利子りし

利子りし（りし、英えい: interest）とは、貸借たいしゃくした金銭きんせんに対たいして一定いってい利率りりつで支払しはらわれる対価たいか。

マラウイの銀行ぎんこう店頭てんとうでの、預金よきん口座こうざと融資ゆうしの金利きんりを示しめした表示ひょうじ

利息りそくと同おなじ意味いみで使つかわれるが、借かりた場合ばあいに支払しはらうものを利子りし、貸かした場合ばあいに受うけ取とるものを利息りそくと使つかい分わけることがある。また、銀行ぎんこう預金よきんでは利息りそくと呼よぶ（ゆうちょ銀行ぎんこうでは利子りしと呼よぶ）。法律ほうりつ用語ようごとしては利息りそくを用もちいるのが通常つうじょうである。

米べいの貸かし借かりの対価たいかとして支払しはらわれる「利子りし米まい（利り米まい）」のように利子りしは金銭きんせん以外いがいで支払しはらわれる場合ばあいもある。このような実物じつぶつを対価たいかとする利子りしを実物じつぶつ利子りし、金銭きんせんを対価たいかとする利子りしを貨幣かへい利子りしあるいは金利きんりと呼よぶ。

概説がいせつ

経済けいざい学がく上じょうの定義ていぎ

経済けいざい学がく的てきな定義ていぎでは『将来しょうらい時点じてんにおける資金しきんの、現在げんざい時点じてんにおける相対そうたい的てきな価格かかく』をいう。

もっとも、実際じっさいの金融きんゆう取引とりひきにおける利子りしの本質ほんしつについては、上記じょうきの定義ていぎのように単たんに金銭きんせんの時間じかん的てきな価値かちのみで説明せつめいするのではなく、それに加くわえて金融きんゆう機関きかんの提供ていきょうするサービスの対価たいか、債権さいけんの貸倒かしだおれに対たいする保証ほしょう料りょうないしは保険ほけん料りょうなどが複雑ふくざつに合成ごうせいされたものと見みることもできる。ただ、サービスの対価たいかも保険ほけん料りょうも、時間じかんが経過けいかし「将来しょうらい」となっていくことと密接みっせつであるため、金利きんりと時間じかんの関係かんけいは不可分ふかぶんである。

金利きんりの高低こうていは経済けいざいの景気けいき動向どうこうを左右さゆうすることがある。政府せいふや中央ちゅうおう銀行ぎんこうが政策せいさく金利きんりを変更へんこうすることによって基準きじゅん金利きんりを決定けっていできる場合ばあいが多おおい。経済けいざい学的がくてきには、貨幣かへい市場いちばにおける価格かかくに相当そうとうする。金融きんゆう市場いちばでは、貨幣かへい需要じゅようと貨幣かへい供給きょうきゅうが一致いっちするように利子りし率りつが調整ちょうせいされる。所得しょとくが増加ぞうかすると貨幣かへい需要じゅようが増加ぞうかするが、貨幣かへい供給きょうきゅう量りょうが一定いっていである場合ばあい、利子りし率りつが上昇じょうしょうする。一方いっぽうで所得しょとくが減少げんしょうすると、貨幣かへい需要じゅようは減少げんしょうし利子りし率りつは低下ていかする。

金利きんりには、名目めいもく金利きんりと実質じっしつ金利きんりが存在そんざいする。名目めいもく金利きんりは、額面がくめんにかかる金利きんりである。実質じっしつ金利きんりは名目めいもく金利きんりから期待きたいインフレ率りつを差さし引ひいた分ぶんである。通常つうじょう、名目めいもく金利きんりは0%より下さがらないのに対たいし、実質じっしつ金利きんりはマイナス金利きんりをとることがあり得える。

ファイナンス理論りろんにおいては、金利きんりは、通常つうじょうは、貨幣かへいの時間じかん的てき価値かちと信用しんようリスクの対価たいかとしての性質せいしつを有ゆうするものと考かんがえられる。理論りろん的てきには、無むリスク資産しさんに付ふされる金利きんりは貨幣かへいの時間じかん的てき価値かちのみを反映はんえいしたものである。

法学ほうがく上じょうの定義ていぎ

法学ほうがく上じょうの定義ていぎでは、流動りゅうどう資本しほんたる金銭きんせんその他たの代替だいたい物ぶつの使用しようの対価たいかとして、元本がんぽん額がくと使用しよう期間きかんに比例ひれいして、一定いってい利率りりつをもって支払しはらわれる金銭きんせんその他たの代替だいたい物ぶつを指さす。

通常つうじょうは消費しょうひ貸借たいしゃくあるいは寄託きたくに伴ともなって約定やくじょうされるが、売買ばいばい代金だいきんの支払しはらいなどについて約定やくじょうされることもある。

時間じかんに比例ひれいするという点てんで遅延ちえん損害そんがい金きんが「遅延ちえん利息りそく」と称しょうされることがあるが、それは利息りそくではなく履行りこう遅滞ちたいによる損害そんがい賠償ばいしょうである。

元本がんぽん債権さいけんの存在そんざいしない終身しゅうしん定期ていき金きん（民法みんぽう第だい689条じょう）、固定こてい資本しほんたる不ふ代替だいたい物ぶつ（土地とち・建物たてもの・機械きかい）の使用しようの対価たいかである地代じだい・賃料ちんりょう、元本がんぽんそのものの使用しようの対価たいかである元本がんぽんの償却しょうきゃく金きん・分割払ぶんかつばらいの分割ぶんかつ金きん・株式かぶしきの配当はいとうは利息りそくではない。

基本きほん概念がいねん

利子りしは金額きんがくを指さす。利率りりつ（りりつ）または利子りし率りつ（りしりつ）は元本がんぽん（債券さいけんの額面がくめん）に対たいするある一定いってい期間きかん（通常つうじょうは1年間ねんかん）の利子りしの割合わりあいを指さす。利回りまわり（りまわり）は、投資とうし金額きんがくに対たいする最終さいしゅう的てきな受取うけとり利息りそくから年とし平均へいきんの利率りりつを計算けいさんしたものである。たとえば100万まん円えんを年利ねんり（=1年間ねんかんの利率りりつ）5%で複利ふくりで5年間ねんかん貸かし出だしたときの利息りそくは127万まん6282円えんとなるので、利回りまわりは約やく5.52%となる。

金利きんりは金額きんがくと割合わりあいのどちらも指さす。金額きんがくは「増ぞう」「減げん」で表あらわし、割合わりあいは「高こう」「低てい」で表あらわす。だから、利子りしが増ふえるとは言いっても、利率りりつが増ふえるとは言いわない。同おなじく、利率りりつが低ひくいとは言いっても、利子りしが低ひくいとは言いわない。

利息りそくの形態けいたいと計算けいさん

単利たんりと複利ふくり

利子りしの形態けいたいには大おおきく分わけて単利たんりと複利ふくりの2つの方法ほうほうがある。

• 単利たんりは、元本がんぽんを変化へんかさせずに計算けいさんして利子りしを決きめる。
• 複利ふくりは、元本がんぽんに利子りしを加くわえた金額きんがくを元もとに計算けいさんして次回じかいの利子りしを決きめる。

元本がんぽんをa、単位たんい期間きかん当あたりの利率りりつをpとすると、n回かいの単位たんい期間きかんを経へて利子りしがついたときの元利がんり合計ごうけいは、単利たんりの場合ばあい $a(1+np)$ となるのに対たいし複利ふくりの場合ばあい $a(1+p)^{n}$ となる。

