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予備審問 - Wikipedia

予備よび審問しんもん

正式せいしき裁判さいばん先立さきだって、起訴きそするにりる証拠しょうこがあるかかを判断はんだんする手続てつづき

予備よび審問しんもん(よびしんもん、えい: preliminary hearing)は、おもコモン・ローくにで、刑事けいじ訴訟そしょうにおける正式せいしき裁判さいばん先立さきだって、当該とうがい案件あんけん審理しんりする(起訴きそする)にりる証拠しょうこがあるかかを判断はんだんする手続てつづきをいう。

同様どうよう性格せいかく手続てつづきに、大陸たいりくほうけい国々くにぐにられる予審よしんよしんどく: Gerichtliche Voruntersuchung)がある。ただし、予備よび審問しんもん捜査そうさ訴追そつい機関きかん提出ていしゅつする証拠しょうこによって裁判官さいばんかんなどが起訴きそ当否とうひ判断はんだんするのみであるのにたいし、しんでは、強制きょうせい捜査そうさけん予審よしん判事はんじみずか積極せっきょくてき証拠しょうこ収集しゅうしゅうするてんで、刑事けいじ手続てつづきたいする思想しそう根本こんぽんてきことなる。

予備よび審問しんもん

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公訴こうそ提起ていき起訴きそ)を私人しじんおこな私人しじん訴追そつい原則げんそくとするイギリスにおいて、濫訴を防止ぼうしするために採用さいようされた。その、イギリスほう継受けいじゅしたアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく一部いちぶ大陸たいりくほうこくにおいてもおこなわれるようになり、現在げんざいいたっている。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく憲法けんぽう修正しゅうせい5じょうでは、だい陪審ばいしんによる起訴きそ保障ほしょうしているため、連邦れんぽう裁判所さいばんしょ事件じけん連邦れんぽうほう違反いはん)については予備よび審問しんもんではなくだい陪審ばいしんによって起訴きそ当否とうひ決定けっていされる。連邦れんぽう刑事けいじ訴訟そしょう規則きそくには治安ちあん判事はんじによる予備よび審問しんもん規定きていがあるが、だい陪審ばいしんによる正式せいしき起訴きそがされた場合ばあいとう除外じょがいされているので、予備よび審問しんもん基本きほんてき必要ひつようとされない[1]一方いっぽうしゅう裁判所さいばんしょではだい陪審ばいしん起訴きそによらなくてもよいとほぐされており、それにわる制度せいどとして、およそ半数はんすうしゅう予備よび審問しんもん採用さいようしている。

予備よび審問しんもんにおいては、起訴きそをするかかは、だい陪審ばいしんではなく裁判官さいばんかんおおくは治安ちあん判事はんじ)が判定はんていする。予備よび審問しんもん証拠しょうこ不十分ふじゅうぶんとされた場合ばあい被疑ひぎしゃ起訴きそされないが、後日ごじつ追加ついか捜査そうさにより証拠しょうこととのった場合ばあいには、再度さいど予備よび審問しんもんひらかれる可能かのうせいがある。

アメリカでは、予備よび審問しんもんたいするアクセスにはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく憲法けんぽう修正しゅうせいだい1じょう保障ほしょうおよび、公開こうかいおこなわなければならない。非公開ひこうかいとするためには、(1)政府せいふがわのやむにやまれぬ利益りえきのために非公開ひこうかい必要ひつようとされ、(2)その利益りえき達成たっせいするために限定げんていてき方法ほうほうおこなわれることが必要ひつようである[2]

日本にっぽん

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日本にっぽん予審よしん制度せいどは、1880ねん明治めいじ13ねん)に制定せいていされたざいほうはじまる(ざいほうフランスギュスターヴ・エミール・ボアソナードによって起草きそうされ、フランスほう影響えいきょうけた)。その1890ねん明治めいじ23ねん)に制定せいていされた刑事けいじ訴訟そしょうほうきゅう刑事けいじ訴訟そしょうほう明治めいじ刑事けいじ訴訟そしょうほう明治めいじ23ねん法律ほうりつだい96ごう)にがれた。

予備よび審問しんもん採用さいようしている国々くにぐにとはことなり、予審よしん制度せいどのもとでは強制きょうせい処分しょぶんはもっぱら予審よしん判事はんじ権能けんのうとされた。このため、ざいほう1890ねん明治めいじ33ねん)に制定せいていされた刑訴法けいそほう明治めいじ刑訴法けいそほう)では、司法しほう警察けいさつ官吏かんり検事けんじ検察官けんさつかん)には現行げんこうはん逮捕たいほけんのみがあたえられていた。しかし、1922ねん大正たいしょう11ねん)にドイツ刑訴法けいそほう影響えいきょうけて全面ぜんめん改正かいせいされた刑事けいじ訴訟そしょうほう大正たいしょう刑事けいじ訴訟そしょうほう)では、「急速きゅうそくようする」場合ばあい検事けんじ勾引こういんじょう勾留こうりゅうじょうはつづけみとめ(123じょう・129じょう)、また例外れいがいてき検事けんじ司法しほう警察けいさつ官吏かんりによる逮捕たいほみとめ(124じょう)、「強制きょうせい処分しょぶん司法しほうけんのみが行使こうしできる」という原則げんそく後退こうたいした。

日本にっぽん予審よしん制度せいどしたにおいては、予審よしん調書ちょうしょ公判こうはんにおける証拠しょうことしてみとめられており、証拠しょうこ価値かちたかいものとされていた。他方たほう公判こうはん審理しんり予審よしん調書ちょうしょ中心ちゅうしんになってしまい、公判こうはん審理しんり形骸けいがいした問題もんだいもあった[3][4][5]

