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雨 - Wikipedia

あめ

大気たいきからみずしずく落下らっかする現象げんしょう

あめ(あめ、英語えいご: rain)とは、大気たいきからみずしずく落下らっかする現象げんしょうで、降水こうすい現象げんしょうおよび天気てんき一種いっしゅ[1][2]。また、落下らっかする水滴すいてきそのもの(雨粒あまつぶ)をすこともある[3]大気たいきふくまれる水蒸気すいじょうきみなもとであり、冷却れいきゃくされて凝結ぎょうけつした微小びしょう水滴すいてきくも形成けいせいくもなか水滴すいてき成長せいちょうし、やがて重力じゅうりょくにより落下らっかしてくるもの。ただし、成長せいちょう過程かてい一旦いったん凝固ぎょうここおりあきらふたた融解ゆうかいするものもある[4]地球ちきゅうじょうみず循環じゅんかん構成こうせいする最大さいだい淡水たんすい供給きょうきゅうげんで、生態せいたいけい多岐たきにわたり関与かんよするほか農業のうぎょう水力すいりょく発電はつでんなどをとおして人類じんるい生活せいかつにも関与かんよしている[3][5]

降雨こうう
くるままどガラスにいた雨粒あまつぶ

あめ形成けいせい 編集へんしゅう

 
みず循環じゅんかん
 
アスファルトじょうすいもんつくあめ
 
移動いどうする雨雲あまぐもあめすじ

水蒸気すいじょうきからくも 編集へんしゅう

地球ちきゅう大気たいき空気くうき)は、場所ばしょによりりょうことなるが、水蒸気すいじょうきふくんでいる。この水蒸気すいじょうきは、うみみずうみ表面ひょうめんからの蒸発じょうはつ植物しょくぶつからの蒸散じょうさんなどをとおして供給きょうきゅうされるものである[6]

空気くうきちゅう水蒸気すいじょうきりょうあらわ身近みぢか指標しひょうとして相対そうたい湿度しつどがあり、通常つうじょうたん湿度しつどぶ。相対そうたい湿度しつどとは、空気くうきがある温度おんど気温きおん)であるときにふくむことができる水蒸気すいじょうき最大さいだいりょう飽和ほうわ水蒸気すいじょうきりょう)を100%とし、実際じっさいふくまれているりょう最大さいだいりょうたいする割合わりあいあらわしたものである。たとえば、気温きおん25相対そうたい湿度しつど50%の空気くうきには、1m3(=1000リットル)あたり11.4g水蒸気すいじょうきふくまれる[7]

空気くうき相対そうたい湿度しつどして100%にたっすることを飽和ほうわという。空気くうきは、なんらかの要因よういんによってやされることで飽和ほうわする。飽和ほうわした空気くうきでは、水蒸気すいじょうき凝結ぎょうけつして微小びしょう水滴すいてき形成けいせいする。これがくもである[6]

さきれいげた、25℃・相対そうたい湿度しつど50%の空気くうき1m3かんがえる。この空気くうきには11.4gの水蒸気すいじょうきふくまれる。これを10℃まで冷却れいきゃくすると、10℃の飽和ほうわ水蒸気すいじょうきりょうは9.3g/m3なので、11.4 - 9.3 = 2.1gぶん凝結ぎょうけつ水滴すいてきとなることがかる[7]

空気くうき冷却れいきゃくして飽和ほうわさせるプロセスは、おも断熱だんねつ膨張ぼうちょうによる冷却れいきゃくである。断熱だんねつ膨張ぼうちょうとは、上空じょうくうへいくほど気圧きあつひくいため、空気くうきげられて気圧きあつがると膨張ぼうちょうし、同時どうじ冷却れいきゃくされることをう。大気たいき対流たいりゅう気団きだん同士どうし衝突しょうとつ前線ぜんせん)などの大気たいきだい規模きぼ運動うんどう、また気流きりゅうやまにぶつかったりするような物理ぶつりてき障害しょうがいによってこる。このほかには、たとえばあたたかい空気くうきつめたい海面かいめんれたり、空気くうきねつ放射ほうしゃとして宇宙うちゅうかって赤外線せきがいせん放射ほうしゃしたり(ふゆれた夜間やかんこる放射ほうしゃ冷却れいきゃくとしてよくられている)、降雨こうう雨粒あまつぶ蒸発じょうはつさい潜熱せんねつうばまわりの空気くうきやしたりするプロセスがある[8]

