(Translated by https://www.hiragana.jp/)
捜索 - Wikipedia

捜索そうさく

所在しょざい不明ふめいひとまたはもの発見はっけん目的もくてきとした活動かつどう

捜索そうさく(そうさく)とは、所在しょざい不明ふめいひとまたはもの発見はっけん目的もくてきとした活動かつどうをいう。(たとえば、「遭難そうなんもの捜索そうさくする。」など。)

オーストラリアの警察けいさつによる車内しゃない捜索そうさく

法律ほうりつ用語ようごとしては、犯罪はんざい捜査そうさぜい滞納たいのう処分しょぶんなどのさいに、権限けんげんゆうする公務員こうむいんによっておこなわれるものをす。この意味いみおこなわれる捜索そうさくは、ぞくに「ガサ(がさいれ)」(語源ごげんさがす(さがす)の「さが」をぎゃくにしたもの)ともばれる。

刑事けいじ訴訟そしょうほう

刑事けいじ訴訟そしょうほう昭和しょうわ23ねん法律ほうりつだい131ごう以下いか刑訴法けいそほう」とりゃくす)じょう捜索そうさくとは、被告人ひこくにん身体しんたいものまた住居じゅうきょその場所ばしょにつき、ひとぶつ発見はっけんするためにおこなわれる強制きょうせい処分しょぶんである。

日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい35じょうにより、逮捕たいほともな捜索そうさくのぞいては、権限けんげんゆうする司法しほう官憲かんけんはっする令状れいじょうしにその住居じゅうきょ書類しょるいおよび所持しょじひんについてこれをなされない権利けんり何人なんにんゆうすると規定きていされており、その具体ぐたいてき手続てつづきや方法ほうほうなどについては、刑事けいじ訴訟そしょうほうや、刑事けいじ訴訟そしょう規則きそく昭和しょうわ23ねん最高裁判所さいこうさいばんしょ規則きそくだい32ごう以下いか規則きそく」とりゃくす)、犯罪はんざい捜査そうさ規範きはん昭和しょうわ32ねん国家こっか公安こうあん委員いいんかい規則きそくだい2ごう以下いか規範きはん」とりゃくす)などの法令ほうれい規定きていされている。

捜索そうさくには、刑訴法けいそほうだい1へんだい9しょう規定きていする裁判所さいばんしょおこなうものと、どうほうだい2へんだい1しょう規定きていする捜査そうさ一環いっかんとしておこなわれるものがあるが、実際じっさいにはほとんどが、後者こうしゃ手続てつづきによりおこなわれる。以下いかでは、後者こうしゃ捜索そうさくについて記述きじゅつする。

令状れいじょう

捜索そうさくは、原則げんそくとして検察官けんさつかん検察けんさつ事務じむかんまたは司法しほう警察けいさつ職員しょくいん請求せいきゅうにより裁判官さいばんかんはっする令状れいじょうによりおこなわれる(刑訴法けいそほう218じょう)。このうち警察官けいさつかんである司法しほう警察けいさつ職員しょくいんについては、原則げんそくとして、国家こっか公安こうあん委員いいんかいまたは都道府県とどうふけん公安こうあん委員いいんかい指定していした警部けいぶ以上いじょう階級かいきゅうにある警察官けいさつかん指定してい司法しほう警察けいさついん)が令状れいじょう請求せいきゅうおこなうとされている(規範きはん137じょう)。令状れいじょうには、被疑ひぎしゃとう氏名しめい罪名ざいめい捜索そうさくすべき場所ばしょ身体しんたいものとう刑訴法けいそほうだい219じょう規定きていする事項じこう記載きさいし、裁判官さいばんかん記名きめい押印おういんがなされなければならない。令状れいじょう請求せいきゅうたっては、その必要ひつようせいうとあかりする資料しりょう添付てんぷしなければならない(規範きはん139じょう)。

捜索そうさく対象たいしょう令状れいじょうにより特定とくていされていなければならず、複数ふくすう場所ばしょなどを1つう令状れいじょう捜索そうさくすることはできないとほぐされている。ただし、法律ほうりつうえ別個べっこ処分しょぶんである捜索そうさく差押さしおさえ令状れいじょうを1つうとすることは違法いほうではないとされており、実務じつむじょうも「捜索そうさく差押さしおさえ許可きょかじょう」という書式しょしき多用たようされる。

令状れいじょう主義しゅぎ例外れいがい

被疑ひぎしゃ逮捕たいほさいして必要ひつよう場合ばあい令状れいじょうしで、住居じゅうきょとうにおいて被疑ひぎしゃ捜索そうさくし、または逮捕たいほ現場げんばについて捜索そうさくおこなうことができる(刑訴法けいそほう220じょう1こう)。ここでいう「逮捕たいほ現場げんば」とは、判例はんれい通説つうせつによれば、逮捕たいほ行為こうい時間じかんてき場所ばしょてき接着せっちゃくしていることをようするとされている。

