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列車 - Wikipedia

列車れっしゃ

連結れんけつされた鉄道てつどうよう車両しゃりょう

列車れっしゃれっしゃえい: train)とは、イギリスでは、2りょう以上いじょう鉄道てつどうよう車両しゃりょう連結れんけつされたものでそのうち1りょう機関きかんしゃであるものか、あるいは(鉄道てつどう車両しゃりょう連結れんけつされていない)(単独たんどくの)機関きかんしゃとされており、日本にっぽんにおいては、停車場ていしゃじょう以外いがい線路せんろ運転うんてんさせる目的もくてき組成そせいされた一連いちれん車両しゃりょうのことを[1]

列車れっしゃはその目的もくてき運転うんてん時期じき使用しよう動力どうりょくしゃ性質せいしつなどにより分類ぶんるいできる[2]#列車れっしゃ種類しゅるい)。

英語えいごの「train トレイン」の語源ごげんフランス語ふらんすご名詞めいしの「train トラン」(男性だんせいがた)や 「traine トレーヌ」 (女性じょせいがた)である。これはフランス語ふらんすごの「trahiner」という動詞どうしから派生はせいする。これはさらラテン語らてんごの「trahere」(=く、る)にたどり[3]

列車れっしゃ定義ていぎくにによって微妙びみょうことなる。

鉄道てつどう歴史れきしながい)イギリスでは、1993ねん鉄道てつどうほう英語えいごばん83(1)じょうにおいて、列車れっしゃ (train) を「(a)2りょうまたはそれ以上いじょう鉄道てつどう車両しゃりょう連結れんけつされたもので、すくなくともそのうち1りょう機関きかんしゃであるもの、(b)鉄道てつどう車両しゃりょう連結れんけつされていない機関きかんしゃ」と定義ていぎしている[4]機関きかんしゃ方式ほうしき前提ぜんていとなった定義ていぎ掲載けいさいしている)。なおOxford Dictionaryでは「機関きかんしゃや(車両しゃりょうと)一体化いったいかしたモータぐん(integral motors)によってうごかされる、一連いちれん連結れんけつされた鉄道てつどう車両しゃりょう貨車かしゃ」という定義ていぎ掲載けいさいしており、機関きかんしゃ方式ほうしき以外いがい想定そうていしている。[3]

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくアッチソン・トピカ・アンド・サンタフェ鉄道てつどう1948ねん運行うんこう規程きていでは列車れっしゃを「きゃく貨車かしゃ有無うむにかかわらず、1りょうまたはそれ以上いじょう機関きかんしゃ連結れんけつされており、標識ひょうしきるいしめされたもの」と定義ていぎしていた[5]

日本にっぽんにおいては国土こくど交通省こうつうしょうさだめた、2002ねん施行しこう鉄道てつどうかんする技術ぎじゅつじょう基準きじゅんさだめる省令しょうれいだい2じょう13こうで、「停車ていしゃ場外じょうがい線路せんろ運転うんてんさせる目的もくてき組成そせいされた車両しゃりょうをいう」とされている[6]日本にっぽんでは、「電車でんしゃ」という言葉ことば鉄道てつどう線路せんろはし車両しゃりょうすべてをすことがあるが[7]電車でんしゃ本来ほんらい電力でんりょくによって走行そうこうする鉄道てつどう車両しゃりょうのことをしており[8]列車れっしゃであるためにはどのような動力どうりょくげんもちいていてもよい[9]。(日本にっぽんでは)専門せんもんてきには、停車場ていしゃじょうえき)のそと線路せんろ運転うんてんさせる目的もくてき組成そせいされた車両しゃりょうのことをとくに「列車れっしゃ」とび、おな車両しゃりょうであっても運転うんてんさせる目的もくてきをもたずに留置りゅうちされているようなものは列車れっしゃではなく、たんなる車両しゃりょうである[10]

上述じょうじゅつのイギリス、アメリカ、日本にっぽん法規ほうき運行うんこう規定きてい定義ていぎで、さんこくとも同様どうようだとわかるが)、車両しゃりょうすう関係かんけいなく、動力どうりょくしゃ単独たんどくであっても「列車れっしゃ」となりうる[2]

編成へんせい

編集へんしゅう

列車れっしゃ複数ふくすう車両しゃりょう連結れんけつして運転うんてんされることがあり、このことを「編成へんせいむ」などとび、わせた車両しゃりょうして編成へんせいぶ。編成へんせいには、列車れっしゃとして具備ぐびするべき前述ぜんじゅつ条件じょうけんくわえて、動力どうりょく装置そうち電源でんげん系統けいとう、サービス設備せつびなどの制約せいやくもある[11]

