(Translated by https://www.hiragana.jp/)
量 - Wikipedia

この記事きじではりょう(りょう、: quantitasえい: quantityどく: Quantität)について解説かいせつする。

概説がいせつ 編集へんしゅう

りょう」の概念がいねん様々さまざま定義ていぎされている。

  • 広辞苑こうじえんでは、測定そくてい対象たいしょうとなる、もののだいしょう[1]、としている。
  • [だれ?]おおきさち、計測けいそくしたり大小だいしょう比較ひかくしたりできるもののこと[よう出典しゅってん]」としている。
  • 日本にっぽん産業さんぎょう規格きかく(JIS) Z8000規格きかくぐんでは、りょうえい: quantity)とは「かず計量けいりょう参照さんしょうえい: reference)との組合くみあわせとしてあらわすことができるおおきさ(えい: magunitude)をもつ、現象げんしょう物体ぶったいまた物質ぶっしつ性質せいしつ」であると定義ていぎされている[2]
    • JIS Z8103では、「現象げんしょう物体ぶったいまた物質ぶっしつ属性ぞくせいで、定性的ていせいてき区別くべつでき、かつ、定量ていりょうてき決定けっていできるもの」であると定義ていぎされている[3]
  • 計量けいりょう標準ひょうじゅん総合そうごうセンター 国際こくさい計量けいりょうしつ訳出やくしゅつした用語ようごしゅうでは、「測定そくてい可能かのうりょう Quantity(measurable) 」とは「現象げんしょう物体ぶったいまたは物質ぶっしつ属性ぞくせいであり、その属性ぞくせいおおきさをち、そのおおきさを数値すうちおよび計量けいりょう参照さんしょう(reference)としてあらわせるもの」としている[4]

りょうよりしつ」の表現ひょうげんのように、「りょう」(えい: quantity、クオンティティ)の対比的たいひてき概念がいねんとしては「しつ」(えい: quality、クオリティ)がげられる[1][ちゅう 1]。また「定量ていりょうてき研究けんきゅう / 定性的ていせいてき研究けんきゅう」という対比たいひもある[ちゅう 2]

ほとんどの文書ぶんしょではとくことわらないかぎりはりょう実数じっすう自然しぜん数値すうちのみのときもふくむ)をるスカラーりょうである。ほん項目こうもく以下いか記載きさいでもたんりょうえばスカラーりょうとする。

りょうかず

測定そくていできるりょうは)かず(すう)と単位たんい(または単位たんいじゅんずるもの)のせき形式けいしきあらわせる。

対応たいおうするかず種類しゅるいりょう分類ぶんるいされることもある。個数こすう貨幣かへいのように分割ぶんかつできない最小さいしょうりょう存在そんざいするりょうは、「離散りさんりょう」または「分離ぶんりりょう」とばれる。整数せいすう対応たいおうしている。一方いっぽう最小さいしょうりょう最小さいしょう単位たんい)がないりょうは「連続れんぞくりょう」とばれ、これは実数じっすう対応たいおうする[ちゅう 3]離散りさんりょう連続れんぞくりょうはそれぞれ、デジタルりょうおよびアナログりょうともばれる。 離散りさんりょう言葉ことば可算かさんりょうという言葉ことば使つかわれる。ただし、数学すうがくにおける可算かさん集合しゅうごうとは自然しぜんすうと1たい1に対応たいおうする集合しゅうごうのことであり、有理数ゆうりすう可算かさん集合しゅうごうである。有理数ゆうりすう稠密ちゅうみつ集合しゅうごうなので、有理数ゆうりすうあらわしたりょう離散りさんりょうとはえない。有理数ゆうりすうのみに対応たいおうするりょうれいはほとんどないが、おおくの場合ばあいりょう有限ゆうげん桁数けたすう小数しょうすう、すなわち有理数ゆうりすう一部いちぶあらわされている。しかしこれは通常つうじょうは、じつ数値すうちであるしん近似きんじなされる。

単位たんい(または単位たんいじゅんずるもの)によりそのりょう具体ぐたいてき種類しゅるい範囲はんいしめされる。また、物品ぶっぴん人員じんいんふくかみほんなどの可算かさんりょうかぞえる助数詞じょすうしの「(こ)」「ひと(にん)」「(ちゃく)」「まい」「さつ」などは単位たんいではなくて「単位たんいじゅんずるもの」となされる[5][ちゅう 4]

統計とうけいがく尺度しゃくど

統計とうけいがくではデータをしめ変数へんすうを、名義めいぎ尺度しゃくど順序じゅんじょ尺度しゃくど間隔かんかく尺度しゃくど比率ひりつ尺度しゃくど比例ひれい尺度しゃくど)、の4つの尺度しゃくど水準すいじゅんとして分類ぶんるいしている。このなかで、名義めいぎ尺度しゃくど定性的ていせいてき、そのほかのりょう定量ていりょうてき区分くぶんされる[6]

物象ぶっしょう状態じょうたいりょう 編集へんしゅう

日本にっぽんにおける計量けいりょうについての基本きほんさだめた計量けいりょうほうにおいては、りょうのうち具体ぐたいてきに「取引とりひきまたは証明しょうめい産業さんぎょう学術がくじゅつ日常にちじょう生活せいかつとう分野ぶんやでの計量けいりょう重要じゅうよう機能きのう期待きたいされている」事象じしょうとうとして89りょう列挙れっきょし、これを「物象ぶっしょう状態じょうたいりょう」(quantity of the state of physical phenomena)と規定きていしている。この89りょうのうちの重要じゅうような72りょうについては、計量けいりょうほうさだめる計量けいりょう単位たんいのみを取引とりひきまた証明しょうめい使用しようすることを計量けいりょうほう強制きょうせいしている。詳細しょうさい法定ほうてい計量けいりょう単位たんい#物象ぶっしょう状態じょうたいりょう参照さんしょう