逮捕たいほともな捜索そうさく令状れいじょうようしないことは、すで逮捕たいほという法益ほうえき侵害しんがいゆるされている以上いじょう被疑ひぎしゃ権利けんり侵害しんがいする度合どあいがすくないことと、証拠しょうこ収集しゅうしゅう必要ひつようせい緊急きんきゅうせいみとめられること、また、証拠しょうこ存在そんざい蓋然性がいぜんせいたかいことが理由りゆうとされる。

捜索そうさく執行しっこう

刑訴法けいそほう222じょうだい1こうでは、捜索そうさく執行しっこうにあたり、どうほう99じょう以下いか裁判所さいばんしょおこな捜索そうさくについての規定きてい準用じゅんようしている。

令状れいじょうもとづいて捜索そうさくするさいは、処分しょぶんけるものまたは立会たちあいじん立会たちあいじん規範きはん141じょう2こうによる)にたいしてこれを提示ていじしなければならない(刑訴法けいそほう222じょう1こう、110じょう)。また、住居じゅうきょぬしとうのその管理かんりしゃ責任せきにんしゃとうわせなければならず、これができない場合ばあい隣人りんじんまたは地方ちほう公共こうきょう団体だんたい職員しょくいんわせなければならない。必要ひつよう場合ばあいは、被疑ひぎしゃわせることができる。ただし、犯人はんにん逮捕たいほするための捜索そうさく刑訴法けいそほう220じょう1こう1ごう)で緊急きんきゅうようする場合ばあいは、立会たちあいじんようしない(刑訴法けいそほう222じょう1こうは110じょう準用じゅんようしているが、201じょう準用じゅんようしていない)。

捜索そうさくたっては、じょうふうひらき、その出入でいりを禁止きんしし、その禁止きんししたがわないもの退去たいきょさせるなど必要ひつよう処分しょぶんをすることができる(刑訴法けいそほう222じょう1こう、111じょう1こう)。ただし、必要ひつよう以上いじょう器物きぶつ損壊そんかいし、書類しょるいみださないよう注意ちゅういしなければならず、原状げんじょう回復かいふくつとめなければならない(規範きはん140じょう2こう)。

夜間やかんまえ日没にちぼつ)の捜索そうさくは、令状れいじょうとく記載きさいがない場合ばあいはすることができない(刑訴法けいそほう222じょう4こう)。これは、私人しじん夜間やかんにおける平穏へいおん保護ほごするためとほぐされている。ただし、旅館りょかんホテルネットカフェ飲食いんしょくてんひとし夜間やかん公衆こうしゅう出入でいりする場所ばしょや、賭場とばなど風俗ふうぞくがいする行為こうい常用じょうようされるものとみとめられる場所ばしょについては、前述ぜんじゅつ記載きさいしに夜間やかん捜索そうさくができる(どうじょう3こう)。また、日没にちぼつまえ着手ちゃくしゅした捜索そうさくは、日没にちぼつ継続けいぞくできる(どうじょう4こう)。

捜索そうさくさい秘密ひみつまもり、処分しょぶんけるもの名誉めいよがいしないよう注意ちゅういする(規則きそく93じょう)とともに、必要ひつよう以上いじょう関係かんけいしゃ迷惑めいわくをかけないよう注意ちゅういし(規範きはん140じょう)なければならない。

令状れいじょうによる捜索そうさくは、令状れいじょう呈示ていじ捜索そうさく開始かいし要件ようけんであるが、証拠しょうこ隠滅いんめつ防止ぼうしとう、やむをない場合ばあい実施じっし着手ちゃくしゅにこれをしめすことも「準備じゅんび行為こうい」として適法てきほうとされている。

行政ぎょうせい手続てつづきにおける捜索そうさく

行政ぎょうせい手続てつづきにおいても、捜索そうさくおこなわれる場合ばあいがあるが、とく犯罪はんざい捜査そうさ密接みっせつ関連かんれんゆうする行政ぎょうせい手続てつづきおこな場合ばあいについては、裁判所さいばんしょ許可きょかじょうによって、捜索そうさく差押さしおさえとうみとめられている場合ばあいがある。具体ぐたいてき根拠こんきょ条文じょうぶんとして以下いかのものがある。

国税こくぜい徴収ちょうしゅうほう

国税こくぜい徴収ちょうしゅうほう昭和しょうわ34ねん4がつ20日はつか法律ほうりつだい147ごう以下いか徴収ちょうしゅうほう」とりゃくす)142 - 147じょうでは、国税こくぜい滞納たいのう処分しょぶんおこなうため、財産ざいさん調査ちょうさ一環いっかんとして、徴収ちょうしゅう職員しょくいんによる捜索そうさく権限けんげんみとめている。

