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地下鉄 - Wikipedia

地下鉄ちかてつ

都市とし大量たいりょう輸送ゆそうおこな公共こうきょう交通こうつう機関きかん

地下鉄ちかてつ(ちかてつ、英語えいご:subway、underground、metro)は、地下鉄ちかてつどう(ちかてつどう)のりゃくで、路線ろせんだい部分ぶぶん地下ちか空間くうかん存在そんざいする鉄道てつどうである。

世界せかい最古さいこ地下鉄ちかてつであるロンドン地下鉄ちかてつ (1863ねん開業かいぎょう)

日本語にほんごう「地下鉄ちかてつ」について、鉄道てつどう事業じぎょうほう軌道きどうほう鉄道てつどう軌道きどう整備せいびほうなど法令ほうれいじょう定義ていぎ存在そんざいしない[1]日本にっぽん民営みんえい鉄道てつどう協会きょうかい編集へんしゅうした鉄道てつどう用語ようご事典じてんにおいては「都市とし地下ちか部分ぶぶん建設けんせつされたトンネルのなか走行そうこうする鉄道てつどうのこと」と説明せつめいしている[2]

英語えいごけんでは、路面ろめん交通こうつう緩和かんわ目的もくてきとして地下ちか高架こうか建設けんせつされ、交通こうつう機関きかんとの平面へいめん交差こうさによる影響えいきょうけない鉄道てつどう全般ぜんぱん"rapid transit"ラピッド・トランジット日本にっぽん都市とし計画けいかくほうにおける「都市とし高速こうそく鉄道てつどう」とほぼ同義どうぎ)としょうし、これが地下鉄ちかてつ対訳たいやくひとつとされる。

概要がいよう

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定時ていじせい安全あんぜんせい

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地下ちかとお路線ろせん地下ちか走行そうこうするため景色けしき存在そんざいせず観光かんこう用途ようとにはかないが、高架こうかきょううえとお路線ろせん同様どうよう踏切ふみきり交通こうつう信号しんごうなどの存在そんざいかいした道路どうろなど輸送ゆそうシステムとの相互そうご干渉かんしょうがないため、市街地しがいち密集みっしゅうしている大都市だいとし中心ちゅうしんなど本来ほんらい定時ていじ運行うんこうむずかしい場所ばしょでも定時ていじ運行うんこう可能かのうであり、踏切ふみきり事故じこなどの交通こうつう事故じこ危険きけんせい地上ちじょう鉄道てつどう路線ろせんくらべてひくい。また地上ちじょうはし路線ろせんことなり強風きょうふうあるいはあめゆききりなどによる影響えいきょうけることがなく[ちゅう 1]、このてん定時ていじせい確保かくほ寄与きよしている。台風たいふう上陸じょうりくして鉄道てつどうやバスが運休うんきゅうするなか地下鉄ちかてつのみ唯一ゆいいつ運行うんこうするれいおおい。運転うんてん視認しにんせいわるいため、信号しんごうなどの保安ほあん装置そうちより安全あんぜんなものが採用さいようされていることがおおく、衝突しょうとつ事故じこ危険きけんせいひくい。

しかし、ていところはしるため排水はいすい設備せつび不備ふびがあると水害すいがい危険きけんがあり、またオウム真理教おうむしんりきょうによる地下鉄ちかてつサリン事件じけんなどテロリズム脅威きょういもある。また、欧米おうべいでは防火ぼうか設備せつび不十分ふじゅうぶんふる地下鉄ちかてつおおく、木製もくせい車両しゃりょうやエレベーターが存在そんざいしているところもある。

路線ろせん構造こうぞう

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断面だんめん
草創そうそう地下鉄ちかてつ地表ちひょうめんげてはこがたのトンネルをつく開削かいさく工法こうほうによって建設けんせつされた。開削かいさく工法こうほう工事こうじ費用ひようやすわり、トンネルのりょうかべたる箇所かしょ連続れんぞくした土留どどめくい必要ひつようであり工事こうじ交通こうつう支障ししょうとなるばかりか、工期こうき工事こうじ関係かんけいからもあさいトンネルしか建設けんせつできなかった。開削かいさく工事こうじはまた、工事こうじちゅう地表ちひょうめんかり保護ほごにより地上ちじょう交通こうつうさまたげにならないよう配慮はいりょするも、地下鉄ちかてつ建設けんせつ関係かんけいする資機材しきざいした土砂どしゃ搬出はんしゅつこう地上ちじょう設置せっちする必要ひつようがあり地上ちじょう交通こうつうへの影響えいきょうけられなかった。しかしシールド工法こうほう登場とうじょう地上ちじょう地中ちちゅう構造こうぞうぶつ極力きょくりょく影響えいきょうあたえることなく地下ちか路線ろせん建設けんせつすることを可能かのうにし、工事こうじちゅう直上ちょくじょう道路どうろ車線しゃせん減少げんしょうするなど地上ちじょう交通こうつう都市とし景観けいかんへの影響えいきょう極力きょくりょく回避かいひできるようになった。シールド工法こうほうによりつくられたシールドトンネルはあつえるため通常つうじょう円形えんけいであるが、プラットフォームをもうけるため眼鏡めがねがたなど特殊とくしゅ形状けいじょうのシールドマシンを用意よういしたれいもある。なおいずれの工法こうほう場合ばあいにおいても駅舎えきしゃ建設けんせつ地上ちじょうもうける出入口でいりぐちふくむ)のため一部いちぶ開削かいさく工法こうほうたよらざるをない。なおベイエリアに代表だいひょうされるあさうみには一般いっぱんに沈埋トンネルが採用さいようされるためはこがたであり、地盤じばん状況じょうきょうゆるせばNATM工法こうほうなど山岳さんがくトンネルとおな工法こうほう採用さいようされるため馬蹄ばていがた断面だんめんとなる。
路線ろせん線形せんけい車両しゃりょうおおきさ
線形せんけいについて、市街地しがいち地下ちか路線ろせんとお場合ばあいは、くにによって事情じじょうことなるがおおくの場合ばあい法律ほうりつ地上ちじょう土地とち所有しょゆうけんなどがから問題もんだいがあり、それを回避かいひするため公有こうゆうである道路どうろ公道こうどう)の地下ちかとおすことがおお[ちゅう 2]道路どうろ地下ちか路線ろせん建設けんせつする場合ばあい路線ろせん形状けいじょうやルートが都市とし構造こうぞう依存いぞんするため、なが直線ちょくせんてき道路どうろ地上ちじょう存在そんざいしない場所ばしょでは路線ろせん複雑ふくざつがりくねるルートとなり速度そくど制限せいげんける。だい断面だんめんのシールドマシンが準備じゅんびできないなど工法こうほうじょう制限せいげんや、建設けんせつ資金しきんじょう制限せいげんがある場合ばあい時間じかんあたりの輸送ゆそう人員じんいん低下ていかするが工事こうじやすくつく小型こがた車両しゃりょう採用さいようした路線ろせんになりがちである[ちゅう 3]
勾配こうばいおよび地下ちか区間くかん選定せんてい
一般いっぱん地下ちかって構造こうぞうぶつつく工事こうじ費用ひようがかさむため、とく郊外こうがい区間くかんにおいて高架こうか区間くかん地上ちじょう区間くかん併用へいようすることが一般いっぱんてきである。勾配こうばい車両しゃりょう性能せいのうゆるかぎおおきめにりトンネル延長えんちょう地上ちじょうるまでの距離きょりのどちらもできるだけみじか[ちゅう 4]、また凸凹おうとつのある地形ちけい利用りようし、できるだけかり区間くかんなが路線ろせん選定せんていがなされることがある。

交通こうつう機関きかんとの連携れんけい

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ストラトフォードえきロンドン地下鉄ちかてつ (ひだり) およグレーター・アングリア (みぎ) のプラットホームどうえきにはドックランズ・ライト・レイルウェイ (図示ずしせず) もれる。

地下鉄ちかてつ一般いっぱん鉄道てつどうはハードめんではたがいに独立どくりつしたシステムとなっているれい大半たいはんだが、ドイツひとしでは路面ろめん電車でんしゃバスふくめただい規模きぼ共通きょうつう運賃うんちん制度せいど実施じっしされ、ソフトめん連係れんけいすすめられているれいおおい。一部いちぶ路線ろせんでは交通こうつう機関きかん同士どうしダイヤグラム調整ちょうせいしたり、どういち平面へいめんくなど、円滑えんかつ乗換のりかえが出来できるように考慮こうりょされている。一方いっぽう相次あいつ路線ろせん増設ぞうせつにより、えきはなれていたり、経路けいろ案内あんないがわかりづらかったりと(おな事業じぎょうしゃ路線ろせんでも)乗継のりつぎ不便ふべんになっているれいもまま見受みうけられる。

なお、郊外こうがい電車でんしゃ運営うんえい事業じぎょうしゃ都心としん独自どくじ地下ちかせんゆうするケースがある。この場合ばあい地下鉄ちかてつおな役割やくわりたしていても地下鉄ちかてつ認識にんしきされない場合ばあいおおい。

空港くうこう連絡れんらく鉄道てつどうとしても重宝ちょうほうされており、世界せかい主要しゅよう都市とし空港くうこうでは地下鉄ちかてつれをおこなっているケースがおおい。

地下鉄ちかてつ建設けんせつにも維持いじ管理かんりにも莫大ばくだい費用ひようついやす交通こうつう機関きかんであることから、大量たいりょう輸送ゆそう需要じゅよう見込みこめる都市としでないと建設けんせつ維持いじすることがむずかしい。日本にっぽん地下鉄ちかてつのある都市としは100まんにん以上いじょう人口じんこうかかえる都市としけんである。さらに建設けんせつ償還しょうかん維持いじ確保かくほのため、公共こうきょう交通こうつう機関きかん比較ひかくすると運賃うんちん割高わりだか傾向けいこうがある。建設けんせつしても需要じゅよう予想よそうをはるかに下回したまわったとき非常ひじょうおおきな負担ふたんとなる場合ばあいもある。そのため、それほどの需要じゅよう見込みこめない場合ばあい建設けんせつ費用ひよう維持いじ費用ひよう地下鉄ちかてつよりやすモノレールしん交通こうつうシステムLRTBRTなどがえらばれることがおおい。

さらに発展はってん途上とじょうこく場合ばあい維持いじしていけるだけの需要じゅよう見込みこめるにもかかわらず経済けいざいてき建設けんせつできる能力のうりょくがないとき、先進せんしんこくからの政府せいふ開発かいはつ援助えんじょ(ODA)や世界銀行せかいぎんこうからの融資ゆうしによって建設けんせつされることがある。