凝結ぎょうけつあたたかいあめ 編集へんしゅう

空気くうきちゅうでの水滴すいてき凝結ぎょうけつ実際じっさいには、凝結ぎょうけつかくかいしておこなわれる。たまかたちをする水滴すいてきには表面張力ひょうめんちょうりょくはたらくが、水滴すいてきちいさいほど表面張力ひょうめんちょうりょくつよかく生成せいせい安定あんていしない。ある実験じっけんによれば、ほこりのない非常ひじょう清浄せいじょう空気くうきちゅうでは、0℃のとき相対そうたい湿度しつどが100%を超過ちょうか過飽和かほうわ)してさらに430%までたっしなければ、水滴すいてき自発じはつてき形成けいせいされない。たいして、通常つうじょう大気たいきのように凝結ぎょうけつかくがある空気くうきちゅうでは、エアロゾルはたらきにより凝結ぎょうけつたすけられるため、相対そうたい湿度しつどおおむね101%を上回うわまわることがない。くも凝結ぎょうけつかくとしてはたらおもなエアロゾルには、燃焼ねんしょうガスや火山かざんガスに由来ゆらいする0.1-1µm硫酸りゅうさんしお粒子りゅうしうみのしぶきに由来ゆらいするすうµmのうみしお粒子りゅうしや、土壌どじょう由来ゆらい粒子りゅうし有機ゆうきエアロゾルなどがある[9][10][11]

くもができたてのとき水滴すいてきくもつぶ)のおおきさは、半径はんけい1 - 20µm (0.001 - 0.02mm)程度ていどである。これにたいし、雨粒あまつぶ平均へいきんてきおおきさは半径はんけい1,000µm(1mm)である。なお、くもなかには1m3あたり1000まん - すうひゃくおくくもつぶ存在そんざいする。半径はんけい1 - 10µm程度ていど初期しょき段階だんかいでは、くもつぶ表面ひょうめんにさらに水蒸気すいじょうき凝結ぎょうけつしていくことにより通常つうじょうでもすうふんほどで10µm程度ていどおおきさに成長せいちょうする(凝結ぎょうけつ過程かてい)。しかし、凝結ぎょうけつによる成長せいちょうつぶみちおおきくなるほどおそくなる。くもつぶ平均へいきん半径はんけい10µmだとして、半径はんけい100ばいの1,000µmに成長せいちょうするためには、体積たいせきにして100まんばい、これをくもなか平均へいきんてき水蒸気すいじょうきりょうした凝結ぎょうけつだけでおこなうとやく2週間しゅうかんかかると試算しさんされ、現実げんじつとはかけはなれている。実際じっさいには、10 - 30µm程度ていどたっすると水滴すいてき同士どうし衝突しょうとつにより成長せいちょうする(併合へいごう過程かてい)。衝突しょうとつ併合へいごうによる成長せいちょうつぶみちおおきいほどはやいため、この段階だんかいでは加速かそくてき成長せいちょうすすむ。なお、海洋かいよう積雲せきうんでは、吸湿きゅうしつせいうみしお粒子りゅうし豊富ほうふことからおおきな粒子りゅうしがすぐに生成せいせいされ、くもができはじめてから20 - 30ふん程度ていどあめすこともめずらしくない[12][13][14]

上記じょうきのように、一貫いっかんして液体えきたいのままあめとしてるプロセスを「あたたかいあめ」という。これにたいし、途中とちゅう凍結とうけつしてこおりあきらになり、ふたた融解ゆうかいしてるプロセスを「つめたいあめ」という。日本にっぽんあめは、およそ8わりが「つめたいあめ」のプロセスによるものだとわれている[15]

こおりあきらつめたいあめ 編集へんしゅう

気温きおんが0℃を下回したまわつめたい空気くうき環境かんきょうこる。単体たんたいごおりあきら形成けいせいとしては、水蒸気すいじょうき凝結ぎょうけつかくかいして凝結ぎょうけつした水滴すいてきがさらにこおりあきらかくはたらきにより凍結とうけつごおりあきらとなるパターンと、水蒸気すいじょうきこおりあきらかくかいして昇華しょうか直接ちょくせつごおりあきら形成けいせいするパターン、さらに、こおりあきら同士どうし衝突しょうとつなどでしょうじるごおりあきらがある[16]