実質じっしつ年率ねんりつ、アドオン金利きんり

借入金かりいれきんを複ふく数すう回かいで返済へんさいするときの金利きんりを考かんがえる場合ばあい、毎回まいかいの返済へんさいごとに借入かりいれ残高ざんだかが減少げんしょうするように扱あつかう方法ほうほうと計算けいさん上じょうで借入かりいれ残高ざんだかを減少げんしょうしないと扱あつかう（仮定かていする）方法ほうほうがある。前者ぜんしゃを実質じっしつ年率ねんりつ、後者こうしゃをアドオン金利きんりという。

以下いかに計算けいさん例れいを示しめす。

3万まん円えんを毎月まいつき1回かいずつ3回かいで返済へんさいすることにする場合ばあい。なお、毎回まいかい返済へんさいする元金がんきんは1万まん円えんずつとする。

• 実質じっしつ年率ねんりつ12%（=月利げつり1%）の場合ばあいの利息りそく

返済へんさい1回かい目め、借入かりいれ残高ざんだか3万まん円えん×1%=300円えん、返済へんさい額がく10300円えん

返済へんさい2回かい目め、借入かりいれ残高ざんだか2万まん円えん×1%=200円えん、返済へんさい額がく10200円えん

返済へんさい3回かい目め、借入かりいれ残高ざんだか1万まん円えん×1%=100円えん、返済へんさい額がく10100円えん（完済かんさい）

利息りそくの合計ごうけい600円えん

• アドオン金利きんり12%（=月利げつり1%）の場合ばあいの利息りそく

返済へんさい1回かい目め、計算けいさん上じょうの借入かりいれ残高ざんだか3万まん円えん×1%=300円えん、返済へんさい額がく10300円えん

返済へんさい2回かい目め、計算けいさん上じょうの借入かりいれ残高ざんだか3万まん円えん×1%=300円えん、返済へんさい額がく10300円えん

返済へんさい3回かい目め、計算けいさん上じょうの借入かりいれ残高ざんだか3万まん円えん×1%=300円えん、返済へんさい額がく10300円えん（完済かんさい）

利息りそくの合計ごうけい900円えん

金利きんりの表記ひょうきが同おなじであっても、アドオン金利きんりの方ほうが利息りそくが高たかくなることがわかる。

(参考さんこう)元利がんり均等きんとう払はらい

返済へんさいが定期ていき複ふく数すう回かいであるとき、毎回まいかいの返済へんさい額がくを定額ていがくにしたい場合ばあい、元本がんぽん返済へんさい分ぶんと利息りそく返済へんさい分ぶんの比率ひりつを都度つど変かえる方法ほうほう。住宅じゅうたくローンの返済へんさいに多おおく用もちいられる。

• 上記じょうき同様どうよう年利ねんり12%（=月利げつり1%）の場合ばあいのシミュレーション(円えん未満みまん四捨五入ししゃごにゅう)

返済へんさい1回かい目め、期間きかん発生はっせい利息りそく;借入かりいれ残高ざんだか30000円えん×1%=300円えん、返済へんさい額がく10201円えん(元本がんぽん充当じゅうとう;10201円えん - 300円えん = 9901円えん); 元本がんぽん残高ざんだか30000円えん - 9901円えん = 20099円えん

返済へんさい2回かい目め、期間きかん発生はっせい利息りそく;借入かりいれ残高ざんだか20099円えん×1%=201円えん、返済へんさい額がく10201円えん(元本がんぽん充当じゅうとう;10201円えん - 201円えん = 10000円えん); 元本がんぽん残高ざんだか20099円えん - 10000円えん = 10099円えん

返済へんさい3回かい目め、期間きかん発生はっせい利息りそく;借入かりいれ残高ざんだか10099円えん×1%=101円えん、返済へんさい額がく10200円えん(元本がんぽん充当じゅうとう;10200円えん - 101円えん = 10099円えん) （完済かんさい）

利息りそくの合計ごうけい602円えん

一般いっぱんに最終さいしゅう返済へんさい時じ、又または第だい1回かい返済へんさい時じに端はし数すう調整ちょうせいが入はいり、定時ていじ返済へんさい額がくと異ことなる。

金利きんりの表示ひょうじ方法ほうほう

年利ねんり

元金がんきんに対たいする1年間ねんかんの利息りそくの割合わりあい。この割合わりあいを12で除算じょざん（割わる）とほぼ月利げつりと同おなじ数値すうちになる。単位たんいは%である。

月利げつり

元金がんきんに対たいする1か月げつの利息りそくの割合わりあい。この割合わりあいを28から31のいずれかの数値すうちで除算じょざん（割わる）とほぼ日歩ひぶと同おなじ数値すうちになる。単位たんいは%である。

月利げつり_(%) = 年利ねんり_(%)/12　

日歩ひぶ（ひぶ）

元金がんきん100円えんに対たいする1日にちあたりの利息りそくで金利きんりを表あらわしたもの。単位たんいは、銭ぜに（1/100円えん）、厘りん（1/10銭ぜに）、毛もう（1/10厘りん）である。

日歩ひぶ_{（銭ぜに）}＝年利ねんり_(%)×100/365

計算けいさん式しきと日数にっすうの計算けいさん方法ほうほう

最もっとも単純たんじゅんな計算けいさん式しきは以下いかのとおりである。後述こうじゅつの「両りょう端はし入いれ」「片へん落おち」「両りょう落おち」の数かぞえ方かたもあるため、借かり入いれた企業きぎょうへ確認かくにんしてから計算けいさんしないと、利息りそくの金額きんがくが異ことなる結果けっかが必然ひつぜん的てきに出でてしまう。

• 借金しゃっきん残高ざんだか × 年利ねんり ÷ 返済へんさい期間きかん（1年間ねんかんだったら12） ＝ 1か月げつの利息りそく

（借金しゃっきん残高ざんだかが下さがれば、1か月げつの利息りそくも下さがる）

• 借金しゃっきん残高ざんだか × 年利ねんり ÷ 365日にち × 借かりた日数にっすう ＝ 借かりた日数にっすうだけかかる利息りそく

（借かりた日数にっすうが増ふえれば、利息りそくも上あがる）

短期たんき借入かりいれ時じの日割ひわり計算けいさんの際さい、3通とおりの数かぞえ方かたがある。

両りょう端はし入いれ（りょうはいれ）

借入かりいれ日びと返済へんさい日びの両方りょうほうを日数にっすうとして数かぞえる方法ほうほう。

片へん落おち（かたおち）

借入かりいれ日びから返済へんさい日びのうち、借入かりいれ日びを計算けいさんからはずして数かぞえる方法ほうほう。

両りょう落おち（りょうおち）

借入かりいれ日びから返済へんさい日びのうち、借入かりいれ日びと返済へんさい日びの両方りょうほうを計算けいさんからはずして数かぞえる方法ほうほう。

例たとえば、1月がつ1日にちから同年どうねんの1月がつ15日にちまでの日数にっすう計算けいさんをそれぞれの方法ほうほうで行おこなうと、以下いかの表ひょうのようになる。