軍事ぐんじ利用りよう

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だいいち世界せかい大戦たいせんだい世界せかい大戦たいせんさい、ロンドン地下鉄ちかてつ防空壕ぼうくうごう役割やくわりたしたことから、戦争せんそう自然しぜん災害さいがいなどの有事ゆうじさいだい規模きぼ避難ひなんしょとしての利用りよう想定そうていされていることがある。そのれいとして休戦きゅうせん状態じょうたい韓国かんこくではソウル釜山ぷさんなどで地下鉄ちかてつとも地下街ちかがい地下ちか通路つうろおお整備せいびされており、軍事ぐんじ都市とし側面そくめんわせている。北朝鮮きたちょうせん首都しゅと平壌ぴょんやん地下鉄ちかてつ地下ちか150mというだい深度しんど建設けんせつされ、かく戦争せんそうそなえている。これは、ソ連それんつくられたモスクワレニングラード地下鉄ちかてつげられる。ブルガリア首都しゅとソフィア地下鉄ちかてつえきくちぼうばくとびらがついている。軍事ぐんじにおいて兵力へいりょく物資ぶっし輸送ゆそう可能かのうであるため、各国かっこく軍隊ぐんたいによって物資ぶっし輸送ゆそう演習えんしゅうおこなわれることがある。

もっとも完全かんぜん安全あんぜんというわけではなく、日本にっぽんでは太平洋戦争たいへいようせんそうさい、(日本にっぽん最初さいしょにできたため)比較的ひかくてきあさいところをはし東京とうきょうメトロ銀座ぎんざせん空襲くうしゅうによる損傷そんしょうけており、現在げんざいでも銀座ぎんざえきにそのあと一部いちぶ残存ざんそんしている。ロンドン地下鉄ちかてつにおいても、直撃ちょくげきだんによりおおきな被害ひがいれい複数ふくすうある。また、国会こっかい議事ぎじ堂前どうまええき東京とうきょうメトロ有楽町ゆうらくちょうせんのように有事ゆうじ想定そうていした建設けんせつおこなわれているという都市とし伝説でんせつ流布るふするれいもある(東京とうきょう地下ちか秘密ひみつ路線ろせんせつ参照さんしょうのこと)。

近年きんねんでは、ロシアのウクライナ侵攻しんこうにより、キーウなどの地下鉄ちかてつ施設しせつシェルターとして利用りようされている[3]

 
キングス・クロス・セント・パンクラスえきにおけるメトロポリタン鉄道てつどう建設けんせつ工事こうじ様子ようす (1861ねん)

地下鉄ちかてつ歴史れきし19世紀せいきイギリスロンドンからはじまった。1863ねん1がつ10日とおかメトロポリタン鉄道てつどうパディントンえきからファリンドンえきあいだやく6kmが開通かいつうした(現在げんざいサークルせん一部いちぶ[4]当時とうじのイギリスは鉄道てつどう建設けんせつさかんであったが、ロンドン市内しない建物たてもの密集みっしゅうしており地上ちじょう鉄道てつどう建設けんせつできなかったためである。この路線ろせん計画けいかくしたのはロンドンの法務ほうむかんであるチャールズ・ピアソンで、1834ねん開通かいつうしたテムズトンネルをヒントにしたとされる。車両しゃりょう開業かいぎょう当初とうしょから1905ねん電化でんかされるまでは蒸気じょうき機関きかんしゃ使用しようしていた。硫黄いおうふくけむり発生はっせいするため、えき構内こうない密閉みっぺいされた地下ちか空間くうかんではなく換気かんきせい確保かくほした構造こうぞうとなっていたほか、路線ろせん一部いちぶ掘割ほりわりであった。

地下鉄ちかてつ意味いみすることもおおい「メトロ」という単語たんご語源ごげんは、この「メトロポリタン鉄道てつどう」に由来ゆらいしている。そして、その「メトロポリタン鉄道てつどう」を語源ごげんとして命名めいめいされたパリの地下鉄ちかてつ「Chemin de Fer Métropolitain」の略称りゃくしょうである「Métro (Métropolitain)」から世界中せかいじゅうにその呼称こしょうひろまったといわれている。

イギリスでの開業かいぎょうはしばらくあいだがあき、30ねんちかくたった19世紀せいきすえ - 20世紀せいき初頭しょとう欧米おうべい各地かくち建設けんせつされていく。1875ねんにトルコのイスタンブール地下ちかケーブルカー「テュネル」が開業かいぎょうした。1896ねんハンガリーブダペストでも本格ほんかくてき地下鉄ちかてつ開業かいぎょう。ブダペスト地下鉄ちかてつ当初とうしょから電化でんかされており、これは地下鉄ちかてつとしては世界せかい最初さいしょ電化でんか路線ろせんであった。さらに1898ねんにはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくボストン、そして1900ねんにはフランスパリにおいて開通かいつうした。ドイツベルリンでも1880ねんころには地下鉄ちかてつとお計画けいかく存在そんざいしたものの反対はんたい勢力せいりょくによって計画けいかくおくれ、開通かいつう1902ねんであった。

だい世界せかい大戦たいせん開戦かいせんするまでには南米なんべい日本にっぽん、ソヴィエト連邦れんぽう大都市だいとしでも建設けんせつおこなわれ、戦後せんご中規模ちゅうきぼ都市としにもひろまった。1970年代ねんだい以降いこう発展はってん途上とじょうこくでも整備せいびされ、公共こうきょう交通こうつう機関きかんとして一般いっぱんした。

構造こうぞう

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一般いっぱんてき地下鉄ちかてつばれる路線ろせんでも高架こうか区間くかん地上ちじょう区間くかんゆうすることはあるが、トンネル構造こうぞうぶつ区間くかんだい部分ぶぶんめる地下鉄ちかてつでは保守ほしゅ点検てんけん作業さぎょうおおくの手間てまかる。そのため、それをすこしでもらすために維持いじ手間てますくない直結ちょっけつ軌道きどうスラブ軌道きどう路線ろせん採用さいようしていることがおおい。この方式ほうしきではとこ枕木まくらぎコンクリート使用しようするため、砂利じゃりめるバラスト軌道きどうくら寿命じゅみょうながく、車体しゃたいへの負担ふたんすくないという利点りてんがある。その代償だいしょう初期しょき費用ひようがバラスト軌道きどうくらべて非常ひじょう割高わりだかである。

世界せかいすべての地下鉄ちかてつ電化でんかされている。その電源でんげんあつまりでん方法ほうほうくに路線ろせんによって様々さまざまである。電源でんげん直流ちょくりゅう600 - 1,500Vがおも使つかわれている。交流こうりゅう採用さいようしている路線ろせんは、インドデリー(25,000V 50Hzへるつ)のみである[ちゅう 5]。アジアでは750Vと1,500Vが、ロシアひがしヨーロッパでは825Vが、西にしヨーロッパやきたアメリカでは600Vから750Vが、みなみアメリカでは750Vや3,000Vが主流しゅりゅうである。しゅうでん方法ほうほうだいさん軌条きじょう方式ほうしき(およびロンドンのよん軌条きじょう方式ほうしき)と架空かくう電車でんしゃせん方式ほうしきがあるが、くに地方ちほう同士どうしなかでも混在こんざいしており、分布ぶんぷかたよりはられない。なお、だいさん軌条きじょう方式ほうしき鉄道てつどう走行そうこうする2ほんのレールに平行へいこうして3ほんのレールを敷設ふせつし、このレールをつうじて電源でんげん供給きょうきゅうする方式ほうしきである。地下鉄ちかてつにおいてしゅうでん方法ほうほうだいさん軌条きじょう方式ほうしき採用さいようすると架空かくうせん場合ばあいよりもトンネルのだん面積めんせきせまくなり、建設けんせつ費用ひようおさえられる。おな目的もくてき日本にっぽんなどの一部いちぶくにでは鉄輪てつりんしきリニアモーターカー採用さいようされている。

 
横浜よこはま市営しえい地下鉄ちかてつグリーンライン高田たかだえきにて、安全あんぜん対策たいさくのため設置せっちされたホームドア

地下鉄ちかてつほか地上ちじょう鉄道てつどう路線ろせん高速こうそく鉄道てつどうなどの複数ふくすう路線ろせんれるターミナルえきこそ地上ちじょう構造こうぞうぶつ共有きょうゆうしている場合ばあいがあるものの、たいていの地下鉄ちかてつのみのえきは、地上ちじょう駅舎えきしゃ設備せつびたず、すべての設備せつび地下ちかそなえていることが特徴とくちょうてきである。

おおくの地下鉄ちかてつえき場合ばあい地上ちじょう構造こうぞうぶつ簡易かんいてき構造こうぞうとなっており、地下ちかへとつながる昇降しょうこう設備せつび、つまりえきへのくちのみで構成こうせいされている。だが、地上ちじょう地下ちかへの階段かいだんのぼりは、障害しょうがいしゃ高齢こうれいしゃにとっては地下鉄ちかてつ利用りようするさいさまたげとなっている。そこで、近年きんねん各国かっこく新設しんせつされている路線ろせんではこれらのひと対象たいしょうに、エスカレーターエレベーター設置せっちするなどしてえきバリアフリーするこころみがおこなわれる。

地下鉄ちかてつしかれていない地下鉄ちかてつえきくちバス停留所ていりゅうじょのように歩道ほどう設置せっちされていることがおおく、一目いちもく地下鉄ちかてつえきだと認識にんしきできるような工夫くふうがされている。れいとして、地下鉄ちかてつ運営うんえいする団体だんたい路線ろせんのロゴをかかげたりペイントアートおこなったりするれいげられる。また、えき構内こうない広大こうだい壁面へきめん利用りようし、広告こうこく掲示けいじ絵画かいがなどの美術びじゅつ作品さくひん展示てんじおこなわれることもある。

地下鉄ちかてつプラットホーム地下ちかにあることがおおい。地下ちかにある場合ばあい換気かんき設備せつび消火しょうか設備せつび重要じゅうようせいとくたかいため、つね整備せいびする必要ひつようがある。しかしながら、えき構造こうぞう予算よさん問題もんだいとう十分じゅうぶん整備せいびとどいていない路線ろせんおおいのが現状げんじょうとされる。1990年代ねんだい以降いこう建設けんせつされた一部いちぶ路線ろせんには、落下らっか防止ぼうししがらみホームドア設置せっちといった安全あんぜん対策たいさくおこなわれている。また、地理ちり言葉ことば不慣ふなれな乗客じょうきゃくのために構内こうない放送ほうそうだけでなく、プラットホームに列車れっしゃ行先ゆくさき種別しゅべつ表示ひょうじしたり、駅名えきめいをアルファベットで表記ひょうきしたり、案内あんないようとして各駅かくえき固有こゆう番号ばんごう付与ふよする(えきナンバリング)など各種かくしゅ配慮はいりょこうじられるようになってきている。

車両しゃりょう

編集へんしゅう

開業かいぎょう当初とうしょのロンドン地下鉄ちかてつ車両しゃりょう蒸気じょうき機関きかんしゃ牽引けんいんだったため、石炭せきたん燃焼ねんしょうしたさいけむり水槽すいそうないみず通過つうかさせることによりトンネルない排出はいしゅつされる煤煙ばいえんねつおさえる構造こうぞうそなえていた。

