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ブレーキ - Wikipedia

ブレーキ

うごきをめる装置そうち

ブレーキ (Brake) は、移動いどうする物体ぶったい減速げんそく、あるいは停止ていしおこな装置そうちである。これらの動作どうさ制動せいどうぶため、制動せいどう装置そうちともいわれる。

自転車じてんしゃ自動車じどうしゃオートバイ鉄道てつどう車両しゃりょう航空機こうくうきエレベーター競技きょうぎようソリボブスレー)、クレーンなど、ものかぎらず、およそうごくものにはおおむね搭載とうさいされている。また、高速こうそく回転かいてんぶつゆうしたり(洗濯せんたくのドラムなど)、精密せいみつ停止ていし制御せいぎょ必要ひつよう機械きかいるいなどにも、ブレーキをつものがある。

また、原義げんぎからてんじて、変化へんか抑制よくせいする意味いみ単語たんごとしてももちいられる(「景気けいきにブレーキがかかる」など)。

自動車じどうしゃようブレーキのいちれいランボルギーニ・ムルシエラゴブレンボせいディスクブレーキ)

機構きこう 編集へんしゅう

移動いどう速度そくどげんじるために運動うんどうエネルギー減少げんしょうさせる方法ほうほうにより、摩擦まさつによりねつエネルギー変換へんかんするもの(機械きかいてきブレーキ)、電気でんきエネルギー変換へんかんしてその電気でんきエネルギーをなんらかのかたち消費しょうひするもの(うず電流でんりゅうブレーキ電磁でんじしきリターダ回生かいせいブレーキ発電はつでんブレーキ)、流体りゅうたい運動うんどう抵抗ていこう利用りようしたもの(そらりょくブレーキ流体りゅうたいしきリターダ)などに分類ぶんるいされる。

車輪しゃりんゆうするものでは、踏面ブレーキ使用しよう可能かのう鉄道てつどう車両しゃりょうべつにすると、機械きかいてきブレーキとしてディスクブレーキドラムブレーキ使用しようするれいおおい。これらは車軸しゃじくまたは車輪しゃりんない回転かいてんばん(ディスクローター)または円筒えんとう(ドラム)をとりつけ、これらに摩擦まさつ抵抗ていこうあたえることで制動せいどう作用さようるものである。ドラムブレーキは制動せいどうりょく拘束こうそくりょくすぐれ、かる安価あんかつくれるのにたいし、ディスクブレーキはひろ速度そくどいき温度おんどいき)で制動せいどうりょく安定あんていしているといった長所ちょうしょがある。くわしくはそれぞれの項目こうもく参照さんしょうのこと。

そらりょくブレーキは、宇宙うちゅう航空機こうくうき一部いちぶ競技きょうぎよう自動車じどうしゃリニアモーターカー新幹線しんかんせん試験しけん車両しゃりょうなどの高速こうそく鉄道てつどう車両しゃりょう利用りようされるドラッグシュートスポイラーといった、機体きたい車体しゃたい外部がいぶ大気たいきたいして作用さようするものである。

自動車じどうしゃ 編集へんしゅう

自動車じどうしゃようブレーキの場合ばあい現代げんだいではブレーキペダルあし操作そうさするので、フットブレーキともばれる。乗用車じょうようしゃではえきあつ動作どうさするものがだい多数たすうとなっているが、大型おおがた自動車じどうしゃでは圧縮あっしゅく空気くうきもちいたエアブレーキ主流しゅりゅうである。自動車じどうしゃでは駐車ちゅうしゃとき車両しゃりょう保持ほじするための駐車ちゅうしゃブレーキもあるが、これは走行そうこう使つかわれるブレーキとは機構きこう目的もくてきどもことなる。一般いっぱん使つかって操作そうさすることからハンドブレーキ、またはブレーキレバーの位置いちからサイドブレーキとばれていたが、あしむタイプやスイッチ操作そうさなどで電動でんどうでロックするタイプも開発かいはつされ、そうじてパーキングブレーキばれている。

