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アメリカ合衆国連邦裁判所 - Wikipedia

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく連邦れんぽう裁判所さいばんしょ

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく連邦れんぽう政府せいふ司法しほう

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく連邦れんぽう裁判所さいばんしょ(アメリカがっしゅうこくれんぽうさいばんしょ、えい: United States federal courts)は、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおける連邦れんぽう政府せいふ司法しほうであり、合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう法律ほうりつした組織そしきされた裁判所さいばんしょのシステムである。最高裁判所さいこうさいばんしょ連邦れんぽう最高裁さいこうさい)と各種かくしゅ下級かきゅう裁判所さいばんしょ控訴こうそ裁判所さいばんしょ地方裁判所ちほうさいばんしょとう)からる。

D.C.地区ちく連邦れんぽう地方裁判所ちほうさいばんしょワシントンD.C.)。

かくしゅう設置せっち運営うんえいするしゅう裁判所さいばんしょコロンビア特別とくべつ政府せいふ同様どうよう連邦れんぽう議会ぎかい設置せっちするコロンビア特別とくべつ裁判所さいばんしょとはべつ機関きかんで、独立どくりつした制度せいど構成こうせいしている。具体ぐたいてきには、しゅう裁判所さいばんしょおも州法しゅうほうかんする事件じけんを、連邦れんぽう裁判所さいばんしょおも連邦れんぽうほうかんする事件じけん管轄かんかつしている(#管轄かんかつ参照さんしょう)。

役割やくわり司法しほうけん独立どくりつ

編集へんしゅう
 
連邦れんぽう最高裁さいこうさいにある正義せいぎ女神めがみぞう

連邦れんぽう最高裁さいこうさいとそのした設置せっちされる下級かきゅう裁判所さいばんしょは、合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう3じょうによってアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく司法しほうけんあたえられた組織そしきである[1]公平こうへいかつ公正こうせい事実じじつ認定にんていおよほう解釈かいしゃくおこない、法的ほうてき紛争ふんそう解決かいけつすることを責務せきむとしており、とく合衆国がっしゅうこく憲法けんぽうによってあたえられた権利けんり自由じゆうまもるという役割やくわりつことから、「憲法けんぽう番人ばんにん」とばれる[2]

合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう三権分立さんけんぶんりつ制度せいどをとっており、立法りっぽうけんにな連邦れんぽう議会ぎかい行政ぎょうせいけん執行しっこうけん)をにな大統領だいとうりょう司法しほうである連邦れんぽう裁判所さいばんしょがそれぞれ独立どくりつせいゆうするとともに、相互そうご監視かんし牽制けんせいしあうチェック・アンド・バランスのシステムが成立せいりつしている。

連邦れんぽう議会ぎかいは、(1)憲法けんぽう3じょうもとづく下級かきゅう裁判所さいばんしょ設置せっちし、裁判所さいばんしょ管轄かんかつけん規定きていし、かく裁判所さいばんしょ裁判官さいばんかん定数ていすうさだめる権限けんげん、(2)大統領だいとうりょう指名しめいした連邦れんぽう裁判官さいばんかん候補者こうほしゃ上院じょういん承認しょうにんする権限けんげん、(3)連邦れんぽう裁判所さいばんしょ予算よさん承認しょうにんけんゆうする。また、大統領だいとうりょうは、連邦れんぽう裁判官さいばんかん候補者こうほしゃ指名しめいし、上院じょういん承認しょうにんした任命にんめいする権限けんげんつ。そのほか、連邦れんぽう裁判所さいばんしょは、刑事けいじ事件じけん訴追そつい民事みんじ事件じけんでの連邦れんぽう政府せいふ代表だいひょうおこな司法省しほうしょう法廷ほうてい警備けいび裁判官さいばんかん警護けいごおこな連邦れんぽう保安ほあんかん連邦れんぽう裁判所さいばんしょ建物たてもの提供ていきょうする連邦れんぽう調達ちょうたつちょう (General Services Administration) など、各種かくしゅ行政ぎょうせい機関きかん密接みっせつ関係かんけいっている[3]

しかし、同時どうじに、司法しほうには市民しみん自由じゆうまもるという使命しめいがあることから、裁判さいばん遂行すいこうがこれらの政治せいじ権力けんりょくによってゆがめられないよう、司法しほうけん独立どくりつ保障ほしょうするための憲法けんぽう規定きていもうけられている。だい1に、憲法けんぽう3じょうもとづいて任命にんめいされた連邦れんぽう裁判官さいばんかんは、終身しゅうしん任期にんき保障ほしょうされており、反逆はんぎゃくざい収賄しゅうわいざいその重罪じゅうざいけいざいにより連邦れんぽう議会ぎかい弾劾だんがいけ、有罪ゆうざい裁判さいばんけた場合ばあい以外いがい罷免ひめんされることがない。だい2に、憲法けんぽう3じょう裁判官さいばんかんは、在職ざいしょくちゅう報酬ほうしゅう減額げんがくされることはない[4]

 
違憲いけん審査しんさけん確立かくりつしたマーベリーたいマディソン事件じけん判決はんけつ顕彰けんしょうして連邦れんぽう最高裁さいこうさいかべきざまれた銘文めいぶん

一方いっぽう連邦れんぽう裁判所さいばんしょは、1803ねんマーベリーたいマディソン事件じけん判決はんけつ[注釈ちゅうしゃく 1]以来いらい確立かくりつした違憲いけん審査しんさけん行使こうしつうじて、連邦れんぽう議会ぎかい制定せいていした法律ほうりつ行政府ぎょうせいふ行為こういたいする統制とうせいおこなっている。

しゅうとの関係かんけいでは、連邦れんぽう最高裁さいこうさいしゅう裁判所さいばんしょからの上訴じょうそ管轄かんかつけんゆうする(後述こうじゅつ裁量さいりょう上訴じょうそ)とともに、州法しゅうほうたいしても合衆国がっしゅうこく憲法けんぽうはんしないかの違憲いけん審査しんさけん行使こうしるとの判例はんれい確立かくりつしている[注釈ちゅうしゃく 2]。また、州法しゅうほう連邦れんぽうほう抵触ていしょくする場合ばあいには、連邦れんぽうほうくに最高さいこう法規ほうき (supreme law of the land) であるとさだめる合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう6じょう2こうによって、しゅう法律ほうりつ無効むこうとされる[5]。したがって、連邦れんぽう裁判所さいばんしょとく最高裁さいこうさい)は、しゅう政府せいふ立法りっぽう行政ぎょうせいについて、合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう連邦れんぽうほう観点かんてんから統制とうせいおこな役割やくわりゆうしているといえる。一方いっぽうで、ほとんどすべての事件じけんについて一般いっぱんてき事物じぶつ管轄かんかつゆうするしゅう裁判所さいばんしょことなり、連邦れんぽう裁判所さいばんしょ事物じぶつ管轄かんかつけん一部いちぶ事件じけんかぎられており(後述こうじゅつ)、また、契約けいやくほう不法ふほう行為こういほうなど、州法しゅうほう規律きりつするひろ領域りょういきについては、連邦れんぽう裁判所さいばんしょ州法しゅうほうしたがうべきものとされている(後述こうじゅつのエリー原則げんそく)。

沿革えんかく

編集へんしゅう
 
合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう署名しょめい1787ねん)。

アメリカ独立どくりつ連合れんごう規約きやく1781ねん発効はっこう)の時代じだいには、アメリカ連合れんごうは、捕獲ほかくしんけんしょもうけることができるほか、くにあいだ境界きょうかいあらそいについてアドホック裁判さいばん機関きかんもうけることができたが、常設じょうせつ通常つうじょう裁判所さいばんしょたなかった[6]

1788ねん発効はっこうした合衆国がっしゅうこく憲法けんぽうでは、合衆国がっしゅうこく司法しほうけんは、ひとつの最高さいこう裁判所さいばんしょおよ連邦れんぽう議会ぎかい設置せっちする下級かきゅう裁判所さいばんしょ帰属きぞくすることがさだめられた(合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう3じょう1せつ)。しかし、合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう制定せいてい過程かていでは、いちしん裁判さいばんしゅう裁判所さいばんしょおこなうべきであって憲法けんぽう連邦れんぽう下級かきゅう裁判所さいばんしょもうけることはしゅう裁判さいばんけんたいする無用むよう干渉かんしょうであるという意見いけん多数たすうめた結果けっか憲法けんぽうには連邦れんぽう下級かきゅう裁判所さいばんしょ設立せつりつすることが「できる」との規定きていくにとどまり、実際じっさいにこれを設立せつりつするか、設立せつりつするとすればどのような構造こうぞうのものかは、解決かいけつ問題もんだいとしてのこされていた。また、憲法けんぽうみとめられた連邦れんぽう裁判所さいばんしょ管轄かんかつけんのうちどの範囲はんいまで法律ほうりつあたえるかも、未解決みかいけつであった[7]

 
1789ねん裁判所さいばんしょほう(1ぺーじ)。

この問題もんだい決着けっちゃくすべく連邦れんぽう議会ぎかい制定せいていしたのが、1789ねん裁判所さいばんしょほう (Judiciary Act) であった。どうほうは、最高さいこう裁判所さいばんしょを1めい長官ちょうかん首席しゅせき判事はんじ)と5めい陪席ばいせき判事はんじによって構成こうせいされることとし、同時どうじに、下級かきゅう裁判所さいばんしょとして地方裁判所ちほうさいばんしょ (District Court) と巡回じゅんかい裁判所さいばんしょ (Circuit Court) を設置せっちした。地方裁判所ちほうさいばんしょいちしん裁判所さいばんしょであり、当時とうじの11しゅうを13の地区ちく (district) にけ、かく地区ちくひとつずつかれた。かく地方裁判所ちほうさいばんしょに、1めい地方裁判所ちほうさいばんしょ判事はんじ (district judge) がかれた。巡回じゅんかい裁判所さいばんしょは、合衆国がっしゅうこくみっつの巡回じゅんかい (circuit) にけてかく巡回じゅんかいひとつずつかれるもので、地方裁判所ちほうさいばんしょからの上訴じょうそ事件じけんあつかうほか一定いってい事件じけんについていちしん管轄かんかつけんゆうしていた。巡回じゅんかい裁判所さいばんしょには専属せんぞく裁判官さいばんかんがおらず、最高裁さいこうさいの6めい裁判官さいばんかんが2めいずつ3巡回じゅんかいかれ、最高裁さいこうさい開廷かいていがい馬車ばしゃうま各地かくち巡回じゅんかいして現地げんち地裁ちさい判事はんじとともに3めい裁判さいばんおこなった。このように下級かきゅう裁判所さいばんしょ相当そうとうすう設置せっちすることにしながらも、これらの下級かきゅう裁判所さいばんしょには、憲法けんぽう許容きょようされていたはずの連邦れんぽう問題もんだい事件じけん管轄かんかつけんあたえられず[注釈ちゅうしゃく 3]地方裁判所ちほうさいばんしょおも海事かいじ事件じけんを、巡回じゅんかい裁判所さいばんしょおもしゅうせき相違そうい事件じけんいちしんとしてあつかった[8]