その電気でんき鉄道てつどうとなるが、おおむはば2,500 mm程度ていどながさ15,000 mm程度ていど小柄こがら車両しゃりょうもちいられた。そのはば2,800 mm、ながさ18,000 mm程度ていどまでに大型おおがたする。だい世界せかい大戦たいせんのちはさらに車両しゃりょう大型おおがたし、ひがしアジアでははば2,800 - 3,200 mm、ながさ20,000 mm程度ていど大型おおがた車両しゃりょうもちいられるれい東京とうきょうソウルシンガポールなど)もある。一方いっぽう建設けんせつてんでトンネル断面だんめんちいさくした結果けっか車両しゃりょう特殊とくしゅ小型車こがたしゃとするれい(イギリス・ロンドンのチューブ、グラスゴーブダペストなど)もある。

車両しゃりょう性能せいのう高速こうそく性能せいのうよりこう加減かげんそく性能せいのう登坂とさか性能せいのう重視じゅうしされる。このため、電動でんどうしゃ比率ひりつたかい。既存きそん構造こうぞうぶつけ、道路どうろしたなどの狭隘きょうあい土地とち建設けんせつされるため、きゅう曲線きょくせんきゅう勾配こうばいおおく、えきあいだ距離きょりみじかいためである。

車体しゃたい大量たいりょう人員じんいん輸送ゆそうする関係かんけいおおくのとびらけられている。全長ぜんちょう18,000 mm以上いじょう車両しゃりょう中心ちゅうしん片側かたがわ4とびら以上いじょう車両しゃりょうもあるが、世界せかいてきには1りょうたり片側かたがわ3とびら主流しゅりゅうである。また列車れっしゃ編成へんせいちょう欧米おうべいで100 - 120 m前後ぜんご、アジアでは200 m程度ていどのものもみられる。

座席ざせき欧米おうべいではクロスシートれいおおく、アジアではロングシートおおい。

素材そざいにはそとばんにはえにくい金属きんぞく材料ざいりょう使用しようするのはもちろんのこと、内装ないそうざいにも不燃ふねんせいなんもえせい素材そざい推奨すいしょうされている。これは避難ひなん経路けいろかぎられた地下ちか空間くうかんでの火災かさい発生はっせいだい惨事さんじまね可能かのうせいたかいためである。しかし内装ないそうざいについては、日本にっぽんなどの一部いちぶくにのぞいては依然いぜんとして可燃かねんせい素材そざいもちいられていることがおおい。なかにはふるぜん木製もくせい車両しゃりょう使つかわれている路線ろせんもある。なお、地下鉄ちかてつ運転うんてん前面ぜんめんまどへのあかるい室内しつないうつみをふせぐため、運転うんてんしつ客室きゃくしつあいだ仕切しき部分ぶぶんのカーテン(遮光しゃこうまく)をめて運行うんこうする。また、地下鉄ちかてつ名乗なのるが、地上ちじょう区間くかんえき路線ろせん存在そんざいする。

地下鉄ちかてつ車両しゃりょう冷房れいぼうはそもそも欧州おうしゅうでは必要ひつようなところがすくないが、それ以外いがい地域ちいきでもおくれていた。これには以下いか理由りゆうがある。車内しゃない冷房れいぼうすればそれによって発生はっせいするねつドレンみず車外しゃがい放出ほうしゅつされ、トンネルとえきあつくなる。つぎ冷房れいぼうよう電源でんげんだいさん軌条きじょう架線かせんより低圧ていあつ交流こうりゅう電源でんげん一般いっぱんてき)が必要ひつようであり、電動でんどう発電はつでんだい容量ようりょうのものにえるかべつ搭載とうさいする必要ひつようがあり、その場所ばしょ確保かくほできなかった。そもそもだいさん軌条きじょう採用さいようした地下鉄ちかてつ車両しゃりょう限界げんかいちいさく、冷房れいぼう装置そうちむだけの空間くうかんかった。

しかし、技術ぎじゅつ進歩しんぽによってこれらは解決かいけつされた。おおきな要因よういんは、発電はつでんブレーキから回生かいせいブレーキへの進化しんかだい容量ようりょう抵抗ていこう不要ふようとなったことと、制御せいぎょ方式ほうしき抵抗ていこうもちいないサイリスタチョッパ制御せいぎょインバータによる可変かへん電圧でんあつ可変かへん周波数しゅうはすう制御せいぎょ(VVVF制御せいぎょ)が普及ふきゅうしたことがげられる。これによって車両しゃりょうから熱源ねつげんくすことが可能かのうとなり、さらに冷房れいぼうよう電源でんげんむスペースもできた。その電源でんげんにも、電動でんどう発電はつでんより小型こがた静止せいしがたインバータ(SIV)を採用さいようすることで、よりしょうスペースすすんでいる。冷房れいぼう装置そうちそのものについても小型こがたこう効率こうりつがすすみ、だいさん軌条きじょうしゅうでん車両しゃりょうでも、その屋根やね薄型うすがたのものをけるようになったことから、大阪おおさか市営しえい地下鉄ちかてつ10けい1979ねん)を皮切かわきりに採用さいようはじまっている。

現存げんそんする特殊とくしゅ車両しゃりょうもちいるれいとして、ゴムタイヤしきげられる。フランス日本にっぽんでそれぞれことなる方式ほうしき開発かいはつされた。フランスのものはカナダモントリオール万国博覧会ばんこくはくらんかい開催かいさいわせて建設けんせつされた。これはゴムタイヤを使用しようした最初さいしょ路線ろせんであった。通常つうじょうレール車輪しゃりん案内あんないとし、その外側そとがわにゴムタイヤとその踏板ふみいたもうける方式ほうしきである。にパリ、メキシコシティでも同様どうよう方式ほうしき採用さいようされている。これにたいし、日本にっぽん札幌さっぽろ実用じつようされたものは、走行そうこうようのゴムタイヤのほかに中央ちゅうおうに1ほん案内あんない軌条きじょうつくり、それをゴムタイヤではさ方式ほうしきで、てつ軌と鉄輪てつりんたない。ゴムタイヤ方式ほうしきでは騒音そうおん発生はっせいすくなく、発車はっしゃ加速度かそくど停車ていしゃ減速げんそくたかく、その変化へんかなめらかであるという特徴とくちょうつが、消耗しょうもうしたタイヤ粉塵ふんじんうことから健康けんこう被害ひがい心配しんぱいするこえもある[ちゅう 6]。また、ころがり抵抗ていこう鉄輪てつりんしきくらおおきいので消費しょうひ電力でんりょくおおく、タイヤの交換こうかん周期しゅうきみじかいためランニングコストが鉄輪てつりんしきよりもたかくなる。タイヤには荷重におも負担ふたんりょくおおきいラジアルタイヤ札幌さっぽろ市営しえい地下鉄ちかてつ案内あんないのみバイアスタイヤ[5]もちいられており、パリでは過去かこパンクしたさい内部ないぶのスチールコードがだいさん軌条きじょう接触せっしょくして短絡たんらくする事故じこきている。

建設けんせつおさえるため1980ねんころからは性能せいのう保持ほじしたまま車両しゃりょう小型こがたすることが可能かのうリニア誘導ゆうどうモーターによる粘着ねんちゃく推進すいしん車両しゃりょう登場とうじょうした。

車両しゃりょう搬入はんにゅうについては地上ちじょうかれた車両しゃりょう基地きちおくる、地下ちか車庫しゃこ直上ちょくじょう搬入はんにゅうようあなもうけてクレーンろすといった方法ほうほうがある。車両しゃりょうメーカーからの車両しゃりょう基地きちへの輸送ゆそう方法ほうほうさき地上ちじょうはし鉄道てつどうせん経由けいゆおくむ、鉄道てつどう路線ろせんとの物理ぶつりてき接続せつぞくがない場合ばあいには一般いっぱん道路どうろトレーラによる陸送りくそうおく方式ほうしきられている。

建設けんせつ工法こうほう

編集へんしゅう

地下鉄ちかてつ建設けんせつ方法ほうほう地下ちか構造こうぞうぶつ建設けんせつ同様どうよう様々さまざま種類しゅるいがあるが、そのなかでもとく主流しゅりゅうめる工法こうほう開削かいさく工法こうほう(オープンカット工法こうほう)とシールド工法こうほうの2種類しゅるいである。

開削かいさく工法こうほう

編集へんしゅう
 
開削かいさく工法こうほうによる地下鉄ちかてつ建設けんせつ現場げんば桃園ももぞのじょうとしうん桃園ももぞの国際こくさい空港くうこう敷地しきちない

地面じめんかえし、路線ろせん建設けんせつしたのちめなおすという工法こうほうオープンカット工法こうほうひら工法こうほうともばれる。工事こうじやす工期こうきみじかいのが特長とくちょうで、1980年代ねんだいまで世界せかい各地かくち地下ちか構造こうぞうぶつ建設けんせつ工法こうほうとして主流しゅりゅうであった。一方いっぽう地面じめん開削かいさくすることに起因きいんする制約せいやくおおく、地面じめんからふか場所ばしょ路線ろせんうえ建造けんぞうぶつ河川かせんなどがある場合ばあい使つかえない。日本にっぽん京都きょうとのように地下ちか多量たりょう埋蔵まいぞう文化財ぶんかざい遺跡いせき)をかかえている都市としでは開削かいさく工法こうほうによる工事こうじまえ埋蔵まいぞう文化財ぶんかざい発掘はっくつ調査ちょうさ必要ひつようになり、そのぶん経費けいひ時間じかん必要ひつようとなる。また道路どうろじょう開削かいさくするため道路どうろ交通こうつう障害しょうがいになるという問題もんだいもあるが、交通こうつうりょうおお時間じかんたいには工事こうじめ、開削かいさくしたあな一時いちじてき鉄板てっぱんおおって上部じょうぶ通行つうこう可能かのうとすることである程度ていど緩和かんわすることができる。

シールド工法こうほう

編集へんしゅう
 
東京とうきょうメトロ半蔵門線はんぞうもんせん錦糸町きんしちょうえき付近ふきんのシールド工法こうほうつくられたトンネル

シールド工法こうほうよこからすすむことによってトンネルを工法こうほうマーク・イザムバード・ブルネルによって考案こうあんされた。地下鉄ちかてつふかさまで垂直すいちょくあなったのち路線ろせん建設けんせつする予定よてい空間くうかんシールドマシンばれる円筒えんとうじょう機械きかいすすみながらトンネルをつくっていく。複数ふくすう路線ろせん地下ちか立体りったい交差こうさする場合ばあい既設きせつ地下鉄ちかてつ路線ろせん下水道げすいどうなどの地下ちか構造こうぞうぶつちかくに存在そんざいしたり、えき地下ちか空間くうかんすでなんらかの建造けんぞうぶつ存在そんざいする場合ばあいには有利ゆうりであり、さらに地上ちじょう交通こうつうほとん影響えいきょうあたえないといった利点りてんつ。さらに、埋蔵まいぞう文化財ぶんかざい遺跡いせき)を地域ちいきにおいても、文化財ぶんかざい存在そんざいする地層ちそう日本にっぽん考古学こうこがく用語ようごでは「そう」)よりもふか部分ぶぶん掘削くっさくすることによって文化財ぶんかざい影響えいきょうあたえないことが可能かのうであり、開削かいさく工法こうほうでは必要ひつようとなる埋蔵まいぞう文化財ぶんかざい発掘はっくつ調査ちょうさにかかる費用ひよう時間じかんはぶくことができる。現在げんざいでは地下ちかにもおおくの構造こうぞうぶつがあり地下鉄ちかてつ路線ろせん自体じたい以前いぜんくらべて地下ちかふかくに建設けんせつされるようになってきたため、地下鉄ちかてつ路線ろせん建設けんせつはシールド工法こうほう中心ちゅうしんになってきている。しかし面積めんせき広大こうだいである駅舎えきしゃ地面じめんからあさ場所ばしょとく地上ちじょう交通こうつう配慮はいりょする必要ひつようがない路線ろせん開削かいさく工法こうほう有利ゆうりであり、どちらの工法こうほう状況じょうきょうおうじて利用りようされている。

