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次元 - Wikipedia

次元じげん

数学すうがくにおける概念がいねんひと

次元じげん(じげん、えい: Dimension中国ちゅうごく: 維度)は、空間くうかんひろがりをあらわひとつの指標しひょうである。

空間くうかん次元じげんしきてきあらわした

直感ちょっかんてきえば、ある空間くうかんない特定とくてい位置いちししめすのに必要ひつよう変数へんすうかず次元じげんである。たとえば平面へいめんじょう位置いちあらわすには、x座標ざひょうとy座標ざひょう緯度いど経度けいどのような2つの変数へんすう必要ひつようであるから、平面へいめんは2次元じげん空間くうかんである。

dimension訳語やくごとして「次元じげん」という言葉ことばはじめてられたのは、1889ねん藤沢ふじさわとし喜太郎きたろうによる『数学すうがくもちいる英和えいわ対訳たいやく字書じしょ』とわれる[1]

数学すうがく計算けいさんにおいて要素ようそ配列はいれつながさをして次元じげんということもある。

自然しぜん科学かがくにおいては、物理ぶつりりょう自由じゆうとしてかんがえられる要素ようそ度合どあいをい、物理ぶつりてき単位たんい種類しゅるい記述きじゅつするのにもちいられる。

独立どくりつ要素ようそすう 編集へんしゅう

空間くうかん時空じくう 編集へんしゅう

わたしたちの世界せかいともてきには3つのきへのひろがりをもったじつ3次元じげんてき空間くうかんだととらえられる。また、時間じかん一方向いちほうこうてきじつ1次元じげんてき物理ぶつりりょうだとかんがえられ、ニュートン力学りきがくでは空間くうかん時間じかん相互そうご独立どくりつ物理ぶつり概念がいねんとしてあつかわれる。一方いっぽう相対性理論そうたいせいりろんでは光速こうそくつう時間じかん尺度しゃくど空間くうかん尺度しゃくどとはむすびつけられ、符号ふごう(3, 1)の計量けいりょうはいったじつ4次元じげん空間くうかんミンコフスキー空間くうかん)において現象げんしょう記述きじゅつされる。ただし、ミンコフスキー空間くうかんにおいても依然いぜんとして時間じかんじくの3つの空間くうかんじくとは性質せいしつことなるものとしてとらえられることに注意ちゅういしなければならない。

配列はいれつ(プログラム) 編集へんしゅう

コンピュータ言語げんごにおいて添字そえじ指定していできる一連いちれん変数へんすう配列はいれつ配列はいれつ変数へんすう)とうが、ひとつの配列はいれつ独立どくりつして指定していできる添字そえじ個数こすう配列はいれつ次元じげんう。配列はいれつ参照さんしょう

りょう次元じげん 編集へんしゅう

あるりょう体系たいけいふくまれるりょう次元じげんとは、その体系たいけいにおいて独立どくりつ基本きほんりょうべきじょうとしてあらわしたものである。とくに、国際こくさいりょう体系たいけい(ISQ)にもとづく場合ばあいは、独立どくりつ基本きほんりょうとして7つの物理ぶつりりょうさだめられている。

次元じげんろん 編集へんしゅう

数学すうがくでは、次元じげん様々さまざま数学すうがくてき対象たいしょうについてことなる方法ほうほう定義ていぎされている。たとえば、

などがげられる。次元じげん概念がいねん多様たようであるが、基本きほんユークリッド空間くうかん Rn次元じげんn となることであり、局所きょくしょてきRn である空間くうかん次元じげんn一致いっちすることである。

現代げんだいてき次元じげん概念がいねんは、古典こてんてき図形ずけい幾何きかがくがユークリッド空間くうかんないてん集合しゅうごうろんとして一般いっぱんされる19世紀せいきまつから20世紀せいき初頭しょとうけて、ポアンカレブラウワー萌芽ほうがとしてメンガーウリゾーンらのによって可分かぶん距離きょり空間くうかんたいして定式ていしきされた。区別くべつのために被覆ひふく次元じげんばれるこの次元じげん概念がいねんルベーグによれば「可分かぶん距離きょり空間くうかん X任意にんい有限ゆうげんひらけ被覆ひふくたいして高々たかだか次数じすう n + 1 の細分さいぶんがとれるとき、X次元じげん高々たかだか n である」としてべられ、X高々たかだか n 次元じげんかつだかn − 1 次元じげんでないとき Xn 次元じげんであると定義ていぎされる。たとえば被覆ひふく次元じげんが 0 であるというのは、かくてんひらかつ閉なる近傍きんぼうつことであるとべることができる。そして古典こてんてき意味いみ次元じげん n であるユークリッド空間くうかん Rn被覆ひふく次元じげん意味いみでも n 次元じげんになる。

転用てんよう表現ひょうげん 編集へんしゅう

観点かんてん尺度しゃくど 編集へんしゅう

あまりにもかけはなれたかんがかた技量ぎりょう性質せいしつ形容けいようするさいに「次元じげんちがう」と表現ひょうげんすることがある。とくに、りょうちがいではなくしつちがいがあることをして「まったくべつ要素ようそ次元じげん)をれないと理解りかいできない」ということを意味いみすることがおおい。かけはなれていることを意味いみする「次元じげん」は、おおくの場合ばあいで「世界せかい」にえが可能かのうである。(れい: 世界せかいちがう)