これらの89りょう以下いかであり、これらが実際じっさいもちいられるりょう具体ぐたいれいである。

確立かくりつされた計量けいりょう単位たんい存在そんざいする72の物象ぶっしょう状態じょうたいりょう 編集へんしゅう

典型てんけい72りょう」とばれる。1)なが、2)質量しつりょう、3)時間じかん、4)電流でんりゅう、5)温度おんど、6)物質ぶっしつりょう、7)光度こうど、8)角度かくど、9)立体りったいかく、10)面積めんせき、11)体積たいせき、12)角速度かくそくど、13)すみ加速度かそくど、14)はや、15)加速度かそくど、16)周波数しゅうはすう、17)回転かいてん速度そくど、18)波数はすう、19)密度みつど、20)ちから、21)ちからのモーメント、22)圧力あつりょく、23)応力おうりょく、24)ねばたび、25)どうねばたび、26)仕事しごと、27)工率こうりつ、28)質量しつりょう流量りゅうりょう、29)流量りゅうりょう、30)熱量ねつりょう、31)ねつ伝導でんどうりつ、32)熱容量ねつようりょう、33)エントロピー、34)電気でんきりょう、35)電界でんかいつよ、36)電圧でんあつ、37)起電きでんりょく、38)しずかでん容量ようりょう、39)磁界じかいつよ、40)おこり磁力じりょく、41)磁束じそく密度みつど、42)磁束じそく、43)インダクタンス、44)電気でんき抵抗ていこう、45)電気でんきのコンダクタンス、46)インピーダンス、47)電力でんりょく、48)無効むこう電力でんりょく、49)皮相ひそう電力でんりょく、50)電力でんりょくりょう、51)無効むこう電力でんりょくりょう、52)皮相ひそう電力でんりょくりょう、53)電磁波でんじは減衰げんすいりょう、54)電磁波でんじは電力でんりょく密度みつど、55)放射ほうしゃ強度きょうど、56)ひかりたば、57)輝度きど、58)照度しょうど、59)音響おんきょうパワー、60)音圧おんあつレベル、61)振動しんどう加速度かそくどレベル、62)濃度のうど、63)中性子ちゅうせいし放出ほうしゅつりつ、64)放射能ほうしゃのう、65)吸収きゅうしゅう線量せんりょう、66)吸収きゅうしゅう線量せんりょうりつ、67)カーマ、68)カーマりつ、69)照射しょうしゃ線量せんりょう、70)照射しょうしゃ線量せんりょうりつ、71)線量せんりょうとうりょう、72)線量せんりょうとうりょうりつ72りょうである。 (ちゅう各々おのおの物象ぶっしょう状態じょうたいりょうまえした数字すうじは、計量けいりょうほうだい2じょうだい1こうだい1ごうにおける列挙れっきょじゅん番号ばんごうである[7]

確立かくりつされた計量けいりょう単位たんいのない17の物象ぶっしょう状態じょうたいりょう 編集へんしゅう

73)繊度せんど、74)比重ひじゅう、75)引張ひっぱつよ、76)圧縮あっしゅくつよ、77)かた、78)衝撃しょうげき、79)つぶ、80)耐火たいか、81)ちからりつ、82)屈折くっせつ、83)湿度しつど、84)粒子りゅうしフルエンス、85)粒子りゅうしフルエンスりつ、86)エネルギーフルエンス、87)エネルギーフルエンスりつ、88)放射能ほうしゃのうめん密度みつど、89)放射能ほうしゃのう濃度のうど17りょうである。 (ちゅう各々おのおのりょうまえした数字すうじは、計量けいりょう単位たんいれいだい1じょうにおける列挙れっきょ順序じゅんじょであり、典型てんけい72りょうからのとお番号ばんごうである。

りょう体系たいけい 編集へんしゅう

りょう体系たいけい(りょうたいけい、えい: system of quantities)とは、りょう関係付かんけいづける矛盾むじゅんのない方程式ほうていしき集合しゅうごうあわりょう集合しゅうごうである[2]りょう体系たいけいには相互そうご矛盾むじゅんがなければことなる表現ひょうげん方法ほうほう存在そんざいしてよく、どの方法ほうほうもちいるかは、あくまでめによって合意ごういされる[2]任意にんいりょう体系たいけいにおけるりょうあいだ数学すうがくてき関係かんけいりょう方程式ほうていしき(りょうほうていしき、えい: quantity equation)とばれる。

物理ぶつり科学かがく全域ぜんいきわたってほぼ普遍ふへんてきれられているりょう体系たいけいとして国際こくさいりょう体系たいけい(ISQ)がある。

基本きほんりょう組立くみたてりょう 編集へんしゅう

基本きほんりょう(きほんりょう、えい: base quantity)とは、慣習かんしゅうてき選択せんたくされた任意にんいりょう体系たいけい部分ぶぶん集合しゅうごうふくまれるりょうであって、その部分ぶぶん集合しゅうごうなかのいずれのりょうも、その部分ぶぶん集合しゅうごうほかりょうでは表現ひょうげんできないものである[2]

組立くみたてりょう(くみたてりょう、えい: derived quantity)とは、あるりょう体系たいけいなかで、その体系たいけい基本きほんりょうによって定義ていぎされるりょうである[2]

どのりょうをいくつ基本きほんりょうとみなすかは、選択せんたく問題もんだいである。また、組立くみたてりょう定義ていぎするためにどの方程式ほうていしき使用しようするかも、選択せんたく問題もんだいである。

りょう 編集へんしゅう

りょうえい: quantity value, value of a quantity)、あるいはたんえい: value)とは、りょうおおきさを表現ひょうげんするかず計量けいりょう参照さんしょうとのわせである[2]計量けいりょう参照さんしょうのぞいたりょうかずりょう数値すうちえい: numerical quantity value, numerical value of a quantity)、あるいはたん数値すうちえい: numerical value)とばれる[2]

りょう方程式ほうていしき測定そくてい単位たんいえらかたらないが、特定とくてい測定そくてい単位たんいもちいた場合ばあい数量すうりょうあいだ数学すうがくてき関係かんけい数値すうち方程式ほうていしき(すうちほうていしき、えい: numerical value equation)あるいは数量すうりょう方程式ほうていしき(すうりょうちほうていしき、)とばれる[2]

