(Translated by https://www.hiragana.jp/)
集電装置 - Wikipedia

しゅうでん装置そうち

鉄道てつどう車両しゃりょうやトロリーバスが電気でんきるための装置そうち

しゅうでん装置そうち(しゅうでんそうち、英語えいご: current collector)とは、鉄道てつどう車両しゃりょうトロリーバス電気でんきるための装置そうちをいう。しゅう電器でんき(しゅうでんき)ともばれ、代表だいひょうれいとしてパンタグラフげられる。

架空かくう電車でんしゃせん方式ほうしき電車でんしゃでは通常つうじょう編成へんせいない電動でんどうしゃ装備そうびされるが、じくおも車両しゃりょう重量じゅうりょう制限せいげん位置いち制約せいやくとう関係かんけいで、動力どうりょく制御せいぎょしゃ付随ふずいしゃけられる事例じれいもある[注釈ちゅうしゃく 1]変則へんそくれいでは日本にっぽん電車でんしゃがた救援きゅうえんしゃがあり、はし電力でんりょく不要ふよう制御せいぎょしゃであったが、救援きゅうえん活動かつどうもちいる機器きき電源でんげん必要ひつようなため、あつまりでん装置そうちつものもあった[注釈ちゅうしゃく 2]

トロリーポール

編集へんしゅう
 
関電かんでんトンネルトロリーバス(2018ねんかぎりで廃止はいし
 
ホイールを使用しようしたトロリーポール先端せんたん(ヤキマバレーインタアーバン297ごう電気でんき機関きかんしゃ
 
レトリバー(ヘッドライト右側みぎがわ
 
京都きょうと市電しでんうえせん(1945ねん休止きゅうし)うわ終点しゅうてん1かたちの2ほんのトロリーポールをまわ乗務じょうむいん
 
SEPTA軽快けいかい路面ろめん電車でんしゃ

トロリーポール(trolley pole)とは、鉄道てつどう車両しゃりょうやトロリーバスの屋根やねじょうけられ、架線かせん(トロリー)に接触せっしょくさせてしゅうでんする装置そうち一種いっしゅ。「ポール」または「でん棍」(でんこん)ともばれる。本体ほんたいてつ軽金属けいきんぞくステンレスこうひとしパイプ出来できており、先端せんたん部分ぶぶんにはトロリーホイールばれる滑車かっしゃじょう車輪しゃりん、またはスライダーシューとばれるU断面だんめんのすりばんけられており、架線かせんにはめよう接触せっしょくさせる。鉱山こうざん鉄道てつどうなどでは事故じこ防止ぼうし観点かんてんから、木製もくせいのポールに絶縁ぜつえんざい被覆ひふくされた電源でんげんケーブルをわせたものももちいられた。トロリーポールは架線かせんたいしてななめに角度かくどけてトロリーホイールやスライダーシューを接触せっしょくさせて使用しようし、架線かせん方向ほうこう使用しようするとはなれせんしたときにトロリーポール自体じたいもしくは架線かせん架線かせん支持しじするつるし架線かせん(スパンワイヤー)の損傷そんしょうにつながるため、なびく方向ほうこう使用しようするのが原則げんそくである。車両しゃりょう速度そくど向上こうじょうするにつれ、架線かせんはずれたトロリーポールが架線かせんつるし架線かせん切断せつだんする事故じこえたため、ぜんまいばねはたらきでひもり、トロリーポールのがりをふせぐレトリバー(レトリーバー、トロリーキャッチャー)が考案こうあんされた。

電気でんき鉄道てつどう黎明れいめいには幅広はばひろ使用しようされたが、架線かせんたいしてななめに接触せっしょくさせて使用しよう架線かせんたかさが変位へんいすると架線かせんたいするトロリーポールの接触せっしょく角度かくど変位へんいするので、架線かせんとの接触せっしょくめんくわわる圧力あつりょく架線かせんげるちから)の変動へんどうおおきい[注釈ちゅうしゃく 3]。かつ質量しつりょうおおきく剛性ごうせいひくい(しなる)ため、

  1. 架線かせん追従ついしょうせいわるく、架線かせんにはめこんであるトロリーホイールやスライダーシューが架線かせんからはずれてしまうはなれせんこりやすい。
  2. 一旦いったんはなれせん発生はっせいすると再度さいど乗務じょうむいんにより架線かせんせんさせる操作そうさ必要ひつようである。
  3. 走行そうこうちゅうはなれせん発生はっせいするとトロリーポールがうえがって架線かせん架線かせんつるし架線かせん切断せつだんする事故じここりやすい。
  4. 分岐ぶんき通過つうかかくトロリーポールに操作そうさいん通常つうじょう車掌しゃしょう兼務けんむ)が必要ひつよう貫通かんつう使用しようしにくい。

という問題もんだいがあり、高速こうそくだい出力しゅつりょくちょう編成へんせいには不向ふむきであった。

そのため、曲線きょくせん分岐ぶんきおお連結れんけつ運転うんてん多用たようされた日本にっぽんでは電気でんき鉄道てつどう発展はってんともな1920年代ねんだい以降いこうパンタグラフへの移行いこう急速きゅうそく進展しんてんしたが、トロリーポールには、構造こうぞう単純たんじゅん製造せいぞうコストもひくい、本体ほんたいのサイズがおおきく作用さよう範囲はんいひろいため、架線かせん上下じょうげ左右さゆう偏倚へんい張力ちょうりょく変動へんどうつよい、架線かせんをさほどたか精度せいど設置せっちしなくても使用しようできるので架線かせん設置せっちおよ維持いじコストを低廉ていれんできる[注釈ちゅうしゃく 4]、といった理由りゆうから、そのながきにわたり路面ろめん電車でんしゃ小規模しょうきぼ地方ちほう私鉄してつようとして使つかわれつづけた。

アメリカではインターアーバン中心ちゅうしんにそのもトロリーポールを使用しようするれい多数たすうられた[注釈ちゅうしゃく 5]路面ろめん電車でんしゃでは1929ねん昭和しょうわ4ねん)からPCCカー開発かいはつされて1936ねん昭和しょうわ11ねん)に基本きほん仕様しよう完成かんせい[注釈ちゅうしゃく 6]以降いこう量産りょうさんして全米ぜんべい各地かくち使用しようされ、マサチューセッツしゅうボストンはしるレッドラインのマタパン(Mattapan)支線しせん[1]では2012ねん平成へいせい24ねん現在げんざいでも使用しようちゅうであり、スライダーシューきのトロリーポールを使用しようしている。ペンシルベニアしゅうフィラデルフィアSEPTAでも、1980年代ねんだいにPCCカーの代替だいたいとして導入どうにゅうされた川崎重工かわさきじゅうこうせい軽快けいかい電車でんしゃがトロリーポールを装備そうびして登場とうじょうし、使用しようされている。また、アメリカではサンフランシスコ市営しえい鉄道てつどうのFライン、ウィスコンシンしゅうケノーシャなど、トロリーポールを装備そうびしたPCCカーのような旧型きゅうがた路面ろめん電車でんしゃ市中しちゅう復活ふっかつ運行うんこうしているれい複数ふくすうある。

トロリーポールには進行しんこう方向ほうこうたいして1ほん(シングルポール)のものと2ほん(ダブルポール)のものがある。戦前せんぜん日本にっぽんでは、大都市だいとし路面ろめん電車でんしゃ中心ちゅうしんに、線路せんろからのでん漏電ろうでんして地下ちか埋設まいせつした水道すいどうよう鉄管てっかん腐食ふしょくでんしょく)させる事例じれいがあり[注釈ちゅうしゃく 7]、これをふせぐために架線かせんでんする方式ほうしきとしたため、2ほんとなった。その水道すいどうかん材質ざいしつ電気でんき影響えいきょうすくないなまりとう変更へんこうされたため、戦後せんごはすべて1ほん変更へんこうされている。トロリーバスでは構造こうぞう上地じょうちめんへのでん不可能ふかのうであり、架線かせんでんするためすべて2ほんとなっている。

小型こがた車両しゃりょうでは、屋根やね中央ちゅうおうけられ[注釈ちゅうしゃく 8]進行しんこう方向ほうこうわる場合ばあい乗務じょうむいんひも旋回せんかいさせていた。日本にっぽんではこの作業さぎょうはポールまわしとばれる。その車両しゃりょう大型おおがたともない、進行しんこう方向ほうこうごとに1ついそなえるようになり、2ほんポールの場合ばあい合計ごうけい4ほんとなる。この場合ばあいつねうしがわ使用しようし、終端しゅうたん乗務じょうむいんろしをおこなっていた。ポールをげるにはまれたばね復元ふくげんりょく利用りようするが、架線かせんへの追従ついしょうせい確保かくほするためにビューゲルやパンタグラフと比較ひかくしてげるちから強力きょうりょくで、かつ架線かせんにピンポイントで正確せいかくにトロリーホイールやスライダーシューをはめ必要ひつようがあってトロリーコード(ひも)をあやつ操作そうさするには熟練じゅくれん必要ひつようであった[注釈ちゅうしゃく 9]。また、分岐ぶんきてんせんさいは、本線ほんせんがわ架線かせんから分岐ぶんきがわ架線かせんへのえが必要ひつようとなるため、乗務じょうむいん天候てんこうにかかわらずしてポール操作そうさおこなわなくてはならず、おおきな負担ふたんになった[3]分岐ぶんきでトロリーポールをげてえる手間てま軽減けいげんするために、軌道きどうがわ分岐ぶんきよりも進行しんこう方向ほうこうややおくがわ架線かせん分岐ぶんき設置せっちし、走行そうこうちゅうにトロリーコードを分岐ぶんきがわかるくだけでトロリーポールのてんせん完了かんりょうするよう改良かいりょうされたが、はなれせん発生はっせいしやすいので従来じゅうらい作業さぎょうおこなうタイプと併用へいようされていた。

トロリーバスは道路どうろ状況じょうきょうによっては架線かせん直下ちょっかおおきくはずれてはし必要ひつようがあるが、U断面だんめん水平すいへい垂直すいちょく方向ほうこう可動かどうしきのスライダーシューを装着そうちゃくして架線かせん追従ついしょうせいたかめる改良かいりょうがされたトロリーポールはこの使用しようじょうきょういており、2012ねん平成へいせい24ねん現在げんざいもトロリーポールが使つかわれている。スライダーしきはトロリーバスようとして開発かいはつされたが、架線かせんへの追従ついしょうせいすぐれていたため鉄道てつどうでも高速こうそく運転うんてんおこな路線ろせん中心ちゅうしんにホイールしきから変更へんこうされたれいがある[注釈ちゅうしゃく 10]

トロリーバスの場合ばあい進行しんこう方向ほうこう一方いっぽうのため、終端しゅうたんには転回てんかいせんもうけられており、途中とちゅう分岐ぶんきすくない。トロリーポールのろしは(1)数少かずすくない分岐ぶんき(2)にゅう出庫しゅっこ(3)電化でんか区間くかん鉄道てつどうせん踏切ふみきりをわたる場合ばあい(4)はなれせん車両しゃりょう故障こしょうとうで、路面ろめん電車でんしゃより頻度ひんどひくくしておもててい速度そくど向上こうじょうによる高速こうそくねらっている。トロリーポール自体じたい当初とうしょ路面ろめん電車でんしゃよう同様どうよう構造こうぞうだったが、高速こうそく対応たいおうし、またはなれせん架線かせんつるし架線かせん切断せつだん事故じこ防止ぼうしのために、後年こうねんはほとんどのケースでレトリバー(トロリーキャッチャー)をけた[4]

手動しゅどう操作そうさする架線かせん分岐ぶんき開発かいはつされ、車庫しゃこ構内こうない停留所ていりゅうじょなど停車ていしゃして操作そうさ可能かのう場所ばしょ使用しようされた。自動じどうした架線かせん分岐ぶんき機構きこう開発かいはつされ、世界せかい各国かっこくのトロリーバスで使用しようされたが[5]構造こうぞう複雑ふくざつなことと、後述こうじゅつするビューゲルやパンタグラフの普及ふきゅうにより、手動しゅどうしき自動じどうしきともに鉄道てつどう路面ろめん電車でんしゃでは一般いっぱんしなかった。

電気でんき鉄道てつどう黎明れいめいにはさまざまな試行錯誤しこうさくごおこなわれ、トロリーポールもその起源きげん完全かんぜん特定とくていには今後こんご研究けんきゅうたれるが、1888ねん(明治めいじ21ねん)にアメリカのダービーホース鉄道てつどう(DERBY HORSE RAILWAY)でヴァン・デポール(Van Depoele)の電気でんきひん使用しようした電気でんき機関きかんしゃがトロリーポールをもちいている。また同年どうねん、アメリカのリッチモンドユニオンパッセンジャー鉄道てつどう(Richmond Union Passennger Railway)がフランク・スプレイグ(Frank Julian Sprague)考案こうあん電気でんき鉄道てつどうシステムを採用さいようして開通かいつう、やはりトロリーポールを使用しようしている。日本にっぽん営業えいぎょうよう鉄道てつどうにおけるトロリーポールの使用しようは、1895ねん明治めいじ28ねん)2がつ1にち京都きょうと電気でんき鉄道てつどう1918ねん大正たいしょう7ねん)に京都きょうと市電しでん/京都きょうと交通こうつうきょくにより買収ばいしゅう)をってその嚆矢こうしとする(1890ねん明治めいじ23ねん)5がつ4にちから東京とうきょう上野公園うえのこうえんでトロリーポールを使用しようした『東京とうきょう電燈でんとうスプレーグしき電車でんしゃ』(てつ軌道きどう分野ぶんやではスプレーグと表記ひょうきすることがある)がはしっているが、内国ないこく勧業かんぎょう博覧はくらんかい開催かいさい期間きかんちゅう限定げんてい運行うんこうでありサンプルてき存在そんざい[6]。ホイールしき1975ねん昭和しょうわ50ねん)12月の京福電気鉄道けいふくでんきてつどう嵐山本線あらしやまほんせん北野線きたのせん、スライダーしき1978ねん昭和しょうわ53ねん)10がつ京福電気鉄道けいふくでんきてつどう叡山えいざん平坦へいたんせん鞍馬線くらません[注釈ちゅうしゃく 10]げん叡山えいざん電鉄でんてつ叡山本線えいざんほんせん鞍馬線くらません)を最後さいご旅客りょかくよう鉄道てつどう使用しようする路線ろせんはなくなり、現在げんざい乗客じょうきゃくせる車両しゃりょうでは明治めいじむらひとし保存ほぞんよう鉄道てつどうでのみもちいられている[7][8]一方いっぽう、トロリーバスけスライダーしきは、日本にっぽん唯一ゆいいつ現存げんそんするトロリーバス路線ろせん立山たてやま黒部くろべアルペンルートうちふくまれる立山黒部貫光たてやまくろべかんこう立山たてやまトンネルトロリーバスのみで使用しようされている。

