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蒸気機関車 - Wikipedia

蒸気じょうき機関きかんしゃ

蒸気じょうき機関きかん動力どうりょくとする機関きかんしゃ

蒸気じょうき機関きかんしゃ(じょうききかんしゃ)は、蒸気じょうき機関きかん動力どうりょくとする機関きかんしゃのことである。

グレート・ウェスタン鉄道てつどう6000かたち(キングクラス)蒸気じょうき機関きかんしゃ図面ずめん

日本にっぽんでは Steam Locomotive の頭文字かしらもじをとって、SL(エスエル)ともばれる。また、蒸気じょうき機関きかんしゃ、または蒸気じょうき機関きかんしゃ牽引けんいんする列車れっしゃのことを、汽車きしゃきしゃとも[注釈ちゅうしゃく 1][注釈ちゅうしゃく 2]。また、明治めいじ時代じだいには蒸気じょうきせんたいしてりくうえ蒸気じょうき機関きかんはしることから、「陸蒸気おかじょうきおかじょうき」ともんでいた。だい世界せかい大戦たいせんころまでは汽缶きかんしゃきかんしゃ[注釈ちゅうしゃく 3]という表記ひょうきもちいられた(「汽缶きかん」はボイラー)。

 
リチャード・トレビシックによる1802ねん製作せいさく蒸気じょうき機関きかんしゃ
 
1829ねんレインヒル・トライアル勝利しょうりしたジョージ・スチーブンソン製作せいさくロケットごう

蒸気じょうき機関きかんしゃ発明はつめい以前いぜんから鉄道てつどう台車だいしゃ荷役にやく動物どうぶつかせるものはあった[注釈ちゅうしゃく 4]馬車ばしゃ鉄道てつどうなどである。

1802ねんリチャード・トレビシックがマーサー・ティドヴィルのペナダレン製鉄せいてつしょこうあつ蒸気じょうき機関きかん台車だいしゃせたものをつくった。これが世界せかいはつ蒸気じょうき機関きかんしゃとされている。1803ねん、トレビシックはこの蒸気じょうき機関きかんしゃ特許とっきょサミュエル・ホンフレイ売却ばいきゃく。ホンフレイは、トレビシックの蒸気じょうき機関きかんしゃが10トンのてつ牽引けんいんして、とある区間くかんやく16km)をはこべるかけをおこない、1804ねん2がつ21にち、ペナダレンごうが10トンのてつと5りょう客車きゃくしゃ、それにった70にん乗客じょうきゃくを4あいだ5ふん輸送ゆそうすることに成功せいこうした。

1814ねんジョージ・スチーブンソンがキリングワースで石炭せきたん輸送ゆそうのための実用じつようてき蒸気じょうき機関きかんしゃ設計せっけいし「Blücher」(ブリュヘルごう)と名付なづ[注釈ちゅうしゃく 5]、ウェストムーアの自宅じたくうら作業場さぎょうば製作せいさくし、1814ねん7がつ25にちはつ走行そうこう成功せいこう時速じそく6.4kmでさかのぼり30トンの石炭せきたんはこぶことができるものであった。

蒸気じょうき機関きかんしゃ発明はつめい開発かいはつかかわった主要しゅよう人物じんぶつ

編集へんしゅう
リチャード・トレビシック
1804ねんイギリス蒸気じょうき機関きかんしゃ走行そうこうさせる。鉄道てつどう史上しじょうはつとされている。
ジョージ・スチーブンソン
公共こうきょう鉄道てつどう走行そうこうする最初さいしょ蒸気じょうき機関きかんしゃロコモーションごう」を制作せいさく。さらに「ロケットごう」で蒸気じょうき機関きかんしゃ基本きほん設計せっけい確立かくりつした。
ロバート・スチーブンソン
ジョージ・スチーブンソンの息子むすこちちとともに蒸気じょうき機関きかんしゃ実用じつよう運転うんてん貢献こうけん
マーク・イザムバード・ブルネル
シールド工法こうほうでロンドンの地下鉄ちかてつ建設けんせつした。
イザムバード・キングダム・ブルネル
広軌こうきのグレートウエスタン鉄道てつどう建設けんせつした。
マシュー・マレー
1812ねん軌条きじょう側面そくめんがラックレールの軌道きどうはし機関きかんしゃサラマンカごうはしらせた。
ナイジェル・グレズリー
グレズリーしき連動れんどうべん装置そうち開発かいはつ。またA3かたち蒸気じょうき機関きかんしゃ速度そくど記録きろくマラードごう設計せっけいした。
アンドレ・シャプロン
キルシャップの開発かいはつやボイラの内的ないてきりゅうせんとうの、蒸気じょうき機関きかんしゃ科学かがくてき改良かいりょうはじめてった。のちにリビオ・ダンテ・ポルタら蒸気じょうき機関きかんしゃ技術ぎじゅつしゃ多大ただい影響えいきょうあたえた。

世界せかい各国かっこく歴史れきし

編集へんしゅう
日本にっぽんでの歴史れきし
 
ペリー提督ていとく幕府ばくふ献上けんじょうした蒸気じょうきしゃ

蒸気じょうき機関きかんしゃ原理げんり

編集へんしゅう
 
The main components of a steam locomotive
  1. しつ
  2. はいざら
  3. みず (ボイラー内部ないぶ)
  4. けむりしつ
  5. 運転うんてんしつ
  6. 炭水車たんすいしゃ
  7. 蒸気じょうきため
  8. 安全弁あんぜんべん
  9. 加減かげんべん
  10. けむり室内しつない加熱かねつかんせとそれに付属ふぞくした過熱かねつかん
  11. ピストン
  12. ブラスト・パイプ
  13. べん装置そうち
  14. ギュレータ・ロッド
  15. ドライブ・フレーム
  16. したがえポニー台車だいしゃ[注釈ちゅうしゃく 6]
  17. さきポニー台車だいしゃ[注釈ちゅうしゃく 6]
  18. ベアリングおよじくばこ
  19. いたばね
  20. ブレーキへん
  21. 空気くうきブレーキ・ポンプ
  22. (前部ぜんぶ) 中央ちゅうおう連結れんけつ
  23. 汽笛きてき
  24. すなばこ

蒸気じょうき機関きかんしゃかして発生はっせいした蒸気じょうき動力どうりょくげんとして走行そうこうする。

ここではおも世界せかい各国かっこくひろ使用しようされていた、煙管きせるしきボイラーとシリンダーを使用しようするタイプの蒸気じょうき機関きかんしゃについて説明せつめいする。

一般いっぱんてき蒸気じょうき機関きかんしゃはしらせるのに必要ひつよう機構きこうとしては以下いかのものがあげられる。

  • 石炭せきたんひとし燃料ねんりょう効率こうりつよくやして、高温こうおん燃焼ねんしょうガスつくしつ
  • しつ発生はっせいした燃焼ねんしょうガスのねつエネルギーを利用りようしてみず沸騰ふっとうさせ、高温こうおんだかあつ蒸気じょうきつくボイラー
  • シリンダーおく蒸気じょうき方向ほうこうりょう制御せいぎょする各種かくしゅべん装置そうち
  • 蒸気じょうきのエネルギーを往復おうふく運動うんどうのエネルギーにえるシリンダー。
  • シリンダーの往復おうふく運動うんどう回転かいてん運動うんどう変換へんかん駆動くどうりょく発生はっせいさせるロッドと動輪どうりん
 
切断せつだん展示てんじぶつしつ (ひだり) およびボイラー (みぎ)

しつ燃料ねんりょう燃焼ねんしょうして高温こうおんのガスをつく場所ばしょである。しつそこゆか部分ぶぶんかすかすはいちるように格子こうしじょう(いわゆる格子こうし)につくられている。

蒸気じょうき機関きかんしゃ出力しゅつりょくめるだいいち要因よういんは「しつでどれだけおおきなねつエネルギーを発生はっせいできるか」であり、その指標しひょうとしてしつひら面積めんせきあらわ格子こうし面積めんせき使つかわれる。格子こうし面積めんせき狭軌きょうき一般いっぱんてきであった日本にっぽん場合ばあい明治めいじ初期しょきのころの機関きかんしゃで1m2以下いか、それ以降いこう順次じゅんじ増大ぞうだいD51かたちで3.27m2までおおきくなった[注釈ちゅうしゃく 7]が、しつへの燃料ねんりょう供給きょうきゅう人力じんりきシャベル)によるとうずみであった。さらに大型おおがた日本にっぽん最大さいだい)で戦時せんじ貨物かもつ増大ぞうだい対応たいおうして製作せいさくされたD52かたちでは格子こうし面積めんせきは3.85m2となったが、これは1人ひとり人力じんりきとうずみおこなうには限界げんかいちか負担ふたんいたため、だい世界せかい大戦たいせんどう形式けいしきのボイラーを流用りゅうようして製作せいさくされたC62かたちなどとともに、蒸気じょうきエンジンで駆動くどうされる自動じどうきゅうすみ装置そうち(メカニカルストーカー)が装備そうびされた。ちなみに標準軌ひょうじゅんき採用さいようしたみなみまんしゅう鉄道てつどう特急とっきゅう列車れっしゃあじあ」を牽引けんいんしたパシナがた機関きかんしゃ格子こうし面積めんせきは6.25m2で、ストーカーが標準ひょうじゅん搭載とうさいされていた。また、日本にっぽんおなじく狭軌きょうき標準ひょうじゅんとしていたみなみアフリカでは当時とうじ黒人こくじん労働ろうどうしゃてい賃金ちんぎん利用りようできたことから、かれらをなげすみしゅとして複数ふくすう乗務じょうむさせ、交代こうたいぜん力投りきとうすみさせる[注釈ちゅうしゃく 8]ことでストーカーを装備そうびせずにゆか面積めんせき日本にっぽん機関きかんしゃよりもおおきくとるケースが存在そんざいした。

なお、きゅうずみ手間てま燃費ねんぴのぞいてもゆか面積めんせき出力しゅつりょくたい十分じゅうぶん火力かりょくられるならば無理むり拡大かくだいする必要ひつようはなく、とくうちしつ容積ようせきくらべて過剰かじょうおおきい場合ばあい不完全ふかんぜん燃焼ねんしょうきやすくなる[注釈ちゅうしゃく 9]

強力きょうりょくではそのボイラー容量ようりょう見合みあった火力かりょくるため巨大きょだいしつそなえるケースがおおいが、こうカロリーの良質りょうしつ燃料ねんりょう常用じょうようできる環境かんきょうにあった鉄道てつどうたとえばイギリスのグレート・ウェスタン鉄道てつどう(GWR)の機関きかんしゃでは、4073かたち(キャッスルきゅうあるいはカースルきゅうとも。じく配置はいち2C、過熱かねつしき単式たんしき4気筒きとうせましつ格子こうし面積めんせき2.73m2)のように、せましつのままで他社たしゃ保有ほゆうしていたどうクラスの機関きかんしゃ上回うわまわ高性能こうせいのう発揮はっきするれい[注釈ちゅうしゃく 10]すくなからず存在そんざいした[注釈ちゅうしゃく 11]こうしつは、そうじててい品質ひんしつ燃料ねんりょうでよりおおきな出力しゅつりょく手段しゅだんとして利用りようされていたのである。

機関きかんしゃしつには、左右さゆうたいわくあいだ設置せっちしたいわゆるせましつタイプと、より大型おおがた機関きかんしゃ設置せっちされるたいわくはば軌間きかん)よりおおきなこうしつタイプのものがある。D52ひとし一部いちぶ形式けいしきでは煙管きせる手前てまえ燃焼ねんしょうしつそなえる。

基本きほんてき軌間きかん同一どういつならおな面積めんせきゆか面積めんせき場合ばあいせましつよりこうしつほう奥行おくゆきがみじかくなるぶんとうずみらくになるが、おくまで石炭せきたんとど構造こうぞうならばむしろなげすみこう左右さゆうにシャベルをかえ手間てまはぶけるのでせましつのほうがらく場合ばあいもある(前方ぜんぽうへの傾斜けいしゃ調節ちょうせつ前後ぜんごはばが3.8mもあるゆか前部ぜんぶ石炭せきたんくずれていくようにしたフランスのノール鉄道てつどうのスーパーパシフィックや、パリ・オルレアン鉄道てつどうの240.700がたなど)[2]

石炭せきたんえるさいほのおは、石炭せきたん成分せいぶん分解ぶんかい蒸発じょうはつしながら空気くうきちゅう酸素さんそ反応はんのうしているため、燃焼ねんしょうガスの温度おんど石炭せきたん自体じたいからすこはなれたところで最高さいこうとなる。このため室内しつないには燃焼ねんしょうガスのながれを迂回うかいうかいさせて、ボイラーのかく煙管きせる距離きょりかせいで最高さいこう温度おんど燃焼ねんしょうガスをみちびくのとかく煙管きせる均等きんとう燃焼ねんしょうガスがながれることができるようにしつ中央ちゅうおうななめにとおるアーチかんせらた邪魔じゃまばん (煉瓦れんがれんがアーチ)がある。しつ前後ぜんご左右さゆう上部じょうぶかんどうないみずかこまれておりうちしつばれている、前述ぜんじゅつしたアーチかんには、かんどうないみずはいむことで、かんどうないみず循環じゅんかんさせる役割やくわりたせており、ここの部分ぶぶんそとしつばれボイラーの一部いちぶとなっている。また、燃焼ねんしょうガスの火力かりょくたかめるためにうちしつとボイラーの煙管きせるあいだ燃焼ねんしょうしつもうける場合ばあいがある。これは、しつ邪魔じゃまばんうえ空間くうかん延長えんちょうされた構造こうぞうとなっている。

蒸気じょうき機関きかんしゃによっては無煙炭むえんたんより安価あんか重油じゅうゆ使用しようして人力じんりき節約せつやくしてこう出力しゅつりょくるためにしつ重油じゅうゆ散布さんぷ装置そうち設置せっちしたものがある。くにでも重油じゅうゆ併用へいようできる蒸気じょうき機関きかんしゃ多数たすう使用しようされていた[3]

自動じどうきゅうすみ

編集へんしゅう

格子こうし面積めんせきおおきいこうしつそなえた機関きかんしゃ装備そうびされ、炭水車たんすいしゃからスクリュー(おくりねじ)で石炭せきたん運転うんてんしつまで搬送はんそうし、蒸気じょうき室内しつないばした。

大型おおがたおお大量たいりょう石炭せきたん消費しょうひしたアメリカでは、1901ねんには開発かいはつされ、1905ねんごろには、普及ふきゅう。1938ねんには法律ほうりつで、ボイラーのおおきなSLには、搭載とうさい義務付ぎむづけられた。この通達つうたつで、1939ねん4がつ15にち以降いこう製造せいぞうされる動輪どうりん重量じゅうりょうで16まんlbs(ポンド)以上いじょう旅客りょかくよう機関きかんしゃおなじく17.5まんlbs(ポンド)以上いじょう貨物かもつよう機関きかんしゃに、搭載とうさいされた。

その日本にっぽんでも導入どうにゅうされた。

1大戦たいせんペンシルバニア鉄道てつどう当時とうじ主力しゅりょくK4がたゆか面積めんせき6.5平方へいほうm)に大量たいりょう採用さいようされ、そのゆか面積めんせき5.5平方へいほうm以上いじょう機関きかんしゃには設置せっち義務付ぎむづけられたが、そこまで多量たりょう石炭せきたん消費しょうひしないヨーロッパ諸国しょこく(+日本にっぽん)ではきにくらべて無駄むだおおいとされ、フランスでは1938ねんのフランス国鉄こくてつ(SNCF)450Pかたちはつ採用さいようしたものの設置せっちされた機関きかんしゃ少数しょうすうで、イギリスは最後さいごまで設置せっちせず、ドイツや日本にっぽん大戦たいせんまえには使用しようである[4]

日本にっぽんでは蒸気じょうき機関きかんしゃよう自動じどうきゅうすみは、1948ねん昭和しょうわ23ねんせいのC62かたち、C61かたち嚆矢こうしとして、戦時せんじがたのD52がたについても、標準ひょうじゅんがたへの装備そうび改造かいぞうおよびD62がたへの改造かいぞう装備そうびされた。熱量ねつりょうひく石炭せきたん使用しようする常磐線じょうばんせんようのD51がた一部いちぶにも搭載とうさいされた。