制動せいどう機構きこうとしては、スポーツカー高級こうきゅうしゃではディスクブレーキ大型おおがた自動車じどうしゃドラムブレーキ大衆たいしゅうしゃ軽自動車けいじどうしゃでは前輪ぜんりんにディスクブレーキ、こうにドラムブレーキを使用しようすることがおおい。これらの機械きかいてきブレーキは、たいフェードせいもとめられる場合ばあいにはベンチレーテッドディスク、停車ていしゃ駐車ちゅうしゃ拘束こうそくりょく必要ひつよう場合ばあいはドラムブレーキやドラムインディスク、といった具合ぐあいに、使用しよう環境かんきょう車両しゃりょうそう重量じゅうりょう生産せいさんコスト、利益りえきりつなどの条件じょうけん勘案かんあんして選択せんたく採用さいようされる。

また摩擦まさつ以外いがい減速げんそくそもそもそく機構きこうである、エンジンブレーキディーゼル自動車じどうしゃとく大型おおがたしゃ)の排気はいきブレーキ圧縮あっしゅく開放かいほうブレーキリターダ、およびハイブリッドカー電気でんき自動車じどうしゃ(BEV)の回生かいせいブレーキ(減速げんそく発生はっせいする電力でんりょくをバッテリーに充電じゅうでんする)もブレーキであり、一部いちぶ機械きかいてきブレーキと協調きょうちょう制御せいぎょされて運転うんてんしゃ機械きかいてきブレーキ以外いがい意識いしきさせないようにしている。

オートバイ(二輪車にりんしゃ 編集へんしゅう

オートバイのブレーキは前輪ぜんりんこう別々べつべつ操作そうさするものが一般いっぱんてきだが、大型おおがたツアラー小型こがたスクーター中心ちゅうしんに、機械きかいてきまた電子でんしてき制御せいぎょされた前後ぜんご連動れんどうブレーキを採用さいようした車種しゃしゅもある。前後ぜんごべつのブレーキの場合ばあい前輪ぜんりんブレーキは右手みぎてで、こうブレーキは右足みぎあし左手ひだりて操作そうさする。

制動せいどう機構きこうとしては、おもにスポーツしゃ大型おおがた車種しゃしゅ中心ちゅうしん前後ぜんごにディスクブレーキが、小型車こがたしゃ実用じつようしゃのちまたは前後ぜんごにドラムブレーキが使用しようされるのが一般いっぱんてきだが、ブレーキの種類しゅるい外観がいかんあたえる影響えいきょうおおきい(ドラムブレーキは旧式きゅうしき廉価れんかばんてい性能せいのうとみられやすい)ため、例外れいがいおお存在そんざいする。四輪よんりんしゃ比較ひかくしてくるまじゅうかるいために発熱はつねつりょうちいさく、ディスクローターも露出ろしゅつしていてふうたりやすいことから冷却れいきゃくおおきな問題もんだいとならないため、重量じゅうりょうのかさむベンチレーテッドディスクは通常つうじょうもちいられない。

パーキングブレーキは、ギアをN以外いがいれる方法ほうほうやセンタースタンドで容易ようい代用だいようできる車種しゃしゅでは装備そうびしておらず、センタースタンドをてるのに苦労くろうするほどの重量じゅうりょうしゃや、スクーターなかでも配達はいたつ業務ぎょうむ外回そとまわりで頻繁ひんぱんりされる想定そうてい実用じつようしゃ快適かいてきせい重視じゅうししたビッグスクーターにかぎって装備そうびされる。

鉄道てつどう 編集へんしゅう

現代げんだい鉄道てつどう車両しゃりょうでは、車輪しゃりん制動せいどうりょくあたえる機械きかいてきブレーキとしては、車輪しゃりん線路せんろとの接触せっしょくめん直接ちょくせつブレーキシューをてる踏面ブレーキやディスクブレーキが一般いっぱんもちいられる。また、ブレーキを機能きのうさせるための制御せいぎょ駆動くどうシステムを構成こうせいするものとしては、通常つうじょう自動じどう空気くうきブレーキあるいはその基本きほん原理げんり応用おうようする非常ひじょうブレーキ装置そうち搭載とうさいされる。