1947ねん昭和しょうわ22ねん)に施行しこうされた日本国にっぽんこく憲法けんぽう施行しこうともな刑事けいじ訴訟そしょうほう応急おうきゅうてき措置そちかんする法律ほうりつによって予審よしん廃止はいし規定きていされ、1949ねん昭和しょうわ24ねん)の刑事けいじ訴訟そしょうほう改正かいせいしん刑事けいじ訴訟そしょうほう)によって予審よしん制度せいどほう構造こうぞうから廃止はいしとなった。

フランスでは、重罪じゅうざい事件じけんのときとそれ以外いがい(けいざいたがえ警罪)のときにけられている。重罪じゅうざい事件じけん場合ばあい予審よしん判事はんじによる予審よしんと、控訴こうそいん弾劾だんがい重罪じゅうざい公訴こうそ予審よしんともやくされる)による予審よしんて、重罪じゅうざいいん審理しんりされる。それ以外いがい事件じけんについては、かならずしも予審よしん必要ひつよう手続てつづきではなく、検察官けんさつかん起訴きそ決定けっていする場合ばあいもあるが、起訴きそ事件じけん記録きろくすべ保管ほかんされる[6]

フランスの重罪じゅうざい事件じけん刑事けいじ手続てつづきは、2000ねん6がつ15にち法律ほうりつ無罪むざい推定すいてい保護ほごおよび犯罪はんざい被害ひがいしゃ権利けんり強化きょうかかんする法律ほうりつ)により改正かいせいされ、重罪じゅうざい事件じけんけいつみ事件じけん同様どうようの2しんせい(ただし、たがえ警罪・けいつみ事件じけんたがえ警罪裁判所さいばんしょけいつみ裁判所さいばんしょ控訴こうそいんけいざい控訴こうそという方式ほうしきなのにたいし、重罪じゅうざい事件じけん場合ばあいには重罪じゅうざいいん破毀はきいん刑事けいじ指定していするべつ重罪じゅうざいいん原審げんしんより陪審ばいしんいんが3めいおお構成こうせい覆審ふくしんする。控訴こうそ重罪じゅうざいいんばれる〕という方式ほうしき)をることになったのにともない、重罪じゅうざい事件じけん予審よしん手続てつづき改正かいせいされた。

いままで重罪じゅうざい事件じけん重罪じゅうざいいん判決はんけつだいいちしんかつ終審しゅうしんだったかわりに、重罪じゅうざい事件じけん予審よしん予審よしん判事はんじによる予審よしんのち控訴こうそいん弾劾だんがいによる2段階だんかい予審よしん必要ひつようてきとされていたが、2000ねん6がつ15にち法律ほうりつによって、予審よしん判事はんじ直接ちょくせつ重罪じゅうざいいん公判こうはんすことができるようになった。ただし、不服ふふくがある当事とうじしゃ控訴こうそいん予審よしん(Chambre d'instruction de la cour d'appel)に予審よしん抗告こうこくをすることができる。控訴こうそいん予審よしん弾劾だんがい重罪じゅうざい控訴こうそ)を2000ねん6がつ15にち法律ほうりつ改組かいそしたものである。なお、予審よしん判事はんじ処分しょぶん日本にっぽんでは捜査そうさ相当そうとうする事実じじつ行為こうい中心ちゅうしん)にかんしては従前じゅうぜんより控訴こうそいん弾劾だんがい予審よしん抗告こうこくゆるされていたが、2000ねん6がつ15にち法律ほうりつでは、検察けんさつがわのみならず予審よしん対象たいしょうしゃわたし原告げんこくじん犯罪はんざい被害ひがいしゃなど民事みんじじょう請求せいきゅう刑事けいじ手続てつづきにおいておこな当事とうじしゃがわにも従前じゅうぜん以上いじょう広範こうはん予審よしん抗告こうこくけんみとめている。

予審よしん判事はんじ事案じあん正式せいしき裁判さいばんまわすかを判断はんだんすることを目的もくてき重大じゅうだい犯罪はんざいについて強制きょうせい捜査そうさ長期ちょうき未決みけつ勾留こうりゅう権限けんげんって容疑ようぎしゃ尋問じんもん証拠しょうこ収集しゅうしゅうおこなうが、判事はんじのチェックを事実じじつじょうけることなく単独たんどく仕事しごとをこなすことから「大統領だいとうりょうよりも権力けんりょくをもつ」ともひょうされている。しかし、一人ひとり予審よしん判事はんじウトロー事件じけん英語えいごばんという冤罪えんざい事件じけんこしたことがきっかけで、2006ねん一定いってい事件じけんについては複数ふくすう予審よしん判事はんじ予審よしんおこな制度せいど導入どうにゅうされた。

予審よしん判事はんじによる予審よしんをコントロールする控訴こうそいん予審よしん決定けってい不服ふふくがある当事とうじしゃは、破毀はきいん刑事けいじ(Chambre criminelle de la cour de cassation)にたいして法令ほうれい違反いはん理由りゆうとして破毀はき申立もうしたて(Pourvoi en cassation)をもうてることができる。破毀はき申立もうしたては「上告じょうこく」ともやくされるが、破毀はきいんはあくまでも事実じじつしん判決はんけつ決定けってい合法ごうほうせい審査しんさする純然じゅんぜんたる法律ほうりつしんであり、フランスほうではこれをだいさんしんとはとらえない。

関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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参考さんこう文献ぶんけん

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