しつつくられた高温こうおん燃焼ねんしょうガスは、煙管きせるばれるすうおおくのほそかんみちびかれる。煙管きせる本数ほんすうかんのサイズは機関きかんしゃ出力しゅつりょく性能せいのうおおきく関与かんよするが、本数ほんすうは50ほんから200ほんかん直径ちょっけいは50mm前後ぜんこうである。煙管きせる周囲しゅういみずたされており、燃焼ねんしょうガスが通過つうかするさいねつ伝導でんどうけて蒸気じょうき発生はっせいする、いわゆるボイラーであり、この部分ぶぶんかんどうばれている。ボイラーの材質ざいしつ鋼鉄こうてつ一般いっぱんてきだったが、イギリスとうではどう使用しようされた。発生はっせいした蒸気じょうき上部じょうぶ蒸気じょうきためじょうきだめのドームに一旦いったんためめられ、められた蒸気じょうきは、蒸気じょうき機関きかんしゃ各種かくしゅるい作動さどうさせるために取付とりつけられた配管はいかんにより分配ぶんぱいされるが、走行そうこう使用しようされる蒸気じょうきは、加減かげんべん流量りゅうりょう調整ちょうせい乾燥かんそうかんとおって蒸気じょうきちゅう水分すいぶんのぞかれて乾燥かんそうされた蒸気じょうきとなり、けむりしつしゅ蒸気じょうきかんかいしてはし装置そうち蒸気じょうきしつのシリンダーにおくられる。

まれに車両しゃりょう限界げんかい都合つごうなどでドームがない機関きかんしゃもあり、こういった車両しゃりょうかんどうさい上部じょうぶほそいスリットをかんとおし、そこから蒸気じょうき採集さいしゅうする。蒸気じょうき気体きたいなので普通ふつうにこのあな通過つうかできるがおな流体りゅうたいでも粘性ねんせいのある熱湯ねっとう通過つうかしにくいためシリンダーがわはいることはまずないが、勾配こうばい区間くかんでの使用しようかんしては当然とうぜんドームがあるほう安全あんぜんであり、日本にっぽんなどでは使用しようされていない[5]

使用しようされる蒸気じょうきは、圧力あつりょくが10-16kg/cm2温度おんどは200℃の飽和ほうわ蒸気じょうき使用しようする飽和ほうわしきと、さらに蒸気じょうき加熱かねつして圧力あつりょくたかめるため、しゅ蒸気じょうきかん乾燥かんそうかんあいだ過熱かねつかんせとそこから煙管きせる内部ないぶまでびて過熱かねつかんせにもど過熱かねつかん装備そうびして、乾燥かんそうかんからの蒸気じょうきを、過熱かねつかんせから過熱かねつかんかいして通過つうかさせることにより、蒸気じょうき温度おんどをさらに300-400℃にたかめた過熱かねつ蒸気じょうき使用しようする過熱かねつしきとがあり、直径ちょっけい通常つうじょう煙管きせるの2ばい以上いじょう過熱かねつかん内蔵ないぞうした煙管きせるだい煙管きせるんでいる。1910年代ねんだい以降いこう大型おおがた機関きかんしゃには過熱かねつ蒸気じょうき使用しようするようになった。

ボイラーの上部じょうぶには蒸気じょうきあつたかくなりすぎたときに蒸気じょうきがして圧力あつりょくげる安全弁あんぜんべんまんいち故障こしょう考慮こうりょしてかなら複数ふくすう装備そうびされる)や、汽笛きてき装備そうびされている。またボイラーない水位すいい維持いじするために、水槽すいそうからあたらしいみず注水ちゅうすいするための給水きゅうすいポンプやインゼクタ注水ちゅうすい)の2つが取付とりつけられており、2つのルートからボイラーにみずおく仕組しくみとなっている。両者りょうしゃとも動力どうりょくげんにボイラーの蒸気じょうき使用しようしているが、後者こうしゃ蒸気じょうきためからの配管はいかんから直接ちょくせつ蒸気じょうきおくられる。また、ボイラーかんどうない装備そうびされた注水ちゅうすいパイプにより、均一きんいつみず噴射ふんしゃさせてボイラーない水温すいおんにムラがないようにしている。なか大型おおがたでは注水ちゅうすいさい低温ていおんみず注水ちゅうすいすることでボイラーないみず温度おんど低下ていかこし蒸気じょうきあつがるのを防止ぼうしするため、一般いっぱん走行そうこうちゅう給水きゅうすいポンプから給水きゅうすいあたた蒸気じょうきしつのシリンダーやるい使用しようされた蒸気じょうきとおしてみずねつつたえるねつ交換こうかん)をかいしてボイラーに注水ちゅうすいし、走行そうこうちゅうぜっちゅうはインゼクタを使用しようする[6](なおインゼクタは冷水れいすいでないと給水きゅうすいできないのでこれだけを使つか機関きかんしゃでは給水きゅうすいあたた必要ひつようはない[7])。

なお、だい世界せかい大戦たいせんちゅうのドイツで設計せっけい製作せいさくされた貨物かもつようの52がたでは、じく配置はいち1Eの大型おおがたであったが構造こうぞう簡素かんそによる生産せいさんせい向上こうじょう目的もくてきとしてインゼクタを複数ふくすう搭載とうさいとして従来じゅうらいのドイツ国鉄こくてつ標準ひょうじゅんであった給水きゅうすいポンプ+給水きゅうすいあたた搭載とうさい省略しょうりゃくされ、またイギリスのグレート・ウェスタン鉄道てつどうなどではやはりインゼクタの複数ふくすう搭載とうさい標準ひょうじゅんとしていたが、クラックべんしょうする特殊とくしゅべん使用しようすることで、ボイラーに注水ちゅうすいされるみず温度おんど段階だんかいてきげられる、つまり給水きゅうすいあたた使用しようするのと同様どうよう効果こうかられるような機構きこう採用さいようしていた。

ボイラーの性能せいのうあらわ指標しひょうとして、蒸気じょうき圧力あつりょく飽和ほうわしき過熱かねつしきか、煙管きせるだい煙管きせるふとさと本数ほんすうまたは煙管きせるそう表面積ひょうめんせきねつ伝導でんどう面積めんせきなどが使用しようされる。一般いっぱんにボイラーでは圧力あつりょくたかいほどエネルギー効率こうりつ上昇じょうしょうする(飽和ほうわしき場合ばあいみずもどりにくくなるというメリットもまれる)が、蒸気じょうきれなどにたいする対策たいさく高度こうど技術ぎじゅつ必要ひつようとなるのでそういったいで上限じょうげんさだめ、蒸気じょうき機関きかんしゃ場合ばあい構造こうぞうじょう運用うんよう都合つごうもあってしき船舶せんぱくのボイラーなどと比較ひかくすれば低圧ていあつ部類ぶるいはいる。
最初さいしょ蒸気じょうき機関きかんしゃでは1829ねんのスチーブンソンのロケットごう出場しゅつじょうしたレインヒルトライアルのルールが「(安全あんぜんのため)ボイラ圧力あつりょくは1平方へいほうインチたり50ポンド(やく3.55気圧きあつ以下いか」と非常ひじょう低圧ていあつで、その鋳鉄ちゅうてつ技術ぎじゅつ向上こうじょうで1850ねんごろには10気圧きあつ程度ていどまでがり、以下いか1870年代ねんだいには鋼鉄こうてつせい一般いっぱんして11~12気圧きあつ、20世紀せいき初頭しょとうには13~14気圧きあつぐらいでイギリスの場合ばあいでは最盛さいせいで17.7気圧きあつ正確せいかくには「1平方へいほうインチたり250ポンド」)になった。くに場合ばあいはフランスは複式ふくしきおおいので初期しょき圧力あつりょくたかめにして20世紀せいき初頭しょとうに16気圧きあつ、1930年代ねんだいに20気圧きあつのものがはじめこれが全盛期ぜんせいき標準ひょうじゅん。ドイツは過熱かねつ蒸気じょうきはやいうちに採用さいようしたので低圧ていあつでも飽和ほうわ蒸気じょうきのような問題もんだいきないと保守ほしゅらくにするため、あまり圧力あつりょくげずにだい大戦たいせんまえでも16気圧きあつ付近ふきん上限じょうげん戦後せんご試作しさく10がたの18気圧きあつ最大さいだいで、これを手本てほんにした日本にっぽん世界せかいてきには低圧ていあつ気味ぎみ[注釈ちゅうしゃく 12]明治めいじ初期しょきのイギリスなどから輸入ゆにゅうした機関きかんしゃで8気圧きあつ前後ぜんこうからはじまって順次じゅんじ昇圧しょうあつしたが最大さいだいで16気圧きあつまでにとどまっている(計画けいかくでは18気圧きあつのものもあった)。試験しけんてきなもの(みずかんしきボイラーを採用さいようしていた一部いちぶ試作しさく機関きかんしゃでは、ボイラー圧力あつりょくが100kg/cm2えもあったが実用じつようてき成功せいこうしたものはない)をのぞくと高圧こうあつおおかったのは蒸気じょうき機関きかんしゃ全盛期ぜんせいきのアメリカで、黎明れいめいの19世紀せいきなかごろ時点じてんでは7気圧きあつとかなりひくかったが1893ねんのNYCの999ごうNew York Central and Hudson River Railroad No. 999)が12.6気圧きあつ、そのくに圧力あつりょく進化しんかまっても上昇じょうしょうつづけ、だい大戦たいせんちゅう21気圧きあつ戦後せんごノーフォーク&ウェスタン鉄道てつどうで22気圧きあつ煙管きせるしきボイラーでたっしている[8]

けむりしつ

編集へんしゅう

けむりしつ機関きかんしゃ先頭せんとう部分ぶぶんにあり、ボイラーない煙管きせる通過つうかした燃焼ねんしょうガスと蒸気じょうき室内しつないのシリンダーでピストンの作動さどうさせた蒸気じょうき排気はいきブラスト)が吐出としゅつかんかいしてはいり、その上部じょうぶにある煙突えんとつから両者りょうしゃされるところである。吐出としゅつかんからいきお噴射ふんしゃした蒸気じょうきが、上部じょうぶにある煙突えんとつがけてながれるため、霧吹きりふきでみずげられるように、気圧きあつによりうちしつからの燃焼ねんしょうガスを煙管きせるかいして強制きょうせいてき誘引ゆういんすることにより、うちしつへの空気くうき流入りゅうにゅうりょうえて燃焼ねんしょう効率こうりつ向上こうじょうたすけるはたらきをっており、これを「ドラフト」という。

模索もさく機関きかんしゃふくすいしき機関きかんしゃではドラフトに圧縮あっしゅく空気くうき使用しようするものもあったが、模索もさくべいふつにあった車軸しゃじくからベルトでふいごをうごかす装置そうちでは勾配こうばい低速ていそくになる)でドラフトがよわまるという致命ちめいてき問題もんだいがあったため、蒸気じょうき消費しょうひりょうおおくなるほどドラフトがつよくなる排気はいきブラストを使用しようする方法ほうほうえることはなく[9]ふくすいしき蒸気じょうきてずにみずもどしてさい使用しようする以上いじょう排気はいきブラストが使つかえないことから一部いちぶ蒸気じょうきでタービンをまわしてそれで車体しゃたい前部ぜんぶでは排気はいきブラストにわってドラフトをこし、テンダーでは蒸気じょうきやしてみずもどしたが、このエネルギーぶん燃料ねんりょうとメンテナンスの手間てま増大ぞうだいしたので、ふくすいしき自体じたい商業しょうぎょうてき成功せいこうしなかった[10]

また、けむりうえ煙管きせるとおりやすいので燃焼ねんしょうガスのながれを上下じょうげ均一きんいつにするため、加減かげん反射はんしゃばん装備そうびして、蒸気じょうき通過つうか速度そくど一番いちばんはやけむりしつ下部かぶ迂回うかいして燃焼ねんしょうガスをみちびいており[11]加減かげん反射はんしゃばん迂回うかい度合どあいを調整ちょうせいすることが可能かのうである。また、一部いちぶ機関きかんしゃでは、吐出としゅつかんからるの蒸気じょうき噴射ふんしゃ速度そくど調整ちょうせいができるようになっている。また、惰性だせい運転うんてんでの後述こうじゅつするぜっ運転うんてん停止ていしちゅうでは、蒸気じょうきため加減かげんべんが閉の状態じょうたいのため、蒸気じょうきしつのシリンダーにボイラーからの蒸気じょうきおくまれず、けむり室内しつないにドラフトを発生はっせいさせるため、運転うんてんしつ蒸気じょうき分解ぶんかいばこにある通風つうふうべん(ブロアバルブ)をひらいて、蒸気じょうきべつにある通風つうふうかんかいしてけむり室内しつないおくみ、煙突えんとつけてすことで、ドラフトを発生はっせいさせてうちしつからの燃焼ねんしょうガスを煙管きせるかいして誘引ゆういんさせている[11]

べん装置そうち・シリンダー・コントロール装置そうち

編集へんしゅう
 
蒸気じょうき機関きかんしゃはし装置そうち(ワルシャートしき)のモデル
1べんしつ、2蒸気じょうきべん、3蒸気じょうきしつ、4べん心棒しんぼう、5合併がっぺいテコ、6しんこうぼう、7加減かげんリンク(中央ちゅうおう支点してんをモーション・プレートに固定こてい)、8りリンクうで、9シリンダーしつ、10ピストン、11ピストンロッド、12すべぼう、13クロスヘッド、14しゅれんぼう、15偏心へんしんぼう、16がえりリンク、17連結れんけつぼう

機関きかんしゃをスムーズにはしらせるためには、シリンダーにおく蒸気じょうき方向ほうこう適切てきせつ制御せいぎょする必要ひつようがあり、右側みぎがわべん装置そうち により制御せいぎょされる。出力しゅつりょく制御せいぎょ運転うんてんしつにある加減かげんべんハンドル[注釈ちゅうしゃく 13]逆転ぎゃくてんハンドルによって制御せいぎょされる。加減かげんべんハンドルは、蒸気じょうきためにある加減かげんべんぼうつながっており、うごかすことにより蒸気じょうきためから蒸気じょうき乾燥かんそうかんしゅ蒸気じょうきかんかいして蒸気じょうきしつながれ、蒸気じょうき室内しつないの2つの蒸気じょうきべんあいだのあるべんしつかいして蒸気じょうきしつ前後ぜんこうもうけられた蒸気じょうき通路つうろのどちらか一方いっぽうとおって蒸気じょうきおくまれ、シリンダー室内しつないのピストンを作動さどうさせる。蒸気じょうきおくまれたピストンの反対はんたいがわ蒸気じょうきは、シリンダーしつから蒸気じょうきおくまれた蒸気じょうき通路つうろとは反対はんたいがわ蒸気じょうき通路つうろとおって蒸気じょうきしつもどり、蒸気じょうきしつ左右さゆうにある排気はいき通路つうろから吐出としゅつかん排出はいしゅつされる。このうごきを前後ぜんご交互こうごおこなうことでシリンダーないのピストンを往復おうふく運動うんどうさせることができる。シリンダーないのピストンを往復おうふく運動うんどうさせる蒸気じょうききゅう排気はいきおこな蒸気じょうきしつ蒸気じょうきべんは、ピストンとのあいだで90位相いそううごいており、蒸気じょうきべんはピストンのうごきを伝達でんたつしてうごかしている。ちから伝達でんたつはピストンロット→クロスヘッド→合併がっぺいテコ→蒸気じょうきべんべん心棒しんぼうとピストンロット→クロスヘッド→しゅれんぼうがえりリンク→偏心へんしんぼう加減かげんリンク→こころこうぼう合併がっぺいテコ→蒸気じょうきべんべん心棒しんぼうの2つの径路けいろ伝達でんたつされる。また、合併がっぺいテコは2方向ほうこうから伝達でんたつされるちから合併がっぺいする役割やくわりっており、それをかいして蒸気じょうきべん作動さどうさせる。また、発車はっしゃでは、一気いっき加減かげんべんけてしまうと、蒸気じょうき一気いっきにシリンダーないはいり、動輪どうりん空転くうてんしてしまうため、加減かげんべん徐々じょじょひらいていく操作そうさおこなう。惰性だせい運転うんてんには、加減かげんべん完全かんぜんじてシリンダーしつ蒸気じょうきがまったくはいってこない状態じょうたいにする(ぜっ運転うんてんともんでいる)。