電動でんどう動力どうりょくげんとする電車でんしゃ電気でんき機関きかんしゃ、ハイブリッド方式ほうしき気動車きどうしゃなどでは、制御せいぎょ回路かいろえにより電動でんどう発電はつでんとして制動せいどうりょく発電はつでんブレーキ(発生はっせい電力でんりょく車載しゃさい抵抗ていこう消費しょうひ)や回生かいせいブレーキ(発生はっせい電力でんりょく架線かせんやバッテリーなどにもどしてさい利用りよう)を採用さいようし、機械きかいてきなブレーキの常用じょうようによるタイヤ温度おんど上昇じょうしょうへん摩耗まもう抑止よくしすることが一般いっぱんてきとなっている。

なお、連結れんけつ運転うんてんおこなわない路面ろめん電車でんしゃではもっとも原始げんしてき空気くうきブレーキ機構きこうである直通ちょくつうブレーキ機械きかいてきブレーキの制御せいぎょおよび駆動くどう採用さいようすることもある。また、かつては機械きかいてきブレーキとしてドラムブレーキを採用さいようするケースが路面ろめん電車でんしゃ中心ちゅうしんられ、またかくブレーキと併用へいようするかたち常用じょうようブレーキとしてブレーキ搭載とうさい標準ひょうじゅんとなっていたが、近年きんねんではいずれも採用さいようれい事実じじつじょう皆無かいむとなっている。

急峻きゅうしゅん山岳さんがくせんけなどでは非常ひじょうようとしてブレーキシューを直接ちょくせつ線路せんろしつけるレールブレーキが搭載とうさいされることがある。

高速こうそく鉄道てつどう車両しゃりょう特徴とくちょうてきなブレーキとしては、電動でんどう搭載とうさいしない新幹線しんかんせん付随ふずいしゃなどで発電はつでんブレーキや回生かいせいブレーキの代用だいようとして搭載とうさいされるうず電流でんりゅうしきディスクブレーキや、ドイツの高速こうそく鉄道てつどう車両しゃりょうICE3装備そうびされたうず電流でんりゅうしきレールブレーキといった、接触せっしょくのブレーキがある。

航空機こうくうき 編集へんしゅう

 
エアバスA330A340使用しようされるいたがたブレーキ
炭素たんそ繊維せんい強化きょうか炭素たんそふくあい材料ざいりょうせい複数ふくすうのローター・プレートとステーター・プレートがたがちがいでかたちになっており、ローター・プレートにはタイヤホイールなかけられているキー固定こていされるキーみぞもうけられており(凹凸おうとつがある形状けいじょうのローター)、ブレーキをかるとき右側みぎがわけてあるハウジング(しろ物体ぶったい)にこうあつ作動さどうはいむことにより発生はっせいする油圧ゆあつによって、ピストン(ハウジングからでている物体ぶったい)がうごき、ステーター・プレートとローター・プレートをけることによりブレーキが作動さどうする

航空機こうくうき場合ばあい当然とうぜんのことながら車輪しゃりんとレールや道路どうろとの摩擦まさつによりはし鉄道てつどうくるまとはちがうため、飛行ひこうちゅう減速げんそくにはスロットル調整ちょうせいのほか、機動きどうりょく重視じゅうしされる戦闘せんとうなどではエンジン出力しゅつりょくとすことなく減速げんそくする必要ひつようがあるため、そらりょくブレーキである胴体どうたい主翼しゅよく上面うわつらけられたパネル・ブレーキ(旅客機りょかくきでは主翼しゅよく上面うわつらけられたパネル・ブレーキはスポイラーとぶ)をもちいることがおおい。空気くうき抵抗ていこう速度そくどじょう比例ひれいするため、高速こうそく飛行ひこうする航空機こうくうきには非常ひじょう都合つごうのいいブレーキである。ぎゃくに、着陸ちゃくりく滑走かっそう走行そうこうしているときそらりょくブレーキだけでは停止ていしできないため、旅客機りょかくきなどでジェットエンジンを搭載とうさいしている機体きたいぎゃく推力すいりょく装置そうちによるぎゃく噴射ふんしゃ同時どうじ[注釈ちゅうしゃく 1]車輪しゃりん内蔵ないぞうされたディスクブレーキによりタイヤ地面じめんとの摩擦まさつによって減速げんそくする[注釈ちゅうしゃく 2]。ディスクブレーキにはたんいたがたそういたがた(2まいのディスクをつ)といたがた複数ふくすうのローター・プレートとばれるタイヤのホイールのなか取付とりつけられているキー固定こていされて一緒いっしょ回転かいてんするブレーキ・ディスクとブレーキ本体ほんたい取付とりつけられて固定こていされているステーター・プレートとばれるブレーキ・ライニングばんびょうちされたプレートがあり、この2つがたがちがいにわされている。)とがあり、大型おおがた使用しようされているいたがたのディスクブレーキは、ブレーキをけるさい動力どうりょくげんとして、エンジン駆動くどう油圧ゆあつポンプによる、こうあつ作動さどう系統けいとうからの油圧ゆあつ使用しようしており[注釈ちゅうしゃく 3]、セグメンテッド・ロータがたブレーキとばれている。また最近さいきん大型おおがたいたがたのディスクブレーキのロータ・プレートとステーター・プレートには炭素たんそ繊維せんい強化きょうか炭素たんそふくあい材料ざいりょう使用しようされており軽量けいりょうはかられている。

