剤ざいを含ふくむ）	09%
大麻たいま	09%

詳細しょうさいは「ニコチン#依存いぞん性せい」を参照さんしょう

• ニコチンは極きわめて強つよい依存いぞん性せいを持もつ。
• 喫煙きつえん者しゃの約やく七なな割わりがニコチン依存いぞん症しょうであり（約やく四よん割わりが無自覚むじかく）、その中なかの過半数かはんすうが将来しょうらい自身じしんが肺癌はいがんになる可能かのう性せいが高たかいことを自覚じかくしている。ニコチン依存いぞん症しょうの多おおくが禁煙きんえんを希望きぼうし、実際じっさいに禁煙きんえんを試こころみてみたものの失敗しっぱいしている。
• ニコチンは、神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつであるアセチルコリンに分子ぶんし構造こうぞうが類似るいじし、ニコチン性せいアセチルコリン受容じゅよう体たい（受容じゅよう体たい）に作用さようすることで、中枢ちゅうすう神経しんけいのドパミン神経しんけい系けい、特とくに脳のう内ない報酬ほうしゅう系けいを活性かっせい化かする。そのため、摂取せっしゅ後ごに一時いちじ的てきに快こころよの感覚かんかくや覚醒かくせい作用さようを得えられる。動物どうぶつ実験じっけんなどの知見ちけんからもニコチンは明あきらかな依存いぞん性せいを持もつ。このような報酬ほうしゅう系けいを介かいした薬理やくり作用さようは、覚醒剤かくせいざいなど依存いぞん性せいを有ゆうする他ほかの薬物やくぶつと共通きょうつうする特性とくせいがみられる。

がん

喫煙きつえんと肺はいがんの相関そうかん関係かんけい（アメリカの男性だんせい）。1年ねんごとの喫煙きつえん率りつの増加ぞうか（左ひだり）と肺はいがんの罹患りかん率りつ（右みぎ）を示しめしている。喫煙きつえん率りつ増加ぞうかに約やく20年ねん遅おくれて肺癌はいがんの罹患りかん率りつが増加ぞうかしている。ただしこのグラフには大だい規模きぼ調査ちょうさの行おこなわれていない1960年ねん以前いぜんの出所しゅっしょ不明ふめいのデータが合成ごうせいされており注意ちゅういが必要ひつようである。

• 喫煙きつえんはがんの原因げんいんになる。喫煙きつえんが「がん」を引ひき起おこすメカニズムは、たばこ煙けむりに含ふくまれる発はつがん物質ぶっしつが、細胞さいぼう内ないのDNAを傷きずつけるためである。例たとえば、たばこ煙けむりに含ふくまれる発はつがん物質ぶっしつのベンツピレンは体内たいないで代謝たいしゃされる時ときに、ベンツピレンジオールエポキシドに変かわり、これは「究極きゅうきょく発はつがん物質ぶっしつ」と呼よばれる。ベンツピレンジオールエポキシドは細胞さいぼうのDNAと結合けつごうした「付加ふか体たい」となり、これが一般いっぱんに「DNAの損傷そんしょう」といわれる。特とくに常習じょうしゅう的てきにタバコを吸すい続つづける喫煙きつえん者しゃらを「チェーン・スモーカー、ないしはヘヴィー・スモーカー」といわれる。
• 厚生こうせい労働省ろうどうしょうの健康けんこう日本にっぽん21は、たばこが、肺癌はいがん、喉頭こうとう癌がん、口腔こうくう癌がん・咽頭いんとう癌がん、食道しょくどう癌がん、胃癌いがん、膀胱ぼうこう癌がん、腎盂じんう・尿にょう管かんがん、膵癌など多おおくのがんの危険きけん因子いんしであるとしている。
• 喫煙きつえんは誰だれでもがんに罹かかりやすくするが、特定とくていの遺伝いでん的てき素因そいんを持もつ人ひとは特とくに罹かかりやすい。喫煙きつえんは肺はいがんリスクの高たかい遺伝子いでんしを持もった人ひとが喫煙きつえんを続つづけると肺はいがんリスクがより大おおきいとして、注意ちゅうい喚起かんきが行おこなわれている。
• 千葉大学大学院医学研究院准教授の廣島ひろしま健三けんぞうによる肺はいがんに関かんする遺伝子いでんし異常いじょうの研究けんきゅうによると、喫煙きつえん者しゃの気道きどう上皮じょうひには、癌がんになる前まえに既すでに、喫煙きつえんがもたらす遺伝子いでんし異常いじょうが起おきており、多おおくの遺伝子いでんし異常いじょうが蓄積ちくせきされて癌がんが発生はっせいする。この研究けんきゅうでは、「肺癌はいがんによる死亡しぼう率りつを減少げんしょうさせるためには、厳重げんじゅうな禁煙きんえんが重要じゅうようである」としている。

慢性まんせい閉塞へいそく性せい肺はい疾患しっかん（COPD）の肺はい。肺気腫はいきしゅに罹患りかんし、黒色こくしょく炭素たんそ（black carbon）が見みられる。アメリカ疾病しっぺい予防よぼう管理かんりセンター（CDC）所蔵しょぞう。1973年ねん。