逆転ぎゃくてんハンドルは逆転ぎゃくてんぼうつながっており、そのさきりリンクうでりリンクをかいしてこころこうぼうつながっていて、さらにこころこうぼうから加減かげんリンクをとお蒸気じょうきしつ蒸気じょうきべん合併がっぺいテコをかいしてクロスヘッドにつながっている。逆転ぎゃくてんハンドルはまわすことで、こころこうぼうかいしてシリンダーしつ上部じょうぶにある蒸気じょうきしつ蒸気じょうきべん操作そうさできるようになっている。蒸気じょうき機関きかんしゃ速度そくど制御せいぎょは、蒸気じょうきためにある加減かげんべんでの調整ちょうせいによっても可能かのうであるが、実際じっさい速度そくど制御せいぎょは、蒸気じょうきべんからシリンダーへの通路つうろ開口かいこう開口かいこうりつ変化へんかによっておこなわれる。その変化へんか動作どうさ使用しようされるのが偏心へんしんぼう加減かげんリンク、こころこうぼうの3つであり、加減かげんリンクは中央ちゅうおう支点してんとしてモーション・プレートにけられており、その下部かぶ連結れんけつされた偏心へんしんぼうにより、加減かげんリンクが支点してん中心ちゅうしんとして上部じょうぶ下部かぶ往復おうふく運動うんどうおこなって、こころこうぼう合併がっぺいテコをかいして蒸気じょうきべんべん心棒しんぼうちから伝達でんたつする仕組しくみとなっている。こころこうぼう力点りきてんは、逆転ぎゃくてんハンドルにより加減かげんリンクない上下じょうげ方向ほうこううごかすことが可能かのうであり、加減かげんリンクの支点してんちか位置いちでは、蒸気じょうきべん往復おうふく運動うんどうはばちいさくなり、加減かげんリンクの支点してんからはなれた位置いちでは、蒸気じょうきべん往復おうふく運動うんどうはばおおきくなる。そのはば変化へんか開口かいこうりつ変化へんかとなり、開口かいこうおおきさと蒸気じょうきべんからシリンダーへの蒸気じょうきはいらないカットオフの時間じかん変化へんかすることで、シリンダーにはい蒸気じょうきりょう調整ちょうせいおこない、シリンダーないなかのピストンが時々ときどき状況じょうきょうおうじた速度そくど対応たいおうした往復おうふく運動うんどうをするようになっている(出発しゅっぱつは、こころこうぼう加減かげんリンク中央ちゅうおうからしたはなれた位置いち移動いどうさせて、開口かいこうりつおおきくカットオフの時間じかんみじかくすることでシリンダーしつはい蒸気じょうきおおくして動輪どうりん回転かいてんりょくおおきく回転かいてんすうちいさくし、速度そくどがるにつれて、こころこうぼう加減かげんリンク下部かぶから中央ちゅうおう位置いち徐々じょじょ移動いどうさせて、開口かいこうりつちいさくカットオフの時間じかんながくすることでシリンダーしつはい蒸気じょうきすくなくして動輪どうりん回転かいてんりょくちいさく回転かいてんすうおおきくする)。また、開口かいこうりつは、80%-0%のあいだあらわしており、ぜん出力しゅつりょくで80%、停止ていし惰性だせい運転うんてんでは0%としている。また、加減かげんリンクは前進ぜんしんまたは後進こうしんえもおこない、おなじく逆転ぎゃくてんハンドルをまわすことにより、こころこうぼう加減かげんリンクの中央ちゅうおう支点してん部分ぶぶん)からしたげると前進ぜんしんうえげると後進こうしんとなる(ぜん後進こうしん切替きりかえ停止ていしおこなう)。そのに、発車はっしゃ常温じょうおんまでえたシリンダーしつ蒸気じょうきおくると、蒸気じょうき温度おんどがり凝縮ぎょうしゅく発生はっせいしてシリンダーしつみずまるため、まったみず排出はいしゅつするシリンダー排水はいすいべんや、蒸気じょうきしつ前後ぜんごをバイパスかんむすびその中間ちゅうかんべん設置せっちし、惰性だせい運転うんてんに、逆転ぎゃくてんハンドルを操作そうさして蒸気じょうきしつとシリンダーしつむす蒸気じょうき通路つうろ開口かいこうりつを80%にしてからそのべんひらき、シリンダーしつのピストンの前後ぜんご空気くうきできるようにして、ピストンの空気くうき抵抗ていこう最小さいしょうにするバイパスべんがある。

機関きかんしゃ出力しゅつりょく最終さいしゅうてきにはシリンダーのおおきさ×かず×蒸気じょうき圧力あつりょくまる。カタログではシリンダー直径ちょっけい×行程こうていしめされる。蒸気じょうき機関きかんしゃ設計せっけいは、シリンダーで使用しようされる蒸気じょうきりょうと、蒸気じょうきつく能力のうりょくしつやボイラーの性能せいのう)がマッチするよう考慮こうりょされる。

動輪どうりんさきしたがえ

編集へんしゅう

気筒きとうしつつくられた往復おうふく運動うんどうしゅ連接れんせつぼう(メインロッド)をつうじて動輪どうりんつたえられ、ここで最終さいしゅうてき回転かいてん運動うんどうにおきかえられる。しゅ連接れんせつぼう連結れんけつされている動輪どうりんしゅ動輪どうりんという。主動しゅどう動輪どうりん連結れんけつぼう(カップリングロッド)で連結れんけつされている。また左右さゆう動輪どうりん車軸しゃじくつながっており、2シリンダー場合ばあい連結れんけつぼうかいして90角度かくどでずらしてしゅ連接れんせつぼう連結れんけつされていて、それにより片方かたがた気筒きとう室内しつないのピストンがぜんはしまたは後端こうたんてんたっしてピストンのちからがゼロになっても、もう片方かたがたのピストンのちから最大さいだいになるように動力どうりょく伝達でんたつされている。

動輪どうりん以外いがい機関きかんしゃ設置せっちされる車輪しゃりんとしてさきしたがえがある。さき動輪どうりんまえ設置せっちされ、カーブでのスムーズな方向ほうこう転換てんかん有効ゆうこうであり、機関きかんしゃ重量じゅうりょう一部いちぶ負担ふたんする効果こうかもある。したがえ動輪どうりんよりうしろに配置はいちされ、機関きかんしゃ後部こうぶ重量じゅうりょうつ。おおきなしつ必要ひつようとするこう出力しゅつりょくでは、ちいさなしたがえうえ幅広はばひろしつ装備そうびするこうしつタイプが採用さいようされた。

蒸気じょうき機関きかんしゃさい高速度こうそくどはシリンダーの往復おうふく速度そくど動輪どうりん直径ちょっけい動輪どうりんみち)でまる。すなわち巨大きょだいクランク構造こうぞうとなっている蒸気じょうき機関きかんしゃ動輪どうりん回転かいてんすうは400rpm付近ふきん限界げんかい[12]とされており、実際じっさい各国かっこく蒸気じょうき機関きかんしゃさい高速度こうそくどもほぼこの限界げんかいちかくにある[注釈ちゅうしゃく 14]高速度こうそくど要求ようきゅうされる蒸気じょうき機関きかんしゃ当然とうぜんおおきな動輪どうりんみち設定せっていされる。

蒸気じょうき機関きかんしゃかぎらないがなめらかなてつ車輪しゃりんてつのレールのうえはしらせるため、スリップ(空転くうてん)をこしやすい[注釈ちゅうしゃく 15]重量じゅうりょうのある列車れっしゃ牽引けんいんするさい空転くうてんふせぐためには動輪どうりんとレールの粘着ねんちゃくせいげることが必要ひつようだが、手段しゅだんとしてはぜん動輪どうりんにかかる重量じゅうりょうやす方法ほうほうがとられる。すなわ動輪どうりん1たいあたりの重量じゅうりょうじくおも)をやすか、動輪どうりんすうやしてどうじくじょう重量じゅうりょうやすの2種類しゅるい方法ほうほうがある。動輪どうりんおよび前輪ぜんりんしたがえ配置はいちかずじく配置はいち)は機関きかんしゃ性能せいのう決定けっていする重要じゅうようなファクターである(車軸しゃじく配置はいち参照さんしょう)。じくじゅう増加ぞうかについては軌道きどう強化きょうか必要ひつようであり、動輪どうりんすうやす場合ばあいについては機関きかんしゃながさの問題もんだいきゅうカーブ通過つうか問題もんだいなどが発生はっせいする。動輪どうりんすうやしてカーブ対策たいさくおこなった方式ほうしきとして、前後ぜんご複数ふくすう駆動くどうシステムをゆうする関節かんせつしき機関きかんしゃがある。

るい

編集へんしゅう

前記ぜんきしたボイラーにみず注水ちゅうすいするための給水きゅうすいポンプとインゼクタがボイラーよこ搭載とうさいされるほか蒸気じょうき機関きかんしゃ自体じたい牽引けんいんする客車きゃくしゃのブレーキ装置そうち作動さどうさせる圧縮あっしゅく空気くうきつく目的もくてきでボイラーかんどうよこけむりしつ前面ぜんめんなどにコンプレッサー搭載とうさいしている(イギリスなど真空しんくうブレーキしきくにではこれがなかった。空気くうきブレーキはアメリカで1869ねん発明はつめいされ1872ねん直通ちょくつうから自動じどうしき改良かいりょう米国べいこくでは1893ねんぜん列車れっしゃ空気くうきブレーキが装備そうび義務付ぎむづけられた。なお、日本にっぽんでは真空しんくうブレーキがさき(1891ねん)に導入どうにゅうされたが、勾配こうばいおお日本にっぽんでは1920年代ねんだい以後いご連続れんぞく使用しよう空気くうきブレーキしきえられた[13]。)調ちょうあつにより自動的じどうてき作動さどうしており、そこでつくられた圧縮あっしゅく空気くうき繰出くりだしかんかいして冷却れいきゃくされてボイラーよこもと空気くうきため蓄圧ちくあつされる。また、ぜんあきらとうなど電気でんき装置そうちやATSの保安ほあん装置そうちなどを使用しようする目的もくてきでタービン発電はつでんがボイラー上部じょうぶ運転うんてんしつがわ搭載とうさいされる。コンプレッサーもタービン発電はつでんもボイラーから運転うんてんしつ取付とりつけられたべんいた蒸気じょうき分配ぶんぱいばこかいしておくられた蒸気じょうき動力どうりょくげんとしており、これらのべん操作そうさにより蒸気じょうきおくられて各種かくしゅ作動さどうさせる[14]

特徴とくちょう

編集へんしゅう

長所ちょうしょ

編集へんしゅう
  • 種類しゅるい燃料ねんりょう使つかえる。高熱こうねつりょうのものがのぞましいが、石炭せきたんかぎらずおよそ可燃かねんぶつならなんでも使用しよう可能かのう石炭せきたん以外いがいれいとして、石油せきゆ豊富ほうふインドネシアなどでは重油じゅうゆ東京とうきょうディズニーランドのウエスタンリバー鉄道てつどうなどでは灯油とうゆ軽便鉄道けいべんてつどうなどではたきぎ海外かいがいではくさバガスなどのれいがある。だい大戦たいせんちゅう燃料ねんりょう高騰こうとうする一方いっぽう電力でんりょく水力すいりょく発電はつでん確保かくほできていたスイスでは、蒸気じょうき機関きかんしゃ電気でんき加熱かねつできるよう改造かいぞうしたれいもある。わがくににも昭和しょうわ20年代ねんだい重油じゅうゆこんしょうするものがあった。
  • 構造こうぞう簡単かんたん修理しゅうり容易よういなために耐用たいよう寿命じゅみょうながい。通常つうじょうやく30ねん程度ていど。それ以降いこう運転うんてんだい規模きぼ修繕しゅうぜん部品ぶひん交換こうかんオーバーホール)が必要ひつようとされるが、電気でんき機関きかんしゃやディーゼル機関きかんしゃくらべて、延命えんめい容易ようい世界せかい遺産いさんでもあるインドダージリン・ヒマラヤ鉄道てつどう使用しようされるイギリスせい蒸気じょうき機関きかんしゃは、最古さいこのもので110ねんにわたり使用しようされている。くるませきゆう営業えいぎょう運転うんてんすることのできる機関きかんしゃとして、日本にっぽんJR九州きゅうしゅう保有ほゆうする58654(8620かたちがあり、これは1988ねん昭和しょうわ63ねん)の復活ふっかつ運転うんてん以降いこうボイラーやたいわくなどおおくの部品ぶひん交換こうかんされているものの、1922ねん大正たいしょう11ねん)の製造せいぞうからやく90ねん経過けいかしてなお運行うんこうつづけている。さらに正式せいしき鉄道てつどう路線ろせんではないものの、博物館はくぶつかん明治めいじむら動態どうたい保存ほぞんされ施設しせつない実際じっさい乗車じょうしゃできる客車きゃくしゃ牽引けんいんするきゅう名古屋鉄道なごやてつどう12ごうもと国鉄こくてつ160かたち蒸気じょうき機関きかんしゃ165ごう)にいたっては、ボイラーは1985ねん昭和しょうわ60ねん)にしんせいされたものと交換こうかんされているが、1874ねん明治めいじ7ねん)の製造せいぞうから130ねん以上いじょう経過けいかしている。
  • 一時いちじてき負荷ふかでは故障こしょうしない。戦場せんじょうにおける軍用ぐんよう鉄道てつどうなどではこの利点りてんがある。