空気くうきちゅうでは、気温きおんが0℃をすこ下回したまわったくらいでは水滴すいてき凍結とうけつはじまらないことがおおい。0℃以下いかこおらない状態じょうたい冷却れいきゃくう。凍結とうけつかくは、水滴すいてき衝突しょうとつすることによる衝撃しょうげきや、水滴すいてきすことによる化学かがくてき効果こうかなどをとおして、おおむね-30℃以上いじょう環境かんきょう凍結とうけつうながす。-30℃以下いか環境かんきょうでは、昇華しょうかによるこおりあきら形成けいせいこる。また、-40℃以下いか環境かんきょうでは、凍結とうけつかくがない場合ばあいでもじゅんすい均質きんしつかく生成せいせいにより水滴すいてき凍結とうけつする[16]

くもなか一部いちぶ水滴すいてきこおってこおりあきらになりはじめると、周囲しゅうい存在そんざいする冷却れいきゃく水滴すいてき蒸発じょうはつしてこおりあきら表面ひょうめん昇華しょうかするため、急速きゅうそく成長せいちょうする。たとえば直径ちょっけい10µmのこおりあきらは、おなおおきさの水滴すいてきくらべて10ばい速度そくど成長せいちょうする。こおりあきら成長せいちょう過程かてい分化ぶんかし、結晶けっしょうあつまった雪片せっぺんになるものと、おも積乱雲せきらんうんなかしょうじるがまるみをびたこおりつぶ)になるものにかれる[16][17]

雪片せっぺんや霰が落下らっかする途中とちゅうで、0℃よりたか空気くうきそうたっするとはじめ、完全かんぜんけると液体えきたい雨粒あまつぶとなる。けきれない場合ばあいゆきとなる。ゆき落下らっか途中とちゅう昇華しょうか気化きか)しながら昇華しょうかねつ放出ほうしゅつするため、2 - 3℃程度ていどではゆき形状けいじょうたもったままることがある。ゆきになるかあめになるか、あるいはゆきあめ混合こんごうするになるかは、気温きおん相対そうたい湿度しつどによりまる[16][17]ゆき#ゆき・霙・あめ境目さかいめゆき目安めやす参照さんしょう)。

またごくまれに、つめたいあめ成立せいりつする環境かんきょう上空じょうくうに0℃以上いじょう逆転ぎゃくてんそう存在そんざいするとき落下らっかちゅう液体えきたい冷却れいきゃく)であるものの着地ちゃくち凍結とうけつしてこおりそう雨氷うひょう)を形成けいせいする、ちゃくごおりせいきりというものも存在そんざいする[2]

くもからあめ 編集へんしゅう

 
寒冷前線かんれいぜんせんひだり)と温暖おんだん前線ぜんせんみぎ)によるあめしき

なお、くも段階だんかい水滴すいてきちてこないのは、落下らっか速度そくどおそいからである。半径はんけい1 - 10µmのオーダーの水滴すいてき終端しゅうたん速度そくどは1cm/sにたないが、くもなかではこれをゆう上回うわまわ速度そくど上昇じょうしょう気流きりゅう普通ふつう存在そんざいするため、かんでいるようにえる。一方いっぽう水滴すいてき半径はんけい1mm(直径ちょっけい2mm)のときの終端しゅうたん速度そくどは7m/sにたっし、上昇じょうしょう気流きりゅうって落下らっかする。みじか場合ばあいとく海洋かいようじょう発生はっせいする積雲せきうん場合ばあいくもができはじめてから最短さいたん15 - 20ふん程度ていどあめ場合ばあいがある。また熱帯ねったい地方ちほうの「あたたかいあめ」の場合ばあいも、30ふん - 1あいだ程度ていどあめす。ただ、これらよりなが滞留たいりゅうしてあめすくなくない[18][19]

おもあめらせるくもは、じゅうしゅ雲形くもがたにおいて層雲そううん乱層雲らんそううん積乱雲せきらんうん分類ぶんるいされるくもである。層雲そううん地上ちじょうちかいところにでき、よわ変化へんかすくないあめらせることがおおい。乱層雲らんそううん灰色はいいろていふうにより変化へんか形状けいじょうをするくもで、あめらせる代表だいひょうてきくもである。積乱雲せきらんうん上空じょうくうたかくもくもくとがるくもで、乱層雲らんそううんよりもはげしく変化へんかおおきいあめらせ、しばしばかみなりや雹をともな[20]