その工法こうほう

編集へんしゅう

岩盤がんばんとくかた場所ばしょなどでは掘削くっさくした部分ぶぶん素早すばやコンクリートけてかため、ボルト固定こていするしんオーストリアトンネル工法こうほう(NATM)がもちいられることがある。また河川かせんしたでは潜函せんかん工法こうほう(ケーソン工法こうほう)や地上ちじょうつくったトンネルユニットを水中すいちゅう連結れんけつする沈埋工法こうほうもちいられることもある。また、掘削くっさく近接きんせつしてあるいは直上ちょくじょう既存きそん建造けんぞうぶつ基礎きそくいあるいは下水げすいかんなどがある場合ばあい、その沈下ちんかふせぐためそれらの荷重かじゅうわりにける構造こうぞうぶつ構築こうちくしたのち掘削くっさくおこない、トンネルやえき設備せつびもうけることがある(アンダーピニング工法こうほう)。いずれもかぎられた場所ばしょでのみもちいる工法こうほうである。

運営うんえい

編集へんしゅう

地下鉄ちかてつ政府せいふ自治体じちたいといった公営こうえい民間みんかん企業きぎょう民営みんえい日本にっぽんでいう私鉄してつ)があるが、そのどちらもが混在こんざいしている形態けいたい存在そんざいする([ちゅう 7])。一見いっけん民営みんえい企業きぎょうであってもその出資しゅっししゃ地元じもと自治体じちたいのみで実質じっしつ公営こうえいという事例じれい欧州おうしゅう中心ちゅうしん多数たすう存在そんざいする。また、ぎゃく一見いっけん公営こうえい地下鉄ちかてつだが、運営うんえい民営みんえい企業きぎょう一括いっかつして委託いたくするケースがある。該当がいとうするれいとして、フランスのリヨンとリールの地下鉄ちかてつがあげられる。これらは対外たいがいてきには市営しえい地下鉄ちかてつとして案内あんないされるが、実際じっさいにはから委託いたくされた民営みんえい会社かいしゃ運行うんこうしている。日本にっぽんではだいさんセクターばれる。

ロンドンでは当初とうしょ民間みんかんのいくつかの鉄道てつどう会社かいしゃ地下鉄ちかてつ路線ろせん建設けんせつし、統一とういつせい計画けいかくせいのないまま各々おのおの会社かいしゃ運営うんえいしていた。しかし1933ねんすべての路線ろせん公的こうてき団体だんたいとして統合とうごうされた。その現在げんざいでは1しゃ民間みんかん企業きぎょうとして運営うんえいしている。このように運営うんえい団体だんたいわることもめずらしくないほか、地下鉄ちかてつ路線ろせん建設けんせつ非常ひじょう高額こうがくなために公的こうてき団体だんたい路線ろせん建設けんせつし、民間みんかん企業きぎょう運営うんえいにあたるれいもある。

運賃うんちん時間じかん距離きょりわず定額ていがくである場合ばあい一般いっぱんてきであるが、日本にっぽん中心ちゅうしんとするアジアの路線ろせんでは距離きょり区間くかん)におうじて運賃うんちん増加ぞうかするシステムを採用さいようしている。ドイツを中心ちゅうしんとするヨーロッパでは、地下鉄ちかてつふくめた交通こうつう機関きかんたいしてゾーンせいばれる統一とういつ料金りょうきんシステムをとっている。ゾーンせいでは中心ちゅうしんとそこから同心円どうしんえんじょうにゾーンを設定せっていする。おなじゾーンのなかでは料金りょうきん均一きんいつであるが、ゾーンをまたぐにつれて運賃うんちん増加ぞうかするというものである。なお、欧州おうしゅう中心ちゅうしんに、交通こうつう事業じぎょうしゃ連合体れんごうたい結成けっせいされ、交通こうつう機関きかん共通きょうつう運賃うんちん制度せいどがとられているれいおおい。

自動じどう改札かいさつ

編集へんしゅう

信用しんよう乗車じょうしゃ方式ほうしきでない路線ろせんおおくは自動じどう改札かいさつ導入どうにゅうされている。これは大量たいりょう人員じんいんさばくためだけでなく、維持いじ削減さくげんする目的もくてきもある。自動じどう改札かいさつには専用せんよう切符きっぷやカードといった乗車じょうしゃけん挿入そうにゅうしてとびらけるものと硬貨こうかれることでターンスタイルまわるものの2種類しゅるい一般いっぱんてきである(後者こうしゃ運賃うんちん均一きんいつ料金りょうきんせい場合ばあい導入どうにゅうされる)。

日本にっぽん地下鉄ちかてつでは磁気じき情報じょうほう記録きろくされた切符きっぷ自動じどう改札かいさつり、にゅう出場しゅつじょう記録きろくって運賃うんちん不足ふそく自動じどう判断はんだんできる改札かいさつがひろく使用しようされており、また交通こうつうけいICカードもちいた運賃うんちん収受しゅうじゅシステムも急速きゅうそく普及ふきゅうしつつある。

一方いっぽう、ドイツ、オーストリアなどでは信用しんよう乗車じょうしゃ方式ほうしき実施じっしされている。これはえき改札かいさつとう一切いっさい廃止はいしするわりに、ちの車内しゃない検札けんさつおこなうものである。この場合ばあい正規せいき切符きっぷ所持しょじしていない場合ばあい正規せいき料金りょうきんくわえ、その8ばい以上いじょう罰金ばっきん請求せいきゅうされる(これらのくにでは、市内しない交通こうつう機関きかんでも同様どうよう制度せいどかれている)。

列車れっしゃ運行うんこう

編集へんしゅう

地下鉄ちかてつ大都市だいとしにおける大量たいりょう輸送ゆそうだいいち目的もくてきとしているため、「たずにれる」ことが要求ようきゅうされる。そのためおおくの地下鉄ちかてつもうではにちちゅう列車れっしゃ運行うんこう間隔かんかくが5 - 10ふん程度ていど設定せっていされている。とくにモスクワなどでは混雑こんざつに1ふん程度ていど設定せっていされている。

列車れっしゃ各駅かくえき停車ていしゃするものが大半たいはんだが、東京とうきょうなどではちゅう一部いちぶえき通過つうかする緩急かんきゅう運転うんてん実施じっししている路線ろせんがあり、そのれいとして東京とうきょうメトロ東西線とうざいせん(ただし、地上ちじょうかぎるが)、東京とうきょうメトロふく都心としんせん都営地下鉄とえいちかてつ浅草線あさくさせん都営地下鉄とえいちかてつ新宿しんじゅくせんなどがある。ニューヨークでは、上下じょうげせん各駅かくえき列車れっしゃよう軌道きどう急行きゅうこう列車れっしゃよう軌道きどうがある複々線ふくふくせん区間くかんや、上下じょうげせん複線ふくせん軌道きどう午前ごぜん午後ごご進行しんこう方向ほうこうぎゃくになる単線たんせん軌道きどうくわえたふく単線たんせん区間くかんおお存在そんざいすることから、ほとんどの路線ろせん各駅かくえき停車ていしゃ急行きゅうこうの2種類しゅるい列車れっしゃはしらせている。

世界せかいだい多数たすう地下鉄ちかてつもうでは、保守ほしゅ点検てんけんのため深夜しんやから早朝そうちょうにかけての時間じかんたいには運転うんてんおこなっていない。ニューヨークの地下鉄ちかてつなどは数少かずすくない例外れいがいで、複々線ふくふくせんふく単線たんせん区間くかんでは深夜しんや週末しゅうまつに1軌道きどう保守ほしゅ点検てんけんほどこしながらのこりの軌道きどう営業えいぎょう運行うんこうができるため、24あいだ終日しゅうじつ運行うんこうおこなっている。

日本にっぽん韓国かんこく地下鉄ちかてつでは、営業えいぎょう母体ぼたいことなる郊外こうがい通勤つうきん鉄道てつどうせん地下鉄ちかてつもう軌道きどう規格きかく統一とういつすることにより、おおくの通勤つうきん列車れっしゃ郊外こうがいから都心としん直通ちょくつう運転うんてんさせていることが特徴とくちょうてきである。

地下鉄ちかてつ安全あんぜんせい

編集へんしゅう

地下鉄ちかてつゆきひょう強風きょうふう台風たいふう竜巻たつまきなどにはつよいものの、地震じしん水害すいがい火災かさい人為じんいてき危険きけんなどにはよわく、地下鉄ちかてつ構造こうぞうじょう、これらの被害ひがいにあった場合ばあいだい惨事さんじになる可能かのうせいきわめてたかい。そのため安全あんぜんかんするみは開業かいぎょう以前いぜんから研究けんきゅうされつづけている。

かつては地下鉄ちかてつ地震じしんつよいとされていた。しかし、阪神はんしん淡路あわじ大震災だいしんさい神戸こうべ市営しえい地下鉄ちかてつ神戸こうべ高速こうそく鉄道てつどう多大ただい被害ひがいした(とく神戸こうべ高速こうそく鉄道てつどう大開おおひらきえきうえ道路どうろ陥没かんぼつするほどの被害ひがいとなった)。研究けんきゅう路線ろせん地下ちか走行そうこうする都合つごうじょう路線ろせん区間くかんはトンネルとして建設けんせつされているため、地形ちけいおおきく変動へんどうすることのある地震じしんにはよわいことがかっている。地盤じばんやわらかい土地とち[ちゅう 8]ではとく注意ちゅうい必要ひつようである。また、路線ろせんじょう地面じめんてい海抜かいばつ場合ばあいは、防波堤ぼうはてい決壊けっかいにより海水かいすい流入りゅうにゅうすることが想定そうていされるので下記かき水害すいがい併発へいはつするおそれがある。