可能かのう演算えんざんによるりょう分類ぶんるい 編集へんしゅう

順序じゅんじょじゃく度量どりょう 編集へんしゅう

順序じゅんじょじゃく度量どりょうえい: ordinal quantity)とは、取決とりきめによる測定そくてい手順てじゅんによって、同種どうしゅりょうとのあいだおおきさにもとづくぜん順序じゅんじょ関係かんけい確立かくりつすることができるりょうである[2]順序じゅんじょじゃく度量どりょうあいだには代数だいすう関係かんけい存在そんざいせず、その物理ぶつりてき意味いみはない。順序じゅんじょじゃく度量どりょう目盛めもりによってならべられる。順序じゅんじょじゃく度量どりょう経験けいけんてき関係かんけいだけをとおしてほかりょう関係付かんけいづけられるため、通常つうじょうりょう体系たいけい一部いちぶとはみなされない。また、測定そくてい単位たんいりょう次元じげんたない。

れい

ポテンシャルりょう 編集へんしゅう

ポテンシャルりょうとはなんらかの積分せきぶんとしてあたえられるりょうである。積分せきぶんであるため空間くうかんじょうてんつよむすびついている。ここでいう空間くうかんとは幾何きかがくてき空間くうかんだけでなく、時間じかんあわせた時空じくうや、位相いそう空間くうかん状態じょうたい空間くうかんなどのより抽象ちゅうしょうてき空間くうかんふくまれる。 ポテンシャルりょうおおきさには積分せきぶん定数ていすう相当そうとうする任意にんいせいがあり、適当てきとう基準きじゅんてんえらび、基準きじゅんてんにおけるポテンシャルりょうおおきさをさだめることで、任意にんいてんにおけるポテンシャルりょうおおきさがさだまる。基準きじゅんえらかた依存いぞんしてわるためポテンシャルりょう絶対ぜったいてきおおきさには意味いみがない。そのため同種どうしゅのポテンシャルりょうあいだでのにも意味いみがない。 また、基準きじゅんてん依存いぞんするため、ポテンシャルりょう意味いみがない場合ばあいもある。 一方いっぽう、ポテンシャルりょう基準きじゅんてんへの依存いぞんせい相殺そうさいされるため定性ていせいなく定義ていぎ可能かのうで、○○や○○間隔かんかくばれるあらたなりょうさだめる。

ポテンシャルりょうれいとしては、やま標高ひょうこう飛行ひこう軌道きどう高度こうど重力じゅうりょくポテンシャルしずかでんポテンシャル電位でんい)、温度おんどなどがげられる。 たとえば、標高ひょうこう高度こうど一般いっぱんてき海面かいめんたかさゼロの基準きじゅんさだめて海抜かいばつあらわされる。また、局所きょくしょてき存在そんざいする電荷でんかによるせいでんポテンシャルであれば、しょうじさせる電荷でんかから無限むげん遠方えんぽうにおいてゼロとなるようにえらばれる。摂氏せっし温度おんど当初とうしょ氷点ひょうてんをゼロ基準きじゅんとしたが、現在げんざいでは273.15Kの絶対温度ぜったいおんどをゼロ基準きじゅんとして定義ていぎされている。

そもそも空間くうかん座標ざひょうたとえば1次元じげん空間くうかんでのれいとして東海道とうかいどうせんえき位置いち東京とうきょうえきからの線路せんろ沿った距離きょりあらわした座標ざひょうなどは、ここでいう間隔かんかく尺度しゃくどてきりょうでありながさの次元じげんつ。座標ざひょうあいだである位置いち間隔かんかくながさそのものである。また時間じかんじく沿ってえば、時刻じこく日付ひづけ間隔かんかく尺度しゃくどてきりょうであり、時間じかん間隔かんかく比例ひれい尺度しゃくどてきりょうである。

加法かほうてきりょう 編集へんしゅう

質量しつりょう体積たいせきなどの素朴そぼく加法かほうりょう加法かほうてきりょうばれる。素朴そぼく加法かほうとは部分ぶぶんりょう全体ぜんたいりょうとなるということである。たとえば、物体ぶったいAと物体ぶったいBをわせた物体ぶったいA+Bの質量しつりょうm(A+B)は、物体ぶったいAの質量しつりょうm(A)と物体ぶったいBの質量しつりょうm(B)のm(A)+m(B)となる。 ねつ力学りきがくにおいては加法かほうせいによる区別くべつ重要じゅうようであり、加法かほうてきりょうしめせりょうせいえい: extensive)のりょうしめせりょうせい変数へんすう)、加法かほうてきでないりょうしめせきょうせいえい: intensive)のりょうしめせきょうせい変数へんすう)とばれて区別くべつされる。 加法かほうてきでないりょうとしては温度おんど圧力あつりょく電場でんじょう強度きょうど磁場じば強度きょうどなどがげられる[8]

かく領域りょういきとさまざまなりょう 編集へんしゅう

りょう以下いかしめすように、領域りょういきごとに、様々さまざま観点かんてんから分類ぶんるいすることができる。

物理ぶつりりょう 編集へんしゅう

JIS-Z8103における物理ぶつりりょう定義ていぎは「物理ぶつりがくにおける一定いってい理論りろん体系たいけいした次元じげん確定かくていし、さだめられた単位たんい倍数ばいすうとしてあらわすことができるりょう」である[3][ちゅう 5]

また『丸善まるぜん-単位たんい辞典じてん』での定義ていぎ説明せつめいでは、物理ぶつりりょうとは「物理ぶつり現象げんしょう物質ぶっしつの、ひとつの測定そくていできる属性ぞくせい」である[5][ちゅう 6]

また[だれ?][いつ?]物理ぶつりりょうとは物理ぶつりてき実体じったいについて客観きゃっかんてき測定そくてい可能かのうであり測定そくていとうによる測定そくてい方法ほうほうさだめられたりょうである[よう出典しゅってん]」ともされる。物理ぶつりりょうあらわ単位たんい物理ぶつり単位たんいという。

この定義ていぎでは測定そくていとうとしてどのような範囲はんいのものを想定そうていするかによる任意にんいせいがある。「だが、きわめて狭義きょうぎ解釈かいしゃくすれば、国際こくさい単位たんいけいにおける7しゅ基本きほんりょうなが質量しつりょう時間じかん電流でんりゅうねつ力学りきがくてき温度おんど物質ぶっしつりょう光度こうど)およびそれから誘導ゆうどうされるりょうのみ、たとえば、速度そくど加速度かそくど濃度のうど比重ひじゅう密度みつど圧力あつりょくエントロピーエンタルピー体積たいせきモル濃度のうど電力でんりょく照度しょうどラドベクレルシーベルトレイノルズすうなどをすとえる[よう出典しゅってん]。」 広義こうぎ解釈かいしゃくすればたとえば、分子ぶんしすう微粒子びりゅうしすう細胞さいぼうすう生物せいぶつ個体こたいすう恒星こうせいすう様々さまざま物体ぶったい個数こすう測定そくてい方法ほうほうたしかな物理ぶつりりょうである。また個数こすう測定そくていにもパーティクルカウンターセルソーターひとし測定そくてい使つかうこともおおい。また、固体こたい硬度こうど引火いんかてんガラス転移てんいてんなど正確せいかく定義ていぎしにくいりょうでも広義こうぎには物理ぶつりりょうなすことができる。