短期たんき借入かりいれ時じの日割ひわり計算けいさん

計算けいさん方法ほうほう	日数にっすう
両りょう端はし入いれ	15日間にちかん
片へん落おち	14日間にちかん
両りょう落おち	13日間にちかん

民法みんぽうの原則げんそくでは、特約とくやくがなければ、初日しょにち不ふ算入さんにゅう（本件ほんけんで言いう片へん落おち）となる。

利息りそくの歴史れきし

利子りしの歴史れきしは貨幣かへいの出現しゅつげんに先さきんじるとされる（貨幣かへいはないため実物じつぶつ利子りしであった）。

預金よきんに対たいする金利きんりの利率りりつが低ひくければ預金よきん保有ほゆう者しゃの生活せいかつに影響えいきょうが出でるとして、一定いってい以上いじょうに保たもつことが要求ようきゅうされる側面そくめんがある一方いっぽうで、金銭きんせんを借かりる側がわの立場たちばからすると、金利きんりは低ひくければ低ひくいほど良よいと考かんがえることができる。しかしヨーロッパでは、現代げんだいのような利子りし、それも複利ふくりの利子りしによる経済けいざいが堂々どうどうと大だい規模きぼに行おこなわれるようになったのは近世きんせい・近代きんだいのことである。現代げんだいのヨーロッパ主導しゅどうの世界せかい経済けいざい体制たいせいの中なかで、利子りしつき金融きんゆう、それも複利ふくり計算けいさんのものが圧倒的あっとうてき主流しゅりゅうを占しめている、という現状げんじょうからすると奇異きいなことのように思おもわれるかもしれないが、利子りしの禁止きんしは世界せかい史しの流ながれの中なかでは取とり立たてて特異とくいなことではない。宗教しゅうきょう的てきな側面そくめんからの利子りしの禁止きんし規定きていは、「利息りそくは労働ろうどうなくして得える所得しょとく＝『不労所得ふろうしょとく』」であるという考かんがえが背景はいけいにある（インフレーションやデフォルト (金融きんゆう)すなわち債務さいむ不履行ふりこうのリスクがあり、事業じぎょう・担保たんぽの評価ひょうかを行おこなわないと事業じぎょうとして継続けいぞくしていくことが不可能ふかのうである金融きんゆう業ぎょうの立場たちばからすると、利子りしを不労所得ふろうしょとく、すなわち働はたらかないで得えられる利益りえきであるとすることはできない）。

ヨーロッパでは、中世ちゅうせいを通つうじてカトリック教会きょうかいによってキリスト教徒きりすときょうと間あいだの利子りしつき貸借たいしゃくは原則げんそく禁止きんしされていたものの、貨幣かへい経済けいざいが広ひろく浸透しんとうした13世紀せいき頃ごろより徴しるし利り禁止きんしの規定きていは次第しだいに空文くうぶんと化かし、実態じったいとしては利子りし取得しゅとくは一般いっぱん的てきに行おこなわれるようになった。さらに16世紀せいきには宗教しゅうきょう改革かいかくの指導しどう者しゃの一人ひとりであるジャン・カルヴァンが5%の利子りし取得しゅとくを認みとめ、イギリスでは1545年ねんにヘンリー8世せいが10％以内いないの利子りし取得しゅとくを認みとめる法令ほうれいを発布はっぷした。これを皮切かわきりとしてプロテスタント諸国しょこくでは利子りし取得しゅとくが是認ぜにんされるようになった。17世紀せいきの学者がくしゃクラウディウス・サルマシウスは正当せいとうな利子りしを擁護ようごする論文ろんぶんを書かいた。産業さんぎょう革命かくめいによる経済けいざいの活発かっぱつ化かをみた19世紀せいき前半ぜんはんには、カトリック教会きょうかいも利子りしを容認ようにんするようになった。シルビオ・ゲゼルは金利きんりが社会しゃかいにもたらすさまざまな悪影響あくえいきょうについて考察こうさつし、自由じゆう貨幣かへいと呼よばれる減価げんかする貨幣かへいの導入どうにゅうで金利きんりを廃止はいししようとした。

「利子りし」は「単利たんり」の場合ばあいのみ認みとめるが、「複利ふくり」（利子りしの額がくを元本がんぽんに組くみ込こんで計算けいさんする）の利子りしつき金融きんゆうを認みとめない例れいもある（ローマ法ほう以来いらい、多おおくの立法りっぽう例れいで複利ふくり計算けいさんは禁止きんしされていた。日本にっぽん民法みんぽうにおいても、利息りそくの元本がんぽん繰くり入いれは、契約けいやくによることを要ようし、その旨むねの約定やくじょうがなければ単利たんり計算けいさんとなる）。

複利ふくり計算けいさんに関かんしては、復古ふっこ主義しゅぎとしてではなく、近年きんねんの脱だっ資本しほん主義しゅぎ的てき思想しそう・運動うんどうからの疑義ぎぎもある。マルグリット・ケネディはこのようなたとえを用もちいて複利ふくり計算けいさんの矛盾むじゅんを問とうている。

ヨゼフが息子むすこキリストの誕生たんじょうのとき（西暦せいれき1年ねんか紀元前きげんぜん4年ねんかは不ふ詳しょう）に、5%の利子りしで1プフェニヒ（100分ぶんの1マルク）を銀行ぎんこうに預あづけたとする。

彼かれが1990年ねんに現あらわれたとすると、地球ちきゅうと同おなじ重おもさの黄金おうごんの玉たまを、銀行ぎんこうから13億おく4000万まん個こ引ひき出だすことができることになる。

利子りしそのものを禁きんじていない文化ぶんかでも、高利こうりに対たいする規制きせいは厳きびしいことが多おおかった（例たとえば江戸えど幕府ばくふの開府かいふ当初とうしょは年率ねんりつ20%が上限じょうげん。元もと文ぶん1年ねん（1736年ねん）には15%に引ひき下さげられる）が、それに対たいする金融きんゆう業者ぎょうしゃ（高利貸こうりかし）は、名目めいもく上じょうは「利子りし」ではない「手数料てすうりょう」（これはイスラーム圏けんでヒヤルと呼よばれるものに似にている）ということにして、取とり立たてていた。天保てんぽう13年ねん（1842年ねん）の法令ほうれいでは法定ほうてい利率りりつが年率ねんりつ12%に引ひき下さげられ、礼金れいきん・筆墨ひつぼく料りょうなどの名目めいもくで利子りしを余分よぶんに取とることなどが禁きんじられたが、「禁きんじられた」ということは、少すくなくともそれまで江戸えどの金融きんゆう業者ぎょうしゃたちは、法定ほうてい利率りりつ以上いじょうに徴収ちょうしゅうして利益りえきを得えていたということが分わかる。

日本にっぽん

律令りつりょう体制たいせいの下したでは、国家こっかによる金融きんゆうとして出で挙きょが行おこなわれた。当時とうじ、租という税ぜいとして納おさめられた米べいは、神かみへの捧ささげものとして保管ほかんされ、百姓ひゃくしょうが困窮こんきゅうした際さいに貸かし与あたえられた。そして、収穫しゅうかく後ごには神かみへの返礼へんれいとして、借かりた分ぶんよりも多おおい米こめを、神かみに返かえさなければならないとされた。そのため、日本にっぽんでは古ふるい時代じだいから利子りしを取とることはタブー視しされなかった。

中世ちゅうせい日本にっぽんでは、国家こっかに代かわって、日吉ひよし神社じんじゃや熊野くまの三山さんざんなどの寺社じしゃ勢力せいりょくなどが金融きんゆうを営いとなみ、米べいや銭ぜにの貸かし付つけを行おこなった。本来ほんらい金融きんゆうは、古代こだいの出だし挙きょ以来いらい、神仏しんぶつへ捧ささげられたものを貸かし付つける行為こういとされた。その為ため、中世ちゅうせい初期しょきには、俗人ぞくじんは金融きんゆうに関かかわることができず、神仏しんぶつに直属ちょくぞくする者ものが行おこなっていた。しかし、中世ちゅうせいにおける貨幣かへい経済けいざいの発展はってんに伴ともない、金融きんゆうは寺社じしゃ勢力せいりょくのみならず俗人ぞくじんも担になうようになり、借か上じょうや土倉つちくらという金融きんゆう業者ぎょうしゃが現あらわれた。

