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客車 - Wikipedia

客車きゃくしゃ

機関きかんしゃなどにより牽引けんいんされる動力どうりょく旅客りょかく車両しゃりょう

客車きゃくしゃ(きゃくしゃ)とは、おも旅客りょかく輸送ゆそうするためにもちいられる鉄道てつどう車両しゃりょうである。座席ざせきしゃ[1]寝台しんだいしゃ中心ちゅうしんとするが、展望てんぼうしゃ食堂しょくどうしゃ荷物にもつしゃ郵便ゆうびんしゃなども構造こうぞうてきには共通きょうつうであり、旅客りょかくしゃ一体いったいでの運用うんようおおいことから、これらも客車きゃくしゃ分類ぶんるいされる。

国鉄こくてつ時代じだい客車きゃくしゃ列車れっしゃいちれい宗谷本線そうやほんせん普通ふつう列車れっしゃ
旧型きゅうがた客車きゃくしゃばれ、荷物にもつしゃふくむ さまざまの車両しゃりょう編成へんせいされた。

狭義きょうぎでは、機関きかんしゃなどにより牽引けんいんされる動力どうりょく動力どうりょく集中しゅうちゅう方式ほうしき)の旅客りょかく車両しゃりょうす。電車でんしゃ気動車きどうしゃとは区別くべつされる。本稿ほんこうでは狭義きょうぎ客車きゃくしゃについてしるす。

おなじく機関きかんしゃ牽引けんいんされる車両しゃりょうなかでも、貨物かもつはこ車両しゃりょう貨車かしゃといい、客車きゃくしゃとは区別くべつされる。

概要がいよう

編集へんしゅう

日本にっぽん国鉄こくてつ場合ばあい過去かこには鉄道てつどう車両しゃりょうを(広義こうぎの)客車きゃくしゃ貨車かしゃ大別たいべつしていた。(広義こうぎの)客車きゃくしゃには、(狭義きょうぎの)客車きゃくしゃ電車でんしゃ気動車きどうしゃふくんでいたが、1956ねん昭和しょうわ31ねん)2がつ車両しゃりょう称号しょうごう規程きてい改正かいせいで、広義こうぎ大分おおいたるいを「旅客りょかくしゃ」とあらためた。したがってそれ以後いごは、客車きゃくしゃとはみずか運転うんてんよう動力どうりょくをもたない旅客りょかくしゃのみをすことになった。

また、軌道きどう架線かせん検査けんさ測定そくていおこなしょくようしゃや、救援きゅうえんしゃ配給はいきゅうしゃなどの事業じぎょうようしゃにも客車きゃくしゃ分類ぶんるいされるものがある。

いずれもプラットホームひく線区せんく運転うんてんされることがおおく、それにわせたドアステップがついている車両しゃりょうおおい。

鉄道てつどう黎明れいめいにおいては、旅客りょかく輸送ゆそう蒸気じょうき機関きかんしゃ客車きゃくしゃ牽引けんいんする方式ほうしきからはじまり、そのみずか動力どうりょくをもつ電車でんしゃ気動車きどうしゃ出現しゅつげんなが旅客りょかく輸送ゆそう中心ちゅうしんてき役割やくわりめてきた(鉄道てつどう車両しゃりょう歴史れきしとく初期しょき客車きゃくしゃ貨車かしゃ参照さんしょう)。下記かきのような特徴とくちょう比較ひかくにより動力どうりょく分散ぶんさん方式ほうしき有利ゆうりとみなされるようになってきて、日本にっぽんにおいてはとく動力どうりょく近代きんだい計画けいかくすすんだ1960(昭和しょうわ35)ねん以降いこういちじるしく減少げんしょうしている。一方いっぽう他国たこくにおいてはその動向どうこうくにによりおおきくことなる(後述こうじゅつ)。

特徴とくちょう

編集へんしゅう

動力どうりょく分散ぶんさん方式ほうしき電車でんしゃ気動車きどうしゃふけ気動車きどうしゃなど)との比較ひかくでは以下いかのようになる。動力どうりょく集中しゅうちゅう方式ほうしき#長所ちょうしょ短所たんしょ参照さんしょう