徴収ちょうしゅうほうだい142じょうでは、滞納たいのう処分しょぶんのため必要ひつようがあるときは、滞納たいのうしゃものまたは住居じゅうきょその場所ばしょにつき捜索そうさくすることができると規定きていしている。この処分しょぶんは、国税こくぜい徴収ちょうしゅうじょう自力じりき執行しっこうけん一環いっかんとしてみとめられているものなので令状れいじょう必要ひつようなく、徴収ちょうしゅう職員しょくいん滞納たいのう処分しょぶんじょう必要ひつようみとめればいつでもおこなうことができるとほぐされている。ただし、徴収ちょうしゅうほうじょう捜索そうさく犯罪はんざい捜査そうさのためにみとめられたものとかいしてはならないむねが、徴収ちょうしゅうほうだい147じょうだい2こう規定きていされている。

徴収ちょうしゅう職員しょくいんは、捜索そうさくたり身分みぶんしょう携帯けいたいし、関係かんけいしゃ請求せいきゅうがあったときはこれを呈示ていじしなければならない(徴収ちょうしゅうほう147じょう)。ただし、捜索そうさく開始かいしまえなどに自発じはつてき呈示ていじする義務ぎむは、かならずしもいとほぐされている。

捜索そうさくする場所ばしょについては、滞納たいのうしゃ自身じしん住居じゅうきょ事務所じむしょとうのほか、滞納たいのうしゃ財産ざいさん所持しょじする第三者だいさんしゃまたは滞納たいのうしゃ財産ざいさん所持しょじするとみとめられる親族しんぞくひとし関係かんけいしゃがこれをわたさないときにかぎり、第三者だいさんしゃ住居じゅうきょその場所ばしょ捜索そうさくすることができる(徴収ちょうしゅうほう142じょう1・2こう)。徴収ちょうしゅう職員しょくいんは、滞納たいのうしゃとう捜索そうさくさき第三者だいさんしゃ関係かんけい箇所かしょである場合ばあいはその第三者だいさんしゃ以下いかおなじ。)に金庫きんことうひらかせ、またはみずかひらくために必要ひつよう処分しょぶんをすることができる(どうじょう3こう)。また、捜索そうさくのために必要ひつよう場合ばあい滞納たいのうしゃとうやその同居どうきょ親族しんぞく代理人だいりにん以外いがいがその出入でいりするのを禁止きんしすることができる

捜索そうさくは、旅館りょかんとう夜間やかん日没にちぼつから出前でまえ)に公衆こうしゅう出入でいりする場所ばしょでやむをない場合ばあいのほかは、夜間やかんおこなうことはできない。ただし、日没にちぼつまえ着手ちゃくしゅした捜索そうさくは、日没にちぼつ継続けいぞくすることができる(徴収ちょうしゅうほう143じょう)。

捜索そうさくたっては、滞納たいのうしゃとう・その親族しんぞく・その従業じゅうぎょういんとう相当そうとうのわきまえのあるものわせなければならない。これらのもの不在ふざいであるか、立会たちあいにおうじない場合ばあいは、成人せいじんしゃ2にん以上いじょう市町村しちょうそん職員しょくいん警察官けいさつかんのいずれかをわせなければならない(徴収ちょうしゅうほう144じょう)。ここでいう「相当そうとうのわきまえのあるもの」とは、たとえば会社かいしゃほう10じょうにいう「支配人しはいにん」や14じょうにいう「ある種類しゅるいまた特定とくてい事項じこう委任いにんけた使用人しようにん」(一般いっぱんにいう管理かんりしょく相当そうとう役職やくしょくもの)とほぐされている。

徴収ちょうしゅう職員しょくいんは、捜索そうさく結果けっか差押さしおさえ可能かのう財産ざいさん発見はっけんした場合ばあいは、徴収ちょうしゅうほう47じょう以下いか規定きていしたがいそれらをおさえることができる。徴収ちょうしゅう職員しょくいんは、捜索そうさく結果けっか財産ざいさん差押さしおさえをおこなわなかった場合ばあいには捜索そうさく調書ちょうしょを、差押さしおさえをおこなった場合ばあい捜索そうさく調書ちょうしょえて徴収ちょうしゅうほう54じょう規定きていする差押さしおさえ調書ちょうしょをそれぞれ作成さくせいし、滞納たいのうしゃとう立会たちあいじんにその謄本とうほん交付こうふしなければならない。

なお、地方ちほう税法ぜいほう昭和しょうわ25ねん7がつ31にち法律ほうりつだい226ごう)では都道府県とどうふけん市町村しちょうそん徴税ちょうぜい吏員りいん各種かくしゅ地方ちほうぜい滞納たいのう処分しょぶんについて徴収ちょうしゅうほうれいによりおこなうことをみとめているので、徴税ちょうぜい吏員りいん地方ちほうぜい滞納たいのう処分しょぶんのために前述ぜんじゅつ捜索そうさくおこなうことができる。この場合ばあい上述じょうじゅつ説明せつめいについて「国税こくぜい地方ちほうぜい」、「徴収ちょうしゅう職員しょくいん徴税ちょうぜい吏員りいん」などとえることになる。

参考さんこう文献ぶんけん

  • 田宮たみやひろしへん『ホーンブック 刑事けいじ訴訟そしょうほうきたじゅ出版しゅっぱん、2000ねん、103-107ぺーじ

関連かんれん項目こうもく

外部がいぶリンク