単たんに借金しゃっきんの棒引ぼうびきとイコールで捉とらえられることの多おおい、日本にっぽん史しで登場とうじょうする「徳政令とくせいれい」であるが、基本きほん的てきには「利息りそくがついている契約けいやく」のみが対象たいしょうであった。借金しゃっきんの返かえせない民みんが増ふえ、徳政令とくせいれいの出番でばんとなるのは、多おおくの場合ばあい「元本がんぽんを返済へんさいする能力のうりょくがあったとしても利子りし（鎌倉かまくら時代ときよ当時とうじの言葉ことばで「利平りへい（りひょう）」と言いった）が膨ふくらんでしまう」ためであった。鎌倉かまくら時代じだい末期まっきには政治せいじの行いき詰づまりが起おこり、蒙こうむ古こ襲来しゅうらいによる戦たたかいにおいて土地とちも得えられなかったために「御ご恩おんと奉公ほうこう」を幕府ばくふの方針ほうしんとしたものの、土地とちが得えられないことから借金しゃっきんが増大ぞうだいした。借金しゃっきんが増大ぞうだいしたため徳政令とくせいれいを発布はっぷするが、結局けっきょく土地とちの問題もんだいの解決かいけつに至いたらず幕府ばくふに対たいする反感はんかんが強つよまった。後ごの鎌倉かまくら幕府ばくふ崩壊ほうかいへの道みちにもつながっていく。

ヨーロッパ

古代こだいギリシアの海上かいじょう交易こうえきにおいても利子りしを伴ともなう貸付かしつけは広ひろく行おこなわれていたが、当時とうじから利子りしは問題もんだい視しされていた。アリストテレスはその著書ちょしょ『政治せいじ学がく』の中なかで、「貨幣かへいが貨幣かへいを生うむことは自然しぜんに反はんしている」（『政治せいじ学がく』1巻かん10章しょう）と述のべている。

古代こだいヘブライ人じんは徴しるし利りを禁きんじ、ヘブライ聖書せいしょに遺のこされたその掟おきては、同おなじく旧約きゅうやく聖書せいしょを聖典せいてんとするキリスト教徒きりすときょうとにも影響えいきょうを与あたえた。例たとえば旧きゅう約やく聖書せいしょには「あなたのところにいる貧まずしい者ものに金かねを貸かすなら（中略ちゅうりゃく）利息りそくを取とってはならない」 （出いずるエジプト記き22:25）、「金銭きんせんの利息りそくであれ、食物しょくもつの利息りそくであれ、すべて利息りそくをつけて貸かすことのできるものの利息りそくを、あなたの同胞どうほうから取とってはならない」（申さる命いのち記き23:19）、「あなたの兄弟きょうだい（中略ちゅうりゃく）から利子りしも利息りそくも取とってはならない」（レビ記き25:35-37）と記しるされており、詩篇しへん15は、利子りしを取とらずに貸かす者ものを「主おもの幕屋まくやに宿やどるべき人ひと」と称となえている。

また、新約しんやく聖書せいしょの「あなたがたは、敵てきを愛あいし、人ひとによくしてやり、また何なにも当あてにしないで貸かしてやれ」（ルカ6:34-35）、すなわち利得りとくを期待きたいせずに無償むしょうで貸かすべきであるという教おしえは中世ちゅうせいキリスト教きりすときょうにおいて重おもんじられた。キリスト教きょうの初期しょきの宗教しゅうきょう会議かいぎ、例たとえば325年ねんのニカイア公こう会議かいぎでは聖職せいしょく者しゃによる徴ちょう利りが禁きんじられ、中世ちゅうせい前期ぜんきにはクリシー公こう会議かいぎ（626年ねん）やカール大帝たいていの「一般いっぱん訓令くんれい」（789年ねん）によってこの禁止きんしは一般いっぱん信徒しんとにも適用てきようされた。徴しるし利り禁止きんしは12世紀せいき以来いらいの教会きょうかい法ほうに組くみ込こまれた。13世紀せいきにはこの禁きんを犯おかした者ものは破門はもんに処しょすべきとされた。「高利貸こうりかしは神かみの所有しょゆう物ぶつである時間じかんを売うっているのであって、他人たにんの財産ざいさんを売うりさばく盗ぬすみに等ひとしい行為こういだ」といった理屈りくつは当時とうじの人々ひとびとの常套句じょうとうくであった。

トマス・アクィナスはアリストテレスにならって「金かねは金かねを生うまず」と述のべ、金銭きんせん消費しょうひ貸借たいしゃくにおいて、貨幣かへい本来ほんらいの用途ようとから逸脱いつだつして金銭きんせんそのものから代価だいかを得えることは不正ふせいであるとみなした。一部いちぶの修道院しゅうどういんはさまざまな形態けいたいの貸付かしつけを行おこない、中なかでも譲渡じょうと抵当ていとう、すなわち土地とちを担保たんぽとしてそこから得えられる収益しゅうえきを地代じだいとして貸付かしつけ者しゃに支払しはらうという仕組しくみの貸借たいしゃくが多おおかったが、12世紀せいき末まつには譲渡じょうと抵当ていとうを禁きんじる教きょう令れいが発布はっぷされた。他方たほう、ローマ法ほうや中世ちゅうせい初期しょきのゲルマン法ほうでは年利ねんり12%の利子りし取得しゅとくが認みとめられており、13世紀せいきには33.5％が上限じょうげんとされていた。

旧約きゅうやく聖書せいしょは「貧者ひんじゃ」と「同胞どうほう」への利子りしを禁きんじているが、申さる命いのち記き23章しょう20節せつでは異邦いほう人じんからは利息りそくを取とってもよいと明言めいげんしており、中世ちゅうせいのユダヤ人じんにとっては異邦いほう人じんたるキリスト教徒きりすときょうとから利子りしを徴収ちょうしゅうしてもトーラーの教おしえに違反いはんしなかった。中世ちゅうせいヨーロッパでは12世紀せいきまで、ユダヤ人じん（および、前述ぜんじゅつのようにキリスト教きりすときょうの修道院しゅうどういん）が消費しょうひのための利子りし付づけ貸付かしつけの大だい部分ぶぶんを担になっており、ユダヤ人じんは高利貸こうりかしのイメージに結むすびつけられた。当時とうじのユダヤ人じんは、農業のうぎょうや職工しょっこうといった生産せいさん活動かつどうに従事じゅうじすることを徐々じょじょに制限せいげんされつつあり、狭せまい地域ちいきの人々ひとびとを相手あいてに利子りし付づけの消費しょうひ貸借たいしゃく契約けいやくを行おこなう金貸かねかしや質屋しちやへと転てんじた（後ごには近世きんせいの商品しょうひん経済けいざいの発展はってんにつれて、広域こういき商取引しょうとりひきに乗のり出だすユダヤ人じんも現あらわれ、諸侯しょこうに資金しきんを提供ていきょうする宮廷きゅうていユダヤ人じんは銀行ぎんこう家いえへと成長せいちょうしていった）。キリスト教徒きりすときょうとの高利貸こうりかしは教会きょうかい法廷ほうていの管轄かんかつとされたため、世俗せぞくの裁判所さいばんしょに引ひき渡わたされる場合ばあいを除のぞき、過酷かこくな刑罰けいばつが科かせられたわけではなかったが、ユダヤ人じんと外国がいこく人じんの高利貸こうりかしは世俗せぞく裁判所さいばんしょの管轄かんかつとされた。13世紀せいきのフランス王おうはユダヤ人じん高利貸こうりかしに対たいして過酷かこくな法令ほうれいを発布はっぷしてこれを抑圧よくあつした。