戦闘せんとうみじか滑走かっそう着陸ちゃくりくするときや、スペースシャトル着陸ちゃくりくするとき使つか減速げんそくようパラシュート(ドラッグシュート)もそらりょくブレーキの1つである。

ロケット 編集へんしゅう

ロケット地面じめんとの摩擦まさつ空気くうき抵抗ていこうのない宇宙うちゅう空間くうかん飛行ひこうするため、航空機こうくうきのようなそらりょくブレーキも使つかえない(ただし、地上ちじょうすうひゃくkm程度ていど地球ちきゅうてい軌道きどうでは大気たいきすくなからず存在そんざいするため、空気くうき抵抗ていこうすうげつすうねんなど長期間ちょうきかん飛行ひこうでは無視むしできない)。そのためおおくのロケットは小型こがたぎゃく噴射ふんしゃエンジン装備そうびし、軌道きどう半径はんけいちぢめる場合ばあい使用しようしている。

大気圏たいきけんさい突入とつにゅうするさい高度こうどちるととも空気くうき抵抗ていこうおおきくなり、着陸ちゃくりくにはおもにパラシュートをもちいる。大気たいきがない、または希薄きはく天体てんたいではパラシュートとう使つかえないため、着陸ちゃくりくするまで一貫いっかんしてぎゃく噴射ふんしゃエンジンで減速げんそくする。