短所たんしょ

編集へんしゅう
 
煙突えんとつからんでやま火事かじ火事かじをおこさせない機構きこうけられた武利むり森林しんりん鉄道てつどう18ごうがた蒸気じょうき機関きかんしゃ
 
煤煙ばいえん注意ちゅういするよううなが看板かんばん。(大井川鉄道おおいがわてつどう門出かどいでえき、2021ねん2がつ撮影さつえい
  • 機構きこう簡単かんたんだが調整ちょうせいむずかしく、ざつ調整ちょうせいではうまくはしれない。修理しゅうり作業さぎょう熟練じゅくれんようするが、工作こうさく精度せいどてんでは内燃ないねん機関きかんよりもひくくとも問題もんだいない[注釈ちゅうしゃく 16][注釈ちゅうしゃく 17]
  • 電気でんき機関きかんしゃやディーゼル機関きかんしゃより燃費ねんぴ効率こうりつわるく、牽引けんいんりょくよわい。蒸気じょうき機関きかんしゃねつ効率こうりつは10%程度ていどといわれ、ディーゼル機関きかんしゃねつ効率こうりつ35%程度ていどくらべてかなりおと
  • 高速こうそく運転うんてんできない。一般いっぱんてき構造こうぞうそなえる蒸気じょうき機関きかんしゃ速度そくどは、動輪どうりん直径ちょっけいとシリンダーの往復おうふく速度そくど比例ひれいするため、シリンダーの往復おうふく速度そくどはやく、また動輪どうりんみちおおきくするほど高速こうそく運転うんてん可能かのうとなる。しかしシリンダーの往復おうふく速度そくど上限じょうげんは、シリンダーとそれをささえるたいわく剛性ごうせい強度きょうど、それにシリンダーやロッドなどの慣性かんせい質量しつりょう依存いぞんすることから、ホイールベースがなが高速こうそく走行そうこうをする機関車きかんしゃほど振動しんどうはげしくなり[注釈ちゅうしゃく 18]通常つうじょう構造こうぞうでは一定いってい速度そくど以上いじょうへのげはむずかしい[注釈ちゅうしゃく 19]。また動輪どうりんみちについても、動輪どうりん後方こうほうしたがえしつささえたり、ボイラーしつ動輪どうりんがこないガーラットしきなどの構造こうぞうである程度ていどカバーはできるものの、だいみちともないボイラーやしつ邪魔じゃまになるほか軌間きかん(レールのはば)を大幅おおはばえると一般いっぱん重心じゅうしんたかくなるため走行そうこう不安定ふあんていになり、危険きけんである。このため標準軌ひょうじゅんきでも実用じつようになったのは7 - 8フィート(2135 - 2440mm)付近ふきん(20世紀せいきはいってからは7フィート以下いか普通ふつう)であり[15]、これ以上いじょうだいみち動輪どうりん実験じっけんてきなものである。
    蒸気じょうき機関きかんしゃさい高速度こうそくどは、狭軌きょうき (1067mm) では1954ねん日本にっぽんC62かたち17号機ごうきが129km/hを記録きろくし、標準軌ひょうじゅんき (1435mm) では1936ねんにドイツの05かたちが、1938ねんにイギリスのLNER A4がそれぞれ時速じそく200kmをわずかにえた速度そくど記録きろくしている。しかしLNER A4はページにあるとお無理むり速度そくどした場合ばあい数値すうちである。C62はまだまだ余力よりょくのこしており10‰勾配こうばい曲線きょくせん木曽川きそがわ橋梁きょうりょうから岐阜ぎふかえば140km/hはせていた[16]。C62の営業えいぎょう列車れっしゃで120㎞/h以上いじょう(速度そくどけい数値すうちは120㎞/hまでしかかれていない)の速度そくど機関きかんもおり[17]機種きしゅでも戦時せんじちゅうわか機関きかん中心ちゅうしん客車きゃくしゃって129km/h以上いじょうすこともあった[18]
営業えいぎょう最高さいこう速度そくど日本にっぽんおなじ1067mm軌間きかんではインドネシア(1000かたち=C53かたち)やニュージーランド(Kaがたen:NZR KA class)の時速じそく120km前後ぜんこう最高さいこう日本にっぽん前述ぜんじゅつのとおり130km/hほどの速度そくどすこともあったが600メートル条項じょうこう建前たてまえじょう時速じそく100km程度ていど)である[19]。なお インドネシア(1000かたち=C53かたちは90kmほどで機関きかんしゃえないほど振動しんどうはげしくなり、1931ねん試験しけん目的もくてきで100kmをしてみたところさらはげしくれたため最高さいこう速度そくどは90kmに制限せいげんされており[20][21]、120kmの営業えいぎょう運転うんてんがされていたという記述きじゅつ信憑しんぴょうせいまったい。インドネシアの最速さいそく機関きかんしゃは110㎞の記録きろくしたC28タンク機関きかんしゃ短距離たんきょり高速こうそく列車れっしゃを90kmから95kmの営業えいぎょう最高さいこう速度そくど運転うんてんしていた[22][23]。さらにニュージーランドKaがたについても 同国どうこくのJAがたが120kmをえた逸話いつわ[24]混同こんどうしており、蒸気じょうき機関きかんしゃ時代じだい営業えいぎょう運転うんてん速度そくどは120kmどころか50マイル(80.5 km/ h)である。またニュージーランド最速さいそく記録きろく英国えいこくから輸入ゆにゅうしたレールバスの125.5kmであり[25]、それにせま速度そくど営業えいぎょう運転うんてんをしていたことになる。標準軌ひょうじゅんきでも、前述ぜんじゅつさい高速度こうそくど記録きろくつイギリスのLNER A4は、通常つうじょう運行うんこうでは安全あんぜんめんから時速じそく90マイル(145km)ほどである(ドイツの05かたちいたっては車両しゃりょう自体じたい高速こうそくせいとく牽引けんいんりょくひくいため4から5りょう程度ていど客車きゃくしゃしかけずに量産りょうさんされてない)[26]一方いっぽうこういった問題もんだいのない電気でんき運転うんてん場合ばあいは、1903ねんにすでに時速じそく200kmを突破とっぱした記録きろくがある。(高速こうそく鉄道てつどうさい高速度こうそくど記録きろく歴史れきし参照さんしょう
  • 低速ていそくにおいても、鉱物こうぶつなどの大量たいりょう輸送ゆそうかけるような時速じそく20-40km程度ていどでは、本来ほんらいちから発揮はっきできない[注釈ちゅうしゃく 20]。これは構造こうぞうにもよるが、蒸気じょうき機関きかんしゃ通常つうじょう時速じそく50kmから100kmで最高さいこう出力しゅつりょくとなるためでなので、時速じそく15kmほどから強力きょうりょく牽引けんいんりょく発揮はっきできるうえ、トルクの変動へんどう空転くうてん原因げんいんになる)もなく、機関きかんしゃ重量じゅうりょうすべてを粘着ねんちゃく重量じゅうりょうにとれる電気でんきしきディーゼルのほう圧倒的あっとうてき有利ゆうり[27]
  • 始動しどう時間じかんがかかる。煙管きせるしきボイラーが完全かんぜんった状態じょうたい場合ばあい火入ひいれ・蒸気じょうき発生はっせい数時間すうじかんまえから作業さぎょう開始かいしする必要ひつようがある。また走行そうこう終了しゅうりょう石炭せきたんガラの廃棄はいきなどの作業さぎょう必要ひつよう
  • 電気でんき機関きかんしゃやディーゼル機関きかんしゃ場合ばあい1にんでも運転うんてん可能かのうであるが、蒸気じょうき機関きかんしゃ運転うんてんには、走行そうこう操作そうさをする機関きかんとボイラーにみず石炭せきたんおく操作そうさをする機関きかん助士じょし2人ふたり必要ひつようとなるため、2ばい人員じんいん必要ひつようとする。後年こうねん自動じどうきゅうすみ可能かのうなものも登場とうじょうしたが、機関きかん助士じょし乗務じょうむ不要ふようとするにはいたっていない。また、電気でんき機関きかんしゃやディーゼル機関きかんしゃじゅうれん運転うんてん場合ばあい先頭せんとうしゃにだけ運転うんてんっていればよいが、蒸気じょうき機関きかんしゃ場合ばあいじゅうれんよんにん三重みえれんだとろくにん人員じんいん必要ひつようになる[28]。なお、燃料ねんりょう石油せきゆだけにすれば1人ひとりでも運転うんてん可能かのうということにはなるが[注釈ちゅうしゃく 21]欠点けってんおぎなえるわけではないので、そのような時代じだいまえ電気でんき機関きかんしゃ・ディーゼル機関きかんしゃ時代じだいになった。
  • 高温こうおんはっするボイラーを稼動かどうさせるために、運転うんてん機関きかん機関きかん助士じょし)が過酷かこく労働ろうどういられる[29]。とりわけ夏季かき高温こうおん環境かんきょうにおける石炭せきたん投入とうにゅうなどの重労働じゅうろうどう冬季とうき寒気さむけゆききさらしによる肉体にくたいてき負担ふたんげられる。
  • 前方ぜんぽう視界しかいわるい。構造こうぞうじょう大型おおがたのボイラーを前方ぜんぽう配置はいちせざるをず、結果けっか線路せんろじょう障害しょうがいぶつ軌道きどう損傷そんしょう発見はっけんおくれて、だい事故じこむすびつきやすい。
  • 性能せいのう条件じょうけんにより変化へんかし、一定いっていしない(燃料ねんりょう発熱はつねつりょう、タンク機関きかんしゃ場合ばあい燃料ねんりょうみず使用しようともなじくおも変化へんか影響えいきょうする[注釈ちゅうしゃく 22])。
  • 大量たいりょう煤煙ばいえんばいえん・ガスを排出はいしゅつするのでトンネルではまどけられない(この関係かんけい山国やまぐにでははやくから電化でんかすすんでいることがおおい)[30]日本にっぽん国内こくないではきゅう勾配こうばい長大ちょうだいなトンネルがおおく、統計とうけいによると1931ねん昭和しょうわ6ねん)から1941ねん昭和しょうわ16ねん)までにトンネルないでの乗務じょうむいん事故じこ36めい犠牲ぎせいしゃ2めいしている。かりしょうトンネルでは9600かたち乗務じょうむ事故じこ犠牲ぎせいしゃており安全あんぜん衛生えいせい改善かいぜん発端ほったん争議そうぎ発生はっせいした[31]。1928ねんには、きゅう勾配こうばいのため従来じゅうらいから往生おうじょう逆行ぎゃっこうこしていた[32]D50かたちりょう牽引けんいんする貨物かもつ列車れっしゃがトンネルで空転くうてんこし、救援きゅうえんかった列車れっしゃ往生おうじょうしてしまい全員ぜんいん窒息ちっそくによる危篤きとく状態じょうたいおちいり、3めい(5めいせつもあり)が死亡しぼう、12めい昏倒こんとうする悲惨ひさん事故じこきている[33]
  • けむり線路せんろ周囲しゅうい森林しんりんくさ家屋かおくなどにうつることにより、ときとしてやま火事かじ火事かじきる[34][35]藁葺わらぶきや屋根やね普通ふつうであった時代じだいには火災かさい多発たはつし、これによる鉄道てつどう忌避きひ伝説でんせつもある。
  • 保守ほしゅがかかる[注釈ちゅうしゃく 17]
    • 摩耗まもう部分ぶぶんおおく、日本にっぽん場合ばあいやく39まんkmはしるとオーバーホールしていた(どう時期じき電車でんしゃ電気でんき機関きかんしゃは80まんkmほどでオーバーホール)[29]
    • ボイラーなどのねつこうあつ疲労ひろう耐用たいよう年数ねんすうによる老朽ろうきゅう
    • 水垢みずあか蓄積ちくせき
  • 燃料ねんりょうみず補給ほきゅうする必要ひつようがあり、大型おおがたではやく100kmごとに補給ほきゅう必要ひつよう。そのため、えき機関きかんなどにみず石炭せきたんなどの補給ほきゅうや、使用しようみの石炭せきたんガラ処理しょりよう大型おおがた設備せつび必要ひつようとなる。また、電気でんき機関きかんしゃなどのように1000km程度ていど長距離ちょうきょり乗務じょうむいん交代こうたいのみで運転うんてんすることはできず、機関きかんしゃ所要しょようすうえる。
  • 機関きかんしゃそのもので蒸気じょうき発生はっせいさせてはしるため性能せいのう発揮はっき熟練じゅくれん必要ひつよう。とりわけ特急とっきゅう列車れっしゃのような「計算けいさんじょう最大さいだい出力しゅつりょくさねばダイヤが維持いじできない」列車れっしゃ場合ばあい石炭せきたんみず使用しよう効率こうりつのこともかんがえるととく技量ぎりょうたか機関きかん機関きかん助士じょし必要ひつようとする[36]
  • 設計せっけいじょうぎゃく運転うんてん考慮こうりょされておらず、うたて車台しゃだいデルタせんループせんなど方向ほうこう転換てんかんのための設備せつび必要ひつようとする。ただし、後年こうねんにはC11かたちC56かたちなどぎゃく運転うんてん容易ようい形式けいしき出現しゅつげんした。また、石油せきゆだけを燃料ねんりょうとするならかならずしも運転うんてんせきをボイラーと炭水車たんすいしゃとのあいだもうける必要ひつようはないので、理論りろんてきにはぎゃく運転うんてん容易よういになる。

こうした理由りゆうで、ディーゼル機関きかんしゃ発展はってんはやかった米国べいこくでは1930年代ねんだいごろから蒸気じょうき機関きかんしゃ挑戦ちょうせんするようになり、1946ねん調査ちょうさでは、蒸気じょうき機関きかんしゃ得意とくい特急とっきゅう牽引けんいん蒸気じょうき機関きかんしゃ低速ていそくだと全力ぜんりょくせない)の仕事しごとでさえ、NYCのナイヤガラ特急とっきゅう牽引けんいん比較ひかくした結果けっか初期しょきコストと運用うんようコストのいずれにおいても蒸気じょうき機関きかんしゃと(電気でんきしき)ディーゼル機関きかんしゃがほぼおな経済けいざいせいとされるほどになっていた。1950年代ねんだいいたっては、大半たいはん鉄道てつどう会社かいしゃがゼネラルモーターズ(GM)やゼネラルエレクトリック(GE)のディーゼル機関きかんしゃえていた[27]

フランスではディーゼル機関きかんしゃだけでなく、1952ねんにパリ‐リヨンあいだ電化でんか区間くかん主力しゅりょくになる予定よていだった電気でんき機関きかんしゃ(パリ・オルレアン鉄道てつどうからいだ機関きかんしゃ改良かいりょうがた、3900馬力ばりき)よりもだい馬力ばりき蒸気じょうき機関きかんしゃまで存在そんざいした。しかし電化でんかほう将来しょうらいせいがあるとして、1948ねんから蒸気じょうき機関きかんしゃ新造しんぞうっており、これ以後いご改造かいぞうもほとんどない[37]

日本にっぽんでも新造しんぞうは1948ねんのE10か改造かいぞう名義めいぎだが実質じっしつ新規しんき製造せいぞうのC62(1949ねん)までで、1950年代ねんだいしたがえ程度ていど改造かいぞうにとどめていた。その国鉄こくてつは「動力どうりょく近代きんだい計画けいかく」として1960ねん昭和しょうわ35ねん)の会計かいけい年度ねんどより蒸気じょうき機関きかんしゃを15ねん全廃ぜんぱいする計画けいかくて、電化でんかやディーゼル推進すいしんした。そして梅小路うめこうじ蒸気じょうき機関きかんしゃかん保存ほぞんされた車両しゃりょうのぞき、予定よていどお1975ねん昭和しょうわ50ねん)の年度末ねんどまつとなる1976ねん昭和しょうわ51ねん)3がつ完了かんりょうさせた[38]

ドイツでも戦後せんご量産りょうさんされたのは、3000りょう以上いじょうあるプロイセンP8がたようとして戦前せんぜん計画けいかくされた、2-6-2プレイリーの23かたちだけであり、1959ねんまつ製造せいぞう終了しゅうりょうをもって、ドイツ国鉄こくてつ(DB)における蒸気じょうき機関きかんしゃ新造しんぞうられた(ひがしドイツのDRでは改造かいぞうふくめるともうすこ製造せいぞうおこなっており、ベルリンのかべ崩壊ほうかいまで残存ざんそん機関きかんしゃもいた。)[39]

イギリスは、先進せんしんこくなかではもっとなが蒸気じょうき機関きかんしゃ製造せいぞうつづけており、1950年代ねんだいにも完全かんぜんしん設計せっけい機関きかんしゃ新造しんぞうされていたが、イギリス国鉄こくてつ(BR)は1960ねん貨物かもつよう2-10-0イブニングスターを最後さいご蒸気じょうき機関きかんしゃ製造せいぞうり、1968ねんには蒸気じょうき機関きかんしゃ商業しょうぎょう運行うんこうった[40]

蒸気じょうき機関きかんしゃ分類ぶんるい

編集へんしゅう

駆動くどう方式ほうしきによる分類ぶんるい

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ピストンしき
蒸気じょうき圧力あつりょくシリンダーみちびきピストンを作動さどうさせることで往復おうふく運動うんどう変換へんかんし、その往復おうふく運動うんどう動輪どうりん駆動くどうする方式ほうしきで、ひろ普及ふきゅうした。
タービンしき
蒸気じょうき圧力あつりょく蒸気じょうきタービンみちびき、回転かいてん運動うんどう直接ちょくせつ変換へんかんする方式ほうしきである。タービンで発生はっせいした回転かいてん運動うんどうはギアやロッドにより間接かんせつてき動輪どうりん伝達でんたつされる。 詳細しょうさい蒸気じょうきタービン機関きかんしゃ参照さんしょう
発電はつでんしき
くるまじょうボイラー発生はっせいさせた蒸気じょうきを、蒸気じょうきタービンや気筒きとうしき蒸気じょうきエンジンにみちび電力でんりょく発生はっせいさせ、電気でんきモーターにより駆動くどうする方式ほうしきである。アメリカなどに存在そんざいしたが、試作しさく段階だんかいにとどまった。一見いっけんするとディーゼル機関きかんしゃのようで、とうてい蒸気じょうき機関きかんしゃにはえないものが存在そんざいする。

動力どうりょく伝達でんたつ方式ほうしきでの分類ぶんるい

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ロッドしき
ピストンの往復おうふく運動うんどうをロッドで直接的ちょくせつてき動輪どうりん伝達でんたつする方式ほうしき。シリンダーとメインロッドと動輪どうりんそのものがレシプロエンジン構成こうせいするが、通常つうじょうはレシプロという用語ようごもちいない。ほとんどの蒸気じょうき機関きかんしゃがこの方式ほうしき採用さいようしている。
歯車はぐるましき
ピストンの往復おうふく運動うんどう回転かいてん運動うんどう変換へんかんし、その回転かいてん運動うんどう歯車はぐるまにより間接かんせつてき動輪どうりん伝達でんたつする方式ほうしき、もしくはピストンの往復おうふく運動うんどうクランクシャフト回転かいてん運動うんどうえ、シャフトとギアで動輪どうりん伝達でんたつする方式ほうしき蒸気じょうき機関きかんしゃ始祖しそとでもいうべきトレビシック機関きかんしゃ前者ぜんしゃ方式ほうしきだったが、当時とうじ技術ぎじゅつではギアの高速こうそく回転かいてんができず、本人ほんにんみずから4号機ごうきの「Catch me who can」では歯車はぐるまはいしてしまっている。後者こうしゃはギアードロコとしてそこそこ使つかわれた方式ほうしきくわしくはギアードロコこう参照さんしょう
チェーンしき
ピストンの往復おうふく運動うんどう回転かいてん運動うんどう変換へんかんし、その回転かいてん運動うんどうチェーン[よう曖昧あいまい回避かいひ]により間接かんせつてき動輪どうりん伝達でんたつする方式ほうしき自転車じてんしゃ原理げんりである。ロッドを動輪どうりん接続せつぞくする必要ひつようがないため構造こうぞう簡便かんべんであるが、信頼しんらいせいやチェーンの耐久たいきゅうせいひく普及ふきゅうしなかった。後述こうじゅつするバヴァリアごうや、アメリカの森林しんりん鉄道てつどうでハンドメイドされた一部いちぶ車両しゃりょうがこの方式ほうしき採用さいようしている。
摩擦まさつしき
動輪どうりん上下じょうげ2だんけ、上段じょうだん動輪どうりんをシリンダーで駆動くどうし、下段げだん動力どうりょく車輪しゃりん摩擦まさつにより間接かんせつてき駆動くどうする方式ほうしき歯車はぐるま理論りろんてはめて考案こうあんされたもので、速度そくどげる場合ばあい上段じょうだんおおきく、下段げだんちいさくし、牽引けんいんりょくげる場合ばあいには上段じょうだんちいさく、下段げだんおおきくするというものであるが、実際じっさいには成果せいかげず摩擦まさつ機構きこう問題もんだいおおかったため実用じつようしなかった。おも形式けいしき1876ねんドイツのエルザス=ロートリンゲン鉄道てつどうけに製造せいぞうされたものであり、D7かたち451ごう「ファゾルト」という形式けいしきあたえられ1906ねんまで在籍ざいせきしていた。上段じょうだん下段げだん車輪しゃりんみち比率ひりつは1:3で、牽引けんいんりょく重視じゅうししたため最高さいこう速度そくどはわずか時速じそく10kmだった。のちに方式ほうしきをアメリカのホールマンとユージーン・フォンテインがそれぞれ考案こうあんしている。
独立どくりつ駆動くどうしき
Vがた蒸気じょうきエンジン1を1つの動輪どうりん直結ちょっけつさせ、直接ちょくせつ動輪どうりん回転かいてんさせる方式ほうしきかく動輪どうりんあいだ連結れんけつされておらず、ロッドしきのようなおも可動かどうたない。静粛せいしゅくせい高速こうそく走行そうこうすぐれる反面はんめんなどに空転くうてんこりやすい欠点けってんがあった。ヘンシェル製造せいぞうしたドイツ国鉄こくてつ19.10かたち蒸気じょうき機関きかんしゃ代表だいひょうれいであるが、実用じつようされた時期じきおそく、ディーゼル機関きかんしゃ台頭たいとうかさなったこともあって量産りょうさんされず、短期間たんきかん運行うんこうのみにわった。