1801ねん裁判所さいばんしょほうむっつの巡回じゅんかいができ(これと同時どうじに、いったんは巡回じゅんかい判事はんじ (circuit judge) のしょく新設しんせつされ最高裁さいこうさい裁判官さいばんかん巡回じゅんかいにんから解放かいほうされたが、このてんは1802ねん裁判所さいばんしょほうですぐに元通もとどおりにもどされた)、その合衆国がっしゅうこく領土りょうど拡大かくだいするにつれ、巡回じゅんかいかずおよびそこを巡回じゅんかいするための最高裁さいこうさい裁判官さいばんかんかず増加ぞうかした。1869ねん連邦れんぽう裁判所さいばんしょ係属けいぞくする事件じけんすう急増きゅうぞうおうじて、連邦れんぽう議会ぎかい当時とうじあったここのつの巡回じゅんかい巡回じゅんかい判事はんじしょく新設しんせつし、巡回じゅんかい判事はんじ最高裁さいこうさい裁判官さいばんかんまた地方裁判所ちほうさいばんしょ判事はんじ、あるいはそのわせにより巡回じゅんかい裁判さいばんおこなうことができるようにした。1891ねん巡回じゅんかい控訴こうそ裁判所さいばんしょ(circuit court of appeals、現在げんざい控訴こうそ裁判所さいばんしょ)がもうけられると、上訴じょうそ管轄かんかつけん巡回じゅんかい控訴こうそ裁判所さいばんしょ移管いかんされるとともに巡回じゅんかい判事はんじどう裁判所さいばんしょてられ、巡回じゅんかい裁判所さいばんしょ地方裁判所ちほうさいばんしょならいちしん裁判所さいばんしょとしてしばらく存続そんぞくしたのち1911ねん廃止はいしされた[9]

一方いっぽう、1891ねん新設しんせつされて上訴じょうそ管轄かんかつけんいだ巡回じゅんかい控訴こうそ裁判所さいばんしょは、連邦れんぽう最高裁さいこうさい上訴じょうそ事件じけん処理しょり負担ふたんらすためにもうけられたものであり、当時とうじここのつの巡回じゅんかいひとつずつかれた。1925ねん裁判所さいばんしょほうおよびそれにつづ立法りっぽうで、巡回じゅんかい控訴こうそ裁判所さいばんしょ上訴じょうそ管轄かんかつけん拡大かくだいし、連邦れんぽう行政ぎょうせい委員いいんかい判断はんだんたいする上訴じょうそあつかうようになった。1929ねんにはだい10巡回じゅんかいもうけられ、1948ねん巡回じゅんかい控訴こうそ裁判所さいばんしょ現在げんざい控訴こうそ裁判所さいばんしょへと名前なまええた。さらに1980ねんにはだい11巡回じゅんかいもうけられ、1982ねんには連邦れんぽう巡回じゅんかい控訴こうそ裁判所さいばんしょもうけられた[10]

管轄かんかつ

編集へんしゅう

連邦れんぽう政府せいふ合衆国がっしゅうこく憲法けんぽうさだめられた権限けんげんのみを行使こうし政府せいふであることから、連邦れんぽう裁判所さいばんしょ事物じぶつ管轄かんかつ (subject matter jurisdiction) をゆうする事件じけん、すなわち連邦れんぽう裁判所さいばんしょあつかうことのできる事件じけん種類しゅるいも、合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう3じょう2せつ1こう)にさだめられたものにかぎられる[11]

合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう3じょう2せつ1こうには、連邦れんぽう裁判所さいばんしょあつかうことのできる事件じけんとしてつぎのものが限定げんてい列挙れっきょされている。

  • 合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう連邦れんぽうほうおよ合衆国がっしゅうこく条約じょうやくした発生はっせいするすべての事件じけん連邦れんぽう問題もんだい
  • 大使たいしその外交がいこう使節しせつおよ領事りょうじかんするすべての事件じけん
  • 海事かいじ事件じけん
  • 合衆国がっしゅうこく当事とうじしゃである争訟そうしょう
  • しゅうあいだ争訟そうしょう
  • しゅうしゅう市民しみんとのあいだ争訟そうしょう
    ただし、一州いっしゅう市民しみん原告げんこくとなり、しゅう被告ひこくとする訴訟そしょうは、憲法けんぽう修正しゅうせい11じょうにより連邦れんぽう裁判所さいばんしょ管轄かんかつからはずされている。
  • ことなるしゅう市民しみんあいだ争訟そうしょうおよしゅうまたはその市民しみん)と外国がいこくまたはその市民しみん臣民しんみん)とのあいだ争訟そうしょうしゅうせき相違そうい
  • ことなるしょしゅう付与ふよもとづく土地とち権利けんり主張しゅちょうするいちしゅう市民しみんあいだ争訟そうしょう

専属せんぞく管轄かんかつ

編集へんしゅう

このうち、連邦れんぽう裁判所さいばんしょ専属せんぞく管轄かんかつ (exclusive jurisdiction) がある、すなわち連邦れんぽう裁判所さいばんしょのみであつかうことができ、しゅう裁判所さいばんしょ管轄かんかつがないものは、おもつぎのような事件じけんである[12]

競合きょうごう管轄かんかつ

編集へんしゅう

上記じょうき専属せんぞく管轄かんかつ事件じけんのぞくと、連邦れんぽう裁判所さいばんしょ管轄かんかつする事件じけんはすべてしゅう裁判所さいばんしょにも管轄かんかつがある(競合きょうごう管轄かんかつ、concurrent jurisdiction)。現在げんざい連邦れんぽう裁判所さいばんしょ事件じけんおおくをめるのが、連邦れんぽう問題もんだい事件じけんしゅうせき相違そうい事件じけんである。

連邦れんぽう問題もんだい管轄かんかつ

編集へんしゅう

合衆国がっしゅうこく憲法けんぽうは、どう憲法けんぽう連邦れんぽうほうおよ条約じょうやくした発生はっせいするすべての事件じけん、すなわち連邦れんぽう問題もんだい (federal question) をふく事件じけんについて連邦れんぽう裁判所さいばんしょ管轄かんかつみとめている。その一部いちぶ前述ぜんじゅつのとおり専属せんぞく管轄かんかつみとめられているが、その連邦れんぽう問題もんだい事件じけんについては、連邦れんぽう裁判所さいばんしょしゅう裁判所さいばんしょとの競合きょうごう管轄かんかつあたえられている。すなわち、法律ほうりつ (28 U.S.C. §1331) では、「合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう連邦れんぽうほうまた条約じょうやくした発生はっせいするすべての民事みんじ訴訟そしょう」について連邦れんぽう地裁ちさいいちしん管轄かんかつけんみとめられている[19][注釈ちゅうしゃく 4]

§1331にいう「した発生はっせいする」とは、原告げんこく請求せいきゅう自体じたい連邦れんぽうほうじょう根拠こんきょがあることが必要ひつようであり、被告ひこくからの抗弁こうべん連邦れんぽうほうじょう根拠こんきょがあっても、どうじょうもとづく管轄かんかつあたえられないと解釈かいしゃくされている(十分じゅうぶん陳述ちんじゅつされた訴状そじょう法理ほうり[20]

しゅうせき相違そうい管轄かんかつ

編集へんしゅう

合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう及は、(1)ことなるしゅう市民しみんあいだ争訟そうしょうおよび(2)しゅう市民しみんと、外国がいこくまたはその市民しみん臣民しんみんとのあいだ争訟そうしょう、すなわちしゅうせき相違そうい事件じけん (diversity of citizenship case) に連邦れんぽう裁判所さいばんしょ管轄かんかつみとめている。これをけて、法律ほうりつ (28 U.S.C. §1332) では、つぎよっつの場合ばあいであって、訴額そがく係争けいそう価額かがく)が7まん5000ドルをえる民事みんじ訴訟そしょうについて、連邦れんぽう地裁ちさいいちしん管轄かんかつけんみとめている[21]

  1. ことなるしゅう市民しみんあいだ訴訟そしょう
  2. しゅう市民しみんと、外国がいこく市民しみんまた臣民しんみんとの訴訟そしょう
  3. ことなるしゅう市民しみんあいだ訴訟そしょうで、外国がいこく市民しみんまた臣民しんみんもまた当事とうじしゃとなっているもの
  4. 外国がいこく原告げんこくで、ひとまた複数ふくすうしゅう市民しみん当事とうじしゃとなった訴訟そしょう

ここにいう市民しみんせき (citizenship) とは、自然人しぜんじん場合ばあいはそのほんきょ (domicile) をいうとされ、会社かいしゃ場合ばあい設立せつりつしゅうしゅたる事業じぎょう双方そうほう市民しみんせきみとめられる。しゅうせき相違そうい管轄かんかつは、しゅう市民しみんたいしてしゅう裁判所さいばんしょ不公平ふこうへいあつかいをするおそれがあることからもうけられたとかんがえられている[22]

しゅう裁判所さいばんしょ管轄かんかつけんとの関係かんけい

編集へんしゅう

連邦れんぽう裁判所さいばんしょとはべつに、50しゅうも、それぞれ裁判所さいばんしょのシステムをゆうしている。連邦れんぽう裁判所さいばんしょ同様どうよういちしん裁判所さいばんしょ (trial court)、中間ちゅうかん上訴じょうそ裁判所さいばんしょ (intermediate appellate court)、最上級さいじょうきゅう裁判所さいばんしょという構造こうぞうをとっているところがおお[23]