喫煙きつえんが肺はいに及およぼす影響えいきょうを示しめした図ずを広ひろげる米べい海軍かいぐんの衛生えいせい兵へい。保健ほけん衛生えいせいの講義こうぎに訪おとずれた、横須賀よこすか米べい海軍かいぐん基地きちの小学校しょうがっこうにて。2003年ねん。

呼吸こきゅう器き疾患しっかん

• 喫煙きつえんにより慢性まんせい気管支炎きかんしえん、肺気腫はいきしゅなど2つの疾患しっかんのことをまとめて慢性まんせい閉塞へいそく性せい肺はい疾患しっかん（COPD）ともいう。ヒトの肺はいは、数すう億おく個この直径ちょっけい約やく0.1mmの肺はい胞で構成こうせいされ、その総そう面積めんせきは約やく50～60m²であり、この肺はい胞を介かいして血液けつえきと空気くうき中ちゅうの二酸化炭素にさんかたんそ、酸素さんそなどのガス交換こうかんを行おこなっている。肺はい胞がたばこの煙けむりに曝露ばくろされることで肺はい胞壁の炎症えんしょう、破壊はかいが生しょうじ、結果けっか的てきにガス交換こうかん可能かのうな面積めんせきが減少げんしょうしてしまう。これが肺気腫はいきしゅの状態じょうたいである。通常つうじょうの空気くうきを呼吸こきゅうするだけでは充分じゅうぶんなガス交換こうかんを行おこなえず、また肺はい胞の破壊はかいによって生しょうじた肺はいの空洞くうどうによって胸郭きょうかくの動うごきが制限せいげんされ、呼吸こきゅう困難こんなんとなる。重症じゅうしょうになると運動うんどう制限せいげんや酸素さんそ吸入きゅうにゅうを要ようする状態じょうたいになる。喫煙きつえんは気管支きかんし喘息ぜんそくも悪化あっかさせることが知しられている。
• たばこの煙けむりに含ふくまれる活性かっせい酸素さんそは、血管けっかん内皮ないひ細胞さいぼうを障害しょうがいする。そのため、動脈どうみゃく硬化こうかが促進そくしんされ、狭心症きょうしんしょう、心筋梗塞しんきんこうそく、脳血栓のうけっせん 、脳のう塞ふさが栓せん、動脈どうみゃく硬化こうか、動脈どうみゃく瘤こぶ、閉塞へいそく性せい血栓けっせん性せい血管けっかん炎えん（バージャー病びょう）などのリスクが増加ぞうかすることが統計とうけい的てきに示しめされている。高血圧こうけつあつ症しょう治療ちりょうに用もちいられる、βべーた遮断しゃだん薬やくの降圧こうあつ効果こうかを減げんじる作用さようがある。

妊娠にんしん、胎児たいじ

詳細しょうさいは「喫煙きつえんによる妊娠にんしんへの影響えいきょう」を参照さんしょう

「喫煙きつえんによる妊にん婦ふの疾患しっかん一覧いちらん」および「受動じゅどう喫煙きつえんによる妊にん婦ふの疾患しっかん一覧いちらん」も参照さんしょう

• 喫煙きつえんは、妊娠にんしんを脅おびやかす最大さいだいの防ふせぎうる危険きけん因子いんしである。周しゅう産さん期き死亡しぼうの10%・低てい出生しゅっしょう体重たいじゅう児じの35%・早産そうざんの15%が喫煙きつえんに起因きいんするという研究けんきゅう がある。妊娠にんしん中ちゅうに能動のうどう喫煙きつえんあるいは受動じゅどう喫煙きつえんすると、流産りゅうざん、早産そうざんの可能かのう性せいが上昇じょうしょうし、出生しゅっしょう後ごの 乳幼児にゅうようじ突然とつぜん死し症候群しょうこうぐん（SIDS）、中耳炎ちゅうじえん、呼吸こきゅう器き感染かんせん症しょうや行動こうどう障害しょうがいなどの罹患りかん率りつが増加ぞうかする。また、口蓋こうがい裂きれ、口唇こうしん裂きれ などの先天せんてん異常いじょうの危険きけん性せいも高たかまる。
• 禁煙きんえんなどによる精神せいしん的てきストレスは喫煙きつえんほど胎児たいじに多大ただいな影響えいきょうを及およぼさないことを、英国えいこくの疫学えきがく研究けんきゅう が示しめしている。日本にっぽんでは母子ぼし手帳てちょうに「喫煙きつえんを直ただちにやめる」よう記載きさいされている。

免疫めんえき低下ていか・感染かんせん症しょう

• 小児しょうににおいて、喫煙きつえん環境かんきょうと中耳炎ちゅうじえんの因果いんが関係かんけいが明あきらかであるとする意見いけんがある。また喫煙きつえんは、インフルエンザへの感染かんせんリスクも数すう倍ばい高たかく、感染かんせん症しょうのリスクを増加ぞうかさせる。喫煙きつえん者しゃは呼吸こきゅう器きを傷害しょうがいするなどのメカニズムにより肺はい結核けっかくの危険きけんも高たかい。