 
ビューゲル
写真しゃしん東京とうきょう都電とでん7504ごう 空気圧くうきあつ操作そうさしき改造かいぞう姿すがた

ビューゲル(どく:Bügelstromabnehmer)は、かつての路面ろめん電車でんしゃ多用たようされたしゅうでん装置そうち架線かせんいた(スライダーシュー)をあつせっし、すりどうさせてしゅうでんする。

架線かせんからのしゅうでんシステムはその黎明れいめい様々さまざま方式ほうしき考案こうあんされたが、ビューゲルの原型げんけいとなるものも、トロリーポールやパンタグラフの原型げんけいと、ほぼおな時期じき使用しようはじまっている[注釈ちゅうしゃく 11]。トロリーポール同様どうよう起源きげん完全かんぜん特定とくていにはさらなる研究けんきゅうたれるが、アメリカ起源きげんのトロリーポールにたいしてドイツ名詞めいしであるビューゲル(Bügel=わく[注釈ちゅうしゃく 12])がもちいられ、おもにヨーロッパで発展はってんしたシステムである[3]英語えいごではボウコレクター(Bow collector)、その和訳わやくでは弓形きゅうけいしゅう電子でんしばれる[注釈ちゅうしゃく 13]

本体ほんたいてつ軽金属けいきんぞく・ステンレスとうのパイプでつくられており、わくじょうであり通常つうじょう関節かんせつたない。特殊とくしゅ構造こうぞう中途ちゅうと関節かんせつつものもあるがパンタグラフやZパンタグラフのよう本体ほんたいたおれこみをふせ機構きこうたず、トロリーポールと同様どうよう架線かせん接触せっしょくする角度かくど変位へんいさせて架線かせんたかさの変位へんい追従ついしょうさせる。トロリーポールとちが左右さゆう方向ほうこうにはくびらない。よこはばたせたすりばん(スライダーシュー)の左右さゆうはしじて曲線きょくせんえがき、わく接続せつぞくしているのが特徴とくちょうで、その形状けいじょうから日本にっぽんでは「布団ふとんたたき」とばれた。わくまるみは架線かせんおおきく偏倚へんいしたさい復元ふくげんをスムーズにし、ビューゲルと架線かせん損傷そんしょうふせ目的もくてきもうけられているが、わく角形かくがたでパンタグラフ同様どうようしゅうでんふねつタイプも存在そんざいする[9]

架線かせんにトロリーホイールやスライダーシューをはめよう接触せっしょくさせるトロリーポールとはことなり、よこはばのあるスライダーシューを架線かせんにすべり接触せっしょくさせる。架線かせんとビューゲルがバウンドしてはなれせん発生はっせいしても自動じどう復旧ふっきゅうするので、トロリーポールのようふたた架線かせんせんさせる操作そうさをせずに運転うんてん継続けいぞくすることができる。架線かせんはずれてがってしまうこといので架線かせんつるし架線かせん切断せつだん事故じここりにくい。運転うんてんちゅうかん操作そうさ不要ふようとなり、乗務じょうむいん負担ふたん軽減けいげんされて機関きかんしゃから路面ろめん電車でんしゃまで幅広はばひろ普及ふきゅうした。

てこの原理げんり応用おうようして架線かせん接触せっしょくするすりばん(スライダーシュー)部分ぶぶん作用さようてんとし、なんらかのばね装置そうち架線かせんへのあつせっりょくている。 以下いか日本にっぽんでの実用じつようれいである。

  • 本体ほんたい台座だいざへの取付とりつ部分ぶぶん回転かいてんじく(てこの支点してん)と直角ちょっかく車両しゃりょう前後ぜんご進行しんこう方向ほうこう)にいちくみずつコイルばねを設置せっちし、本体ほんたいのてこの支点してん上部じょうぶもしくは下部かぶ(てこの力点りきてん)に作用さようさせるもの(二宮にのみやしき)。架線かせんへの圧力あつりょく一定いっていにするため架線かせんたかさを一定いっていととのえる必要ひつようがある。
  • 本体ほんたいわく中央ちゅうおう部分ぶぶん(てこの力点りきてん)と台座だいざをリンク装置そうちかいしてシリンダにんだいちくみのコイルばねで連結れんけつするもの(泰平たいへい電鉄でんてつ機械きかい)。スプリングのちからける前後ぜんこうのリンクが進行しんこう方向ほうこうごとわって架線かせんへの圧力あつりょく変動へんどう軽減けいげんしている。
  • 本体ほんたい台座だいざへの取付とりつ部分ぶぶん回転かいてんじく(てこの支点してん)と同軸どうじくじょうにコイルばねを設置せっちし、本体ほんたいわく下部かぶ(てこの力点りきてん)にトーションスプリング(ねじりばね)として作用さようさせるもの(明石あかし製作所せいさくしょ東洋電機製造とうようでんきせいぞう)。すうやしたスプリングの直径ちょっけいおおきくしてばね定数ていすうひくめに設定せっていし、復元ふくげんりょく変動へんどう抑制よくせいして圧力あつりょく変動へんどう軽減けいげんしている[10][11]

トロリーポール同様どうよう原則げんそくてき車両しゃりょう進行しんこう方向ほうこうわせてなびく方向ほうこう使用しようする。車両しゃりょう逆行ぎゃっこうさせるだけで架線かせんとスライダーシューの摩擦まさつりょく自然しぜん反転はんてんするが、すべって反転はんてんしない場合ばあいひもいて反転はんてんさせる。ビューゲルのわくには伸縮しんしゅく機構きこうく、反転はんてんするさいには架線かせんげることになるため、反転はんてんする箇所かしょ架線かせんはあらかじめげられること許容きょようするようける必要ひつようがある[注釈ちゅうしゃく 14]

世界せかい各国かっこくではより大型おおがた台座だいざごと進行しんこう方向ほうこう反対はんたいに180°旋回せんかいさせて反転はんてんするタイプも使用しようされ[注釈ちゅうしゃく 15]、このタイプは架線かせんげずに反転はんてんできるが乗務じょうむいんかなら下車げしゃしての作業さぎょうとなる。また、1台座だいざ本体ほんたいを2装備そうびして進行しんこう方向ほうこうごとにげして使つかけるタイプも存在そんざいした[13]。ビューゲルはトロリーポールとことなり、分岐ぶんきてんでの架線かせんえは不要ふようで、乗務じょうむいんによるしゅうでん装置そうちかんかえ反転はんてん以外いがい基本きほんてき不要ふようになる。

日本にっぽんでは1902ねん明治めいじ35ねん)に江之島えのしま電氣でんき鐡道(げん江ノ島えのしま電鉄でんてつ)、1903ねん明治めいじ36ねん)に宮川みやがわ電氣でんき三重交通みえこうつう神都しんとせん)がそれぞれ開業かいぎょうにドイツのジーメンスせいビューゲルを使用しようするが、いずれも短期間たんきかんにとどまり、トロリーポールにかわそうしている[14][15]1941ねん昭和しょうわ16ねん)には広島ひろしま瓦斯がすでん軌(げん広島電鉄ひろしまでんてつ)が、だい世界せかい大戦たいせんちゅう灯火ともしび管制かんせい一環いっかんとして(トロリーポールはなれせんアーク防止ぼうしため)、ビューゲルとパンタグラフを試験しけん使用しようしたうえ[注釈ちゅうしゃく 16]1944ねん昭和しょうわ19ねん)に全線ぜんせんビューゲルした[16]使用しようしたビューゲルは自社じしゃ開発かいはつした二宮にのみやしきしょうするもので、ビューゲルを短期間たんきかんまらずに継続けいぞく使用しようした路線ろせんとしては日本にっぽん国内こくない最初さいしょのケースとなった。

つづいて戦後せんご都市とし路面ろめん電車でんしゃかく電機でんきメーカーの試作しさくひん試用しようはじまり、1949ねん昭和しょうわ24ねん)1がつ横浜よこはま市電しでん横浜よこはま交通こうつうきょく採用さいよう泰平たいへい電鉄でんてつ機械きかいげん泰平たいへい電機でんき)が開発かいはつした定圧ていあつしきビューゲルしゅうでん装置そうち1948ねん昭和しょうわ23ねん)8がつ開発かいはつ)が本格ほんかく採用さいようだいいちごう[17]以降いこうメーカー(明石あかし製作所せいさくしょ東洋電機製造とうようでんきせいぞう)の競合きょうごう製品せいひん共々ともども架線かせん電圧でんあつ電流でんりゅうひくく、走行そうこう速度そくどひく路面ろめん電車でんしゃ地方ちほう私鉄してつでは普及ふきゅう[注釈ちゅうしゃく 17]してなが使用しようされた[18][19]。 トロリーポールに比較ひかくしてあつかいが格段かくだん簡便かんべんになったビューゲルではあったが、以下いか欠点けってんもある。

  1. トロリーポールと同様どうよう架線かせんたいしてななめに接触せっしょくするので、架線かせんたかさが変化へんかすると架線かせんたいするビューゲルの接触せっしょく角度かくど変位へんいする。架線かせんげる圧力あつりょく変動へんどうおおきくはなれせんしやすい。反転はんてんにも架線かせんとビューゲルがバウンドしてはなれせんすることおおい。
  2. はなれせんによってアークがび、架線かせん・ビューゲルのすりばん(スライダーシュー)ともいちじるしく消耗しょうもうする。
  3. 一般いっぱんてきなタイプははなれせん発生はっせい考慮こうりょするとしゅうでん容量ようりょうおおきくすることむずかしい。
  4. 反転はんてんおも架線かせんげるので、パイプで軽量けいりょうして製作せいさくされているビューゲル本体ほんたい破損はそんすることがある。

これらの欠点けってんのため、高速こうそく車両しゃりょうではパンタグラフが主流しゅりゅうになった。日本にっぽん国内こくない路面ろめん電車でんしゃにおいても順次じゅんじZパンタグラフやパンタグラフにかわそうされてき、東京とうきょう都電とでん荒川線あらかわせんはなれせんによってこる瞬間しゅんかんてき停電ていでんによる冷房れいぼう装置そうちインバータ故障こしょう防止ぼうしのためパンタグラフにえた[20]のを最後さいご標準ひょうじゅん仕様しよう機器ききとして使用しようする路線ろせんくなり、長崎ながさき電気でんき軌道きどう動態どうたい保存ほぞんくるま土佐とさ電気でんき鉄道てつどう貨1かたちのこっている程度ていどである。

"Yがたビューゲル"のりゃくで、形状けいじょうがアルファベットの「Y」のている。

これは、ポールしゅうでんから移行いこうするさいに、既存きそんのトロリーポールを改造かいぞうして先端せんたんをYじょう分岐ぶんきさせてトラス構造こうぞう形成けいせいし、左右さゆうくびらないよう加工かこううえでスライダーシューをけたもので、トロリーポール同様どうよう車体しゃたい前後ぜんこう屋根やねじょうかく1ずつ装備そうびして進行しんこう方向ほうこうにあわせて前後ぜんごのYゲルをげして使用しようする。新品しんぴんのビューゲルを購入こうにゅうするのと比較ひかくして大幅おおはばていコストとなることから、南海なんかい大阪おおさか軌道線きどうせん静岡鉄道しずおかてつどう秋葉線あきはせんなどで採用さいようされた。静岡鉄道しずおかてつどう秋葉線あきはせんではこのYゲルをさらに改造かいぞうし、2つわせて途中とちゅう関節かんせつもうけ、ひしわくがたのパンタグラフとするという工事こうじ実施じっししている[21]

阪神国道はんしんこくどうせんでもYがたしゅうでん装置そうち使用しようされていたが、屋根やねじょうに1のみが装備そうびされ、本体ほんたいながさもみじかく、前後ぜんご反転はんてん使用しようするタイプで、ほぼ通常つうじょうがたのビューゲルと同様どうよう構造こうぞうであった[注釈ちゅうしゃく 18]

Yゲルは現在げんざい日本にっぽんではくるませきではあるが、えちぜん鉄道てつどうML6かたちがこれをそなえている[22]

ボウコレクター

編集へんしゅう

ビューゲルの一種いっしゅ導入どうにゅう推移すいい前述ぜんじゅつのYゲルとほとんどおなじで、Yゲルもボウコレクターとばれる場合ばあいがある。Yゲルとのちがいは、既存きそんのトロリーポール2ほん平行へいこうにならべて先端せんたんにスライダーをけるもので、ポールあいだはり鋼管こうかんでトラス構造こうぞう接続せつぞくされている。Yゲル同様どうようトロリーポールのさい利用りようれいであるが、採用さいようれいすくない。京阪電気鉄道けいはんでんきてつどう阪急電鉄はんきゅうでんてつ昭和しょうわ初期しょきまでおもに無蓋むがいよんじく電動でんどう貨車かしゃきゅう北野線きたのせんよんじく客車きゃくしゃ採用さいようしていたが、ながくはつづかなかった[注釈ちゅうしゃく 19]

パンタグラフ

編集へんしゅう

鉄道てつどうにおけるパンタグラフとは、コイルばねのちから空気圧くうきあつなどによって架線かせんしゅうでんふねけ、関節かんせつ構造こうぞうまたは伸縮しんしゅく構造こうぞうもうけることで、架線かせんたかさの変化へんか追従ついしょうさせる形態けいたいしゅうでん装置そうち近年きんねん架空かくう電車でんしゃせん方式ほうしきにおけるしゅうでん装置そうちとしてはもっと一般いっぱんてき使つかわれている。りゃくしてパンタ、またはパンばれることがおお[注釈ちゅうしゃく 20]

パンタグラフの構造こうぞうは、おおきくけて4つの部分ぶぶん構成こうせいされており、架線かせん直接ちょくせつ接触せっしょくしてすりどうしながら架線かせん電力でんりょく取込とりこむためのしゅうでんふねあつまりでんぶね自由じゆううごきながら架線かせん追従ついしょうせいくするためのしゅうでんふねささ装置そうち鋼板こうはん・アルミ合金ごうきん・ステンレスパイプのリンクで構成こうせいされた枠組わくぐみ、パンタグラフ全体ぜんたいささえて車体しゃたい固定こていするためのわくからなっており、あつまりでんぶね架線かせんとのすりどう部分ぶぶんすりばんばれており、導電性どうでんせい架線かせん損耗そんこうあたえにくいカーボンやどう合金ごうきんなどが使用しようされ、摩耗まもうによる定期ていきてき交換こうかん必要ひつようとするため、それが容易よういにできるように、いくつかに分割ぶんかつされた構造こうぞうとなっている。