長所ちょうしょ

編集へんしゅう
 
比較的ひかくてき最近さいきん日本にっぽん客車きゃくしゃ列車れっしゃいちれい
サービス電源でんげんどおせんおう荷重におもしき自動じどう空気くうきブレーキをもつ、固定こてい編成へんせいよう車両しゃりょうもちいた寝台しんだい特急とっきゅう北斗星ほくとせい
  • くるま動力どうりょく装置そうちをもたないため、電車でんしゃ気動車きどうしゃくら製造せいぞう保守ほしゅコストがひくい。
    • 上記じょうき理由りゆうにより、通年つうねん運行うんこうではない(稼動かどう日数にっすうすくない)波動はどう輸送ゆそうようてきする。
    • 同様どうように、編成へんせいなが場合ばあい、コストてき有利ゆうりになる。1975ねん昭和しょうわ50ねん)ごろの日本にっぽん研究けんきゅうでは以下いか場合ばあい有利ゆうりになると算定さんていされたことがある[2]
      • 直流ちょくりゅう電化でんか区間くかんでは12りょう以上いじょう場合ばあい
      • 交流こうりゅう電化でんか区間くかんでは10りょう以上いじょう場合ばあい
      • 電化でんか区間くかんでは5りょう以上いじょう場合ばあい
  • 機関きかんしゃえだけで電化でんか区間くかん交流こうりゅう直流ちょくりゅう周波数しゅうはすう電圧でんあつなどのちがい)・電化でんか区間くかん直通ちょくつうできる。このことは旅客りょかくしゃ比較ひかくして機動きどうせいもとめられる郵便ゆうびんしゃ荷物にもつしゃではとく有利ゆうりである。
  • 電動でんどうエンジンがないため、騒音そうおん振動しんどうすくない(サービス電源でんげんよう発電はつでんセットをもつものや電源でんげんしゃのぞく)。このことは静粛せいしゅくせいとくもとめられる夜行やこう列車れっしゃには有利ゆうりである。
  • 組成そせい制限せいげんすくない。
    • 最小さいしょう1りょう単位たんいでの客車きゃくしゃ編成へんせい可能かのう
  • じゅうれん運転うんてんなどでないかぎり、連結れんけつ隙間すきま多少たしょうあっても動力どうりょく分散ぶんさんしきくら衝撃しょうげきすくなく心地ごこちてん有利ゆうり
    • 動力どうりょくしゃ複数ふくすうあるとどうしても動力どうりょくしゃ同士どうし速度そくど誤差ごさき、加減かげんそくたび連結れんけつ隙間すきまぶんだけうごいてつぎ車両しゃりょうたり乗客じょうきゃく衝撃しょうげきかんじるので具合ぐあいわるい。
      このため日本にっぽんでは国鉄こくてつ大手おおて私鉄してつ当初とうしょ電車でんしゃ自動じどう連結れんけつ採用さいようしたものの、のち専用せんよう密着みっちゃくしき連結れんけつ変更へんこうしている[3]