歯科しか疾患しっかん

喫煙きつえんによるニコチンが歯は周しゅう病びょうのリスクファクターとなることが報告ほうこくされている。皮膚ひふや粘膜ねんまくから吸収きゅうしゅうされたニコチンによりサイトカインや好こう中ちゅう球だま、マクロファージ、線維せんい芽め細胞さいぼうに影響えいきょうを与あたえる事ことで免疫めんえき応答おうとうや炎症えんしょう反応はんのう、歯は周しゅう組織そしきの再生さいせいや修復しゅうふくに影響えいきょうを与あたえるほか、歯肉はにくの血管けっかん収縮しゅうしゅくにより酸素さんそ分ぶん圧あつの低下ていかした歯は周しゅうポケット内部ないぶで歯は周しゅう病びょうの原因げんいんとなる細菌さいきんの定着ていちゃくや増殖ぞうしょくが促進そくしんされる可能かのう性せいも指摘してきされている。疫学えきがく的てきには喫煙きつえんによるオッズ比ひが1.66 と報告ほうこくされているのみならず、受動じゅどう喫煙きつえんでもオッズ比ひ1.57 と報告ほうこくされている。さらに、喫煙きつえん者しゃにおいてニコチンの血管けっかん収縮しゅうしゅく効果こうかにより炎症えんしょう反応はんのうが抑制よくせいされていることから実際じっさいには歯は周しゅう病びょうの患者かんじゃが喫煙きつえん者しゃでは隠かくれている可能かのう性せいも指摘してきされている。カナダのたばこの包装ほうそうには、進行しんこうした歯は周しゅう病びょうの写真しゃしんと「たばこは歯は周しゅう病びょうを起おこす」というメッセージが表示ひょうじされている。

精神せいしん疾患しっかん

• 喫煙きつえんする人ひとほど自殺じさつ願望がんぼうを抱いだきやすいとする研究けんきゅうが、ドイツの青年せいねん層そうを対象たいしょうとしたインタビュー調査ちょうさでなされているが、因果いんが関係かんけいが示しめされているわけではない。
• 禁煙きんえんは治療ちりょうの有無うむを問とわず様々さまざまな症状しょうじょうを伴ともなうことが報告ほうこくされており、基礎きそ疾患しっかんとして有ゆうしている精神せいしん疾患しっかんの悪化あっかを伴ともなうことがある。

神経しんけい疾患しっかん

• トゥレット症候群しょうこうぐんが改善かいぜんしたという報告ほうこくがある。
• 振ふ震ふるえを悪化あっかさせるとの報告ほうこくがある。
• 小脳しょうのう性せい運動うんどう失調しっちょうを悪化あっかさせるとの報告ほうこくがある。機き序じょとしてアセチルコリン系けいの機能きのう亢進こうしんが考かんがえられている。
• ミオクローヌスてんかん患者かんじゃの症状しょうじょうを悪化あっかさせるとともに下肢かしの脱力だつりょくを誘発ゆうはつしたという報告ほうこくがある。
• 多発たはつ性せい硬化こうか症しょう患者かんじゃの動作どうさの迅速じんそく性せいを低下ていかさせたとの報告ほうこくがある。

その他たの疾患しっかん

• 糖尿とうにょう病びょう：2007年ねんに発表はっぴょうされたメタ分析ぶんせき（対象たいしょう論文ろんぶん25、調査ちょうさ人数にんずう1200万まん人にん）によれば、現役げんえき喫煙きつえん者しゃは非ひ喫煙きつえん者しゃよりも2型がた糖尿とうにょう病びょうの罹患りかん率りつが1.6倍ばい高たかいという。
• 勃起ぼっき不全ふぜん（ED）：現役げんえき喫煙きつえん者しゃは非ひ喫煙きつえん者しゃよりも2倍ばい以上いじょう勃起ぼっき不全ふぜんの罹患りかん率りつが高たかいという。

受動じゅどう喫煙きつえん

詳細しょうさいは「受動じゅどう喫煙きつえん」を参照さんしょう

非ひ喫煙きつえん者しゃが喫煙きつえん者しゃのたばこ煙けむりを吸すう受動じゅどう喫煙きつえんにより、肺はいがんや虚きょ血ち性せい心こころ疾患しっかん、呼吸こきゅう器き疾患しっかん、乳幼児にゅうようじ突然とつぜん死し症候群しょうこうぐんなどの危険きけん因子いんしになっている とされる。受動じゅどう喫煙きつえん者しゃの死亡しぼう率りつは10万まん人にんに5000人にん、すなわち20人にんに1人ひとりであると言いわれている。

受動じゅどう喫煙きつえんを及およぼすたばこ煙けむりを環境かんきょうたばこ煙けむりと呼よぶこともあるが、1997年ねん2月がつにカリフォルニア州しゅう環境かんきょう保護ほご庁ちょう（Ca-EPA）が発表はっぴょうした「環境かんきょうたばこ煙けむり曝露ばくろによる健康けんこう影響えいきょう」（Health Effect of Exposure to Environmental Tobacco Smoke）では、環境かんきょうたばこ煙けむりは、肺はいがん、副ふく鼻腔びこうがん、心臓しんぞう病びょう、冠状かんじょう動脈どうみゃく疾患しっかん、乳幼児にゅうようじ突然とつぜん死し症候群しょうこうぐん、低てい体重たいじゅう児じ、未熟みじゅく児じ、気管支きかんし喘息ぜんそく、慢性まんせい呼吸こきゅう疾患しっかんなどの原因げんいんになると言いわれている。また伊い佐山さやま芳郎よしおは、アメリカでの受動じゅどう喫煙きつえんが原因げんいんの肺はいがん死亡しぼう率りつは10万まん人にん中ちゅう700～1000人にんであり、心筋梗塞しんきんこうそく死しは10万まん人にん中ちゅう3000人にんが死亡しぼうすると推定すいていされると主張しゅちょうした。