機関きかんしゃきゃく貨車かしゃ牽引けんいんする動力どうりょく集中しゅうちゅう方式ほうしき場合ばあいは、牽引けんいん定数ていすう問題もんだいとなる。列車れっしゃダイヤでさだめられた時刻じこくまもって列車れっしゃ運転うんてんするためには一定いってい速度そくど以上いじょう走行そうこうする必要ひつようがあり、運転うんてん対象たいしょう路線ろせんにある勾配こうばい機関きかんしゃ性能せいのうから、牽引けんいんする編成へんせい重量じゅうりょう一定いってい範囲はんいないおさまっている必要ひつようがある[12]編成へんせいかく車両しゃりょう動力どうりょく分散ぶんさんしている電車でんしゃ方式ほうしき動力どうりょく分散ぶんさん方式ほうしき)の列車れっしゃでは、運転うんてん想定そうていしている路線ろせん勾配こうばいわせて、動力どうりょくしゃ比率ひりつMT)をめる必要ひつようがある[13]

列車れっしゃ暖房だんぼうにおいては、蒸気じょうき暖房だんぼう時代じだいには蒸気じょうき機関きかんしゃまたはそれ以外いがい機関きかんしゃでは蒸気じょうき発生はっせい装置そうちから蒸気じょうき供給きょうきゅうして暖房だんぼうおこなっており、蒸気じょうき発生はっせい装置そうちのない電気でんき機関きかんしゃディーゼル機関きかんしゃでは暖房だんぼう使つかえなかった。電気でんき暖房だんぼうにおいても、機関きかんしゃ電気でんき暖房だんぼうよう送電そうでん設備せつび客車きゃくしゃにそれに対応たいおうしたヒーターが搭載とうさいされている必要ひつようがあり、対応たいおうしなければ暖房だんぼう使つかえないという制約せいやくがある[14]冷房れいぼうめんでも、冷房れいぼう装置そうちとそれに対応たいおうした電源でんげんがなければ冷房れいぼう使つかえない[15]

サービスのめんでは、必要ひつようおうじてグリーンしゃ一等いっとうしゃ)などの優等ゆうとう車両しゃりょう普通ふつうしゃ割合わりあいめて編成へんせい連結れんけつする[16]現代げんだいでは売店ばいてんでの食品しょくひん販売はんばい外食がいしょく産業さんぎょうされて連結れんけつ減少げんしょうしているが、きょうしょく設備せつびとして食堂しょくどうしゃやビュフェしゃ連結れんけつされることがある[17]優等ゆうとう車両しゃりょう寝台しんだいしゃ連結れんけつするにさいしては、特別とくべつ料金りょうきんはらっていない旅客りょかくがこうした車両しゃりょうないとおけることを防止ぼうしするために、編成へんせい一端いったんにまとめて優等ゆうとう車両しゃりょう寝台しんだいしゃ連結れんけつしたり、食堂しょくどうしゃロビーカーあいだはさんだりする対策たいさくおこなわれる[18]荷物にもつしゃ郵便ゆうびんしゃえきにおけるあつか設備せつび配置はいち関係かんけいから、連結れんけつ位置いちまっている[19]

線路せんろ容量ようりょう車両しゃりょうすう制約せいやくから、列車れっしゃ分割ぶんかつ併合へいごうおこなうことがある。列車れっしゃ進行しんこうしていくさいに、輸送ゆそう需要じゅようひくくなるにつれて一部いちぶ車両しゃりょうはなしていく、あるいは輸送ゆそう需要じゅようたかくなるにつれて車両しゃりょう増結ぞうけつしていくような運行うんこう仕方しかたぞうかいゆい)をすることがある。またはそうしたはなした車両しゃりょう支線しせん直通ちょくつうしてべつ終着駅しゅうちゃくえきとなる列車れっしゃになっていたり、べつ始発駅しはつえき出発しゅっぱつして支線しせんから直通ちょくつうしてくる列車れっしゃ増結ぞうけつしたりする(多層たそう列車れっしゃ)こともある[20]

初期しょき車両しゃりょうでは、1りょう単位たんい電源でんげん暖房だんぼうなどが独立どくりつした構成こうせいになっており、自由じゆう連結れんけつ解放かいほうすることができた。しかしそうした機器ききるいにかかる費用ひよう節約せつやくするため、走行そうこう必要ひつよう機器ききるい空調くうちょう電源でんげんなどを編成へんせい全体ぜんたいでまとめて最適さいてき設計せっけいしてかく車両しゃりょう配置はいちする、固定こてい編成へんせいというかんがえがまれた。さらに基本きほん編成へんせい付属ふぞく編成へんせいというわせにして、輸送ゆそう需要じゅようおうじて付属ふぞく編成へんせいはなすといった運用うんようおこなわれている[21]

列車れっしゃ設定せってい運行うんこう

編集へんしゅう

列車れっしゃ運行うんこう計画けいかく

編集へんしゅう
 
列車れっしゃダイヤ(ダイヤグラム)

列車れっしゃ運行うんこう計画けいかくは、ダイヤグラム列車れっしゃダイヤ)のかたち立案りつあんされる[22]