連邦れんぽう裁判所さいばんしょかぎられた事物じぶつ管轄かんかつしかたないのにたいし、しゅう裁判所さいばんしょ一般いっぱんてき事物じぶつ管轄かんかつゆうする。契約けいやく不法ふほう行為こういかんする訴訟そしょう離婚りこん養育よういくかんする訴訟そしょう遺言ゆいごん相続そうぞく事件じけん不動産ふどうさんかんする事件じけん少年しょうねん事件じけん大半たいはん刑事けいじ事件じけん州法しゅうほう違反いはん)、交通こうつう違反いはんなど、大半たいはん事件じけんしゅう裁判所さいばんしょのみに管轄かんかつがある[23]

そして、前述ぜんじゅつのとおり、連邦れんぽう裁判所さいばんしょ事物じぶつ管轄かんかつけんゆうする事件じけんであっても、それが専属せんぞく管轄かんかつである事件じけんはごく一部いちぶであり、大半たいはん事件じけんについてはしゅう裁判所さいばんしょにも競合きょうごうてき管轄かんかつけんがある。したがって、原告げんこくは、連邦れんぽう問題もんだい事件じけんしゅうせき相違そうい事件じけんについて、連邦れんぽう裁判所さいばんしょしゅう裁判所さいばんしょのいずれかを選択せんたくして提訴ていそすることができる[24]

原告げんこく連邦れんぽう裁判所さいばんしょ民事みんじ訴訟そしょう提起ていきした場合ばあいに、連邦れんぽう裁判所さいばんしょは、連邦れんぽう事物じぶつ管轄かんかつがないと判断はんだんしたときは、事件じけん却下きゃっか (dismissal) する[25]

一方いっぽう原告げんこくしゅう裁判所さいばんしょ民事みんじ訴訟そしょう提起ていきした場合ばあいであって、連邦れんぽう地方裁判所ちほうさいばんしょいちしん管轄かんかつけんがあるときは、被告ひこくは、当該とうがいしゅう裁判所さいばんしょ所在地しょざいち管轄かんかつする連邦れんぽう地裁ちさい事件じけん移管いかん (removal) することを選択せんたくすることができる[26]

最高裁判所さいこうさいばんしょ

編集へんしゅう
 
連邦れんぽう最高裁さいこうさいワシントンD.C.連邦れんぽう議会ぎかい議事堂ぎじどうひがしにある)。

合衆国がっしゅうこく最高裁判所さいこうさいばんしょ連邦れんぽう最高裁さいこうさい、Supreme Court of the Unite States)は、連邦れんぽう裁判所さいばんしょにおける最上級さいじょうきゅう裁判所さいばんしょであり、おも連邦れんぽう控訴こうそ裁判所さいばんしょおよしゅう裁判所さいばんしょからの裁量さいりょう上訴じょうそサーシオレイライ、certiorari)をあつかう。

連邦れんぽう最高裁さいこうさい裁判官さいばんかんは、長官ちょうかん首席しゅせき判事はんじ、Chief Justice)と8めい陪席ばいせき判事はんじ (associate justice) の合計ごうけい9めいからり、定足数ていそくすうは6めいである[27]

控訴こうそ裁判所さいばんしょ判断はんだんについて、当事とうじしゃは、裁量さいりょう上訴じょうそ申立もうしたて (petition for writ of certiorari) をすることができるが、それが許可きょかされた場合ばあいかぎり、事件じけん連邦れんぽう最高裁さいこうさい審理しんり対象たいしょうとなる[28][注釈ちゅうしゃく 5][注釈ちゅうしゃく 6]しゅうまたはワシントンD.C.)の最上級さいじょうきゅう裁判所さいばんしょ裁判さいばんたいしては、(1)条約じょうやくまた連邦れんぽうほう有効ゆうこうせい問題もんだいになっている場合ばあい、(2)連邦れんぽうほう有効ゆうこうせい合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう条約じょうやくしくは連邦れんぽうほうとの抵触ていしょく理由りゆう問題もんだいになっている場合ばあいまたは(3)合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう条約じょうやくしくは連邦れんぽうほうとうしたにおける権利けんり特権とっけん免責めんせき主張しゅちょうされている場合ばあいであって、裁量さいりょう上訴じょうそ許可きょかされたときにかぎり、事件じけん連邦れんぽう最高裁さいこうさい審理しんり対象たいしょうとなる[29][注釈ちゅうしゃく 7]裁量さいりょう上訴じょうそ許可きょかには、すくなくとも4めい最高裁さいこうさい裁判官さいばんかん合意ごうい必要ひつようであり、控訴こうそ裁判所さいばんしょレベルで判例はんれいかれている場合ばあいや、重要じゅうよう憲法けんぽうじょう連邦れんぽうほうじょう問題もんだいふく場合ばあいかぎって許可きょかされるのが通例つうれいである[30]例年れいねん口頭こうとう弁論べんろんともな裁量さいりょう上訴じょうそ許可きょかされるのはやく100けんであり、そのうち正式せいしき判決はんけつ理由りゆうかれるのは80けんないし90けんである。これにくわえ、口頭こうとう弁論べんろんともなわない簡略かんりゃく手続てつづき決定けっていがされる事件じけんが50けんないし60けんある[31]#統計とうけいこう参照さんしょう)。従来じゅうらい連邦れんぽう最高裁さいこうさいへの権利けんり上訴じょうそ (appeal) の制度せいどもあったが、1988ねんにごく例外れいがいてき場合ばあいのぞ廃止はいしされた[32][注釈ちゅうしゃく 8]

また、連邦れんぽう最高裁さいこうさいが(上訴じょうそ管轄かんかつけんではなく)いちしん管轄かんかつけんゆうする場合ばあいとして、(1)しゅうあいだ訴訟そしょうについては専属せんぞくてきいちしん管轄かんかつけんを、(2)外国がいこく外交がいこう使節しせつまた領事りょうじ当事とうじしゃである訴訟そしょう合衆国がっしゅうこくしゅうとのあいだ訴訟そしょうしゅう原告げんこくしゅう市民しみんまた外国がいこくじん被告ひこく訴訟そしょうについては競合きょうごうてきいちしん管轄かんかつけんゆうする[33]

連邦れんぽう最高裁さいこうさい判例はんれい連邦れんぽう下級かきゅう裁判所さいばんしょと(連邦れんぽうほうかんするかぎり)しゅう裁判所さいばんしょ双方そうほう拘束こうそくするちからっている。また、前述ぜんじゅつのとおり、連邦れんぽう最高裁さいこうさい連邦れんぽうほうおよ州法しゅうほう双方そうほうについて、合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう違反いはんしないかを判断はんだんすることができる違憲いけん審査しんさけんゆうすることが判例はんれいじょう確立かくりつしている。

公式こうしき判例はんれいしゅうUnited States Reports判例はんれい引用いんようさい略号りゃくごうはU.S.)であり、連邦れんぽう最高裁さいこうさい判例はんれい編纂へんさんした民間みんかん判例はんれいしゅうとしては、ウェストローしゃSupreme Court Reporter (S. Ct.)、レクシスしゃUnited States Supreme Court Reports, Lawyer's Edition (L. Ed.) が利用りようされている。

下級かきゅう裁判所さいばんしょ

編集へんしゅう

最高さいこう裁判所さいばんしょしたに、連邦れんぽう議会ぎかい権限けんげんによって、下級かきゅう裁判所さいばんしょ設置せっちされる[1]

通常つうじょう事件じけんあつかいちしん裁判所さいばんしょ地方裁判所ちほうさいばんしょであり、地方裁判所ちほうさいばんしょからの上訴じょうそ控訴こうそ事件じけんあつかうのが控訴こうそ裁判所さいばんしょである。そのほか、特別とくべつ事件じけんあつか裁判所さいばんしょとして、倒産とうさん裁判所さいばんしょ国際こくさい通商つうしょう裁判所さいばんしょ連邦れんぽう請求せいきゅう裁判所さいばんしょがある。

かく裁判所さいばんしょには首席しゅせき裁判官さいばんかん (chief judge) がかれる。首席しゅせき裁判官さいばんかんは、事件じけん審理しんり担当たんとうするとともに、裁判所さいばんしょ運営うんえいについての行政ぎょうせいてき責任せきにんう。通常つうじょう、その裁判所さいばんしょもっとなが勤務きんむしている裁判官さいばんかん首席しゅせき裁判官さいばんかんとなり、最大さいだい7年間ねんかんつとめる。裁判所さいばんしょ運営うんえい監督かんとく効率こうりつせい向上こうじょう一般いっぱん社会しゃかいへの説明せつめい責任せきにんなどのめん統率とうそつをとる役割やくわりがある。重要じゅうよう問題もんだいについては、首席しゅせき裁判官さいばんかんのリーダーシップのした裁判所さいばんしょぜん裁判官さいばんかんによって決定けっていおこなわれる[34]

控訴こうそ裁判所さいばんしょ

編集へんしゅう

合衆国がっしゅうこく控訴こうそ裁判所さいばんしょ (United States Court of Appeals) は、地方裁判所ちほうさいばんしょからの上訴じょうそ事件じけんあつか連邦れんぽう裁判所さいばんしょである。前述ぜんじゅつのとおり、1891ねん巡回じゅんかい控訴こうそ裁判所さいばんしょ (Circuit Court of Appeals) として設立せつりつされ、1948ねん現在げんざい名称めいしょう変更へんこうされたことから、現在げんざいでもサーキット・コート (Circuit Court) とばれることがある[35]

 
だい5巡回じゅんかい控訴こうそ裁判所さいばんしょニューオーリンズ)。

後述こうじゅつのとおり、アメリカ全土ぜんどだい1巡回じゅんかいからだい11巡回じゅんかいまでおよびD.C.巡回じゅんかいぜん12巡回じゅんかい (circuit) にかれているほか、全国ぜんこく管轄かんかつ区域くいきとして特別とくべつ事件じけんあつか連邦れんぽう巡回じゅんかい (federal circuit) がもうけられている[36]。そして、かく巡回じゅんかいひとつずつ控訴こうそ裁判所さいばんしょ設置せっちされている[37]

かく巡回じゅんかいごとに大統領だいとうりょうから任命にんめいされる巡回じゅんかい判事はんじ (circuit judge) が職務しょくむおこなうが[38]連邦れんぽう最高裁さいこうさい判事はんじ巡回じゅんかい裁判官さいばんかん (circuit justice) としての職務しょくむてられる場合ばあいもある[39]通常つうじょう、3にん合議ごうぎたい裁判さいばんおこなうが、きわめて重要じゅうよう事件じけん場合ばあいは、3にん合議ごうぎたい判断はんだんさい審査しんさするために、その巡回じゅんかい裁判官さいばんかん全員ぜんいんによるだい法廷ほうてい (en banc)で 審理しんりおこなわれることがある[40]

