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起訴 - Wikipedia

起訴きそ

うったえを提起ていきすること

起訴きそ(きそ)は、刑事けいじ訴訟そしょうにおける検察官けんさつかんによる公訴こうそ提起ていきしてもちいられることがおおいが、歴史れきしてき経緯けいいにより民事みんじ訴訟そしょうにおける原告げんこくによるうったえの提起ていき場合ばあいもある[1]

刑事けいじ訴訟そしょう

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刑事けいじ訴訟そしょうにおける起訴きそとは、検察官けんさつかんのなす公訴こうそ提起ていき処分しょぶんをいう[2]

起訴きそ条件じょうけん

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訴訟そしょう条件じょうけんとは、公訴こうそおいぎょうし、事件じけん実体じったい審理しんりおよび裁判さいばんをするための要件ようけんをいい、このうち起訴きそのための適法てきほう要件ようけんとく起訴きそ条件じょうけんともいう。

起訴きそ手続てつづき

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起訴きそは、起訴きそじょう提出ていしゅつしてしなければならない(刑事けいじ訴訟そしょうほう256じょう1こう)。起訴きそじょういちほん主義しゅぎにより、起訴きそにあたって裁判官さいばんかん予断よだんしょうじせしめるおそれのある書類しょるいとう証拠しょうこ書類しょるいなど)をしたり、その内容ないよう引用いんようしたりすることは原則げんそくてき違法いほうである(どうじょう6こう)。

起訴きそじょう

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起訴きそじょうには、以下いか事項じこう記載きさいする(刑事けいじ訴訟そしょうほう256じょう2こうどうじょう4こう)。

  1. 被告人ひこくにん氏名しめいその人定じんてい事項じこう
  2. 公訴こうそ事実じじつ
  3. 罪名ざいめいおよびばちじょう

在宅ざいたく起訴きそ

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在宅ざいたく起訴きそ(ざいたくきそ)とは、刑事けいじ事件じけん被疑ひぎしゃ刑事けいじ施設しせつ勾留こうりゅう未決みけつ勾留こうりゅう)されていない状態じょうたい起訴きそがなされることをいう[3]

逃亡とうぼうつみしょう隠滅いんめつのおそれなどの勾留こうりゅう要件ようけんたさない場合ばあいしょうじる。ちがいは公判こうはんちゅう身柄みがら拘束こうそくされないだけであり、刑事けいじ手続てつづき自体じたい勾留こうりゅうされた被疑ひぎしゃ起訴きそされた場合ばあい同様どうよう進行しんこうする。

略式りゃくしき裁判さいばん選択せんたくされた場合ばあいにもしょうじる。

起訴きそ処分しょぶん

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刑事けいじ訴訟そしょうほう248じょうにより検察官けんさつかんは、事件じけんについて公訴こうそ提起ていきしないことができる(いわゆる起訴きそ便宜べんぎ主義しゅぎ)。終局しゅうきょく処分しょぶんとして被疑ひぎしゃ起訴きそしないことを選択せんたくすることを起訴きそ処分しょぶんというが、この処分しょぶんにおける裁定さいていについての区分くぶん事件じけん事務じむ規程きてい75じょう2こう規定きていされている。

起訴きそ処分しょぶんふく終局しゅうきょく処分しょぶん決定けっていは、裁判さいばんことなり非公開ひこうかいのうちにおこなわれ、検察庁けんさつちょう起訴きそについては理由りゆうあきらかにしないケースがおおいので、その理由りゆうめぐ臆測おくそくぶこともある。しかし、法律ほうりつじょう検察官けんさつかん守秘しゅひ義務ぎむ国家こっか公務員こうむいんほう100じょう1こう)を一方いっぽう起訴きそ処分しょぶん理由りゆう報道ほうどう機関きかんとうたい公表こうひょうする義務ぎむ規定きていや、検察官けんさつかんによる自由じゆう公表こうひょう可能かのうとする規定きていはない。