平山ひらやま論文ろんぶん

詳細しょうさいは「平山ひらやま論文ろんぶん」を参照さんしょう

国立こくりつがんセンター長ちょうの平山ひらやま雄つよしは1966年ねん（昭和しょうわ41年ねん）から1981年ねん（昭和しょうわ56年ねん）にわたって、40歳さい以上いじょうの健康けんこうな妻つま91,540人にんの中なかから発生はっせいした200人にんの肺はいがん患者かんじゃを疫学えきがく調査ちょうさし、夫おっとが喫煙きつえんする家庭かていでは、非ひ喫煙きつえん者しゃの妻つまが肺はいがんにかかって死亡しぼうする危険きけん性せいがあるとした。この平山ひらやま論文ろんぶんは受動じゅどう喫煙きつえんが持もつリスクを世界せかいで初はじめて指摘してきしたものだが、調査ちょうさ手法しゅほうの不備ふびについて批判ひはんも受うけている。 1985年ねん2月がつ12日にち、フランスのリヨンでWHOの機関きかんである国際こくさいがん研究けんきゅう機関きかんの医学いがく専門せんもん家かが50人にん集あつまり、たばこ煙けむりはヒトへの発はつがん性せいがあるか否ひかについて最終さいしゅう的てきな結論けつろんをだす会議かいぎが開ひらかれ、平山ひらやまも参加さんかした。化学かがく的てき、生物せいぶつ学がく的てき、疫学えきがく的てきに検討けんとうされ、受動じゅどう喫煙きつえんについても日本にっぽんを含ふくむ各国かっこくの研究けんきゅう内容ないようの一ひとつ一ひとつについて詳くわしい検討けんとう、批判ひはん、議論ぎろんを行おこなった。会議かいぎ最終さいしゅう日びには満場一致まんじょういっちで「たばこの煙けむり（主流しゅりゅう煙けむり、副ふく流りゅう煙けむり）のヒトへの発はつがん性せいの証拠しょうこは十分じゅうぶん」であると結論けつろんされた。

有益ゆうえきな効果こうか

ニコチン

ニコチンが結合けつごうするニコチン性せいアセチルコリン受容じゅよう体たい

詳細しょうさいは「ニコチン#医学いがく的てき研究けんきゅう」を参照さんしょう

2002年ねんと2007年ねんに行おこなわれたメタアナリシスでは、たばこの喫煙きつえんがパーキンソン病びょうリスクを低減ていげんすることが示しめされた。

これらの研究けんきゅうの根拠こんきょとして、タバコに含ふくまれるアルカロイドであるニコチンの神経しんけい保護ほごおよび認知にんち能力のうりょくの改善かいぜん作用さようが挙あげられる。これは複数ふくすうの研究けんきゅう及およびメタアナリシスの結果けっかにより支持しじされている。41件けんの二に重じゅう盲めくら検けん研究けんきゅうを使用しようしたメタアナリシスにおいて、ニコチンは認知にんち能力のうりょくを向上こうじょうさせる作用さようがあると結論けつろん付つけられた。また、1960年ねんから2004年ねんの研究けんきゅうを調しらべた2007年ねんのメタアナリシスでは、性別せいべつ・年齢ねんれいにかかわらずニコチンがパーキンソン病びょうの防御ぼうぎょ因子いんしになると報告ほうこくされた。

ニコチンはニコチン性せいアセチルコリン受容じゅよう体たいに結合けつごうすることで作用さようする。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおいて、ニコチンと同おなじくアセチルコリン受容じゅよう体たいに作用さようするアセチルコリンエステラーゼ阻害そがい薬やくであるガランタミンがアルツハイマー病びょうの薬くすりとしてFDAに承認しょうにんされ、販売はんばいされている。

ただし、たばこの喫煙きつえんの場合ばあいはニコチンだけでなくタールを多量たりょうに含ふくむため、別べつのリスクが生しょうじる。ニコチン単体たんたいの低てい用量ようりょう長期ちょうき投与とうよはうつ病びょうリスクを低下ていかさせた が、その一方いっぽうで女性じょせいのたばこ喫煙きつえんではうつ病びょうに罹患りかんするリスクが高たかまるとの研究けんきゅう結果けっかがある。喫煙きつえんではなく食事しょくじによるニコチンの摂取せっしゅでもパーキンソン病びょうの治療ちりょうおよび予防よぼうになり得える。