地方裁判所ちほうさいばんしょのした裁判さいばんたいしては、控訴こうそ裁判所さいばんしょへの上訴じょうそけんがあり、原則げんそくとして連邦れんぽう巡回じゅんかい以外いがい控訴こうそ裁判所さいばんしょがそれらの上訴じょうそ事件じけん管轄かんかつする(ただし、例外れいがいてき連邦れんぽう最高裁さいこうさいへの直接ちょくせつ上訴じょうそ (direct appeal) がみとめられる場合ばあいがある)[41]一方いっぽう連邦れんぽう巡回じゅんかい控訴こうそ裁判所さいばんしょは、(1)特許とっきょけんかんする事件じけん合衆国がっしゅうこく政府せいふたいする訴訟そしょうについての地方裁判所ちほうさいばんしょからの上訴じょうそ、(2)連邦れんぽう請求せいきゅう裁判所さいばんしょ国際こくさい通商つうしょう裁判所さいばんしょからの上訴じょうそ、(3)一定いってい行政ぎょうせい委員いいんかいからの上訴じょうそ管轄かんかつする[42]

控訴こうそ裁判所さいばんしょ法律ほうりつしんであるから、あらたな証拠しょうこ調しらべることはせず、いちしん事実じじつ認定にんてい前提ぜんてい判断はんだんおこない、さらなる事実じじつ認定にんてい必要ひつよう場合ばあい地方裁判所ちほうさいばんしょまた行政ぎょうせい委員いいんかいもど[30]

控訴こうそ裁判所さいばんしょ判例はんれいは、公式こうしき判例はんれいしゅうFederal Reporter登載とうさいされる(現在げんざいだい1しゅう (F.) から、だい2しゅう (F.2d)、だい3しゅう (F.3d) まで発刊はっかんされている)。

地方裁判所ちほうさいばんしょ

編集へんしゅう
 
ラスベガスにあるネバダしゅう地区ちく連邦れんぽう地方裁判所ちほうさいばんしょ

合衆国がっしゅうこく地方裁判所ちほうさいばんしょ英語えいごばん(United States District Court)は、連邦れんぽう裁判所さいばんしょにおけるしゅたるいちしん裁判所さいばんしょ (trial court) である[43]

地方裁判所ちほうさいばんしょは、地区ちく (judicial district) という地理ちりてき単位たんいごとに設置せっちされている[44]。アメリカの50しゅうは、1しゅうで1地区ちく構成こうせいするしゅうと、複数ふくすう地区ちくかれているしゅうがあり、全部ぜんぶで89の地区ちくかれている。ワシントンD.C.およプエルトリコは、それぞれひとつの地区ちく構成こうせいする[45]合衆国がっしゅうこく地方裁判所ちほうさいばんしょ類似るいじ組織そしきとして、海外かいがい領土りょうどかれているグアム地方裁判所ちほうさいばんしょバージン諸島しょとう地方裁判所ちほうさいばんしょ合衆国がっしゅうこくきたマリアナ諸島しょとう地方裁判所ちほうさいばんしょがあり(海外かいがい領土りょうど裁判所さいばんしょen)、これらをあわせると全米ぜんべいで94の地方裁判所ちほうさいばんしょがある[46]。ただし、最後さいごみっつの裁判所さいばんしょ合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう1じょうもとづいて連邦れんぽう議会ぎかい設置せっちするもので、憲法けんぽう3じょうもとづいて設置せっちされる合衆国がっしゅうこく地方裁判所ちほうさいばんしょとはことなる組織そしきである。

かく地区ちくごとに大統領だいとうりょうから任命にんめいされる地方裁判所ちほうさいばんしょ判事はんじ (district judge) が、職務しょくむおこな[47]いちしん手続てつづき1人ひとり裁判官さいばんかんによっておこなわれ、事実じじつ審理しんり対審たいしん)はその裁判官さいばんかんまた陪審ばいしんによっておこなわれる[43]

地方裁判所ちほうさいばんしょ判例はんれいは、公式こうしき判例はんれいしゅうFederal Supplement登載とうさいされる(現在げんざいだい1しゅう (F.Supp.)、だい2しゅう (F.Supp.2d)、だい3しゅう (F.Supp.3d) まで発刊はっかんされている)。

倒産とうさん裁判所さいばんしょ

編集へんしゅう

かく地方裁判所ちほうさいばんしょに、その一部いちぶもんとして倒産とうさん裁判所さいばんしょ破産はさん裁判所さいばんしょとも。bankruptcy court)がかれる。これは、倒産とうさん事件じけんあつか倒産とうさん裁判所さいばんしょ判事はんじ後述こうじゅつ#憲法けんぽう1じょう裁判官さいばんかん)で構成こうせいされる裁判所さいばんしょである[48][注釈ちゅうしゃく 9]

連邦れんぽう倒産とうさんほうした発生はっせいするすべての事件じけんは、地方裁判所ちほうさいばんしょいちしん専属せんぞく管轄かんかつ(ただし一定いってい民事みんじ訴訟そしょう手続てつづきについてはいちしん競合きょうごう管轄かんかつ)があたえられるが[14]地方裁判所ちほうさいばんしょが、所属しょぞく倒産とうさん裁判所さいばんしょ判事はんじ倒産とうさん事件じけんおよ手続てつづき委託いたく (refer) することがみとめられており[49]実際じっさい、どの地方裁判所ちほうさいばんしょでも、すべての倒産とうさん事件じけんおよ手続てつづき倒産とうさん裁判所さいばんしょ判事はんじ委託いたくするむね規程きていいている[50]。もっとも、最終さいしゅうてき判断はんだんけん憲法けんぽう3じょう裁判官さいばんかんである地裁ちさい判事はんじにあるというのが建前たてまえであるから、地方裁判所ちほうさいばんしょ理由りゆうしめして倒産とうさん裁判所さいばんしょ判事はんじへの事件じけんまた手続てつづき委託いたく撤回てっかいする権限けんげんあたえられている[51]

国際こくさい通商つうしょう裁判所さいばんしょ

編集へんしゅう

国際こくさい通商つうしょう裁判所さいばんしょ国際こくさい貿易ぼうえき裁判所さいばんしょとも。Court of International Trade)は、国際こくさい貿易ぼうえきおよ関税かんぜい問題もんだいかんする事件じけんあつか特別とくべついちしん裁判所さいばんしょである[52]合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう3じょうもとづいて設立せつりつされている裁判所さいばんしょである。9にん裁判官さいばんかん構成こうせいされ、裁判官さいばんかん上院じょういん助言じょげん同意どういした大統領だいとうりょうから任命にんめいされる。所在地しょざいちニューヨークである[53]

1926ねん設立せつりつされた合衆国がっしゅうこく関税かんぜい裁判所さいばんしょ (United States Custome Court) が1980ねん関税かんぜい裁判所さいばんしょほうによって改組かいそされたものである。国際こくさい貿易ぼうえきかんする法律ほうりつした発生はっせいした合衆国がっしゅうこくまたはその職員しょくいん機関きかんたいする訴訟そしょうどう裁判所さいばんしょ専属せんぞくてき管轄かんかつする[54]

連邦れんぽう請求せいきゅう裁判所さいばんしょ

編集へんしゅう
 
連邦れんぽう請求せいきゅう裁判所さいばんしょ(ワシントンD.C.)。

合衆国がっしゅうこく連邦れんぽう請求せいきゅう裁判所さいばんしょ(United States Court of Federal Claims) は、連邦れんぽう政府せいふたいする、合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう連邦れんぽうほう行政ぎょうせい規則きそくもとづく請求せいきゅう契約けいやくもとづく請求せいきゅう不法ふほう行為こうい以外いがい損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅうなどをあつか特別とくべついちしん裁判所さいばんしょである[55]合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう1じょうもとづいて設立せつりつされる裁判所さいばんしょである。16にん裁判官さいばんかん構成こうせいされ、裁判官さいばんかん上院じょういん助言じょげん同意どういした大統領だいとうりょうから15ねん任期にんき任命にんめいされる[56]しゅたる事務所じむしょ所在地しょざいちワシントンD.C.である[57]

設立せつりつは1982ねん係属けいぞく事件じけんすうは2200けんちょうで、税金ぜいきん払戻はらいもど訴訟そしょう事件じけんやく4ぶんの1、連邦れんぽう政府せいふ契約けいやくかんする訴訟そしょうが3ぶんの1ちょうめるほか、最近さいきんでは環境かんきょう天然てんねん資源しげん問題もんだいかんする事件じけんやく10%にたっしている。そのほか、知的ちてき財産ざいさんけん、インディアン部族ぶぞく関係かんけい訴訟そしょうあつかっている[58]

司法しほうぞくしない裁判さいばん機関きかん

編集へんしゅう

その連邦れんぽう政府せいふには以下いかのような裁判さいばん機関きかんがあるが、これらはいずれも司法しほうぞくする組織そしきではなく、合衆国がっしゅうこく司法しほう会議かいぎ方針ほうしんにも拘束こうそくされない[59]

合衆国がっしゅうこく租税そぜい裁判所さいばんしょ
合衆国がっしゅうこく租税そぜい裁判所さいばんしょ (United States Tax Court) は、内国ないこく歳入さいにゅうちょう長官ちょうかんによる納付のうふ税額ぜいがく不足ふそくとの判断はんだんあらそわれる事件じけんとう管轄かんかつする。大統領だいとうりょうから任命にんめいされた19にん裁判官さいばんかん構成こうせいされる。所在地しょざいちはワシントンD.C.であるが、審理しんり各地かくち実施じっしすることができる[60]
合衆国がっしゅうこく退役たいえき軍人ぐんじん請求せいきゅう控訴こうそ裁判所さいばんしょ
合衆国がっしゅうこく退役たいえき軍人ぐんじん請求せいきゅう控訴こうそ裁判所さいばんしょ (United States Court of Appeals for Veterans Claims) は、退役たいえき軍人ぐんじんしょううち退役たいえき軍人ぐんじん上訴じょうそ委員いいんかいによる判断はんだんたいする上訴じょうそあつか裁判所さいばんしょである。軍役ぐんえき起因きいんする障害しょうがいたいする手当てあて遺族いぞく給付きゅうふきん、その教育きょういく支払しはらい負債ふさい免除めんじょとう恩典おんてんなどにかんし、上訴じょうそ委員いいんかい退役たいえき軍人ぐんじん不利益ふりえき判断はんだんされた場合ばあいに、上訴じょうそしんとして審理しんりおこなう。ワシントンD.C.に所在しょざいする[61]
合衆国がっしゅうこく軍事ぐんじ控訴こうそ裁判所さいばんしょ
軍法ぐんぽう会議かいぎにおける有罪ゆうざい判決はんけつについては、陸軍りくぐん海軍かいぐん空軍くうぐん沿岸えんがん警備けいびたいかく刑事けいじ控訴こうそ裁判所さいばんしょ審理しんりおこなうが、これらよっつの裁判所さいばんしょからの上訴じょうそ管轄かんかつするのが合衆国がっしゅうこく軍事ぐんじ控訴こうそ裁判所さいばんしょ (United States Court of Appeals for the Armed Forces) である[62]。ワシントンD.C.に所在しょざいする。

