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ハイドロプレーニング現象 - Wikipedia

ハイドロプレーニング現象げんしょう

みずまった路面ろめんによりくるま運転うんてん制御せいぎょできなくなる現象げんしょう

ハイドロプレーニング現象げんしょう(ハイドロプレーニングげんしょう、えい: hydroplaning)、またはアクアプレーニング現象げんしょうえい: aquaplaning)とは、自動車じどうしゃなどがみずまった路面ろめんなどを走行そうこうちゅうに、タイヤ路面ろめんあいだみずはいみ、摩擦まさつりょくうしなわれること。みずまく現象げんしょうともいう。この状態じょうたいではみず潤滑じゅんかつざいとして作用さようしているため[1]、タイヤと路面ろめんあいだみずりょうるまで、加速かそく操舵そうだ制動せいどうはしる・がる・まる)のすべてが制御せいぎょできなくなる。

ハイドロプレーニングが発生はっせいしている状態じょうたい概念がいねん
ハイドロプレーニングを発生はっせいしている車両しゃりょう

なお、パワーボート(ハイドロプレーンふくむ)プレジャーボートなどでの高速こうそく走行そうこうにおいて、船底ふなそこおおくを水面すいめんうえし、みず抵抗ていこう軽減けいげんするはしほうも「ハイドロプレーニング」、またはたんに「プレーニング」とばれる。

タイヤのみぞパターンの最適さいてき[2][3]路面ろめん排水はいすい性能せいのうたかめた排水はいすいせい舗装ほそう透水とうすいせいアスファルト舗装ほそう)の採用さいよう[4][5]などにより、ハイドロプレーニング現象げんしょう抑制よくせい可能かのうである。

原因げんいん 編集へんしゅう

ハイドロプレーニング現象げんしょうは、路面ろめんまったみずりょうがタイヤの排水はいすい能力のうりょくえた場合ばあい発生はっせいする。当該とうがい現象げんしょう発生はっせいする臨界りんかい速度そくどは、負荷ふか荷重におもとは無関係むかんけいでタイヤの空気圧くうきあつ依存いぞんするとする研究けんきゅうがある[6]具体ぐたいてきには、以下いかのような状況じょうきょう発生はっせいしやすい。

タイヤの磨耗まもう
磨耗まもうしてみぞあさくなることで、タイヤの排水はいすいせいわるくなり、タイヤと路面ろめんあいだみず排水はいすいしきれなくなる。同様どうよう状況じょうきょうみぞ内部ないぶすな小石こいしゆきなどの異物いぶつはいむことでも発生はっせいする。
水量すいりょう増加ぞうか
路面ろめんまったみずりょうおおく、タイヤのみぞでは排水はいすいしきれなくなり、タイヤと路面ろめんあいだみずのこる。
タイヤの空気圧くうきあつ不足ふそく
タイヤの空気圧くうきあつ不足ふそくからタイヤと路面ろめん接地せっち面積めんせきおおきくなり、接地せっちあつ低下ていかすることでタイヤと路面ろめんあいだみず排水はいすいしきれなくなる。
スピードのしすぎ
高速こうそく走行そうこうちゅう水溜みずたまりにむと、みずねばたびためにタイヤの排水はいすい能力のうりょくいつかなくなり、タイヤと路面ろめんあいだみずのこる。おなじく高速こうそく走行そうこうはなれたい気流きりゅう強風きょうふうなどの影響えいきょう発生はっせいする上向うわむきモーメントリフト)との相乗そうじょう効果こうかによって水溜みずたまりにげる場合ばあいもある。
タイヤ回転かいてん方向ほうこうあやま装着そうちゃく
タイヤ(トレッドパターン)の回転かいてん方向ほうこう指定していがある場合ばあいあやまってぎゃくきに装着そうちゃくすると排水はいすいいつかなくなる。

対処たいしょ方法ほうほう 編集へんしゅう

完全かんぜんにこの状態じょうたいになってしまうとくるまのコントロールがまったかなくなるので運転うんてんしゅ出来できることはなく、この状態じょうたい解消かいしょうされるまできにまかせるほかはい。

摩擦まさつ係数けいすう極端きょくたんひく路面ろめん凍結とうけつおなじように、きゅう操作そうさもスピンにおちい可能かのうせいがあるため、ハンドルをきちんと保持ほじしたままアクセルペダルからゆっくりあしはなし、タイヤの摩擦まさつりょく回復かいふくするまでなにもしないほうい。