その発明はつめいしゃだれであったかについては、現在げんざいいたるまであきらかとはなっていないが、ボルチモア・アンド・オハイオ鉄道てつどう(Baltimore and Ohio Railroad)で1895ねん明治めいじ25ねん)、電気でんき機関きかんしゃ先端せんたんしゅうでんよう台車だいしゃけたひしがたしゅうでん装置そうち使用しようしている[注釈ちゅうしゃく 21]。アメリカ・サンフランシスコの対岸たいがん、オークランド周辺しゅうへん路線ろせんもう形成けいせいしていたキー・システム (Key System)[注釈ちゅうしゃく 22]1903ねん明治めいじ36ねん)の開業かいぎょうすでひしわくがたパンタグラフを装備そうびした電車でんしゃ就役しゅうえきさせていたことが開業かいぎょう当日とうじつ撮影さつえいされた写真しゃしん判明はんめいしている。

「パンタグラフ」の語源ごげんは、製図せいずフライス加工かこうなどで、複製ふくせいのためにもちいられる、リンク機構きこう菱形ひしがたをつなげたかたち道具どうぐである、パンタグラフ (Pantograph)動作どうさていたためられた名称めいしょうである。現在げんざいではかならずしも菱形ひしがたのもののみをすのではなく、形状けいじょうのものもふくめ、関節かんせつ構造こうぞうそなえた屋根やねじょう装備そうびするしゅうでん装置そうち総称そうしょうとなっている。

菱形ひしがた

編集へんしゅう
 
PT43がた菱形ひしがたパンタグラフ(東急とうきゅう8500けい電車でんしゃ
 
PT43がたよこから菱形ひしがたパンタグラフ(東急とうきゅう8500けい電車でんしゃ
 
PS13がた。ラーメン構造こうぞう鋼板こうはん部材ぶざい使用しようのパンタグラフ(銚子ちょうし電気でんき鉄道てつどうデハ801

菱形ひしがたもっと古典こてんてきかつ一般いっぱんてき構造こうぞうのもので、その形状けいじょう動作どうさ拡大かくだいまたは縮小しゅくしょうしてえがくことのできるパンタグラフ(うつし)にていたことから、このタイプのしゅうでん装置そうちがパンタグラフとばれるようになった。厳密げんみつには菱形ひしがた四角形しかっけい)ではなく、五角形ごかっけいである。一般いっぱんてきには鋼管こうかんトラス構造こうぞう組立くみたてたものであるが、一部いちぶラーメン構造こうぞうのものもられた。

とくていちゅうそくでの追従ついしょう性能せいのうがよく、したわく交差こうさがた普及ふきゅうしてもなお、国鉄こくてつ在来ざいらいせん電車でんしゃ大半たいはん採用さいようされるなど架空かくう電車でんしゃせん方式ほうしきしゅうでん装置そうち主流しゅりゅうめていた。しかし、可動かどう質量しつりょうおおきい、高速こうそく空気くうき抵抗ていこうおおきい、といった欠点けってんがあり、1990年代ねんだい以降いこうはシングルアームがたってわられつつある。現在げんざい新造しんぞうしゃ装備そうびされるケースはほとんどなくなってきている。

日本にっぽんにおける主要しゅよう形式けいしき

編集へんしゅう

日本にっぽん鉄道てつどう使用しようされたおも菱形ひしがたパンタグラフは下記かきとおり。

  • 鉄道てつどうしょう国鉄こくてつJR東日本ひがしにっぽんJR四国しこく制式せいしき東洋電機製造とうようでんきせいぞうのものがほとんど。一部いちぶ機種きしゅには私鉄してつけも存在そんざいし、それらのおおくはメーカー形式けいしき東洋電機製造とうようでんきせいぞうであればPT○○)があたえられる。
    PS2かたち
    東洋電機製造とうようでんきせいぞうCかたち1923ねん大正たいしょう12ねん)に制式せいしき。ばね上昇じょうしょうしき鋼管こうかんによる上下じょうげわくそなえ、うえわくにXじょうたすきじょう)の部材ぶざいけて強度きょうど向上こうじょうしている。従来じゅうらい機種きしゅことなり主軸しゅじく軸受じくうけボールベアリング採用さいようし、摩擦まさつ軽減けいげんとこれにともな追従ついしょうせい向上こうじょう実現じつげんした。
    PS10かたち
    1930ねん昭和しょうわ5ねん)にED16かたち以降いこうしょう制式せいしき電気でんき機関きかんしゃようとして鉄道てつどうしょう東洋電機製造とうようでんきせいぞう三菱電機みつびしでんきをはじめとするかく電機でんきメーカーが共同きょうどう設計せっけい基本きほんとなったのはウェスティングハウス・エレクトリックしゃせいED53かたちEF51かたち装着そうちゃくされていたしょう形式けいしきPS9で、空気圧くうきあつ上昇じょうしょうしきうえわくだけではなくしたわくにもXじょうのたすきじょう支柱しちゅうけられ、強度きょうど向上こうじょうはかられた。
    PS11かたち
    PS10のわく構造こうぞう基本きほんとしてしゅばねを4ほんから2ほんらし、ばね上昇じょうしょうしき変更へんこうしたもの。しょう制式せいしき電車でんしゃようとして設計せっけいされ、1932ねん製造せいぞう開始かいしモハ40かたちなどより採用さいようされた。
    PS12かたち
    基本きほんはPS13かたちおなじだが、天井てんじょうかんがある。
    PS13かたち
    1944ねん昭和しょうわ19ねん)に採用さいようされた、工作こうさく簡易かんい資材しざい節約せつやくさい優先ゆうせん目的もくてきとした戦時せんじ設計せっけいしなしたわく鋼板こうはん溶接ようせつによるラーメン構造こうぞう採用さいようし、補強ほきょうようのたすきじょう支柱しちゅう廃止はいしよこ方向ほうこう支持しじぼうのみとし、さらには非鉄ひてつ金属きんぞく資源しげん節約せつやくのためにカーボンスライダーを本格ほんかく採用さいようした。モハ63かたちEF13かたちなどに採用さいようされ、主軸しゅじく軸受じくうけひら軸受じくうけとしたことなどによる追従ついしょうせい低下ていかはあったが、構造こうぞう簡素かんそさもあってあつかいが容易ようい性能せいのう低下ていか想定そうてい以下いかであった。このため、戦後せんご若干じゃっかん改良かいりょううえモハ90かたち試作しさくしゃまで国鉄こくてつ電車でんしゃよう標準ひょうじゅんしゅうでん装置そうちとして生産せいさん継続けいぞくした。また、相模鉄道さがみてつどうでは8000けいまで使用しようされた。
    PS14かたち
    電車でんしゃでは一応いちおう成功せいこうたPS13だが、電気でんき機関きかんしゃようとしてはばね上昇じょうしょうしきなどとの相性あいしょうかんばしくなかった。そのためPS10を基本きほんさい設計せっけいされた形式けいしきである。EF58かたちEF15かたち採用さいよう空気圧くうきあつ上昇じょうしょうしき
    PS15かたち
    PS14を改良かいりょうし、あつまりでんふねささ装置そうち平行へいこうリンク機構きこうみ、わくはば縮小しゅくしょうすることで追従ついしょうせい向上こうじょう軽量けいりょうはかったもの。EF58かたちおよびEF15がた後期こうき生産せいさんグループ、それにEH10かたち採用さいよう空気圧くうきあつ上昇じょうしょうしき比較的ひかくてき短期間たんきかん生産せいさん終了しゅうりょうしたため、ほん形式けいしき搭載とうさいしゃ一部いちぶのちにこれをPS22Bへかわそうしている。
    PS16かたち
    当初とうしょ高速こうそく運転うんてん実施じっしする153けいきゅう91けいようとして1957ねん昭和しょうわ32ねん)に設計せっけいされ、つづ151けいきゅう20けいようPS16Aでしゅうでんぶね追従ついしょうせい改良かいりょうほどこされて一応いちおう完成かんせいをみた。ばね上昇じょうしょうしき鋼管こうかん溶接ようせつ構造こうぞう回帰かいきし、したわく支柱しちゅう付加ふかでMじょうのトラス構造こうぞうとなっている。また、うえわくもN字形じけい鋼管こうかん溶接ようせつ構造こうぞうとして軽量けいりょう高速こうそく追従ついしょうせい、それに強度きょうど両立りょうりつはかった。PS13にわるしん性能せいのう電車でんしゃよう標準ひょうじゅんしゅうでん装置そうちとして国鉄こくてつ在来ざいらいせん電車でんしゃ全般ぜんぱん細部さいぶ仕様しよう変更へんこうかさねつつやく30ねんにわたって大量たいりょう採用さいようされ、一部いちぶきゅうかたち電車でんしゃにも採用さいようされた。交直流ちょくりゅう電車でんしゃ401・421けい - 403・423けい初期しょきしゃにも使用しようされたが、特高とっこうあつ絶縁ぜつえん必要ひつようなためパンタグラフりたたみ限界げんかい確保かくほすべく、パンタグラフ搭載とうさい部分ぶぶんてい屋根やねになっていた。かんけ(寒冷かんれい仕様しよう)にはばねにたいゆきカバーがけられており、交流こうりゅうがた電車でんしゃけなども製造せいぞうされたため、用途ようとわせた接尾せつび(サフィックス)がある。Aかたちはばねカバーなしまたは簡易かんいカバーのちょく流用りゅうよう、BかたちがAかたち交流こうりゅうよう、JかたちがAかたちかんけ、HかたちがBかたちかんけである。また、私鉄してつけはPT16となる。
    PS17かたち
    電気でんき機関きかんしゃようとして、PS16を空気圧くうきあつ上昇じょうしょうしき変更へんこうして設計せっけいされ、1958ねん昭和しょうわ33ねん)よりED6061かたちようとして採用さいよう開始かいしされ、後継こうけいとなるPS22けいわく交差こうさしきパンタグラフへわるまで国鉄こくてつ電気でんき機関きかんしゃよう標準ひょうじゅんパンタグラフとして多用たようされた。
    PS18かたち
    カニ22かたちようとしてPS16を基本きほん設計せっけい寝台しんだい特急とっきゅう牽引けんいんよう装備そうび電気でんき機関きかんしゃからの遠隔えんかく操作そうさによる、異常いじょう緊急きんきゅう下降かこう可能かのう
    PS19かたち
    EF30かたちEF80かたちなどに採用さいよう。PS17を基本きほん交流こうりゅう対応たいおうとしたもの。
    PS21かたち
    剛体ごうたい架線かせん使用しようする地下鉄ちかてつせん対応たいおうしゃとして設計せっけいされた301けいようとして、PS16を基本きほんにスライダーシューのふねささ装置そうち部分ぶぶん設計せっけい変更へんこうとうおこなってしょうばねの追加ついかおこなったもの。追従ついしょう性能せいのう優秀ゆうしゅうであったことから回生かいせい制動せいどうおこなはなれせんこのましくなかった201けいにも採用さいようされたほか、301けい以降いこうかく地下鉄ちかてつせんしゃにも採用さいようされた。
    PS23かたち
    中央ちゅうおうせん高尾たかお以西いせいりたたみたかさ3980mm)、身延線みのぶせんりたたみたかさ3,960 mm)などの狭小きょうしょう限界げんかい区間くかん対策たいさくとして、PS16を基本きほんしゅうでんぶね小型こがたやイコライザーのたい枠外わくがいへの移設いせつなどの改良かいりょうおこない、最小さいしょうりたたみたかさを縮小しゅくしょうしたモデル。
    PS24かたち
    PS23のしゅうでんふねささ装置そうちにPS21と同様どうようしょうばねを追加ついかして架線かせん追従ついしょう性能せいのう向上こうじょうさせた改良かいりょう後継こうけい機種きしゅ。JR東日本ひがしにっぽん在籍ざいせきの201けい電車でんしゃ分割ぶんかつ編成へんせいと、中央ちゅうおう本線ほんせんよう115けい一部いちぶしも増設ぞうせつようとして搭載とうさい
    PS26かたち
    PS23を基本きほんに交直流ちょくりゅう対応たいおうとした機種きしゅ651けいほか253けいでも採用さいようE351けいではシングルアームパンタグラフまえ採用さいよう
    PS28かたち
    PS16を小型こがたしたもの。209けいただし、500番台ばんだい後期こうきしゃはPS33Aかたち1000番台ばんだい203けい207けい同様どうようのPS21かたち採用さいようされた)、E217けい搭載とうさい
    PS29かたち
    PS28をさらに小型こがたし、交直流ちょくりゅう対応たいおうした。E501けい搭載とうさい
    S-PS58かたち
    土讃線どさんせんおよ高徳線こうとくせん電化でんか見越みこし、りたたみたかさ3,900mmに対応たいおうするために開発かいはつされたパンタグラフ。[注釈ちゅうしゃく 23]7000けい6000けい、113けい搭載とうさい
  • 私鉄してつ
    • 東洋電機製造とうようでんきせいぞう: 日本にっぽんにおけるしゅうでん装置そうち製造せいぞう最大手さいおおてとして、トップシェアをにぎる。
      Aかたち
      ゼネラル・エレクトリックしゃせいパンタグラフの原図げんずもと1921ねん阪神はんしん急行きゅうこう電鉄でんてつけとしてデッドコピーしたもの。事実じじつじょう国産こくさんはつひしわくパンタグラフであったとられている。ばね上昇じょうしょう空気圧くうきあつ下降かこうしき。Bかたちはこれを小型こがたし、バネ上昇じょうしょうヒキヒモ下降かこうしきとしたものである。
      Cかたち
      Aかたち基本きほん改良かいりょうほどこしたもので、戦前せんぜん日本にっぽん国内こくない電気でんき鉄道てつどうけパンタグラフのデファクトスタンダードとして、改良かいりょうかさねつつ同社どうしゃ製品せいひん顧客こきゃくであった南海なんかい京阪けいはん阪和はんわ名鉄めいてつなどの各社かくしゃ大量たいりょう納入のうにゅうされた。なお、鉄道てつどうしょうでも上述じょうじゅつとおりPS2として初期しょきモデルが制式せいしき採用さいようされている。
      PT42かたち
      国鉄こくてつけのPS16に対応たいおうする、戦後せんご私鉄してつ電車でんしゃ菱形ひしがたパンタグラフのベストセラー。初号しょごう1955ねん昭和しょうわ30ねん)に設計せっけいされた。わく構造こうぞう同様どうようのPT44かたちふくめ、近鉄きんてつ阪急はんきゅう京阪けいはん東急とうきゅう小田急おだきゅう京王けいおう京成けいせいなど、大手おおて私鉄してつ各社かくしゃ大量たいりょう採用さいようされた。構造こうぞうめんではPS16に類似るいじするが、したわくがMじょうではなくうえわく同様どうようのNじょうとなっており、また関節かんせつよこ方向ほうこう支柱しちゅうけられているてんしゅばね(上昇じょうしょうばね)が屋根やねたい平行へいこうにかけられているてんなどでことなる。ふねたいをそのままカーブさせてホーンとするモデルからスタートしたが、のちにPT43同様どうようパイプがたホーンとして軽量けいりょうはかられた。
      PT43かたち
      PT42けいなら私鉄してつけベストセラー。PT42の派生はせい機種きしゅひとつで、スライダーからふねたいとホーンを分離ぶんりすることで架線かせん追従ついしょうせい軽量けいりょう実現じつげんした。また、架線かせんだかひく路線ろせん対応たいおうすべく、最低さいていだかが400mmとPT42けいして50mmひくくなっている。PT42と比較ひかくしてわく構造こうぞうがPS16によりちかいが、外観がいかんじょう、PT42と同様どうよう関節かんせつよこ方向ほうこう支柱しちゅうけられているてんことなる(初期しょきには省略しょうりゃくされたものがあった)。しゅばねはPS16などとおなななめがけである。西武せいぶ東急とうきゅう京急けいきゅう京成けいせいしん京成けいせい、それに阪急はんきゅうなどの各社かくしゃ採用さいようされた。
      PT44かたち
      営団えいだん3000けい電車でんしゃよう開発かいはつされた、上下じょうげ寸法すんぽう小型こがたされた機種きしゅである。基本きほんてき構造こうぞうとしてはS-PS58や、PS105の私鉄してつばんえる。営団えいだんおなじく日比谷線ひびやせんちょく通用つうよう車両しゃりょう用意よういした東武とうぶ東急とうきゅうが、基本きほん構造こうぞう寸法すんぽうがPT43とほぼ共通きょうつうのPT44Bを採用さいようした。菱形ひしがたパンタグラフを採用さいようしたほとんどの地下鉄ちかてつはPT42かPT43でようり、採用さいようれい極端きょくたんんだ。実際じっさい日比谷線ひびやせん系統けいとう後継こうけいしゃ営団えいだんしゃ従来じゅうらいがた東武とうぶしゃしたわく交差こうさがたとなっている。1985ねんごろより、しょうスペースをもとめて東急とうきゅう多数たすう導入どうにゅうしたが、このころにはしょうスペースというてんではしたわく交差こうさがたがすでに普及ふきゅうしており、選択肢せんたくしとしては魅力みりょくとぼしかった。1990年代ねんだいには西武せいぶ6000けい採用さいようされた。
      PT45かたち
      近鉄きんてつ1961ねん昭和しょうわ36ねん)より製造せいぞう開始かいしした奈良ならせん820けいようとしてPT45-Qを採用さいよう縮小しゅくしょう車両しゃりょう限界げんかい対応たいおうする小型こがたモデルのひとつ。
    • 三菱電機みつびしでんき: あるじとして近鉄きんてつ南海なんかい神戸電鉄こうべでんてつなど、自社じしゃせい機器きき納入のうにゅうさき各社かくしゃウェスティングハウス・エレクトリック(WH)しゃとのライセンス契約けいやくもとづく、あるいはそれを自社じしゃ独自どくじ改良かいりょうしたしゅうでん装置そうち製造せいぞう販売はんばいしていた。このため型番かたばん基本きほんてきにWHしゃ番号ばんごう体系たいけいをそのまま踏襲とうしゅうしていたが、一部いちぶにその体系たいけいからはずれた型番かたばんあたえられた特異とくい機種きしゅ存在そんざいした。現在げんざいでは製造せいぞう販売はんばいから撤退てったいしている。
      S-514かたち
      大阪おおさか電気でんき軌道きどうデボ1000・13001400かたちなどに採用さいようされた機種きしゅおもに-Aというサフィックスを付与ふよされたモデルが納入のうにゅうされた。横型よこがた碍子がいしそなえ、うえわくしたわくそれぞれにXじょう支柱しちゅうそなえる。戦後せんごなが重用じゅうようされ、ク1560かたち電装でんそうして近鉄きんてつはつ高性能こうせいのう試作しさくしゃであるモ1450かたち改造かいぞうしたさいにもS-514-DCが搭載とうさいされている。
      S-516かたち
      S-514けい後継こうけい機種きしゅとして近鉄きんてつモ2250かたち前期ぜんきしゃなどに採用さいよう軽量けいりょうなどに留意りゅういした設計せっけいとなっている。
      S-520かたち
      S-516がた改良かいりょうがた近鉄きんてつモ2250かたち後期こうきグループに採用さいようされた。
      S-710かたち
      大阪おおさかせん以上いじょう車両しゃりょう限界げんかい制約せいやくきびしい近鉄きんてつ奈良ならせん神戸電鉄こうべでんてつ車両しゃりょう標準ひょうじゅん採用さいようされた機種きしゅ横型よこがた碍子がいし採用さいようはS-514・516けい同様どうようであるが、わく寸法すんぽう縮小しゅくしょうされ、また構造こうぞう簡素かんそされている。伊予いよ鉄道てつどう100かたち101-104、200かたちにS-710-B、105-106と300かたち304にS-710-CCを採用さいよう
      S-750かたち
      近鉄きんてつ奈良線ならせんモ800かたちようとしてS-750-DCを採用さいようした。
      S-752かたち
      神戸こうべ電気でんき鉄道てつどうデ300かたち長野ながの電鉄でんてつ2000けい、1100けいにS-752-Aを採用さいよう。NじょううえわくとMじょうしたわくわせた構造こうぞうで、よこ方向ほうこう支持しじぼうたない。前後ぜんご方向ほうこう横型よこがた碍子がいしそなえる。
      P-900-Aかたち
      阪和はんわ(モタ300・モヨ100かたち)・東横ひがしよこ目黒めぐろ蒲田かまた(デハ510がた一部いちぶ)などに採用さいよう横型よこがた碍子がいし支持しじされ、はばひろいスライダーシューをそなえる、ヨーロッパふう空気圧くうきあつ上昇じょうしょうしき大型おおがたパンタグラフ。Sではじまる型番かたばん付与ふよされる通常つうじょう三菱電機みつびしでんきせいパンタグラフとはことなる番号ばんごう体系たいけいぞくする製品せいひんであり、愛好あいこうしゃあいだではふるくからスイス・ブラウンボベリしゃ(Brown Boveri & Co. Ltd: BBCしゃ)からのOEMしなであったとつたえられている[注釈ちゅうしゃく 24]が、その出自しゅつじいまなぞである。
    • 日立製作所ひたちせいさくしょ同社どうしゃせい私鉄してつよう電気でんき機関きかんしゃ相鉄そうてつ京王けいおう東武とうぶ戦前せんぜんがたなどでの採用さいようおおいが、採用さいよう早期そうき東洋とうようせい切替きりかえている事業じぎょうしゃがほとんどである。
      K-100かたち
      相鉄そうてつ京王けいおうなどが採用さいようした。東武とうぶ納入のうにゅうしていた機種きしゅより小型こがたされている。たいわく上下じょうげ碍子がいし配置はいちされ、したわくはPS13の支柱しちゅう撤去てっきょしたようなもの、ほかは後述こうじゅつのPG16にる。よこ剛性ごうせいとぼしかったとられ、相鉄そうてつ京王けいおうとも初期しょきしゃのみの採用さいようで、以降いこうPS13にかわそうされている。
      K-110かたち
      伊予いよ鉄道てつどう300けい電車でんしゃ303にK-110Cを採用さいよう
    • 東芝とうしば電装でんそうひん一式いっしき同社どうしゃせい車両しゃりょうへの採用さいようられた。2014ねん現在げんざい阪急はんきゅう地方ちほうけの部品ぶひん保守ほしゅ程度ていど縮小しゅくしょうされている。
      PG16かたち
      東急とうきゅう5000けい電車でんしゃ (初代しょだい)から東急とうきゅう6000けい電車でんしゃ (初代しょだい)B編成へんせいまで採用さいようされ、地方ちほう譲渡じょうと各地かくちわたった。外観がいかん東洋とうようのPT35やPT42にている。
      PG18かたち
      阪急はんきゅうでPG18-Hを採用さいよう[23]
    • 工進こうしんせいこうしょ西武せいぶへの納品のうひんおおかった。新幹線しんかんせんN700けい電車でんしゃ新京成電鉄しんけいせいでんてつ8900かたち電車でんしゃJR貨物かもつEF200かたち電気でんき機関きかんしゃようのシングルアームパンタグラフの納入のうにゅう実績じっせきがある。
      KP62かたち
      長期ちょうきわた西武せいぶ採用さいようした形式けいしきで、PS16に酷似こくじしている。3000けいまで採用さいようされていた。当初とうしょはアルミせいしゅわく使用しようしていたが、1988ねんごろよりステンレスに改造かいぞうされている。