関連かんれん組織そしき

編集へんしゅう

合衆国がっしゅうこく司法しほう会議かいぎ (Judicial Conference of the United States) は、1922ねん設立せつりつされた、連邦れんぽう裁判所さいばんしょ全体ぜんたい政策せいさく決定けっていする機関きかんである。かく控訴こうそ裁判所さいばんしょ首席しゅせき裁判官さいばんかんかく巡回じゅんかいごとに1めい地方裁判所ちほうさいばんしょ判事はんじ国際こくさい通商つうしょう裁判所さいばんしょ首席しゅせき裁判官さいばんかん合計ごうけい26めい構成こうせいされ、連邦れんぽう最高裁さいこうさい長官ちょうかん主宰しゅさいして毎年まいとし開催かいさいされる。司法しほう会議かいぎしたに、分野ぶんやごとに裁判官さいばんかんなどから委員いいんかいもうけられており、予算よさん訴訟そしょう規則きそく司法しほう行政ぎょうせいおよ事件じけん運営うんえい刑事けいじほう倒産とうさん人事じんじ、オートメーションおよびテクノロジー、行為こうい規範きはんなどといった問題もんだいあつかう。司法しほう会議かいぎは、つぎのような任務にんむになっている[63][64]

  • 司法しほうとしての予算よさん要求ようきゅう承認しょうにんすること(予算よさん要求ようきゅう原案げんあん事務じむきょくおよ司法しほう会議かいぎ予算よさん委員いいんかい作成さくせいする)
  • 司法しほう手続てつづきやその事務じむりょう影響えいきょう立法りっぽうたいし、提案ていあんあるいは検討けんとうおこない、意見いけんべること
  • 規則きそく、ガイドライン、方針ほうしんなどを策定さくていすることによって、法律ほうりつ実施じっしすること
  • 人事じんじ会計かいけい財務ざいむ、オートメーションおよびテクノロジー、統計とうけい司法しほう行政ぎょうせいてき支援しえんなどについて事務じむきょく指揮しき監督かんとくすること
  • 連邦れんぽう裁判所さいばんしょ一般いっぱんてき訴訟そしょう規則きそく作成さくせい修正しゅうせいすること(ただし最高裁さいこうさい連邦れんぽう議会ぎかいによる正式せいしき承認しょうにんようする)
  • 裁判所さいばんしょ手続てつづき統一とういつや、事務じむ処理しょり迅速じんそくはかること
  • 行為こうい規範きはん職業しょくぎょう倫理りんりおよ懲戒ちょうかい問題もんだいについて権限けんげん行使こうしすること
  • 連邦れんぽう議会ぎかいたいし、裁判官さいばんかん増員ぞういん勧告かんこくすること
  • 執務しつむスペースや設備せつび必要ひつようせいについて検討けんとうすること

合衆国がっしゅうこく裁判所さいばんしょ事務じむきょく (Administrative Office of the United States Courts) は、1939ねん司法しほうない設立せつりつされた機関きかんであり、連邦れんぽう裁判所さいばんしょたいして、立法りっぽうめん法律ほうりつめん財政ざいせいめん、オートメーション関係かんけい事件じけん運営うんえい司法しほう行政ぎょうせい、プログラム支援しえんなど様々さまざまなサービスを提供ていきょうする。司法しほう会議かいぎ指揮しき監督かんとくけ、司法しほう会議かいぎ方針ほうしん実施じっしうつ任務にんむがある。事務じむ局長きょくちょう (Director) は、最高裁さいこうさい長官ちょうかんから司法しほう会議かいぎとの協議きょうぎうえ任命にんめいされ、連邦れんぽう裁判所さいばんしょ主席しゅせき行政ぎょうせいかんとしての役割やくわりたす。事務じむきょく業務ぎょうむつぎのようなものである[65][66]

  • 司法しほう会議かいぎおよびその委員いいんかいたいし、人的じんてき支援しえん助言じょげんおこなうこと
  • 裁判所さいばんしょたいし、運営上うんえいじょう助言じょげんおこない、支援しえんおこなうこと
  • 司法しほう予算よさん編成へんせいし、執行しっこうすること
  • かく裁判所さいばんしょ資金しきんけること
  • 裁判所さいばんしょ財務ざいむ記録きろく監査かんさすること
  • 司法しほう給与きゅうよおよ人事じんじ関係かんけいのプログラムを管理かんりすること
  • 司法しほうたい法的ほうてきサービスを提供ていきょうすること
  • 統計とうけい収集しゅうしゅう分析ぶんせきおこない、裁判所さいばんしょ業務ぎょうむについて報告ほうこくすること
  • 司法しほうのオートメーションおよ情報じょうほう技術ぎじゅつプログラムを管理かんりすること
  • 各種かくしゅプログラムとその実施じっしじょうきょうについて調査ちょうさし、検討けんとうすること
  • 裁判所さいばんしょあたらしい事務じむ処理しょり方法ほうほう開発かいはつすること
  • マニュアル、ガイドその刊行かんこうぶつ出版しゅっぱんすること
  • 立法府りっぽうふ行政府ぎょうせいふとの連絡れんらく調整ちょうせいおこなうこと
  • 司法しほう業務ぎょうむについて一般いっぱん情報じょうほう提供ていきょうすること

連邦れんぽう司法しほうセンター (Federal Judicial Center) は、1967ねん設立せつりつされた、連邦れんぽう司法しほう制度せいどにおける研究けんきゅう教育きょういくにな機関きかんである。役員やくいんかい (Board) は、最高裁さいこうさい長官ちょうかん議長ぎちょうつとめ、合衆国がっしゅうこく裁判所さいばんしょ事務じむ局長きょくちょうや、司法しほう会議かいぎえらばれた7めい裁判官さいばんかん構成こうせいされる。役員やくいんかいは、センターの所長しょちょうおよふく所長しょちょう任命にんめいする。センターの業務ぎょうむつぎのようなものである[67][68]

  • 連邦れんぽう裁判官さいばんかんのために、研修けんしゅうとトレーニングを実施じっし促進そくしんすること
  • 裁判所さいばんしょ職員しょくいんのために研修けんしゅうとトレーニングをおこなうこと
  • 連邦れんぽう司法しほう手続てつづき裁判所さいばんしょ運営うんえい、その司法しほうかんする問題もんだいについて調査ちょうさおこなうこと
  • 様々さまざまなトピックについて、連邦れんぽう裁判所さいばんしょ関係かんけいしゃのための刊行かんこうぶつ、マニュアル、ビデオ、音声おんせいテープなどを制作せいさくすること
  • 司法しほう行政ぎょうせいかんする資料しりょうあつめた図書館としょかん維持いじ管理かんりすること
  • 司法しほう歴史れきしかんするプログラムを開発かいはつし、かく裁判所さいばんしょ歴史れきしプログラムについても支援しえんすること
  • 他国たこく裁判所さいばんしょとの交流こうりゅう促進そくしんすること

合衆国がっしゅうこく量刑りょうけい委員いいんかい (United States Sentencing Commission) は、連邦れんぽう刑事けいじ事件じけん適用てきようされる量刑りょうけいガイドラインを策定さくていする機関きかんである。保護ほご観察かんさつかん量刑りょうけい勧告かんこくについてのモニタリングや、量刑りょうけい実務じつむについての情報じょうほうセンターの設立せつりつなどの研究けんきゅうプログラムもおこなっている。量刑りょうけい委員いいんかい議長ぎちょうのほか6めい委員いいんから構成こうせいされ、委員いいん上院じょういん承認しょうにんした大統領だいとうりょうから6ねん任期にんき任命にんめいされる[67][69]

権力けんりょく分立ぶんりつ観点かんてんから、司法しほうは、連邦れんぽう議会ぎかいから予算よさん編成へんせいけんおよ執行しっこうけんあたえられている。予算よさんあんかく裁判所さいばんしょ司法しほう会議かいぎかく委員いいんかい意見いけんきながら合衆国がっしゅうこく裁判所さいばんしょ事務じむきょく準備じゅんびし、司法しほう会議かいぎ予算よさん委員いいんかい審査しんさける。その司法しほう会議かいぎ承認しょうにんけると、直接ちょくせつ連邦れんぽう議会ぎかい提出ていしゅつされる。大統領だいとうりょうは、法律ほうりつじょう司法しほう予算よさんについては修正しゅうせいくわえることなく議会ぎかい提出ていしゅつすることとされている。議会ぎかい予算よさん成立せいりつすると、司法しほう会議かいぎ執行しっこう委員いいんかいがその使用しよう計画けいかく承認しょうにんし、事務じむきょくかく裁判所さいばんしょかく機関きかん・プログラムに資金しきん配分はいぶんする。司法しほう行政ぎょうせいじょうおおくの権限けんげん事務じむ局長きょくちょうからかく裁判所さいばんしょ委譲いじょうされているため、かく裁判所さいばんしょは、予算よさん優先ゆうせん順位じゅんい決定けってい、ビジネスてき判断はんだん職員しょくいん雇用こよう備品びひん購入こうにゅうなどを柔軟じゅうなんおこなうことができる。予算よさんの60%ちょうは、裁判官さいばんかんその職員しょくいん給与きゅうよめられており、20%が行政府ぎょうせいふたいする建物たてもの設備せつび使用しようりょう支払しはらいのこりの20%がコンピューター関係かんけい旅費りょひ備品びひん裁判官さいばんかん警護けいご弁護人べんごにん報酬ほうしゅう陪審ばいしんいん費用ひようなどにてられている[70]