電子でんし機器きき

精密せいみつ機器ききであるコンピュータはタバコの煙けむりのような微粒子びりゅうしによる汚染おせんに弱よわく、故障こしょうの原因げんいんとなる。マイクロソフト社しゃはハードウェアの問題もんだいを最小限さいしょうげんに抑おさえる方法ほうほうのひとつとして、コンピュータの周囲しゅういで喫煙きつえんしないことを薦すすめている。各かく金属きんぞく接点せってんに付着ふちゃくすることにより接触せっしょく不良ふりょうを起おこす原因げんいんとなる。また空気くうきの通とおり道みちにタールが付着ふちゃくすることによりそこへゴミが張はり付つき、温度おんど上昇じょうしょうやトラブルの原因げんいんとなる。たばこの煙けむりは、かつて汎用はんよう機きなどで使つかわれた半はん密閉みっぺい型がたハードディスクドライブ等ひとしに対たいし特とくに悪影響あくえいきょうがあり、その寿命じゅみょうを縮ちぢめるといわれた。これは精密せいみつ機器ききである磁気じき記録きろくディスクの表面ひょうめんにある磁性じせい体たいの溝みぞが、たばこの煙けむりの粒子りゅうしより当時とうじは大おおきく（溝みぞが小ちいさいから不安定ふあんていというのは誤解ごかい）、この溝みぞに煙けむりがかかることで読よみ書かきが安定あんていしないからである。

産業さんぎょう

たばこ会社かいしゃによる欺瞞ぎまん的てき主張しゅちょう

• 1995年ねん、カリフォルニア大学だいがく医学部いがくぶの5名めいの研究けんきゅうチームは、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ社しゃ（BAT社しゃ）とブラウン・アンド・ウィリアムソン社しゃ（B&W社しゃ） の1962年ねんから1984年ねんにわたる内部ないぶ文書ぶんしょを入手にゅうしゅし、内容ないようを暴露ばくろした。それによると、両社りょうしゃはニコチンの薬理やくり学がく的てきな研究けんきゅうを進すすめる過程かていで、たばこの嗜癖性せいをもたらすニコチンの作用さようを、早はやい時期じきからはっきり認識にんしきしていた。それにも関かかわらず、1994年ねんに同社どうしゃを含ふくむ7大だいたばこ会社かいしゃの最高さいこう責任せきにん者しゃたちは、「ニコチンに嗜癖性せいはない」と主張しゅちょうしていた。それらの嘘うそに対たいしてたばこ会社かいしゃは1996年ねん、全米ぜんべい各州かくしゅうに約やく2460億おくドルもの巨額きょがくの賠償金ばいしょうきんを支払しはらうことになった。その一方いっぽうで、世界せかいで初はじめて受動じゅどう喫煙きつえんのリスクを指摘してきした平山ひらやま論文ろんぶんに対たいし、数すう百ひゃく万まんドルを投とうじて批判ひはんキャンペーンも行おこなった。

たばこ産業さんぎょうによる資金しきん提供ていきょう

• カリフォルニア大学だいがくのBarnesらは、受動じゅどう喫煙きつえんの健康けんこうへの影響えいきょうについて1980年ねんから1995年ねんの間あいだに発表はっぴょうされた106編へんの論文ろんぶんを調査ちょうさしたところ、67編へん（63%）の論文ろんぶんでは受動じゅどう喫煙きつえんは有害ゆうがいであるとしていたが、39編へん（37%）の論文ろんぶんでは受動じゅどう喫煙きつえんの有害ゆうがい性せいが否定ひていされていた。この39編へんの論文ろんぶんのうち、29編へんがたばこ産業さんぎょうから資金しきん提供ていきょうを受うけていた。統計とうけい的てきには、ある論文ろんぶんが受動じゅどう喫煙きつえんが健康けんこうに害がいを与あたえないという結論けつろんを出だすことと有意ゆういに関連かんれんした因子いんしは、さまざまな因子いんしのうち"たばこ産業さんぎょうからの資金しきん提供ていきょうを受うけていたこと"のみであった（しかもオッズ比ひ88.4倍ばいと、非常ひじょうに強つよく関連かんれんしていた）。
• 2003年ねん、エンストロームとカバットが「受動じゅどう喫煙きつえんと虚きょ血ち性せい疾患しっかん・肺癌はいがんとの関連かんれん性せいは、一般いっぱんに考かんがえられているより小ちいさいかもしれない」と結論けつろんする研究けんきゅうを、たばこ産業さんぎょうの資金しきん援助えんじょの下したで行おこない、発表はっぴょうした（エンストローム論文ろんぶん）。これは後のちに、「大衆たいしゅうを欺あざむく目的もくてきで科学かがくに操作そうさを加くわえた詐欺さぎ行為こういの証拠しょうこ」とされた。
• 英国えいこくの哲学てつがく者しゃであるロジャー・スクルートンは、過去かこにたばこを擁護ようごする内容ないようの記事きじを新聞しんぶんや雑誌ざっしに投稿とうこうしていたが、日本にほんたばこ産業さんぎょう（JT）から資金しきん援助えんじょを受うけていたことが2002年ねんに暴露ばくろされた。スクルートンは他たに、「マクドナルドの製品せいひんの方ほうが健康けんこうに悪わるいと印象いんしょうづけるべきだ」「WHOの信頼しんらい性せいを疑うたがわせるような記事きじをメディアに載のせるべきだ」などの助言じょげんをJTに対たいして与あたえていた（経緯けいいの詳細しょうさいはロジャー・スクルートンを参照さんしょう）。