水害すいがい

編集へんしゅう

地下鉄ちかてつのシステムは地面じめんよりもひく位置いちにあるため、地上ちじょうそそいだあめなどのみず地下鉄ちかてつ設備せつび浸入しんにゅうしてくる。たとえば、2012ねん10がつにはハリケーン・サンディによる浸水しんすいによりニューヨークの地下鉄ちかてつ全面ぜんめんてき停止ていしした[6]。そのため十分じゅうぶん防水ぼうすい排水はいすい設備せつびたない場合ばあい水没すいぼつすることもありる。このため、地上ちじょうえきへの出入口でいりぐち一段いちだんたかくしたり大雨おおあめときなどはえき出入口でいりぐち防潮ぼうちょうばん線路せんろじょう防水ぼうすいとびら展開てんかいして閉鎖へいさされることがある。東海とうかい豪雨ごううなどの浸水しんすいなどがそのれいである。

ふるくに建設けんせつされた地下鉄ちかてつなどでは、えき車両しゃりょう火事かじ対策たいさく十分じゅうぶんになされていないれいもある。またせま地下ちか空間くうかん火災かさい発生はっせいしたさい十分じゅうぶんきゅう排気はいき設備せつびととのっていない場合ばあい瞬時しゅんじけむり充満じゅうまんして被害ひがい一層いっそう深刻しんこくすることも問題もんだいされている。

1987ねん11月18にち、ロンドン地下鉄ちかてつキングズクロスえききた火災かさいキングス・クロス火災かさい)で31めい死亡しぼうした事件じけんでは、ロンドンの地下鉄ちかてつにはふる木造もくぞう構造こうぞうぶつおおのこっていたこと指摘してきされたが、これをきっかけにして日本にっぽんでは地下鉄ちかてつえき構内こうない終日しゅうじつ全面ぜんめん禁煙きんえん実施じっしされた。

2003ねん2がつ18にち韓国かんこく大邱たいきゅう広域こういきえき構内こうない発生はっせいした放火ほうかによる地下鉄ちかてつ火災かさい大邱たいきゅう地下鉄ちかてつ放火ほうか事件じけん)では2編成へんせい12りょう全焼ぜんしょう死者ししゃ192めい負傷ふしょうしゃ148めいした。被害ひがいがここまで深刻しんこくした原因げんいんとしては、車両しゃりょう内装ないそう可燃かねんせい素材そざい使用しようしていたことと、えき構内こうない排煙はいえん設備せつび不備ふびによることがおもである。車両しゃりょう材料ざいりょう燃焼ねんしょうしたさいしょうじた一酸化いっさんか炭素たんそなどの有害ゆうがい物質ぶっしつによる中毒ちゅうどくによる死亡しぼうしゃとくおおかった。また、火災かさい現場げんばから入線にゅうせんした列車れっしゃ乗客じょうきゃくで、当該とうがい列車れっしゃ延焼えんしょうはじめたため、運転うんてん司令しれいしたがい、運転うんてんキー(マスコンキー)を退避たいひした。これにともない、とびら自動的じどうてき閉鎖へいさ状態じょうたいになってしまい、車両しゃりょうのこされ、焼死しょうししたものおおい。

人為じんいてき災害さいがい

編集へんしゅう

1995ねん3がつ東京とうきょうこったオウム真理教おうむしんりきょうによる地下鉄ちかてつサリン事件じけんや、同年どうねん7がつのパリ・メトロの爆破ばくは事件じけん2005ねん7がつにロンドンでこったロンドン同時どうじ爆破ばくは事件じけんなど、地下鉄ちかてつには人為じんいてき危険きけん行為こういたいする脆弱ぜいじゃくせいがある。また、2001ねん9月のアメリカ同時どうじ多発たはつテロ事件じけんでは倒壊とうかいした世界せかい貿易ぼうえきセンタービル(WTC)直下ちょっか地下鉄ちかてつえきがあったため、建物たてもの下敷したじきになってつぶされたことでえき破壊はかいされた。

人身じんしん事故じこ

編集へんしゅう

前述ぜんじゅつように、トンネルのだん面積めんせきせまくすれば地下鉄ちかてつ建設けんせつ費用ひようやす傾向けいこうにある。同様どうよう地下ちかえきのプラットホームもなるべくならせまほうがよい。しかしここで問題もんだいになるのが人身じんしん事故じこである。通勤つうきん通学つうがくラッシュ催事さいじのあるときなどには大勢おおぜいひとがプラットホームにあつまって人身じんしん事故じここるかくりつたかくなり、とく地下鉄ちかてつおおサードレール方式ほうしき路線ろせんではさらに危険きけんせいたかくなる。これを解決かいけつするために、ホームドア可動かどうしきホームしがらみ採用さいようされることがえてきている。ロンドン地下鉄ちかてつ一部いちぶえきなどではレールを道床どうしょうからたかくかさげして敷設ふせつし、転落てんらくしゃ道床どうしょうとしんでさわくるまさせないような構造こうぞうがとられている。

世界せかい主要しゅよう地下鉄ちかてつ

編集へんしゅう
 
ヘルシンキ地下鉄ちかてつ世界せかい最北端さいほくたん地下鉄ちかてつである。[7][8]

ヨーロッパではロンドンでの開通かいつう以来いらい、20世紀せいきなかばまでに主要しゅよう大都市だいとしおおくに地下鉄ちかてつ路線ろせん建設けんせつされた。

イギリス
 
ロンドン地下鉄ちかてつS7・S8かたち
世界せかい最初さいしょ開業かいぎょうした地下鉄ちかてつであるメトロポリタンせん1860ねん工事こうじ着手ちゃくしゅし、3ねん1863ねん開業かいぎょうした。営業えいぎょうじょうきょう開業かいぎょう当初とうしょから大変たいへん良好りょうこうで、開業かいぎょう初年度しょねんどやく950まんにん乗客じょうきゃくはこんだ。当初とうしょ車両しゃりょう蒸気じょうき機関きかんしゃ採用さいようしていたが、1905ねん電気でんき動力どうりょくげんとする電車でんしゃえ、20世紀せいき前半ぜんはんまでにほぼ現在げんざい路線ろせんもう完成かんせいするにいたった。ここまでさかんにロンドンに地下鉄ちかてつ建設けんせつされた背景はいけいにはロンドンの市街地しがいちみちほそんでおり、地面じめん高架こうかきょうはしらせることが困難こんなんであったことにくわえ、地上ちじょう景観けいかんそこねるわけにいかなかったことなどがある。
グラスゴーなど都市としにも地下鉄ちかてつがあるが、おおくはロンドンの場合ばあい同様どうようせまいトンネル断面だんめんわせた小型こがた車両しゃりょうもちいている。
ドイツ
 
フランクフルト地下鉄ちかてつU5がた
U-Bahn(ウーバーン)とばれるものが一般いっぱんてき地下鉄ちかてつ認識にんしきされている(おなドイツけんであるオーストリアでも同様どうよう)。他国たこく地下鉄ちかてつ形態けいたいちかいUバーンは現在げんざいベルリンハンブルクミュンヘンニュルンベルク存在そんざいする。これら4路線ろせんとも、だいさん軌条きじょうしゅうでん方式ほうしき採用さいようしている。
首都しゅとのベルリンに地下鉄ちかてつ建設けんせつするあんは1880ねん浮上ふじょうしていたが、地下水ちかすいおお地下鉄ちかてつには不適ふてき地質ちしつだとされた。それが理由りゆう反対はんたい運動うんどうによって計画けいかくすすまなかった。しかし建設けんせつ技術ぎじゅつ発達はったつ他所よそでの成功せいこうから建設けんせつ推進すいしんうごきが活発かっぱつし、1902ねんベルリン地下鉄ちかてつ開業かいぎょうした。その1912ねんにハンブルクで開業かいぎょうのこる2都市としは、東西とうざい分裂ぶんれつ時代じだいにいずれも西側にしがわ建設けんせつされた。
シュタットバーン
一方いっぽうフランクフルト・アム・マインケルンシュトゥットガルトデュッセルドルフエッセンひとしには、パンタグラフしゅうでん小型こがた電車でんしゃ使用しようしたシュタットバーン(Stadtbahn:軽快けいかい電車でんしゃもう)の地下ちかせん存在そんざいする。既存きそん路面ろめん電車でんしゃ都心としん区間くかんではおも地下ちか郊外こうがいでは専用せんよう軌道きどうすることで高速こうそくはかったものである。北米ほくべいでのライトレール影響えいきょうあたえた[ちゅう 9]。なお、これらシュタットバーン地下鉄ちかてつのトンネルや車両しゃりょう断面だんめんはベルリンなどおな基準きじゅんしたがって設計せっけいされており、ほう制度せいどじょう地下鉄ちかてつであるがU-シュタットバーン(U-Stadtbahn)として区別くべつされることがおおい。
フランス
 
パリ地下鉄ちかてつMP89けい金属きんぞく車輪しゃりん案内あんない軌条きじょう走行そうこうようゴムタイヤ両方りょうほうそなえるのが特徴とくちょう
メトロばれ、パリリヨンマルセイユトゥールーズリールレンヌルーアンの7つの都市とし存在そんざいする。
このうち、リール、トゥールーズ、レンヌの地下鉄ちかてつはVALとばれるしん交通こうつうシステムもちいた地下鉄ちかてつであり、小形おがた車両しゃりょうぜん自動じどう運転うんてん特徴とくちょうとしたミニ地下鉄ちかてつである。ルーアンのものは地下ちか区間くかんLRTトラム)であり、統計とうけいじょうでは地下鉄ちかてつではなくトラムに分類ぶんるいされている。
パリおよびリヨンの一部いちぶ路線ろせんとLRTであるルーアン以外いがい地下鉄ちかてつは、すべてゴムタイヤしきである。
フランスの地下鉄ちかてつすべてに共通きょうつうしているてんとして、運賃うんちん制度せいど均一きんいつせいであることや直流ちょくりゅう750Vの電源でんげん使用しようしていることがげられるが、軌間きかんしゅうでん方式ほうしき運転うんてん保安ほあんシステムにはばらつきがられる。また、パリ、マルセイユ、トゥールーズ、リール、レンヌでは進行しんこう方向ほうこうたい右側みぎがわ通行つうこうであるが、リヨンにおいては左側ひだりがわ通行つうこうとなっている。
パリ
このなかでも首都しゅとのパリは14ほん地下鉄ちかてつ路線ろせんっており、フランスではびぬけている。パリの路線ろせんでは1から14号線ごうせんまである路線ろせんのうち1、4、6、11、14号線ごうせんの5路線ろせん金属きんぞく車輪しゃりんとゴムタイヤを併用へいようした案内あんない軌条きじょうしき鉄道てつどうであり、14号線ごうせんでは無人むじん運転うんてんくわえ、安全あんぜん対策たいさくのためホームドアが設置せっちされている。パリではこれらの路線ろせん総称そうしょうして「メトロ」とばれている。
パリにはメトロ以外いがいにもRER首都しゅとけん高速こうそく鉄道てつどう)とばれる地下ちかせん都心としん直通ちょくつうする鉄道てつどうもう存在そんざいしている。地下鉄ちかてつとは別個べっこのシステムであるが、都心としんではRERも地下鉄ちかてつのネットワークの一部いちぶとして利用りようされており、都心としんのみの利用りようならば運賃うんちんもメトロの路線ろせん共通きょうつう均一きんいつ料金りょうきん利用りようできるため、パリの地下鉄ちかてつ一部いちぶとしてあつかえる存在そんざいである。RERは5路線ろせんあり、路線ろせんごとにRATPとSNCF担当たんとうかれているが、料金りょうきん共通きょうつうである。
ロシア
 