2008年度ねんどにおける司法しほう予算よさん連邦れんぽう最高裁さいこうさいその連邦れんぽう裁判所さいばんしょ事務じむきょくおよ連邦れんぽう司法しほうセンターの予算よさん)は62おくドルで、これは合衆国がっしゅうこく国家こっか予算よさん3ちょうドルの0.2%にたる[71]

控訴こうそ裁判所さいばんしょおよびその配下はいか地方裁判所ちほうさいばんしょ管轄かんかつ区域くいきは、つぎのとおりである。しゅう複数ふくすう地区ちくかれている場合ばあい以外いがいは、1しゅうが1地区ちく構成こうせいする。

 
控訴こうそ裁判所さいばんしょおよ地方裁判所ちほうさいばんしょ管轄かんかつ区域くいき
控訴こうそ裁判所さいばんしょ地方裁判所ちほうさいばんしょ管轄かんかつ区域くいき
巡回じゅんかい 控訴こうそ裁判所さいばんしょ所在地しょざいち 巡回じゅんかい区内くない地区ちく地方裁判所ちほうさいばんしょ管轄かんかつ区域くいき
連邦れんぽう巡回じゅんかい ワシントンD.C. 連邦れんぽうぜん地区ちく
D.C.巡回じゅんかい ワシントンD.C. ワシントンD.C.
だい1巡回じゅんかい ボストン メインしゅうマサチューセッツしゅうニューハンプシャーしゅうプエルトリコロードアイランドしゅう
だい2巡回じゅんかい ニューヨーク コネチカットしゅうニューヨークしゅう北部ほくぶ地区ちく/南部なんぶ地区ちく/東部とうぶ地区ちく/西部せいぶ地区ちく)、バーモントしゅう
だい3巡回じゅんかい フィラデルフィア デラウェアしゅうニュージャージーしゅうペンシルベニアしゅう東部とうぶ地区ちく/中部ちゅうぶ地区ちく/西部せいぶ地区ちく)、アメリカりょうヴァージン諸島しょとう
だい4巡回じゅんかい リッチモンド メリーランドしゅうノースカロライナしゅう東部とうぶ地区ちく/中部ちゅうぶ地区ちく/西部せいぶ地区ちく)、サウスカロライナしゅうバージニアしゅう東部とうぶ地区ちく/西部せいぶ地区ちく)、ウェストバージニアしゅう北部ほくぶ地区ちく/南部なんぶ地区ちく
だい5巡回じゅんかい ニューオーリンズ ルイジアナしゅう東部とうぶ地区ちく/中部ちゅうぶ地区ちく/西部せいぶ地区ちく)、ミシシッピしゅう北部ほくぶ地区ちく/南部なんぶ地区ちく)、テキサスしゅう北部ほくぶ地区ちく/南部なんぶ地区ちく/東部とうぶ地区ちく/西部せいぶ地区ちく
だい6巡回じゅんかい シンシナティ ケンタッキーしゅう東部とうぶ地区ちく/西部せいぶ地区ちく)、ミシガンしゅう東部とうぶ地区ちく/西部せいぶ地区ちく)、オハイオしゅう北部ほくぶ地区ちく/南部なんぶ地区ちく)、テネシーしゅう東部とうぶ地区ちく/中部ちゅうぶ地区ちく/西部せいぶ地区ちく)、
だい7巡回じゅんかい シカゴ イリノイしゅう北部ほくぶ地区ちく/中部ちゅうぶ地区ちく/南部なんぶ地区ちく)、インディアナしゅう北部ほくぶ地区ちく/南部なんぶ地区ちく)、ウィスコンシンしゅう東部とうぶ地区ちく/西部せいぶ地区ちく
だい8巡回じゅんかい セントルイス アーカンソーしゅう東部とうぶ地区ちく/西部せいぶ地区ちく)、アイオワしゅう北部ほくぶ地区ちく/南部なんぶ地区ちく)、ミネソタしゅうミズーリしゅう東部とうぶ地区ちく/西部せいぶ地区ちく)、ネブラスカしゅうノースダコタしゅうサウスダコタしゅう
だい9巡回じゅんかい サンフランシスコ アラスカしゅうアリゾナしゅうカリフォルニアしゅう北部ほくぶ地区ちく/東部とうぶ地区ちく/中部ちゅうぶ地区ちく/南部なんぶ地区ちく)、グアムハワイしゅうアイダホしゅうモンタナしゅうネバダしゅうきたマリアナ諸島しょとうオレゴンしゅうワシントンしゅう東部とうぶ地区ちく/西部せいぶ地区ちく
だい10巡回じゅんかい デンバー コロラドしゅうカンザスしゅうニューメキシコしゅうオクラホマしゅう北部ほくぶ地区ちく/東部とうぶ地区ちく/西部せいぶ地区ちく)、ユタしゅうワイオミングしゅう
だい11巡回じゅんかい アトランタ アラバマしゅう北部ほくぶ地区ちく/中部ちゅうぶ地区ちく/南部なんぶ地区ちく)、フロリダしゅう北部ほくぶ地区ちく/中部ちゅうぶ地区ちく/南部なんぶ地区ちく)、ジョージアしゅう北部ほくぶ地区ちく/中部ちゅうぶ地区ちく/南部なんぶ地区ちく

裁判官さいばんかんおよ職員しょくいん

編集へんしゅう

憲法けんぽう3じょう裁判官さいばんかん

編集へんしゅう

最高裁判所さいこうさいばんしょ控訴こうそ裁判所さいばんしょ地方裁判所ちほうさいばんしょおよ国際こくさい通商つうしょう裁判所さいばんしょ裁判官さいばんかんは、合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう3じょうもとづいて任命にんめいされることから、「憲法けんぽう3じょう裁判官さいばんかん (Article III judge)」とばれる。すなわち、これらの裁判官さいばんかんは、大統領だいとうりょう指名しめいし、上院じょういん助言じょげん同意どうい大統領だいとうりょう任命にんめいしたのち[72]終身しゅうしんせい定年ていねんさだめはなく、弾劾だんがい手続てつづき以外いがい罷免ひめんされることはない。また、在職ざいしょくちゅう報酬ほうしゅう減額げんがくされることがない[73]実際じっさい連邦れんぽう裁判官さいばんかんが70さいだい後半こうはんや80さいだい前半ぜんはん職務しょくむおこなっているれいめずらしくなく、90さいだい裁判官さいばんかんもいる[74]

 
司法しほう長官ちょうかん作成さくせいした原案げんあんに、ジェラルド・R・フォード大統領だいとうりょうくわえたあとのある、連邦れんぽう最高裁さいこうさい裁判官さいばんかん候補者こうほしゃリスト(1975ねん)。

連邦れんぽう裁判官さいばんかんへの任命にんめい人事じんじは、候補者こうほしゃのキャリア全般ぜんぱん学問がくもんてき業績ぎょうせきもとづいておこなわれ、なんらかの資格しかく試験しけんがあるわけではない。候補者こうほしゃは、学問がくもんてき職業しょくぎょうてき経歴けいれき執筆しっぴつした論文ろんぶん弁護士べんごしとうとしてあつかった法律ほうりつ事件じけん職業しょくぎょうがい活動かつどうなどについての詳細しょうさい書面しょめん提出ていしゅつすることがもとめられ、面接めんせつ身上しんじょう調査ちょうさけなければならない。すぐれた法律ほうりつ実務じつむ弁護士べんごし検察官けんさつかん)、下位かい連邦れんぽう裁判所さいばんしょ裁判官さいばんかん[注釈ちゅうしゃく 10]しゅう裁判所さいばんしょ裁判官さいばんかん法律ほうりつがく教授きょうじゅなどのなかから指名しめい任命にんめいされるのが通常つうじょうである[75]。1945ねんから2000ねんあいだ退官たいかんしたぜん連邦れんぽう裁判官さいばんかん1250にん以上いじょうについての調査ちょうさによれば、連邦れんぽう裁判官さいばんかん任命にんめいされる平均へいきん年齢ねんれいは50さいから55さいであった。裁判官さいばんかんになるまえ裁判官さいばんかん以外いがい職種しょくしゅ最低さいていひとつは経験けいけんしているのが通常つうじょうであり、ふた以上いじょう職歴しょくれき場合ばあいおおい。上記じょうき調査ちょうさによれば、連邦れんぽう裁判官さいばんかん任命にんめいされる直前ちょくぜん職業しょくぎょうは、弁護士べんごしが38.9%、連邦れんぽうまたしゅう裁判所さいばんしょが37.1%、検察官けんさつかんが11.4%、公務員こうむいんが5.7%、連邦れんぽうしゅう議会ぎかい議員ぎいんが3.7%であった。そのほか、学者がくしゃ出身しゅっしん実業じつぎょう出身しゅっしん裁判官さいばんかんもいる[76]

連邦れんぽう裁判官さいばんかん人事じんじには、政治せいじおおきな役割やくわりたす。大統領だいとうりょうによる候補者こうほしゃ選定せんていは、上院じょういん議員ぎいん推薦すいせんする候補者こうほしゃリストや、大統領だいとうりょう自身じしん政党せいとうなかからおこなわれ、また候補者こうほしゃ上院じょういん司法しほう委員いいんかいでの聴聞ちょうもんかい出席しゅっせきして上院じょういん多数たすうによる承認しょうにんなければならないからである[77]裁判官さいばんかん終身しゅうしんせいのため、一度いちど任命にんめいすると将来しょうらい長期間ちょうきかんにわたり政治せいじてき方向ほうこうせい影響えいきょうりょく行使こうしすることができることから、共和党きょうわとう政権せいけん保守ほしゅ裁判官さいばんかんを、民主党みんしゅとう政権せいけん比較的ひかくてきリベラルな裁判官さいばんかん指名しめいする傾向けいこうにある。連邦れんぽう最高裁さいこうさい裁判官さいばんかん以前いぜん政治せいじたいする貢献こうけんをしていたれいおおく、また裁判官さいばんかん大統領だいとうりょう政府せいふ高官こうかん友人ゆうじんであるれいもしばしばられる。控訴こうそ裁判所さいばんしょ地方裁判所ちほうさいばんしょ人事じんじについても政治せいじてき対立たいりつはげしく、共和党きょうわとう政権せいけん指名しめいした保守ほしゅ候補者こうほしゃたいし、上院じょういん民主党みんしゅとう承認しょうにん阻止そししようとして、あるいはぎゃく民主党みんしゅとう政権せいけん指名しめいしたリベラルな候補者こうほしゃ上院じょういん共和党きょうわとう阻止そししようとして、空席くうせきめるのになんねんもかかる事態じたいすらしょうじている[78]

