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私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 - Wikipedia

私的してき独占どくせん禁止きんしおよ公正こうせい取引とりひき確保かくほかんする法律ほうりつ

日本にっぽん法律ほうりつ

私的してき独占どくせん禁止きんしおよ公正こうせい取引とりひき確保かくほかんする法律ほうりつ(してきどくせんのきんしおよびこうせいとりひきのかくほにかんするほうりつ、昭和しょうわ22ねん法律ほうりつだい54ごう英語えいご: Act on Prohibition of Private Monopolization and Maintenance of Fair Trade[1])は、私的してき独占どくせん不当ふとう取引とりひき制限せいげんおよび公正こうせい取引とりひき方法ほうほう禁止きんしし、事業じぎょう支配しはいりょく過度かど集中しゅうちゅう防止ぼうしして、結合けつごう協定きょうていとう方法ほうほうによる生産せいさん販売はんばい価格かかく技術ぎじゅつとう不当ふとう制限せいげんその一切いっさい事業じぎょう活動かつどう不当ふとう拘束こうそく排除はいじょすることを目的もくてきとする日本にっぽん法律ほうりつである(どうほう1じょう)。

私的してき独占どくせん禁止きんしおよ公正こうせい取引とりひき確保かくほかんする法律ほうりつ
日本国政府国章(準)
日本にっぽん法令ほうれい
通称つうしょう略称りゃくしょう 独占どくせん禁止きんしほう
法令ほうれい番号ばんごう 昭和しょうわ22ねん法律ほうりつだい54ごう
種類しゅるい 経済けいざいほう
効力こうりょく 現行げんこうほう
成立せいりつ 1947ねん3がつ31にち
公布こうふ 1947ねん4がつ14にち
施行しこう 1947ねん7がつ20日はつか
所管しょかん持株もちかぶ会社かいしゃ整理せいり委員いいんかい→)
公正こうせい取引とりひき委員いいんかい
官房かんぼう審査しんさきょく経済けいざい取引とりひききょく
おも内容ないよう 私的してき独占どくせん不当ふとう取引とりひき制限せいげん事業じぎょうしゃ団体だんたい独占どくせんてき状態じょうたい株式かぶしき保有ほゆう役員やくいん兼任けんにん合併がっぺい分割ぶんかつ株式かぶしき移転いてん事業じぎょう譲受ゆずりうけ、公正こうせい取引とりひき方法ほうほう適用てきよう除外じょがい差止さしどめ請求せいきゅう損害そんがい賠償ばいしょう公正こうせい取引とりひき委員いいんかい犯則はんそく事件じけん調査ちょうさ
関連かんれん法令ほうれい 商法しょうほう下請したうけ代金だいきん支払しはらい遅延ちえんとう防止ぼうしほう
条文じょうぶんリンク 私的してき独占どくせん禁止きんしおよ公正こうせい取引とりひき確保かくほかんする法律ほうりつ - e-Gov法令ほうれい検索けんさく
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主務しゅむ官庁かんちょう公正こうせい取引とりひき委員いいんかい事務じむ総局そうきょく官房かんぼうで、経済けいざい産業さんぎょうしょう経済けいざい産業さんぎょう政策せいさくきょく産業さんぎょう組織そしき消費しょうひしゃちょう取引とりひき対策たいさくおよび証券しょうけん取引とりひきとう監視かんし委員いいんかい事務じむきょく取引とりひき調査ちょうさなど省庁しょうちょう連携れんけいして執行しっこうにあたる。

どうほうは、こうした事業じぎょう活動かつどう不当ふとう拘束こうそく排除はいじょすることにより、公正こうせい競争きょうそう促進そくしんし、事業じぎょうしゃ創意そうい発揮はっきさせ、事業じぎょう活動かつどうさかんにし、雇用こようおよび国民こくみんじつ所得しょとく水準すいじゅんたかめ、以って一般いっぱん消費しょうひしゃ利益りえき確保かくほするとともに、国民こくみん経済けいざい民主みんしゅてき健全けんぜん発展はってん促進そくしんするという政策せいさく目的もくてき[2]もとづき制定せいていされている(どうじょう)。1じょう目的もくてき達成たっせいすることを任務にんむとする公正こうせい取引とりひき委員いいんかいくとさだめる(どうほう27じょう1こう)。

どう法律ほうりつには法令ほうれい用語ようごうところの「題名だいめい」はされておらず、頭書とうしょ名称めいしょう制定せいてい公布こうふぶんから引用いんようしたいわゆる「件名けんめい」である。独占どくせん禁止きんしほうないし独禁法どっきんほう略称りゃくしょうされることもおおい。

構成こうせい

編集へんしゅう
  • だい1しょう 総則そうそく
  • だい2しょう 私的してき独占どくせんおよ不当ふとう取引とりひき制限せいげん
  • だい3しょう 事業じぎょうしゃ団体だんたい
  • だい3しょうの2 独占どくせんてき状態じょうたい 
  • だい4しょう 株式かぶしき保有ほゆう役員やくいん兼任けんにん合併がっぺい分割ぶんかつおよ事業じぎょう譲受ゆずりう
  • だい5しょう 公正こうせい取引とりひき方法ほうほう
  • だい6しょう 適用てきよう除外じょがい
  • だい7しょう 差止さしどめ請求せいきゅうおよ損害そんがい賠償ばいしょう
  • だい8しょう 公正こうせい取引とりひき委員いいんかい
    • だい1せつ 設置せっち任務にんむおよ所掌しょしょう事務じむならびに組織そしきとう
    • だい2せつ 手続てつづき
    • だい3せつ 雑則ざっそく
  • だい9しょう 訴訟そしょう
  • だい10しょう 雑則ざっそく
  • だい11しょう 罰則ばっそく
  • だい12しょう 犯則はんそく事件じけん調査ちょうさとう
  • 附則ふそく