検察官けんさつかんは、起訴きそ処分しょぶんおこなわれた場合ばあいにおいて、被疑ひぎしゃ請求せいきゅうがあるときは、すみやかにそのむねつたえなければならない(刑訴法けいそほう259じょう事件じけん事務じむ規程きてい76じょう1こうもとづく起訴きそ処分しょぶん告知こくちしょによる。ただしたん起訴きそむねつたえられるだけで、理由りゆう裁定さいてい主文しゅぶんについての通知つうち特段とくだんない。)。

検察官けんさつかんは、被疑ひぎ事件じけん告訴こくそ告発こくはつまたは請求せいきゅうのあったものである場合ばあい公訴こうそ提起ていきまたは起訴きそ処分しょぶんとしたときは、すみやかにそのむね告訴こくそじん告発こくはつじんまた請求せいきゅうじんに(義務ぎむてきに)通知つうちしなければならない(処分しょぶん通知つうちしょによる。刑訴法けいそほう260じょう事件じけん事務じむ規程きてい60じょう)。

この場合ばあいにおいて、告訴こくそじん告発こくはつじんまたは請求せいきゅうじん請求せいきゅうがあるときは、すみやかに告訴こくそじん告発こくはつじんまたは請求せいきゅうじんにその理由りゆうげなければならない(起訴きそ処分しょぶん理由りゆう告知こくちしょによる。この書面しょめんちゅう上記じょうき裁定さいてい主文しゅぶん嫌疑けんぎ不十分ふじゅうぶんとう)が記載きさいされることになっている。刑訴法けいそほう261じょう事件じけん事務じむ規程きてい76じょう2こう)。