中世ちゅうせいのカトリック教会きょうかいが禁きんじた徴しるし利りはラテン語らてんごで「ウスラ」 (usura) と呼よばれる。アンブロシウスが「ウスラとは与あたえる以上いじょうに受うけ取とること」と述のべたように、本来ほんらいは、利率りりつの高低こうていの別べつなくあらゆる利息りそく（ラテン語らてんご: faenus）はウスラであった。しかし教会きょうかいによる原則げんそく的てきかつ全面ぜんめん的てきなウスラの禁止きんしは文面ぶんめん上じょうのものにとどまり、実際じっさいに断罪だんざいされたのは度どを越こした高利貸こうりかしのみであった。12世紀せいき以降いこう、徴しるし利りが教会きょうかい法ほうの禁止きんし条項じょうこうに盛もり込こまれたり、スコラ学がくの論題ろんだいとなったことは、教会きょうかいの懸念けねんの表あらわれであり、現実げんじつには利子りし取得しゅとくが信徒しんと間あいだに蔓延まんえんするようになったという事実じじつを反映はんえいしていた。

経済けいざい活動かつどうが活発かっぱつになってくると、利子りしを取とるためのさまざまな抜ぬけ道みちが用もちいられるようになった。たとえば、利息りそく分ぶんを加算かさんした額がくを貸借たいしゃく証書しょうしょにあらかじめ記載きさいしておく、土地とちの売買ばいばいの差額さがくを利子りしとして徴収ちょうしゅうする、などの偽装ぎそう的てきな利子りし徴収ちょうしゅうのやり方かたがあった。聖地せいち巡礼じゅんれい者しゃや貿易ぼうえき商しょうに対たいして国際こくさい的てきな金融きんゆうサービスを提供ていきょうしたテンプル騎士きし団だんは、十字軍じゅうじぐんやフランス王室おうしつにも融資ゆうしを行おこない、利子りしの代かわりに地代じだい (rent) を請求せいきゅうした（換言かんげんすれば、地代じだいという名目めいもくで利子りしを取とった）。やがて商業しょうぎょうの発展はってんとともに、キリスト教徒きりすときょうとの商人しょうにんの中なかから大だい規模きぼな金融きんゆう活動かつどうを行おこなう銀行ぎんこう業者ぎょうしゃが現あらわれた。貿易ぼうえき商しょうにして両替りょうがえ商しょうであるかれらは後期こうき中世ちゅうせいのイタリアの諸しょ都市としで大々的だいだいてきに金融きんゆうを支ささえ、中なかでもメディチ家かはローマ教皇きょうこう庁ちょう御用ごよう商人しょうにんとして財ざいをなし、教皇きょうこう庁ちょうの財政ざいせいを担になうまでになり、多おおくの芸術げいじゅつ家かを支援しえんしてイタリア・ルネサンスの発展はってんに寄与きよした。13世紀せいきに登場とうじょうした新あたらしい両替りょうがえ商しょうたちは、それ以前いぜんの「金貸かねかし」が封建ほうけん領主りょうしゅなどの「消費しょうひ」のために活動かつどうしたのに対たいし、市民しみんから集あつめた資本しほんを、貿易ぼうえき商人しょうにんたちの商品しょうひん購入こうにゅう資金しきんや、工場こうじょう主ぬしたちの設備せつび投資とうしのために、つまり「生産せいさん」と「流通りゅうつう」を対象たいしょうに信用貸しんようがしを行おこなった。北きたイタリアの金融きんゆう業者ぎょうしゃはロンバルディア人ひとと呼よばれ、カオール人ひとと並ならぶ高利貸こうりかしの代名詞だいめいしとなった。

こうしたキリスト教徒きりすときょうとの金融きんゆう業ぎょうが幅はばを利きかせるようになった現実げんじつへの対処たいしょとして、スコラ学がくでは利子りし取得しゅとくを許容きょようするいくつかの条件じょうけんが規定きていされた。例たとえば、返済へんさいが遅延ちえんしたことによって生しょうじる損害そんがいの賠償ばいしょうという名目めいもくで利子りしを徴収ちょうしゅうすることはウスラではなく合法ごうほうとされた（ラテン語らてんごの interesse は名詞めいし化かして損害そんがい賠償金ばいしょうきんの意味いみで用もちいられるようになり、利子りしを意味いみする英語えいごの interest の語源ごげんとなった）。両替りょうがえ商しょうの外国がいこく為替かわせを通つうじた取引とりひきにおいては、利子りしに相当そうとうする差益さえきが生しょうじたが、これはあくまで貨幣かへいの交換こうかんであって禁きんじられた徴しるし利りではないと神学しんがく者しゃたちは弁護べんごした。このように、不当ふとうな利子りしであるウスラと正当せいとうな利子りしとの区別くべつを設もうけることによって、徴しるし利りの禁止きんしは事実じじつ上じょう緩和かんわされた。かくしてウスラは「法外ほうがいな利子りし＝高利こうり」という意味いみを帯おびるようになった。ローマ教皇きょうこう庁ちょうも、税金ぜいきんや給料きゅうりょうを払はらうための「補償ほしょう金きん」という名目めいもくにおいて、利子りしを取とる金融きんゆうを事実じじつ上じょう認みとめることとなった。フランシスコ会かいが貧者ひんじゃ救済きゅうさいを目的もくてきに15世紀せいきに開設かいせつした公益こうえき質屋しちや（モンテ・ディ・ピエタ）も無む利子りしではなく、のちにモンテ・ディ・ピエタの利子りし取得しゅとくは第だい5ラテラノ公こう会議かいぎ（1512年ねん-1517年ねん）で公認こうにんされた。こうして中世ちゅうせい末期まっきまでには、建前たてまえでは禁きんじられていた利息りそくつきの金銭きんせん貸借たいしゃくが現実げんじつには人目ひとめを避さけずに行おこなわれるようになった。

朝鮮半島ちょうせんはんとう

朝鮮半島ちょうせんはんとうでは李り氏し朝鮮ちょうせん時代じだいの初期しょきより内需ないじゅ司しの長利ながとし所しょが農民のうみんに貸かし出だしを行おこない年ねん50％の利子りしをとっていた。なお「長利ながとし」は『年とし5割わりの利子りし』を指さす。成なり宗むねの治世ちせい中ちゅうに560か所しょの長利ながとし所しょを235か所しょに縮小しゅくしょうした。

利息りそくと経済けいざい

経済けいざいと金利きんり

資本しほん主義しゅぎ社会しゃかいにおいては経済けいざい活動かつどうに金融きんゆうは不可欠ふかけつであり、その利率りりつは経済けいざいの動うごきに密接みっせつに関かかわっている。金利きんり水準すいじゅんは一般いっぱんの財ざい・サービスと同様どうよう、需要じゅようと供給きょうきゅうで決きめられる。一般いっぱん的てきには好こう況きょう時じには資金しきん需要じゅようが増加ぞうかするため金利きんりは上昇じょうしょう、不ふ況きょう時じにはその逆ぎゃくで、金利きんりは下降かこうする。

金利きんりは大おおきく短期たんき金利きんりと長期ちょうき金利きんりに分わけられる。1年ねん未満みまんの貸出かしだしに対たいする金利きんりを短期たんき金利きんりといい、銀行ぎんこう間あいだ取引とりひき市場いちば、国庫こっこ短期たんき証券しょうけん、譲渡じょうと性せい預金よきん（CD）などがあり、銀行ぎんこう預金よきん利率りりつの目安めやすにもなっている。1年ねん以上いじょうの金利きんりは長期ちょうき金利きんりといい、新しん発はつ10年ねん物ぶつ国債こくさいの利回りまわりなどが指標しひょうとなっており、住宅じゅうたくローンや企業きぎょう融資ゆうしにおける金利きんりの目安めやすともなっている。長期ちょうき金利きんりは短期たんき金利きんりより変動へんどうリスクの分ぶん高たかくなっていることが多おおく、将来しょうらいの物価ぶっか変動へんどうや経済けいざいの先行さきゆきなどが影響えいきょうを与あたえる。