ただし「物理ぶつりりょう」という言葉ことば自然しぜん科学かがく分野ぶんや文書ぶんしょちゅうでさえとく明確めいかく定義ていぎなしで使つかわれることがおおく、それが範囲はんいには曖昧あいまいさがあり、著者ちょしゃ文脈ぶんみゃくによりことなることがある。つまり、ある特定とくていりょう物理ぶつりりょうであるかかという判断はんだん著者ちょしゃ文脈ぶんみゃくによりことなったり判断はんだんできなかったりする。

物理ぶつりがく(や化学かがく)でもちいられるりょうおおきさをあらわすためには、2つの因子いんし必要ひつようである[9]。ひとつは、問題もんだいとしているりょうおな種類しゅるいの「標準ひょうじゅんりょう」、つまり「単位たんい」である[9]。もうひとつは、この「単位たんい」とのおおきさのあらわ数値すうちである[9]

ある物理ぶつりりょうというのは、それとは相違そういした2しゅ以上いじょう物理ぶつりりょうとの関係かんけいしきによって定義ていぎされる[9]。したがって、適切てきせつな「基本きほんりょう」をいくつかえらぶということをすると、様々さまざま物理ぶつりりょう基本きほんりょうわせさだまることになる[9]。このような方法ほうほうで、基本きほんりょうわせによってみちびかれるりょうを「誘導ゆうどうりょう」という[9]。「基本きほんりょう」としては、通常つうじょうは、「なが」「質量しつりょう」「時間じかん」を選択せんたくしている[9]。ただし物理ぶつりがくで、ねつ問題もんだいあつか場合ばあいは、これら3つにくわえ「温度おんど」をくわえている[9]

物理ぶつりがくでは、1つの数値すうちだけであらわされるりょうだけでなく、複数ふくすう数値すうちくみ(セット)であらわされる物理ぶつりりょうあつか[9]。ただひとつのかずあらわされるりょうを「スカラーりょう」とび、複数ふくすうかずくみあらわされるりょうを「ベクトル[よう曖昧あいまい回避かいひ]りょう」と[9]。「ベクトルりょう」としては、たとえばちから速度そくどなどがある。これらは空間くうかんないベクトル対応たいおうしている(「3次元じげん空間くうかんではベクトルはxじく、yじく、zじく、それぞれの3つ数値すうちつ」とかんがえ、その結果けっか、3つの数字すうじくみわせとなる)。

また物理ぶつりがくでは、テンソル対応たいおうするテンソルりょうれい. 固体こたい応力おうりょくなど)、複素数ふくそすう対応たいおうする複素ふくそ数量すうりょうれい.量子力学りょうしりきがくでの波動はどう関数かんすう[疑問ぎもんてん])もある。

古典こてん物理ぶつりがくでは「測定そくてい可能かのう物理ぶつりりょうは、理想りそうてき実験じっけんおこなえば(任意にんい精度せいどで)決定けっていされ、その結果けっか数値すうちまたは数値すうちくみ表現ひょうげんされる」と かんがえる[9]かんがえた)。だが量子力学りょうしりきがくでは、確定かくていせい原理げんりみとめ、「ある物理ぶつりりょうとそれに共役きょうやく物理ぶつりりょうとを同時どうじ正確せいかく測定そくていすることはできない」とし、物理ぶつりりょう状態じょうたいベクトル作用さようする演算えんざん行列ぎょうれつ)で表現ひょうげんする[9]

SI基本きほん単位たんいうち物質ぶっしつりょう体積たいせき質量しつりょう関係かんけいするしょうである9つのりょう要約ようやく[10]
Quantity in numerator
(分数ぶんすうの)分子ぶんしりょう
Amount of substance 物質ぶっしつりょう*
Symbol 記号きごう:  
SI単位たんい:  
Volume 体積たいせき*
Symbol 記号きごう:  
SI単位たんい:  
Mass 質量しつりょう*
Symbol 記号きごう:  
SI単位たんい:  
Quantity in denominator
分母ぶんぼりょう
Amount of substance 物質ぶっしつりょう*
Symbol 記号きごう:  
SI単位たんい:  
amount-of-substance fraction 物質ぶっしつりょうぶんりつ*
 
SI単位たんい:  
molar volume モル体積たいせき*
 
SI単位たんい:  
molar mass モル質量しつりょう*
 
SI単位たんい:  
Volume 体積たいせき
Symbol 記号きごう:  
SI単位たんい:  
amount-of-substance concentration 物質ぶっしつりょう濃度のうど*
 
SI単位たんい:  
volume fraction からだ積分せきぶんりつ*
 
SI単位たんい:  
mass density 質量しつりょう密度みつど*
 
SI単位たんい:  
Mass 質量しつりょう
Symbol 記号きごう:  
SI単位たんい:  
molality 質量しつりょうモル濃度のうど*
 
SI単位たんい:  
specific volume 体積たいせき*
 
SI単位たんい:  
mass fraction 質量しつりょうぶんりつ*
 
SI単位たんい:  

 * 日本語にほんごやくは「IUPAC 物理ぶつり化学かがくもちいられるりょう単位たんい記号きごう] だいはん 日本にっぽん学会がっかい監修かんしゅう 産業さんぎょう技術ぎじゅつ総合そうごう研究所けんきゅうじょ計量けいりょう標準ひょうじゅん総合そうごうセンターやく[11] から採用さいようした。