モスクワ地下鉄ちかてつマヤコフスカヤえき
1935ねんモスクワ開通かいつうしたのが最初さいしょである。モスクワの地下鉄ちかてつ世界せかいてき場合ばあい地上ちじょうから非常ひじょうふか区間くかんおおく、えき構内こうない豪華ごうか内装ないそうかざられている。おおくが花崗岩かこうがん大理石だいりせき装飾そうしょくされ、壁面へきめん天井てんじょうにはタイルアートや彫刻ちょうこくほどこされている。軌道きどうはロシア鉄道てつどうおな軌間きかん1,524mm。建設けんせつスターリン厳命げんめいもと昼夜ちゅうやわず突貫とっかん工事こうじすすめられ、革命かくめい記念きねん祝賀しゅくが行事ぎょうじった。
サンクトペテルブルクトビリシバクータシケントなどのロシアおよびきゅうソ連それん都市としにも地下鉄ちかてつ存在そんざいする。構造こうぞうおおむねモスクワのものと類似るいじしている。
ベルギー
首都しゅとブリュッセルだいさん軌条きじょうしき地下鉄ちかてつ路線ろせんがあるほか、路面ろめん電車でんしゃ一部いちぶ区間くかん地下ちかしたプレメトロ(Premetro=先行せんこう地下鉄ちかてつ)が存在そんざいする。これは都心としん需要じゅようおお区間くかんのみトンネルを建設けんせつし、地下鉄ちかてつ開業かいぎょうまでのあいだ路面ろめん電車でんしゃのトンネルとして利用りようするものである。そして、全線ぜんせんのトンネルが完成かんせいした段階だんかいで、本格ほんかくてき地下鉄ちかてつ移行いこうするものである。現在げんざい運行うんこうちゅうだいさん軌条きじょうしき地下鉄ちかてつも、当初とうしょはプレメトロとして段階だんかいてき整備せいびされたものである。
オランダ
首都しゅとアムステルダムだいさん軌条きじょうしき地下鉄ちかてつネットワークが、ロッテルダムには架線かせんしゅうでんしきだいさん軌条きじょうしき地下鉄ちかてつネットワークが存在そんざいしている。アムステルダムの地下鉄ちかてつ路線ろせん大半たいはん地上ちじょう高架こうか区間くかんである。また、51系統けいとう郊外こうがいでトラム5系統けいとう線路せんろえき共有きょうゆうしており、パンタグラフとあつまりでんくつ両方りょうほうそなえたふく電圧でんあつしゃ専用せんよう使用しようされる。この路線ろせんは、シュネルトラム(オランダ急行きゅうこう路面ろめん電車でんしゃ意味いみ)とばれる。ロッテルダムの地下鉄ちかてつネットワークの一部いちぶランドスタット鉄道てつどうとしてデン・ハーグ郊外こうがいのゾーテルメアまで運行うんこうされている。
スペイン
マドリッドバルセロナビルバオバレンシアそしてセビリア地下鉄ちかてつがある。スペインの地下鉄ちかてつは、すべて架線かせんしゅうでんしきなのが特徴とくちょうである。ビルバオの地下鉄ちかてつ既存きそん鉄道てつどうせん流用りゅうようした関係かんけいじょう1mゲージになっている。
ポルトガル
リスボンポルト地下鉄ちかてつがある。リスボンの地下鉄ちかてつは4路線ろせんあり、すべての路線ろせんあいだえが可能かのうになっている。ポルトの地下鉄ちかてつはライトレールでAからFまで6路線ろせんあるが、Dせん以外いがい市内しない中心ちゅうしん路線ろせん共有きょうゆうしている。また、りょう地下鉄ちかてつとも空港くうこうれている。
ハンガリー
首都しゅとブダペストの地下鉄ちかてつはロンドン、イスタンブールにいで世界せかいで3番目ばんめ開業かいぎょうしたものであり、かつ、世界せかいはつ電気でんき運転うんてん地下鉄ちかてつでもある。イスタンブールのそれはいささか方式ほうしき特異とくいであるために、ブダペスト地下鉄ちかてつ世界せかいだい2番目ばんめユーラシア大陸たいりくはつ地下鉄ちかてつとみなす見解けんかいもある。ブダペストの地下鉄ちかてつは3路線ろせんあり、一番いちばんふるい1号線ごうせん架線かせんしゅうでん小形おがた車両しゃりょうもちいた路線ろせんでトンネルもあさいところにられている。2号線ごうせん・3号線ごうせん戦後せんごソ連それん技術ぎじゅつもちいて建設けんせつされただいさん軌条きじょうしき路線ろせんで、ソ連それんせい地下鉄ちかてつ同様どうようのデザインの電車でんしゃふかいトンネルが特徴とくちょうである。
トルコ(ヨーロッパがわ
イスタンブールテュネル(1875ねん開業かいぎょう)とイスタンブール地下鉄ちかてつ(2000ねん開業かいぎょう)がある。テュネルは地下ちかケーブルカーという特殊とくしゅ方式ほうしきであり、かつ全長ぜんちょうも573メートルというみじかいものであるが、ロンドン地下鉄ちかてついで世界せかいで2番目ばんめ大陸たいりくヨーロッパでは最初さいしょ開業かいぎょうした地下鉄ちかてつである。

きたアメリカ

編集へんしゅう
アメリカ
 
ニューヨーク地下鉄ちかてつR160かたち
1870ねんウイリアム・ツィード政治せいじ工作こうさくまぬかれるために「郵便ゆうびん配達はいたつチューブの実験じっけん名目めいもくで、科学かがく雑誌ざっし編集へんしゅうしゃ&発明はつめいであったアルフレッド・エリィ・ビーチ (Alfred Ely Beach) により、圧搾あっさく空気くうき利用りようしたエアチューブ方式ほうしき地下ちか交通こうつう機関きかん営業えいぎょう開始かいしし、いち乗車じょうしゃ25セント1ねんべ40まんにん利用りようがあった。一方いっぽう時速じそくやく10km/h程度ていど低速ていそくという技術ぎじゅつてき問題もんだいや、建設けんせつコストの割高わりだかめんなど課題かだいおおかった。ビーチはしゅう政府せいふに、路線ろせんきたのセントラル・パークまで延長えんちょうする事業じぎょう申請しんせいおこなった、タマニー協会きょうかいのウイリアム・ツィードの妨害ぼうがい工作こうさくにより否決ひけつされつづけた。1873ねんかれ汚職おしょく失脚しっきゃくすることでようやく認可にんかされたが、同年どうねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくないにおいてクレディ・モビリエしゃ事件じけん発端ほったんとする金融きんゆう恐慌きょうこうブラック・サーズデー)がき、資金しきんなんにより延伸えんしん計画けいかく頓挫とんざし、同年どうねんちゅうにこの画期的かっきてき構想こうそう営業えいぎょう停止ていしした。
現在げんざいてつ軌道きどう方式ほうしきによる最初さいしょ地下鉄ちかてつ1904ねんニューヨーク地下鉄ちかてつ開業かいぎょうして以来いらい[9]ニューヨークではマンハッタンとう中心ちゅうしん路線ろせん形成けいせいそう延長えんちょうは1,000kmをえる。たびたび映画えいが舞台ぶたいとして登場とうじょうする。都市としでも地下鉄ちかてつ建設けんせつすすめられ、現在げんざい20都市とし以上いじょうにあるうちの大半たいはん東部とうぶから中東ちゅうとう地方ちほうボストンフィラデルフィアワシントンD.C.など)に集中しゅうちゅうしている。そのほか、中西部ちゅうせいぶから西部せいぶロサンゼルスサンフランシスコなど)や海外かいがい領土りょうどプエルトリコサンフアン)にも地下鉄ちかてつがある。
とくにサンフランシスコのBART全米ぜんべいもっとすぐれた輸送ゆそうシステムである。また、首都しゅと・ワシントンD.C.のワシントンメトロはアメリカでもっと近代きんだいされた地下鉄ちかてつもう形成けいせいしている。
シカゴのものは路線ろせん大半たいはん高架こうかなどで地上ちじょう存在そんざいし、地下ちか区間くかんわずかだが地下鉄ちかてつ範疇はんちゅうふくまれている。
カナダ
トロント地下鉄ちかてつは1954ねん開業かいぎょう。アルミ車体しゃたい車両しゃりょう実験じっけんてき導入どうにゅうされ、軽量けいりょうによる運行うんこうコスト削減さくげんこころみた。1966ねんにはカナダだい地下鉄ちかてつとして、モントリオール地下鉄ちかてつが1967ねん万国博覧会ばんこくはくらんかいわせて開業かいぎょうした。さらに1985ねんにはバンクーバー・スカイトレインが1986ねん国際こくさい交通こうつう博覧はくらんかいわせて開業かいぎょう一部いちぶ路線ろせん高架こうかとおっているが、都心としんおよ住宅じゅうたくでは地下ちかとおっている。
メキシコ
首都しゅとメキシコシティにある地下鉄ちかてつ1969ねん開通かいつうした。フランスからの技術ぎじゅつ供与きょうよけた、金属きんぞく車輪しゃりんとゴムタイヤを併用へいようした案内あんない軌条きじょうしき鉄道てつどうである。どう地下鉄ちかてつ世界せかいはじめて各駅かくえきにシンボルをもうけたことでられる。また、料金りょうきんぜん区間くかん均一きんいつであることでもられる。グアダラハラモンテレイにも地下鉄ちかてつがある。
ドミニカ共和国どみにかきょうわこく
首都しゅとサントドミンゴではスペイン技術ぎじゅつ協力きょうりょくて、カリブ海かりぶかいで2番目ばんめカリブ海かりぶかいじょう独立どくりつこくとしてははじめて)の地下鉄ちかてつ2009ねん1がつ30にち開業かいぎょうした。

みなみアメリカ

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みなみアメリカはじめて開通かいつうした地下鉄ちかてつ1913ねん12月、アルゼンチン首都しゅとブエノスアイレスである。そのみなみアメリカ大陸あめりかたいりくなか地下鉄ちかてつがあるくにブラジルチリコロンビアベネズエラペルーわせて6かこくである。