運行うんこう計画けいかくにおいてはまず、対象たいしょう路線ろせん輸送ゆそうりょう想定そうていし、各種かくしゅ列車れっしゃ輸送ゆそうりょく設定せっていする。乗車じょうしゃりつ混雑こんざつりつ)がひくいほど、旅客りょかくにとって座席ざせき確保かくほしやすくなってサービスじょうこのましいが、乗車じょうしゃりつひくいと輸送ゆそうりょうたい必要ひつようとされる車両しゃりょうすうえることになり、鉄道てつどう事業じぎょうしゃ運営うんえいコストじょうこのましくない。競合きょうごうする交通こうつう機関きかん状況じょうきょうまえて決定けっていされる[23]

つづいて列車れっしゃ設定せってい本数ほんすう区間くかん決定けっていする。輸送ゆそうりょうおうじて列車れっしゃ本数ほんすう調整ちょうせいしたり、編成へんせいりょうかず増減ぞうげんしたりする。また列車れっしゃ運転うんてんする区間くかんことなる路線ろせんへの直通ちょくつう列車れっしゃ設定せってい検討けんとうする。列車れっしゃ本数ほんすうおおほう旅客りょかくにとっては利用りようしやすいが、線路せんろ容量ようりょう車両しゃりょう運用うんようとのいもある[24]

設定せっていした列車れっしゃ配列はいれつ順序じゅんじょ出発しゅっぱつ時刻じこく決定けっていする。利用りようしゃ利便りべんせい考慮こうりょしつつ、線路せんろ容量ようりょうえき発着はっちゃく番線ばんせん都合つごうなどをかんがえて、かく列車れっしゃ順序じゅんじょ時刻じこく決定けっていする[24]。そしてかく列車れっしゃ使用しよう車両しゃりょう性能せいのう線路せんろ条件じょうけんおうじて計算けいさんされた基準きじゅん運転うんてん時分じぶんもとづいてえきあいだ走行そうこう時間じかんめ、かく列車れっしゃ停車駅ていしゃえき停車ていしゃ時間じかんさだめて列車れっしゃ時刻じこく確定かくていしていく[25]。こうした時刻じこく決定けっていするにあたっては、各駅かくえきあいだ閉塞へいそく条件じょうけん線路せんろ容量ようりょうえき信号しんごう条件じょうけん車両しゃりょう性能せいのうといった条件じょうけんからまる最短さいたんへだたまも必要ひつようがある[26]

列車れっしゃには、列車れっしゃ区別くべつするために、列車れっしゃ番号ばんごうあたえられる。列車れっしゃのおおよその性質せいしつることができるような番号ばんごう体系たいけいさだめられており、運行うんこう管理かんりじょう重要じゅうようであることから、どういちえきどういち番号ばんごう列車れっしゃ発着はっちゃくしないようにされている[9]

列車れっしゃ時刻じこく決定けってい表裏一体ひょうりいったいのものとして、列車れっしゃ乗務じょうむいんおよび車両しゃりょうてをおこなう、乗務じょうむいん運用うんよう計画けいかくおよび車両しゃりょう運用うんよう計画けいかく運用うんよう)が作成さくせいされる。乗務じょうむいん車両しゃりょう循環じゅんかんしてかく列車れっしゃあてたっていくことで、実際じっさい列車れっしゃ運行うんこうおこなわれる[27]

運行うんこう管理かんり

編集へんしゅう
 
運転うんてん指令しれいしょから列車れっしゃ運行うんこう管理かんりおこなわれる。

列車れっしゃ運転うんてんは、つね当初とうしょ計画けいかくどおりにおこなえるわけではなく、なんらかの原因げんいん列車れっしゃおくれがしょうじることがある。そうした列車れっしゃ運行うんこうじょうきょう監視かんしし、必要ひつようおうじて対応たいおうさくこうじて正常せいじょう運転うんてん復帰ふっきさせるために運行うんこう管理かんりおこなわれる[28]

元来がんらいは、中央ちゅうおう運転うんてん指令しれいしょから電話でんわ各地かくちえき列車れっしゃ連絡れんらくって指示しじ命令めいれいおこなっていた。現代げんだいにおいては、列車れっしゃ集中しゅうちゅう制御せいぎょ装置そうち (CTC) の導入どうにゅうすすみ、運転うんてん指令しれいしょから各駅かくえき信号しんごう設備せつび遠隔えんかく制御せいぎょして列車れっしゃ運行うんこう制御せいぎょしている[29][28]。また運転うんてん指令しれいしょ列車れっしゃ情報じょうほう伝達でんたつには、列車れっしゃ無線むせんもちいられるようになった[29]

CTCにおいても、列車れっしゃ現在げんざい位置いち列車れっしゃダイヤをもとに指令しれいいん判断はんだんおこない、制御せいぎょばんから信号しんごう制御せいぎょして列車れっしゃ運行うんこう管理かんりしていた。さらなる発展はってんとして、列車れっしゃ運行うんこうじょうきょうをコンピューターをもちいて自動的じどうてき追跡ついせきかんし、あらかじめ入力にゅうりょくされた列車れっしゃダイヤのデータと照合しょうごうして、自動的じどうてき運行うんこう管理かんりおこな自動じどう進路しんろ制御せいぎょ装置そうち (PRC) という装置そうち導入どうにゅうされるようになった[30]