自転車じてんしゃ 編集へんしゅう

ブレーキの種類しゅるい 編集へんしゅう

電動でんどう 編集へんしゅう

電動でんどうそのものを使つか制動せいどうりょく方法ほうほうしるす。

発電はつでん制動せいどう
電動でんどう発電はつでんとしてもちいるブレーキである(発電はつでんブレーキ)。直流ちょくりゅう電動でんどうにおいてしん性能せいのう電車でんしゃをはじめ、ふるくからもちいられてきたブレーキである。ブレーキりょく制御せいぎょおも電力でんりょく消費しょうひさせる抵抗ていこう抵抗ていこう増減ぞうげんによりねつエネルギーとして放出ほうしゅつする。抵抗ていこう消費しょうひさせるわりに電源でんげんがわおくかえすのをとく回生かいせい制動せいどうぶ。誘導ゆうどう電動でんどうにおいて同期どうき速度そくどより回転子かいてんし回転かいてん速度そくどはや場合ばあい誘導ゆうどう発電はつでんとしてはたらくことを利用りようし、可変かへん電圧でんあつ可変かへん周波数しゅうはすう制御せいぎょにおいて電動でんどう供給きょうきゅうする周波数しゅうはすうげ、抵抗ていこう発電はつでんした電力でんりょく消費しょうひさせるかもしくは、コンバーターをかい電源でんげんがわおくかえ制御せいぎょ減速げんそくられる。この制御せいぎょおこなうとき、すべり sが s ≦ 0 となるよう供給きょうきゅうする周波数しゅうはすう調整ちょうせいするが、低速ていそくいきでは効果こうかがなくなる。永久えいきゅう磁石じしゃく同期どうき電動でんどう場合ばあいつねにすべりを0にたもつよう固定こてい供給きょうきゅうする電流でんりゅう調整ちょうせいしなければならないが、ごく低速ていそくいきまで発電はつでん制動せいどうおこなうことができる。
直流ちょくりゅう制動せいどう
誘導ゆうどう電動でんどう固定こてい直流ちょくりゅう電流でんりゅう周波数しゅうはすうが0 Hz交流こうりゅう)をながすことにより、負荷ふか短絡たんらくした回転かいてん電機でんきがた同期どうき発電はつでんとして運動うんどうエネルギーを回転子かいてんしのジュールねつ変換へんかんするブレーキである[1]制動せいどうりょく誘導ゆうどう電動でんどう起動きどうトルク相当そうとうであり、かごがたさんそう誘導ゆうどう電動でんどう場合ばあい低速ていそくから停止ていしいた速度そくどいき制動せいどうりょく発揮はっきできる。まき線形せんけいさんそう誘導ゆうどう電動でんどう場合ばあい抵抗ていこうやし、外部がいぶ接続せつぞくした抵抗ていこうによって回転子かいてんししょうじた電力でんりょくねつエネルギーに変換へんかんできるため直流ちょくりゅう制動せいどういきやすことができ広範囲こうはんい速度そくどいきにおいて制動せいどうりょく発揮はっきできる。とくにクレーンにおいては直流ちょくりゅう制動せいどうのことをダイナミックブレーキとも[2]永久えいきゅう磁石じしゃく同期どうき電動でんどうにおいては停止ていし直前ちょくぜんでないと過大かだい電圧でんあつ固定こていさそえおこされインバータ素子そし破壊はかいするか、モーターの過熱かねつにより内部ないぶ永久えいきゅう磁石じしゃくげん磁をまねくため停止ていし速度そくど近辺きんぺんでのみ使用しようする。いずれにおいても制動せいどうトルクは高々たかだか電動でんどう起動きどうトルク相当そうとうにとどまり、回転子かいてんしをロックできないため単独たんどくでは使用しようできず摩擦まさつブレーキを併用へいようしなければならない。
ぎゃくしょう制動せいどう
プラッギングともいう[3]さんそう誘導ゆうどう電動でんどうにおいてさんそう交流こうりゅう任意にんいそうえると磁界じかい回転子かいてんしとはぎゃくきに回転かいてんすることを利用りようしたブレーキである。停止ていし速度そくど近辺きんぺんにおいておおきな制動せいどうりょくられ、かつ、0rpmでも制動せいどうりょくられる。しかしながらプラッギングは発電はつでんになったモーターにたいぎゃく電圧でんあつ供給きょうきゅうすることにひとしいため投入とうにゅうする電流でんりゅう制限せいげんせざるをず、通常つうじょう回転かいてんいきでは始動しどうトルクよりひく制動せいどうトルクしかられないためしょう容量ようりょうのモーターにしか適用てきようできない。またそのままではぎゃく回転かいてんいたるため停止ていし寸前すんぜんにおいては摩擦まさつブレーキとう機械きかいてきなブレーキ機構きこう制御せいぎょわた電動でんどう電源でんげん供給きょうきゅうたなければならない。また同期どうき電動でんどう同期どうき速度そくどでしかトルクをず、回転かいてん磁界じかい回転子かいてんしいてけなければだっ調ちょうこし回転かいてん不安定ふあんていになるためプラッギングは無効むこうである。