制定せいていおよ改正かいせいとう経緯けいい

編集へんしゅう

弊害へいがい要件ようけん

編集へんしゅう

独禁法どっきんほうにおける主要しゅよう違反いはん要件ようけんにおいては、たん行為こうい要件ようけんれい不当ふとう事業じぎょうしゃ差別さべつてきあつかうこと)をたすのみではらず、「競争きょうそう実質じっしつてき制限せいげんする」(競争きょうそう実質じっしつてき制限せいげん)や「公正こうせい競争きょうそう阻害そがいするおそれ」(公正こうせい競争きょうそう阻害そがいせい)をたさなければならない。このうち後者こうしゃ弊害へいがい要件ようけんという。

そして、弊害へいがい要件ようけんたされるためには、

  • 行為こういそれ自体じたい競争きょうそう手段しゅだんとして不正ふせいである(不正ふせい手段しゅだん
  • 行為こういそのものがただちに不正ふせいとなるわけでないが、なんらかの悪影響あくえいきょうをもたらしている、あるいは、そのおそれがある(はん競争きょうそうせい

のいずれかが必要ひつようとされている。

条文じょうぶんじょうは、私的してき独占どくせん不当ふとう取引とりひき制限せいげんにおいては競争きょうそう実質じっしつてき制限せいげんが、公正こうせい取引とりひき方法ほうほうにおいては公正こうせい競争きょうそう阻害そがいせいが、規定きていされており、後者こうしゃのほうがよりゆる要件ようけんとされている。

市場いちば
条文じょうぶんじょうの「一定いってい取引とりひき分野ぶんや」とほぼおなじとされているが、個別こべつ事情じじょうおうじて弊害へいがい要件ようけん検討けんとうするさい前提ぜんていとして一般いっぱんには需要じゅようしゃ視点してんからみた選択肢せんたくしはばからいわゆる「検討けんとう対象たいしょう市場いちば」を画定かくていするものとされている。
はん競争きょうそうせい
競争きょうそう停止ていし他者たしゃ排除はいじょ優越ゆうえつてき地位ちい濫用らんようの3つにけられるとされている。おも論点ろんてんとして、他者たしゃ排除はいじょ事案じあんたいし、他者たしゃ排除はいじょ重視じゅうしせつ他者たしゃ排除はいじょがあれば、競争きょうそう影響えいきょうをおよばさなくてもはん競争きょうそうせいみとめるせつ)と、原則げんそくろん貫徹かんてつせつ競争きょうそう影響えいきょうおよぼさないかぎり、たとえ他者たしゃ排除はいじょがあってもはん競争きょうそうせいみとめないせつ)が対立たいりつしている。
不正ふせい手段しゅだん
行為こういそのものが不正ふせいとみなされる行為こういをさす。
正当せいとう理由りゆう
はん競争きょうそうせいがもたらされたり不正ふせい手段しゅだんがなされても、そのような行為こうい正当せいとうする理由りゆうがあれば独禁法どっきんほう違反いはんとなるわけでない。このような正当せいとうするような場合ばあいみとめるかどうかかにかんしてあらそいがあるが,最高裁さいこうさい石油せきゆカルテル刑事けいじ事件じけん昭和しょうわ59ねん判決はんけつ)も限定げんていてきながらみとめる余地よちがあることを示唆しさしているとされている。

規制きせい類型るいけい

編集へんしゅう

私的してき独占どくせん

編集へんしゅう

私的してき独占どくせん」とは、事業じぎょうしゃが、単独たんどくに、また事業じぎょうしゃ結合けつごうし、しくは通謀つうぼうし、そのいかなる方法ほうほうをもってするかをわず、事業じぎょうしゃ事業じぎょう活動かつどう排除はいじょし、また支配しはいすることにより、公共こうきょう利益りえきはんして、一定いってい取引とりひき分野ぶんやにおける競争きょうそう実質じっしつてき制限せいげんすることをう(2じょう5こう)。

排除はいじょ」とは、事業じぎょうしゃ事業じぎょう活動かつどう継続けいぞく困難こんなんにし、あるいは新規しんき参入さんにゅう困難こんなんにする行為こういをいう。公正こうせい取引とりひき方法ほうほう該当がいとうする手段しゅだんおおいが、それに限定げんていされるものではない。

支配しはい」とは、事業じぎょうしゃ意思いし決定けってい拘束こうそくし、自己じこ意思いししたがわせることをいう。もっとも、ここでいう「拘束こうそく」とは、かならずしも相手方あいてがた意思いしはんすることをようさないし、また、株式かぶしき保有ほゆう役員やくいん派遣はけんにより事実じじつじょう意思いし決定けってい支配しはいできるようになった状態じょうたいも「支配しはい」にふくまれる。

だい部分ぶぶんの「私的してき独占どくせん」にたる行為こういは「公正こうせい取引とりひき方法ほうほう」にも該当がいとうするため、独自どくじ意義いぎけはひくいという見方みかた最近さいきん提唱ていしょうされている。排除はいじょがたについては、一般いっぱん指定してい15こうがほとんど包含ほうがんするし、支配しはいがたについては、2じょう9こう4ごうがほぼ包含ほうがんする。もっとも、支配しはいがたについては「公正こうせい取引とりひき方法ほうほう」における課徴かちょうきん制度せいど適用てきよう範囲はんい限定げんていされたため、「私的してき独占どくせん」で事件じけん処理しょりをする意味いみしている。

エンフォースメント執行しっこう実現じつげん方法ほうほう)としては、以下いかがある。

  • 排除はいじょ措置そち命令めいれいほう7じょう公取委こうとりい事業じぎょうしゃたいし、当該とうがい行為こうい差止さしどめ、事業じぎょう一部いちぶ譲渡じょうと、その違反いはん行為こうい排除はいじょするために必要ひつよう措置そち命令めいれいできる。
  • 課徴かちょうきん納付のうふ命令めいれいほう7じょうの2だい2こう、6こう支配しはいがた対価たいか影響えいきょうあたえるものにかぎ
  • 刑事けいじばつほう89じょう1こう1ごう