列車れっしゃダイヤがみだれたさいには、運転うんてん指令しれいいん列車れっしゃダイヤや車両しゃりょう乗務じょうむいん運用うんよう計画けいかく変更へんこうおこなう。この作業さぎょうのことを運転うんてん整理せいりぶ。運転うんてん整理せいりは、評価ひょうか基準きじゅんがあいまいでむずかしく、制約せいやくきびしいうえにだい規模きぼ組合くみあわ最適さいてき問題もんだいであるという、非常ひじょうむずかしい問題もんだいである[31]

列車れっしゃ種類しゅるい

編集へんしゅう

用途ようと目的もくてきによる分類ぶんるい

編集へんしゅう

用途ようと目的もくてきによる列車れっしゃ分類ぶんるいとして、運賃うんちん徴収ちょうしゅうして一般いっぱん旅客りょかく貨物かもつ輸送ゆそうする営業えいぎょうよう列車れっしゃと、鉄道てつどう事業じぎょうしゃ業務ぎょうむ都合つごうじょう運転うんてんする事業じぎょうよう列車れっしゃ区分くぶんがある[10]営業えいぎょうよう列車れっしゃはさらに、下記かきのようにいくつかに区分くぶんされている。

旅客りょかく列車れっしゃ

編集へんしゅう

旅客りょかく列車れっしゃは、旅客りょかくひと)をせてはこ列車れっしゃである[32]

長距離ちょうきょり列車れっしゃ
都市とし観光かんこうなど需要じゅよう集中しゅうちゅうする地点ちてんむすんで設定せっていされ、ちゅう長距離ちょうきょり移動いどうするひと需要じゅよう主体しゅたいかんがえた列車れっしゃである。所要しょよう時間じかん関係かんけいから夜行やこう列車れっしゃとなる場合ばあいもある。場合ばあいによって特急とっきゅう列車れっしゃ急行きゅうこう列車れっしゃ準急じゅんきゅう列車れっしゃなどの優等ゆうとう列車れっしゃとして設定せっていされる。長距離ちょうきょり列車れっしゃは、旅客りょかく列車れっしゃなかではもっともおおきな収入しゅうにゅうげんとなる[33]
通勤つうきん列車れっしゃ
大都市だいとしけん中心ちゅうしんに、通勤つうきん輸送ゆそう担当たんとうする列車れっしゃである。膨大ぼうだい輸送ゆそう需要じゅよう時間じかんてき需要じゅよう変化へんかおおきいことを特徴とくちょうとする。鉄道てつどう旅客りょかく輸送ゆそう斜陽しゃようとなっているくににおいても、大都市だいとし通勤つうきん輸送ゆそうかぎっては鉄道てつどう巨大きょだい輸送ゆそうりょくたよらざるをない傾向けいこうがある。輸送ゆそうりょく整備せいび多大ただい費用ひようかるにもかかわらず、その設備せつび短時間たんじかんしか稼働かどうせず、しかも社会しゃかいてき要請ようせいにより割引わりびきりつたか運賃うんちんとなっていることから、鉄道てつどう経営けいえいあたえる負担ふたんおおきい[34]
団体だんたい専用せんよう列車れっしゃ
事前じぜんもうみをけた団体だんたい輸送ゆそうのために運転うんてんされる列車れっしゃである。大口おおぐち団体だんたい輸送ゆそう小口おぐち団体だんたい輸送ゆそうけられ、大口おおぐち団体だんたい場合ばあいはそのために特別とくべつ列車れっしゃ編成へんせいして臨時りんじ列車れっしゃとして運転うんてんするが、小口おぐち団体だんたい一般いっぱん旅客りょかくこんじょう輸送ゆそうとなる[35]小口おぐち団体だんたいなんくみわせてどういち列車れっしゃ輸送ゆそうする集約しゅうやく臨時りんじ列車れっしゃもある[36]
荷物にもつ列車れっしゃ
乗客じょうきゃく手荷物てにもつ小口こぐち荷物にもつあつか旅客りょかく列車れっしゃ一種いっしゅ[32]荷物にもつるい本質ほんしつてきには、貨物かもつ列車れっしゃはこんでいる貨物かもつことなるものではないが、旅客りょかく手荷物てにもつ旅客りょかく一緒いっしょ輸送ゆそうする必要ひつようがあり、また小荷物こにもつるい速達そくたつ必要ひつようがあることから、旅客りょかく列車れっしゃ連結れんけつした荷物にもつしゃはこぶことになり、旅客りょかく輸送ゆそう一部いちぶであるとされてきた。しかし小荷物こにもつ取扱とりあつかいりょうえると、そのろしのために旅客りょかく列車れっしゃ長時間ちょうじかん停車ていしゃさせることはサービスじょう問題もんだいであり、輸送ゆそう効率こうりつてんからも荷物にもつしゃだけを集約しゅうやくした荷物にもつ列車れっしゃ運行うんこうすることになって、さらに貨物かもつ列車れっしゃとの差異さいちいさくなった[37]。なお郵便ゆうびんしゃによる郵便ゆうびんぶつ輸送ゆそう同様どうよう理由りゆう旅客りょかく輸送ゆそう一部いちぶであるとされる[38]
観光かんこう列車れっしゃ
たんなる移動いどう手段しゅだんでなく、乗車じょうしゃ自体じたい観光かんこう目的もくてきとするサービス(豪華ごうかうち外装がいそう車両しゃりょう景色けしき食事しょくじなど)を提供ていきょうする列車れっしゃ[39]