したわく交差こうさがた

編集へんしゅう
 
したわく交差こうさがたパンタグラフ
写真しゃしん小田急おだきゅう20000かたち電車でんしゃ

菱形ひしがたしたわく交差こうささせることで、作用さようたかさをそこなうことなく(あつまりでんぶね可動かどう範囲はんいせばめることなく)うえわく小型こがたでき、それによる軽量けいりょう架線かせん追従ついしょうせい向上こうじょうはかったもの。

1962ねん昭和しょうわ37ねん)に新幹線しんかんせん1000かたち電車でんしゃ採用さいようされた試作しさくがたPS9009での試験しけんて、1964ねん昭和しょうわ39ねん)に新幹線しんかんせん0けい電車でんしゃにおいてPS200かたち量産りょうさんされて採用さいようされた。在来ざいらいせんようでは、おなじく1962ねんED30がた (2だい)でPS20かたち採用さいようされ、1968ねん昭和しょうわ43ねん)には、日本海にほんかい縦貫じゅうかんせんようEF81かたちや、函館本線はこだてほんせんようED76かたち500番台ばんだい711けい電車でんしゃ[注釈ちゅうしゃく 25]など、豪雪ごうせつ積雪せきせつ地域ちいきから本格ほんかくてき採用さいようはじまった。国鉄こくてつ電気でんき機関きかんしゃかく形式けいしきふえ備途ちゅうからしたわく交差こうさしき変更へんこうされ、在来ざいらいしゃ保守ほしゅかわ装用そうようとしても普及ふきゅうしたが、電車でんしゃでの採用さいよう北海道ほっかいどう地区ちくのみにとどまった。

新幹線しんかんせんは、最初さいしょからパンタグラフを軽量けいりょうすることを前提ぜんていに、架線かせんほうでも対応たいおうしている。その新幹線しんかんせん電車でんしゃでは、パンタだい架線かせんちかづけることでさらにパンタグラフ全体ぜんたい小型こがたし、上昇じょうしょうようばねやカギはずしシリンダ、平衡へいこうリンク(イコライザ)とうたいわく部分ぶぶんにある機器ききるいすべてを流線型りゅうせんけいのカバー内部ないぶ収容しゅうようすることによって空気くうき抵抗ていこう風切かざきおん減少げんしょうさせている。

私鉄してつ車両しゃりょうでは、従来じゅうらい菱形ひしがた比較ひかくし、小型こがたによる軽量けいりょう空気くうき抵抗ていこう減少げんしょうしょうスペースせいから注目ちゅうもくされた。また、冷房れいぼう装置そうちなどの搭載とうさいにより屋根やねじょう搭載とうさい機器きき増加ぞうかしたしん世代せだい鉄道てつどう車両しゃりょう適合てきごうしたため、シングルアームがた主流しゅりゅうとなるまではおも関西かんさい私鉄してつ阪急電鉄はんきゅうでんてつ阪神電気鉄道はんしんでんきてつどう近畿日本鉄道きんきにほんてつどう京阪電気鉄道けいはんでんきてつどう[注釈ちゅうしゃく 26]南海電気鉄道なんかいでんきてつどう[注釈ちゅうしゃく 27])、東武鉄道とうぶてつどう西日本旅客鉄道にしにほんりょかくてつどう(JR西日本にしにほん[注釈ちゅうしゃく 28]積極せっきょくてき採用さいよう

一方いっぽうで、製造せいぞうコストぞう忌避きひ採用さいようしなかった鉄道てつどう事業じぎょうしゃ東京急行電鉄とうきょうきゅうこうでんてつ京王けいおう電鉄でんてつ[注釈ちゅうしゃく 29]名古屋なごや鉄道てつどうとう)もおおい。

ただ、1990年代ねんだい以降いこうに、より構造こうぞう簡便かんべんなシングルアームがた登場とうじょうしたことで、上記じょうき阪急はんきゅう[注釈ちゅうしゃく 30]阪神はんしん近鉄きんてつ南海なんかい、JR西日本にしにほん[注釈ちゅうしゃく 31]などしたわく交差こうさがた採用さいようしてきた鉄道てつどう事業じぎょうしゃにおいても、2000年代ねんだい中頃なかごろ以降いこう、シングルアームがた採用さいようされるようになっている[注釈ちゅうしゃく 32]。なお、近鉄きんてつシリーズ21一部いちぶ[注釈ちゅうしゃく 33]京阪けいはん13000けい電車でんしゃ[注釈ちゅうしゃく 34]のように廃車はいしゃ発生はっせいひん流用りゅうようした関係かんけいしたわく交差こうさがた使用しようしているなどの例外れいがいはある。

Zがた・シングルアームがた

編集へんしゅう
 
Zがた(シングルアームがた)パンタグラフのSNCFBB 8608がたひだり)とひしがたパンタグラフのレンフェ(スペイン国鉄こくてつ)281 002-6がた中央ちゅうおう)がならんだ光景こうけい
 
泰平たいへい電鉄でんてつ機械きかいせいの「Zパンタ」を搭載とうさいする伊予いよ鉄道てつどうモハ2000かたち
 
東京とうきょう交通こうつうきょく8500かたち電車でんしゃ採用さいようしていたZパンタ。のちにシングルアームがたかわそうされている
 
よこからたシングルアームがたパンタグラフ
写真しゃしん小田急おだきゅうしん3000かたち
 
シングルアームがたパンタグラフ
写真しゃしん横浜よこはま高速こうそく鉄道てつどうY500けい電車でんしゃ
 
シングルアームがたパンタグラフ (PS207)
写真しゃしんE2けい1000番台ばんだい

外観がいかんことなるが、基本きほん原理げんりはどちらもまったおなじもので、「あしがた」とくにもある。日本にっぽんでこのタイプが高速こうそく車両しゃりょう普及ふきゅうしていなかったころは、欧州おうしゅう同様どうよう「Zパンタ」とばれていた。

メインビームはよこからると「く」の字形じけいをしており、ほかにしゅうでんぶね平衡へいこうとパンタグラフ全体ぜんたい変形へんけいふせぐイコライザーリンクをつ。すりどう抵抗ていこうとなる関節かんせつらし、わく軽量けいりょうこう剛性ごうせい両立りょうりつし、高速こうそく架線かせん追従ついしょうせい向上こうじょうさせたもの。受風しにくく、ゆき面積めんせきちいさいてん有利ゆうりとされ、実際じっさい降雪こうせつ地域ちいきとく日本海にほんかいがわ豪雪ごうせつ地帯ちたい)でははなれせん防止ぼうし目的もくてきかわそうするれいもある。