不当ふとう取引とりひき制限せいげん

編集へんしゅう

不当ふとう取引とりひき制限せいげん」とは、事業じぎょうしゃが、契約けいやく協定きょうていそのなんらの名義めいぎもってするかをわず、事業じぎょうしゃ共同きょうどうして対価たいか決定けっていし、維持いじし、しくはげ、また数量すうりょう技術ぎじゅつ製品せいひん設備せつびしくは取引とりひき相手方あいてがた制限せいげんするとう相互そうごにその事業じぎょう活動かつどう拘束こうそくし、また遂行すいこうすることにより、公共こうきょう利益りえきはんして、一定いってい取引とりひき分野ぶんやにおける競争きょうそう実質じっしつてき制限せいげんすることをいう(2じょう6こう)。

6じょうにおいて不当ふとう取引とりひき制限せいげん内容ないようとする国際こくさいてき協定きょうていとう禁止きんしされている。

典型てんけいてきには談合だんごうがこれにたる。

不当ふとう取引とりひき制限せいげん成立せいりつ要件ようけんは、意思いし連絡れんらくと、相互そうご拘束こうそく共同きょうどう実行じっこうである。実務じつむじょうは、意思いし連絡れんらくがどの時点じてん成立せいりつしたかの認定にんてい争点そうてんになることがおおい。

エンフォースメントとしては、以下いかがある。

  • 排除はいじょ措置そち命令めいれい
  • 課徴かちょうきん納付のうふ命令めいれい(いわゆるハードコア・カルテル該当がいとうするものにかぎる)
  • 刑事けいじばつ

公正こうせい取引とりひき方法ほうほう

編集へんしゅう

公正こうせい取引とりひき方法ほうほう」とは、2じょう9こうさだめる以下いか行為こういをさす。

1 正当せいとう理由りゆうがないのに、競争きょうそうしゃ共同きょうどうして、つぎのいずれかに該当がいとうする行為こういをすること。

イ ある事業じぎょうしゃたいし、供給きょうきゅう拒絶きょぜつし、また供給きょうきゅうかか商品しょうひんしくは役務えきむ数量すうりょうしくは内容ないよう制限せいげんすること。
ロ 事業じぎょうしゃに、ある事業じぎょうしゃたいする供給きょうきゅう拒絶きょぜつさせ、また供給きょうきゅうかか商品しょうひんしくは役務えきむ数量すうりょうしくは内容ないよう制限せいげんさせること。

2 不当ふとうに、地域ちいきまた相手方あいてがたにより差別さべつてき対価たいかをもって、商品しょうひんまた役務えきむ継続けいぞくして供給きょうきゅうすることであって、事業じぎょうしゃ事業じぎょう活動かつどう困難こんなんにさせるおそれがあるもの

3 正当せいとう理由りゆうがないのに、商品しょうひんまた役務えきむをその供給きょうきゅうようする費用ひよういちじるしく下回したまわ対価たいか継続けいぞくして供給きょうきゅうすることであって、事業じぎょうしゃ事業じぎょう活動かつどう困難こんなんにさせるおそれがあるもの

4 自己じこ供給きょうきゅうする商品しょうひん購入こうにゅうする相手方あいてがたに、正当せいとう理由りゆうがないのに、つぎのいずれかにかかげる拘束こうそく条件じょうけんけて、当該とうがい商品しょうひん供給きょうきゅうすること。

イ 相手方あいてがたたいしその販売はんばいする当該とうがい商品しょうひん販売はんばい価格かかくさだめてこれを維持いじさせることその相手方あいてがた当該とうがい商品しょうひん販売はんばい価格かかく自由じゆう決定けってい拘束こうそくすること。
ロ 相手方あいてがた販売はんばいする当該とうがい商品しょうひん購入こうにゅうする事業じぎょうしゃ当該とうがい商品しょうひん販売はんばい価格かかくさだめて相手方あいてがたをして当該とうがい事業じぎょうしゃにこれを維持いじさせることその相手方あいてがたをして当該とうがい事業じぎょうしゃ当該とうがい商品しょうひん販売はんばい価格かかく自由じゆう決定けってい拘束こうそくさせること。

5 自己じこ取引とりひきじょう地位ちい相手方あいてがた優越ゆうえつしていることを利用りようして、正常せいじょうしょう慣習かんしゅうらして不当ふとうに、つぎのいずれかに該当がいとうする行為こういをすること。

イ 継続けいぞくして取引とりひきする相手方あいてがたあらたに継続けいぞくして取引とりひきしようとする相手方あいてがたふくむ。ロにおいておなじ。)にたいして、当該とうがい取引とりひきかか商品しょうひんまた役務えきむ以外いがい商品しょうひんまた役務えきむ購入こうにゅうさせること。
ロ 継続けいぞくして取引とりひきする相手方あいてがたたいして、自己じこのために金銭きんせん役務えきむその経済けいざいじょう利益りえき提供ていきょうさせること。
ハ 取引とりひき相手方あいてがたからの取引とりひきかか商品しょうひん受領じゅりょうこばみ、取引とりひき相手方あいてがたから取引とりひきかか商品しょうひん受領じゅりょうしたのち当該とうがい商品しょうひん当該とうがい取引とりひき相手方あいてがたらせ、取引とりひき相手方あいてがたたいして取引とりひき対価たいか支払しはらいおくらせ、しくはそのがくげんじ、その取引とりひき相手方あいてがた不利益ふりえきとなるように取引とりひき条件じょうけん設定せっていし、しくは変更へんこうし、また取引とりひき実施じっしすること。

6 ぜん各号かくごうかかげるもののほか、つぎのいずれかに該当がいとうする行為こういであつて、公正こうせい競争きょうそう阻害そがいするおそれがあるもののうち、公正こうせい取引とりひき委員いいんかい指定していするもの