工業こうぎょうりょう 編集へんしゅう

工業こうぎょうりょうえい: industrial quantityengineering quantity)はJIS規格きかく定義ていぎされているりょう分類ぶんるいであり、工業こうぎょう分野ぶんや使つかわれるおおくのりょうふくまれる。工業こうぎょうりょうはかることを「工業こうぎょう計測けいそく」とび、物理ぶつりりょうはかることを「物理ぶつり測定そくてい」とんでそれらを区別くべつすることもおおい。JIS-Z8103定義ていぎでは「複数ふくすう物理ぶつりてき性質せいしつ関係かんけいするりょうで、測定そくてい方法ほうほうによって定義ていぎされる工業こうぎょうてき有用ゆうようりょう」でありかた表面ひょうめんあらふくまれる[3]たとえばロックウェル硬度こうど測定そくていでは、プローブであるあつ形状けいじょうながさおよび角度かくど次元じげん複数ふくすうりょう)、くわえるちから質量しつりょう×ながさ/時間じかんじょう)などを規定きてい試料しりょう変形へんけいりょう(「なが次元じげん複数ふくすうりょう)を測定そくていする。つまり複数ふくすう物理ぶつりりょう測定そくていしたうえ計算けいさんされるのがかたさという工業こうぎょうりょうなのである。

なお工業こうぎょうりょうなかには以下いか項目こうもくげる心理しんり物理ぶつりりょうぞくするものもある。

感覚かんかくりょう 編集へんしゅう

感覚かんかくりょう、あるいは心理しんりりょうとは人間にんげん主観しゅかんてきかんじる感覚かんかくつよさである。これは個人こじんがあり、どう一人ひとりでも環境かんきょう体調たいちょうによるがある。

物理ぶつりりょうとしての刺激しげきつよさを感覚かんかくりょうつよさで評価ひょうかした心理しんり物理ぶつりりょうえい: psychophysical quantity)とばれるりょうを「特定とくてい条件じょうけんもとで、感覚かんかくと1たい1に対応たいおうして心理しんりてき意味いみがあり、かつ、物理ぶつりてき定義ていぎ測定そくていできるりょう」として定義ていぎしている[3][ちゅう 7]心理しんり物理ぶつりりょうにはつぎれいがある。

皮膚ひふによる感覚かんかくである痛覚つうかくゆたかかん量的りょうてき判断はんだんくだせる心理しんりりょうえるが、これらに対応たいおうする心理しんり物理ぶつりりょうとしてさだまった定義ていぎのものはまだない。皮膚ひふ感覚かんかく触覚しょっかく量的りょうてき表現ひょうげんされることはまれであり、感覚かんかくではあっても感覚かんかくりょうとはえないであろう。

感性かんせい工学こうがく 編集へんしゅう

感性かんせいりょう感覚かんかくりょうよりもさらに内面ないめんてきひとしん評価ひょうかするようなりょうのことである。しかし感性かんせいりょう感覚かんかくりょう境界きょうかいかならずしも明確めいかくではない。心理しんりりょうという言葉ことば感覚かんかくりょうのみならず感性かんせいりょうをもふくんで使つかわれることもおおい。感覚かんかくりょうひと感覚かんかく器官きかんかんじたままのりょうであり、生理せいりてきには感覚かんかく神経しんけい発火はっか信号しんごうりょう相関そうかんするとかんがえられるが、感性かんせいりょうはさらに内面ないめんてきにもしくは総合そうごうてき評価ひょうかされるりょうえる。

様々さまざま物理ぶつり化学かがくてき刺激しげきつよさとそれにたいしてしょうじる感性かんせい相関そうかん測定そくてい評価ひょうかするこころみはさかんにおこなわれており、その結果けっか製品せいひんしつ向上こうじょう人間にんげん生活せいかつ向上こうじょう役立やくだてようとするこころみは感性かんせい工学こうがくばれている。日本にっぽんでは1998ねん平成へいせい10ねん)10がつ日本にっぽん感性かんせいこう学会がっかい発足ほっそくして研究けんきゅうつづけられている(外部がいぶリンク参照さんしょう)。

感性かんせいりょうにはたとえばつぎのようなものがげられる。「しょくかん」「風合ふうあ(ふうあい)」。また「手触てざわ」「不快指数ふかいしすう」「快適かいてき」「爽快そうかいかん[よう出典しゅってん] 等々とうとう

医学いがく生理学せいりがく医療いりょう 編集へんしゅう

たとえば、「毒性どくせい」「半数はんすう致死ちしりょう」「発癌はつがんせい」「皮膚ひふ刺激しげきせい」「線量せんりょう」などがある。

物理ぶつり化学かがくてき刺激しげきたいして生物せいぶつ様々さまざま生理せいりてき反応はんのうしめし、その反応はんのうりょうあたえられた刺激しげきりょう相関そうかんする。この反応はんのうりょう感覚かんかくりょう性質せいしつちかく、通常つうじょう物理ぶつりりょうとはばない。ただし人間にんげん以外いがい生物せいぶつでは生理せいりてき反応はんのうりょう物理ぶつり化学かがくてき測定そくてい手段しゅだんでしか測定そくていすることはできず、心理しんり物理ぶつりりょう対応たいおうするようなりょうとして表現ひょうげんするしか方法ほうほうがない[よう出典しゅってん]

社会しゃかい科学かがく 編集へんしゅう

経済けいざいがくでは、生産せいさんりょうえい: production)や様々さまざま通貨つうか単位たんいによりはかられる通貨つうかりょう金額きんがく価格かかく所得しょとく金利きんり国民総生産こくみんそうせいさんなどがあつかわれている[ちゅう 8]

政治せいじがくにおいて、国家こっか運営うんえい指針ししんなにえるかについては様々さまざまなものがありうる。 20世紀せいきには、先進せんしん諸国しょこく中心ちゅうしん経済けいざいてき発展はってん国家こっか運営うんえい指針ししんにおいておおきな位置いちめており、国民総生産こくみんそうせいさん目安めやすとされてきた。しかし、国民こくみん幸福こうふく経済けいざい活動かつどうだけでははかれないということが次第しだい理解りかいされるようになってきた。ブータンでは国民こくみんそう幸福こうふくりょう重視じゅうしされている。これが世界せかいてき注目ちゅうもくされるようになり、日本にっぽんでも国会こっかいなどの政治せいじで、この国民こくみんそう幸福こうふくりょうがテーマとしてあつかわれるようになった。

試験しけん 編集へんしゅう

試験しけん点数てんすうゲーム得点とくてんなどがある。[ちゅう 9]