エネルギーげんによる分類ぶんるい

編集へんしゅう
化学かがく燃料ねんりょう有機ゆうき燃料ねんりょう
石炭せきたんコークス重油じゅうゆなどの化石かせき燃料ねんりょう、そのたきぎガスなどの炭素たんそ資源しげん燃焼ねんしょうさせることによりねつエネルギーを発生はっせいさせ、これによりボイラーないみず沸騰ふっとうさせて蒸気じょうき方式ほうしきである。蒸気じょうき機関きかんしゃのほとんどがこの方式ほうしきで、燃料ねんりょうにはおも石炭せきたん、コークスがもちいられる。きゅう国鉄こくてつ制式せいしきでは蒸気じょうき機関きかんしゃ時代じだい後期こうき補助ほじょ重油じゅうゆタンクを装備そうびし、勾配こうばい区間くかんなどパワーが必要ひつようさい重油じゅうゆ投入とうにゅうしたほか、C59かたちの127号機ごうき重油じゅうゆのみを燃料ねんりょうとする重油じゅうゆせんもえ改造かいぞうされたことでられている。日本にっぽん国外こくがいではドイツ連邦れんぽう鉄道てつどうがこの方式ほうしき積極せっきょくてきであったことがられ、世界せかいてきには重油じゅうゆせんもえがある程度ていど普及ふきゅうした。タイなどの東南とうなんアジア各国かっこくではたきぎおお使つかわれた。わったれいとしては、東南とうなんアジアの製糖せいとう工場こうじょうで、砂糖さとう原料げんりょうとなるサトウキビしぼりかす(バガス)を機関きかんしゃ燃料ねんりょうとしてもちいたれいおおくある。
圧力あつりょく外部がいぶ供給きょうきゅう
ボイラーをゆうさず、外部がいぶからねつすいとともにこうあつ蒸気じょうき供給きょうきゅうし、それをタンクない蓄圧ちくあつしてピストンを駆動くどうする方式ほうしき無火むか機関きかんしゃ(ファイアレス)とぶ。一般いっぱんてき蓄圧ちくあつに2 - 3時間じかん以上いじょうようするにもかかわらず、その走行そうこう可能かのう距離きょりいちじるしくみじかいが、使つかわず煤煙ばいえんなども一切いっさいさないため、火気かき厳禁げんきん産業さんぎょう施設しせつなどで使用しようされた。また、こうあつ蒸気じょうきねつすいわりに圧搾あっさく空気くうきもちいた圧搾あっさく空気くうき機関きかんしゃや、走行そうこう可能かのう距離きょりみじかいという欠点けってん改善かいぜんするために、アンモニア苛性かせいソーダなどの化学かがく薬品やくひん使用しようする車両しゃりょう製作せいさくされた。日本にっぽんでは無火むか機関きかんしゃ1963ねんまで八幡やはた製鐵せいてつ構内こうない数多かずおお使つかわれていたほか、浜川崎はまかわさきえきから分岐ぶんきするシェル石油せきゆ現在げんざい昭和シェル石油しょうわしぇるせきゆ)の精油せいゆしょせん1960年代ねんだいまで使用しようされていたことがられている。まれながらの無火むか機関きかんしゃではないが、群馬ぐんまけんの「ホテルSL」(もとSLホテル)や栃木とちぎけんの「SLキューロクかん」、鳥取とっとりけん若桜わかさえきでは静態せいたい保存ほぞんされていた蒸気じょうき機関きかんしゃ動力どうりょくなどを整備せいびし、圧搾あっさく空気くうき使つかってみじか距離きょり走行そうこうさせるというユニークなこころみをおこなっている。日本にっぽん国外こくがいでも観光かんこうようとしての活動かつどうつたえられており(ドイツマンハイム産業さんぎょう博物館はくぶつかんなど)、そのほか現在げんざい南米なんべいなどで商業しょうぎょうようとして稼動かどうしている可能かのうせいがある。
電力でんりょく
架線かせんから運転うんてんだい天井てんじょうけたパンタグラフしゅうでんし、その電気でんきエネルギーでボイラーないみず沸騰ふっとうさせて蒸気じょうきるという機関きかんしゃがスイスに存在そんざいした。これはSBB(スイス国鉄こくてつE3/3かたちばれるじく配置はいち0-6-0のようタンク機関きかんしゃであり、だい世界せかい大戦たいせんなか石炭せきたん入手にゅうしゅなん対応たいおうすべく2りょう試作しさくされたものである。この形式けいしき場合ばあい電気でんき動力どうりょくげん熱源ねつげん)としているが、電動でんどう電磁石でんじしゃくなど、電気でんきのみによって駆動くどうりょくているわけではなく、電力でんりょくはあくまで熱源ねつげんとしてボイラーの加熱かねつにのみもちいられ、最終さいしゅうてきには蒸気じょうき動輪どうりん駆動くどうするため、電気でんき機関きかんしゃではなく蒸気じょうき機関きかんしゃ分類ぶんるいされる。
原子力げんしりょく
搭載とうさいした原子げんし蒸気じょうき発生はっせいさせ、蒸気じょうきタービンで発電はつでんしモーターを駆動くどうする方式ほうしきで、発電はつでんしき機関きかんしゃ一種いっしゅである。おも1950年代ねんだい1970年代ねんだい計画けいかくされたが、重量じゅうりょう極端きょくたんおおきくなる、放射能ほうしゃのうれの危険きけんせいがあるなどの問題もんだいにより、実現じつげんしたれいはなかった。
アメリカ
GEせいのガスタービン機関きかんしゃ改造かいぞうする予定よていであった。
ソ連それん
TE-3がたディーゼル機関きかんしゃ改造かいぞうする予定よていであり、1970年代ねんだいにはちょう広軌こうき巨大きょだい機関きかんしゃ計画けいかくされた。
きゅう西にしドイツ
V200かたちディーゼル機関きかんしゃを2りょう連結れんけつ改造かいぞうする予定よていであった。
日本にっぽん
昭和しょうわ30年代ねんだい鉄道てつどう技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょにより、AH101という形式けいしき計画けいかくされた(形式けいしきのAはAtomicのりゃくであるとおもわれる)。
ハイブリッド
蒸気じょうき機関きかんとディーゼル機関きかん両方りょうほう搭載とうさいした、ハイブリッド方式ほうしき機関きかんしゃ試作しさくされた。1926ねんにイギリスのキトソンしゃがスティルしゃのディーゼルエンジンを使用しようしてロンドン・アンド・ノース・イースタン鉄道てつどうけに試作しさく製造せいぞうされ、1934ねんまで試験しけんおこなわれたが、ボイラーなどに問題もんだいおお実用じつようしなかった。ソビエトでは戦前せんぜんから戦後せんごにかけていくつかの試作しさく製造せいぞうされたがどれも成功せいこうせずにわっている。

ボイラーによる分類ぶんるい

編集へんしゅう
煙管きせるしき
円筒えんとうがたみずかんに、かん貫通かんつうする多数たすう細管さいかんによるつてねつもうけ、しつ発生はっせいした燃焼ねんしょうガスをこの細管さいかん誘導ゆうどうする。燃焼ねんしょうガスのねつエネルギーによってみずかんないたたえられたみず沸騰ふっとうさせることで、高温こうおんだかあつ蒸気じょうきる。そのバレル部分ぶぶん構造こうぞう複雑ふくざつさなどから高圧こうあつむずかしく、また清掃せいそうにも手間てまがかかる。鉄道てつどう車両しゃりょうでは一般いっぱんに10気圧きあつから20気圧きあつ程度ていど範囲はんいのボイラー圧力あつりょく使用しようされる。以下いかしゅ大別たいべつされる。
飽和ほうわしき
ボイラーで発生はっせいさせた蒸気じょうき飽和ほうわ蒸気じょうき)を直接ちょくせつシリンダーへみちび方式ほうしき蒸気じょうき膨張ぼうちょうにより温度おんどがると水滴すいてき凝結ぎょうけつした。蒸気じょうきつエネルギーがすくなく、効率こうりつもよくない。
過熱かねつしき
ボイラーで発生はっせいさせた蒸気じょうきを、過熱かねつかんせをかいしてほそいパイプ(過熱かねつかん)で煙管きせるないみちび再度さいど加熱かねつしてできた過熱かねつ蒸気じょうき使用しようする方式ほうしき飽和ほうわしきくら効率こうりつがよく、蒸気じょうき機関きかんしゃ出力しゅつりょく向上こうじょうみず石炭せきたん消費しょうひりょう節約せつやくおおきく貢献こうけんした。理論りろんじょうでの提案ていあんはされていたが、高温こうおん蒸気じょうき使用しようするため、シリンダー潤滑油じゅんかつゆ改良かいりょうされるまで実用じつようできなかった。
みずかんしき
しつつてねつかんもうけ、しつ発生はっせいしたねつエネルギーを直接ちょくせつこのかんつたえ、そのなかとおされたみず沸騰ふっとうさせることで高温こうおんだかあつ蒸気じょうきる。煙管きせるしき比較ひかくしてねつ効率こうりつ始動しどうせいすぐれ、こうあつ容易よういという特徴とくちょうがあり、鉄道てつどう車両しゃりょうでは100気圧きあつ程度ていどのボイラー圧力あつりょく実現じつげんしたものも存在そんざいした。ただし煙管きせるしき比較ひかくして保持ほじする水量すいりょうすくなく応答おうとう鋭敏えいびんぶん適切てきせつ出力しゅつりょく安定あんていてきるには燃料ねんりょうみず供給きょうきゅう燃焼ねんしょう制御せいぎょこう精度せいどおこな必要ひつようがあり、また振動しんどうよわこうあつがかかるみずかん保守ほしゅむずかしいという問題もんだいかかえている。このため、おおきな振動しんどう発生はっせいするレシプロしき駆動くどうけいそなえる蒸気じょうき機関きかんしゃでは、一般いっぱん普及ふきゅうすることはなかった[注釈ちゅうしゃく 23]
フランコ・クロスティしき
給水きゅうすい加熱かねつを、使用しようずみ蒸気じょうきともにボイラーからの燃焼ねんしょうガスも利用りようするよう強化きょうかし、給水きゅうすい温度おんどたかめることで、ねつ効率こうりつ向上こうじょうはかったもの。

しつによる分類ぶんるい

編集へんしゅう
せましつ
しつはば線路せんろはばよりせま動輪どうりんあいだたいわくないにそのままおさめたもの。たいわく設計せっけいをシンプルにできるというメリットがあるほか動輪どうりんあいだかれるので安定あんていせいもよい。車輪しゃりんのバックゲージの問題もんだいからたいわくはばせまくなる狭軌きょうきで、しかも使用しようずみ品質ひんしつ世界せかいてき水準すいじゅんから良好りょうこうとはいがたかった日本にっぽんでは、大型おおがた機関きかんしゃにこの方式ほうしき採用さいようすると十分じゅうぶん格子こうし面積めんせき=火力かりょく確保かくほできず、こう出力しゅつりょく障害しょうがいとなった。それにたいし、標準軌ひょうじゅんきあいだ採用さいようし、こう発熱はつねつりょうかつ灰分かいぶんすくない良質りょうしつずみ入手にゅうしゅ容易よういであったイギリス、とく傑出けっしゅつした品質ひんしつられたカーディフずみ産出さんしゅつするウェールズ地方ちほう沿線えんせんにあったグレート・ウェスタン鉄道てつどうなどでは、せましつでも鉄道てつどうにおけるこうしつ匹敵ひってきするかこれを凌駕りょうがする性能せいのうられたことから、この方式ほうしき蒸気じょうき機関きかんしゃ時代じだい最後さいごまで採用さいようしているほか、フランスではゆか前方ぜんぽうきゅう傾斜けいしゃさせて石炭せきたんおくほうまでくずちるようにして、せましつだが前後ぜんごながさをることで格子こうし面積めんせき確保かくほした240がたフランス国鉄こくてつ240Pがた蒸気じょうき機関きかんしゃ)のれいがある[41]
こうしつ
しつはば線路せんろはばよりひろくした、近代きんだい大型おおがたでは一般いっぱんてき方式ほうしきである。ひろ格子こうし面積めんせき確保かくほできるため、とくてい品質ひんしつずみ常用じょうようせざるをない各国かっこくかく鉄道てつどう蒸気じょうき機関きかんしゃ出力しゅつりょく向上こうじょうおおきく貢献こうけんした。なお、そのまましつはばひろげると動輪どうりん邪魔じゃまになるので、通常つうじょう以下いかの4つの手法しゅほうられる。
  • 後方こうほう2つの動輪どうりんあいだをあけてしつとし方式ほうしき
  • 動輪どうりんうえしつをそのまま上乗うわのせで配置はいちする方式ほうしき
  • 動輪どうりんうしろでだいわく拡幅かくふくしてこれをささえるしたがえ台車だいしゃき、そこにしつ配置はいちする方式ほうしき
  • しつ動輪どうりんうしろにすがささえないでオーバーハング状態じょうたいにする方式ほうしき
日本にっぽんでは5830かたちが1番目ばんめ8850かたちが2番目ばんめ8900かたちが3番目ばんめにそれぞれ該当がいとうするが、1番目ばんめは「動輪どうりんのホイールベースがびて曲線きょくせん通過つうか悪影響あくえいきょうやサイドロッドの重量じゅうりょうがかさむ」、2番目ばんめは「重心じゅうしんがり、とくだい動輪どうりん機関きかんしゃでは安定あんていせいわるくなる。」、3番目ばんめは「全長ぜんちょうながくなる。また、列車れっしゃとき後方こうほうへの重心じゅうしん移動いどうにより、本来ほんらい動輪どうりんにかかるべき荷重かじゅうしたがえにかかるようになるため、とく列車れっしゃ出発しゅっぱつ空転くうてんしょうじやすくなる。」といった一長一短いっちょういったん要素ようそっている。なお4番目ばんめのオーバーハングさせる方式ほうしき速度そくどげるとピッチングがはげしくなる[42]ため、日本にっぽんでは採用さいようされてない[注釈ちゅうしゃく 24]
燃焼ねんしょうしつ設置せっち
本来ほんらいは19世紀せいき米国べいこく石炭せきたんからるガスと空気くうきをよくぜてやそう[注釈ちゅうしゃく 25]という発想はっそうもうけられた仕組しくみなのでこの名前なまえだが、当時とうじちいさくみじかいボイラーではつてねつ面積めんせき減少げんしょうによる悪影響あくえいきょうほうおおきく、ぎゃくやすくなっていちすたれ、20世紀せいきになってボイラー大型おおがたともな通風つうふう悪化あっか改善かいぜんのため復活ふっかつしたものである[43]
蒸気じょうき機関きかんしゃ燃料ねんりょうとしてもっとのぞましい瀝青炭れきせいたん燃焼ねんしょうほのおながく、しつないではおさまりきらないので、しつ前方ぜんぽうふくしつもうけこれを燃焼ねんしょうしつんだ。燃焼ねんしょうしつもうけることにより高温こうおんほのおからの輻射熱ふくしゃねつ十分じゅうぶん吸収きゅうしゅうでき、効率こうりつ向上こうじょうした。また、燃焼ねんしょう時間じかんながくなったことにより煤煙ばいえん発生はっせい減少げんしょうし、煙管きせるまりもふせがれた。外見がいけんから燃焼ねんしょうしつ有無うむるにはしつ前方ぜんぽうにもあらいこうせんがあるかどうかを調しらべればよい。日本にっぽん国鉄こくてつでは8200かたち製造せいぞう導入どうにゅうのチャンスがあり、またメーカーがわ推奨すいしょうしていたが、通常つうじょうしつですら修繕しゅうぜんなやまされている現状げんじょう複雑ふくざつ腐食ふしょく箇所かしょおおしつとなるのが欠点けってんとされた。[44]このため、鉄道てつどうしょうなかにもしま秀雄ひでおのように効果こうか評価ひょうか[45]するものがいたにもかかわらず、戦時せんじ設計せっけい極限きょくげん性能せいのう発揮はっきもとめられたD52かたちまで採用さいようされなかった。だが、戦時せんじ設計せっけい粗雑そざつ製造せいぞうという悪条件あくじょうけんかさなり、燃焼ねんしょうしつ破裂はれつ事故じこ(D52 73 昭和しょうわ19ねん 5がつ 14にち山陽さんようせん大久保おおくぼ山間さんかんにおいて破裂はれつ、D52 83 昭和しょうわ19ねん 6がつ 30にち 山陽さんようせん万富まんとみえきにて破裂はれつ、D52 209 昭和しょうわ20ねん 10がつ 19にち 東海道とうかいどうせん醒ケ井さめがいえきにて破裂はれつ)をこし[46]、D52にたいする悪評あくひょう一因いちいんともなった。余談よだんだがおな戦時せんじがたでもS118S160などは燃焼ねんしょうしつ装備そうびせず極限きょくげん性能せいのうではなく製造せいぞう優先ゆうせんした設計せっけい思想しそう存在そんざいする[47]
欧州おうしゅうでは1930年代ねんだいなかばに燃焼ねんしょうしつ効果こうか疑問ぎもんていされたことがあり[注釈ちゅうしゃく 26]1937ねんパリ万国博覧会ばんこくはくらんかい最高さいこうしょう授与じゅよしたポーランドPm36には燃焼ねんしょうしついておらず、英国えいこくLMSコロネーションきゅう蒸気じょうき機関きかんしゃから燃焼ねんしょうしつり4-6-4としたよん気筒きとう機関きかんしゃ計画けいかくすすめられていたが世界せかい情勢じょうせい悪化あっかによりえとなっている[48]。フランスではSNCFが誕生たんじょうしたさい標準ひょうじゅんがた機関きかんしゃとしてアンドレ・シャプロン設計せっけいたずさわったSNCF 141P燃焼ねんしょうしつけられなかった[49]。ソビエト連邦れんぽう燃焼ねんしょうしつFD機関きかんしゃ搭載とうさいされたが波及はきゅうしたとはいがたく、スターリンあきら授与じゅよされたLがた機関きかんしゃ最後さいご量産りょうさんであるP36がた設置せっちされずなかった。そのため、ソ連それん技術ぎじゅつ影響えいきょうけた中国ちゅうごく国鉄こくてつ前進ぜんしんがた蒸気じょうき機関きかんしゃ燃焼ねんしょうしつ搭載とうさいされたのは1964ねん改良かいりょうがたからであった[50]
特殊とくしゅしつ
ベルペヤしつ英語えいごばん
ベルギーの鉄道てつどう技術ぎじゅつしゃアルフレッド・ベルペヤ英語えいごばん考案こうあんしたしつ形状けいじょうで、うちしつそとしつ形状けいじょう相似そうじがたにしているため、うちしつささえるステイの形状けいじょう単純たんじゅんにでき、かんすい循環じゅんかん水垢みずあか付着ふちゃくすくないという利点りてんつ。上部じょうぶ角張かくばった形状けいじょう特徴とくちょうであるが、円筒えんとうがた煙管きせるとの接合せつごう工作こうさくむずかしいという欠点けってんがある。
台形だいけいしつ
うえからるとゆか台形だいけい前部ぜんぶせま動輪どうりんあいだおさまるが、後部こうぶこうしつ。)。おもしつすこしでもまえっていくことで走行そうこう安定あんていさせ重量じゅうりょう牽引けんいんじくじゅう移動いどうおさえる。フランスで使用しようされていた[51]
ウーテンしつ
こうしつ一種いっしゅで、外見がいけんじょう下部かぶおおきくひろがっているのが特徴とくちょうである。泥炭でいたんなどしつわる石炭せきたん燃焼ねんしょうさせるためにアメリカで考案こうあんされたもので、日本にっぽんでは日本にっぽん鉄道てつどうしつわる常磐ときわずみ使用しようするために、一部いちぶ形式けいしき採用さいようした。