シングルアームパンタグラフは1955ねん昭和しょうわ30ねん)にフランスの大手おおて鉄道てつどうよう機器ききメーカーであるフェブレーしゃ (Faiveley S.A.) が開発かいはつし、特許とっきょ取得しゅとくした。したわくを1ほんとして関節かんせつから分岐ぶんきしてぎゃく三角形さんかっけいていするうえわくしゅうでんふね支持しじする構造こうぞうで、発祥はっしょうであるヨーロッパでは、初期しょきより路面ろめん電車でんしゃから高速こうそく車両しゃりょうまで幅広はばひろ普及ふきゅうしており、とく高速こうそく熱心ねっしんフランス国鉄こくてつ(SNCF)では1960年代ねんだい後半こうはん以降いこう標準ひょうじゅんてき採用さいようされている。イタリア国鉄こくてつ(FS)や西にしドイツ国鉄こくてつ(DB)の車両しゃりょうも、フランスへれるものは架線かせんたかさの問題もんだいもあって、ふるくからシングルアームパンタグラフが採用さいようされていた。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおいては、東海岸ひがしかいがん都市とし路線ろせんをもっていたペンシルバニア鉄道てつどう高速こうそく電車でんしゃメトロライナー」(1969ねん運用うんよう開始かいし)に使つかわれ、同社どうしゃ電気でんき機関きかんしゃにも採用さいようれいがあった。同社どうしゃ旅客りょかく輸送ゆそうおよび路線ろせんいだアムトラックでも最初さいしょ新車しんしゃとなったE60かたち電気でんき機関きかんしゃ英語えいごばん以来いらい最新さいしんACS-64かたちまで、高速こうそく列車れっしゃアセラ・エクスプレスふくめて電車でんしゃ電気でんき機関きかんしゃにおいて一貫いっかんして採用さいようされている。

日本にっぽんでは、1955ねん昭和しょうわ30ねん)に路面ろめん電車でんしゃようビューゲル製造せいぞう大手おおてであった泰平たいへい電鉄でんてつ機械きかいげん泰平たいへい電機でんき)が開発かいはつした「Zパンタグラフ」が路面ろめん電車でんしゃ各社かくしゃきょく使つかわれた。これは、ビューゲルのわく関節かんせつ構造こうぞうとし、リンク装置そうちもうけて本体ほんたいたおみを防止ぼうししているが、スライダーシューの平衡へいこう装置そうち(イコライザー)をたず、高速こうそく運転うんてんにも対応たいおうしていないため、欧州おうしゅうがた車両しゃりょうの「Zがたパンタグラフ」とまったおなじものではない。
泰平たいへいのZパンタはメインビームがうえわくしたわくともに2ほんで、屈折くっせつしていなければビューゲルに類似るいじするが、構造こうぞうじょうはパンタグラフの仲間なかまである。スライダーシューが架線かせんげるちから方向ほうこう垂直すいちょくちかづけて架線かせんたかさの変位へんいたいする圧力あつりょく変動へんどう減少げんしょうさせており、ビューゲルの欠点けってんであるはなれせん頻発ひんぱつ大幅おおはば減少げんしょうした。同時どうじに、車両しゃりょう方向ほうこう変換へんかんするさい反転はんてん操作そうさ不要ふようになり、従来じゅうらいのビューゲルに付随ふずいする問題もんだいてんすべ解決かいけつした。

一方いっぽう高速こうそく電車でんしゃようでは、京阪電気鉄道けいはんでんきてつどう1971ねん昭和しょうわ46ねん)にフェブレーしゃせいシングルアームパンタグラフの純正じゅんせいひん2000けい装着そうちゃくして試用しようしたが採用さいようにはいたらず[24]、これが日本にっぽん高速こうそく電車でんしゃ機関きかんしゃ一般いっぱんしたのは、同社どうしゃ特許とっきょ保護ほご期間きかん終了しゅうりょうし、日本にっぽん国内こくないメーカーによる製造せいぞう制約せいやくくなった1980年代ねんだいすえ以降いこうである[注釈ちゅうしゃく 35]日本にっぽんはじめて本格ほんかくてき採用さいようした車両しゃりょう1990ねん平成へいせい2ねん)3がつより営業えいぎょう運転うんてん開始かいしした大阪おおさか交通こうつうきょく70けい電車でんしゃである。

導入どうにゅう当初とうしょ前後ぜんごからるとYがたをしたフェブレーしゃせいシングルアームパンタグラフと同型どうけいのものがおおかったが、近年きんねんさらに簡略かんりゃくすすみ、うえわくしたわくとも1ほん鋼管こうかんませ、前後ぜんごではTがた形状けいじょうのものがあらわれている。新幹線しんかんせん採用さいようされたタイプは、うえわくしたわく中空ちゅうくう構造こうぞうのパイプとなっており、なか平衡へいこうリンクをとおすことによって外部がいぶ露出ろしゅつする構造こうぞうぶつ最小限さいしょうげんとして、空気くうき抵抗ていこう風切かざきおん低減ていげんはかっている。慣例かんれいで「わく」とんでいるが、すでにわく構造こうぞうっておらず、当然とうぜん従来じゅうらいがたパンタグラフのようなトラス構造こうぞうにもなっていない。このタイプは、架線かせんたかさの上下じょうげ対応たいおうできる範囲はんいおおきく[注釈ちゅうしゃく 36]最低さいてい有効ゆうこう作用さようたかさや、折畳おりたたたかさがひくてんは、地下鉄ちかてつ中央ちゅうおう本線ほんせん高尾たかお - 南木曽なぎそあいだ[注釈ちゅうしゃく 37]身延線みのぶせんといった狭小きょうしょうトンネルがおお区間くかんではとく有利ゆうりとなるため[注釈ちゅうしゃく 38]速度そくどいきがそれほどたかくない日本にっぽんでは、高速こうそく性能せいのうより、このめん有用ゆうようせい重視じゅうしされている[注釈ちゅうしゃく 39]

さらに、部品ぶひん点数てんすうすくないため、製造せいぞう保守ほしゅコストともに安価あんかであることから2000年代ねんだいから主流しゅりゅうになりつつあり、コストメリットのため、事業じぎょうしゃによっては、従来じゅうらいからの保有ほゆう車両しゃりょう取付とりつけられていた菱形ひしがたしたわく交差こうさがたのパンタグラフを全面ぜんめんてきにこれにかわそうしてしまうケースがられるようになっている[注釈ちゅうしゃく 32][注釈ちゅうしゃく 40]

りたたみ屋上おくじょう占有せんゆう面積めんせき菱形ひしがたパンタグラフとくらずくなくことから、屋上おくじょう配置はいちする空調くうちょうやその各種かくしゅ機器きき配列はいれつ自由じゆうほか屋根やねじょう重量じゅうりょう軽減けいげんにも寄与きよする。近年きんねん路面ろめん電車でんしゃ主流しゅりゅうとなりつつあるちょうていゆか電車でんしゃでは、主要しゅよう機器きき床下ゆかした配置はいちできないことから、占有せんゆう面積めんせきすくなくかるいシングルアームパンタグラフが屋上おくじょう機器きき配置はいちがしやすくなり、煩雑はんざつさを低減ていげんさせている。

新幹線しんかんせんでもシングルアームパンタグラフへの移行いこう完了かんりょうしている。新幹線しんかんせん場合ばあい架線かせんへの追随ついずいせいのみならず、高速こうそく走行そうこう発生はっせいする「風切かざきおん」の軽減けいげん主力しゅりょくかれている。現在げんざい新幹線しんかんせん主力しゅりょくとなっているシングルアームがたは、通常つうじょう露出ろしゅつしているイコライザーアームがすべ中空なかぞら構造こうぞうとなっているわく(メインチューブ)のなかおさめられ、側面そくめんからると完全かんぜんな「く」のがた一本いっぽんアームとなっている。さらにホーン部分ぶぶんちいさいあなもうけることにより、パンタグラフ自体じたいから発生はっせいするエオルスおん軽減けいげんしている(後述こうじゅつとおり)。碍子がいしとパンタグラフ基部きぶおお車体しゃたい前後ぜんこうもうけられたスロープじょうのパンタグラフカバーと、側面そくめん遮音しゃおんばんによって風切かざきおんおさえる形態けいたい騒音そうおん対策たいさくそらりょく抵抗ていこう軽減けいげん主流しゅりゅうであるが、近年きんねんJR九州きゅうしゅう800けいJR東日本ひがしにっぽんE2けい1000番台ばんだいように、碍子がいしおよびパンタグラフ基部きぶそらりょくてき処理しょりほどこし、パンタグラフカバーそのものをはいしているケースもある。新幹線しんかんせん場合ばあいはかつてはパンタグラフカバーによって騒音そうおん低減ていげんするというかんがかた主流しゅりゅうだったが、カバー自体じたい騒音そうおんもととなることが、JR東海とうかい955かたち"300X"試用しようされた「ワイングラスがた」タイプや、JR東日本ひがしにっぽん952かたち・953かたち"STAR21"JR西日本にしにほん500けい900番台ばんだい"WIN350"といった高速こうそく試験しけんしゃ、そしてJR総研そうけんでの風洞ふうどう実験じっけんとう蓄積ちくせきされたデータによって解明かいめいされたことから、現在げんざいはカバーにたよることなくパンタグラフ自体じたい騒音そうおん軽減けいげんするという思想しそう主流しゅりゅうとなっている。

そのN700けいように、シングルアームがたしたわく極端きょくたんみじかくし、基部きぶともに流線型りゅうせんけいのカバーにおさめたもの(この場合ばあい遮音しゃおんばんとスロープじょうカバーをわせている)や、JR東日本ひがしにっぽんE954かたち"FASTECH360"試用しようされた、関節かんせつ完全かんぜんシングルアーム(実際じっさいしたわく極端きょくたんみじかく、カバーにおおわれている)のタイプが登場とうじょうするひとしそらりょく騒音そうおん対策たいさく試行錯誤しこうさくごつづいている。

石津いしづしき

編集へんしゅう
 
石津いしづしき
中央ちゅうおうおもりえる。

岡山おかやま電気でんき軌道きどうだいろくだい社長しゃちょうであった石津いしづりゅう輔が1951ねん考案こうあんした独自どくじのパンタグラフで、社名しゃめいから「おかでんしき」「おか軌式」ともばれる。

通常つうじょうのパンタグラフのように空気圧くうきあつやばねのちから架線かせん追従ついしょうさせるのではなく、パンタグラフわく主軸しゅじくたいわくよりもさらにした延長えんちょうし、その下部かぶしたわく交差こうさしきパンタグラフを上下じょうげひっくりかえしたような小型こがたのパンタグラフ機構きこう形成けいせいしてその直下ちょっかおもりをつりげ、その重力じゅうりょくによる降下こうかられたちからでパンタグラフをげ、架線かせん追随ついずいさせるものである。

構造こうぞうじょうおもりのための小型こがたパンタグラフ機構きこうたいわくしたまれていることからたいわく屋根やねじょう碍子がいしかいして直接ちょくせつ固定こていすることができず、800mm前後ぜんこうたかさのんでそこにおもりのための機構きこう格納かくのうし(過去かこにはこのりょう側面そくめん広告こうこくばんけて運行うんこうされたれいもあった)、そのうえたいわく必要ひつようがある。

わく構造こうぞう平衡へいこう維持いじのための機構きこうそなわっておらず高速こうそく走行そうこうでの追随ついずいせいなんがあり、はなれせん発生はっせいしやすいため、路面ろめん電車でんしゃのような低速ていそくはし車両しゃりょうにしかてきさないが、ばねも空気くうき配管はいかん不要ふよう保守ほしゅしやすい長所ちょうしょつ。

その開発かいはつ以来いらい現在げんざいいたるまで、岡山おかやま電気でんき軌道きどうのみ(9200がたのぞ)が採用さいようしている。

 
Tがたパンタグラフ(WPS204)
新幹線しんかんせん500けい電車でんしゃ
表面ひょうめんのジグザグ模様もよう
微小びしょううず発生はっせいモールド
基部きぶキセにショーワのロゴがえる

関節かんせつ構造こうぞうもちいず、じゅう構造こうぞうたい(チューブ、ケース)が伸縮しんしゅくすることで架線かせん追従ついしょうする構造こうぞうとなっており、前後ぜんごではTがた側面そくめんではIがたえ、使用しよう屋根やねじょう直立ちょくりつするかたちとなる。このため、関節かんせつ構造こうぞうたない。JR西日本にしにほん新幹線しんかんせん500けい電車でんしゃW編成へんせい(16りょう)のみに採用さいようされていた。

高速こうそく走行そうこうらんりゅうによる風切かざき騒音そうおん防止ぼうしのため、おともなく滑空かっくうできるフクロウ羽根はね構造こうぞう手本てほん開発かいはつされたとつモールドがアウターチューブの表面ひょうめんにある(これはボルテックスジェネレータ一種いっしゅである)。 高速こうそくいきでの安定あんていした伸縮しんしゅくのため、ケース内部ないぶダンパー装備そうびされているが、これの製造せいぞうF1カーようショックアブソーバーの製作せいさくつうじて300 km/h以上いじょうでのデータとノウハウを数多かずおおつ、ショーワ依頼いらいされた。

Tがた長所ちょうしょとしては、可動かどう部分ぶぶんがシンプルで軽量けいりょう風切かざき騒音そうおん低減ていげん有利ゆうりであることでげられるが、欠点けってんとしては製造せいぞう維持いじコストがたかいことと、構造こうぞうじょうあまりおおきく伸縮しんしゅくさせることができないため、架線かせんたかさの変動へんどうはばおおきな在来ざいらいせんでは使用しようできないことがあげられる。

また、後年こうねんにシングルアームがた安価あんか高性能こうせいのう新幹線しんかんせんようパンタグラフが開発かいはつされたため、500けい開発かいはつしたJR西日本にしにほんにおいてもその新型しんがた新幹線しんかんせん車両しゃりょうではTがたパンタグラフは採用さいようされておらず、「こだま」に転用てんよう改造かいぞう(V編成へんせい)された500けいでも、組成そせい短縮たんしゅくともなうパンタグラフ移設いせつさい車体しゃたい加工かこう必須ひっすとなることから移設いせつはされず(アルミハニカム構体へのあなあけ加工かこう強度きょうどおおきくそこなわれるため)、シングルアームパンタグラフにかわそうされている。最後さいごまでTがたパンタグラフで運用うんようされていたW1編成へんせいが2014ねん3がつ28にち廃車はいしゃされたため、Tがたパンタグラフは消滅しょうめつした。

なお、よく「つばさがたパンタグラフ」と呼称こしょうされるが、これはつばさがたふねたいとTがたパンタグラフが混同こんどうされたかたであり、正確せいかくには両者りょうしゃ別物べつもののためあやまった呼称こしょうである[25]