貨物かもつ列車れっしゃ

編集へんしゅう

貨物かもつ列車れっしゃは、貨物かもつ輸送ゆそうおこなうための列車れっしゃである[32]

一般いっぱん貨物かもつ列車れっしゃ
様々さまざま種類しゅるい貨物かもつ搭載とうさいした雑多ざった貨車かしゃ連結れんけつした貨物かもつ列車れっしゃである。発地ほつち着地ちゃくちもばらばらであり、操車そうしゃじょう貨車かしゃをつなぎえながら目的もくてき輸送ゆそうする[40][41]。1りょう貨車かしゃ特定とくてい荷主にぬし占有せんゆう貸切かしきり)して輸送ゆそうするものをくるまあつかい(しゃあつかい)、複数ふくすう荷主にぬし共有きょうゆうして輸送ゆそうするものを小口こぐちあつかいという[42]
専用せんよう貨物かもつ列車れっしゃ
専用せんよう貨物かもつ列車れっしゃはユニットトレインともばれ、単一たんいつ種類しゅるい貨物かもつ単一たんいつ種類しゅるい貨車かしゃで、まった発地ほつちから着地ちゃくちまで輸送ゆそうする[40]一般いっぱん貨物かもつ列車れっしゃとはことなり、途中とちゅう貨車かしゃをつなぎえることなく直送ちょくそうするため、時間じかんてきにも費用ひようてきにも有利ゆうり方式ほうしきである。石炭せきたん穀物こくもつセメントなどおおくのばら貨物かもつがこの方式ほうしき輸送ゆそうされている[43]
インターモーダル貨物かもつ列車れっしゃ
インターモーダル輸送ゆそうおこな貨物かもつ列車れっしゃで、コンテナせんトラックなど、ことなる貨物かもつ輸送ゆそう手段しゅだんとのあいだ連絡れんらくして貨物かもつ輸送ゆそうする。貨物かもつ搭載とうさいした輸送ゆそうコンテナ一般いっぱんてきISO 668規格きかくされた海上かいじょうコンテナ)やトレーラー貨物かもつ列車れっしゃ搭載とうさいする。トレーラーを搭載とうさいする場合ばあいピギーバック輸送ゆそうとなる[40][44]

また、鉄道てつどう車両しゃりょう自体じたい貨物かもつとして輸送ゆそうする甲種こうしゅ鉄道てつどう車両しゃりょう輸送ゆそうや、大物おおものしゃ使つかった特大とくだい貨物かもつ輸送ゆそう貨物かもつ列車れっしゃ一種いっしゅである[45]

混合こんごう列車れっしゃ

編集へんしゅう
 
混合こんごう列車れっしゃれい機関きかんしゃちかがわ客車きゃくしゃが、うしがわ貨車かしゃ連結れんけつされている。

客車きゃくしゃ貨車かしゃを併結した列車れっしゃ混合こんごう列車れっしゃという。さらに区別くべつして、客車きゃくしゃ貨車かしゃを併結した列車れっしゃ混合こんごう列車れっしゃ貨車かしゃ客車きゃくしゃを併結した列車れっしゃじゅん混合こんごう列車れっしゃという[32]じゅん混合こんごう列車れっしゃ貨物かもつ列車れっしゃとしての運行うんこう主体しゅたいであり、貨車かしゃかいゆい貨物かもつろしに重点じゅうてんかれて、旅客りょかくあつかいはしたがえたるものである[46]

事業じぎょうよう列車れっしゃ

編集へんしゅう

事業じぎょうよう列車れっしゃは、鉄道てつどう事業じぎょうのためにもちいられるが営業えいぎょう列車れっしゃではない列車れっしゃである[47]一般いっぱん旅客りょかく貨物かもつ輸送ゆそうする列車れっしゃ使命しめいことなる列車れっしゃとして、特殊とくしゅ列車れっしゃとも[48]