ただし、これらの長所ちょうしょ電車でんしゃ気動車きどうしゃ性能せいのう向上こうじょうなどにともない、相対そうたいてき減少げんしょうしつつある。

短所たんしょ

編集へんしゅう
  • 運転うんてん時分じぶん短縮たんしゅくむずかしい。
  • まわ必要ひつようで、かえ時分じぶん短縮たんしゅくむずかしい。
    • つね機関きかんしゃ先頭せんとうにする必要ひつようがあり、終着駅しゅうちゃくえきスイッチバックでのえをようする。とくに、2列車れっしゃを1列車れっしゃ併合へいごうする場合ばあいは、えき構内こうないでのにゅうかわ必要ひつようとなり、時間じかんがかかる。ただし、海外かいがいとく欧州おうしゅう北米ほくべい)の近距離きんきょり列車れっしゃなどでは、一端いったん機関きかんしゃ固定こていし、はし連結れんけつされた付随ふずい制御せいぎょしゃ運転うんてんだいから制御せいぎょできる=機関きかんしゃ最後さいごにした「高速こうそく推進すいしん運転うんてんができる=ものがおおられる。日本にっぽんでも、速度そくどいきひくいがJR北海道ほっかいどうノロッコごうようなど、一部いちぶにこの方式ほうしき採用さいようしたものがある。とく欧州おうしゅう車両しゃりょうは、日本にっぽん北米ほくべい連結れんけつことなるため、推進すいしん運転うんてんてきし、心地ごこち速度そくどとも動力どうりょく方式ほうしきくら遜色そんしょくはない。2列車れっしゃを併結することもあり、その場合ばあいは、機関きかんしゃ + 客車きゃくしゃ + 機関きかんしゃ + 客車きゃくしゃのような編成へんせいとなり、乗客じょうきゃくとおけはできない。また、機関きかんしゃもうわけ程度ていど客室きゃくしついちとうごうづくり場合ばあいもある)をもつものがある。また編成へんせいりょうはし機関きかんしゃとし、機関きかんしゃ + 客車きゃくしゃ + 機関きかんしゃとした編成へんせい欧米おうべい中心ちゅうしん存在そんざいするがこの場合ばあい性能せいのうめんではおおむね動力どうりょく分散ぶんさん方式ほうしきじゅんずる。
  • ワンマン運転うんてんができない。
    • これも、海外かいがいにおいては上記じょうき折返おりかえ運転うんてん事情じじょう共通きょうつうする。
  • 電気でんき運転うんてん場合ばあい回生かいせいブレーキ効率こうりつわるい。(客車きゃくしゃにモーターがないため)
  • 重量じゅうりょうじくおも均衡きんこうおおきい。
    • 機関きかんしゃ重量じゅうりょうによっては、軌道きどう橋梁きょうりょう強化きょうか必要ひつようになる場合ばあいがある。(日本にっぽん場合ばあい構築こうちくぶつ耐震たいしんせい考慮こうりょする必要ひつようせいたかい)しかし、許容きょよう強度きょうどたしている場合ばあい電車でんしゃ中心ちゅうしん運転うんてんほうがクリアランス悪化あっかくるい)がはや場合ばあいもある。
  • 機関きかんしゃぶんだけ編成へんせいちょうながくなる。
  • 車両しゃりょう冷房れいぼう面倒めんどうである。
    • 客車きゃくしゃでサービス電源でんげん確保かくほ長年ながねん使用しようされている車軸しゃじく発電はつでんでは車両しゃりょうようクーラーを動作どうささせることができないため、冷房れいぼう専用せんよう発電はつでん別途べっと搭載とうさいする必要ひつようがある(国鉄こくてつマロネ40かたち客車きゃくしゃ#車軸しゃじく駆動くどう冷房れいぼう装置そうち参照さんしょう)。かく車両しゃりょう小型こがた発電はつでん搭載とうさいしたうえでクーラーを稼動かどうさせる方法ほうほう場合ばあい冷房れいぼうようとはいえすべての車両しゃりょう発電はつでん燃料ねんりょうタンクを搭載とうさいするために気動車きどうしゃなみの維持いじコストがかかる。電源でんげんしゃ使用しようする方法ほうほう場合ばあい発電はつでん容量ようりょうによって編成へんせい増減ぞうげん制限せいげんがかかるため、客車きゃくしゃ長所ちょうしょ相殺そうさいされてしまう。
    • 昭和しょうわ初期しょき製造せいぞうされた客車きゃくしゃ一部いちぶ車軸しゃじく駆動くどうしき冷房れいぼう装置そうち搭載とうさいされたものがあるが、車軸しゃじく駆動くどうしきゆえに走行そうこうさむくなり、停車ていしゃあつくなるなど、動作どうさ不安定ふあんていになりがちであり、お世辞せじにも快適かいてきとはえなかった。
  • 当然とうぜんのことではあるが、牽引けんいんする機関きかんしゃ別途べっと手配てはいする必要ひつようがある。客車きゃくしゃ区内くないではこれにくわえてよう小型こがた機関きかんしゃ必要ひつようになることがある。
    • ただし、電車でんしゃ運転うんてんだい電動でんどうがそろっていないと自力じりき走行そうこうできないため、編成へんせい分割ぶんかつなどでそろわなくなった場合ばあい牽引けんいんしゃ使用しようする必要ひつようがある。

日本にっぽん客車きゃくしゃ

編集へんしゅう

日本にっぽんでは1960ねん昭和しょうわ35ねん)から実施じっしされた動力どうりょく近代きんだい計画けいかくによって客車きゃくしゃ列車れっしゃ淘汰とうたおこなわれ、1975ねん昭和しょうわ50ねん以降いこう組合くみあいがわ反対はんたいなどによって[よう出典しゅってん][注釈ちゅうしゃく 1]一時いちじ中断ちゅうだんされたものの、1986ねん昭和しょうわ61ねん11月のダイヤ改正かいせいでに鉄道てつどうによる郵便ゆうびん荷物にもつ輸送ゆそう廃止はいしされたことなどから、残存ざんそんしていた定期ていき客車きゃくしゃ列車れっしゃ民営みんえい以降いこう少数しょうすう寝台しんだい列車れっしゃ夜行やこう列車れっしゃ)をのぞき、電車でんしゃ気動車きどうしゃえられて姿すがたした。