形状けいじょうがTがた類似るいじのパンタグラフはかつてくさけい電気でんき鉄道てつどう使用しようされていた。前節ぜんせつ石津いしづしき同様どうよう上昇じょうしょうおもりもちいているが、パンタ押上おしあげりょく確保かくほにはばねをもちいているてんが、石津いしづしきとも500けいともことなる。

 
くさけい電鉄でんてつのパンタグラフ

しゅうでん装置そうち基本きほんをなす部品ぶひん鋼管こうかん使用しようし、うえわくしたわくからなる。高速こうそくはなれせんおさえるため、軽量けいりょうであることと、十分じゅうぶん剛性ごうせい強度きょうどつことが必要ひつようとなる。200 km/hをえる条件下じょうけんか使用しようされるものは、そらりょく重要じゅうよう設計せっけい用件ようけんとなる。

パンタグラフが架線かせん接触せっしょくする部分ぶぶんスライダー(すりばんばん)またはしゅうでんふねぶが、このスライダーは架線かせんとの接触せっしょく状態じょうたいたもった状態じょうたい走行そうこうするため、走行そうこうちゅうつね摩擦まさつされた状態じょうたいになる。したがって使用しようしているうちに摩耗まもうしてくるので、定期ていきてき交換こうかん必要ひつようである。

スライダーの材質ざいしつはカーボン(グラファイト)やどうけいしょうゆい合金ごうきん主流しゅりゅうであり、特性とくせいおうじて使つかけられている。一般いっぱんてきにカーボンすりばんはなれせんによるアークにつよく、金属きんぞくすりばん伝導でんどうりついためにだい電流でんりゅうながしやすい[26]。そのほかの材質ざいしつとして、摩耗まもうすくなくするためにてつけいしょう結合けつごうきんにしたり、どうけい合金ごうきん油脂ゆし硫化りゅうかモリブデンなどの潤滑じゅんかつざいぜてつくることもある。ただし、スライダーに摩耗まもうすくない材料ざいりょう使用しようする場合ばあい架線かせん摩耗まもうはやくなることを考慮こうりょする必要ひつようがある[27]

また、スライダーの磨耗まもうてんいちてん集中しゅうちゅうすることをふせぐため、一般いっぱんにパンタグラフしゅうでん路線ろせんにおいては直線ちょくせん部分ぶぶん架線かせんゆるいジグザグじょうられている[注釈ちゅうしゃく 41]

通常つうじょうスライダーは菱形ひしがた・シングルアームがたともに2まいいていることおおいが、新幹線しんかんせんでは騒音そうおん防止ぼうしのため1まいらされた。まただい世界せかい大戦たいせん前後ぜんこう一部いちぶ電車でんしゃでも1まいのものがあった。路面ろめん電車でんしゃ菱形ひしがたパンタグラフでは1まいであることがおおい。

ローラースライダー
編集へんしゅう

架線かせん接触せっしょくする部分ぶぶんをローラーとして回転かいてんする形態けいたいとなっているもので、接触せっしょく磨耗まもう抑制よくせいするねらいがある。

日本にっぽんでは1914ねん大正たいしょう3ねん)に鉄道てつどういんデハ6340けい採用さいようされたが、重量じゅうりょう過大かだい高速こうそく運転うんてんはなれせんトラブルをこしがち(架線かせん追随ついずいせいわるく、度々たびたびアーク放電ほうでんこして架線かせん断線だんせんさせたほか軌道きどう状況じょうきょうわる区間くかんではパンタグラフがはげしく上下動じょうげどうしてタンピングをこしていた)で、開業かいぎょう記念きねん運転うんてん運転うんてん不能ふのうになるという致命ちめいてきトラブルをこしたことから、電車でんしゃ運行うんこう中止ちゅうしし、通常つうじょうのシューしき改造かいぞうするという事態じたいおちいった。低速ていそくでの運行うんこうおこな坑内こうない軌道きどうではその一部いちぶもちいられた[注釈ちゅうしゃく 42]

分割ぶんかつばねしきスライダー
編集へんしゅう

新幹線しんかんせんE5けいおよE6けいにて採用さいようされたもの。スライダー自体じたい分割ぶんかつし、それぞれにスプリングをんだもの。これによって追従ついしょうせい格段かくだん向上こうじょうし、運転うんてんしゅうでん装置そうち使用しようすうを1つに削減さくげんすることに成功せいこうした。

 
黄色きいろ部分ぶぶんがホーン
写真しゃしん新幹線しんかんせんN700けい電車でんしゃよう
シングルアームがた

スライダー両端りょうたん湾曲わんきょくした部分ぶぶんで、ホーンとはかく(つの)意味いみ架線かせん障害しょうがい通常つうじょう走行そうこうでは分岐ぶんきひとしによって架線かせん交差こうさする部分ぶぶんとう)で偏倚へんい極端きょくたんおおきくなった場合ばあいなど、万一まんいちさいしゅうでん装置そうち復元ふくげんたすけ、逸脱いつだつふせぐ。車両しゃりょうやパンタグラフの形式けいしきによって、先端せんたん一本いっぽんのもの、ほんのもの、先端せんたん一本いっぽんにまとまったYがたなど、形状けいじょう様々さまざまである。菱形ひしがたパンタグラフは、日本にっぽんでは登場とうじょう当初とうしょよりながらくスライダーそのものがホーンとなっていて、これを平形ひらがたないしは船形ふながたぶ。その私鉄してつではPT43(一部いちぶ例外れいがいあり)やPT44、国鉄こくてつではPS21でスライダーとはべつにホーンパイプがもうけられ、スライダーそのものはしゅうでんてっするようになっている。これによってスライダーが短縮たんしゅくされ、そのぶん軽量けいりょう寄与きよしている。現在げんざい、ホーンの先端せんたんには蛍光けいこうしょくのペイントもしくはテープのけがひろおこなわれるようになっている。

新幹線しんかんせんようでは、波線はせんじょう多数たすうちょうあなけられており、あななかける気流きりゅうにより、カルマンうずちいさくし、高速こうそくの「エオルスおんどんおん)」の発生はっせいおさえている。

イコライザー

編集へんしゅう

パンタグラフのイコライザーは、走行そうこう架線かせんとのあいだはたら摩擦まさつりょくによる、わくとスライダーのかたむきをふせ平衡へいこう装置そうちである。

かぎ(かぎ)

編集へんしゅう

留置とめおきなど、あつまりでん装置そうちがばねのちからがらないようにするためのフックじょうがね

碍子がいし(がいし)

編集へんしゅう
 
横型よこがたがいしでの設置せっちれい
東洋電機とうようでんきせい PT-42かたち
近鉄きんてつモ610かたち

車両しゃりょうあつまりでん装置そうちあいだ位置いちし、絶縁ぜつえんよう使つかわれる部品ぶひん

交流こうりゅうようなど電圧でんあつたか場合ばあい絶縁ぜつえん間隔かんかく確保かくほのために段数だんすうえ、海底かいていトンネルかぜつよ沿岸えんがん使つかわれる場合ばあい塩害えんがいふせぐため、さらにシリコンけい絶縁ぜつえんざい塗布とふする場合ばあいがある。

通常つうじょう屋根やねじょうあつまりでん装置そうちたいわくあいだ垂直すいちょく挿入そうにゅうして絶縁ぜつえん間隔かんかく確保かくほするが、トンネルなどの断面だんめん形状けいじょうちいさく車両しゃりょう限界げんかい制約せいやくがある場合ばあいには、碍子がいし横倒よこだおしに配置はいちしてたいわくたかさを可能かのうかぎげるれい近畿日本鉄道きんきにほんてつどうなどでられる。

すんでじゅつのとおり、新幹線しんかんせん車輌しゃりょうによっては、碍子がいし自体じたいそらりょくてき形状けいじょう処理しょりほどこし、騒音そうおん軽減けいげんはかった碍子がいし採用さいようするケースがえている。

碍子がいし形状けいじょう風洞ふうどう実験じっけんによって決定けっていされ、車輌しゃりょう外観がいかんじょうのアクセントともなっている。

特殊とくしゅなパンタグラフ

編集へんしゅう

しもりパンタ

編集へんしゅう

かんくるまじょうしゅうでん装置そうち使用しよう架線かせん付着ふちゃくしたしもこおりなどをるものを「しもよう」「じょしもよう」としょうする。しゅうでん機能きのうたないしも専用せんようのものもある。また、しもによるはなれせんさい発生はっせいするアーク防止ぼうしする目的もくてきでパンタグラフを2だいする場合ばあいや、走行そうこう方向ほうこう関係かんけいからしも作業さぎょうようとして増設ぞうせつしたパンタグラフでしゅうでんしながら既設きせつのパンタグラフでしもりをする場合ばあいもある。

さんそう交流こうりゅう電化でんかようパンタグラフ

編集へんしゅう
 
ユングフラウ鉄道てつどうの2つならんだパンタグラフ
 
フランスLa Rhune鉄道てつどう電気でんき機関きかんしゃしたわくきの大型おおがたビューゲルを装備そうびしている。

日本にっぽんではしん交通こうつうシステムのぞ一般いっぱん鉄道てつどう実用じつようされなかったが、ヨーロッパの一部いちぶでは架空かくうせんさんそう交流こうりゅう電化でんかおこなわれている。ポールしゅうでんにおけるダブルポール同様どうよう架線かせん並行へいこうして2ほんり、あつまりでん装置そうちよこに2ならべてしゅうでんおこな方式ほうしきと、1しゅうでん装置そうち電気でんきてき独立どくりつした2つのしゅうでんふね左右さゆうならべて装備そうびする方式ほうしきがあるほか、初期しょきさんそう交流こうりゅう電化でんかでは架線かせんたてに3ほんり、あつまりでん装置そうちたてに3ならべてしゅうでんおこな方式ほうしき存在そんざいした。

日本にっぽんのメーカー

編集へんしゅう

日本にっぽんではパンタグラフは現在げんざい東洋電機製造とうようでんきせいぞう工進こうしんせいこうしょ製造せいぞうされている。

かつては日立製作所ひたちせいさくしょ東芝とうしば三菱電機みつびしでんき富士電機ふじでんき泰平たいへい電鉄でんてつ機械きかいげん泰平たいへい電機でんき)でも製造せいぞうされていた。このうち日立ひたちせい相模鉄道さがみてつどう東芝とうしばせい阪急電鉄はんきゅうでんてつ神宝線しんぽうせん管内かんないのみ)[注釈ちゅうしゃく 43]三菱電機みつびしでんきせい神戸電鉄こうべでんてつ富士電機ふじでんきせい山陽電気鉄道さんようでんきてつどう[注釈ちゅうしゃく 44]泰平たいへいせい全国ぜんこく路面ろめん電車でんしゃ使用しようされていたが、いずれの会社かいしゃ車両しゃりょう経年けいねん廃車はいしゃ、パンタグラフ自体じたい更新こうしん製造せいぞうがわ業態ぎょうたい変更へんこうによる撤退てったいなどにより、現在げんざい少数しょうすう車両しゃりょうのぞ使つかわれていない。

パンタグラフの押上おしあげりょく

編集へんしゅう

パンタグラフの押上おしあげりょくは、ばん磨耗まもう架線かせんへの追従ついしょうせい考慮こうりょして静止せいし状態じょうたいで50N(およそ5kgf)以下いかであり、湿しめったゆきもった程度ていどでもはなれせんしてしまうほどである。

てい屋根やね車両しゃりょう装置そうち移設いせつ車両しゃりょう

編集へんしゅう

架空かくう電車でんしゃせん方式ほうしきではしゅうでん装置そうちたかさと架線かせんとのたかさ(建築けんちく限界げんかい車両しゃりょう限界げんかい)などがことなる区間くかん走行そうこうする場合ばあいもままありうる。そういった区間くかん走行そうこうする場合ばあいには、通例つうれいたかさがひくほうわせる。これは他社たしゃ郊外こうがい路線ろせん直通ちょくつうする地下鉄ちかてつなどがてはまる。日本にっぽんきゅう国鉄こくてつでは、電化でんか工事こうじさい工期こうき短縮たんしゅく工費こうひ節減せつげん目的もくてきとして、明治めいじ時代じだい建設けんせつされた設備せつびおもトンネル)を、だい規模きぼ改修かいしゅうおこなわずにそのまま使用しようした箇所かしょがあり、これらの限界げんかい線区せんくよりせまい。中央ちゅうおう本線ほんせん高尾たかお - 中津川なかつがわ山岳さんがく区間くかん篠ノ井線しののいせん私鉄してつ国有こくゆうした路線ろせんである身延線みのぶせん民営みんえいのち電化でんかされた予讃線よさんせん愛媛えひめけんうちなどの線区せんくられている。飯田線いいだせん戦時せんじ買収ばいしゅう私鉄してつであるが、この事例じれいには該当がいとうしない。

国鉄こくてつ時代じだい、これらの「狭小きょうしょうトンネル」区間くかん使用しようまたは直通ちょくつうする車両しゃりょうは、パンタグラフのりたたみ架線かせんとの一定いってい距離きょりたもつため、そのときたかさを通常つうじょうよりひくくすること(国鉄こくてつ通常つうじょう直流ちょくりゅう区間くかん車両しゃりょうでは軌道きどう上面うわつらから4,000 mm以上いじょう中央本線ちゅうおうほんせんは3,980 mm。身延線みのぶせんは3,960 mm。予讃線よさんせんは3,900 mm)や、電気でんき保安ほあん装置そうちである避雷など周辺しゅうへん装置そうち屋根やねじょうヘッドライトなどの移設いせつおこなうことがもとめられ、既存きそんしゃ改造かいぞうや、すんで系列けいれつ新車しんしゃ設計せっけい変更へんこうすることで対応たいおうしていた。とく移設いせつ装置そうち目立めだつものが避雷であったことから、これらは避雷移設いせつ工事こうじ車両しゃりょうといわれた。またパンタグラフ屋根やねいて設置せっち位置いちひくくしたものをてい屋根やね車両しゃりょうしょうする場合ばあいもあり、とく中央ちゅうおう本線ほんせんけの車両しゃりょうは、勾配こうばいようひくめられた電動でんどうしゃすうとのわせで「やまよう電車でんしゃ」とばれることもあった。これらの仕様しよう42けい71けい72けい80けい101けい115けい165けい・JR東海とうかい211けいなどにられ、72けい以降いこう該当がいとう車両しゃりょうにはおもに800番台ばんだいなどの番台ばんだい区分くぶんがなされている。

しかし、元々もともと重心じゅうしんげる目的もくてきぜんこうおさえた設計せっけい特急とっきゅうがた電車でんしゃや、国鉄こくてつ分割ぶんかつ民営みんえい該当がいとう路線ろせん投入とうにゅうされた車両しゃりょうは、てい屋根やね車両しゃりょうとはばれない。また、交流こうりゅうがた電車でんしゃ直流ちょくりゅう電車でんしゃについては、20,000 V特高とっこうあつ電流でんりゅう使用しようする交流こうりゅう電化でんか区間くかんでその保安ほあんうえ架線かせんおよびパンタグラフの基部きぶ直流ちょくりゅう区間くかん場合ばあいよりもたか位置いち必要ひつようがあること、あわせて関連かんれん機器きき屋根やねじょうにも装備そうびするためのスペースを確保かくほしなければならないことから、もとより前述ぜんじゅつてい屋根やねちか設計せっけいがなされている。このことから前述ぜんじゅつてい屋根やね車両しゃりょうには該当がいとうしない。