なお電動でんどう同軸どうじく機械きかいしきブレーキやそののブレーキがまれていることもあり(ブレーキモーター)、かく方面ほうめん活用かつようされている。

接触せっしょくブレーキ 編集へんしゅう

うず電流でんりゅうブレーキ
回転かいてんじく導電性どうでんせいのディスクまたは円筒えんとうけ、それを電磁石でんじしゃくはさむようにする。電磁石でんじしゃく直流ちょくりゅう励磁れいじした状態じょうたいでディスクが回転かいてんすると、うず電流でんりゅうによって回転かいてん方向ほうこうとはぎゃくきのトルクがしょうじる[2][4]ことを利用りようしたブレーキである。うず電流でんりゅうブレーキは回転かいてん速度そくどがるとともに制動せいどうトルクががるが、電磁石でんじしゃくもちいることにより低速ていそくまでブレーキりょく発揮はっきできる。うず電流でんりゅうブレーキはディスクまたは円筒えんとうジュールねつとしてエネルギーを吸収きゅうしゅうするためなんらかの熱処理ねつしょり機構きこう必要ひつようとする。高速こうそく鉄道てつどうもちいるうず電流でんりゅうしきディスクブレーキではディスクを中空ちゅうくうにしラジアル方向ほうこう空気くうきがす構造こうぞうにしたベンチレーテッドディスクや、ドラム構造こうぞう強制きょうせい通風つうふうにより冷却れいきゃくする構造こうぞうられている[5]欠点けってんとしては、うず電流でんりゅう発生はっせいさせる磁界じかいつく強力きょうりょく電磁石でんじしゃく近接きんせつさせる必要ひつようがあるため重量じゅうりょうがかさみ価格かかく高価こうかになる。大型おおがた自動車じどうしゃ牽引けんいん自動車じどうしゃにも電磁でんじしきリターダ装着そうちゃくれいがあるが、強力きょうりょく電磁石でんじしゃく供給きょうきゅうするオルタネーターやバッテリーの強化きょうか必要ひつようである。一定いってい磁界じかいでいいことから強力きょうりょくネオジム磁石じしゃくわりにもちいた適用てきようれいがあり[6]リターダとしても能力のうりょくかぎられるが小型こがた軽量けいりょうでコストも手頃てごろなことから日本にっぽんにおいては採用さいようれいえている。なお磁界じかい発生はっせいげん永久えいきゅう磁石じしゃくであるため作動さどう永久えいきゅう磁石じしゃく磁力じりょくせんがす工夫くふうがされている。

歴史れきし 編集へんしゅう

鉄道てつどう 編集へんしゅう

客車きゃくしゃ貨車かしゃ馬車ばしゃ技術ぎじゅつ援用えんようして出発しゅっぱつしたという歴史れきしてき経緯けいいから、当初とうしょ機械きかいてきブレーキをテコの原理げんりひと直接ちょくせつ操作そうさするブレーキがもちいられた。また蒸気じょうき機関きかんしゃではくるまられる蒸気じょうき利用りようする蒸気じょうきブレーキ使用しようされ、連結れんけつ運転うんてんにはかく車両しゃりょうブレーキマンばれる操作そうさ要員よういん配置はいちしてブレーキを操作そうさしていた。しかし編成へんせい長大ちょうだいともな緊急きんきゅう操作そうさ遅延ちえん指令しれい伝達でんたつ、ブレーキりょく不足ふそくといった問題もんだい表面ひょうめんし、運転うんてんだいから総括そうかつ指令しれい可能かのう貫通かんつうブレーキの開発かいはつすすめられるようになった。

当時とうじ蒸気じょうき機関きかんしゃ動力どうりょくしゃであったこともあり、もっと簡便かんべんにブレーキの動力どうりょくげん確保かくほ可能かのう真空しんくうブレーキが1860年代ねんだいイギリス実用じつようされる。つづいて1868ねんにはアメリカジョージ・ウェスティングハウスによって圧縮あっしゅく空気くうき使用しようする直通ちょくつうブレーキ発明はつめいされた。しかし、これらは連結れんけつ破損はそんとうによる列車れっしゃ分離ぶんり事故じこやブレーキホース・ブレーキかんだんきれなどによって空気くうき漏洩ろうえいすると編成へんせい全体ぜんたいのブレーキりょく低下ていか、または完全かんぜんられなくなり安全あんぜんせい深刻しんこく問題もんだいがあった。