JR旅客りょかく5しゃ国鉄こくてつ分割ぶんかつ民営みんえい時点じてんでもともと定期ていき普通ふつう客車きゃくしゃ列車れっしゃ存在そんざいしなかった東海旅客鉄道とうかいりょかくてつどう〈JR東海とうかい〉をのぞく)および私鉄してつでの客車きゃくしゃによる定期ていき普通ふつう列車れっしゃは、車両しゃりょう限界げんかいなどの特殊とくしゅ事情じじょうをもつ大井川鐵道おおいがわてつどう井川線いかわせん黒部峡谷鉄道くろべきょうこくてつどうと、蒸気じょうき機関きかんしゃ (SL) および一般いっぱんがた旧型きゅうがた客車きゃくしゃ動態どうたい保存ほぞんのためほぼ定期ていき運転うんてんおこなっている大井川鐵道おおいがわてつどう大井川鐵道おおいがわてつどう大井川本線おおいがわほんせん蒸気じょうき機関きかんしゃ牽引けんいん列車れっしゃのぞいて消滅しょうめつした。なお、日本にっぽん国内こくないでの国鉄こくてつがた車両しゃりょう国鉄こくてつがたきんえん車両しゃりょうによって運行うんこうされる定期ていき普通ふつう客車きゃくしゃ列車れっしゃとしては、国鉄こくてつ14けい客車きゃくしゃ使用しようして運行うんこうされ、2006ねん平成へいせい18ねん3がつ運行うんこう終了しゅうりょうした樽見たるみ鉄道てつどう定期ていき列車れっしゃ最後さいごとなっている。またぶし限定げんていであるが津軽つがる鉄道てつどうでは客車きゃくしゃを3りょう保有ほゆうしており、ダルマストーブ特徴とくちょうの「ストーブ列車れっしゃ」として冬季とうき運転うんてんがある。また、に、定期ていきてき運行うんこうしている観光かんこうよう列車れっしゃとして平成へいせい筑豊ちくほう鉄道てつどう門司もじこうレトロ観光かんこうせん嵯峨野さがの観光かんこう鉄道てつどう嵯峨野観光線さがのかんこうせんなどのトロッコ列車れっしゃ伊予いよ鉄道てつどうぼっちゃん列車れっしゃなどのれいがある。

また、寝台しんだいしゃはじ現存げんそんする客車きゃくしゃについても、1999ねん平成へいせい11ねん)にJR東日本ひがしにっぽんが「カシオペア」に使用しようするために製造せいぞうしたE26けい客車きゃくしゃや、2013ねん平成へいせい25ねん)にJR九州きゅうしゅうが「ななつほし in 九州きゅうしゅう」に使用しようするために製造せいぞうした77けい客車きゃくしゃ寝台しんだいしゃ以外いがいでは2017ねん平成へいせい29ねん)にJR西日本にしにほんが「SLやまぐちごう」に使用しようするために製造せいぞうした35けい客車きゃくしゃ4000番台ばんだいのぞいては、製造せいぞう30ねん以上いじょう経過けいかしており、旅客りょかくすう低下ていか老朽ろうきゅう進行しんこうしているため、運転うんてん本数ほんすう減少げんしょう傾向けいこうにある。なお、2016ねん平成へいせい28ねん3月26にちのダイヤ改正かいせいで、急行きゅうこうはまなす」が廃止はいしされたため、JRせんにおける定期ていき客車きゃくしゃ列車れっしゃ全廃ぜんぱいされた。

 
秩父鉄道ちちぶてつどうC58がた蒸気じょうき機関きかんしゃと12けい客車きゃくしゃ(2010ねん)

2020ねんれい2ねん現在げんざいでは上述じょうじゅつ黒部峡谷鉄道くろべきょうこくてつどう大井川鐵道おおいがわてつどうのほかはSLの運転うんてんといったイベント運転うんてんする観光かんこう列車れっしゃように、ごく少数しょうすう車両しゃりょうのこるのみである。

一方いっぽう米国べいこくなど海外かいがいでは、大都市だいとし近郊きんこう地下鉄ちかてつ通勤つうきん路線ろせん以外いがいは、ほとんど客車きゃくしゃ列車れっしゃ運行うんこうされているといった地域ちいき散見さんけんされる。また、自前じまえ機関きかんしゃ保有ほゆうしている事業じぎょうしゃにおいては車両しゃりょう購入こうにゅう維持いじめん気動車きどうしゃよりも有利ゆうりなため、人件じんけん比較的ひかくてき安価あんか発展はってん途上とじょうこくでは通勤つうきん路線ろせんでも客車きゃくしゃ列車れっしゃ使つかっている場合ばあいおおく、日本にっぽんからも廃車はいしゃになったくるまよわいわか車両しゃりょう輸出ゆしゅつ無償むしょう提供ていきょうされている。