短期たんき金利きんりは中央ちゅうおう銀行ぎんこうによって誘導ゆうどう可能かのうであるため、政策せいさく金利きんりとして扱あつかわれている。金融きんゆう政策せいさくにおいて政策せいさく金利きんりの設定せっていは非常ひじょうに重要じゅうような位置いちを占しめている。

一般いっぱんに、金利きんりが低ひくければ預金よきんのメリットは低ひくくなり、低利ていりで融資ゆうしを受うけることができるので、投資とうしが増ふえやすくなる。海外かいがいの投資とうし家かからみると金利きんりの低ひくい通貨つうかを保有ほゆうするメリットは少すくないため通貨つうかの価値かちは相対そうたい的てきに下さがり、輸出ゆしゅつが増ふえ輸入ゆにゅうが減へる傾向けいこうになる。投資とうしの活発かっぱつ化かにより景気けいきが向上こうじょうした場合ばあいに、投資とうし対象たいしょうとして通貨つうかが上あがる場合ばあいや将来しょうらいのインフレ率りつが高たかまると予想よそうされて長期ちょうき金利きんりが上あがる場合ばあいもある。

反対はんたいに、金利きんりが高たかくなると、預金よきんのメリットが高たかまり、融資ゆうしを受うけて事業じぎょうに投資とうしするリスクが高たかくなるので、投資とうしが増ふえにくくなる。海外かいがいの投資とうし家かからみると金利きんりの高たかい通貨つうかを保有ほゆうするメリットが多おおいため通貨つうかの価値かちは相対そうたい的てきに上あがり、輸出ゆしゅつが減へり輸入ゆにゅうが増ふえる傾向けいこうになる。そのため過熱かねつした景気けいきを冷さます効果こうかが期待きたいされる。

このような関係かんけいから、政策せいさく金利きんりを引ひき下さげる政策せいさくは緩和かんわ、引ひき上あげる政策せいさくは引ひき締しめと呼よばれる。

なお、金利きんり（利子りし率りつ）と国民こくみん所得しょとくの関係かんけいを記述きじゅつするのに、IS-LM分析ぶんせきが用もちいられる。

金利きんり変動へんどう要因よういん

	金利きんり
	上昇じょうしょう要因よういん	低下ていか要因よういん
景気けいき	好こう況きょう	不ふ況きょう
通貨つうか供給きょうきゅう量りょう	減少げんしょう	増加ぞうか
物価ぶっか	インフレ予想よそう	デフレ予想よそう
国債こくさい発行はっこう高だか	増加ぞうか	減少げんしょう
為替かわせレート	通貨つうか安やす	通貨つうか高だか
金融きんゆう政策せいさく	引ひき締しめ	緩和かんわ

連続れんぞく複利ふくりと元利がんり合計ごうけい

元本がんぽんをa、年利ねんりをpとする。

• まず、預金よきん期間きかんn年とし、年利ねんりpとし、預金よきん期間きかん後ごの元利がんり合計ごうけいを考かんがえる。

元利がんり合計ごうけいは、

$a(1+p)^{n}$

• 付づけ利り期間きかんを1/2年ねん（半年はんとし毎ごと）とし、各かく期きの利率りりつをp/2にしてみる。預金よきん期間きかんn年としの元利がんり合計ごうけいは、

$a((1+p/2)(1+p/2))^{n}=a\left(1+{p \over 2}\right)^{2n}$

• 同様どうように付づけ利り期間きかんを1/3年ねん（4か月げつ毎ごと）、各かく期きの利率りりつp/3の預金よきん期間きかんn年としの元利がんり合計ごうけいは

$a((1+p/3)(1+p/3)(1+p/3))^{n}=a\left(1+{p \over 3}\right)^{3n}$

• 同様どうように付づけ利り期間きかんを1/k年とし、各かく期きの利率りりつp/kの預金よきん期間きかんn年としの元利がんり合計ごうけいは

$a\left(1+{p \over k}\right)^{kn}$

${k \over p}=K$とおくと、この式しきは以下いかの形かたちとなる。

$a\left(1+{1 \over K}\right)^{npK}$

• ここで、分割ぶんかつ期間きかんを無限むげんにする、即すなわちkを無限むげんに大おおきくする。このとき、Kもまた無限むげんに大おおきくなるため次つぎ式しきが成立せいりつする。

$a\lim _{K\rightarrow \infty }\left(1+{1 \over K}\right)^{Knp}=ae^{np}$

以上いじょうの過程かていで得えられた、元本がんぽんa、金利きんりpである金融きんゆうの付づけ利り期間きかんnにおける元利がんり合計ごうけいの計算けいさん式しき$ae^{np}$を連続れんぞく複利ふくり式しきなどと呼よぶ。付づけ利りは、法令ほうれいや契約けいやくによるため、このような金利きんりが形成けいせいされることは、まず考かんがえられないが、離散りさん式しきである金利きんり計算けいさん式しきを連続れんぞく式しきにすることにより、解析かいせき学がく的てき考察こうさつが可能かのうとなるため、数理すうりファイナンスの分野ぶんやにおいて、よく使用しようされる式しきである。なおネイピア数すう（自然しぜん対数たいすうの底そこ、$e$で表あらわされる）は、17世紀せいきのスイス人数にんずう学者がくしゃヤコブ・ベルヌーイが利子りしの複利ふくり計算けいさんにおいて言及げんきゅうしたのが初はじめてのものである。

利息りそくと法律ほうりつ

私法しほう上じょうの利息りそくとその制限せいげん

利息りそく債権さいけん

利息りそく債権さいけんとは、元本がんぽん債権さいけんに基もとづいて借主かりぬしから貸主かしぬしに対たいして利息りそくを給付きゅうふすることを目的もくてきとする債権さいけんをいう。利息りそく債権さいけんは基本きほん的てき利息りそく債権さいけんと支ささえ分ぶん的てき利息りそく債権さいけんとに分わけられる。

基本きほん的てき利息りそく債権さいけんとは、元本がんぽん債権さいけんに基もとづいての存在そんざいを前提ぜんていとしてその存続そんぞく期間きかん全体ぜんたいを通とおして一定いってい利率りりつの利息りそくを生しょうじさせる利息りそく債権さいけんをいう。基本きほん的てき利息りそく債権さいけんは元本がんぽん債権さいけんに対たいして付づけ従したがえ性せいを有ゆうするので、基本きほん的てき利息りそく債権さいけんは元本がんぽん債権さいけんと共ともに成立せいりつ・移転いてん・消滅しょうめつする（成立せいりつにつき大判おおばん大だい6・2・14民みん録ろく23輯158頁ぺーじ、移転いてんにつき大判おおばん大だい10・11・15民みん録ろく27輯1959頁ぺーじ、消滅しょうめつにつき東京とうきょう控ひかえ判ばん大だい5・7・29評論ひょうろん5巻かん商法しょうほう670）。

支ささえ分ぶん的てき利息りそく債権さいけんとは、基本きほん的てき利息りそく債権さいけんに基もとづいて一定いってい期きごとに生しょうじる一定いってい利率りりつの利息りそくを支払しはらうことを内容ないようとする利息りそく債権さいけんをいう。支ささえ分ぶん的てき利息りそく債権さいけんのうち既すでに発生はっせいして具体ぐたい化かしているものについては移転いてん・消滅しょうめつにつき独立どくりつ性せいを有ゆうし、それぞれ元本がんぽん債権さいけんから切きり離はなして譲渡じょうとすることができ、元本がんぽん債権さいけんとは別個べっこに弁済べんさいによりあるいは消滅しょうめつ時効じこうにかかって消滅しょうめつする。