べん装置そうちによる分類ぶんるい

編集へんしゅう

日本にっぽん国有こくゆう鉄道てつどう在籍ざいせきした蒸気じょうき機関きかんしゃべん装置そうち種類しゅるいつぎとおりであった。

  • スチーブンソンしき基本形きほんけい、ハウがた、アメリカがた):初期しょき蒸気じょうき機関きかんしゃ標準ひょうじゅんがたとしてひろもちいられた。べんしつは、基本形きほんけいではシリンダの内側うちがわかれるが、アメリカがたでは上部じょうぶかれる。
  • アランしき(トリックしき
  • ジョイしき基本形きほんけい、ウェッブがた
  • ベーカーしき深川ふかがわがた
  • 宇佐美うさみしき : C57かたち試用しよう自動じどう可変かへんリードべん一種いっしゅ
  • マーシャルしき(ヴィンターツールがた、コッペルがた
  • グレズリーしき:3シリンダしき機関きかんしゃ中央ちゅうおうシリンダよう使用しようされる方式ほうしきで、左右さゆうべん装置そうちうごきをてこで合成ごうせいすることで、中央ちゅうおうシリンダのべん装置そうち作動さどうさせる。
  • ワルシャートしき(ヘルムホルツがた、ホイジンガーがた):近代きんだい大型おおがた蒸気じょうき機関きかんしゃのほとんどがこの方式ほうしきで、動作どうさ機構きこうすべ動輪どうりん外側そとがわにあるため、整備せいびせいい。

気筒きとうすうによる分類ぶんるい

編集へんしゅう
1気筒きとうたん気筒きとう
蒸気じょうき機関きかんしゃ黎明れいめい存在そんざいした。また、1857ねん、ニールソンが1気筒きとう小型こがた製造せいぞうし、おおくがスコットランドの炭鉱たんこう製鉄せいてつしょ使用しようされた。
2気筒きとう
ごく一般いっぱんてき方式ほうしきである。2くみ気筒きとう(シリンダ)があるため、より円滑えんかつ動作どうさ可能かのうである。ロッドがてん位置いちして、起動きどう不能ふのうとなるのをふせぐため、左右さゆう位相いそうは90°ずらされている。日本にっぽん国有こくゆう鉄道てつどうにおいては右側みぎがわ先行せんこう原則げんそくであったが、9600かたちなど左側ひだりがわ先行せんこう例外れいがい少数しょうすうながら存在そんざいした。
ギアードロコではVかたち配置はいちのものもられる。
3気筒きとう・4気筒きとう
国鉄こくてつではC52かたちC53かたちが3気筒きとうである。頻繁ひんぱん点検てんけん注油ちゅうゆなどをようする複雑ふくざつべん装置そうち車輪しゃりんあいだ設置せっちするのを回避かいひする目的もくてきで、左右さゆうべん装置そうち作用さよう合成ごうせい、あるいはロッカーアームなどで位相いそう変換へんかんして車輪しゃりんあいだのシリンダーへの蒸気じょうきあつ供給きょうきゅう制御せいぎょさせる、特別とくべつべん装置そうち搭載とうさいするケースがおおい。そのためどうじく複雑ふくざつかつ工作こうさく精度せいど維持いじむずかしいクランクじくとする必要ひつようがあるなど、がいして2気筒きとう機関きかんしゃくら構造こうぞう複雑ふくざつ整備せいびせいわるく、とく車輪しゃりんあいだのシリンダーにれにくい(原則げんそく線路せんろあいだにピットをもうけてこのなかひとはいってしたから修理しゅうりする[注釈ちゅうしゃく 27])ため長距離ちょうきょりはしるアメリカでは外部がいぶから点検てんけん困難こんなんなことからきらわれ、1920年代ねんだい機関きかんしゃ大型おおがた一時いちじアルコしゃ前方ぜんぽうから整備せいびができるグレズリー連動れんどうべん装置そうち使つかった3気筒きとう製造せいぞうしたこともあったが、すぐにライマしゃの2気筒きとうシンプルで大型おおがたしつ使つか方式ほうしき主流しゅりゅうになりすたれている[52]日本にっぽんの3気筒きとうもアメリカを手本てほんにしていたのだが本国ほんごく以上いじょう定着ていちゃくせず、まんてつけのミカニと日本にっぽん国内こくないけのC52を20年代ねんだいなかばにアルコしゃから輸入ゆにゅう、ミカニ(ぞう備分)とC53を30年代ねんだい初頭しょとうまで製造せいぞうしていたが、そのは3気筒きとう後継こうけい形式けいしきまれないままわっている[53][注釈ちゅうしゃく 28]
その一方いっぽうで、これらの方式ほうしきはメインロッドを3ほんあるいは4ほんとすることでかくシリンダーの位相いそうをそれぞれ120°あるいは90°ずつずらし、ハンマー・ブロー現象げんしょうおさえることができ、またシリンダーの排気はいきも1/3ないしは1/4周期しゅうき順番じゅんばんおこなわれるため、ボイラー煙管きせるない強制きょうせい通風つうふう均等きんとうかつ円滑えんかつおこなわれて燃焼ねんしょう効率こうりつ改善かいぜんされる、といった利点りてんがある[注釈ちゅうしゃく 29]。もっとも日本にっぽんのC53かたちはこの機構きこうたいする十分じゅうぶん理解りかいのないままに設計せっけいおこなわれた結果けっか発車はっしゃのロッドの位置いちによっては発車はっしゃ不能ふのうになることがあり、問題もんだいされた。
これにたいし、標準軌ひょうじゅんきあいだ採用さいようする各国かっこくとくにフランス・イギリスの2かこくでは、燃費ねんぴ改善かいぜん強力きょうりょく手段しゅだん[注釈ちゅうしゃく 30]として3・4気筒きとう積極せっきょくてき導入どうにゅうされている。
ドイツは帝国ていこく統一とういつ以前いぜんはバイエルンなどの南部なんぶ複式ふくしき3~4気筒きとうしき使用しようされていたが、統一とういつ過熱かねつ発明はつめいもあって単式たんしき2気筒きとうほう整備せいびせいいと一時いちじはこれのみを製造せいぞうしていた時期じきもあったが、時速じそく160kmをえるような高速こうそくになると振動しんどうおおきくなる(アメリカはこれをレシプロマスの軽量けいりょうとハンマーブローにえる頑丈がんじょう軌条きじょうもうけることでふせいでいた。)ので単式たんしきのまま3気筒きとうの1930年代ねんだい後半こうはん製造せいぞうしているが、大戦たいせんかさなったためそれほどおおくは製造せいぞうされてない(0110かたが55りょう、0310かたが60りょう。)[54]
3気筒きとうと4気筒きとうそれぞれのメリットとデメリットは、4気筒きとう外側そとがわシリンダーとたいにできるので小型こがたのレバーを使つかって外側そとがわのバルブで内側うちがわ駆動くどうでき[注釈ちゅうしゃく 31]バルブギアを2気筒きとうおなじ2つでませられるが、機関きかんしゃ出力しゅつりょくがるとクランク車軸しゃじくがゆがみやすくなる(車軸しゃじくにクランクが2つあり強度きょうどちる)というものがあり、だい馬力ばりき高速こうそく運転うんてんには3気筒きとうほうがクランクウェブのあつみがれ(フランスのシャプロンの計算けいさんでは4気筒きとうが1000馬力ばりき×4付近ふきん上限じょうげん、3気筒きとうは2000馬力ばりき×3ぐらいまで可能かのうせいがあるした。)、トルク変動へんどうも2・4気筒きとうが1回転かいてんに4かいなのにたいし3気筒きとうは6かい分散ぶんさんするためトルクのむらがすくなく有利ゆうりというちがいがある[55]
変則へんそくてきなパターンにアメリカのボークレーンしゃ複式ふくしきによる燃費ねんぴ向上こうじょう内側うちがわシリンダーによる整備せいびせい悪化あっかふせぐことを両立りょうりつするため、シリンダーを全部ぜんぶ外側そとがわにつけた4気筒きとうしき通常つうじょうのシリンダーの位置いち上下じょうげこうあつ低圧ていあつシリンダーをならべる構造こうぞう)が存在そんざいしたが、こちらはうごきが2気筒きとうおなじなので振動しんどう減衰げんすい役立やくだたない[注釈ちゅうしゃく 32]どころか、シリンダーやロッドのかずえたぶん駆動くどうけい重量じゅうりょう増加ぞうかしてぎゃく振動しんどう増加ぞうかさせており、燃費ねんぴ向上こうじょうのメリットをいてもうまみがうすくボークレーンしゃ過熱かねつ導入どうにゅうされはじめると製造せいぞうっている[56]
気筒きとうすうがさらにおお機関きかんしゃでは、フランスで低速ていそく走行そうこう経済けいざいせい改良かいりょうするために1940ねんつくられた160.A.1.かたの「6気筒きとう」というものがある(だいいち動輪どうりんさきあいだ低圧ていあつシリンダーが横並よこならびに4つ、こうあつシリンダーがだい3・だい4動輪どうりん内側うちがわに2つ)が、1りょうのみの試作しさくわっている[57]
3気筒きとうと4気筒きとうおおきな問題もんだい運転うんてん煩雑はんざつになること、内側うちがわのシリンダーに負荷ふかがかかることや過熱かねつによる部品ぶひんの熔解や潤滑じゅんかつシステムの故障こしょう発生はっせいしやすい欠陥けっかんがあった。とくグレズリーしきでこの問題もんだい顕著けんちょあらわれていた[58]設計せっけい技術ぎじゅつてき欠陥けっかんがあるため故障こしょうばかりで[59]、2気筒きとうくらべて製造せいぞうコストがたかいだけでなくメンテナンス不足ふそくおちいりやすいためLNERに無駄むだなコストがかかったとかんがえられている[60]。その反省はんせいけたアーサー・ペパコーン(Arthur Peppercorn)の設計せっけいでも依然いぜんとして問題もんだいのこ[61]結局けっきょく21世紀せいき技術ぎじゅつ設計せっけい製造せいぞうされたA1 60163トルネードすらこれらの欠陥けっかん解決かいけつするいたっていない。[62]イギリスの交通こうつう研究けんきゅうする歴史れきし協会きょうかい実用じつよう機関きかんしゃとしては通常つうじょうの2気筒きとうのほうがはるかにすぐれていたと結論けつろんしている。[63]
燃料ねんりょう事情じじょうから複式ふくしき4気筒きとう積極せっきょくてき導入どうにゅうしていたフランスも複式ふくしき4気筒きとう運転うんてんむずかしいため制約せいやくあまりにもおおいことが問題もんだいとなった。1にち平均へいきん走行そうこう距離きょりは1945ねんやく75km[64]終戦しゅうせん直後ちょくご日本にっぽん鉄道てつどうしょうはしらせていたやく150kmの半分はんぶんしかうごいていなかった[65]戦前せんぜんから効率こうりつ状況じょうきょう改善かいぜんしようとするだい規模きぼ試験しけんおこなわれたが、陳腐ちんぷあたらしい体制たいせい適応てきおうできない設計せっけいによってつくられた機関きかんしゃのためがいして失敗しっぱいわっている[66]戦後せんご1918ねんより製造せいぞう開始かいしされたライトミカドがたもとにした2気筒きとうの141Rかたち導入どうにゅうするとこれまでのフランスちえなかった人間にんげん工学こうがくそな運転うんてん整備せいびがしやすい卓越たくえつした機関きかんしゃひょうされた。[67]凡庸ぼんよう人員じんいんでも交代こうたい運行うんこう可能かのうになったことでSNCFに3気筒きとう・4気筒きとうでは不可能ふかのうであった革新かくしんをもたらし[68][69]歴史れきしてき遺産いさんとして最多さいたの4りょう保存ほぞんされている
ギアードロコでは、ボイラーわきにシリンダーを垂直すいちょくにむきしにならべた、インライン(直列ちょくれつ配置はいち一般いっぱんてきで、整備せいびせい問題もんだいがないことからこのタイプの3気筒きとう特例とくれいてきにアメリカでも使用しようされつづけた。

使用しよう蒸気じょうきによる分類ぶんるい

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単式たんしき
ボイラーで発生はっせいさせた蒸気じょうきいちだけ使用しようするのが単式たんしきで、ごく一般いっぱんてき方式ほうしきである。
複式ふくしき(2だん膨張ぼうちょうしき
単式たんしきたいして、一度いちど使用しようした蒸気じょうきを、もう一度いちどべつのシリンダにおくんでさい使用しようするのが複式ふくしきである。一度いちど使用しようした蒸気じょうき圧力あつりょくがるので、1がわ高圧こうあつ)のシリンダより2がわ低圧ていあつ)のシリンダのほうみちおおきくなる。スイスじんアナトール・マレー1874ねん特許とっきょ取得しゅとくし、1876ねん実用じつよう成功せいこうした。
複式ふくしきには種々しゅじゅ方式ほうしきがあり、左右さゆうのシリンダをそれぞれだかあつ低圧ていあつとした2シリンダしき、フレーム外部がいぶ内部ないぶこうあつ低圧ていあつのシリンダー(どちらがどちらになるかは車両しゃりょうによる)3・4シリンダしき左右さゆうのシリンダそれぞれにこうあつ低圧ていあつのシリンダを装備そうびした4シリンダしきこうあつ低圧ていあつの2くみはし装置そうちゆうするマレーしき後述こうじゅつ)などがある。日本にっぽんにおいては、山陽さんよう鉄道てつどうが4シリンダ複式ふくしき(ボークレイン複式ふくしき)を積極せっきょくてき導入どうにゅうしたほか、明治めいじ時代じだい末期まっき国有こくゆう鉄道てつどうがマレーしき一時いちじ大量たいりょう輸入ゆにゅうした程度ていどで、にはほとんど普及ふきゅうしなかったが、1893ねん官設かんせつ鉄道てつどう神戸こうべ工場こうじょう製作せいさくされた国産こくさんだい1ごう機関きかんしゃ860かたち)が2シリンダ複式ふくしき(ワースデル複式ふくしき)であったのは特筆とくひつされる。
ふくすいしき
シリンダーで使用しようした蒸気じょうき回収かいしゅうし、コンデンサー(凝縮ぎょうしゅく)でみずもどしてさい利用りようする方式ほうしきみず便びんわる地域ちいきもちいられる。