イ 不当ふとう事業じぎょうしゃ差別さべつてきあつかうこと。
ロ 不当ふとう対価たいかをもって取引とりひきすること。
ハ 不当ふとう競争きょうそうしゃ顧客こきゃく自己じこ取引とりひきするように誘引ゆういんし、また強制きょうせいすること。
ニ 相手方あいてがた事業じぎょう活動かつどう不当ふとう拘束こうそくする条件じょうけんをもって取引とりひきすること。
ホ 自己じこ取引とりひきじょう地位ちい不当ふとう利用りようして相手方あいてがた取引とりひきすること。
ヘ 自己じこまた自己じこ株主かぶぬししくは役員やくいんである会社かいしゃ国内こくないにおいて競争きょうそう関係かんけいにあるほか事業じぎょうしゃとその取引とりひき相手方あいてがたとの取引とりひき不当ふとう妨害ぼうがいし、また当該とうがい事業じぎょうしゃ会社かいしゃである場合ばあいにおいて、その会社かいしゃ株主かぶぬししくは役員やくいんをその会社かいしゃ不利益ふりえきとなる行為こういをするように、不当ふとう誘引ゆういんし、そそのかし、しくは強制きょうせいすること

6じょうにおいて公正こうせい取引とりひき方法ほうほう内容ないようとする国際こくさいてき協定きょうていとう禁止きんしされている。

エンフォースメントとしては、以下いかがある。

  • 排除はいじょ措置そち命令めいれい
  • 民事みんじじょう差止さしど請求せいきゅう
  • 課徴かちょうきん(6ごうのぞき、1ごうから4ごうは10ねん以内いない排除はいじょ措置そち命令めいれいとうけている場合ばあい、5ごう継続けいぞくしている場合ばあいかぎられる) 

一般いっぱん指定してい

編集へんしゅう

一般いっぱん指定していとは、「公正こうせい取引とりひき方法ほうほう」(昭和しょうわ57ねん公正こうせい取引とりひき委員いいんかい告示こくじだい15ごう)のことをす。

  • 6ごうイに対応たいおうして取引とりひき拒絶きょぜつ差別さべつ対価たいかとうが1こう - 5こう
  • 6ごうロに対応たいおうして不当ふとう廉売れんばいとうが6こう・7こう(3こう対応たいおうする)
  • 6ごうハに対応たいおうして抱合だきあわ販売はんばいとうが8こう - 10こう特別とくべつほうとしてけいひょうほう存在そんざい
  • 6ごう対応たいおうして拘束こうそく条件じょうけんづけ取引とりひきは11こう - 12こう
  • 6ごうホに対応たいおうして取引とりひき相手方あいてがた役員やくいん選任せんにんへの不当ふとう干渉かんしょうたいする規定きていは13こう特殊とくしゅ指定していおもに6ごうホに対応たいおうする)
  • 6ごうへに対応たいおうして競争きょうそうしゃたいする取引とりひき妨害ぼうがいが14こう・15こう

規定きていされている。

特殊とくしゅ指定してい

編集へんしゅう

特殊とくしゅ指定していには、新聞しんぶんぎょう物流ぶつりゅうだい規模きぼ小売こうりてんかんするものが存在そんざいする。

事業じぎょうしゃ団体だんたい規制きせい

編集へんしゅう

つぎかかげる行為こうい禁止きんし(8じょう)。

  1. 一定いってい取引とりひき分野ぶんやにおける競争きょうそう実質じっしつてき制限せいげんすること
  2. 不当ふとう取引とりひき制限せいげん公正こうせい取引とりひき方法ほうほう該当がいとうする国際こくさいてき協定きょうていまた国際こくさいてき契約けいやくをすること
  3. 一定いってい事業じぎょう分野ぶんやにおける現在げんざいまた将来しょうらい事業じぎょうしゃかず制限せいげんすること
  4. 構成こうせい事業じぎょうしゃ機能きのうまた活動かつどう不当ふとう制限せいげんすること
  5. 事業じぎょうしゃ公正こうせい取引とりひき方法ほうほう該当がいとうするような行為こういをさせること

エンフォースメントとしては、以下いかがある。

  • 排除はいじょ措置そち命令めいれい
  • 課徴かちょうきん納付のうふ命令めいれい(1ごう不当ふとう取引とりひき制限せいげん該当がいとうするとき、あるいは2ごう不当ふとう取引とりひき制限せいげん内容ないようとする国際こくさいてき協定きょうていとう締結ていけつした場合ばあいかぎる)
  • 刑事けいじばつ私的してき独占どくせん不当ふとう取引とりひき制限せいげんかぎる)

企業きぎょう結合けつごう規制きせい

編集へんしゅう

合併がっぺい

編集へんしゅう

つぎ各号かくごういち該当がいとうするときは合併がっぺいをしてはならない(15じょう)。

  1. 合併がっぺいによって一定いってい取引とりひき分野ぶんやにおける競争きょうそう実質じっしつてき制限せいげんすることとなるとき
  2. 合併がっぺい公正こうせい取引とりひき方法ほうほうによるものである場合ばあい

共同きょうどう新設しんせつ分割ぶんかつ吸収きゅうしゅう分割ぶんかつ

編集へんしゅう

つぎ各号かくごうのいずれかに該当がいとうする場合ばあいは、共同きょうどう新設しんせつぶんまた吸収きゅうしゅう合併がっぺいをしてはならない(15じょうの2)。

  1. 共同きょうどう新設しんせつ分割ぶんかつとうによって一定いってい取引とりひき分野ぶんやにおける競争きょうそう実質じっしつてき制限せいげんすることとなるとき
  2. 共同きょうどう新設しんせつ分割ぶんかつとう公正こうせい取引とりひき方法ほうほうによるものである場合ばあい

共同きょうどう株式かぶしき移転いてん

編集へんしゅう

会社かいしゃは、つぎ各号かくごうのいずれかに該当がいとうする場合ばあいには、共同きょうどう株式かぶしき移転いてん会社かいしゃ会社かいしゃ共同きょうどうしてする株式かぶしき移転いてんをいう。以下いかおなじ。)をしてはならない(15じょうの3)。

  1.  当該とうがい共同きょうどう株式かぶしき移転いてんによって一定いってい取引とりひき分野ぶんやにおける競争きょうそう実質じっしつてき制限せいげんすることとなる場合ばあい
  2.  当該とうがい共同きょうどう株式かぶしき移転いてん公正こうせい取引とりひき方法ほうほうによるものである場合ばあい