約定やくじょう利息りそくと法定ほうてい利息りそく

約定やくじょう利息りそく（やくじょうりそく）とは当事とうじ者しゃの特約とくやくによって生しょうじる利息りそくをいう。約定やくじょう利息りそくの利率りりつは制限せいげん利息りそくの範囲はんい内ないで定さだめることができるが、利息りそくを付ふす旨むねが定さだめられているにもかかわらず利率りりつの定さだめがない場合ばあいには法律ほうりつに定さだめる法定ほうてい利率りりつによる（大だい判明はんめい29・4・14民みん録ろく2輯4巻かん57頁ぺーじ）。

法定ほうてい利息りそく（ほうていりそく）とは法律ほうりつ上じょうの規定きていに基もとづいて生しょうじる利息りそくをいう。法定ほうてい利息りそくを付ふす場合ばあいには以下いかの場合ばあいがあり、法定ほうてい利息りそくの利率りりつは原則げんそくとして法定ほうてい利率りりつによる。

1. 連帯れんたい債務さいむ者しゃ間あいだの求償きゅうしょう（弁済べんさいその他た免責めんせきがあった日ひ以後いごの法定ほうてい利息りそく、民法みんぽう第だい442条じょう2項こう）
2. 委託いたくを受うけた保証人ほしょうにんの求償きゅうしょう（民法みんぽう第だい459条じょう2項こう、民法みんぽう第だい442条じょう2項こう）
3. 契約けいやく解除かいじょにおける金銭きんせんの返還へんかん（受領じゅりょう時じからの利息りそく、民法みんぽう第だい545条じょう2項こう）
4. 売買ばいばい契約けいやくにおける買主かいぬしの利息りそく支払しはらい義務ぎむ（民法みんぽう第だい575条じょう2項こう）
5. 委任いにん契約けいやくにおける受任じゅにん者しゃの金銭きんせんの消費しょうひについての責任せきにん（民法みんぽう第だい647条じょう）
6. 委任いにん契約けいやくにおける受任じゅにん者しゃによる費用ひよう等とうの償還しょうかん請求せいきゅう（民法みんぽう第だい650条じょう1項こう）
7. 寄託きたく契約けいやくにおける受寄者しゃへの委任いにんの規定きていの準用じゅんよう（民法みんぽう第だい665条じょう）
8. 組合くみあい契約けいやくにおける業務ぎょうむ執行しっこう組合くみあい員いんへの委任いにんの規定きていの準用じゅんよう（民法みんぽう第だい671条じょう）
9. 事務じむ管理かんりにおける委任いにんの規定きていの準用じゅんよう（民法みんぽう第だい701条じょう）
10. 不当ふとう利得りとくにおける悪意あくいの受益じゅえき者しゃの返還へんかん義務ぎむ（民法みんぽう第だい704条じょう）
11. 後見こうけんにおける後見人こうけんにんの被ひ後見人こうけんにんへの返還へんかん金きん及および被ひ後見人こうけんにんから後見人こうけんにんへの返還へんかん金きん等とう（民法みんぽう第だい704条じょう）
12. 財産ざいさん分離ぶんりの請求せいきゅう後ごの相続そうぞく人じんによる管理かんりへの委任いにんの規定きていの準用じゅんよう（民法みんぽう第だい944条じょう2項こう、民法みんぽう第だい650条じょう1項こう）
13. 遺言ゆいごん執行しっこう者しゃへの委任いにんの規定きていの準用じゅんよう（民法みんぽう第だい1012条じょう2項こう、民法みんぽう第だい650条じょう1項こう）
14. 商人しょうにん間あいだにおける金銭きんせん消費しょうひ貸借たいしゃく（商法しょうほう第だい513条じょう1項こう・2項こう）
15. 交互こうご計算けいさんにおける債権さいけん者しゃの利息りそく請求せいきゅう権けん（商法しょうほう第だい533条じょう）
16. 供託きょうたく法ほう上じょうの供託きょうたく金きん（供託きょうたく法ほう3条じょう）

なお、金銭きんせん債務さいむの債務さいむ不履行ふりこう（民法みんぽう第だい419条じょう1項こう）や組合くみあい契約けいやくにおける金銭きんせん出資しゅっしの不履行ふりこうの責任せきにん（民法みんぽう第だい669条じょう）における遅延ちえん損害そんがい金きん（遅延ちえん利息りそく）は、厳密げんみつには利息りそくではなく履行りこう遅滞ちたいによる損害そんがい賠償ばいしょうである。ただ、これらについても法定ほうてい利率りりつ（約定やくじょう利率りりつの場合ばあいもある）の適用てきようがある（民法みんぽう第だい419条じょう1項こう、民法みんぽう第だい669条じょう）。

約定やくじょう利率りりつと法定ほうてい利率りりつ

当事とうじ者しゃ間あいだの契約けいやくまたは慣習かんしゅうによって定さだめられる利率りりつを約定やくじょう利率りりつという。

法律ほうりつ上じょう利息りそくを付ふすものとされている場合ばあいや契約けいやくにおいて利息りそくを付ふす旨むねが定さだめられているにもかかわらず利率りりつの定さだめがない場合ばあいには、法律ほうりつに定さだめる法定ほうてい利率りりつ（ほうていりりつ）によることになる。

• 法定ほうてい利率りりつ
  • 2017年ねん改正かいせいの民法みんぽう（2020年ねん4月がつ1日にち法律ほうりつ施行しこう）で3年ねんごとに法定ほうてい利率りりつを見直みなおす変動へんどう制せいが導入どうにゅうされる。また、2017年ねんの法ほう改正かいせい（2020年ねん4月がつ1日にち法律ほうりつ施行しこう）により従来じゅうらいの民事みんじ法定ほうてい利率りりつ（年とし五ご分ふん、民法みんぽうの旧きゅう404条じょう）と商事しょうじ法定ほうてい利率りりつ（年とし六ろく分ふん、商法しょうほうの旧きゅう514条じょう）の区別くべつは廃止はいしされる。
  • 法定ほうてい利率りりつは年とし3%である（変動へんどう制せい導入どうにゅう時じの法定ほうてい利率りりつ。民法みんぽう404条じょう2項こう）。その後ご、法定ほうてい利率りりつは、法務省ほうむしょう令れいで定さだめるところにより、3年ねんを一いち期きとし、一期いっきごとに変動へんどうする制度せいどとなる（民法みんぽう404条じょう3項こう、2020年ねん4月がつ1日にち法律ほうりつ施行しこう）。
  • 2017年ねん改正かいせいの民法みんぽうで変動へんどう制せいが導入どうにゅうされるのに伴ともない、いつの法定ほうてい利息りそくを適用てきようするか明確めいかくにするための規定きていが設もうけられた（2020年ねん4月がつ1日にち法律ほうりつ施行しこう）。
    • 利息りそくを生しょうずべき債権さいけんについて別段べつだんの意思いし表示ひょうじがないときは、その利率りりつは、その利息りそくが生しょうじた最初さいしょの時点じてんにおける法定ほうてい利率りりつによる（民法みんぽう404条じょう1項こう）。
    • 金銭きんせんの給付きゅうふを目的もくてきとする債務さいむの不履行ふりこうについては、その損害そんがい賠償ばいしょうの額がくは、債務さいむ者しゃが遅滞ちたいの責任せきにんを負おった最初さいしょの時点じてんにおける法定ほうてい利率りりつによって定さだめる。ただし、約定やくじょう利率りりつが法定ほうてい利率りりつを超こえるときは、約定やくじょう利率りりつによる（民法みんぽう419条じょう1項こう）。
  • なお、施行しこう日び前まえに利息りそくが生しょうじた場合ばあいにおけるその利息りそくを生しょうずべき債権さいけんに係かかる法定ほうてい利率りりつについては、新法しんぽう404条じょうの規定きていにかかわらず、なお従前じゅうぜんの例れいによる（平成へいせい29年ねんの民法みんぽう改正かいせい附則ふそく15条じょう1項こう）。
• 供託きょうたく金きん利息りそく