工事こうじ列車れっしゃ
鉄道てつどう工事こうじよう材料ざいりょう運搬うんぱんする列車れっしゃで、軌条きじょう砂利じゃりなどをはこび、停車場ていしゃじょう以外いがい場所ばしょでもろしする[10]
試運転しうんてん列車れっしゃ
しんせい車両しゃりょう修理しゅうり完了かんりょうした車両しゃりょう試験しけん確認かくにんや、線路せんろ橋梁きょうりょうなどの状態じょうたい確認かくにんといった目的もくてき運転うんてんされる列車れっしゃ[10]
回送かいそう列車れっしゃ
車両しゃりょう車両しゃりょう基地きちからはつえきまでおくんだり、貨物かもつろした貨車かしゃおくかえしたり(かえしそら)する目的もくてき運転うんてんされる列車れっしゃ[49]回送かいそう列車れっしゃ特殊とくしゅ列車れっしゃ分類ぶんるいではなく、旅客りょかく列車れっしゃ貨物かもつ列車れっしゃ分類ぶんるいとするかんがかたもある[50]機関きかんしゃ客車きゃくしゃ貨車かしゃ連結れんけつせずに単独たんどくはしることをとく単行たんこう機関きかんしゃ列車れっしゃりゃくして単機たんきという[51]
はいゆき列車れっしゃ
線路せんろ除雪じょせつをするために運転うんてんされる列車れっしゃゆきかきしゃもちいて積雪せきせつ排除はいじょしながら運転うんてんする。ちかくに適当てきとうゆきじょうがない場合ばあいに、貨車かしゃゆきんで河川かせんなどの適当てきとうゆきじょうまではこぶために運転うんてんするゆき捨列しゃもある[10]ラッセルしゃもちいるはいゆき列車れっしゃ列車れっしゃダイヤにまれて冬期とうきあいだ定期ていきてき運転うんてんされるれいおおく、ロータリーしゃもちいるはいゆき列車れっしゃ特殊とくしゅはいゆき列車れっしゃなどとばれ、必要ひつようおうじて臨時りんじ設定せっていされることがおおい。モーターカーもちいたはいせつおこなわれるが、正式せいしきには車両しゃりょうではなく機械きかいとしてのあつかいである[52]
救援きゅうえん列車れっしゃ
事故じこ故障こしょう発生はっせいしたさいに、現場げんば復旧ふっきゅうのための資材しざい要員よういんおくんだり、車両しゃりょう収容しゅうようしたりする目的もくてき運転うんてんされる列車れっしゃである。その性格せいかくじょう列車れっしゃとしての要件ようけん例外れいがいみとめられており、えきあいだでの後退こうたいみとめられたり、信号しんごう条件じょうけんにかかわらず1閉塞へいそく区間くかん複数ふくすう列車れっしゃ進入しんにゅうみとめられたりする[10]
配給はいきゅう列車れっしゃ
鉄道てつどう事業じぎょうしゃ内部ないぶ必要ひつようとされる物品ぶっぴん部内ぶない各所かくしょ配給はいきゅうするために運転うんてんされる列車れっしゃである[10]
列車れっしゃ
列車れっしゃ、ロイヤルトレイン(宮廷きゅうてい列車れっしゃ)といった貴賓きひんせる列車れっしゃ特殊とくしゅ列車れっしゃとしてあつかわれることがある。日本にっぽん場合ばあいは、天皇てんのう皇后こうごう列車れっしゃがお列車れっしゃ皇太子こうたいし列車れっしゃ乗用じょうよう列車れっしゃばれる。またお列車れっしゃ安全あんぜんのために、その直前ちょくぜん先行せんこうしてはしらせる列車れっしゃ指導しどう列車れっしゃ通称つうしょう露払つゆはら列車れっしゃ[10][53]

動力どうりょくしゃによる分類ぶんるい

編集へんしゅう

列車れっしゃ動力どうりょくしゃ種類しゅるいにより、機関きかんしゃ牽引けんいん列車れっしゃ電車でんしゃ列車れっしゃ気動車きどうしゃ列車れっしゃなどに分類ぶんるいされる[47]異種いしゅ動力どうりょくしゃが併結されている場合ばあいはメインとなる動力どうりょくしゃ基準きじゅんとなる[47]機関きかんしゃ牽引けんいん列車れっしゃには、蒸気じょうき機関きかんしゃ使用しようするふけ列車れっしゃ電気でんき機関きかんしゃ使用しようする電機でんき列車れっしゃ内燃ないねん機関きかんしゃ使用しようする内燃ないねん列車れっしゃなどがある[10]機関きかんしゃ牽引けんいん列車れっしゃは、とくふけ列車れっしゃは、「汽車きしゃ」ともばれる[54]

運行うんこう時期じきによる分類ぶんるい

編集へんしゅう
定期ていき列車れっしゃ
毎日まいにち定期ていきてき運行うんこうされる列車れっしゃ(ただし曜日ようびにより時刻じこく多少たしょうことなる場合ばあいふくむ)[47]
ぶし列車れっしゃ
特定とくてい期間きかん限定げんていして運行うんこうされる列車れっしゃ[47]。たとえば、なつ多客たきゃくふゆのスキーシーズンにわせて運転うんてんされるような列車れっしゃのことで、ぶしによる輸送ゆそう需要じゅよう変化へんか対応たいおうするためのものである[45]
臨時りんじ列車れっしゃ
特定とくてい限定げんていして運行うんこうされる列車れっしゃ[47]団体だんたいけの列車れっしゃ団体だんたい専用せんよう列車れっしゃ)や年末年始ねんまつねんし・ゴールデンウィークなどの多客たきゃく時期じき増発ぞうはつする列車れっしゃ、イベントのために設定せっていする列車れっしゃ鉄道てつどう事業じぎょうしゃ内部ないぶ目的もくてき運転うんてんされる特殊とくしゅ列車れっしゃ試運転しうんてんはいせつ救援きゅうえん工事こうじ配給はいきゅうなど)などがある[45]