事業じぎょう譲受ゆずりうとう規制きせい

編集へんしゅう

会社かいしゃは、つぎかかげる行為こういをすることにより、一定いってい取引とりひき分野ぶんやにおける競争きょうそう実質じっしつてき制限せいげんすることとなる場合ばあいは、そのような行為こういをしてはならず、公正こうせい取引とりひき方法ほうほうによりつぎかかげる行為こういをしてはならない(16じょう)。

  1. 会社かいしゃ事業じぎょう全部ぜんぶまた重要じゅうよう部分ぶぶん譲受ゆずりう
  2. 会社かいしゃ事業じぎょうじょう固定こてい資産しさん全部ぜんぶまた重要じゅうよう部分ぶぶん譲受ゆずりう
  3. 会社かいしゃ事業じぎょう全部ぜんぶまた重要じゅうよう部分ぶぶん賃貸ちんたい
  4. 会社かいしゃ事業じぎょう全部ぜんぶまた重要じゅうよう部分ぶぶんについての経営けいえい委任いにん
  5. 会社かいしゃ事業じぎょうじょう損益そんえき共通きょうつうにする契約けいやく締結ていけつ

会社かいしゃによる株式かぶしき保有ほゆう規制きせい

編集へんしゅう

会社かいしゃは、会社かいしゃ株式かぶしき取得しゅとくまた保有ほゆうすることにより、一定いってい取引とりひき分野ぶんやにおける競争きょうそう実質じっしつてき制限せいげんすることとなる場合ばあいは、その株式かぶしき取得しゅとくまた保有ほゆうしてはならず、公正こうせい取引とりひき方法ほうほうにより会社かいしゃ株式かぶしき取得しゅとくまた保有ほゆうしてはならない(10じょう)。

銀行ぎんこう保険ほけん会社かいしゃによる議決ぎけつけん保有ほゆう規制きせい

編集へんしゅう

原則げんそくとしてほか国内こくない会社かいしゃ議決ぎけつけんのうち、銀行ぎんこうについては5%、保険ほけんぎょうについては10%をえて、議決ぎけつけん取得しゅとくまた保有ほゆうしてはならない(11じょう)。所謂いわゆる5%ルール

役員やくいん兼任けんにん規制きせい(13じょう

編集へんしゅう

会社かいしゃ以外いがいのものによる株式かぶしき保有ほゆう規制きせい(14じょう

編集へんしゅう

エンフォースメント

編集へんしゅう
  • 排除はいじょ措置そち命令めいれい株式かぶしき譲渡じょうと事業じぎょう譲渡じょうと役員やくいん辞任じにん
  • 合併がっぺい分割ぶんかつ無効むこううった

届出とどけで制度せいど

編集へんしゅう
  • 事前じぜん届出とどけで - 株式かぶしき取得しゅとく保有ほゆう例外れいがいあり)、合併がっぺい共同きょうどう新設しんせつ分割ぶんかつ吸収きゅうしゅう分割ぶんかつ共同きょうどう株式かぶしき移転いてん事業じぎょう譲受じょうじゅとう待機たいき期間きかん原則げんそく30にち

事前じぜん相談そうだん制度せいど

編集へんしゅう

企業きぎょう結合けつごう計画けいかくかんする事前じぜん相談そうだんたいする対応たいおう指針ししん平成へいせい14ねん12月11にち公表こうひょう)による事前じぜん相談そうだん合併がっぺいとうまえおこなわれるのが通例つうれいである。申出もうしで条件じょうけんとしては、具体ぐたいてき計画けいかくたいする当事とうじ会社かいしゃからのものでこれへの回答かいとう内容ないよう公表こうひょうすることを条件じょうけんとしておこなわれ、原則げんそくとして90にち以内いない回答かいとうするものとされている。そして、問題もんだいがないと回答かいとうしたものについては、届出とどけでにおいて法定ほうてい措置そちらないものとされている。

例外れいがいてき規制きせい

編集へんしゅう

事業じぎょう支配しはいりょく過度かど集中しゅうちゅう会社かいしゃ規制きせい

編集へんしゅう

国内こくない会社かいしゃ株式かぶしき持分もちぶんふくむ)を所有しょゆうすることにより事業じぎょう支配しはいりょく過度かど集中しゅうちゅうする会社かいしゃ設立せつりつしたり、そのような会社かいしゃになってはならない(9じょう)。

事業じぎょう支配しはいりょく過度かど集中しゅうちゅうする」とは、

  • 会社かいしゃ子会社こがいしゃその株式かぶしき所有しょゆうにより事業じぎょう活動かつどう支配しはいしているほか国内こくない会社かいしゃ)の総合そうごうてき事業じぎょう規模きぼ相当そうとうすう事業じぎょう分野ぶんやにわたっていちじるしくおおきいこと
  • これらの会社かいしゃ資金しきんかか取引とりひき起因きいんするほか事業じぎょうしゃたいする影響えいきょうりょくいちじるしくおおきいこと、またはこれらの会社かいしゃ相互そうご関連かんれんせいのある相当そうとうすう事業じぎょう分野ぶんやにおいてそれぞれ有力ゆうりょく地位ちいめることにより国民こくみん経済けいざいおおきな影響えいきょうおよぼし、公正こうせいかつ自由じゆう競争きょうそう促進そくしんすることのさまたげになること

をいう。はしてきえば、1つの純粋じゅんすい持株もちかぶ会社かいしゃないしは銀行ぎんこう持株もちかぶ会社かいしゃが、複数ふくすう業種ぎょうしゅ市場いちばにおいて支配しはいてき地位ちいだい企業きぎょう傘下さんかおさめている状態じょうたいのことである。これにより大日本帝国だいにっぽんていこく時代じだいきゅう植民しょくみんだった大韓民国だいかんみんこくことなり、だい東亜とうあ戦争せんそう以前いぜん存在そんざいした三井みつい合名ごうめいげん三井不動産みついふどうさん)や三菱みつびし合資ごうし後継こうけい法人ほうじん存在そんざいせず)など、財閥ざいばつ頂点ちょうてんにあった会社かいしゃ株式かぶしき上場じょうじょうせず、同族どうぞく企業きぎょうとして存在そんざいつづけることは、21世紀せいき現在げんざいでも出来できない。