車軸しゃじく配置はいちによる分類ぶんるい

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ホワイトしき車輪しゃりん配置はいちにおいて、19世紀せいきアメリカの典型てんけいてき車軸しゃじく配置はいちである4-4-0の「ガブ・スタンフォード」

蒸気じょうき機関きかんしゃにとって、動輪どうりんしたがえ配置はいち非常ひじょう重要じゅうよう要素ようそである。これによって、機関きかんしゃ用途ようとまってしまうといっても過言かごんではない。動輪どうりんみちおおきくすれば同一どういつ回転かいてん速度そくど運転うんてん速度そくどたかくできるが、機関きかんしゃ全体ぜんたい一定いっていながさにおさまるようにするには、どうじくすうらすことになり、牽引けんいんりょく低下ていかする。そのため、高速こうそく要求ようきゅうされる旅客りょかく列車れっしゃ牽引けんいんけということになる。ぎゃく動輪どうりんすうやせば牽引けんいんりょくすが、そのぶん動輪どうりんみちちいさくせざるをなくなり、速度そくど性能せいのう犠牲ぎせいになることになるため、貨物かもつ列車れっしゃ牽引けんいんきゅう勾配こうばい区間くかんけということになる。

したがえについては、機関きかんしゃ重量じゅうりょう一部いちぶ負担ふたんするばかりでなく、さきしたがえには曲線きょくせん通過つうかに、動輪どうりんをスムーズにみちび機能きのうがあり、高速こうそく要求ようきゅうされる旅客りょかくよう機関きかんしゃでは、2じくとしたボギー台車だいしゃ装備そうびされることがおおい。一方いっぽうで、貨物かもつよう機関きかんしゃでは動輪どうりんじょう重量じゅうりょうして粘着ねんちゃくりょくたかめるためしたがえかずすくなく、高速こうそく要求ようきゅうされないため、より簡便かんべん構造こうぞうの1じくさき台車だいしゃ採用さいようされることがおおい。

車体しゃたい構成こうせいによる分類ぶんるい

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タンクしき(タンク機関きかんしゃ
石炭せきたんおよびみず機関きかんしゃ本体ほんたい搭載とうさいする方式ほうしきおも小型こがたおおいが、4100かたち、4110かたちE10かたちなどきゅう勾配こうばいせん専用せんよう大型おおがたにも採用さいようれいがある。小回こまわりがくなど長所ちょうしょがあるが、長距離ちょうきょり運転うんてんができないなどの短所たんしょがある。
テンダーしき(テンダー機関きかんしゃ
石炭せきたんみずをテンダー(炭水車たんすいしゃ)に積載せきさいし、機関きかんしゃ本体ほんたい牽引けんいんさせる方式ほうしき通常つうじょう機関きかんしゃ本体ほんたい炭水車たんすいしゃ分離ぶんりして運用うんようすることはないが、検査けんさはなしが可能かのうである。長距離ちょうきょり運転うんてんができるなど、長所ちょうしょがあるが、一部いちぶ種類しゅるいのぞいてバック運転うんてんや、小回こまわりがかないなどの短所たんしょがある。
キャブ・フォワードがた
テンダーしき機関きかんしゃのうち、機関きかんしゃ本体ほんたい前後ぜんごぎゃくにしたもの。キャブ(運転うんてんしつ)を最前さいぜんもうけることにより機関きかん煙害えんがいからまぬかれることができ、また良好りょうこう前方ぜんぽう視界しかいた。ドイツや、アメリカのカリフォルニアしゅう山岳さんがく地帯ちたいのトンネルがおお線区せんく使用しようされた。
キャメルバックがた(キャブ・ミドルワードがた
テンダーしき機関きかんしゃのうち、機関きかんしゃ中央ちゅうおう運転うんてんだい位置いちしているもの。詳細しょうさいキャメルバックしき蒸気じょうき機関きかんしゃこう参照さんしょう

関節かんせつしき機関きかんしゃ

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1りょう機関きかんしゃにボイラーに固定こていされず独立どくりつしたたいわくゆうする1くみ以上いじょうはし装置そうち装備そうびし、出力しゅつりょく強化きょうか曲線きょくせん通過つうか容易よういはかったもの。

マレーしき
ボイラーのしたに2くみはし装置そうちもうけた方式ほうしき後部こうぶ動力どうりょく台車だいしゃはボイラーに固定こていされていて、こうあつ蒸気じょうき供給きょうきゅうけてシリンダーを駆動くどうし、その排気はいき左右さゆうくびれる前部ぜんぶ動力どうりょく台車だいしゃおくってみちおおきな低圧ていあつシリンダーを再度さいど駆動くどうする複式ふくしき機関きかんしゃである。
なお、製作せいさくしゃのアナトール・マレーの関節かんせつしきにした意図いとは、これ以前いぜんつくった複式ふくしき機関きかんしゃきた出力しゅつりょくちがうシリンダーで別々べつべつ車輪しゃりん駆動くどうすることによってきた高速こうそくでの不安定ふあんてい防止ぼうしするためであり、出力しゅつりょく強化きょうか曲線きょくせん通過つうか容易ようい副次的ふくじてきなものであった[70]
単式たんしき膨張ぼうちょうがた関節かんせつしき単式たんしきマレーしき
日本にっぽんにはない形式けいしきで、アメリカのsimple expansion articulated engine の訳語やくご前述ぜんじゅつのマレーしきでは前部ぜんぶ低圧ていあつシリンダーのため関節かんせつ蒸気じょうきおくるのが容易ようい反面はんめん、シリンダーが大型おおがたになりすぎ車両しゃりょう限界げんかい接触せっしょくしたり重量じゅうりょう過大かだいまねいたため、前部ぜんぶ後部こうぶのシリンダーがどうみちで、おな圧力あつりょくこうあつ蒸気じょうきがボイラーから直接ちょくせつ同時どうじ供給きょうきゅうされる単式たんしき機関きかんしゃとして考案こうあんされた[71]
ガーラットしき
2くみはし装置そうち別々べつべつたいわくもうけ、そのりょうくるまあいだまたがってボイラーを搭載とうさいしたおもだいわくくび構造こうぞう方式ほうしき
(ダブル)フェアリーしき
2つのボイラーを背中合せなかあわせにつなぎ、そのしたに2くみ独立どくりつしたはし装置そうちもうけた方式ほうしき
マレーしきおなじくボイラーのしたに2くみはし装置そうち装備そうびするが、2くみはし装置そうちはどちらもボイラーに固定こていされておらず、完全かんぜん独立どくりつしたくび構造こうぞうであり、シリンダーが中央ちゅうおうっているてんでもマレーしきことなる。
シングルフェアリーしき
車体しゃたい前部ぜんぶにボイラーから独立どくりつした1くみはし装置そうちそなえ、運転うんてんだい下部かぶには動力どうりょくのボギー台車だいしゃそなえる。
メイヤーしき
2くみ独立どくりつしたはし装置そうちそなえる。シリンダーは前後ぜんごとも中央ちゅうおうがわにある。
マッファイしき
ドイツのJ.A.マッファイしゃにより、1851ねんのゼメリング・コンテストのために考案こうあんされた方式ほうしき
ヴィーナー・ノイシュタットしき
ドイツのヴィーナー・ノイシュタットしゃにより、1851ねんのゼメリング・コンテストのために考案こうあんされた方式ほうしき
コッケリルしき
ベルギーのコッケリルしゃにより、1851ねんのゼメリング・コンテストのために考案こうあんされた方式ほうしき
デュ・ブスケしき(英語えいごばん)
フランスの鉄道てつどう技術ぎじゅつしゃガストン・デュ・ブスケ(フランス語ふらんすごばん)により開発かいはつされた方式ほうしき
ゴルウェしき(Golwé locomotive)
ベルギーで製作せいさくされフランスの西にしアフリカ植民しょくみん使つかわれた方式ほうしき

そうごうしき

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(ツヴィリングスロクス、Zwillingsloks)
2りょう通常つうじょうがたタンクしき蒸気じょうき機関きかんしゃ背中合せなかあわせに連結れんけつした形式けいしきてん車台しゃだい設置せっち困難こんなんで、じくじゅう制限せいげんきびしく、かつ一定いってい牽引けんいんりょく要求ようきゅうされる野戦やせん軽便鉄道けいべんてつどうようとしてドイツで考案こうあんされた。ドイツ陸軍りくぐん影響えいきょうにあった日本にっぽん陸軍りくぐん導入どうにゅうし、鉄道てつどう連隊れんたいにはA/Bかたちばれるそうごうしき機関きかんしゃが400りょうあまり在籍ざいせきしていた。

歯車はぐるましき蒸気じょうき機関きかんしゃ

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シェイしき蒸気じょうき機関きかんしゃ
船舶せんぱくようのエンジンを右側みぎがわめん設置せっちした歯車はぐるましき蒸気じょうき機関きかんしゃ
クライマックスしき蒸気じょうき機関きかんしゃ
側面そくめんななめに傾斜けいしゃしたシリンダーから中央ちゅうおう伝達でんたつじく駆動くどうする。
ハイスラーしき蒸気じょうき機関きかんしゃ
Vがた配置はいちされた蒸気じょうき機関きかん前後ぜんご車輪しゃりん駆動くどうする
ウィラメットしき蒸気じょうき機関きかんしゃ
シェイと類似るいじ形態けいたいだが重油じゅうゆ燃料ねんりょうとして使用しようし、過熱かねつ蒸気じょうきしきべん装置そうちワルシャートしきべん装置そうち

各国かっこくにおける蒸気じょうき機関きかんしゃ

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日本にっぽん

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重油じゅうゆ併燃装置そうち

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日本にっぽん蒸気じょうき機関きかんしゃには、重油じゅうゆ併燃装置そうち搭載とうさいしたものがあった。 重油じゅうゆをバーナーできりじょうにし、ゆか燃焼ねんしょうしている石炭せきたん上方かみがた噴射ふんしゃすることで煤煙ばいえん減少げんしょう[72]しつ容積ようせき最大限さいだいげんかし、平面へいめん燃焼ねんしょう立体りったい燃焼ねんしょう同時どうじおこな[73]しょ外国がいこくではあまり使用しようされていない技術ぎじゅつのため、日本にっぽん独自どくじ発達はったつげた技術ぎじゅつである[74]

1898ねん明治めいじ31ねん)から1899ねん明治めいじ32ねん)のころ、重油じゅうゆ (原油げんゆ) を機関きかんしゃ燃焼ねんしょう試用しようされ、大正たいしょうはじめに秋田あきたけん黒川くろかわ油田ゆでん噴出ふんしゅつすると多数たすう機関きかんしゃ重油じゅうゆ燃焼ねんしょう装置そうち取付とりつけられ、1934ねん昭和しょうわ9ねん)ごろまで使用しようされた。飯山いいやま敏雄としお考案こうあんにかかる飯山いいのやましき横井よこいみのるろう考案こうあんになる横井よこいしきといったものも試験しけんされたが、重油じゅうゆ価格かかく石炭せきたんよりも変動へんどうはなはだしく、安定あんていした供給きょうきゅう困難こんなんになると撤去てっきょされてしまった。明治めいじ大正たいしょう年間ねんかん重油じゅうゆ燃焼ねんしょうかんする詳細しょうさい資料しりょうのこっておらず、飯山いいやましき横井よこいしき構造こうぞうあきらかではないが、扁平へんぺい吹出ふきでこうからあぶら蒸気じょうき吹出ふきだすもののようであったという[75]

戦後せんご、1951ねん昭和しょうわ26ねん)のあき石炭せきたん不足ふそくしたため、石炭せきたん危機きき対策たいさくしつわる石炭せきたん有効ゆうこう活用かつようするため、機関きかんしゃたいして重油じゅうゆ石炭せきたんと併し、石炭せきたん節約せつやく実施じっしされた。その石炭せきたん事情じじょう好転こうてんしたが、しょうけむり効果こうかとうすみりょう減少げんしょうによって、乗客じょうきゃくたいするサービスの向上こうじょう乗務じょうむいん苦痛くつう軽減けいげんから好評こうひょうはくし、引張ひっぱ定数ていすうまたは速度そくどを10%向上こうじょうすることも可能かのうであることがかり、全国ぜんこくてき拡大かくだい実施じっしされた[76]

重油じゅうゆ併燃にはB重油じゅうゆ使用しようされていたが安価あんかなC重油じゅうゆ使用しようかんがえられるようになり、昭和しょうわ37年度ねんどにC重油じゅうゆようのバーナーが試作しさくされると[77]動力どうりょく節約せつやく重点じゅうてんかれるようになる[78]。 C重油じゅうゆ安価あんかであるものの、引火いんかてんねばたびたか残留ざんりゅうぶつおおいため、重油じゅうゆ使用しようしても単純たんじゅんらくになるわけではなく、火力かりょくすのでボイラーまわりが高温こうおんになって排煙はいえんですら100え、トンネルなどにはいると非常ひじょうあつくなるので上記じょうきしょうけむり効果こうかとうずみ軽減けいげんいても「ほうらく盛岡もりおか機関きかん機関きかん内藤ないとう利雄としお だん)」と評価ひょうかされたり、使つかぎるとのこった重油じゅうゆがべとつき、煙管きせるまったりあつまりけむり装置そうち開閉かいへいができなくなる不具合ふぐあいきたので「わたしはあまり使つかわんのです」(人吉ひとよし機関きかん機関きかん石井いしい篤信あつのぶ だん)といった使用しようびかえもあった[79]

稼動かどうしている蒸気じょうき機関きかんしゃ

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営業えいぎょう運転うんてん
動態どうたい保存ほぞん

動態どうたい保存ほぞん世界せかい複数ふくすうくに実施じっしされている。日本にっぽんふくむ。

日本にっぽん国内こくないについては動態どうたい保存ほぞんちゅう蒸気じょうき機関きかんしゃ参照さんしょう

代表だいひょうてき形式けいしき

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日本にっぽん

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国鉄こくてつD51かたち蒸気じょうき機関きかんしゃ

国鉄こくてつ車両しゃりょう形式けいしき一覧いちらん#蒸気じょうき機関きかんしゃ参照さんしょう

東武鉄道とうぶてつどう
みなみまんしゅう鉄道てつどう

計画けいかく

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく

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LNER A4かたち蒸気じょうき機関きかんしゃ4468号機ごうき マラード

ドイツ (プロイセン王国おうこく・バイエルン王国おうこく時代じだいふくむ)

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ドイツ国鉄こくてつ01かたち蒸気じょうき機関きかんしゃ
 
フランス国鉄こくてつ141Rかたち蒸気じょうき機関きかんしゃ

ロシア(ロシア帝国ていこく・ソビエト連邦れんぽう時代じだいふくむ)

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ロシアしきEかたち蒸気じょうき機関きかんしゃロシアばん

アルゼンチン

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5AT先進せんしん技術ぎじゅつ蒸気じょうき機関きかんしゃ

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イギリスでは数々かずかず先進せんしん技術ぎじゅつ導入どうにゅうした最高さいこう速度そくど200km/hの5AT先進せんしん技術ぎじゅつ蒸気じょうき機関きかんしゃ計画けいかくすすめられていたが、2012ねん資金しきんなん中止ちゅうしされた。