ヨーロッパの客車きゃくしゃ

編集へんしゅう

歴史れきしについては鉄道てつどう車両しゃりょう歴史れきし#初期しょき客車きゃくしゃ貨車かしゃおよび鉄道てつどう車両しゃりょう歴史れきし#客車きゃくしゃ発展はってん参照さんしょう

 
オーストリア連邦れんぽう鉄道てつどうのプッシュプル方式ほうしき客車きゃくしゃ列車れっしゃ最後さいご機関きかんしゃであり、最前さいぜん運転うんてんだい制御せいぎょ
 
オリエント急行きゅうこうバーカー

欧州おうしゅう各国かっこく鉄道てつどうでは、客車きゃくしゃ依然いぜんとして幅広はばひろ使つかわれているものの、21世紀せいきはいってからりょうすうらしている。

イギリスなどをのぞ大陸たいりくヨーロッパ場合ばあい周辺しゅうへんこく地続じつづきであるため鉄道てつどうもう複数ふくすう国々くにぐにまたがって構築こうちくされている。しかし、こくごとに電化でんか方式ほうしき複線ふくせん区間くかん通行つうこう方向ほうこう右側みぎがわ左側ひだりがわ)・車体しゃたい寸法すんぽう軌間きかん保安ほあん装置そうちなどがまちまちであるため、長年ながねんにわたり[いつ?]路線ろせん連絡れんらく機関きかんしゃえる客車きゃくしゃ方式ほうしき主流しゅりゅうであった。

近年きんねん[いつ?]では、大都市だいとしないやその近郊きんこうにおいて通勤つうきん利便りべんせいたかめるため、日本にっぽん国内こくない同様どうよう電車でんしゃ気動車きどうしゃなどの動力どうりょく分散ぶんさん方式ほうしきへの移行いこうおこなわれ、通勤つうきんがた客車きゃくしゃ列車れっしゃすくなくなりつつあり、カル線かるせんでも、合理ごうり一環いっかんとして、ていゆかしき新形しんがた気動車きどうしゃへのえがすすんでいる。また、高速こうそく鉄道てつどう(ICE 3など)においても動力どうりょく分散ぶんさん方式ほうしきへの移行いこうとう理由りゆうにより、客車きゃくしゃ活躍かつやくする舞台ぶたい縮小しゅくしょうしている。例外れいがいてき複数ふくすうくにをまたぐ国際こくさい長距離ちょうきょり列車れっしゃについては前述ぜんじゅつ理由りゆうにより、いまだに[いつ?]客車きゃくしゃ主流しゅりゅうである。

日本にっぽん客車きゃくしゃのような「固定こてい編成へんせい客車きゃくしゃ」はすくなく、1りょう単位たんい運用うんようすることがおおい。専用せんよう電源でんげんしゃをもつことはすくなく、ほとんどの場合ばあい電源でんげん機関きかんしゃから供給きょうきゅうされるか、車軸しゃじく発電はつでんによる給電きゅうでんである。

日本にっぽんではあまり一般いっぱんてきではないが、運転うんてんだいづけ客車きゃくしゃ制御せいぎょしゃ)をさい後尾こうび連結れんけつし、客車きゃくしゃがわ運転うんてんだいからの遠隔えんかく操作そうさにより機関きかんしゃ客車きゃくしゃすような運転うんてん方法ほうほう(ペンデルツーク:ドイツ: Pendelzug)も一般いっぱんてきである。またTGVやタリスなどの高速こうそく列車れっしゃでは、客車きゃくしゃ運転うんてんだいもうけるわりに列車れっしゃ前後ぜんご機関きかんしゃけ、運転うんてん前後ぜんご機関きかんしゃ同調どうちょうさせるれいもある。これらの方法ほうほうにより、えきでの方向ほうこう転換てんかんさい機関きかんしゃえを省略しょうりゃくする。

国際こくさい列車れっしゃ運転うんてんする観点かんてんから、欧州おうしゅう大陸たいりく客車きゃくしゃには、国際こくさい列車れっしゃよう規格きかくである「UIC規格きかく(あるいは「RIC規格きかく」)」が存在そんざいする。また、国内こくないようではあるが、ダブルデッカー数多かずおお使用しようされている。

欧州おうしゅう大陸たいりく客車きゃくしゃのサイズは、車体しゃたいちょう日本にっぽん客車きゃくしゃよりも大型おおがたで26.4m(UIC-XUIC-Zなど)、あるいは24.5m(UIC-Yなど)のものがおおく、軌間きかんひろいこともあり車体しゃたいはばも3mをえる一方いっぽうたかさは、日本にっぽん客車きゃくしゃとそれほどわらない。