ブラジル
2018ねん現在げんざいサンパウロなど主要しゅよう7都市とし地下鉄ちかてつ運行うんこうしている。これらの地下鉄ちかてつすべて1970年代ねんだい以降いこうつくられたものであり、サンパウロはモノレールをふくめると6路線ろせん南米なんべい最大さいだい規模きぼである。その都市としは1 - 3路線ろせん程度ていど保有ほゆうしている。軌間きかんすべ広軌こうき分類ぶんるいされる1,600mmを採用さいようしているもののすべての都市とし共通きょうつうしているてんはこのてんのみであり、技術ぎじゅつめんではそれぞれの都市としおおきくことなっている。
アルゼンチン
首都しゅとブエノスアイレスの地下鉄ちかてつメトロビアスS.A.による運営うんえいで、現在げんざいは6路線ろせん存在そんざいする。各種かくしゅ新造しんぞうしゃのほか、日本にっぽん地下鉄ちかてつ中古ちゅうこ車両しゃりょうもと営団えいだん500かたちもと名古屋なごや交通こうつうきょく250がたなど)が使用しようされている。2015ねん以降いこうしん車両しゃりょう導入どうにゅうえきのリニューアルがすすめられている。

アジア最初さいしょ地下鉄ちかてつはしったのは日本にっぽんである。日本にっぽんでは大都市だいとし人口じんこう密集みっしゅうしており、地下鉄ちかてつ建設けんせつするには都合つごう都市とし構造こうぞうであるため、とく地下鉄ちかてつ路線ろせんさかんにつくられる。アジアの地下鉄ちかてつ20世紀せいき後半こうはん以降いこう飛躍ひやくてき発展はってんしたが、これは交通こうつう渋滞じゅうたい緩和かんわ目的もくてきとした地下鉄ちかてつ建設けんせつ主流しゅりゅうであったためである。だい世界せかい大戦たいせん独立どくりつ経済けいざい成長せいちょうなどによって都市としすすみ、地下鉄ちかてつ需要じゅようたかまった。また、日本にっぽん石油せきゆ産出さんしゅつこくなどをのぞいた場合ばあい政府せいふ開発かいはつ援助えんじょなどによって建設けんせつされた路線ろせん割合わりあいたかいというのも特徴とくちょうのひとつである。

日本にっぽん
 
東京とうきょうメトロ銀座ぎんざせん1000けい
本格ほんかくてき地下鉄ちかてつとしては1927ねん昭和しょうわ2ねん12月30にちに「東京とうきょう地下鉄ちかてつどう」により、現在げんざい銀座ぎんざせん浅草あさくさえき上野うえのえき区間くかん開通かいつうしたのが最初さいしょである。この地下鉄ちかてつ銀座ぎんざせんブエノスアイレス地下鉄ちかてつをモデルとしている。1933ねん昭和しょうわ8ねん5がつ20日はつかにははじめての公営こうえい地下鉄ちかてつとして大阪おおさか市営しえい地下鉄ちかてつ御堂筋みどうすじせん梅田うめだえき心斎橋しんさいばしえき区間くかん開通かいつうした。それら以前いぜんにも、1915ねん大正たいしょう4ねん)には東京とうきょう中央ちゅうおう郵便ゆうびんきょく東京とうきょうえきあいだ地下ちか走行そうこうする郵便ゆうびんぶつ輸送ゆそう専用せんよう地下鉄ちかてつ存在そんざいしていた。
大阪おおさかでは戦時せんじちゅう資材しざい不足ふそくくるしみながらも1942ねん昭和しょうわ17ねん)まで路線ろせん延伸えんしんすすめられた。だい世界せかい大戦たいせん大阪おおさかのほか、1957ねん開業かいぎょう名古屋なごや市営しえい地下鉄ちかてつ東山ひがしやません皮切かわきりに、公営こうえい路面ろめん電車でんしゃはしっていた政令せいれい指定してい都市とし[ちゅう 10]での代替だいたい交通こうつう手段しゅだんとして、公営こうえい地下鉄ちかてつ建設けんせつ拡充かくじゅうすすんだ。背景はいけいには、渋滞じゅうたい深刻しんこくともな路面ろめん電車でんしゃ定時ていじ運行うんこうむずかしくなったことがあるとされる。1980年代ねんだい後半こうはんころ[ちゅう 11]から、建設けんせつ圧縮あっしゅくのためリニアモーターによるミニ地下鉄ちかてつ一部いちぶ建設けんせつされている。
中国ちゅうごく大陸たいりく
 
北京ぺきん地下鉄ちかてつ昌平しょうへいせんSFM13がた
1969ねん北京ぺきん地下鉄ちかてつ開業かいぎょうした。しかし地下鉄ちかてつ整備せいび1978ねん改革かいかく開放かいほう政策せいさくまでじゅうふんにはおこなわれなかった。1980年代ねんだい以降いこう外資がいし導入どうにゅうによる近代きんだい政策せいさくのもと都市としにおいて地下鉄ちかてつ建設けんせつおこなわれた。上海しゃんはいでは1990年代ねんだい以降いこう相次あいつぐオフィスビルの建設けんせつにより地下鉄ちかてつ路線ろせんもう拡充かくじゅう急務きゅうむとなっていた。このため中国ちゅうごく地下鉄ちかてつは、国産こくさん技術ぎじゅつ主体しゅたいとした北京ぺきん地下鉄ちかてつがそのはしりの北方ほっぽうグループと外国がいこく技術ぎじゅつ主体しゅたいとした上海しゃんはい軌道きどう交通こうつうがそのはしりの南方なんぽうグループに大別たいべつされる。2010年代ねんだい以降いこう急速きゅうそくしんせん開通かいつうラッシュにあり、いまとなっては前述ぜんじゅつ北京ぺきん上海しゃんはいのほか、天津てんしん広州こうしゅう長春ちょうしゅん大連たいれん武漢ぶかんふか重慶たーちん南京なんきん瀋陽しんよう成都せいと仏山ほとけやま西安しーあん蘇州そしゅうこんあきら杭州こうしゅうハルビン(哈爾はまていしゅうちょうすなやすしなみすず青島ちんたおみなみあきらふくしゅうひがしふといみなみやすしごうこえいしそう廈門ウルムチ(烏魯木斉うるむちフフホト(よび和浩かずひろとく温州うんしゅうすみみなみあららぎしゅうふとしはら洛陽らくようなどの主要しゅよう都市とし開通かいつうしており、世界せかい屈指くっし地下鉄ちかてつ大国たいこくとなっている。また、これら以外いがいかく都市としでも地下鉄ちかてつ建設けんせつ計画けいかくすすめられている。
香港ほんこん
 
世界せかいはじめて接触せっしょくがた軌道きどうけい交通こうつうカード『オクトパスカード』 (香港ほんこんセントラルえきでの改札かいさつ)
香港ほんこんでは1970年代ねんだいのイギリス統治とうち時代じだいよりMTR運営うんえいされ、1979ねんきゅうりゅう地区ちく開通かいつう皮切かわきりに現在げんざいでも郊外こうがい路線ろせん中心ちゅうしんとしてしんせん継続けいぞくてき建設けんせつされている。1997ねんには世界せかいはじめて接触せっしょくがた軌道きどうけい交通こうつうカード『オクトパスカード』を導入どうにゅうしたほか、1998ねんには香港ほんこん国際こくさい空港くうこうから市街しがいあいだ空港くうこう連絡れんらく鉄道てつどう開通かいつうさせている。また運営うんえい会社かいしゃ香港ほんこん鉄路てつろ有限ゆうげん公司こうし(MTRC)は、イギリス、スウェーデン、アイルランド、オーストラリアや中国ちゅうごく地下鉄ちかてつ建設けんせつへの投資とうし運営うんえい提携ていけいなどもおこなっている。
台湾たいわん
 
台北たいぺいとしうん淡水たんすいせんC381がた
としうん」(えいしょうMRT(Mass Rapid Transit))とばれる都市とし高速こうそく鉄道てつどうもう存在そんざいする(一部いちぶ高架こうかしきしん交通こうつうシステム)。1996ねん木柵もくさくせん開業かいぎょうして以降いこう現在げんざい台北たいぺい地区ちく中心ちゅうしんはし台北たいぺいとしうん(TRTC, Metro Taipei)と桃園ももぞのとしうん(Taoyuan Metro)、高雄たかお地区ちくはし高雄たかおとしうん(KRTC, Kaohsiung Rapid Transit Corp)、たいちゅう地区ちく中心ちゅうしんはしたいちゅうとしうん(TMRT, Taichung Mass Rapid Transit)が開業かいぎょうしている。たい南市みなみいちしん竹市たけいちも、としうん建設けんせつ計画けいかくちゅうである。
韓国かんこく
 
ソウル地下鉄ちかてつ2号線ごうせん2000けい
ソウルで、1974ねんはつ地下鉄ちかてつ路線ろせん開業かいぎょうして以来いらい、およそ30ねんあいだ釜山ぷさん大邱たいきゅう仁川にがわ光州こうしゅう大田おおたといった地方ちほう都市としでも開業かいぎょうした。日本にっぽんからの政府せいふ開発かいはつ援助えんじょ技術ぎじゅつ援助えんじょなどを活用かつようしておおくの路線ろせん整備せいびされている。北朝鮮きたちょうせんとのじゅん戦時せんじ体制たいせいにある韓国かんこくでは、有事ゆうじさい避難ひなんしょとして有効ゆうこう使つかえる地下ちか空間くうかん利用りようさかんで、とく首都しゅとのソウルでは地下街ちかがいともだい規模きぼ路線ろせんもう形成けいせいされている。韓国かんこくでは、ほとんどの地下鉄ちかてつかく地方自治体ちほうじちたい出資しゅっしする公営こうえい企業きぎょうたい運営うんえいしている。ただし、近年きんねんでは民営みんえいはん民営みんえい地下鉄ちかてつえつつある。
北朝鮮きたちょうせん
 
平壌ぴょんやん地下鉄ちかてつ復興ふっこうえき停車ていしゃちゅうのDがた
1973ねん開通かいつう千里せんりうません1978ねん開通かいつう革新かくしんせん路線ろせんがある。ソ連それん技術ぎじゅつ援助えんじょにより建設けんせつされたことから、東欧とうおう地下鉄ちかてつ類似るいじしており、かくシェルターの機能きのうもあるため地下ちか100メートル付近ふきん建設けんせつされている。また社会しゃかい主義しゅぎ建設けんせつ誇示こじする目的もくてきで、えき構内こうない豪華ごうか装飾そうしょくほどこされているほか、駅名えきめい北朝鮮きたちょうせん革命かくめい思想しそうもとづいたものであるなど、政治せいじてきプロパガンダしょくつよいという特色とくしょくがある。
シンガポール
 
