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制御車 - Wikipedia

制御せいぎょしゃ(せいぎょしゃ)とは、しゅとして動力どうりょく分散ぶんさん方式ほうしき鉄道てつどう車両しゃりょうにおいて、運転うんてんせきゆうする車両しゃりょうのことであるが、制御せいぎょしゃのうち電動でんどうしゃであるものは制御せいぎょ電動でんどうしゃしょうし、制御せいぎょしゃ動力どうりょくをもたない車両しゃりょうのみを場合ばあいもある。

ほんこうでは、制御せいぎょ電動でんどうしゃふくめて制御せいぎょしゃとして記述きじゅつするものとし、動力どうりょくのない制御せいぎょしゃ区別くべつする必要ひつようのあるときは、「制御せいぎょ付随ふずいしゃ」と記述きじゅつする。

解説かいせつ

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米国べいこくシアトル通勤つうきん列車れっしゃ"Sounder"の2かいけん制御せいぎょ客車きゃくしゃボンバルディア・バイレベル・コーチ」。客車きゃくしゃ後尾こうびしゃヘッドライトホーンなどの運転うんてん設備せつびもうけたような格好かっこうになっている。
スウェーデン鉄道てつどうX2000制御せいぎょ客車きゃくしゃ
車体しゃたい形状けいじょう動力どうりょくしゃとほぼ同一どういつ
イギリスのインターシティー225制御せいぎょ荷物にもつしゃ (DVT) 。
車体しゃたい形状けいじょう動力どうりょくしゃ91かたち電気でんき機関きかんしゃ類似るいじする。
非常時ひじょうじ貫通かんつうがたJR西日本にしにほん223けい電車でんしゃ2000番台ばんだい
くだかた制御せいぎょしゃにジャンパせんそなえるJR東日本ひがしにっぽん415けい1500番台ばんだい

制御せいぎょしゃ配置はいち

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動力どうりょく分散ぶんさん方式ほうしき車両しゃりょうでは、一般いっぱん編成へんせい転回てんかいしないでそのままかえ運転うんてんおこなうことから、編成へんせい両側りょうがわ制御せいぎょしゃ配置はいちするのが一般いっぱんてきである。そのため、制御せいぎょしゃのことを先頭せんとうしゃともぶ。

また、機関きかんしゃ客車きゃくしゃによる動力どうりょく集中しゅうちゅう方式ほうしき列車れっしゃにおいても、さい後尾こうび制御せいぎょ付随ふずいしゃ連結れんけつしてかえ運転うんてん先頭せんとうとなるその制御せいぎょ付随ふずいしゃより機関きかんしゃ遠隔えんかく操作そうさしてプッシュプル運転うんてんおこなうのもある。

欧州おうしゅう諸国しょこくでは最高さいこう時速じそく200kmまでの車両しゃりょうにおいて制御せいぎょ付随ふずいしゃひろもちいられており、制御せいぎょ付随ふずいしゃ運転うんてんだいより後部こうぶ客車きゃくしゃもしくは荷物にもつしゃとされることがおおい。

米国べいこくではこの方式ほうしき20世紀せいきなかばにシカゴ・ノースウェスタン鉄道てつどう通勤つうきん列車れっしゃよう客車きゃくしゃ嚆矢こうしとして全米ぜんべい通勤つうきん路線ろせんひろまり、20世紀せいき後半こうはんにはアムトラック一部いちぶなか近距離きんきょり列車れっしゃでも、ふるくなった電車でんしゃメトロライナー)や機関きかんしゃ (F40PH) を動力どうりょく改造かいぞうして制御せいぎょ付随ふずいしゃとしてもちいるもの、あるいは新造しんぞう客車きゃくしゃカリフォルニア・カー)を制御せいぎょしゃとして使用しようするものがられるようになった。

一方いっぽう日本にっぽんでは観光かんこうようのトロッコ列車れっしゃ使つかわれることがある程度ていどであり、動力どうりょく集中しゅうちゅう方式ほうしき列車れっしゃでの制御せいぎょ付随ふずいしゃ普及ふきゅうしていない。