世界せかい 編集へんしゅう

SFファンタジーなどの創作そうさく作品さくひんにおいてしばしばもちいられる「次元じげん」は、それぞれの世界せかいはたら根源こんげんてき要素ようそあつまりのことをすことがおおい。てんじて、ある根源こんげんてき要素ようそ基調きちょうとする世界せかいのことも次元じげんしょうされることもある。

根源こんげんてき要素ようそという意味いみ次元じげんには、ある世界せかい存在そんざいしないまったくことなる要素ようそふくまれる。そのような要素ようそっている世界せかいっていない世界せかいとでは、世界せかい仕組しくみやごしかたがまったくことなる。このため、世界せかい根源こんげんをなす要素ようそことなる(次元じげんの)世界せかい同士どうしは、次元じげん世界せかい(またはたんに「次元じげん」)と呼称こしょうされる。たとえば、我々われわれごしている3次元じげん空間くうかん世界せかいでは、空間くうかんないうごくことによって移動いどうおこなわれるが、魔法まほうなどによって移動いどうおこなわれる世界せかいでは、我々われわれごす世界せかい根源こんげんとなる要素ようそおおきくことなっているとかんがえられる。このような場合ばあいにおいて、「双方そうほう世界せかいは、次元じげんである」「双方そうほうは、次元じげん世界せかいである」などと表現ひょうげんする。

また、次元じげん世界せかい次元じげん)という用語ようごは、「ことなった根源こんげんてき要素ようそによる世界せかい」という意味いみ転用てんようとして、別世界べっせかい別天地べってんち空間くうかん世界せかいパラレルワールドなどとほぼ同義どうぎもちいられる。

架空かくう世界せかい架空かくう人物じんぶつ 編集へんしゅう

次元じげんというかたりは、視覚しかくメディアなどで提示ていじされる架空かくう世界せかい現実げんじつ世界せかいから区別くべつする用語ようごとして使用しようされることがある。具体ぐたいてきには、奥行おくゆ情報じょうほうめずに構成こうせいされる架空かくう世界せかいを「2次元じげん世界せかい」、物理ぶつり空間くうかんにおける現実げんじつ世界せかいを「3次元じげん世界せかい」と呼称こしょうすることがある。

また、漫画まんがやアニメーションのキャラクターなど、伝統でんとうてき平面へいめんてきなメディアのうえ視覚しかくされてきたキャラクターを「2次元じげんキャラクター」などとぶことがある。

文字もじコード 編集へんしゅう

文字もじコードにおける次元じげんとは、符号ふごう文字もじ集合しゅうごううち符号ふごうてんを、いくつかのくみけてしめすときのくみかずをいう。

ふるくはEBCDICASCIIしめさいに、そのひょうを16文字もじずつ程度ていど区切くぎって(すなわち、下位かい4ビットとのこりの上位じょういけた、といったふうに)ならべたりするなど、自然しぜんに2次元じげんとしてあつかっていたりしたものであるが、仕様しよう書中しょちゅうにおける記述きじゅつとしてたとえば 'A' のコードを 4/1 といったようにしるしたり、JIS X 0208などで「」「てん」という概念がいねん用語ようご使つかわれるなど、明確めいかく階層かいそうてきなものが使つかわれるようになっていた。一方いっぽうでUnicodeにおいて符号ふごう位置いち(Unicodeにおいて符号ふごうてん用語ようご)をしめ整数せいすう「Unicodeスカラ」は、そのとおり1次元じげんのスカラである。

Unicodeはそのように1次元じげん符号ふごうてん定義ていぎする一方いっぽうで、1980年代ねんだい当初とうしょからUnicode関係かんけいしゃ内外ないがいから指摘してきされていたような理由りゆうにより、漢字かんじにおいて「Three-Dimensional Conceptual Model」というものを導入どうにゅうする必要ひつようしょうじた。つまり、符号ふごう位置いち表現ひょうげんする座標ざひょう次元じげんとは直交ちょっこうするじくがある、というもの(そして現在げんざいでは、漢字かんじ場合ばあい異体いたいセレクタ(Variation Selectors)のひとつであるIdeographic Variation Selectorsでえらばれるもの)である。このような事情じじょうなどもあり、後述こうじゅつするようにISO 10646では次元じげん構造こうぞう強調きょうちょうされることとなった。

このような「くみ」およびそれをもとにした「次元じげん」の概念がいねんは、さまざまな文字もじコードの規格きかくあらわれており、それらの規格きかくしょにおいて、2次元じげん符号ふごう空間くうかん物理ぶつりてきな2次元じげん[注釈ちゅうしゃく 1]で、3次元じげん符号ふごう空間くうかん物理ぶつりてきな3次元じげん使つかって説明せつめいされていることがある。また、かく数字すうじは8ビットにおさまる256以下いか、あるいはその半分はんぶんの128、ISO 2022けいのように96や94のこともある。