憲法けんぽう1じょう裁判官さいばんかん

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倒産とうさん裁判所さいばんしょ判事はんじや、下級かきゅう判事はんじは、いずれも地方裁判所ちほうさいばんしょ司法官しほうかん (judicial officer) ではあるが、憲法けんぽう3じょうもとづいて任命にんめいされる裁判官さいばんかんではなく、連邦れんぽう議会ぎかい憲法けんぽう1じょう権限けんげんもとづいて任命にんめいされる憲法けんぽう1じょう裁判官さいばんかん (Article I judge) である。そのため、終身しゅうしんせい保障ほしょうはなく、任期にんきさだめがある[79]

倒産とうさん裁判所さいばんしょ判事はんじ下級かきゅう判事はんじ再任さいにんしようとするときは、任命にんめいした裁判所さいばんしょがこれを公告こうこくして一般いっぱん意見いけんつのるとともに、再任さいにん適否てきひについて審査しんさかい諮問しもんしなければならない[79]

倒産とうさん裁判所さいばんしょ判事はんじ
倒産とうさん裁判所さいばんしょ判事はんじ (bankruptcy judge) は、控訴こうそ裁判所さいばんしょから任命にんめいけ、地方裁判所ちほうさいばんしょ司法官しほうかんとして職務しょくむおこなう。任期にんきは14ねんである[80]。2007ねん現在げんざい、339めい倒産とうさん裁判所さいばんしょ判事はんじ任命にんめいされている[81]
合衆国がっしゅうこく下級かきゅう判事はんじ
合衆国がっしゅうこく下級かきゅう判事はんじ (United States magistrate judge) は、地区ちくごとに地方裁判所ちほうさいばんしょ判事はんじから任命にんめいされる裁判官さいばんかんであり、任期にんきは、常勤じょうきん(フルタイム)の下級かきゅう判事はんじ場合ばあいは8ねん非常勤ひじょうきん(パートタイム)の場合ばあいは4ねんである[82]。2007ねん現在げんざい、フルタイム505めい、パートタイム46めい下級かきゅう判事はんじ任命にんめいされている[81]下級かきゅう判事はんじは、おもつぎのような職務しょくむおこな[83]
  • 刑事けいじ事件じけんにおけるはや段階だんかい手続てつづき捜索そうさく逮捕たいほ令状れいじょうはつづけ勾留こうりゅう審問しんもん予備よび審問しんもん弁護人べんごにん選任せんにんなど)
  • けいつみ (misdemeanor) についての刑事けいじ事件じけん対審たいしん
  • 地裁ちさい判事はんじから委託いたくされた様々さまざま手続てつづき処理しょり申立もうしたてについての判断はんだんざいかんしゃからの申立もうしたての審査しんさ、トライアルぜん会議かいぎ和解わかい協議きょうぎ実施じっしなど)
  • 民事みんじ事件じけんのトライアル(ただし当事とうじしゃ同意どういした場合ばあい
連邦れんぽう請求せいきゅう裁判所さいばんしょ判事はんじ
連邦れんぽう請求せいきゅう裁判所さいばんしょ判事はんじも、任期にんき15ねん憲法けんぽう1じょう裁判官さいばんかんであり、上院じょういん承認しょうにん大統領だいとうりょうから任命にんめいされる[79]

裁判官さいばんかん退任たいにん

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控訴こうそ裁判所さいばんしょ地方裁判所ちほうさいばんしょ国際こくさい通商つうしょう裁判所さいばんしょ裁判官さいばんかん終身しゅうしんせいであるから年齢ねんれい理由りゆう退任たいにんする必要ひつようはないが、65さい以上いじょう一定いってい条件じょうけんたす場合ばあいには給料きゅうりょうをもらいながらの退任たいにん (retire) を選択せんたくすることができる。退任たいにんした裁判官さいばんかんは、フルタイムまたはパートタイムで「シニア・ジャッジ (senior judge)」として事件じけん審理しんり担当たんとうすることができ、シニア・ジャッジはいちしんしんにおける事件じけん処理しょりすうの15%から20%をになっている[84]

退任たいにんした倒産とうさん裁判所さいばんしょ判事はんじ下級かきゅう判事はんじ連邦れんぽう請求せいきゅう裁判所さいばんしょ判事はんじも、職務しょくむもどされる (recall) 場合ばあいがある[85]

職員しょくいん

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司法しほう人事じんじ制度せいどは、行政府ぎょうせいふとは独立どくりつして、合衆国がっしゅうこく司法しほう会議かいぎ合衆国がっしゅうこく裁判所さいばんしょ事務じむきょくによって運営うんえいされている。個々ここ裁判所さいばんしょも、職員しょくいんとその給与きゅうよについてひろ裁量さいりょうっている。裁判所さいばんしょ職員しょくいんは、合衆国がっしゅうこく裁判所さいばんしょ事務じむきょくたいしてではなく、その裁判所さいばんしょ裁判官さいばんかんたいして責任せきにんっている[86]

裁判所さいばんしょ書記官しょきかん (clerk of the court) は、つぎのような職務しょくむおこなっている[87]

  • 記録きろく事件じけん簿保存ほぞん
  • 裁判所さいばんしょのコンピューター・システムの操作そうさ
  • 裁判所さいばんしょ予算よさんおよ経費けいひ管理かんり
  • 財産ざいさんおよ人事じんじ記録きろく保存ほぞん
  • 納付のうふされた手数料てすうりょう罰金ばっきん費用ひようその金銭きんせん財務省ざいむしょう支払しはらうこと
  • 裁判所さいばんしょ陪審ばいしんシステムの運営うんえい
  • 通訳つうやくじんおよ記録きろくがかり準備じゅんび
  • 裁判所さいばんしょ通知つうちじょうおよ召喚しょうかんじょう発送はっそう
  • 法廷ほうてい支援しえんサービスの提供ていきょう
  • 弁護士べんごしかい一般いっぱんからの問合といあわせにたいする対応たいおう

公判こうはんぜん釈放しゃくほう事務じむかん (pretrial services officer) およ保護ほご観察かんさつかん (probation officer) は、公判こうはん対審たいしんまえ被疑ひぎしゃとの面会めんかい、その生活せいかつじょうきょうについての調査ちょうさ、そして詳細しょうさい報告ほうこくしょ提出ていしゅつおこなう。これは、裁判官さいばんかんによる、公判こうはんまえ釈放しゃくほう条件じょうけん勾留こうりゅう是非ぜひについての判断はんだん、あるいは有罪ゆうざいとされた被告人ひこくにんたいする量刑りょうけい判断はんだんたって資料しりょうとなる。また、釈放しゃくほうされた被疑ひぎしゃ被告人ひこくにん監督かんとくおこな[87]

そのほか、調査ちょうさ判決はんけつ意見いけん起案きあん補助ほじょする法律ほうりつ職員しょくいん (staff attorney; pro se law clerk)、訴訟そしょう手続てつづき逐語ちくごてき記録きろくおこな記録きろくがかり (court reporter)、裁判所さいばんしょ図書館としょかん管理かんり資料しりょう調査ちょうさ支援しえんおこな裁判所さいばんしょ司書ししょ (court librarian) などがはたらいている[88]

裁判所さいばんしょから任命にんめいされる職員しょくいんのほかに、かく裁判官さいばんかんも、事務じむおこな秘書ひしょや、法律ほうりつ問題もんだい調査ちょうさ文書ぶんしょ起案きあん補助ほじょするロー・クラークといったスタッフ(裁判官さいばんかんしつスタッフ (chambers staff) という)をやとうことができる[85]

なお、裁判所さいばんしょ職員しょくいんではないが、裁判所さいばんしょ法廷ほうてい警備けいびや、裁判官さいばんかん警護けいご担当たんとうするのが、司法省しほうしょう所属しょぞく連邦れんぽう保安ほあんかんである[89]

適用てきようほう

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連邦れんぽう裁判所さいばんしょ適用てきようされる手続てつづきほうは、連邦れんぽう制定せいていほう連邦れんぽう最高裁さいこうさい規則きそく、そして判例はんれいほうであり、合衆国がっしゅうこく憲法けんぽうによる制約せいやくける。連邦れんぽう地裁ちさいでの民事みんじ手続てつづきは、1938ねん施行しこうされた連邦れんぽう民事みんじ訴訟そしょう規則きそく (Federal Rules of Civil Procedure) によって、刑事けいじ手続てつづきは1946ねん施行しこうされた連邦れんぽう刑事けいじ訴訟そしょう規則きそく (Federal Rules of Criminal Procedure) によっておも規律きりつされる[90]。そのほか、連邦れんぽう最高裁さいこうさい規則きそくとしては連邦れんぽう証拠しょうこほう規則きそく連邦れんぽう倒産とうさん規則きそく連邦れんぽう上訴じょうそ手続てつづき規則きそくなどがあり、これらの規則きそくは、1934ねん規則きそく授権ほうもとづき、合衆国がっしゅうこく司法しほう会議かいぎ承認しょうにんて、連邦れんぽう最高裁さいこうさい制定せいてい公布こうふするものである[91]

つぎ実体じったいほうについては、刑事けいじ訴訟そしょうでは連邦れんぽう刑罰けいばつ法規ほうき適用てきようされる[92]