誘導ゆうどう方法ほうほうとうによる分類ぶんるい 編集へんしゅう

統計とうけいりょう 編集へんしゅう

実測じっそくりょう推定すいていりょう 編集へんしゅう

相対そうたいりょう絶対ぜったいりょう 編集へんしゅう

 測定そくていにより直接ちょくせつられる測定そくていpと、これとおな種類しゅるいりょうである基準きじゅんp0とのまたはとしてしめされるりょうを、相対そうたいりょうぶ。このとき、pやp0をふくもと測定そくていりょうのことを絶対ぜったいりょうぶ。たとえば、相対そうたい湿度しつど絶対ぜったい湿度しつどがある。「相対そうたい~」「絶対ぜったい~」という用語ようごとく使つかわれていない場合ばあいでも、なんらかの基準きじゅんとのまたはった相対そうたいび、相対そうたい測定そくていしたり使用しようしたりすることはおおい。

外延がいえんりょう内包ないほうりょう 編集へんしゅう

ぎんりん遠山とおやまらにより考案こうあんされ日本にっぽん小学校しょうがっこう算数さんすう教育きょういく使つかわれることのある分類ぶんるい概念がいねんである[12][13][14]ねつ力学りきがく使つかわれるしめせりょう変数へんすう (extensive variable) およびしめせきょう変数へんすう (intensive variable) と発想はっそうてはいるがべつ概念がいねんであり、自然しぜん科学かがく一般いっぱん分野ぶんや社会しゃかい科学かがく一般いっぱん分野ぶんや日本にっぽん国外こくがいではこの分類ぶんるい概念がいねんはほとんど使つかわれていない(外部がいぶリンクの英語えいごばんwikipedia「りょう」のこう参照さんしょう)。英語えいごへは、外延がいえんりょうはextensive quantity、内包ないほうりょうはintensive quantityとやくされるが、この言葉ことば英語えいごではねつ力学りきがく使つかわれるしめせりょう変数へんすうおよびしめせきょう変数へんすう同義語どうぎごである(外部がいぶリンクの英語えいごばんwikipedia「物理ぶつりりょう」、およしめせりょうせいしめせきょうせい参照さんしょう)。

ぎんりんらの分類ぶんるいでは、りょうはまず分離ぶんりりょう連続れんぞくりょうけられる。連続れんぞくりょう外延がいえんりょう内包ないほうりょうけられる。内包ないほうりょうりつけられる。ただし分離ぶんりりょう外延がいえんりょうとみなす立場たちばもあるらしい。

外延がいえんりょう加法かほうせいりょうであり、ながさ、質量しつりょう時間じかん面積めんせき体積たいせきなどである。内包ないほうりょう加法かほうせいりたないりょうであり、温度おんど速度そくど密度みつど濃度のうど利率りりつなどである。内包ないほうりょうはまた、りょう乗除じょうじょによってされたものであり、ことなる単位たんいりょう同士どうし乗除じょうじょによるものがであり、おな単位たんいりょう同士どうし乗除じょうじょによるものがりつである。たとえば、速度そくど密度みつど温度おんどであり、濃度のうど利率りりつりつである。

ここでいう加法かほうせいとは測度そくどろんのなかの術語じゅつごであり、ふたつの集合しゅうごう合併がっぺい加法かほう意味いみするということである[12]。つまり共通きょうつう部分ぶぶんたない2つの集合しゅうごうA,Bにそれぞれりょうf(A),f(B)が付随ふずいするとき、f(A∪B)=f(A)+f(B)が成立せいりつすることである。たとえば内包ないほうりょうである速度そくどにも加法かほう定義ていぎされるが、上記じょうき意味いみ加法かほうせいりたない。つまり外延がいえんりょうとは測度そくどろんでいう可算かさん加法かほうてき測度そくどであるとえる。

遠山とおやまによれば、りょうのなかには加法かほうせいあきらかでないものもあって、区別くべつはつねに明確めいかくにできるとはかぎらない[12]。またぎんりんによれば、角度かくど外延がいえんりょう内包ないほうりょうさかいにあるりょうである[13]

りょう演算えんざん次元じげん 編集へんしゅう

りょう次元じげんとは 編集へんしゅう

一般いっぱんおな種類しゅるいりょう同士どうしあいだでは演算えんざん定義ていぎでき、結果けっかおな種類しゅるいりょうになる。ことなる種類しゅるいりょう同士どうしには意味いみがない。おな種類しゅるいりょう同士どうしでもことなる種類しゅるいりょう同士どうしでもせきしょう定義ていぎできることがあり、その結果けっか演算えんざんしたりょうのどちらともことなる種類しゅるいりょうになる[15]たとえばなが同士どうしせき面積めんせきであり、ながさの時間じかんによるしょうはやさである。このようにことなる種類しゅるいりょう同士どうしあいだ特定とくてい関係かんけいしきつことがあるが、そのような関係かんけいしき解析かいせき次元じげんという概念がいねん使つかうと簡単かんたんになることがある。

りょう次元じげんとは、そうことなるりょうあいだ関係かんけいしきから具体ぐたいてき数値すうち無視むししてりょう種類しゅるいとそのべきじょうだけに着目ちゃくもくした概念がいねんである。具体ぐたいてきには定数ていすう係数けいすう無視むしした等式とうしきとして、次元じげん関係かんけいしきあらわす。すなわち、りょう q次元じげんを[ q ]とあらわせば、以下いかのようないくつかの次元じげん関係かんけいしき例示れいじできる。

  1. [面積めんせき] = [ながさ]2
  2. [体積たいせき] = [ながさ]3
  3. [はやさ] = [ながさ][時間じかん]−1
  4. [加速度かそくど] = [ながさ][時間じかん]−2
  5. [ちから] = [質量しつりょう][ながさ][時間じかん]−2
  6. [仕事しごと] = [質量しつりょう][ながさ]2[時間じかん]−2

具体ぐたいてき数値すうち考慮こうりょすれば、たとえば立方体りっぽうたい体積たいせきVいちへんながaとの関係かんけいは、それぞれの単位たんいをuV,uLとして、

V/uV = (const)(a/uL)3

となり定数ていすうconst体積たいせきながさの単位たんいかたわる。たとえば体積たいせき単位たんいとしてL(リットル)をれば、

1 L = 1,000 cm3 = 0.001 m3 = 61.02 inch3

なので、

V/L = (1/1,000)(a/cm)3 = 1,000(a/m)3 = (1/61.02)(a/inch)3

である。しかし指数しすう3はつねわらず上記じょうき次元じげん関係かんけいしき単位たんいかたによらない。さらにV直方体ちょくほうたいさん角錐かくすい体積たいせきとすれば、