運行うんこう距離きょりによる分類ぶんるい

編集へんしゅう
長距離ちょうきょり列車れっしゃ
直通ちょくつう列車れっしゃあるいは直行ちょっこう列車れっしゃなどともび、ある区間くかん全部ぜんぶ始点してんから終点しゅうてんまでとおしで運転うんてんする列車れっしゃである[10]
区間くかん列車れっしゃ
比較的ひかくてきたん区間くかん運転うんてんするもので、近郊きんこう列車れっしゃ、ローカル列車れっしゃなどとも[10]
しょう運転うんてん列車れっしゃ
区間くかん列車れっしゃなかでもとくみじか区間くかん運行うんこうする列車れっしゃのことを区別くべつしてしょう運転うんてん列車れっしゃぞくに「ちょんぎょう」と[10]

運転うんてん時間じかんたいによる分類ぶんるい

編集へんしゅう
ひる行列ぎょうれつしゃ
昼間ひるま有効ゆうこう時間じかんたい運転うんてんされる列車れっしゃであり、始発駅しはつえき出発しゅっぱつ時刻じこくがおおむね5以降いこう終着駅しゅうちゃくえき到着とうちゃく時刻じこくがおおむね23以前いぜん程度ていどになるものである[10]ひる行列ぎょうれつしゃ夜行やこう列車れっしゃくらべると快速かいそくせいおもきをおき、1にちをできるだけ有効ゆうこう使つかえるような時刻じこく設定せっていいとされる[55]
夜行やこう列車れっしゃ
おおむね18以降いこう始発駅しはつえき出発しゅっぱつし、おおむね翌朝よくあさ8ごろまでに終着駅しゅうちゃくえき到着とうちゃくするような列車れっしゃである。主要しゅよう大都市だいとし相互そうごあいだ有効ゆうこう時間じかんたい考慮こうりょして設定せっていされる。所要しょよう時間じかんなが列車れっしゃになると、昼間ひるま運転うんてんされる区間くかんについてはひる行列ぎょうれつしゃ性格せいかくあわつことがある[10]夜行やこう列車れっしゃ場合ばあいかならずしも速達そくたつせい重視じゅうしされず、出発しゅっぱつ到着とうちゃく適時てきじになることが重視じゅうしされる[55]所要しょよう時間じかんが6あいだえると、旅客りょかくひる行列ぎょうれつしゃより夜行やこう列車れっしゃこの傾向けいこうがあるとされている[56]

日本にっぽんでの技術ぎじゅつてき要件ようけん

編集へんしゅう

日本にっぽん鉄道てつどう運転うんてんあつかいでは、旅客りょかく貨物かもつ輸送ゆそう直接ちょくせつ鉄道てつどう車両しゃりょう使つかっている場合ばあいと、それ以外いがい場合ばあい区別くべつしている。輸送ゆそう直接ちょくせつ使つかわれる、停車場ていしゃじょうあいだでの鉄道てつどう車両しゃりょう運転うんてん移動いどう)を「列車れっしゃ」とび、それ以外いがい鉄道てつどう車両しゃりょう移動いどうたんに「車両しゃりょう」とぶ。輸送ゆそう準備じゅんび後始末あとしまつえき構内こうない車両しゃりょう基地きちにおいておこな移動いどうにゅうかわ)が車両しゃりょうである。列車れっしゃとして運転うんてんする場合ばあいには、車両しゃりょうくらべて高度こうど安全あんぜん要件ようけんたすことが要求ようきゅうされる[57]

列車れっしゃとして具備ぐびするべき条件じょうけんは、以下いかのようなものがある[58]