なお、飛行機ひこうき着陸ちゃくりくとき滑走かっそう湿しめっている場合ばあい、タイヤを滑走かっそうつよてて着陸ちゃくりくすることで、ハイドロプレーニング現象げんしょうふせいでいる[7]

出典しゅってん 編集へんしゅう

脚注きゃくちゅう 編集へんしゅう

  1. ^ 小石こいし正隆まさたか横浜よこはまゴム株式会社かぶしきがいしゃ) (2003ねん4がつ). “7/21ページ タイヤのハイドロプレーニング現象げんしょう計算けいさん力学りきがく 3.タイヤのハイドロプレーニング現象げんしょう” (PDF). 日本にっぽん機械きかい学会がっかい計算けいさん力学りきがく部門ぶもん. 2021ねん5がつ24にち閲覧えつらん
  2. ^ 加部かべ和幸かずゆき,「タイヤ工業こうぎょうにおけるシミュレーション技術ぎじゅつについて」『日本にっぽんふくあい材料ざいりょう学会がっかい』 Vol.27 (2001) No.1 p.40-48
  3. ^ ろう昇司しょうじ, 「FEMとFVMによる路面ろめんとタイヤのれんなり解析かいせき」『日本にっぽんゴム協会きょうかい」 Vol.80 (2007) No.4 p.159-162
  4. ^ 吉中よしなかたもつ, 根本ねもと信行のぶゆき, 幸田こうだ正裕まさひろ, 「透水とうすいせいアスファルト舗装ほそう車道しゃどうへの適用てきようかんする検討けんとう」『舗装ほそう工学こうがくろん文集ぶんしゅう』 Vol.5 (2000) p.47-52
  5. ^ 竹本たけもと恒行つねゆき, 「高速こうそく道路どうろにおける排水はいすいせい舗装ほそう現況げんきょう課題かだい」『土木どぼく学会がっかいろん文集ぶんしゅう』 Vol.1994 (1994) No.484 p.1-9, 日本にっぽんこんしょうりゅう学会がっかい
  6. ^ 中島なかじま幸雄ゆきお, 「特集とくしゅう移動いどう輸送ゆそうこんしょうりゅう(2) タイヤのハイドロプレーニングについて」『こんしょうりゅう』 2013ねん 27かん 2ごう p.102-109
  7. ^ 飛行機ひこうきが「ドスンと着陸ちゃくりくする」のはむしろ高度こうどわざ? はやし先生せんせい解説かいせつ話題わだいに”. しらべえ (NEWSY). (2017ねん12月4にち). https://sirabee.com/2017/12/04/20161398588/ 2017ねん12月11にち閲覧えつらん 

ハイドロプレーニング現象げんしょうによる事故じこ 編集へんしゅう

関連かんれん項目こうもく 編集へんしゅう

外部がいぶリンク 編集へんしゅう

  • リーキム リョン, うらあきら, 川添かわぞえつよしハイドロプレーニングにかんするいち実験じっけん」『長崎大学ながさきだいがく工学部こうがくぶ研究けんきゅう報告ほうこくだい29かんだい53ごう長崎大学ながさきだいがく、1999ねん、187-191ぺーじISSN 0286-0902 
  • 鈴木すずきただしハイドロプレーニング現象げんしょう可視かし技術ぎじゅつ」『日本にっぽんゴム協会きょうかいだい74かんだい4ごう日本にっぽんゴム協会きょうかい、2001ねん、154-158ぺーじdoi:10.2324/gomu.74.154ISSN 0029022X 


  1. ^ ASN Aircraft accident Boeing RC-135S Rivet Ball 59-1491 Shemya AFB, AK (SYA)
  2. ^ ジュール・ビアンキ、事故じこ衝撃しょうげきは254G”. f1-gate.com (2015ねん7がつ23にち). 2022ねん12がつ10日とおか閲覧えつらん
  3. ^ 【F1レーサーの死亡しぼう事故じこ】その原因げんいん事故じこかされた安全あんぜん対策たいさくとレギュレーション変更へんこう | MOBY [モビー]”. MOBY(モビー)しゃはおもしろい!をとどける自動車じどうしゃ情報じょうほうメディア (2020ねん4がつ25にち). 2022ねん12がつ10日とおか閲覧えつらん