関連かんれんする人物じんぶつ関連かんれん施設しせつ

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関連かんれん施設しせつ

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ なお中国ちゅうごくでは汽車きしゃは「自動車じどうしゃ」を意味いみする。日本語にほんごう「汽車きしゃ」は「しゃ」と表記ひょうきする。
  2. ^ ただし、地域ちいき世代せだいによっては、電気でんきうごものふくめてすべての列車れっしゃのことを「汽車きしゃ」とんだり、国鉄こくてつJRを「汽車きしゃ」、路面ろめん電車でんしゃ私鉄してつを「電車でんしゃ」とんで区別くべつしたりする場合ばあいがある(このような「汽車きしゃ」の用法ようほうについては「汽車きしゃ」を参照さんしょうのこと)。
  3. ^ きゅう字体じたい汽罐きかんしゃ
  4. ^ たとえばen:Derby Canal Railwayなどは1792ねんから使つかわれていた
  5. ^ en:Killingworth locomotives参照さんしょう
  6. ^ a b ポニー台車だいしゃとはさき原文げんぶんは「ぜんしたがえ」)が1じく場合ばあい(2じく以上いじょう場合ばあいは「ボギー台車だいしゃ」)に使用しようされ、釣合つりあいはり(equalizer)をかいしてさきだい1動輪どうりんそれぞれのいたばねでささえられるもの、製作せいさくしゃ名前なまえをとって「ビッセル台車だいしゃ」ともばれる(日本にっぽん鉄道てつどうしょうは「こころこう台車だいしゃ」と呼称こしょう[1]
  7. ^ D51かたち先立さきだち1925ねんにアメリカから輸入ゆにゅうされた単式たんしき3シリンダー8200かたち(C52かたち)ではきのままで格子こうし面積めんせきを3.8m2としたが、これは当時とうじ日本人にっぽんじん一般いっぱんてき体格たいかく体力たいりょくではとうずみ担当たんとうする機関きかん助士じょし過大かだい負担ふたんいたため、のちの改造かいぞう格子こうし面積めんせき縮小しゅくしょうしている。
  8. ^ キャブのおおきさの都合つごう機関きかんしゃではふねのようににん同時どうじとうずみをやったくにはなく、二人ふたり機関きかん助手じょしゅがいる場合ばあいとうずみ交代こうたいしてやすんでいるほうタブレットわたしなどをやる。(齋藤さいとう2007) p.256
  9. ^ れいとしてまんてつのデカイがたではもとになったミカイがたおな牽引けんいんりょく軌道きどうよわ区域くいき走行そうこうさせるため、ミカイのしたがえ部分ぶぶんにも動輪どうりんをつけて5じくにして動輪どうりんじょうじくじゅう分散ぶんさんさせて対処たいしょしたさい本来ほんらいちいさなしたがえささえていたこうしつ動輪どうりんのうえにのせた影響えいきょうゆか面積めんせきはさほどわらないのにしつがかなりあさくなり、不完全ふかんぜん燃焼ねんしょうきやすくなったとされる。
    まんしゅう鉄道てつどう発達はったつ高木たかぎ宏之ひろゆき ちょ株式会社かぶしきがいしゃしお書房しょぼう光人みつひとしゃ、2012ねんISBN 978-4-7698-1524-2、P113。
  10. ^ 1925ねんロンドン・アンド・ノース・イースタン鉄道てつどう (LNER) とのあいだ同社どうしゃ最新さいしんA1かたちじく配置はいち2C1、過熱かねつしき単式たんしき3気筒きとうこうしつ格子こうし面積めんせき3.83m2)とを交換こうかんし、たがいの鉄道てつどうせんにおいてどう条件下じょうけんか実施じっしされた比較ひかく試験しけんでは、キャッスルがたほうがコンパクトでボイラーの格子こうし面積めんせきもA1がたやく70パーセントきょうしかなかったにもかかわらず、使用しようずみ品質ひんしつ本来ほんらい想定そうていされるより低下ていかするLNER社線しゃせんじょうにおいてさえ、出力しゅつりょく燃費ねんぴ双方そうほう勝利しょうりおさめている。これはわきまえ装置そうち設計せっけいなどでGWRがわいちにちちょうがあったことによる部分ぶぶんおおきいが、このれいしめすようにせましつこうしつちがいはかならずしも性能せいのう決定的けっていてきをもたらすとはかぎらない。
  11. ^ たとえば、ドイツでは良質りょうしつ石炭せきたん入手にゅうしゅ容易よういであったプロイセンをはじめとする北部ほくぶかく邦国ほうこく保有ほゆうする鉄道てつどうせましつ常用じょうようし、良質りょうしつずみ入手にゅうしゅむずかしかった南部なんぶバーデン大公たいこうこくバイエルン王国おうこくなどが保有ほゆうしたかく鉄道てつどうこうしつはや時期じきから導入どうにゅうしていた。また、アメリカでこうしつ積極せっきょく導入どうにゅう端緒たんしょひとつとなったウーテンしきしつそなえるキャメルバックしき蒸気じょうき機関きかんしゃ廉価れんかだが着火ちゃっかしにくい無煙炭むえんたん燃料ねんりょうとすることを前提ぜんてい研究けんきゅう開発かいはつされており、通常つうじょう石炭せきたん以外いがい異種いしゅ燃料ねんりょうやす手段しゅだんとして通常つうじょうよりおおきめのしつそなえた機関きかんしゃ製作せいさくするケースはアメリカせい機関きかんしゃ中心ちゅうしん各国かっこくられた。
  12. ^ ただし、日本にっぽんでも陸軍りくぐん鉄道てつどう大隊だいたい鉄道てつどう連隊れんたいけに1901ねんより製作せいさく開始かいしされたそうごう機関きかんしゃではじく配置はいちCの8tきゅう機関きかんしゃ背中合せなかあわせにわせた小型こがた機関きかんしゃであったが、すでに15.5kg/cm2標準ひょうじゅん採用さいようしていた。
  13. ^ レギュレータともばれている。
  14. ^ スピード記録きろくなどのための無理むりをしてした記録きろくとしてはまいぶん500回転かいてんちかくまでしたものもあり、イギリスではロンドン&ミッドランド鉄道てつどうダッチェスクラス(4シリンダー)の480回転かいてん(1937ねん(齋藤さいとう2018) p.55)、ロンドン&ノースイースタン鉄道てつどうA4クラス(3シリンダー)の530回転かいてん(1938ねん(齋藤さいとう2018) p.61。ただし中央ちゅうおうクランクが損傷そんしょうした)、アメリカのノーフォーク&ウェスタン鉄道てつどうのJがた(2シリンダー)の540回転かいてん(齋藤さいとう2018) p.81)などがある。
    フランスは最高さいこう時速じそく120km制限せいげん関係かんけいでここまで極端きょくたんなのはなくパリ・オルレアン鉄道てつどう240.700がた(4シリンダー)の430回転かいてん(齋藤さいとう2018) p.52。なおこれは試験しけん特例とくれいで151km/hの速度そくど限界げんかい超過ちょうか。)、ドイツは高速こうそく回転かいてんすすまず0110かたの375回転かいてん程度ていど(齋藤さいとう2018) p.71)でそれをならった日本にっぽん回転かいてんすう増加ぞうかながれにはいたってない。なお回転かいてんすう増加ぞうか走行そうこう装置そうち摩耗まもう損傷そんしょう増加ぞうかまねうえに(H.C.B. Rogers, Riddles and the 9Fs (Ian Allan, 1982))、内側うちがわにシリンダーがある場合ばあい過熱かねつによる不具合ふぐあいまでこしてしまう。リビオ・ダンテ・ポルタと21世紀せいき技術ぎじゅつつくられたA1 60163トルネード過熱かねつによる呪縛じゅばくからのがれられていない。
  15. ^ 黎明れいめい機関きかんしゃではこれを危惧きぐして通常つうじょう車輪しゃりん車体しゃたいささえるのみで動輪どうりんをギアじょうにしたブレキンソップや、あしをつけてうまのようにうごかしてはしらせようとしたブラントン(どちらもイギリスじん)といったれいがある。(萩原はぎはら1977) p.178-179
  16. ^ だい世界せかい大戦たいせんちゅう南方みなかた戦線せんせん日本にっぽんぐん蒸気じょうき機関きかんしゃ運用うんようしていたさいに、鉄道てつどう車両しゃりょうかんする知識ちしきのない自動車じどうしゃ技師ぎし出身しゅっしん整備せいびへい内燃ないねん機関きかんおな精度せいど蒸気じょうき機関きかんしゃかく部品ぶひん整備せいびてをおこなったところまった動作どうさせず、精度せいどとして(かく可動かどう意図いとてきあそびをもうけて)さいてしてようやく動作どうさした、という逸話いつわのこっている。
  17. ^ a b 電車でんしゃ電気でんき機関きかんしゃ制御せいぎょ接点せってん調整ちょうせい熟練じゅくれんようし、調整ちょうせいわるいとノッチしんだん衝動しょうどうおおきくなったり、高速度こうそくど遮断しゃだん作動さどうして運転うんてん不可能ふかのうになる事例じれいもあった。また気動車きどうしゃ・ディーゼル機関きかんしゃはディーゼルエンジンそのものが蒸気じょうき機関きかんくらべてはるかに複雑ふくざつ部品ぶひん点数てんすうおお整備せいびには熟練じゅくれん専門せんもん知識ちしきようした。これらが劇的げきてき解消かいしょうされるのは、電気でんきしゃではVVVFインバータ制御せいぎょ一般いっぱんし、内燃ないねん機関きかんしゃでは部品ぶひん精度せいど向上こうじょうしたことと電子でんし制御せいぎょにより大型おおがた高速こうそくディーゼル機関きかんのメンテナンスフリーすすんでからである。
  18. ^ 極端きょくたんれいだが、ソ連それんAA20かたち直径ちょっけい1600mmの動輪どうりんが7じくもあり、非常ひじょうにホイールベースがながかった結果けっか時速じそく70kmで振動しんどうはげしくなったのでこれがさい高速度こうそくどとされた。(齋藤さいとう2018) p.75
  19. ^ なお、この振動しんどう前後ぜんご上下じょうげの2つの方向ほうこうがあるのでウェイトをつけてもどちらか片方かたがたしか修正しゅうせいできず(ハンマーブロー参照さんしょう)、多気たきとうにすることである程度ていどおさえられる。(齋藤さいとう2018) 「だい4しょう 回転かいてんすうアップ」P.48-65。)
    もっとも電気でんき機関きかんしゃ電気でんきしきディーゼル機関きかんしゃ場合ばあいもモーター重量じゅうりょう直接ちょくせつ動輪どうりんじくにかける形式けいしきりかけしきなど)でモーターがおも時代じだいころは(ばね重量じゅうりょう蒸気じょうき機関きかんしゃ以上いじょうおもいので)結局けっきょく高速こうそく走行そうこうには堅固けんご軌道きどうもとめられた(ウェストウッド2010) p.192
    ちゅう:ウェストウッドちょ世界せかい鉄道てつどう歴史れきし図鑑ずかん』の原文げんぶんでは「ディーゼル機関きかんしゃ」のこうでこの説明せつめいがあるが、電気でんきしきあしまわりは電気でんき機関きかんしゃおなじなうえ直後ちょくごに「スイスの電気でんき機関きかんしゃ車体しゃたいがわでモーターをささえてこの問題もんだい解決かいけつしたはなし」があるので電気でんき機関きかんしゃふくんでのはなし判断はんだんした。)
  20. ^ 低速ていそくうご出発しゅっぱつ加速かそくにこそだい出力しゅつりょくしいのに、そのとき蒸気じょうき機関きかんしゃ全力ぜんりょく半分はんぶんほどしかせない。参考さんこうまでにいうとアメリカのユニオンパシフィック鉄道てつどう4000がた(ビッグボーイ)は時速じそく70マイル(112km)に1まん馬力ばりき出力しゅつりょくせたが、時速じそく35マイル(56km)では6200馬力ばりき時速じそく20マイルでは5200馬力ばりきしかせなかった。(ロス2007) p.193
  21. ^ 王立おうりつバイエルンくにゆう鉄道てつどうPtL2/2がた蒸気じょうき機関きかんしゃ石炭せきたんきでの数少かずすくない1人ひとり乗務じょうむがた形式けいしきである。
  22. ^ ディーゼル機関きかんしゃ燃料ねんりょう消費しょうひかるくはなるが、みず大量たいりょう消費しょうひする蒸気じょうき機関車きかんしゃほどはおおきく変動へんどうはしない。
  23. ^ 振動しんどう問題もんだいすくない船舶せんぱくでは軍艦ぐんかん中心ちゅうしんに1910年代ねんだい以降いこう急速きゅうそく普及ふきゅうした。そのため、船舶せんぱくようとして安定あんていした性能せいのう発揮はっきしていた機種きしゅ機関きかんしゃようとして転用てんようすることが再三さいさんわたってこころみられた。日本にっぽんでも、帝国ていこく海軍かいぐん艦船かんせんようかん本式ほんしきボイラー原型げんけいとなった宮原みやはらしきみずかんかん機関きかんしゃ搭載とうさいする事例じれいが、1910年代ねんだい中盤ちゅうばんにいくつか存在そんざいした。しかし、レシプロ駆動くどうけいそなえる鉄道てつどうしゃ両用りょうよう動力どうりょくげんとしてのみずかんしきボイラーは、コンパクトつよもとめられ、またけい負荷ふかでもあったふけ気動車きどうしゃようのぞくと、この宮原みやはらしき事例じれいふくむほぼすべてが量産りょうさん実用じつよう段階だんかい到達とうたつせずにわっている。
  24. ^ 外国がいこくでは入替いれかわ機関きかんしゃ英語えいご: USRA 0-6-0など)などに使つかわれたことがある。
  25. ^ この時代じだいしつのレンガアーチもまだなく、ほのおはそのまま煙管きせるかってびていた。
  26. ^ [1]リンクさき参照さんしょう。ナイジェル・グレズリーはこれに反論はんろんしているが、持論じろんではなくフランスの友人ゆうじんがこうしているからとかたっただけであった。
  27. ^ インドネシア国鉄こくてつC53(4気筒きとう)のようにさき動輪どうりんあいだはなして、ピットがなくてもこのあいだはいって内側うちがわシリンダーを整備せいびできるようにしたものもある。(齋藤さいとう2018) p.81-83
  28. ^ なお、このグレズリー連動れんどうべん装置そうち左右さゆうのシリンダーからてこで中央ちゅうおうシリンダーの吸排気はいき操作そうさするのでしたにもぐらなくても前方ぜんぽうから整備せいびできたうえ、ロッド・クランクよこのバルブギアを省略しょうりゃくできる(普通ふつう個々ここのシリンダーに1つずつつけるが、この方式ほうしきはレバーで左右さゆうのバルブが中央ちゅうおうシリンダーを操作そうさする。)のでこまめな整備せいびをしていれば狭軌きょうきでも理論りろんじょう使つかいやすいものだった((齋藤さいとう2007) p.168-169・253)。実際じっさい理論りろんうえどおりにはいかず、アメリカのウォーバッシュ鉄道てつどうクラスK5やニュージーランドのNZR 98などは使つかいにくく不評ふひょう短命たんめいわっている。日本にっぽんで3気筒きとうがはやらなかった理由りゆうについて「狭軌きょうきだから」という文献ぶんけんおおいが、標準ひょうじゅん軌道きどう強度きょうどおおきいまんてつでもクランクじく折損せっそん事故じここしていた(『まんしゅう鉄道てつどう発達はったつ高木たかぎ宏之ひろゆき ちょ株式会社かぶしきがいしゃしお書房しょぼう光人みつひとしゃ、2012ねんISBN 978-4-7698-1524-2、P139)、イギリスでもグレズリーべんしきの3シリンダーでは戦時せんじちゅう整備せいびとどかずにレバーのボールベアリングがこすり、ガタがしょうじた結果けっか中央ちゅうおうシリンダーがれすぎてクランク車軸しゃじくいためることがあった。(齋藤さいとう2007) p.258
  29. ^ とくに4気筒きとう場合ばあい左右さゆう動輪どうりんはさんだシリンダーを2ずつペアとした複式ふくしきとして設計せっけいすることで、蒸気じょうき有効ゆうこう利用りようできる。そのため、ドイツ国鉄こくてつ18.6がたのようにボイラー性能せいのうさえ十分じゅうぶんならば、自重じちょうやサイズが1ランクじょう単式たんしき2気筒きとう(01かたち)に匹敵ひってきするかこれを上回うわまわ性能せいのう実現じつげんすることも不可能ふかのうではない。
  30. ^ たとえば車両しゃりょう限界げんかい制約せいやくおおきく単式たんしきのまま左右さゆうのシリンダーをだい直径ちょっけいとすると各駅かくえきのホームに抵触ていしょくするおそれがあったイギリスでは単式たんしき3・4気筒きとう導入どうにゅうれいおおく、自国じこく石炭せきたん資源しげん産出さんしゅつりょうやその品質ひんしつなどの問題もんだいからとく燃費ねんぴ神経質しんけいしつであったフランスでは複雑ふくざつ精緻せいち複式ふくしき4気筒きとう積極せっきょくてき導入どうにゅうされている。
  31. ^ 3気筒きとうでもグレズリーバルブギアが外側そとがわのバルブで内側うちがわ駆動くどうするが、こちらはかなり神経質しんけいしつ機構きこうだった。
  32. ^ 前述ぜんじゅつ振動しんどうおさえる3・4気筒きとうはどちらも内側うちがわ外側そとがわのシリンダーでうごきをずらしてロッドがぎゃく位置いちうごくことで重心じゅうしん移動いどうによる振動しんどうちいさくなるだけで、気筒きとうやしても一斉いっせいおな方向ほうこううごいているのでは重心じゅうしんうごき、振動しんどう減衰げんすいしない。

出典しゅってん

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参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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蒸気じょうき機関きかんしゃ形態けいたい車両しゃりょう

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蒸気じょうき機関きかんしゃ機構きこう

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外部がいぶリンク

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