東南とうなんアジア諸国しょこく客車きゃくしゃ

編集へんしゅう

東南とうなんアジア各国かっこくでは、沢山たくさん客車きゃくしゃ活躍かつやくしており、電源でんげんしゃふくんだユニット編成へんせい車両しゃりょう気動車きどうしゃ電車でんしゃ機関きかん電装でんそうひん解除かいじょした車両しゃりょう、1りょう単位たんい構成こうせい可能かのう車両しゃりょうなど種類しゅるい様々さまざまである。どう地域ちいきへは、ながあいだ日本にっぽんから新車しんしゃもしくは不要ふようになった鉄道てつどう車両しゃりょう輸出ゆしゅつされているが、そのなかにはおおくの客車きゃくしゃふくまれており、中古ちゅうこ輸出ゆしゅつされた客車きゃくしゃには、使用しようさき軌間きかんうように車軸しゃじく改造かいぞうしたうえで使つかわれている車両しゃりょう存在そんざいする。 

絵画かいがなか客車きゃくしゃ

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鉄道てつどうしょう国鉄こくてつわった当時とうじ列車れっしゃのマークは、極東きょくとう地域ちいきのシンボルマーク「だい7ぐんだいななぐん」を流用りゅうようし、絵本えほん忠実ちゅうじつえがかれていた[4]出版しゅっぱんしゃは『キンダーブックからスピンオフした絵本えほん刊行かんこうし、日本にっぽん画家がか藤沢ふじさわ龍雄たつおは「のりもの絵本えほん」とばれる分野ぶんや列車れっしゃ汽車きしゃ表紙ひょうしせた[5]葉山はやま町議会ちょうぎかい議員ぎいん安井やすい小弥太こやた青年せいねん藤沢ふじさわ弟子でしりし池袋いけぶくろモンパルナスんでキンダーブックや「コドモノトモ」などのシリーズから依頼いらいけ、C53えがいた『汽車きしゃ ノチシキ』[6]人気にんきさくであった[7]黒岩くろいわ保美やすみ戦後せんご1950ねん昭和しょうわ25ねん)、湘南しょうなん電車でんしゃ塗装とそう色彩しきさい設計せっけいがけた国鉄こくてつ職員しょくいん[8]で、1975ねん以降いこう昭和しょうわ50年代ねんだい)、宮脇みやわき俊三しゅんぞうあらわした列車れっしゃ絵本えほん(「たくさんのふしぎ」シリーズ)に挿絵さしえ提供ていきょう、また鉄道てつどう70ねん記念きねんの『日本にっぽん鉄道てつどう表紙ひょうしに、黒岩くろいわ自身じしんいろめた湘南しょうなん電車でんしゃえがいている[5]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 動力どうりょく種類しゅるいによって動力どうりょくしゃ操縦そうじゅうしゃ免許めんきょ整備せいび資格しかく配置はいちおも一般いっぱんがた急行きゅうこうがた気動車きどうしゃ機関きかんに、電車でんしゃ電車でんしゃ配置はいちされる)がことなる。客車きゃくしゃ列車れっしゃ電車でんしゃ気動車きどうしゃなど動力どうりょく方式ほうしきえや新形しんがたしゃ導入どうにゅうのたび、リストラ職場しょくば人員じんいん整理せいり)を推進すいしんしたい本社ほんしゃかく鉄道てつどう管理かんりきょくと、それによって雇用こようおびやかされるとする労働ろうどう組合くみあい対立たいりつし、折衝せっしょう多大ただい時間じかん労力ろうりょくようするようになっていた。

出典しゅってん

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  1. ^ 『KSKわざほう』 1957, p. 29-32
  2. ^ 鉄道てつどうピクトリアル』 (2007, pp. 10–12, 785ごう特集とくしゅう『50けい客車きゃくしゃ』)
  3. ^ 朝倉あさくら 1980, p. 100, 技術ぎじゅつ随筆ずいひつ 汽車きしゃ今昔こんじゃく14「17.連結れんけつ
  4. ^ 関田せきた 2009, p. 13
  5. ^ a b 関田せきた 2009, pp. 19–20
  6. ^ 奈街三郎さぶろう汽車きしゃ : きしゃのちしき』安井やすい小弥太こやた)、東京とうきょう二葉ふたば書房しょぼう、1947ねんぜん12p ; 37cm、マイクロ資料しりょうNDLJP:8345575国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんない公開こうかいはら資料しりょう所蔵しょぞう機関きかんメリーランド大学だいがくプランゲ文庫ぶんこ整理せいり番号ばんごう:520-257(絵本えほん)。
  7. ^ 関田せきた 2009, p. 17
  8. ^ 関田せきた 2009, p. 12