この条項じょうこうは、ほん法律ほうりつ施行しこう直後ちょくごって成立せいりつした過度かど経済けいざいりょく集中しゅうちゅう排除はいじょほうおよび財閥ざいばつ同族どうぞく支配しはいりょく排除はいじょほう実施じっしほうとなっていた。

一定いってい持株もちかぶ会社かいしゃそう資産しさん2ちょうえん以上いじょう会社かいしゃ子会社こがいしゃふくんで計算けいさん。ただし、銀行ぎんこうとうそう資産しさん8ちょうえん以上いじょう)についてはまい事業じぎょう年度ねんど終了しゅうりょう3がつ以内いない設立せつりつは30にち以内いない)に公正こうせい取引とりひき委員いいんかい報告ほうこくしょ提出ていしゅつ義務ぎむがある。

なお、例外れいがいについては適用てきよう除外じょがい整理せいりほう規定きていがあるほか大手おおて私鉄してつではだい東亜とうあ戦争せんそう以前いぜん成立せいりつした陸上りくじょう交通こうつう事業じぎょう調整ちょうせいほう指定していされた区域くいきにおける事業じぎょうしゃ集約しゅうやくされ、新規しんき参入さんにゅう制限せいげんされているれいもある。放送ほうそう持株もちかぶ会社かいしゃでは、放送ほうそうほうにより傘下さんかおさめられる放送ほうそうきょくかず制限せいげんもうけられているほか、サービスエリアが重複じゅうふくする系列けいれつきょく傘下さんかおさめることはできないとされている。

エンフォースメントとしては、排除はいじょ措置そち命令めいれい株式かぶしき処分しょぶんとう)がある。

独占どくせんてき状態じょうたいたいする規制きせい

編集へんしゅう

独占どくせんてき状態じょうたい」とは、同種どうしゅまたは類似るいじ商品しょうひんまた役務えきむ国内こくない供給きょうきゅうされたものの価額かがく一定いってい水準すいじゅんえた場合ばあいにおいて、その商品しょうひん役務えきむとうかか一定いってい事業じぎょう分野ぶんやにおいて,つぎかかげる市場いちば構造こうぞうおよ市場いちばにおける弊害へいがいがあることをいう(8じょうの4)

  1. 1年間ねんかんにおいて、いち事業じぎょうしゃのシェアが50%をえるか2の事業じぎょうしゃのシェアの合計ごうけいが75%をえること
  2. 事業じぎょうしゃ新規しんき参入さんにゅうすることをいちじるしく困難こんなんにする事情じじょうがあること
  3. その事業じぎょうしゃ供給きょうきゅうする一定いってい商品しょうひん役務えきむについて、相当そうとう期間きかん需給じゅきゅう変動へんどう供給きょうきゅう変動へんどうらして、価格かかく上昇じょうしょういちじるしいか、その低下ていか僅少きんしょうでありかつその期間きかんにおいてつぎ各号かくごうのいずれかに該当がいとうしていること
    • 標準ひょうじゅんてき利益りえきりついちじるしく上回うわまわ利益りえきていること
    • 標準ひょうじゅんてき販売はんばいおよ一般いっぱん管理かんりいちじるしく高額こうがく販売はんばいおよ一般いっぱん管理かんり支出ししゅつしていること

エンフォースメントとしては、公正こうせい取引とりひき委員いいんかいは、独占どくせんてき状態じょうたいがあるとき、事業じぎょうしゃたい事業じぎょう一部いちぶ譲渡じょうとその競争きょうそう回復かいふくさせるのに必要ひつよう措置そちめいじることができる。ただし、そのような措置そちによりその事業じぎょうしゃ供給きょうきゅうする商品しょうひんとう供給きょうきゅう費用ひよういちじるしい上昇じょうしょうをもたらす程度ていど事業じぎょう縮小しゅくしょうし、経理けいり不健全ふけんぜんになり、また国際こくさい競争きょうそうりょく維持いじ困難こんなんになるとみとめられる場合ばあいおよびその商品しょうひんとうについて競争きょうそう回復かいふくするのにりるとみとめられるほか措置そちこうぜられる場合ばあいはこのかぎりでない。なお、公正こうせい取引とりひき委員いいんかい審判しんぱん開始かいし手続てつづき先立さきだって公聴こうちょうかい開催かいさいする義務ぎむしょうじる。

エンフォースメント(ほう執行しっこう

編集へんしゅう

排除はいじょ措置そち命令めいれい

編集へんしゅう

平成へいせい17ねん改正かいせい排除はいじょ措置そち命令めいれい事前じぜん手続てつづきあり)が時点じてんから効力こうりょく発生はっせいし、あらそもの審判しんぱん請求せいきゅうをおこなって審判しんぱん手続てつづき移行いこうすることとなった(供託きょうたくきんむことによる執行しっこう停止ていし制度せいど存在そんざい)。

排除はいじょ措置そち命令めいれい現在げんざいおこなわれている行為こういたいするのみならず、行為こういがなくなってから3ねん経過けいかしていない場合ばあいは「とく必要ひつようがあるとみとめるとき」にかぎ排除はいじょ措置そち命令めいれいすことが可能かのうとなった。

確定かくていした排除はいじょ措置そち命令めいれい違反いはんしたものには2ねん以下いか懲役ちょうえきまたは300まんえん以下いか罰金ばっきん併科へいか可能かのう)にしょせられ、法人ほうじんについては3おくえん以下いか罰金ばっきん私的してき独占どくせん不当ふとう取引とりひき制限せいげんにおいては差止さしとめをめいぜられた部分ぶぶん以外いがいについては、300まんえん以下いか)のりょうばっ規定きていもうけられている。なお、確定かくていまえ確定かくていでも過料かりょうしょすことは可能かのう)は50まんえん以下いか過料かりょうしょせられる。