運転うんてん時刻じこく設定せってい
旅客りょかく係員かかりいんへの周知しゅうちのほか、列車れっしゃ相互そうご安全あんぜん確保かくほのためにも、あらかじめ時刻じこくめて列車れっしゃ運転うんてんする。
編成へんせい
計画けいかくした時刻じこくどおりに列車れっしゃ運転うんてんができるように、動力どうりょくしゃ配置はいちなど所定しょてい編成へんせい確保かくほし、その編成へんせいちょう停車場ていしゃじょう停車ていしゃしたさい線路せんろ支障ししょうしないように、所定しょていながさにおさまるようにする。
ブレーキ
所要しょようのブレーキりょく発揮はっきできるように、貫通かんつうブレーキ装備そうびし、ブレーキりょく作用さようする車軸しゃじく編成へんせい全体ぜんたい一定いってい割合わりあい以上いじょうとなるようにする。連結れんけつした車両しゃりょう分離ぶんりした場合ばあいでも停止ていしさせられるように、なんらかの手段しゅだん自動的じどうてきにブレーキが作用さようするようにしておく。運転うんてん先立さきだってブレーキテストをおこない、まさしくブレーキが動作どうさすることを確認かくにんする。
乗務じょうむいん
運転うんてん乗務じょうむさせる。必要ひつようおうじて列車れっしゃ防護ぼうごなどの役割やくわりをするほか乗務じょうむいん乗務じょうむさせる。運転うんてんさいしては安全あんぜんかつ円滑えんかつ運転うんてんできるように、最前さいぜん運転うんてんせきとする。
標識ひょうしき
所定しょてい運転うんてん方向ほうこうがわかるように、連結れんけつした車両しゃりょう最前さいぜんには前部ぜんぶ標識ひょうしきを、最後さいごには後部こうぶ標識ひょうしきかかげる。
危険きけんひんあつか
貨物かもつ列車れっしゃにおいて危険きけんひん積載せきさいするときには、当該とうがい車両しゃりょう前後ぜんごさだめられたりょうかず空車くうしゃまたは危険きけんのない貨物かもつ搭載とうさいした車両しゃりょうはさむ。

愛称あいしょう列車れっしゃ

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ロンドン・ヴィクトリアえき出発しゅっぱつする「黄金おうごんごう蒸気じょうき機関きかんしゃぜん頭部とうぶにヘッドマークをかかげている。
 
貨物かもつ列車れっしゃ愛称あいしょうけたれい日本にっぽん国有こくゆう鉄道てつどうのコンテナ特急とっきゅうたから」。先頭せんとうしゃではなく、さい後尾こうび車掌しゃしょうしゃに「たから」と表示ひょうじされていた。

旅客りょかくにアピールする目的もくてきで、列車れっしゃに「黄金おうごん」(イギリスフランス)や「20世紀せいき特急とっきゅう」(アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく)など、列車れっしゃ愛称あいしょうけることがある[59]。そうした愛称あいしょうきの列車れっしゃ(ネームド・トレイン named train)には、シンボルマークをえがいたヘッドマーク・テールマークをけることがある[60]

世界せかい最初さいしょ愛称あいしょうけた列車れっしゃは、1848ねんにイギリスで運行うんこう開始かいしした「アイリッシュ・メール」である。鉄道てつどう普及ふきゅう以前いぜんには、えき馬車ばしゃ(ステージコーチ)のなかでもっともはやいものに郵便ゆうびんぶつせてはこんでおり、そうしたステージコーチをとくにメールコーチと慣習かんしゅうがあった。そのためにメールが名前なまえにははやいという印象いんしょうがあったことから、アイルランド最速さいそく列車れっしゃをアピールしてアイリッシュ・メールと名付なづけられた(ただしアイルランドへ直通ちょくつうしているわけではなく、アイルランドきのふねみなとへの列車れっしゃである)。以降いこうさき地名ちめいにメールをけた愛称あいしょうがつけられていった[61]。また、競走きょうそうザフライングダッチマン名前なまえにちなんでグレート・ウェスタン鉄道てつどう名付なづけた「フライング・ダッチマン」も人気にんきはくし、「フライング・スコッツマン」など同様どうようにフライングをけた列車れっしゃめいがイギリス国外こくがいふくめてひろがっていった[62]

日本にっぽんではながらく列車れっしゃ番号ばんごうのみで列車れっしゃ識別しきべつしていたが、昭和しょうわ初期しょききょう輸送ゆそうりょく余剰よじょう気味ぎみであったことから、列車れっしゃ愛称あいしょうけてしたしんでもらおうという意図いとで、東京とうきょう - 下関しものせきあいだ特急とっきゅう列車れっしゃ2往復おうふく愛称あいしょうけることになり、列車れっしゃめい一般いっぱん公募こうぼして「富士ふじ」「さくら」と名付なづけて1929ねん昭和しょうわ4ねん)9がつ15にちのダイヤ改正かいせいから時刻じこくひょうにも掲載けいさいされて運行うんこうされるようになった。だい世界せかい大戦たいせんちゅう一時いちじてき列車れっしゃ愛称あいしょう途絶とだえるが、戦後せんご復活ふっかつし、列車れっしゃ増発ぞうはつとともに愛称あいしょう増加ぞうかしていった。おなじような運行うんこう系統けいとう運行うんこう目的もくてき列車れっしゃを「○○1ごう・2ごう」あるいは「だい1・だい2○○」のように番号ばんごうきで区別くべつすることもはじまり、ヨンサントオ昭和しょうわ43ねん10がつ1にちダイヤ改正かいせい)でどういち区間くかん列車れっしゃめいはできるだけ愛称あいしょう統一とういつすることや、末尾まつびに1ごう・2ごうづけばんすることで出発しゅっぱつ順序じゅんじょ区別くべつすることなどがめられた[59]

なお、「とびうお」「たから」など、貨物かもつ列車れっしゃ愛称あいしょうがつけられた事例じれいもある[63]

脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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