規制きせい

禁煙きんえんスペースであることを知しらせる標識ひょうしき

パッケージの警告けいこく表示ひょうじ

詳細しょうさいは「たばこ警告けいこく表示ひょうじ」を参照さんしょう

広告こうこく規制きせい

たばこの箱はこに書かかれるさまざまな警告けいこく文ぶん （英語えいご）

詳細しょうさいは「たばこ広告こうこく規制きせい」を参照さんしょう

F1では、以前いぜん多おおくのたばこ会社かいしゃが車体しゃたいに広告こうこくを出だしていたが、2006年度ねんど以降いこうヨーロッパをはじめ世界中せかいじゅうでたばこ広告こうこくが禁止きんしされるようになったことで、たばこ会社かいしゃはフィリップ・モリスを除のぞき全社ぜんしゃがF1のスポンサーから撤退てったいした。現時点げんじてんで、2005年度ねんど以降いこうF1全ぜんレースにおいてたばこ広告こうこくは存在そんざいしておらず、たばこ広告こうこくを禁止きんしする法律ほうりつがないバーレーンでも、フィリップ・モリス（フェラーリのスポンサー）は車体しゃたいに広告こうこくを載のせておらず、今後こんご国こくを問とわず全ぜんレースで車体しゃたいに広告こうこくを載のせない方針ほうしんであることからF1からたばこ広告こうこくが消きえることになった。 日本にっぽんでは、以前いぜんたばこのコマーシャル（広告こうこく）が放送ほうそう、新聞しんぶん、雑誌ざっしなどのメディアで頻繁ひんぱんに行おこなわれていたが、青少年せいしょうねんの喫煙きつえんを促うながすとともに健康けんこうへの悪影響あくえいきょうを懸念けねんする意見いけんが多おおくなったことから、段階だんかいを追おってコマーシャルを自主じしゅ規制きせいする動うごきが出でている。

交通こうつう機関きかんの喫煙きつえん規制きせい

詳細しょうさいは「交通こうつう機関きかんの喫煙きつえん規制きせい」を参照さんしょう

各国かっこくの喫煙きつえん規制きせい

「禁煙きんえん」および「喫煙きつえん規制きせいの一覧いちらん」も参照さんしょう

一覧いちらん中ちゅうの国名こくめいのリンクが太字ふとじのものは「フランスの喫煙きつえん」などの国くに別べつトピックにリンクされていることを示しめす。

日本にっぽん

詳細しょうさいは「日本にっぽんの喫煙きつえん#日本にっぽんの喫煙きつえん規制きせい」、「日本にっぽんの都道府県とどうふけん別べつの喫煙きつえん対策たいさく一覧いちらん」、「日本にっぽんの交通こうつう機関きかんの喫煙きつえん規制きせい」、および「健康けんこう増進ぞうしん法ほう」を参照さんしょう

• 日本にっぽん - 2002年ねん（平成へいせい14年ねん）8月がつ2日にちに健康けんこう増進ぞうしん法ほうが公布こうふされ、2003年ねん（平成へいせい15年ねん）5月がつ1日にちに施行しこうされた。また、2010年ねん（平成へいせい22年ねん）2月がつ25日にちには厚生こうせい労働省ろうどうしょうは健康けんこう増進ぞうしん法ほうに基もとづき公共こうきょう施設しせつを原則げんそく的てきに全面ぜんめん禁煙きんえんとするよう求もとめる「健けん発はつ0225第だい2号ごう」通知つうちを出だした。さらに2014年ねん（平成へいせい26年ねん）6月がつ25日にち、労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせい法ほうの改正かいせい法ほうが公布こうふされ、第だい68条じょうの2で事業じぎょう主ぬしに労働ろうどう者しゃの受動じゅどう喫煙きつえん防止ぼうしの努力どりょく義務ぎむが定さだめられた。2015年ねん（平成へいせい27年ねん）6月がつ1日にちより施行しこう。

北中きたじゅう米まい・カリブ海かりぶかい

• 米国べいこく - 州しゅうや都市としによって異ことなるが、飲食いんしょく店内てんないや公共こうきょうの空間くうかんでは全面ぜんめん禁煙きんえんであることが通常つうじょうである。たばこメーカーに対たいする喫煙きつえん被害ひがいに関かんする訴訟そしょうは広ひろく知しられている（アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおける喫煙きつえん規制きせいの一覧いちらんも参照さんしょう）。タバコの購入こうにゅう、喫煙きつえんの年齢ねんれい制限せいげんは州しゅうごとに異ことなる。多おおくは18歳さいから19歳さいであったが、ハワイ州しゅうを始はじめカリフォルニア州しゅう、ニュージャージー州しゅうは21歳さいに引ひき上あげている。
• カナダ - 喫煙きつえん室しつを除のぞく屋内おくないの公共こうきょう空間くうかん、交通こうつう機関きかんが禁煙きんえん。
• キューバ - 葉巻はまきが特産とくさん物ぶつだったキューバでも大だい規模きぼな禁煙きんえん政策せいさくが実施じっしされている。1986年ねん、最高さいこう指導しどう者しゃであるフィデル・カストロ議長ぎちょう（当時とうじ）が自身じしんの健康けんこうのためと国民こくみんに禁煙きんえんの重要じゅうようさをアピールするため、自みずから禁煙きんえん宣言せんげんを行おこなった。