中央ちゅうおう本線ほんせんについては、最低さいてい作用さようたかさとりたたみたかさを低減ていげんしたパンタグラフ(PS23かたち・PS24かたち、シングルアームのPS35かたち)が開発かいはつされ、既存きそんまたは新規しんきぜんこうたか車両しゃりょうもこれらのパンタグラフを搭載とうさいすることでパンタグラフ降下こうか架線かせんとの距離きょりをクリアすることが可能かのうになり、てい屋根やね車両しゃりょう製造せいぞうする必要ひつようせいがなくなった(対応たいおう車両しゃりょうくるまばんまえに◆のマークがけられた)。それ以前いぜん製造せいぞうされたてい屋根やね車両しゃりょう経年けいねん廃車はいしゃすすみ、かず減少げんしょうしている。ただし、身延線みのぶせんではこれでもとおれないため、パンタグラフを20 mmげた専用せんようてい屋根やね車両しゃりょう(115けい2600番台ばんだい電車でんしゃ)が製造せいぞうされた。なお、JR東海とうかい現在げんざい新型しんがたしゃ373けい313けい)は改良かいりょうがたシングルアーム(C-PS27Aかたち)を装着そうちゃくするなど、身延線みのぶせん走行そうこうすることを想定そうていした屋根やねたかさで設計せっけいされている。

予讃線よさんせん場合ばあいはさらに条件じょうけんわるいため、特別とくべつ仕様しようのパンタグラフ(S-PS58かたち、S-PS59かたち)を装備そうびし、新造しんぞうしゃでは屋根やね全体ぜんたいひくめている。

だいさん軌条きじょうしゅうでんくつ

編集へんしゅう

だいさん軌条きじょう方式ほうしきでは、台車だいしゃ外側そとがわけられたしゅうでん装置そうちしゅうでんくつ(しゅうでんか)えい: contact shoe日本語にほんごでは「コレクターシュー」としょうする)によってだいさん軌条きじょうからしゅうでんする方法ほうほう一般いっぱんてきである。架線かせんことなり柔軟じゅうなんせいがないため、高速こうそく運転うんてんには不向ふむきである(日本にっぽんでのだいさん軌条きじょう区間くかん最高さいこうそく路線ろせん近鉄きんてつけいはんなせんの95 km/h)。イギリスのユーロスター走行そうこう区間くかんでは160 km/h運転うんてんおこなっているが、フランス国内こくない区間くかんとの速度そくどおおきいこともあり、架空かくうせん方式ほうしき高速こうそくしんせん (CTRL) に順次じゅんじえられている。

日本にっぽんではおも地下鉄ちかてつ事業じぎょうしゃ採用さいようされ、それ以外いがい事業じぎょうしゃでは北大阪きたおおさか急行きゅうこう電鉄でんてつ近鉄きんてつけいはんなせんのみ地上ちじょう区間くかんでの採用さいようとなっている。これらの路線ろせんは、Osaka Metro御堂筋みどうすじせん中央ちゅうおうせん相互そうご直通ちょくつう運転うんてんするためだいさん軌条きじょう方式ほうしき採用さいようしている。かつては信越本線しんえつほんせん横川よこかわ - 軽井沢かるいざわあいだ碓氷峠うすいとうげアプト区間くかんでも一時期いちじき採用さいようされていた(なお、どう区間くかん日本にっぽん最初さいしょ幹線かんせん電化でんか区間くかんである)。営業えいぎょう路線ろせん以外いがいでは、鹿児島かごしまけんいちき串木野くしきのにある金山かなやまあと活用かつようした観光かんこう施設しせつ薩摩さつま金山かなやまぞう」において、この方式ほうしき採用さいようしたかつての専用せんよう軌道きどう観光かんこうようとして運行うんこうされている。

ロンドン地下鉄ちかてつでは、世界せかいでも非常ひじょうめずらしい「よん軌条きじょう方式ほうしき」(Four-rails system) を採用さいようしている。通常つうじょう配置はいちだいさん軌条きじょうには直流ちょくりゅう+420 V、走行そうこうようレールのあいだかれた「だいよん軌条きじょう」(Fourth Rail) には直流ちょくりゅう-210 Vがそれぞれ印加いんかされており、トータルで630 Vを仕組しくみとなっている。

地表ちひょうしゅうでん方式ほうしき

編集へんしゅう

路面ろめん電車でんしゃだいさん軌条きじょう使用しようする地表ちひょうしゅうでん方式ほうしき事例じれいがある。

アルストム子会社こがいしゃであるINNORAILが開発かいはつしたAlimemtation par le Sol (APS)が、ボルドーはじめとする10都市とし路面ろめん電車でんしゃ使用しようされている。これは、軌道きどう中央ちゅうおう給電きゅうでんようのレールを敷設ふせつし、車両しゃりょうがわけられたしゅうでんくつしゅうでんするシステムだが、そのままでは歩行ほこうしゃしゅうでんレールをむと感電かんでんしてしまう。そこで8mのしゅうでんセグメントと2mの絶縁ぜつえんセグメントにしゅうでん区間くかん区切くぎり、絶縁ぜつえんセグメントの前後ぜんご給電きゅうでんセグメントを給電きゅうでんボックスで区切くぎって敷設ふせつし、車体しゃたいがわけた設置せっちアンテナから信号しんごうおくることにより、給電きゅうでんセグメントのON/OFFを走行そうこうしながらかえす、これにより、電流でんりゅうながれている区間くかん電車でんしゃとも移動いどうさせ、感電かんでんふせいでいる。建設けんせつコスト架空かくうせん方式ほうしきよりも割高わりだかになるが、架線かせんによって都市とし景観けいかんそこなわれないため、ボルドーでは景観けいかん保護ほご重点的じゅうてんてきにしている区間くかんをAPSシステムとしている。近年きんねんではフランスのほかドバイクエンカなどの都市としでも採用さいようされている。

APS以外いがい地表ちひょうしゅうでん方式ほうしきとして「コンデュイット方式ほうしき」がボルドーロンドンニューヨークひとし路面ろめん電車でんしゃ採用さいようされていた。これは地中ちちゅう埋設まいせつした給電きゅうでんせんから、車体しゃたいがわけられた「あし」にけられたしゅうでんくつしゅうでんするものであった。この方式ほうしきは、地面じめんを60cm程度ていど掘削くっさくする必要ひつようがあり、保守ほしゅにも手間てまかるひとし様々さまざま問題もんだいてんがあったことから、現在げんざいまでに路線ろせんすべ廃止はいしされている。現在げんざいロンドンの鉄道てつどう博物館はくぶつかんにこのシステムの解説かいせつ展示てんじされ、ボルドーには当時とうじ車両しゃりょう保存ほぞんされている。