課徴かちょうきん納付のうふ命令めいれい

編集へんしゅう

不当ふとう取引とりひき制限せいげん価格かかくにかかるものや価格かかく影響えいきょうあたえる行為こういかぎる)、私的してき独占どくせん支配しはいがた対価たいかかかわらないものはのぞく)、公正こうせい取引とりひき制限せいげんほう直接ちょくせつ規定きていされている行為こういかぎり、1ごうから4ごう違反いはん不当ふとう廉売れんばいとう)は10ねん以内いない排除はいじょ措置そち命令めいれいけているもの、5ごう継続けいぞくしているものに限定げんてい)にたい課徴かちょうきん納付のうふ命令めいれい制度せいどもうけられている。

課徴かちょうきんがくは、原則げんそく売上うりあげがくの10%(小売こうりぎょう3%、卸売おろしうりぎょう2%)とされている。中小ちゅうしょう企業きぎょうについては4%(小売こうりぎょう1.2%、卸売おろしうりぎょう1%)である。ただし、排除はいじょがた私的してき独占どくせんは6%(小売こうりぎょう2%、卸売おろしうりぎょう1%)。なお、継続けいぞく期間きかんが2ねん以内いない要件ようけんあり)の行為こういについては、20%減額げんがく、10ねん以内いない違反いはん行為こういをしているもの主導しゅどうてき関与かんよ悪質あくしつ行為こうい関与かんよしたものには50%増額ぞうがく規定きていもうけられている(両方りょうほう要件ようけん該当がいとうする場合ばあい課徴かちょうきんは100%増額ぞうがくとなる。)。なお、罰金ばっきん確定かくてい判決はんけつがある場合ばあい罰金ばっきんがく半額はんがく控除こうじょされる。

1ごうから4ごう違反いはん不当ふとう廉売れんばいとう)の公正こうせい取引とりひき制限せいげんは3%(小売こうりぎょう2%、卸売おろしうりぎょう1%)、5ごう違反いはん優越ゆうえつてき地位ちい濫用らんよう)の公正こうせい取引とりひき制限せいげんは1%であり、上記じょうきげん増額ぞうがく規定きてい適用てきようはない。

課徴かちょうきん減免げんめん制度せいど(リーニエンシー)

編集へんしゅう

公正こうせい取引とりひき委員いいんかいたいして、規則きそくもとづき公正こうせい取引とりひき制限せいげんかんして、調査ちょうさ開始かいし以前いぜんにおいて単独たんどく違反いはん行為こうい申告しんこくした事業じぎょうしゃについて(要件ようけんあり)は、課徴かちょうきんが1番目ばんめについては全額ぜんがく免除めんじょ、2番目ばんめについては半額はんがく免除めんじょ、3番目ばんめから5番目ばんめ(ただし、4番目ばんめおよび5番目ばんめについてはしん事実じじつ申告しんこくした場合ばあいかぎる。)については30%免除めんじょとなり、調査ちょうさ開始かいし(それ以降いこうふくむ)に申告しんこくしたものでまだ5番目ばんめまでわくまっていないとき(ただし調査ちょうさ開始かいし以後いご申告しんこくおこなった事業じぎょうでの減額げんがくは3しゃ以内いない限定げんてい)は30%減額げんがくとなる。なお、調査ちょうさ開始かいし以後いご違反いはん行為こういめていることが条件じょうけんである。

ちなみに、申告しんこくのFAX番号ばんごうは03-3581-5599である。

刑事けいじばつ

編集へんしゅう

公正こうせい取引とりひき委員いいんかい告発こくはつがないと、主要しゅよう違反いはん類型るいけいについては処罰しょばつできない(96じょう)。

主要しゅよう違反いはん類型るいけいとしてつぎのものがある。

  • 不当ふとう取引とりひき制限せいげん私的してき独占どくせんをしたものたいしては5ねん以下いか懲役ちょうえきまたは500まんえん以下いか罰金ばっきんしょせられ、法人ほうじんとうたいしては5おくえん以下いか罰金ばっきんりょうばっ規定きていとう存在そんざいする(未遂みすいざいばっする)。
  • 確定かくていした排除はいじょ措置そち命令めいれい独占どくせんてき状態じょうたいたいする確定かくていした審決しんけつふくみ、私的してき独占どくせん不当ふとう取引とりひき制限せいげんたいするものについては差止さしとめをめいずる部分ぶぶんかぎる)に違反いはんしたものたいしては2ねん以下いか懲役ちょうえきまたは300まんえん以下いか罰金ばっきんしょせられ、法人ほうじんとうたいしては3おくえん以下いか罰金ばっきんりょうばっ規定きていとう規定きていされている。

なお、これらに罰則ばっそくにおいては懲役ちょうえき罰金ばっきん併科へいかすることができる。さらに、事業じぎょうしゃ団体だんたい解散かいさん宣告せんこく特許とっきょけん取消とりけしとう宣告せんこくをすることができる場合ばあい存在そんざいする。

民事みんじ訴訟そしょう差止さしどめ・損害そんがい賠償ばいしょう

編集へんしゅう

公正こうせい取引とりひき方法ほうほうによってその利益りえき侵害しんがいされ、また侵害しんがいされるおそれがあるものは、これにより「いちじるしい損害そんがい」をしょうじ、またしょうじるおそれがあるときにかぎり、その利益りえき侵害しんがいする事業じぎょうしゃとうたいし、その侵害しんがい停止ていしまた予防よぼう請求せいきゅうすることができる(24じょう)。

私的してき独占どくせん不当ふとう取引とりひき制限せいげん公正こうせい取引とりひき方法ほうほうにより排除はいじょ措置そち命令めいれいまた課徴かちょうきん納付のうふ命令めいれい)がされた事業じぎょうしゃは、被害ひがいしゃたい無過失責任むかしつせきにんう(時効じこう命令めいれいとう確定かくてい3ねん)(25じょう)。なお、このじょうもとづく損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅう訴訟そしょうは、東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょ専属せんぞく管轄かんかつである。

また、独禁法どっきんほう25じょうによることなく、独禁法どっきんほう違反いはん行為こうい民法みんぽう709じょう不法ふほう行為こうい該当がいとうするときは、被害ひがいしゃ民法みんぽう709じょうもとづいて損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅうもできる。この場合ばあいは、被害ひがいしゃ故意こい過失かしつをも立証りっしょうしなければならない。