参考さんこう文献ぶんけん

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脚注きゃくちゅう使用しようした典拠てんきょおも執筆しっぴつしゃ掲載けいさいじゅん

  • 朝倉あさくら希一きいち技術ぎじゅつ随筆ずいひつ 汽車きしゃ今昔こんじゃく14「17.連結れんけつ」」『鉄道てつどうファン』だい20かんだい4ごう通巻つうかん228ごう雑誌ざっし06459-4)、交友こうゆうしゃ、1980ねん4がつ、100ぺーじ 
  • 「ビルマ鉄道てつどうおさめ優等ゆうとう座席ざせきしゃ」『KSKわざほうだい6かんだい4ごう汽車きしゃ製造せいぞう東京とうきょう、1957ねん10がつ、29-32(コマ番号ばんごう0016.jp2)、doi:10.11501/2323322 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション、NDLJP:2323322/1/1国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん/図書館としょかん送信そうしん参加さんかかん個人こじん送信そうしん限定げんてい
  • 関田せきたかつこう『[htps://dl.ndl.go.jp/view/prepareDownload?itemId=info:ndljp/pid/1166392&bundleNo=1&contentNo=1 講演こうえんかいもの絵本えほん歴史れきし魅力みりょく」]』(PDF)国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん国際こくさいども図書館としょかん国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん、2009ねん平成へいせい21ねん)10がつ4にち。htps://dl.ndl.go.jp/view/prepareDownload?itemId=info:ndljp/pid/1166392&bundleNo=1&contentNo=12023ねん12月12にち閲覧えつらん  国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション(電子でんし書籍しょせき電子でんし雑誌ざっし)。
  • 特集とくしゅう『50けい客車きゃくしゃ』」『鉄道てつどうピクトリアル』だい785ごう電気でんきしゃ研究けんきゅうかい、2007ねん2がつ 

関連かんれん項目こうもく

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関連かんれん資料しりょう

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脚注きゃくちゅう使つかっていない資料しりょう発行はっこうねんじゅん

客車きゃくしゃ全般ぜんぱん解説かいせつ

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児童じどうしょ

  • 新星しんせい出版しゅっぱんしゃ編集へんしゅう へん徹底てってい図解ずかい鉄道てつどうのしくみ : カラーばん新星しんせい出版しゅっぱんしゃ、2006ねんべつだい『The Visual Encyclopedia of Railroad』。
    • だい1しょう 客車きゃくしゃ」32-34ぺーじ
      • 旅客りょかくしゃ室内しつない設備せつび」86-87ぺーじ
      • 車両しゃりょうさい利用りよう」90-91ぺーじ
    • だい4しょう コラム:ウィーン鉄道てつどう車両しゃりょう環境かんきょう試験しけん装置そうち」192-194ぺーじ