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう

注釈ちゅうしゃく

編集へんしゅう
  1. ^ 交流こうりゅう降圧こうあつ直流ちょくりゅうへの整流せいりゅう平滑へいかつ機器ききぐん制御せいぎょ付随ふずいしゃ集約しゅうやく搭載とうさいした国鉄こくてつ781けい電車でんしゃJR西日本にしにほん521けい電車でんしゃがある。
  2. ^ 国鉄こくてつクエ9420かたち一部いちぶ東武鉄道とうぶてつどうクエ7000かたちなど。
  3. ^ 架線かせんたいして水平すいへい角度かくどは0°)のときげるちから最大さいだいで、角度かくどくにしたがってげるちから減少げんしょうし、90°になるとゼロになる。
  4. ^ 花巻はなまき電鉄でんてつ軌道きどうせんでは配電はいでんよう電柱でんちゅうをそのまま利用りようして架線かせんっていたので架線かせんつるし架線かせん間隔かんかくひろく、架線かせんのたるみや曲線きょくせん部分ぶぶんでの偏倚へんいがりがおおかった。世界せかい各国かっこくではポルトガルリスボン市電しでんひろ道路どうろじょうではZパンタグラフを使用しようし、きゅう勾配こうばいきゅう曲線きょくせん連続れんぞくして架線かせん設置せっちじょうきょうきびしいきゅう市街地しがいちはし路線ろせんでのみトロリーポールを使用しようしている。
  5. ^ 吉川よしかわ文夫ふみお吉川よしかわ文夫ふみお路面ろめん電車でんしゃ技術ぎじゅつあゆみ』136-137ぺーじ。アメリカ西海岸にしかいがん最盛さいせい1926ねん大正たいしょう15ねん)にやく1870kmの軌道きどう延長えんちょうち、路線ろせん縮小しゅくしょうしながら1961ねん昭和しょうわ36ねん)まで運行うんこうしていたパシフィック・エレクトリック・レイルウエイ(Pacific Electric Railway)で2~3りょう以上いじょう連結れんけつしてポールカーがはしっていた。
  6. ^ 中田なかた安治やすじ路面ろめん電車でんしゃ -えゆく市民しみんあし-』121-122ぺーじ自動車じどうしゃ対抗たいこうして開発かいはつされた当時とうじさい新鋭しんえい車両しゃりょう
  7. ^ 1911ねん明治めいじ44ねん)10がつ名古屋なごや電気でんき鉄道てつどうで、軌道きどうからの漏洩ろうえい電流でんりゅうにより電話でんわケーブル鉛管えんかん腐食ふしょくし、一時いちじ通話つうわ障害しょうがい発生はっせいした[2]
  8. ^ 車体しゃたい中央ちゅうおう屋根やね電動でんどう無蓋むがい貨車かしゃなどでは屋根やね中央ちゅうおう相当そうとうする場所ばしょ前後ぜんご運転うんてんしつ屋根やねからはりわたすか、ゆかからはしらててけてあるケースもある。
  9. ^ 依田よだ幸一こういち『チンチン電車でんしゃ始末しまつ 横浜よこはまはしった70ねん』94-95ぺーじ、268ぺーじ。トロリーコードをつかんでトロリーポールを操作そうさしていた乗務じょうむいんがばねのはんちからげられ宙吊ちゅうづりになるトラブルが頻発ひんぱつし、落下らっか事故じこ発生はっせいした。
  10. ^ a b 京福電気鉄道けいふくでんきてつどう叡山本線えいざんほんせん鞍馬線くらませんはホイールしきトロリーポール使用しよう開業かいぎょうしているが、1970ねん昭和しょうわ45ねん)の京阪けいはん京津線けいしんせん石山坂本線いしやまさかもとせんのパンタグラフ不要ふようとなったスライダーしきトロリーポールを譲受ゆずりうけしてえていた。
  11. ^ 石本いしもと祐吉ゆうきち路面ろめん電車でんしゃしゅうでん装置そうちについて」80ぺーじ1899ねん明治めいじ32ねんスイスさんそう交流こうりゅう電気でんき機関きかんしゃ大型おおがたしたわくきビューゲルを装備そうびしている。
  12. ^ わくじょうもの乗馬じょうばようあぶみ(あぶみ)やメガネのフレーム、医療いりょうよう矯正きょうせいとうもビューゲルである。
  13. ^ すりばん前後ぜんご方向ほうこう断面だんめん形状けいじょう角度かくど変位へんい対応たいおうするためにゆみ(ボウ)じょうになっていることからこの名称めいしょうがある。これにたいして、パンタグラフでは通常つうじょう平面へいめんじょうのすりばんスライダー)またはローラースライダーもちいる。
  14. ^ 東京とうきょう都電とでん巣鴨すがも車庫しゃこでは架線かせん入庫にゅうこせんおお屋根やねけてあったため該当がいとう箇所かしょでは反転はんてん不能ふのうだった。巣鴨すがも車庫しゃこでは後述こうじゅつのZパンタグラフを装備そうびした車両しゃりょう配備はいびして屋根やね逆行ぎゃっこうする運用うんようそなえ、ビューゲル装備そうび車両しゃりょう屋根やねけて反転はんてんした[12]
  15. ^ アムステルダムウィーンローマ多数たすう都市としでの使用しようれいがある。
  16. ^ 吉川よしかわ文夫ふみお路面ろめん電車でんしゃ技術ぎじゅつあゆみ』168ぺーじ。パンタグラフは白島線はくしませんよう車両しゃりょう使用しよう
  17. ^ その一方いっぽう西鉄にしてつ軌道きどうせん叡山えいざん電鉄でんてつきょうぶく電鉄でんてつ時代じだい)のように、トロリーポールからビューゲルをずに直接ちょくせつパンタグラフにかわそうしたケースもある。
  18. ^ 吉川よしかわ文夫ふみお路面ろめん電車でんしゃ技術ぎじゅつあゆみ』144ぺーじ浜甲子園はまこうしえん停車ていしゃちゅうの205がこのYゲルを装備そうびしている。
  19. ^ 東京とうきょう出版しゅっぱん企画きかくしゃ『チンチン電車でんしゃ80ねん』102ぺーじ京阪けいはん電鉄でんてつ901(のち1947ねん昭和しょうわ22ねん)に京阪けいはん京津線けいしんせん20かたち車体しゃたい更新こうしん改造かいぞう)が1937ねん昭和しょうわ12ねん)にボウコレクターを装備そうびしている。
  20. ^ 鉄道てつどう趣味しゅみ鉄道てつどうファンのあいだでもこれらの略語りゃくご使つかわれている。車体しゃたい1つあたりに2搭載とうさいされている状態じょうたいを「2ちょうパンタ」とい、2とも上昇じょうしょうした状態じょうたいを「りょうパン」、一方いっぽうろした状態じょうたいを「かたパン」とう。このほか、「2ちょうパンタ」の車両しゃりょう進行しんこう方向ほうこうたいして前側まえがわのパンタグラフを使用しようしている場合ばあいや、電車でんしゃにおいて運転うんてんだいがわ屋根やねじょうにパンタグラフが搭載とうさいされている場合ばあいに「ぜんパン」という言葉ことば使つかわれる(対義語たいぎご〈うしろ〉パン)。
  21. ^ 石本いしもと祐吉ゆうきち路面ろめん電車でんしゃしゅうでん装置そうちについて」81ぺーじ剛体ごうたい架線かせんうえ台車だいしゃからしゅうでんする。
  22. ^ その1936ねん昭和しょうわ11ねん)のベイブリッジ完成かんせいともない、1939ねん昭和しょうわ14ねん)よりサンフランシスコ市内しないのトランスベイ・ターミナルへのれを開始かいしした。1958ねん昭和しょうわ33ねん全廃ぜんぱい
  23. ^ 予讃線よさんせん観音寺かんおんじえき以西いせいはパンタグラフりたたみたか制限せいげんは4000mmのため、中央ちゅうおう本線ほんせん身延線みのぶせん対応たいおう同等どうとうのパンタグラフで対応たいおう可能かのうである。鳥越とりこしトンネルのりたたみたかさの制限せいげんが3,900mmというのは、EF65かたちPS22搭載とうさいしゃ(りたたみたかさ3,980mm)が通過つうかしているてんからもあやまりである。
  24. ^ これは吉野よしの鉄道てつどう電化でんかにBBCしゃから輸入ゆにゅうした1かたち電気でんき機関きかんしゃ装着そうちゃくされていた同社どうしゃせいパンタグラフと酷似こくじした構造こうぞうであることが一因いちいんられる。
  25. ^ 電化でんか開業かいぎょうまえED75 501、の試験しけんや、711けい試作しさくしゃには菱形ひしがたパンタグラフのPS16かたちたいゆきばねカバーを追加ついかしたPS16Gかたち使つかわれていたが、電化でんか開業かいぎょうにこれらもPS102系列けいれつ機関きかんしゃがPS102Aかたち電車でんしゃがPS102Bかたち。)に統一とういつされた。
  26. ^ 3000けい (2だい)および大津線おおつせんよう車両しゃりょうのぞく。
  27. ^ 当初とうしょ菱形ひしがた搭載とうさいして製造せいぞうされた6000けい7000けい・7100けい1しゃ冷房れいぼう改造かいぞうさいしたわく交差こうさがたかわそうされている。
  28. ^ 207けい221けい223けい(9000番台ばんだいのぞく)、281けい321けい681けい683けい(4000番台ばんだいのぞく。改造かいぞう形式けいしきの289けいふくむ)とう該当がいとう国鉄こくてつがた電車でんしゃ菱形ひしがたのままであるが、443けいけんはかようパンタグラフには採用さいようされている。また、103けい体質たいしつ改善かいぜん試作しさくしゃではいち時期じきわく交差こうさがた使用しようしていた。
  29. ^ 総合そうごう高速こうそくけんはかくるまクヤ900がた(DAX)けんはかようパンタグラフには採用さいようされている。
  30. ^ 関西かんさい私鉄してつなかではシングルアームがたへのえがはやく、1995ねん登場とうじょうした8200けい以降いこう新造しんぞう車両しゃりょうはすべてシングルアームがた採用さいようしているほか、5000けいなど一部いちぶのリニューアル車両しゃりょうでもシングルアームがたかわそうされたものがある。
  31. ^ なお、JR西日本にしにほんでのシングルアームがたパンタグラフのはつ採用さいよう比較的ひかくてきはやく、1996ねん登場とうじょう283けいはつ採用さいようされた。その車種しゃしゅによって使つかけられ、521けい以降いこうしん系列けいれつおよび既存きそん系列けいれつでも683けい4000番台ばんだいではすべてシングルアームがた採用さいようしている。
  32. ^ a b 新幹線しんかんせんでは、したわく交差こうさがた採用さいようしていた300けいのち心地ごこち対策たいさく騒音そうおん対策たいさくねて全車ぜんしゃシングルアームしきかわそうされた。
  33. ^ 近鉄きんてつシリーズ21の場合ばあい新造しんぞう当初とうしょしたわく交差こうさがたパンタグラフを装備そうびしていたが後年こうねんになってシングルアームがたかわそうされるケースや、それとはぎゃくにシングルアームがたからしたわく交差こうさがたかわそうされるケースが見受みうけられる。なお、特急とっきゅうがた車両しゃりょう21020けい以降いこう一貫いっかんしてシングルアームがた採用さいようしているほか、シリーズ21以外いがい一般いっぱんしゃでもシングルアームがたかわそうされた車両しゃりょう存在そんざいする。
  34. ^ 2020年度ねんど以降いこうぞう備車は新品しんぴんのシングルアームパンタグラフを装備そうびしている。
  35. ^ 日本にっぽん欧米おうべいでは架線かせん事故じこ発生はっせいしたときに、架線かせんあつまりでん装置そうちのどちらの保護ほご優先ゆうせんするかのちがい(日本にっぽん:架線かせん優先ゆうせん欧米おうべい:あつまりでん装置そうち優先ゆうせん)があること採用さいようおくらせる要因よういんとなったとされている。
  36. ^ 名古屋なごや市営しえい地下鉄ちかてつのうち架空かくうせん方式ほうしき採用さいようしている鶴舞線つるまいせん桜通線さくらどおりせん車両しゃりょうでは、シングルアームしき搭載とうさいするN3000かたち6050かたち当初とうしょより1りょうにつき1搭載とうさいであるが、シングルアームしき搭載とうさいしない3000かたち3050かたち6000かたち回生かいせい制動せいどうはなれせん対策たいさくのため当初とうしょ1りょうにつき2搭載とうさいしていた(現在げんざいは1搭載とうさい)。また、上飯田かみいいだせん運用うんようされる車両しゃりょうでは、当初とうしょより全車ぜんしゃシングルアームしき搭載とうさいしており、1りょうにつき1搭載とうさいである。
  37. ^ ただしみどり経由けいゆ塩嶺えんりょうトンネル標準ひょうじゅん断面だんめんのトンネルである。
  38. ^ JR東日本ひがしにっぽん211けい全車ぜんしゃシングルアームしき交換こうかんされていたため、てい屋根やね改造かいぞう必要ひつようなく中央ちゅうおう本線ほんせん運用うんよう長野ながのへの転用てんよう可能かのうであった。
  39. ^ とく身延線みのぶせんでは中央ちゅうおうせんよう開発かいはつされたPS23かたちをもってしてもてい屋根やねをせざるをなかった(115けい2600番台ばんだいなど)が、373けい導入どうにゅうされたシングルアームパンタグラフによっててい屋根やね必要ひつようがなくなり、以降いこう東海旅客鉄道とうかいりょかくてつどうでは入線にゅうせん実績じっせきのない285けいふくめ、すべての新造しんぞう在来ざいらいせん電車でんしゃがシングルアームである。のち同社どうしゃさかい添加てんか励磁れいじ制御せいぎょ車両しゃりょう全車ぜんしゃシングルアームしきかわそうされた。
  40. ^ JR北海道ほっかいどうでは711けい以来いらいしたわく交差こうさしき主流しゅりゅうだったが、2000年代ねんだい以降いこう一挙いっきょにシングルアームへのえがすすめられた。苗穂なえぼ工場こうじょう一般いっぱん公開こうかい説明せつめいによると、711けい引退いんたいイベントの一環いっかんとして、2012ねん平成へいせい24ねん)にS-110編成へんせい塗装とそうふくめてしんせい当時とうじ姿すがた復元ふくげんするさい列車れっしゃ番号ばんごう表示ひょうじさい装備そうびするなど細部さいぶにまでこだわった作業さぎょうおこなわれたものの、本来ほんらいしたわく交差こうさがたPS102Bは備品びひんまで廃棄はいきされて苗穂なえぼ函館はこだてのどちらでも手配てはいできず、あつまりでん装置そうち原形げんけいもどすことができなかったとのこと。なお、静態せいたい保存ほぞんでは、小樽おたる総合そうごう博物館はくぶつかんED75 501ED76 509三笠みかさ鉄道てつどうむらのED76 505はPS102Aのままである。
  41. ^ トロリーポールしゅうでん場合ばあいには直線ちょくせんじょうられるため、ポールからパンタへのしゅうでん装置そうち変更へんこうたっては、支持しじ金具かなぐ変更へんこうともに、架線かせんつるし方法ほうほうそのものも変更へんこうする必要ひつようがある。
  42. ^ 1980ねん昭和しょうわ55ねん時点じてんでも三井みつい石炭せきたん鉱業こうぎょう芦別あしべつ鉱業こうぎょうしょ三井みつい串木野くしきの鉱山こうざんあきらのべ鉱業こうぎょう白金はっきんごう」の事例じれいられた[28]
  43. ^ 能勢のせ電鉄でんてつ1700けい電車でんしゃもと阪急はんきゅう2000けい電車でんしゃ)、3100けい電車でんしゃどう3100けい)も該当がいとう。なお阪急はんきゅう5000けい電車でんしゃは2度目どめ更新こうしん東洋電機製造とうようでんきせいぞうのシングルアームしき交換こうかんされた。
  44. ^ 富士電機ふじでんきしゅうでん装置そうち製造せいぞう部門ぶもん工進こうしんせいこうしょ継承けいしょうされ、山陽電気鉄道さんようでんきてつどうけは型番かたばん同社どうしゃのPKがた使用しようしていた。しかし、6000けいでは製造せいぞう東洋電機製造とうようでんきせいぞうあらためたので、形式けいしき同社どうしゃのKPがた(KP-86)となっている。

出典しゅってん

編集へんしゅう
  1. ^ 谷川たにがわ 一巳かずみ西村にしむら慶明よしあき水野みずの良太郎りょうたろう路面ろめん電車でんしゃ基礎きそ知識ちしき』〈イカロスムック〉イカロス出版いかろすしゅっぱん、1999ねん、179ぺーじ
  2. ^ 明治めいじ工業こうぎょう 電気でんきへん』 1928ねん、388ぺーじ復刻ふっこく げん書房しょぼう、1995ねん)。
  3. ^ a b 石本いしもと祐吉ゆうきち路面ろめん電車でんしゃしゅうでん装置そうちについて」『鉄道てつどうピクトリアル-臨時りんじ増刊ぞうかんごう 』通巻つうかんだい688ごう、2000ねん、82ぺーじ
  4. ^ 吉川よしかわ文夫ふみお日本にっぽんのトロリーバス』電気でんきしゃ研究けんきゅうかい、1994ねん、148-151ぺーじ
  5. ^ 宮本みやもと政幸まさゆきあたらしいトロリーバス』鉄道てつどう図書としょ刊行かんこうかい、1957ねん、87-91ぺーじ
  6. ^ 吉川よしかわ文夫ふみお路面ろめん電車でんしゃ技術ぎじゅつあゆみ』グランプリ出版しゅっぱん、2003ねん、16-20ぺーじ
  7. ^ 中田なかた安治やすじ路面ろめん電車でんしゃ -えゆく市民しみんあし-』〈カラーブックス264〉、保育ほいくしゃ、1977ねん、139-140ぺーじ
  8. ^ 原口はらぐち隆行たかゆき日本にっぽん路面ろめん電車でんしゃI-現役げんえき路線ろせんへん-』〈JTBキャンブックス〉JTB、2000ねん、82-83ぺーじ
  9. ^ 宮田みやた道一みちかず関田せきたかつこう『ありしたまでん』〈RM LIBRARY 15〉 ネコ・パブリッシング 、2000ねん、16ぺーじ
  10. ^ 東京とうきょう出版しゅっぱん企画きかくしゃ『チンチン電車でんしゃ80ねんたてふう書房しょぼう、1979ねん、122-123ぺーじ
  11. ^ 岡田おかだ誠一せいいち澤内さわうち一晃かずあき横浜よこはま市電しでんした戦後せんご歴史れきしとその車両しゃりょう』ネコ・パブリッシング、2009ねん、23ぺーじ
  12. ^ いわなり政和せいわ電車でんしゃとともにはちじゅうねん 江本えもと廣一ひろかずインタビュー」『鉄道てつどうピクトリアル-別冊べっさつ 路面ろめん電車でんしゃ時代じだい-』〈アーカイブスセレクション12 〉、鉄道てつどう図書としょ刊行かんこうかい、2007ねん、12-13ぺーじ
  13. ^ 東洋電機とうようでんきわざほうだい108ごう2001ねん9がつ日本にっぽんにおけるパンタグラフの歴史れきし東洋電機とうようでんき1-東洋電機製造とうようでんきせいぞう』(Webページ、PDFファイルで掲載けいさい)2012ねん6がつ8にち閲覧えつらん
  14. ^ 湘南しょうなん倶楽部くらぶこうでん-なつかしの電車でんしゃ名鑑めいかん』JTB、2003ねん
  15. ^ 高松たかまつ吉太郎よしたろう写真しゃしんでつづる日本にっぽん路面ろめん電車でんしゃ変遷へんせん鉄道てつどう図書としょ刊行かんこうかい、1978ねん、57ぺーじ
  16. ^ かず久田ひさた康雄やすお日本にっぽん市内しない電車でんしゃ -1895 - 1945-』成山なりやまどう書店しょてん、2009ねん、26ぺーじ
  17. ^ 依田よだ幸一こういち『チンチン電車でんしゃ始末しまつ 横浜よこはまはしった70ねん』かなしん出版しゅっぱん、1988ねん、296-298ぺーじ
  18. ^ 江本えもと廣一ひろかず都電とでん車両しゃりょう総覧そうらん大正たいしょう出版しゅっぱん、1999ねん、106-107ぺーじ
  19. ^ 東武とうぶ博物館はくぶつかん学芸がくげい『なつかしの日光にっこう軌道きどう』、2010ねん、23ぺーじ
  20. ^ 谷川たにがわ 一巳かずみ西村にしむら慶明よしあき水野みずの良太郎りょうたろう路面ろめん電車でんしゃ基礎きそ知識ちしき』84ぺーじ
  21. ^ 吉川よしかわ文夫ふみお花上はなうえよしみなり静岡鉄道しずおかてつどう秋葉線あきはせん石松いしまつ電車でんしゃ始末しまつ―』〈RM LIBRARY18〉ネコ・パブリッシング、2001ねん、39ぺーじ
  22. ^ きょうぶく福井ふくい『はーさんのおも鉄道てつどう、40ねんまえ鉄道てつどう風景ふうけい』2010ねん5がつ11にち更新こうしん
  23. ^ 飯島いいじまいわお復刻ふっこくばん私鉄してつ車両しゃりょう5 阪急電鉄はんきゅうでんてつ』ネコ・パブリッシング、2002ねん。126-127ぺーじ
  24. ^ 清水しみずさち京阪けいはん電車でんしゃJTBパブリッシング、2017ねん、p.61
  25. ^ 鉄道てつどうジャーナル』2008ねん5がつごう鉄道てつどうジャーナルしゃ、2008ねん、43ぺーじISSN 0288-2337 
  26. ^ 「オレンジバーミリオンを見守みまもるもりのみや」『鉄道てつどうジャーナル』通巻つうかん570ごう、2014ねん4がつ鉄道てつどうジャーナルしゃ、p.50
  27. ^ 特集とくしゅう 長寿ちょうじゅいのち技術ぎじゅつ > 材料ざいりょう > パンタグラフすりばん摩耗まもう低減ていげんする(PDF) - 鉄道てつどう総合そうごう技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょ RRR Vol.71 No.2(2014ねん2がつ / 2016ねん1がつ6にち閲覧えつらん
  28. ^ 『レールガイ別冊べっさつ られざるナローたち』丸善まるぜん出版しゅっぱん、1981ねん

関連かんれん項目こうもく

編集へんしゅう

外部がいぶリンク

編集へんしゅう