この問題もんだい1872ねんにジョージ・ウェスティングハウスが自動じどう空気くうきブレーキ発明はつめいしたことで解決かいけつられた。これは編成へんせい全体ぜんたいとおされた1ほんのブレーキかん圧縮あっしゅく空気くうき供給きょうきゅうし、その減圧げんあつ操作そうさかく車両しゃりょうへブレーキ動作どうさ指令しれいする画期的かっきてきなシステムである。ブレーキホースがだんきれすれば空気くうき漏洩ろうえいによって自動的じどうてきにブレーキが動作どうさするため、長大ちょうだい編成へんせい運行うんこう保安ほあんせい飛躍ひやくてき向上こうじょうした。なお、このたね貫通かんつうブレーキシステムとしては、ワイヤとリール、じゅうおもり使用しようするヘーベルラインブレーキなども開発かいはつされたが、連結れんけつ分離ぶんり作業さぎょう困難こんなんさもあって少数しょうすうとどまっている。

その真空しんくうブレーキになが固執こしつしたイギリスなどを例外れいがいとして自動じどう空気くうきブレーキが事実じじつじょう標準ひょうじゅんとしての地位ちい確立かくりつし、べん装置そうち改良かいりょう電磁でんじ同期どうきべん付加ふかによる電磁でんじ自動じどう空気くうきブレーキなどで性能せいのう向上こうじょうさせた。一方いっぽうで、応答おうとうせいさや構造こうぞう単純たんじゅんゆえ直通ちょくつうブレーキも改良かいりょうつづけられた。

直通ちょくつうブレーキにかんしては1920年代ねんだい後半こうはんのアメリカで発電はつでんブレーキとの同期どうき容易よういした電磁でんじ直通ちょくつうブレーキが、1967ねんには日本にっぽん発電はつでん回生かいせいブレーキ動作どうさ一体化いったいかした電気でんき指令しれいしきブレーキがそれぞれ開発かいはつされている。いずれも日本にっぽん爆発ばくはつてき普及ふきゅうしたが、世界せかいてきには在来ざいらいしゃとの互換ごかんせい問題もんだいもあって自動じどう空気くうきブレーキ(電磁でんじ自動じどう空気くうきブレーキをふくむ)のシェアが圧倒的あっとうてきである。電磁でんじ直通ちょくつうブレーキや電気でんき指令しれいしきブレーキ、あるいはじゅん電気でんきブレーキ装備そうびする車両しゃりょうであっても、非常時ひじょうじフェイルセーフ目的もくてき自動じどう空気くうきブレーキ相当そうとう機構きこうそなえるのが一般いっぱんてきとなっている。

自動車じどうしゃ 編集へんしゅう

初期しょき自動車じどうしゃようブレーキは馬車ばしゃからの流用りゅうようおおく、ぼう車輪しゃりんけるなど原始げんしてき機構きこうおおかったが、走行そうこう性能せいのう向上こうじょうともなって確実かくじつ制動せいどう方法ほうほうもとめられるようになる。そのためブレーキペダルのうごきをよんりんのドラムブレーキにロッドでつたえる機構きこう採用さいようされ、のちワイヤーわったが、よんりんへのちから伝達でんたつ具合ぐあい均等きんとうで、ブレーキペダルをきゅうんだ場合ばあいに「かたき」になりやすく、制動せいどうりょく車両しゃりょう安定あんていせいなんがあった。いで機械きかいしきわり、あぶらなどの液体えきたいかいしてピストンをうごかすえきあつしき採用さいようされるようになり、実用じつようてき制動せいどうりょくられるようになった。

えきあつ動作どうさ車両しゃりょうブレーキ装置そうちかんしては、1895ねん馬車ばしゃようとしてルードルフ・マイヤー特許とっきょ取得しゅとくしているが、その技術ぎじゅつ自動車じどうしゃれたのはアメリカじんマルコム・ロッキード英語えいごばんである。デューセンバーグ1921ねんから前輪ぜんりん油圧ゆあつしきブレーキを採用さいようし、クライスラーアウディ1924ねんからよんりん油圧ゆあつしきブレーキを採用さいようした。その自動車じどうしゃ、オートバイとも、油圧ゆあつしきブレーキが一般いっぱんてきとなっている。当初とうしょはほとんどがドラムブレーキを採用さいようしていたが、1950年代ねんだい以降いこうはディスクブレーキの採用さいようひろすすんだ。それにともない、自己じこばい力作りきさくようたないディスクブレーキの欠点けってんおぎなうため、ブレーキブースター (en:Vacuum servo) の同時どうじ装着そうちゃく1960年代ねんだい後半こうはんには一般いっぱんてきおこなわれるようになった。