民事みんじ訴訟そしょうにおける実体じったいほうは、合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう条約じょうやく連邦れんぽう制定せいていほう問題もんだいについては連邦れんぽうほう適用てきようされるが、それ以外いがい問題もんだいについては、州法しゅうほう適用てきようされる(たとえば契約けいやくほう不法ふほう行為こういほう家族かぞくほう相続そうぞくほう会社かいしゃほうしょう取引とりひきほう分野ぶんやとくしゅうせき相違そうい事件じけんあらわれる)。ここにいう州法しゅうほうには、しゅう憲法けんぽうしゅう制定せいていほうくわえ、しゅう判例はんれいほうコモン・ロー)がふくまれる。ふるくは、1842ねんのスイフトたいタイソン事件じけん判決はんけつ[93]もとづいて、商事しょうじほう不法ふほう行為こういほうのような領域りょういきについては、連邦れんぽう裁判所さいばんしょによって形成けいせいされる判例はんれいほうである一般いっぱんコモン・ロー (general common law) が適用てきようされるとされていたが、1938ねんのエリー事件じけん判決はんけつ[94]によって、連邦れんぽう裁判所さいばんしょ州法しゅうほうからはなれて一般いっぱんコモン・ローを形成けいせいする権限けんげんはないことが宣言せんげんされ、しゅう判例はんれいほうしたがうべきであることがあきらかにされた(エリー原則げんそく)。この場合ばあい連邦れんぽう地裁ちさいでは、その地裁ちさい所在しょざいするしゅう抵触ていしょくほうルールにしたがって、どのしゅう実体じったいほう適用てきようするか(準拠じゅんきょほう)を決定けっていする[95]連邦れんぽうほう判決はんけつ準則じゅんそくほうじょうも、合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう条約じょうやく連邦れんぽう制定せいていほう別段べつだんさだめをしている場合ばあいのぞき、州法しゅうほう連邦れんぽう裁判所さいばんしょでの民事みんじ訴訟そしょう判決はんけつ準則じゅんそくとなるむねさだめられている[96]

手続てつづき

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手続てつづき公開こうかい

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民事みんじ事件じけん刑事けいじ事件じけんともに、事実じじつ審理しんり対審たいしん)は、かなら公開こうかい法廷ほうていおこなわれる[97]

しゅう裁判所さいばんしょでは法廷ほうていへのカメラテレビカメラみをみとめるところがおおくなっているが、連邦れんぽう地方裁判所ちほうさいばんしょでは、法廷ほうてい裁判さいばん手続てつづきおこなわれているあいだ写真しゃしん撮影さつえいやテレビ中継ちゅうけい禁止きんしされている。連邦れんぽう裁判所さいばんしょは、1996ねん控訴こうそ裁判所さいばんしょについてはかく裁判所さいばんしょ判断はんだんでカメラのみをみとめてよいとの決議けつぎをしたが、2007ねん時点じてんふたつの控訴こうそ裁判所さいばんしょがカメラのみをみとめるにとどまっている。連邦れんぽう最高裁さいこうさいではカメラのみは禁止きんしされている[注釈ちゅうしゃく 11]。ただし、連邦れんぽう最高裁さいこうさいでの裁判さいばん手続てつづき録音ろくおん公開こうかいされている[注釈ちゅうしゃく 12][98]

統計とうけい

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連邦れんぽう最高裁さいこうさいもうてられた事件じけんすうは、2007ねん開廷かいていで8241けん前年ぜんねん8857けんから7%げん)であった。そのうち口頭こうとう弁論べんろんおこなわれたのは75けん前年ぜんねん78けん)、判決はんけつされたのは72けん前年ぜんねん74けん)、うち署名しょめいきの判決はんけつ理由りゆうかれたのは67けん前年ぜんねん67けん)であった[99]

かく巡回じゅんかい連邦れんぽう巡回じゅんかいのぞく)の控訴こうそ裁判所さいばんしょそうしん受件すうは、2008年度ねんど(2007ねん10がつ1にちから2008ねん9がつ30にちまで)で6まん1104けん前年度ぜんねんど5%ぞう)であった。うち行政ぎょうせい委員いいんかいからの上訴じょうそが1まん1583けん(12%ぞう)とおおきく増加ぞうかしている。刑事けいじ事件じけんしん受件すうは1まん3667けん(4%ぞう)、民事みんじ事件じけんしん受件すうは3まん1454けん(4%ぞう)であった[100]

地方裁判所ちほうさいばんしょ民事みんじしん受件すうは、2008年度ねんどで26まん7257けん前年度ぜんねんど4%ぞう)であった。うち連邦れんぽう問題もんだい事件じけんが13まん4582けん(3%げん)、合衆国がっしゅうこく原告げんこくまた被告ひこくである事件じけんが4まん4164けん(3%げん)であった。刑事けいじしん受件すうは7まん0896けん(4%ぞう)で、被告人ひこくにん人数にんずうは9まん2355にん(3%ぞう)であった[101]

倒産とうさん裁判所さいばんしょしん受件すうは、2008年度ねんどで104まん2993けん前年度ぜんねんど30%ぞう)であった。企業きぎょう以外いがい倒産とうさん個人こじん倒産とうさん)がその96%をめる[102]

裁判官さいばんかん人員じんいん(2007年度ねんど)は、控訴こうそ裁判所さいばんしょ定数ていすうが179めいたい現職げんしょく裁判官さいばんかんが163めい、シニア・ジャッジが107めい地方裁判所ちほうさいばんしょ定数ていすうは678めいたい現職げんしょくが647めい、シニア・ジャッジが310めいとなっている。下級かきゅう判事はんじ常勤じょうきんが505めい非常勤ひじょうきんが46めい、リコール(呼戻よびもどし)されている下級かきゅう判事はんじが36めいである。倒産とうさん裁判所さいばんしょ判事はんじは、定数ていすう352にたい現職げんしょくが339めい、リコールが27めいとなっている[81]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ マーベリー事件じけんは、連邦れんぽう最高裁さいこうさいが、連邦れんぽう議会ぎかい制定せいていした裁判所さいばんしょほう13じょう規定きていを、合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう3じょう2こうはん違憲いけん無効むこうであるとしたもの。
  2. ^ 連邦れんぽう最高裁さいこうさい最初さいしょ州法しゅうほうたいする違憲いけん審査しんさけんがあることをしめしてこれを無効むこうとしたのは、1810ねんのフレッチャーたいペック事件じけん判決はんけつ (en:Fletcher v. Peck, 10 U.S. 87 (1810)) であった。丸山まるやま (1990: 32)。
  3. ^ 連邦れんぽう問題もんだい事件じけんについては、まずしゅう裁判所さいばんしょ裁判さいばんおよ上訴じょうそ手続てつづきくさなければならないとし、一部いちぶ事件じけんかぎって連邦れんぽう最高裁さいこうさい上訴じょうそすることができるにとどまるとした。田中たなか (1968: 174)。
  4. ^ なお、§1331の一般いっぱんてき規定きていたいして、通商つうしょうはんトラストほう事件じけん (28 U.S.C. §1337)、市民しみんてき権利けんりかんする事件じけん (28 U.S.C. §1343) などについてはそれぞれ個別こべつてき管轄かんかつ規定きていもうけられている。浅香あさか (2000: 26-27)。
  5. ^ このほか、控訴こうそ裁判所さいばんしょ法律ほうりつじょう問題もんだいについて最高裁さいこうさい判断はんだんもとめる意見いけん確認かくにん(サーティフィケーション、certification)の手続てつづきがある。28 U.S.C. §1254(2)。
  6. ^ 控訴こうそ裁判所さいばんしょからの裁量さいりょう上訴じょうそは、制度せいどじょう控訴こうそ裁判所さいばんしょ終局しゅうきょく判決はんけつまえであっても可能かのうであるが、実際じっさい許可きょかされることはほとんどない。浅香あさか (2000: 164)。
  7. ^ しゅう裁判所さいばんしょ判決はんけつたいする連邦れんぽう最高裁さいこうさい上訴じょうそ管轄かんかつけんは、1789ねん裁判所さいばんしょほう25じょうによってもうけられたものであるが、バージニアしゅう最高裁さいこうさいは、しゅう係属けいぞくした事件じけんについては連邦れんぽう最高裁さいこうさい上訴じょうそ管轄かんかつけんおよばないとして、連邦れんぽう最高裁さいこうさい判断はんだんしたがわなかった。これにたいし、連邦れんぽう最高裁さいこうさいは、1816ねん判決はんけつで、しゅう事件じけんについても連邦れんぽう最高裁さいこうさい上訴じょうそ管轄かんかつけんおよび、裁判所さいばんしょほう25じょう合憲ごうけんであると宣言せんげんした。Martin v. Hunter's Lessee, 14 U.S. 304 (1816)。刑事けいじ事件じけんについてCohens v. Virginia, 19 U.S. 264 (1821)。参照さんしょう丸山まるやま (1990: 32)。
  8. ^ 現在げんざいのこっている権利けんり上訴じょうそ制度せいどとして、連邦れんぽう地裁ちさいで、制定せいていほうじょう3にん裁判官さいばんかんによる合議ごうぎ必要ひつようとされているごくかぎられた民事みんじ訴訟そしょうであって、そこで暫定ざんていてき差止さしとまた本案ほんあん差止さしどめが認容にんようまた棄却ききゃくされた場合ばあいに、地方裁判所ちほうさいばんしょ判断はんだんたいし、連邦れんぽう最高裁さいこうさい直接ちょくせつ上訴じょうそすることができるとのさだめがある。28 U.S.C. §1253浅香あさか (2000: 164)。
  9. ^ 連邦れんぽう議会ぎかいは、もともと倒産とうさん裁判所さいばんしょ合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう1じょう権限けんげんもとづいて設立せつりつする独立どくりつ裁判所さいばんしょとして構成こうせいしていたが(1978ねんほう)、1982ねん連邦れんぽう最高裁さいこうさい判決はんけつ (Northern Pipeline Constr. Co. v. Marathon Pipeline Co., 458 U.S. 50 (1982)) で権力けんりょく分立ぶんりつ原則げんそくとの抵触ていしょく指摘してきされ、倒産とうさん裁判所さいばんしょ憲法けんぽう3じょう裁判所さいばんしょである地方裁判所ちほうさいばんしょいち部門ぶもんとするとの立法りっぽう措置そちがとられた(1984ねんほう)。Epstein (2007: 33-35)。
  10. ^ 連邦れんぽう裁判官さいばんかん巡回じゅんかいごと、地区ちくごとといったポストごとに任命にんめいされるため、ことなるポストにくためにはあらたに指名しめい任命にんめい手続てつづき必要ひつようである。ただし日本にっぽんのようなキャリア・システムをとっていないため、下位かい裁判所さいばんしょ裁判官さいばんかん上位じょうい裁判所さいばんしょ裁判官さいばんかん任命にんめいされるれいおおくない。フット (2007: 24-25)。
  11. ^ 連邦れんぽう最高裁さいこうさいでは、開廷かいてい以外いがいはカメラのみや建物たてものない写真しゃしん撮影さつえいゆるされている。
  12. ^ 1955ねん以降いこう連邦れんぽう最高裁さいこうさい録音ろくおんをインターネットで公開こうかいするオーイェス・プロジェクト進行しんこうしている。

出典しゅってん

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参考さんこう文献ぶんけん

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統計とうけいてき資料しりょう

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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