独占どくせん的てき状態じょうたいの規制きせい

独占どくせん的てき状態じょうたいの規制きせい（どくせんてきじょうたいのきせい）は、独占どくせん禁止きんし法ほう上うえの規制きせいの一ひとつ。

その成立せいりつ要件ようけんは同どう法ほうの第だい2条じょう第だい7項こうで、「独占どくせん的てき状態じょうたい」にある事業じぎょう者しゃに対たいする競争きょうそう回復かいふく措置そち命令めいれいは同どう法ほうの第だい8条じょうの4でそれぞれ定さだめられている。

私的してき独占どくせんや不当ふとうな取引とりひき制限せいげんの規制きせいは違反いはん行為こういの存在そんざいを法ほう適用てきようの前提ぜんていとしており、違反いはん行為こういの排除はいじょ（排除はいじょ措置そち命令めいれい）を直接的ちょくせつてき目的もくてきとする法ほう制度せいどであることから、「行為こうい規制きせい」と呼よばれている。これに対たいし、独占どくせん的てき状態じょうたいの規制きせいは、独占どくせん市場いちば又または寡占かせん市場いちばでの競争きょうそうが著いちじるしく制限せいげんされている状態じょうたいの長期ちょうき化かを法ほう適用てきようの前提ぜんていとしており、事業じぎょう譲渡じょうとや参入さんにゅう障壁しょうへきの除去じょきょといった市場いちば構造こうぞうに変化へんかをもたらす措置そちを講こうじることにより、抑圧よくあつされていた競争きょうそうを回復かいふくさせること（競争きょうそう回復かいふく措置そち命令めいれい）に主眼しゅがんを置おいた法ほう制度せいどであることから、「純粋じゅんすい構造こうぞう規制きせい」とも呼よばれている。

「独占どくせん的てき状態じょうたい」の成立せいりつ要件ようけん

「独占どくせん的てき状態じょうたい」の成立せいりつ要件ようけんは、独占どくせん禁止きんし法ほう第だい2条じょう第だい7項こうで定さだめられている。

条文じょうぶんの要点ようてんを整理せいりすると、

1. 問題もんだいとなっている事業じぎょう分野ぶんやの規模きぼが1000億おく円えん以上いじょう、
2. 当該とうがい事業じぎょう分野ぶんやにおける上位じょうい事業じぎょう者しゃ1社しゃのシェアが50%以上いじょう又または上位じょうい事業じぎょう者しゃ2社しゃのシェアが75%以上いじょう、
3. 新規しんき参入さんにゅうが著いちじるしく困難こんなんであり、
4. 上位じょうい事業じぎょう者しゃの相当そうとう期間きかんにわたる過大かだいな利益りえき率りつ又または過大かだいな販売はんばい費ひ・一般いっぱん管理かんり費ひ等とうの徴ちょう表ひょうから、競争きょうそうが著いちじるしく抑圧よくあつされている状態じょうたいにある

と認みとめられる場合ばあいに、当該とうがい事業じぎょう分野ぶんやの独占どくせん的てき状態じょうたいは成立せいりつする。

競争きょうそう回復かいふく措置そち命令めいれい

競争きょうそう回復かいふく措置そち命令めいれいは、独占どくせん禁止きんし法ほう第だい8条じょうの4で定さだめられている。

競争きょうそう回復かいふく措置そち内容ないようの命令めいれい設計せっけいとして、条文じょうぶん後段こうだんの但書ただしがきに触ふれなければ、公正こうせい取引とりひき委員いいん会かいは「事業じぎょうの一部いちぶの譲渡じょうと」に限かぎらず、「その他た当該とうがい商品しょうひん又または役務えきむについて競争きょうそうを回復かいふくさせるために必要ひつような措置そち」も命めいずることができる。しかし、実際じっさいには、競争きょうそう回復かいふく措置そちを命めいずるにあたって、制度せいど上じょう関連かんれんしている産業さんぎょう分野ぶんやの主務しゅむ官庁かんちょうとの調整ちょうせいも必要ひつようとなる等とうの事情じじょうから、立法りっぽうから今日きょうまで競争きょうそう回かい措置そち命令めいれいは一いち度ども行おこなわれたことがない。

そのため、現時点げんじてんにおける独占どくせん的てき状態じょうたいの規制きせいの法的ほうてき役割やくわりは、成立せいりつ要件ようけんを定さだめた独占どくせん禁止きんし法ほう第だい2条じょう第だい7項こう（具体ぐたい的てきには同どう項こうの柱はしら書しょと1号ごう）に基もとづく独占どくせん的てき状態じょうたいガイドラインへのリストアップによる事業じぎょう者しゃ側がわの間接かんせつ的てき自制じせい効果こうかとされている。