また、タイヤの性能せいのう車体しゃたいサスペンション剛性ごうせい向上こうじょうともない、より安定あんていした制動せいどう可能かのうとなっていったが、一方いっぽう車両しゃりょう運動うんどうエネルギー重量じゅうりょう速度そくど)も飛躍ひやくてき増大ぞうだいしたため、かくメーカーは高速度こうそくどからのブレーキングでも安定あんていした制動せいどうりょく発揮はっきさせるために、ブレーキの構成こうせい部品ぶひんのみならず、車両しゃりょう重量じゅうりょう配分はいぶん、タイヤのサイズと特性とくせいショックアブソーバーばね定数ていすう適正てきせい重心じゅうしん移動いどう挙動きょどう解析かいせきアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)や横滑よこすべ防止ぼうし機構きこう(ESC)など姿勢しせい制御せいぎょシステムの開発かいはつなどもふくめてブレーキの開発かいはつおこなっている。

技術ぎじゅつ 編集へんしゅう

脚注きゃくちゅう 編集へんしゅう

注釈ちゅうしゃく 編集へんしゅう

  1. ^ プロペラ可変かへんピッチプロペラを搭載とうさいしている機体きたいはプロペラのピッチ角度かくどぎゃく角度かくどえてプロペラの発生はっせいする推力すいりょくぎゃくにする。
  2. ^ 大型おおがた高性能こうせいのうのブレーキ系統けいとうにはアンチスキッドシステム(自動車じどうしゃうABS)がまれていて、かく車軸しゃじく車輪しゃりん速度そくどセンサーがけられており、車輪しゃりん回転かいてんすると電気でんき信号しんごう発生はっせいし、それがハーネスをとおしてアンチスキッド制御せいぎょ装置そうちおくられ、それをもと制御せいぎょ装置そうち信号しんごうをスキッド制御せいぎょべんおくられ、スキッド制御せいぎょべん可動かどうしてブレーキの油圧ゆあつをコントロールするシステムとなっている。
  3. ^ この系統けいとうはフラップ・エルロン・スポイラーなどの操縦そうじゅう装置そうち地上ちじょう走行そうこうちゅう(タキシング)に機体きたいきをえる降着こうちゃく装置そうち(ランディングギア)のみさおこう装置そうち(ステアリング)にも使用しようされる

出典しゅってん 編集へんしゅう

  1. ^ 発電はつでん制動せいどう直流ちょくりゅう制動せいどうほうとは|よくある質問しつもん(FAQ)|三菱電機みつびしでんき FA 2017ねん8がつ13にち閲覧えつらん
  2. ^ a b さんそう誘導ゆうどう電動でんどう CRANE-CLUB 2017ねん8がつ13にち閲覧えつらん
  3. ^ プラッギング(ぎゃくしょう制動せいどう)とはなにですか?|よくある質問しつもん(FAQ)|三菱電機みつびしでんき FA 2017ねん8がつ13にち閲覧えつらん
  4. ^ 電磁でんじ調理ちょうりにも利用りようされる“うず(うず)電流でんりゅう”とは?”. 電気でんき磁気じきの?(はてな)かん (TDKマガジン). TDK. 2017ねん8がつ13にち閲覧えつらん
  5. ^ インダクションブレーキとその応用おうよう” (PDF). 日立ひたち評論ひょうろん (1964ねん10がつ). 2017ねん8がつ17にち閲覧えつらん
  6. ^ 永久えいきゅう磁石じしゃくしきリターダ”. 新日鐵しんにってつ住金すみきん. 2017ねん8がつ13にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん 編集へんしゅう

  • 飛行機ひこうき構造こうぞう日本航空にほんこうくう技術ぎじゅつ協会きょうかい 1989ねん 
  • 中田なかた高義たかよし 電気でんき機器きき II』朝倉書店あさくらしょてん電気でんき電子でんし情報じょうほう基礎きそシリーズ 7〉、1984ねん9がつ20日はつか 

関連かんれん項目こうもく 編集へんしゅう