シンガポール地下鉄ちかてつR151かたち電車でんしゃ
1987ねんよりMRTシンガポールSMRTにより運営うんえいされており、現在げんざいでもしんせん建設けんせつ路線ろせん延伸えんしんすすめられている。離島りとうのぞくシンガポール全土ぜんどおもにシンガポールとう)を網羅もうらしているほか、シンガポール・チャンギ国際こくさい空港くうこう市街しがいあいだとの空港くうこう連絡れんらく鉄道てつどう役割やくわりっている。
マレーシア
首都しゅとクアラルンプール1996ねん開業かいぎょうしたラピドKL(MRT)は、中心ちゅうしん地下ちか区間くかんとなっている。
タイ
2004ねん首都しゅとバンコクはじめての地下鉄ちかてつバンコク・メトロ(ブルーライン)が開通かいつうした。この建設けんせつは、そのほとんどを日本にっぽんからのえん借款しゃっかんによりまかなった。2016ねん8がつ6にちにはしん路線ろせんであるパープルラインが開業かいぎょうしたが、この路線ろせんぜん区間くかん高架こうかである。なお、パープルラインの車両しゃりょうすべ日本にっぽん総合そうごう車両しゃりょう製作所せいさくしょ製造せいぞうされた[10]
インド
1984ねんコルカタでインドはつ地下鉄ちかてつ開業かいぎょうした。その2002ねんにはデリーでもデリーメトロ建設けんせつされた。前述ぜんじゅつとお日本にっぽんなどの先進せんしんこくから技術ぎじゅつなどの開発かいはつ援助えんじょおこなわれたのが特徴とくちょうである。デリーメトロはインド最大さいだい都市とし鉄道てつどうもうとなっている。2010年代ねんだい以降いこう急速きゅうそく主要しゅよう都市としでも整備せいびすすみ、2022ねん4がつ現在げんざいアフマダーバードベンガルールチェンナイグルグラムハイデラバードジャイプルカンプールコーチラクナウムンバイナーグプルノイーダプネー地下鉄ちかてつ開業かいぎょうしている。
インドネシア
2019ねん3がつジャカルタ開業かいぎょうした。なおぜん区間くかん高架こうかである。
イラン
1999ねんテヘラン運行うんこう開始かいしされたテヘラン・メトロは、7路線ろせん鉄道てつどうもうとなっている。2010年代ねんだいはい主要しゅよう都市とし建設けんせつすすみ、マシュハドシーラーズイスファハーンタブリーズ運行うんこう開始かいししている。
ベトナム
2021ねんハノイ開通かいつうし、ホーチミンでも2020ねん運行うんこう開始かいしけて建設けんせつすすめられている。これらの建設けんせつには日本にっぽんからの開発かいはつ援助えんじょおこなわれている。

アフリカだい世界せかい大戦たいせん1960ねんごろまでおおくが欧州おうしゅう先進せんしんこく植民しょくみんであったが、そのあいだ地下鉄ちかてつ建設けんせつされなかった。

2010ねんまでは、地下鉄ちかてつ存在そんざいする都市としエジプト首都しゅとであるカイロのみであった(カイロ地下鉄ちかてつ参照さんしょうのこと)。エジプトでは痴漢ちかん対策たいさくおよび宗教しゅうきょうじょう観点かんてんから女性じょせい専用せんよう車両しゃりょう導入どうにゅうされている。

アルジェリア首都しゅとであるアルジェでは、2011ねん11月1にちより、アルジェ地下鉄ちかてつ営業えいぎょう運転うんてん開始かいしされている[11]

ナイジェリアラゴスでは、2018ねん開業かいぎょう目指めざ建設けんせつちゅうである。また、エチオピア首都しゅとアディスアベバでは、地下鉄ちかてつ建設けんせつ計画けいかく段階だんかいである。

2019ねん5がつシドニーオセアニアはつ地下鉄ちかてつ開通かいつうした。このほかにシドニーには「シティサークル」、メルボルンには「シティーループ」とばれる地下ちか環状かんじょうせんがあるが、距離きょりみじかいため「地下鉄ちかてつ」とは認識にんしきされていない。これらはターミナルえき電車でんしゃかえ運転うんてんらすために建設けんせつされたものである。

特殊とくしゅ地下鉄ちかてつ

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ ただし地上ちじょう鉄道てつどう路線ろせん直通ちょくつう運転うんてんおこなっている場合ばあい直通ちょくつうさき天候てんこう影響えいきょうけている場合ばあいは、当該とうがい地下鉄ちかてつ路線ろせん影響えいきょうげん便びん途中とちゅうえきかえしなど)をける場合ばあいがある。
  2. ^ 私有地しゆうち地下ちかとおすと地代じだいはらわなければならなくなる。また大阪おおさか都市とし計画けいかく道路どうろ一体いったいにして地下鉄ちかてつ建設けんせつした経緯けいいがあり、当然とうぜんながら道路どうろ上下じょうげにしか地下鉄ちかてつ建設けんせつできなかった。
  3. ^ きゅうカーブの回避かいひできない建設けんせつルートを選択せんたくせざるをない場合ばあい狭隘きょうあい箇所かしょ通過つうかする場合ばあいも、建築けんちく限界げんかい最小さいしょう曲線きょくせん半径はんけい制限せいげん小型こがた車両しゃりょうになる。
  4. ^ 東京とうきょうメトロ銀座ぎんざせん渋谷しぶやえき周辺しゅうへんのように建設けんせつ当時とうじにおける地下鉄ちかてつ車両しゃりょう登坂とさか能力のうりょくじょう要請ようせいから地下ちかとおさず高架こうか区間くかんにしたれい浸水しんすい被害ひがい可能かのうせい地盤じばん不同ふどう沈下ちんかへの対策たいさくのためあえて高架こうかにしたOsaka Metro中央ちゅうおうせんれいもある。
  5. ^ 事実じじつじょう地下鉄ちかてつ同一どういつ機能きのうたしている都市とし地下ちか路線ろせんでは、交流こうりゅう電化でんかれいがある。ドイツのミュンヘンフランクフルトシュトゥットガルトSバーン(15,000V 16 2/3Hzへるつ)、韓国かんこくソウル周辺しゅうへん韓国かんこく鉄道てつどう公社こうしゃ首都しゅとけん電鉄でんてつ果川はてかわせんぼんとうせん(25,000V 60Hzへるつ)がこれに該当がいとうする
  6. ^ てつ体内たいないまれても問題もんだいく、吸収きゅうしゅうできないぶん体外たいがい排出はいしゅつされるが、合成ごうせいゴム粉塵ふんじんおよぼす影響えいきょうかんしては解明かいめいされていないところおおい。
  7. ^ 日本にっぽんの「だいさんセクター」はくに地方ちほう公共こうきょう団体だんたい民間みんかん合同ごうどう出資しゅっし経営けいえいする企業きぎょうをさすが、英語えいごのThird Sectorは民間みんかんによる営利えいり団体だんたい慈善じぜん団体だんたい意味いみするのが一般いっぱんてきとなっている。地下鉄ちかてつ運営うんえいにあたっているのは日本語にほんごてき意味合いみあいの「だいさんセクター」である。
  8. ^ 三角州さんかくす土地とちだい部分ぶぶんめる広島ひろしま地下鉄ちかてつ開通かいつうしていないのはそのため(ただしアストラムライン例外れいがい)。
  9. ^ カナダのカルガリー、エドモントン、アメリカのサンディエゴとう該当がいとうし、フランクフルトと同型どうけい車両しゃりょう使用しようした。
  10. ^ 名古屋なごや東京とうきょう札幌さっぽろ横浜よこはま神戸こうべ京都きょうと仙台せんだいなど。政令せいれい指定してい都市としでは福岡ふくおかにも市内しない路面ろめん電車でんしゃがあったが公営こうえいではなく、西鉄にしてつ福岡ふくおか市内しないせんであった。
  11. ^ 開業かいぎょうは1990年代ねんだい以降いこう

出典しゅってん

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  1. ^ 大宮おおみや 高史たかし (2019ねん3がつ2にち). “地下鉄ちかてつ定義ていぎは「なんとなく」? 関西大かんさいだい広島ひろしま地下鉄ちかてつない」出題しゅつだいミス、しん問題もんだいてん”. Jタウンネット. 2021ねん10がつ30にち閲覧えつらん
  2. ^ 地下鉄ちかてつ”. 鉄道てつどう用語ようご事典じてん. 日本にっぽん民営みんえい鉄道てつどう協会きょうかい. 2021ねん10がつ30にち閲覧えつらん
  3. ^ あたまうえにミサイルんでくるから」ウクライナ地下鉄ちかてつ避難ひなん生活せいかつ 親子おやこの“がた現実げんじつ”(にっテレNEWS)”. Yahoo!ニュース. 2022ねん12月19にち閲覧えつらん
  4. ^ ロンドン地下鉄ちかてつ開業かいぎょう150ねん蒸気じょうき機関きかんしゃ復活ふっかつ”. AFPBB News (2013ねん1がつ14にち). 2020ねん11月25にち閲覧えつらん
  5. ^ いしすだれマサ (2017ねん7がつ22にち). “札幌さっぽろ地下鉄ちかてつはなぜタイヤなの?どんなタイヤなの?疑問ぎもん徹底てってい解明かいめい”. 北海道ほっかいどうファンマガジン. 2019ねん6がつ10日とおか閲覧えつらん
  6. ^ べいハリケーン死者ししゃ33にん 証取しょうとり停止ていし NY、都市とし機能きのうまひ Archived 2012ねん11月1にち, at the Wayback Machine.東京とうきょう新聞しんぶん2012ねん10がつ31にち朝刊ちょうかん
  7. ^ Helsinki Metro – Discover Helsinki英語えいごで)
  8. ^ Today in Transportation History – 1982: The Northernmost Public Transportation System英語えいごで)
  9. ^ “【20世紀せいきのきょう】べいニューヨークで地下鉄ちかてつ開業かいぎょう(1904・10・27)”. MSN産経さんけいニュース. (2007ねん10がつ27にち). オリジナルの2007ねん11月9にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20071109172421/http://sankei.jp.msn.com/life/lifestyle/071027/sty0710270903002-n1.htm 2022ねん8がつ22にち閲覧えつらん 
  10. ^ 日本にっぽんせい車両しゃりょうがタイに到着とうちゃく、バンコク都市とし鉄道てつどうけ”. newsclip.be. (2015ねん9がつ22にち). http://www.newsclip.be/article/2015/09/22/26950.html 2015ねん9がつ27にち閲覧えつらん 
  11. ^ アルジェでアフリカ2番目ばんめ地下鉄ちかてつ開通かいつう (アルジェリア) - JETRO 通商つうしょう弘報こうほう
  12. ^ [1][リンク]
  13. ^ http://metro-novyafon.narod.ru/

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 社団しゃだん法人ほうじん日本にっぽん地下鉄ちかてつ協会きょうかいへん最新さいしん 世界せかい地下鉄ちかてつ』ぎょうせい、2005ねん5がつISBN 4-324-07471-2
  • 社団しゃだん法人ほうじん日本にっぽん地下鉄ちかてつ協会きょうかいへん世界せかい地下鉄ちかてつ 115都市とし最新さいしん情報じょうほう山海さんかいどう、2000ねん6がつISBN 4-381-01422-7
  • 中村なかむら建治けんじ『メトロ誕生たんじょう地下鉄ちかてつひらいた早川はやかわ徳次とくじ五島ごしま慶太けいた攻防こうぼう交通こうつう新聞しんぶんしゃ、2007ねん7がつISBN 978-4-330-93607-9
  • 谷川たにがわ一巳かずみちょ地下鉄ちかてつのフシギ!?』山海さんかいどう、1999ねん6がつISBN 4-381-10335-1

関連かんれん項目こうもく

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