  供託きょうたく金きん利息りそくは年とし0.012%である（供託きょうたく法ほう3条じょう、供託きょうたく規則きそく33条じょう1項こう、2019年ねん10月がつ1日にち現在げんざい）。

制限せいげん利息りそく

法律ほうりつによって請求せいきゅうまたは受領じゅりょうしうるとされる利息りそくの上限じょうげんをいう。借かり入いれの際さいには、借かり手ては多少たしょう高たかい利息りそくを支払しはらってでも借かり入いれをしようとすることが多おおいが、あまりに高たかい利率りりつの定さだめがなされると借かり手ての生活せいかつを破壊はかいする危険きけんがあるため、契約けいやく自由じゆうの原則げんそくの例外れいがいとして規定きていされている。

日本にっぽん法ほう上じょうは基本きほん的てきには利息りそく制限せいげん法ほうによって規定きていされており、元本がんぽんが10万まん円えん未満みまんの場合ばあいは年とし20%、10万まん円えん以上いじょう100万まん円えん未満みまんの場合ばあいは年とし18%、100万まん円えん以上いじょうの場合ばあいは年とし15%、延滞えんたいの損害そんがい金きんは、この1.46倍ばいまでが認みとめられる。これを超こえる部分ぶぶんについて借かり手ては支払しはらいの義務ぎむはないが、貸かし手てが罰ばっせられることもない（但ただし、下記かき出資法しゅっしほうの上限じょうげん金利きんりを上回うわまわっていれば、出資法しゅっしほう違反いはんで罰ばっせられる）。 利息りそく制限せいげん法ほうの他ほかに出資法しゅっしほうによる規制きせいがあり、金融きんゆう業者ぎょうしゃは年とし29.2%（うるう年どしは29.28%とし、1日にちあたり0.08%）以上いじょう、金融きんゆう業者ぎょうしゃ以外いがいは年とし109.5%（うるう年どしは109.8%とし、1日にちあたり0.3%）以上いじょうの利息りそくを受領じゅりょうする行為こういには罰則ばっそくが科かされる。

利息りそく制限せいげん法ほうの利率りりつ上限じょうげんを越こえて出資法しゅっしほうの定さだめる利率りりつまでについては、貸金かしきん業法ぎょうほう43条じょう（いわゆる「みなし弁済べんさい」規定きてい）の規定きていするところにより、借かり手てが任意にんいに支払しはらいをなした場合ばあいには貸かし手てはこれを有効ゆうこうに受領じゅりょうすることが出来できる。多おおくの消費しょうひ者しゃ金融きんゆうがこのみなし弁済べんさい規定きていを利用りようして29%程度ていどの利息りそくを得えている。借かり手ては自己じこに支払しはらい義務ぎむがないことを知しらないのが通常つうじょうであることから、この部分ぶぶんをグレーゾーンであると評ひょうし、出資法しゅっしほう上限じょうげん金利きんりを利息りそく制限せいげん法ほう上限じょうげん金利きんりと同どう水準すいじゅんに引ひき下さげるなど、より明快めいかいになるよう法ほう改正かいせいを求もとめる意見いけんもあり、金融きんゆう庁ちょうの「貸金かしきん業ぎょう制度せいど等とうに関かんする懇談こんだん会かい」で議論ぎろんされている。また、利息りそく制限せいげん法ほうの上限じょうげん金利きんりを上回うわまわる返済へんさいをした借かり手てが、過払かばらい金きんの返還へんかんを求もとめる訴訟そしょうを、各地かくちで起おこしている。

ただし手形てがた売買ばいばいは、融資ゆうしに該当がいとうしないため、実質じっしつ的てきな高利こうりは存在そんざいしている。

税法ぜいほう上じょうの取扱とりあつかい

個人こじんの利子りし

所得しょとく税法ぜいほう上うえの利子りし所得しょとくとは、公社債こうしゃさい及および預貯金よちょきんの利子りし、合同ごうどう運用うんよう信託しんたく、公社債こうしゃさい投資とうし信託しんたく及および公募こうぼ公社債こうしゃさい等とう運用うんよう投資とうし信託しんたくの収益しゅうえきの分配ぶんぱい（利子りし等とうという。）に係かかる所得しょとくとされる（所得しょとく税法ぜいほう23条じょう）。これらは、通常つうじょう租税そぜい特別とくべつ措置そち法ほうにより総合そうごう課税かぜいの対象たいしょうから除のぞかれ、その支払しはらい者しゃである金融きんゆう機関きかんにおいて国税こくぜい15.315%、地方ちほう税ぜい5%の源泉げんせん徴収ちょうしゅう等ひとしを受うけて課税かぜい関係かんけいが終了しゅうりょうする源泉げんせん分離ぶんり課税かぜいと、確定かくてい申告しんこくが可能かのうな申告しんこく分離ぶんり課税かぜいがある。

一方いっぽう、上記じょうきに含ふくまれない利子りし（貸金かしきんから得える利子りしや学校がっこう債さいから得えられる利子りしなど）は、雑ざつ所得しょとくや事業じぎょう所得しょとくに分類ぶんるいされることとなる。

法人ほうじんの利子りし

法人ほうじんにおいては、上記じょうき「利子りし等とう」に係かかる手取てどり額がくは源泉げんせん徴収ちょうしゅう後ご（国税こくぜいのみ）の税引ぜいびき後ご所得しょとくとなる。例たとえば、利子りしの総額そうがくは100であるが、源泉げんせん徴収ちょうしゅうにより手取てどり額がくは84.685となる。これは法人ほうじん税法ぜいほう上うえ次じのいずれかの方法ほうほうで処理しょりすることが認みとめられている（会計かいけい上じょうは、純じゅん額がく表示ひょうじと総額そうがく表示ひょうじのいずれによっても構かまわない）。

1. 手取てどり額がくそのままを所得しょとくとする方法ほうほう（税額ぜいがくの損金そんきん算入さんにゅう方式ほうしき）:所得しょとく84.685
2. 手取てどり額がくに源泉げんせん徴収ちょうしゅう税額ぜいがくを加算かさんした金額きんがくを所得しょとくとし、その源泉げんせん徴収ちょうしゅう税額ぜいがくを法人ほうじん税額ぜいがくから控除こうじょする方式ほうしき（所得しょとく税額ぜいがく控除こうじょ方式ほうしき）:所得しょとく100、法人ほうじん税額ぜいがくから15.315を控除こうじょ

一方いっぽう、その他たの利子りしは、単純たんじゅんに益金えききん（所得しょとく）となる。

脚注きゃくちゅう

関連かんれん項目こうもく

• 実質じっしつ金利きんり
• グレーゾーン金利きんり
• トイチ
• リバー
• スワップ金利きんり
• 資本しほんコスト
  • 加重かじゅう平均へいきん資本しほんコスト
• 不労所得ふろうしょとく

外部がいぶリンク

• 『利子りし』 - コトバンク
• 『金利きんり』 - コトバンク