一般いっぱんしょ

写真しゃしん
  • 太陽たいよう』1かん明治めいじ28-36)、ジャパンナレッジ
    • 山陽さんよう鉄道てつどうボギー客車きゃくしゃ写真しゃしん4てん
    • 山陽さんよう鉄道てつどう会社かいしゃとうボギー客車きゃくしゃ写真しゃしん2てん
統計とうけい技術ぎじゅつ基本きほん要項ようこう
  • 鉄道てつどうしょう へん鉄道てつどう統計とうけい資料しりょうだい2へん昭和しょうわ元年がんねん)、鉄道てつどうしょう、1928ねん昭和しょうわ3ねん)。国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション、NDLJP:1022002、インターネット公開こうかいdoi:10.11501/1022002
    • 「3 工作こうさく§だい1しょう 工場こうじょうだい3せつ 工場こうじょう生産せいさんがく §§客車きゃくしゃ修繕しゅうぜんりょうすうひょう工場こうじょう及庫しょべつ)(施行しこう月別つきべつ)」260-261ぺーじ(コマ番号ばんごう148)
    • 工場こうじょう主要しゅようしんせい物件ぶっけんひょう」264ぺーじ
  • 電気でんき協会きょうかい へん電気でんき鉄道てつどう車輛しゃりょう基本きほん要項ようこうだい1輯、電気でんき協会きょうかい、1932ねん国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション、NDLJP:1212669国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん/図書館としょかん送信そうしん参加さんかかん個人こじん送信そうしん限定げんてい
  • 平井ひらい喜久松きくまつ岡田おかだ信次しんじ鉄道てつどう工学こうがく常磐ときわ書房しょぼう 1934ねん国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション、NDLJP:1234935国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん/図書館としょかん送信そうしん参加さんかかん個人こじん送信そうしん限定げんてい
  • 朝倉あさくら 希一きいち鉄道てつどう交通こうつう全書ぜんしょだい17かんじょう(1883-1978)、春秋しゅんじゅうしゃ、1936ねん国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション、NDLJP:1231050国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん/図書館としょかん送信そうしん参加さんかかん個人こじん送信そうしん限定げんてい
  • 大阪おおさか鉄道てつどうきょく運転うんてんきゃく貨車かしゃ へん綜合そうごう検車けんしゃ読本とくほん検車けんしゃかい刊行かんこうかい、1939ねん国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション、NDLJP:1245982国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん/図書館としょかん送信そうしん参加さんかかん個人こじん送信そうしん限定げんてい
配置はいちひょう
  • 国鉄こくてつ車両しゃりょう配置はいちひょう』1969年版ねんばん鉄道てつどうピクトリアル編集へんしゅう へん 鉄道てつどう図書としょ刊行かんこうかい、1969ねん国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション、NDLJP:12060752国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん/図書館としょかん送信そうしん参加さんかかん個人こじん送信そうしん限定げんてい
その
  • 東京とうきょう鉄道てつどうきょく水戸みと運輸うんゆ事務所じむしょ へん新規しんき採用さいよう傭人ようにん教材きょうざい鉄道てつどう業務ぎょうむ研究けんきゅう協会きょうかい、1939ねん国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション、NDLJP:1030106、インターネット公開こうかい
  • 電気でんき鉄道てつどうハンドブック編集へんしゅう委員いいんかい へん電気でんき鉄道てつどうハンドブックchapter=3しょう 電気でんきしゃ性能せいのう制御せいぎょ§3.1 鉄道てつどう車両しゃりょう種類しゅるい変遷へんせん』コロナしゃ、2007ねん  ISBN 9784339007879。コロナしゃ創立そうりつ80周年しゅうねん記念きねん出版しゅっぱん創立そうりつ1927ねん」。
    • 「§§3.1.3 旅客りょかくしゃ」111-113ぺーじ
    • 索引さくいん客車きゃくしゃ」、「寝台しんだい特急とっきゅうよう客車きゃくしゃ」、904ぺーじ。passenger car。「連接れんせつしき客車きゃくしゃ」915ぺーじ

蒸気じょうき機関きかんしゃ客車きゃくしゃ

  • 鉄道てつどうピクトリアル編集へんしゅう へん日本にっぽん蒸気じょうき機関きかんしゃ特集とくしゅう集成しゅうせいじょう下巻げかん鉄道てつどう図書としょ刊行かんこうかい、1978ねん5がつ国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション、NDLJP:12688052国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんない公開こうかい
  • 蒸気じょうき機関きかんしゃ小学館しょうがくかん 1981ねん
  • 高畠たかはたきよし『イギリスの鉄道てつどうのはなし』つづけ成山なりやまどう書店しょてん、2005ねんISBN 4-425-96101-3
  • ジョン・ウェストウッド世界せかい鉄道てつどう歴史れきし図鑑ずかんひいらぎふうしゃ、2010ねんISBN 978-4-903530-39-0
  • 世界せかい博物館はくぶつかんだい8かん講談社こうだんしゃ、1980ねん
  • デイヴィッド・ロス 編著へんちょ世界せかい鉄道てつどう百科ひゃっか図鑑ずかんゆうしょかん、2007ねんISBN 978-4-903487-03-8
  • 荒川あらかわ好夫よしお蒸気じょうき機関きかんしゃD51だい事典じてんえびすひかりさち出版しゅっぱん、2014ねんISBN 978-4-86403-121-9

洋書ようしょ

イギリスで一般いっぱん使つかわれる客車きゃくしゃ構造こうぞう

外部がいぶリンク

編集へんしゅう

国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんレファレンス協同きょうどうデータベース事例じれいより。

  • 「あじあごう」にかんする資料しりょう みなみまんしゅう鉄道てつどう客車きゃくしゃ解説かいせつする書籍しょせき2けん紹介しょうかい。『おもいでのみなみまんしゅう鉄道てつどう』(客室きゃくしつない展望てんぼうしつ図版ずはん写真しゃしん運行うんこう距離きょりとう車両しゃりょう構成こうせい)、『まんてつ特急とっきゅうあじあごう』(空調くうちょうほか装置そうち詳述しょうじゅつ)。

記号きごう説明せつめい

高松たかまつ琴平ことひら電気でんき鉄道てつどう