申告しんこく制度せいど

編集へんしゅう

申告しんこく制度せいどは45じょう規定きていがある。

何人なんにんも、公正こうせい取引とりひき委員いいんかいたいし、この法律ほうりつ違反いはんしている事実じじつがあると思料しりょうするときは、その事実じじつ報告ほうこく適当てきとう措置そちもとめることができ(1こう)、公正こうせい取引とりひき委員いいんかい規則きそくさだめるところにより、書面しょめん具体ぐたいてき事実じじつを摘示したものであるときは、すみやかにその結果けっか報告ほうこくしたものたい通知つうちしなければならない(3こう)。

4こう職権しょっけん調査ちょうさについての規定きていである。

行政ぎょうせい調査ちょうさ

編集へんしゅう

行政ぎょうせい調査ちょうさは47じょう規定きていがある。

  1. 事件じけん関係かんけいじんとう出頭しゅっとうめいじてしんひろし,また報告ほうこく聴取ちょうしゅすること
  2. 鑑定かんていじん出頭しゅっとうめいじて鑑定かんていさせること
  3. 帳簿ちょうぼとう提出ていしゅつさせくこと
  4. 事件じけん関係かんけいじん営業えいぎょうしょること

いずれも間接かんせつ強制きょうせい罰則ばっそくはあるが、直接ちょくせつ強制きょうせいはできない)。もっとも、1ごうしんひろはめったに使つかわれず、大概たいがい任意にんい事情じじょう聴取ちょうしゅというかたちられているようである(すなわち拒否きょひする自由じゆうがあるということである)。

審判しんぱん手続てつづき

編集へんしゅう

審判しんぱん手続てつづきは、独占どくせんてき状態じょうたいたいする措置そちかんするものをのぞいて、審判しんぱん請求せいきゅうがあってから開始かいしする。原則げんそくとして、委員いいんかい指定していする審判官しんぱんかんによる公開こうかい審判しんぱん手続てつづきをて、委員いいんかいによる審決しんけつされる。

審決しんけつ取消とりけし訴訟そしょう東京とうきょう高裁こうさい専属せんぞく管轄かんかつで、事実じじつ認定にんていかんして実質じっしつてき証拠しょうこがある場合ばあい裁判所さいばんしょ拘束こうそくされる。

立法りっぽうろんとしては審判しんぱん制度せいど廃止はいしして、最初さいしょから裁判所さいばんしょあらそえるようにすべきだとの意見いけんもある。

審判しんぱん制度せいどは,私的してき独占どくせん禁止きんしおよ公正こうせい取引とりひき確保かくほかんする法律ほうりつ一部いちぶ改正かいせいする法律ほうりつ平成へいせい25ねん法律ほうりつだい100ごう)の施行しこう平成へいせい27ねん4がつ1にち)により廃止はいしされた。ただし,どう改正かいせいほう附則ふそくだい2じょう規定きていにより,平成へいせい27ねん3がつ31にちまでに排除はいじょ措置そち命令めいれいおよ課徴かちょうきん納付のうふ命令めいれいかか事前じぜん通知つうちおこなわれた事件じけんについては,なお従前じゅうぜんれいによることとされている[3]

犯則はんそく調査ちょうさ

編集へんしゅう

国税こくぜい犯則はんそく調査ちょうさ類似るいじ制度せいどもうけられた。犯則はんそく調査ちょうささい黙秘もくひけん存在そんざいする(もっとも黙秘もくひけん告知こくち義務ぎむし)。

法定ほうていがいのエンフォースメント

編集へんしゅう

企業きぎょう統合とうごうさい事前じぜん相談そうだん制度せいどとうがある。

警告けいこく注意ちゅうい
公正こうせい取引とりひき委員いいんかいは、かならずしも法的ほうてき措置そち排除はいじょ措置そち命令めいれいとう)によらずに警告けいこく注意ちゅういをすることがある。
警告けいこく公正こうせい取引とりひき委員いいんかい審査しんさかんする規則きそく平成へいせいじゅうななねんじゅうがつじゅうきゅうにち公正こうせい取引とりひき委員いいんかい規則きそくだいごう)31じょう1こうさだめられた措置そちほう違反いはんするおそれがある行為こういがあるまたはあったとみとめる場合ばあいにおいて、当該とうがい事業じぎょうしゃまた当該とうがい事業じぎょうしゃ団体だんたいたいして、その行為こういりやめることまたはその行為こういふたたおこなわないようにすることその必要ひつよう事項じこう指示しじすることにおこない、事前じぜん名宛なあてじんたい意見いけん申述もうしのべ機会きかいあたえたうえですべ公表こうひょうされる。注意ちゅういは、違反いはん行為こうい存在そんざいうたがうにりる証拠しょうこられないが違反いはんにつながるおそれがある場合ばあいおこなう。警告けいこく注意ちゅういそのものについては、これを不服ふふくとして裁判さいばんあらそうことができないが、国家こっか賠償ばいしょう責任せきにん発生はっせいする場合ばあいはありる。

適用てきよう除外じょがい制度せいど

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 日本法令にほんほうれい外国がいこくやくデータベースシステム; 日本法令にほんほうれい外国がいこくやく推進すいしん会議かいぎ (2015ねん9がつ10日とおか). “日本法令にほんほうれい外国がいこくやくデータベースシステム-私的してき独占どくせん禁止きんしおよ公正こうせい取引とりひき確保かくほかんする法律ほうりつ” [Act on Prohibition of Private Monopolization and Maintenance of Fair Trade]. 法務省ほうむしょう. p. 1. 2017ねん6がつ17にち閲覧えつらん
  2. ^ いわゆる主婦連しゅふれんジュース事件じけんかんする最高裁さいこうさい昭和しょうわ53ねん3月14にち判決はんけつみんしゅう32かん2ごう211ぺーじ参照さんしょう
  3. ^ 審判官しんぱんかん公正こうせい取引とりひき委員いいんかい”. www.jftc.go.jp. 2022ねん6がつ6にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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