ヨーロッパ

紙巻かみまきたばこに関かんしては、概がいして非常ひじょうに高額こうがくなたばこ税ぜいが課かされている（ただし、原価げんかや利益りえき率りつ等とうが高たかい場合ばあいや、物価ぶっか自体じたいが高たかい場合ばあいもあり、そういった場合ばあいは、相対そうたい的てきに安やすく感かんじるため、一概いちがいには言いえない）。ただし、手て巻まき煙草たばこやパイプ煙草たばこ等とうはそこまで高たかくない場合ばあいが多おおい。

• フランス - フランスではエヴァン法ほう（1991年ねん制定せいてい）に基もとづき喫煙きつえんが規制きせいされている。2007年ねん2月がつより同どう法ほう改定かいていによって空港くうこうや病院びょういん、学校がっこう、駅えき（プラットフォームを除のぞく）などの公共こうきょう空間くうかんにおける禁煙きんえんが定さだめられ、違反いはん者しゃに対たいする罰金ばっきんも設定せっていされた。2008年ねん1月がつからは公共こうきょうの場所ばしょ、および飲食いんしょく店てんでの喫煙きつえんが全面ぜんめん禁止きんしとなった。
• イタリア - 2005年ねん1月がつ10日とおかから「禁煙きんえん法ほう」が施行しこうされ、それまでの公共こうきょう施設しせつ・機関きかんのみならず、全すべての屋内おくないおよび公共こうきょうの場ばでの喫煙きつえんが禁止きんしされている。違反いはん者しゃには27.2～275ユーロの罰金ばっきんが課かせられ、周囲しゅういに子こどもや妊にん婦ふがいた際さいには罰金ばっきんがさらに倍額ばいがくとなる。
• ドイツ -
• 英国えいこく - 2007年ねんから、全ぜん飲食いんしょく店てん、職場しょくば、交通こうつう機関きかんを含ふくむ屋内おくないの公共こうきょう空間くうかんの喫煙きつえんが一律いちりつ禁止きんし。喫煙きつえん室しつなどの設置せっちは禁止きんし（例外れいがいとして刑務所けいむしょ、ホテルの客室きゃくしつ、精神せいしん病院びょういん、介護かいご施設しせつ、海上かいじょう油田ゆでん掘削くっさく基地きち、潜水せんすい艦かん内うちは分煙ぶんえんが許ゆるされる）。また同年どうねん10月がつより、18歳さい未満みまんの者ものへたばこを販売はんばいすることは如何いかなる理由りゆうであっても違法いほうとなった。
  • スコットランド、北きたアイルランドでは電話でんわボックス、屋根やね付つきバス停ばすてい、社用しゃよう車しゃや業務ぎょうむ用よう車両しゃりょうを含ふくむ全社ぜんしゃ有ゆう車内しゃないも禁煙きんえんの対象たいしょうとなる。
• アイルランド共和きょうわ国こく - レストラン、パブ、企業きぎょう、社用しゃよう車しゃを含ふくむ屋内おくないの公共こうきょうスペースは全面ぜんめん禁煙きんえん。喫煙きつえん室しつなどの設置せっちは違法いほう（刑務所けいむしょ、ホテルの客室きゃくしつ、精神せいしん病院びょういん、介護かいご施設しせつは例外れいがい）。違反いはん者しゃには3,000ユーロ以下いかの罰金ばっきん。