制御せいぎょしゃ種類しゅるい記号きごう

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制御せいぎょ付随ふずいしゃ記号きごう付随ふずいしゃ (T) にc(=controllerのりゃく)を付加ふかTcとされるのが一般いっぱんてきであり、同様どうよう制御せいぎょ電動でんどうしゃMcとしている。事業じぎょうしゃによっては、CTCMもちいるところもある(東京とうきょう地下鉄ちかてつなど[注釈ちゅうしゃく 1])。また、日本にっぽんにおいては、制御せいぎょ付随ふずいしゃは「ク」としょうされることがおお[注釈ちゅうしゃく 2]同様どうよう制御せいぎょ電動でんどうしゃはJR(および1959ねん以降いこう国鉄こくてつ)では「クモ」の記号きごうしょうされるが、だい多数たすう私鉄してつ(および1959ねん以前いぜん国鉄こくてつ)では制御せいぎょ電動でんどうしゃ中間なかま電動でんどうしゃ区別くべつせず「モ」「デ」としょうする(「デ」は国鉄こくてつでも昭和しょうわ初期しょきまでもちいられていた)[注釈ちゅうしゃく 3]気動車きどうしゃ動力どうりょくしゃ制御せいぎょしゃちゅうあいだしゃ区別くべつせずに「キ」と呼称こしょうし、制御せいぎょ付随ふずいしゃ場合ばあいのみ「キク」としょうされる。

また、編成へんせい前提ぜんてい場合ばあいりょうはし以外いがいには運転うんてんだい必要ひつようないので運転うんてんせき車両しゃりょう片側かたがわにだけもうけるのが一般いっぱんてきになり、これをかた運転うんてん台車だいしゃ両側りょうがわにある場合ばあいは「りょう運転うんてん台車だいしゃ」)とぶ。りょう運転うんてん台車だいしゃかた運転うんてん台車だいしゃ区別くべつする場合ばあい近年きんねんりょう運転うんてん台車だいしゃcMc動力どうりょくしゃ場合ばあい)の記号きごうもちいられることがある。

制御せいぎょ付随ふずいしゃ場合ばあい電動でんどうしゃとの編成へんせいまないとはしれないのでかた運転うんてん台車だいしゃおおいが、まれにりょう運転うんてんだい制御せいぎょ付随ふずいしゃ存在そんざいする。(製造せいぞう時点じてんりょううん制御せいぎょ付随ふずいしゃだったれいとして帝都ていと電鉄でんてつクハ250など[注釈ちゅうしゃく 4]がある。)

交流こうりゅう・交直流ちょくりゅう電車でんしゃでは、床下ゆかした機器きき配置はいち都合つごう付随ふずいしゃにパンタグラフを装備そうびするケースが散見さんけんされるが、制御せいぎょ付随ふずいしゃでも同様どうようられ、この場合ばあい記号きごうTAcあるいはTpcとされる。

貫通かんつうがた貫通かんつうがた

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制御せいぎょしゃには正面しょうめん貫通かんつうとびら貫通かんつう)をそなえる貫通かんつうがたと、貫通かんつうとびらのない貫通かんつうがたがある。貫通かんつうがた運転うんてんせきせまくなる欠点けってんがあるが、編成へんせい連結れんけつしたときに、ほろもちいて編成へんせいあいだ乗務じょうむいん乗客じょうきゃく可能かのうとなる。ラッシュ閑散かんさん時間じかんたい、および、運転うんてん区間くかんないでのだんちなどの需要じゅよう変動へんどう対応たいおうするためのぞうかいゆいや、出発しゅっぱつさきことなる複数ふくすう編成へんせいの併結運転うんてんおこなうことのおお系列けいれつ貫通かんつうがた採用さいようしていることがおおい。

また、貫通かんつうがた制御せいぎょしゃには非常時ひじょうじのみ貫通かんつうとなる車両しゃりょうもある。日本にっぽん地下鉄ちかてつおよびそれにじゅんじる路線ろせん[注釈ちゅうしゃく 5]では、規則きそくにより編成へんせいをすべて貫通かんつう構造こうぞうとし、編成へんせい前後ぜんご常用じょうよう出入でいぐち確保かくほすることがさだめられている。ただし、非常時ひじょうじのみ貫通かんつう構造こうぞうであればよいため、ほろそなえておらず、平常へいじょう編成へんせいあいだができないこともある。このタイプは地下鉄ちかてつ路線ろせん制御せいぎょしゃおおられるほか、地下鉄ちかてつれをおこなわない大手おおて私鉄してつ車両しゃりょうや、JR東日本ひがしにっぽんE217けい電車でんしゃ(6しゃ以前いぜん)、西日本旅客鉄道にしにほんりょかくてつどう(JR西日本にしにほん)の在来ざいらいせん車両しゃりょうおおくにも採用さいようれいがある。