ISO/IEC 10646における次元じげん 編集へんしゅう

このような意味いみでの次元じげん概念がいねんもっと整備せいびされたかたち規格きかくしょ明記めいきしているのはISO/IEC 10646である。ISO/IEC 10646の規格きかくしょでは、以下いかのように記述きじゅつされている[2]

  • ISO/IEC 10646の符号ふごう空間くうかん全体ぜんたいは4次元じげん空間くうかんであり、それは128ぐんから構成こうせいされる。
  • ぐんは3次元じげん符号ふごう空間くうかんであり、ひとつのぐんは256めんから構成こうせいされる。
  • めんは2次元じげん符号ふごう空間くうかんであり、ひとつのめんは256から構成こうせいされる。
  • は1次元じげん符号ふごう空間くうかんであり、ひとつのは256てん符号ふごうてん)から構成こうせいされる。

その結果けっかISO/IEC 10646での符号ふごう位置いちは、「ぐんめんてん」の4つの要素ようそから構成こうせいされるがぐんが00ぐんであるときはぐん記述きじゅつを、さらに00ぐんにおいてめんが00めんであるときにはぐんだけでなくめん省略しょうりゃくして表記ひょうきされることがある。ISO/IEC 10646のこのような構造こうぞうはUnicodeをれて大幅おおはば内容ないようわるまえDIS 10646だい1はんからのものである。ISO/IEC 10646の規格きかくしょではこのような構造こうぞう空間くうかんてきさん次元じげんにして説明せつめいくわえており[3][4]各面かくめん詳細しょうさいなコードマップを次元じげんにして説明せつめいくわえている[5][6][7]

ISO/IEC 2022における次元じげん 編集へんしゅう

ISO/IEC 2022に準拠じゅんきょした図形ずけい文字もじ集合しゅうごうには、シングルバイトの文字もじ集合しゅうごう(94文字もじ集合しゅうごうおよび96文字もじ集合しゅうごう)と複数ふくすうバイト文字もじ集合しゅうごうがあるが、複数ふくすうバイト文字もじ集合しゅうごうも、たんいち次元じげんあらわされる巨大きょだい符号ふごう空間くうかん存在そんざいするのではなくは94文字もじ集合しゅうごうまたは96文字もじ集合しゅうごう複数ふくすうわせる構造こうぞうをもっており、これを「次元じげん」とぶことがある。なお、ISO/IEC 2022準拠じゅんきょ文字もじコードのうちCNS 11643JIS X 0213のような複数ふくすうの「めん」をつものは、規格きかく自体じたい複数ふくすうめんつ「さん次元じげん」であるが、ISO/IEC 2022の国際こくさい登録とうろく簿には次元じげん個々ここの「めん」ごとにことなる登録とうろく番号ばんごう登録とうろくされている。

さまざまな文字もじコードにおける次元じげん 編集へんしゅう

  • 以下いかのような数字すうじくみぐんめんてんの4つからなる体系たいけいは4次元じげん文字もじコードとばれる。
  • 以下いかのような数字すうじくみめんてんの3つからなる体系たいけいは3次元じげん文字もじコードとばれる。
  • 以下いかのような数字すうじくみてんの2つからなる体系たいけいは2次元じげん文字もじコードとばれる。マルチバイト文字もじコードのおおくは2次元じげん文字もじコードである。

ASCIIISO/IEC 646のようないわゆるシングルバイト文字もじコードをとくに1次元じげん文字もじコードとぶことがある。

脚注きゃくちゅう 編集へんしゅう

注釈ちゅうしゃく 編集へんしゅう

  1. ^ このようなものは「コードマップ」とばれることがある。

出典しゅってん 編集へんしゅう

  1. ^ 宮崎みやざききょう『4次元じげん図形ずけい百科ひゃっか丸善まるぜん出版しゅっぱん、2020ねん、44ぺーじISBN 978-4-621-30482-2 
  2. ^ 1 国際こくさい符号ふごう文字もじ集合しゅうごう全体ぜんたい構造こうぞう」『JIS X 0221:2007』p.. 7-10
  3. ^ 1 国際こくさい符号ふごう文字もじ集合しゅうごうぜん符号ふごう空間くうかん」『JIS X 0221:2007』p.9
  4. ^ 2 国際こくさい符号ふごう文字もじ集合しゅうごうぐん99」『JIS X 0221:2007』p.10
  5. ^ 基本きほん多言たげんめん概観がいかん」『JIS X 0221:2007』p.41
  6. ^ 用字ようじおよ記号きごうぐんもちいる追加ついか多言たげんめん概観がいかん」『JIS X 0221:2007』p.43
  7. ^ 追加ついか漢字かんじめん概観がいかん」『JIS X 0221:2007』p.44

参考さんこう文献ぶんけん 編集へんしゅう

  • 『JIS X 0202:1998』日本にっぽん規格きかく協会きょうかい(ISO/IEC 2022の国際こくさい一致いっち規格きかく
  • 『JIS X 0221;2007』日本にっぽん規格きかく協会きょうかい(ISO/IEC 10646の国際こくさい一致いっち規格きかく