アジア

• 中国ちゅうごく - 2005年ねんにたばこ規制きせい枠組わくぐみ条約じょうやくを批准ひじゅんした。2008年ねんの北京ぺきんオリンピックや2010年ねんの上海しゃんはい万博ばんぱくなど国際こくさい的てきイベント開催かいさいを経へて、禁煙きんえんの法ほう整備せいびが進すすんでいる。また、2016年ねん11月11日にちに上海しゃんはい市し第だい十じゅう四よん回かい人民じんみん代表だいひょう大会たいかい常務じょうむ委員いいん会かいの第だい33次じ会議かいぎで、2017年ねん3月がつ1日にちから「上海しゃんはい市し公共こうきょう場所ばしょ喫煙きつえん限定げんてい条例じょうれい」（修正しゅうせい案あん）が実行じっこうされると決きめた。その条例じょうれいは、室内しつない公共こうきょう場所ばしょ・室内しつない工作こうさく場所ばしょ・公共こうきょう交通こうつう機関きかん（特とくに中国ちゅうごく高速こうそく鉄道てつどう）で喫煙きつえんすることを禁きんじ、そして条例じょうれいを違反いはんする者ものは50元げん（中国ちゅうごくの人民元じんみんげ）以上いじょう200元げん以下いか、機関きかんは2000元げん以上いじょう30000元げん以下いかの罰金ばっきんを要求ようきゅうする。他たの省しょうも禁煙きんえんに関かんする条例じょうれいを出だすことを検討けんとうしている。
• 韓国かんこく - 鉄道てつどう各線かくせん、地下鉄ちかてつ、バス、飛行機ひこうき（国内線こくないせん）はすべて禁煙きんえんで、高速こうそく列車れっしゃ「KTX」にも喫煙きつえん席せきの設定せっていはない。駅えきについてはホームは全面ぜんめん禁煙きんえん。駅舎えきしゃは喫煙きつえん室しつ以外いがいでは全面ぜんめん禁煙きんえん。
• 北朝鮮きたちょうせん - 2004年ねん、国くにの第だい2代だい最高さいこう指導しどう者しゃである金きむ正日じょんいる総そう書記しょきが20年間ねんかんかけて禁煙きんえんに成功せいこうしたことにより政府せいふは「禁煙きんえん統制とうせい法ほう」を発令はつれいした。官公庁かんこうちょうの施設しせつからの灰皿はいざらの撤去てっきょ、禁煙きんえん地域ちいきでの喫煙きつえんに対たいする罰金ばっきん化か、現役げんえき喫煙きつえん者しゃの大学だいがく入学にゅうがく資格しかく取とり消けしなどの規制きせいがされた。禁煙きんえんに成功せいこうした金きむ正日じょんいるは「タバコは心臓しんぞうを狙ねらう銃じゅうのようなもの」とコメントした。
• タイ - 空調くうちょうの効きいた公共こうきょう的てきな建物たてもの（空港くうこう、駅えき、バスターミナル、レストラン、ショッピングセンター等とう）は喫煙きつえん室しつ以外いがいすべて禁煙きんえん。鉄道てつどう、バスの車内しゃないも全面ぜんめん禁煙きんえん。
• ベトナム - 空港くうこうは喫煙きつえん所しょ以外いがい禁煙きんえん。しかし、たばこに関かんする法律ほうりつが曖昧あいまいで、喫煙きつえんは18歳さい以上いじょうは許ゆるされる。たばこに関かんしては寛容かんよう。ただし、テレビコマーシャルでの宣伝せんでんは禁止きんしされている。また、ベトナム国民こくみんでの若わかい女性じょせいの喫煙きつえんはタブー視しされている。しかし、ベトナム国民こくみんでの女性じょせい老人ろうじんに対たいしてはその限かぎりではない（ベトナムでは年長ねんちょう者しゃを尊重そんちょうするため）。DUNHILLやMarlboroも1カートン200,000VND程度ていど。たばこのパッケージには健康けんこうに関かんする警告けいこく文ぶんや写真しゃしんもない（2007年ねん現在げんざい）
• ブータン - 国内こくない全面ぜんめん禁煙きんえんを目指めざしており、2004年ねんよりブータン国内こくないにおけるたばこ販売はんばいが一切いっさい禁止きんしされた（これにより同国どうこくは世界せかい初はつの禁煙きんえん国家こっかとなった）。ブータン国民こくみん以外いがいの観光かんこう客きゃくのたばこ持もち込こみは可能かのうだが、ブータン国民こくみんが個人こじん輸入ゆにゅう・持もち込こみをした場合ばあいは100%の関税かんぜいが課かされる。
• シンガポール - レストラン、ホテルなど屋内おくないのほとんどが禁煙きんえん。吸殻すいがらに限かぎらずいわゆるポイ捨ぽいすてをすると高額こうがくの罰金ばっきん（場合ばあいによっては鞭打むちうち刑けい）を課かされる。

統計とうけい

喫煙きつえん率りつ

詳細しょうさいは「喫煙きつえん率りつ」、「喫煙きつえん率りつ#世界せかいの喫煙きつえん率りつ」、および「喫煙きつえん率りつ#日本にっぽんの喫煙きつえん率りつ」を参照さんしょう

脚注きゃくちゅう

参考さんこう文献ぶんけん

• 荒川あらかわ真一しんいち、和泉いずみ雄一ゆういち 著ちょ「第だい7章しょう ペリオドンタルメディシン 1.歯は周しゅう病びょうのリスクファクター 3.環境かんきょう因子いんし 2)喫煙きつえん」、和泉いずみ雄一ゆういち、沼部ぬまべ幸博ゆきひろ、山本やまもと松男まつお、木下きのした淳あつし博はく 編へん『ザ・ペリオドントロジー』（第だい1版はん）永末ながすえ書店しょてん、京都きょうと市し上京かみぎょう区く、2009年ねん10月がつ14日にち。ISBN 978-4-8160-1208-2。 NCID BA9190312X。 
• 伊い佐山さやま芳郎よしお『現代げんだいたばこ戦争せんそう』岩波書店いわなみしょてん〈岩波いわなみ新書しんしょ 新しん赤あか版ばん 614〉、1999年ねん5月がつ。ISBN 978-4-00-430614-6。 
• 岩田いわた裕子ゆうこ『子育こそだて待合室まちあいしつ』文芸ぶんげい社しゃ、2006年ねん12月。ISBN 978-4-286-02177-5。 
• 名取なとり春彦はるひこ、上杉うえすぎ正幸まさゆき『タバコ有害ゆうがい論ろんに異議いぎあり!』洋よう泉いずみ社しゃ〈新書しんしょy 166〉、2006年ねん12月。ISBN 978-4-86248-097-2。 
• 宮島みやじま英紀ひでのり『まだ、タバコですか?』講談社こうだんしゃ〈講談社こうだんしゃ現代新書げんだいしんしょ 1898〉、2007年ねん6月がつ。ISBN 978-4-06-149898-3。 

関連かんれん項目こうもく

• 幸福こうふく追求ついきゅう権けん・愚行ぐこう権けん
• パワーハラスメント - スモークハラスメント
• ブレンダー (職業しょくぎょう) （タバコの葉はの調合ちょうごう師し）
• 禁煙きんえん
• 薬物やくぶつ依存いぞん症しょう
• 水みずタバコ

外部がいぶリンク

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