V/m3 = abc/m3
V/m3 = (1/6)ah1h2/m3

などとなるが、やはり次元じげん関係かんけいしきおなじである。つまり次元じげん概念がいねん使つかえば具体ぐたいてき数値すうち計算けいさんおこなうことなく、また単位たんい考慮こうりょすることもなく、そうことなるりょうあいだ関係かんけい理解りかいできるのである。具体ぐたいてき効用こうようにはつぎのようなものがあるが詳細しょうさいは「次元じげん解析かいせき」の項目こうもくくわしい。

  • 等式とうしき両辺りょうへん次元じげんひとしいかかを確認かくにんすることで、その等式とうしきただしさのチェックができる。
  • かけじょうことなるりょうでも次元じげんひとしければ本質ほんしつてき同等どうとうか、つよ関係かんけいがあることが推定すいていできる。
  • ある未知みち等式とうしき特定とくていのn種類しゅるいりょう (q1, q2, ..., qn) のすべてをふく場合ばあい次元じげんのみの関係かんけいから等式とうしきかたち推定すいていできる。(次元じげん解析かいせき項目こうもく具体ぐたいれいがある。)

ここで次元じげんひとしいというのは、既知きち次元じげんしきもちいていくつかのりょうりょうわせで置換ちかんして両辺りょうへんふくまれるりょう種類しゅるいおなじにしたとき、かくりょう指数しすう一致いっちするということである。たとえば、

[ちからせき] = [ちから][時間じかん] = [質量しつりょう][ながさ][時間じかん]−1 = [運動うんどうりょう]

となり、ちからせき運動うんどうりょう対応たいおうすることが次元じげん解析かいせきのみから推定すいていでき、実際じっさいちからせき運動うんどうりょう変換へんかんされる。ここでちからせき運動うんどうりょう次元じげんおなじだがことなる種類しゅるいりょうであることには注目ちゅうもくすべきである。一般いっぱんおな種類しゅるいりょうならば次元じげんひとしいが、そのぎゃくかならずしもりたない。ほかにも、仕事しごとちからのモーメントはどちらも[ちから][ながさ]の次元じげんつがことなる種類しゅるいりょうであり、たがいに物理ぶつりてき変換へんかんするということもない。この場合ばあいどちらもちからながさのせきではあるのだが、仕事しごとではそのながさはちから平行へいこう方向ほうこうながさであり、ちからのモーメントではちから垂直すいちょく方向ほうこうながさであるというちがいがある。

基本きほんりょう組立くみたてりょう 編集へんしゅう

以上いじょうのような次元じげん解析かいせき操作そうさつぎのように基本きほんりょうさだめると計算けいさん簡単かんたんになり理解りかいしやすくなる。

n種類しゅるいりょうあいだにkたがいに独立どくりつ関係かんけいしきっていれば、(n − k)任意にんいりょう基本きほんりょうとしてさだめ、りょう基本きほんりょうわせであらわすことができる。たとえば前記ぜんき例示れいじしきでは、質量しつりょうながさ、時間じかん基本きほんりょうとして、の6しゅりょう次元じげん基本きほんりょう次元じげんのみであらわしている。基本きほんりょうわせであらわすことができるりょう組立くみたてりょうというが、基本きほんりょうさだまれば組立くみたてりょう次元じげん基本きほんりょうのみの次元じげんせきとして一意的いちいてきあらわせる。次元じげん一意的いちいてきあらわせば、2つのりょう次元じげんおなじかどうかはひとでわかる。このような一意的いちいてき表現ひょうげんのことも、その組立くみたてりょう次元じげんぶ。

物理ぶつりりょう以外いがいでの次元じげん 編集へんしゅう

自然しぜんかい測定そくてい可能かのうりょう、いわゆる広義こうぎ物理ぶつりりょうでは、りょうあいだ関係かんけいしき自然しぜん法則ほうそくりょう定義ていぎによりまるものなので、次元じげん使つか考察こうさつ汎用はんようせいたか有用ゆうようである。しかし次元じげん物理ぶつりりょうだけにしか使つかえない概念がいねんではなく、定義ていぎがきちんとさだまったりょうでありさえすれば社会しゃかいてきりょうなどにも通用つうようする。たとえば、

人件じんけん = 時給じきゅう工数こうすう

という関係かんけいしきかくりょう次元じげんつぎのようにかんがえられ、両辺りょうへん次元じげんひとしいことがわかる。

[金額きんがく] = ([金額きんがく][人数にんずう]−1[時間じかん]−1)×([人数にんずう][時間じかん])

社会しゃかいがく経済けいざいがくでは既知きちりょうわせ(乗除じょうじょなどの演算えんざん)により様々さまざまりょう定義ていぎされているが、次元じげんかんがえればこれらのりょうわせかたあらわになり理解りかいがしやすくなるのである。

りょうではないれい 編集へんしゅう

名義めいぎてき性質せいしつ 編集へんしゅう

名義めいぎてき性質せいしつえい: nominal property)とは、定量ていりょうてきしめすことができない、現象げんしょう物体ぶったいまたは物質ぶっしつ特性とくせいである[2]おおきさをたないため、ISO/IEC80000やJIS Z8000規格きかくぐんさだめられるりょうではない名義めいぎてき性質せいしつは、英数字えいすうじコードまた手段しゅだんもちいた語句ごく表現ひょうげんすることができるをもつ。