これらのちがいは外観がいかんことなる印象いんしょうあたえる。一般いっぱん貫通かんつうがたはオーソドックスなデザインとなり、ぎゃく貫通かんつうがたはデザインの自由じゆうたかく、ながれ線形せんけい制御せいぎょしゃ大半たいはん貫通かんつうがた採用さいようしている。非常時ひじょうじ貫通かんつうがた貫通かんつうとびらプラグドア採用さいようするれいおおく、貫通かんつうがた同様どうようのすっきりした外観がいかんられるほか、運転うんてんだいのスペースを十分じゅうぶん確保かくほし、貫通かんつうとびらをオフセット配置はいちとしたれいもある。

制御せいぎょしゃ設備せつび

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制御せいぎょしゃ運転うんてんせきそなえるが、おおくは客室きゃくしつから仕切しきられた運転うんてんしつとなっており、後尾こうびしゃとなるときは車掌しゃしょう乗務じょうむする車掌しゃしょうしつとなることがおおい。したがって、運転うんてん設備せつびのほか、車掌しゃしょう業務ぎょうむ使つかわれる放送ほうそう設備せつびとびら開閉かいへいスイッチをそなえる。また、車両しゃりょう留置りゅうちするさいブレーキ装置そうちそなえるのが一般いっぱんてきである。

このほか、編成へんせいとの併結使用しようするジャンパケーブル収納しゅうのうしておくためのジャンパせん受をそなえる車両しゃりょうもある。近年きんねんではジャンパせん接続せつぞく省力しょうりょくするため、連結れんけつ下部かぶ電気でんき連結れんけつ装備そうびし、連結れんけつ同時どうじ電気でんきてき接続せつぞく完了かんりょうするものがおおい。

制御せいぎょしゃ方向ほうこう

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電車でんしゃ編成へんせいでは、片側かたがわ制御せいぎょ関係かんけいどおしを装備そうびするため、制御せいぎょしゃ同士どうしかいわせに連結れんけつしようとすると、ジャンパせん電気でんき連結れんけつ配置はいちが180逆転ぎゃくてんすることになる。このようなケースにそなえ、ジャンパせん両側りょうがわ装備そうびしたりょうわたしゃとして両方向りょうほうこう兼用けんようとしたり、きによって電気でんき配線はいせんとうえて連結れんけつ方向ほうこう固定こていかたわたしゃ)したりする。これにかんして日本にっぽん国有こくゆう鉄道てつどう・JRでは奇数きすうき・偶数ぐうすうきとしょうして分類ぶんるいしており、奇数きすう東海道本線とうかいどうほんせん基準きじゅんのぼ東京とうきょうかたに、偶数ぐうすうは、おなじくくだ神戸こうべかたにあたり、線区せんくでもこれにしたがって方向ほうこうめられている(おおむね奇数きすうきがひがしきた方向ほうこう偶数ぐうすうきが西にしみなみ方向ほうこう)。そして一般いっぱん奇数きすうき・偶数ぐうすうきは車両しゃりょう番号ばんごう形式けいしき末尾まつび数字すうじ番台ばんだい区分くぶんにより区分くぶんされ、偶数ぐうすう制御せいぎょ付随ふずいしゃにはTc'(ダッシュ・プライム)の記号きごうもちいられる。また、編成へんせいえによりきをえる必要ひつようのある場合ばあいには、一般いっぱん方向ほうこう転換てんかん改造かいぞう工事こうじほうてん)が必要ひつようとなる。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ なお、東京とうきょう地下鉄ちかてつではTc・Mcの表記ひょうきはそれぞれ簡易かんい運転うんてんだいきのなかあいだしゃす。
  2. ^ 名古屋鉄道なごやてつどう近畿日本鉄道きんきにほんてつどう西日本鉄道にしにっぽんてつどうでは、「ロ」「ハ」などといった等級とうきゅう表示ひょうじとのわせではなく、制御せいぎょ付随ふずいしゃは「ク」1文字もじとしている。
  3. ^ 西武鉄道せいぶてつどう山陽電気鉄道さんようでんきてつどうなど「クモ」の記号きごうもちいて制御せいぎょ電動でんどうしゃ中間なかま電動でんどうしゃ区別くべつする私鉄してつ事業じぎょうしゃ存在そんざいする。
  4. ^ のちにかた運転うんてんだいされている。(ネコ・パブリッシング『RM MODELS』№.102、2004ねん2がつごう、「片野かたの正美まさみつるしかけ賛歌さんか だい23かい昭和しょうわモダン23》ゆめわった東京とうきょう山手やまて急行きゅうこう電鉄でんてつ」p.98
  5. ^ 地下鉄ちかてつおよびそれにじゅんずる路線ろせん定義ていぎについては、地下鉄ちかてつとう旅客りょかくしゃ参照さんしょうのこと。

出典しゅってん

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関連かんれん項目こうもく

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