事件じけん事務じむ規程きてい75じょう2こうさだめる区分くぶん一覧いちらん以下いかのとおり。

(1) 被疑ひぎしゃ死亡しぼう
被疑ひぎしゃ死亡しぼうしたとき。
(2) 法人ほうじんとう消滅しょうめつ
被疑ひぎしゃである法人ほうじんまたは処罰しょばつ対象たいしょうとなるべき団体だんたいとう消滅しょうめつしたとき。
(3) 裁判さいばんけんなし
被疑ひぎ事件じけんくに裁判さいばん管轄かんかつぞくしないとき。
(4) だい1裁判さいばんけんなし・行使こうし
日米地位協定にちべいちいきょうてい(昭和しょうわ35ねん条約じょうやくだい7ごう)、日本にっぽんこくにおける国際こくさい連合れんごう軍隊ぐんたいたいする刑事けいじ裁判さいばんけん行使こうしかんする議定ぎていしょ(昭和しょうわ28ねん条約じょうやくだい28ごう)もしくは日本にっぽんこくにおける国際こくさい連合れんごう軍隊ぐんたい地位ちいかんする協定きょうてい(昭和しょうわ29ねん条約じょうやくだい12ごう)にもとづき、くにだい1裁判さいばんけんがないとき、またぜん3ごうもしくは次号じごうからだい20ごうまでのいずれかに該当がいとうする場合ばあいのぞくにだい1裁判さいばんけん行使こうししないとき(だい1裁判さいばんけん放棄ほうきしたときをふくむ。)。
(5) 親告罪しんこくざい告訴こくそ告発こくはつ請求せいきゅう欠如けつじょ無効むこう取消とりけ
親告罪しんこくざいまたは告発こくはつもしくは請求せいきゅうをまってろんずべきつみにつき、告訴こくそ告発こくはつもしくは請求せいきゅうがなかったとき、無効むこうであったときまたはされたとき。
(6) 通告つうこく欠如けつじょ
道路どうろ交通こうつうほう(昭和しょうわ35ねん法律ほうりつだい105ごう)だい130じょう規定きていにより公訴こうそ提起ていきすることができないとき、またはどうじょう規定きていにより家庭かてい裁判所さいばんしょ審判しんぱんすることができないとき。
(7) 反則はんそくきん納付のうふ
道路どうろ交通こうつうほうだい128じょうだい2こう規定きていにより公訴こうそ提起ていきすることができないときまたはどうこう(だい130じょうの2だい3こうにおいて準用じゅんようする場合ばあいふくむ。)の規定きていにより家庭かてい裁判所さいばんしょ審判しんぱんすることができないとき。
(8) 確定かくてい判決はんけつあり
どういち事実じじつにつきすで既判力きはんりょくのある判決はんけつがあるとき。
(9) 保護ほご処分しょぶん
どういち事実じじつにつきすで少年しょうねんほうだい24じょうだい1こう保護ほご処分しょぶんがなされているとき。
(10) 起訴きそ
どういち事実じじつにつきすで公訴こうそ提起ていきされているとき(公訴こうそ取消とりけしがなされている場合ばあいふくむ。)。ただし、だい8ごう該当がいとうする場合ばあいのぞく。
(11) けい廃止はいし
犯罪はんざい法令ほうれいによりけい廃止はいしされたとき。
(12) 大赦たいしゃ
被疑ひぎ事実じじつ大赦たいしゃかかつみであるとき。
(13) 時効じこう完成かんせい
公訴こうそ時効じこう完成かんせいしたとき。
(14) 刑事けいじ未成年みせいねん
被疑ひぎしゃ犯罪はんざい14さいたないとき。
(15) 心神喪失しんしんそうしつ
被疑ひぎしゃ犯罪はんざい心神喪失しんしんそうしつであったとき。
(16) ざいとならず
被疑ひぎ事実じじつ犯罪はんざい構成こうせい要件ようけん該当がいとうしないとき、または犯罪はんざい成立せいりつを阻却する事由じゆうのあることが証拠しょうこじょう明確めいかくなとき。ただし、ぜん2ごう該当がいとうする場合ばあいのぞく。
(17) 嫌疑けんぎなし
被疑ひぎ事実じじつにつき、被疑ひぎしゃがその行為こういしゃでないことが明白めいはくなとき、または犯罪はんざい成否せいひ認定にんていすべき証拠しょうこのないことが明白めいはくなとき。
(18) 嫌疑けんぎ不十分ふじゅうぶん
被疑ひぎ事実じじつにつき、犯罪はんざい成立せいりつ認定にんていすべき証拠しょうこ不十分ふじゅうぶんなとき。
(19) けい免除めんじょ
被疑ひぎ事実じじつ明白めいはく場合ばあいにおいて、法律ほうりつじょうけい免除めんじょされるべきとき。
(20) 起訴きそ猶予ゆうよ
被疑ひぎ事実じじつ明白めいはく場合ばあいにおいて、被疑ひぎしゃ性格せいかく年齢ねんれいおよび境遇きょうぐう犯罪はんざい軽重けいちょうおよび情状じょうじょうならびに犯罪はんざい情況じょうきょうにより訴追そつい必要ひつようとしないとき。

民事みんじ訴訟そしょう

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かつては民事みんじ訴訟そしょうにおいても「起訴きそ」のかたり使用しようされていたが、2021ねん時点じてんにおける民事みんじ訴訟そしょうほうひとし法令ほうれいにおいては「起訴きそ」のかたり使用しようされておらず、きゅう民事みんじ訴訟そしょうほう名残なごりでこうがくじょうじゅう起訴きそ禁止きんしかたりもちいられたり、民事みんじ保全ほぜん手続てつづきにおける起訴きそ命令めいれいにその名残なごりがあったりするにとどまる。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ とっさの日本語にほんご便利べんりちょう起訴きそ
  2. ^ "起訴きそ". ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてん しょう項目こうもく事典じてん. コトバンクより2021ねん8がつ3にち閲覧えつらん
  3. ^ 在宅ざいたく起訴きそ. コトバンクより2021ねん7がつ31にち閲覧えつらん

関連かんれん用語ようご

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外部がいぶリンク

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