れい

脚注きゃくちゅう 編集へんしゅう

ちゅう
  1. ^ この「しつ」は、あえてえば「品質ひんしつ」の「しつ」である。
  2. ^ [だれ?]性質せいしつというものも、複数ふくすうの「りょう」をわせて総合そうごうてき判断はんだんしたものとることもできる。[よう出典しゅってん]
  3. ^ 領域りょういきごと、学問がくもん分野ぶんやごとに、あつかうのは離散りさんりょうおおいか、連続れんぞくりょうおおいか、ことなっている。
  4. ^ なお、りょう同士どうし演算えんざんにおいては、これら助数詞じょすうし離散りさんりょう単位たんいなしてしき変形へんけいなどにおいて単位たんい同様どうようあつかうことが可能かのうである。
  5. ^ [だれ?]"一定いってい体系たいけいしたで"とは実際じっさいじょう国際こくさい単位たんいけいしたでということであり[よう出典しゅってん]"次元じげん確定かくていし"とは基本きほんりょうおよびその組立くみたてりょうである[よう出典しゅってん]解釈かいしゃくできる。これは複数ふくすう物理ぶつりてき条件じょうけんにより変動へんどうするため測定そくてい条件じょうけん約束事やくそくごととして定義ていぎする工業こうぎょうりょうとの区別くべつ意識いしきした定義ていぎであろう。[よう出典しゅってん]」 また"さだめられ単位たんい倍数ばいすうとしてあらわすことができる"ということは比例ひれい尺度しゃくどまたは間隔かんかく尺度しゃくどだとうことであり、たとえば順序じゅんじょ尺度しゃくどでしかないモース硬度こうどJIS-Z8103定義ていぎでは物理ぶつりりょうとはえない。
  6. ^ この物理ぶつりりょう定義ていぎは、心理しんりりょう比較ひかくすれば、測定そくていしゃによらない物理ぶつり現象げんしょう物質ぶっしつ固有こゆう属性ぞくせいであるというてん特徴とくちょう定義ていぎだとえる。[よう出典しゅってん]心理しんりりょうは「心理しんりてき要素ようそによって評価ひょうかされるりょう」とされ、測定そくてい対象たいしょう物理ぶつり現象げんしょう物質ぶっしつおなじでも測定そくていしゃことなればことなりうるりょうである。
  7. ^ [だれ?]感覚かんかくりょうは、感覚かんかくしょうずる物理ぶつり化学かがくてき刺激しげきつよさとほぼ相関そうかんしている[よう出典しゅってん] [よう検証けんしょう]」とかんがえている。
  8. ^ [いつ?] [だれ?]物理ぶつりてき実体じったいはなく、物理ぶつりりょうではないとえる。[よう出典しゅってん]」とったひとがいる? 「ただし「コインのかず」「紙幣しへい枚数まいすう」などは物理ぶつりりょうであるともえる。」とも。
  9. ^ [だれ?]は「人為じんいてきさだめられたりょう物理ぶつりてき実体じったいはなく、物理ぶつりりょうではないとえる。[よう出典しゅってん]」とコメントした。
出典しゅってんるい
  1. ^ a b 広辞苑こうじえんだいろくはん「りょう【りょう】」
  2. ^ a b c d e f g h i j JIS Z8000-1 りょうおよ単位たんいだい一般いっぱん
  3. ^ a b c d JIS Z8103 計測けいそく用語ようご
  4. ^ 計量けいりょうがく-はやわかり だい3はん 6.用語ようごしゅう、p.70、Quantity(measurable) の説明せつめいわけ編者へんしゃさん総研そうけん 計量けいりょう標準ひょうじゅん総合そうごうセンターと製品せいひん評価ひょうか技術ぎじゅつ基盤きばん機構きこう 認定にんていセンター、2008ねん7がつISBN 978-87-988154-5-7(オリジナルばん
  5. ^ a b 二村にむら隆夫たかお丸善まるぜん 単位たんい辞典じてん丸善まるぜん、2002ねん3がつ
  6. ^ Stevens, S. S. (1946). “On the Theory of Scales of Measurement”. Science 103 (2684): 677–680. Bibcode1946Sci...103..677S. doi:10.1126/science.103.2684.677. PMID 17750512. http://www.sciencemag.org/cgi/rapidpdf/103/2684/677. 
  7. ^ しん計量けいりょうほうとSIすすかた重力じゅうりょく単位たんいけいから国際こくさい単位たんいけい(SI)へ- pp.8-11、通商産業省つうしょうさんぎょうしょう SI単位たんいとう普及ふきゅう推進すいしん委員いいんかい、1999ねん3がつ発行はっこう
  8. ^ 長倉ながくら三郎さぶろうへん)『岩波いわなみ理化学りかがく辞典じてん-だい5はん岩波書店いわなみしょてん、1998ねん2がつ
  9. ^ a b c d e f g h i j k l ブリタニカ百科ひゃっか事典じてん
  10. ^ NIST Guide to the SI 8 いくつかのりょうとその単位たんいについてのちゅう
  11. ^ 「IUPAC 物理ぶつり化学かがくもちいられるりょう単位たんい記号きごう だいはん 日本にっぽん学会がっかい監修かんしゅう 産業さんぎょう技術ぎじゅつ総合そうごう研究所けんきゅうじょ計量けいりょう標準ひょうじゅん総合そうごうセンターやく
  12. ^ a b c 遠山とおやまあきら(Toyama, Hiraku)『遠山とおやまあきら著作ちょさくしゅう数学すうがく教育きょういくろんシリーズ(6)りょうとはなにか』太郎たろう次郎じろうしゃ、1981ねん7がつ,p16,69
  13. ^ a b ぎんはやしひろしりょう世界せかい構造こうぞう主義しゅぎてき分析ぶんせき-』むぎ書房しょぼう、1986ねん
  14. ^ 星田ほしだ直彦なおひこ単位たんい171のしん知識ちしき講談社こうだんしゃブルーバックス、2005ねん ISBN 4-06-257484-5
  15. ^ 久保くぼ和良かずよしりょう理論りろんとアナロジー』コロナしゃ、2021ねん、42-43ぺーじISBN 9784339033830 

参考さんこう文献ぶんけん 編集へんしゅう

  • 『JIS Z8000-1 りょうおよ単位たんいだい一般いっぱん日本にっぽん規格きかく協会きょうかい発行はっこう、2014ねん 
  • 『JIS Z8103 計測けいそく用語ようご日本にっぽん規格きかく協会きょうかい発行はっこう、2000ねん 
  • 小泉こいずみ袈裟けさしょう山本やまもとひろし ちょ単位たんいのおはなし 改訂かいていばん日本にっぽん規格きかく協会きょうかい、2002ねんISBN 4-542-90251-X

関連かんれん項目こうもく 編集へんしゅう

外部がいぶリンク 編集へんしゅう