雨雲あまぐも下端かたんくもそこ)のたかさはじつにさまざまだが平均へいきんてきにはやく500m - 2,000m程度ていどで、おおくの雨粒あまつぶはこの距離きょり落下らっかしてくる。周囲しゅうい空気くうき乾燥かんそうしていると、あめ落下らっかする途中とちゅう蒸発じょうはつしてしまう。このときには、くもしたすじじょうあめあとることができ、これを降水こうすいじょうりゅうくも[21]

あめかた 編集へんしゅう

降水こうすいがた 編集へんしゅう

あめは、くもしょうじさせる要因よういんによりいくつかの降水こうすいがた分類ぶんるいできる[5]

  • 対流たいりゅうせい降雨こうう - 不安定ふあんてい成層せいそうをした大気たいきにおいてしょうじる対流たいりゅうせいくもからあめ[5]
  • 地形ちけいせい降雨こうう - やまのような地形ちけい起伏きふくにより気流きりゅう強制きょうせいてき上昇じょうしょうさせられてしょうじるくもからあめ[5]
  • 前線ぜんせんせい降雨こうう - 温暖おんだん前線ぜんせん寒冷前線かんれいぜんせん前線ぜんせんめん気流きりゅう上昇じょうしょうしてしょうじるくもからあめ温暖おんだん前線ぜんせんひろ地域ちいきにしとしととり、寒冷前線かんれいぜんせん局地きょくちてきつよる、という傾向けいこうがある[3]
  • てい気圧きあつせい降雨こうう収束しゅうそくせい降雨こうう) - 台風たいふうてい気圧きあつのもとで下層かそう空気くうきあつまり収束しゅうそくしてしょうじるくもからあめ[5][3]

世界せかい気候きこうあめ 編集へんしゅう

 
大気たいき循環じゅんかんしき降水こうすいりょうのピークは熱帯ねったい収束しゅうそくたい高緯度こういど低圧ていあつたい亜寒帯あかんたい低圧ていあつたい)にある。

世界せかいでは地域ちいきによって、あめかたまったくとっていいほどことなる。極端きょくたんれいでは、1分間ふんかんに30mmあるいは1にちに1,500mmもの豪雨ごうう地域ちいきがある一方いっぽう、1ねんに1mmもあめらない地域ちいき存在そんざいする[3][22]。おおまかな傾向けいこうとして、高緯度こういど地域ちいきよりもてい緯度いど緯度いどほうあめおおく、また大陸たいりくでは内陸ないりくよりも沿岸えんがんほうあめおおく、気温きおんたかさやみず供給きょうきゅうげんからのちかさが影響えいきょうあたえている[23]。しかし、緯度いど雨量うりょう単純たんじゅん対応たいおうしているわけではない。地球ちきゅう南北なんぼくると雨量うりょうおお地域ちいきは2つあり、1つは暖気だんき上昇じょうしょうつづける赤道あかみち付近ふきん熱帯ねったい、もう1つは寒気さむけ暖気だんきがせめぎなか緯度いど温帯おんたい亜寒帯あかんたいである[24]

世界せかい年間ねんかん降水こうすいりょうゆきふくむ)を平均へいきんすると、陸上りくじょうではやく850mm、海洋かいようではやく1250mm、地表ちひょう平均へいきんではやく1100mmと推定すいていされている。ふる資料しりょうでは世界せかい平均へいきんで800mm程度ていどとされていることがあるが、あたらしい調査ちょうさ海洋かいようのデータが判明はんめいしたことで上方かみがた修正しゅうせいされている[25][3]

熱帯ねったい雨林うりん気候きこうていする赤道せきどう付近ふきんでは、貿易ぼうえきふう収束しゅうそくする熱帯ねったい収束しゅうそくたい積乱雲せきらんうん発達はったつしやすく、対流たいりゅうせいつよあめ毎日まいにちのようにる。温帯おんたい湿潤しつじゅん気候きこう亜寒帯あかんたい湿潤しつじゅん気候きこうていするなか緯度いどでは、亜寒帯あかんたい低圧ていあつたい沿前線ぜんせんてい気圧きあつ活動かつどう活発かっぱつであり、層状そうじょうせいくもからひろあめゆき一方いっぽう寒暖かんだんおおきいため対流たいりゅうせいあめる。とく亜熱帯あねったい温帯おんたい地域ちいきでは、1あいだ雨量うりょう最大さいだい熱帯ねったいとほぼわらない[24]

一方いっぽう熱帯ねったい温帯おんたいはさまれた乾燥かんそうたい地域ちいき亜熱帯あねったいだかあつたいおおわれ気流きりゅう発散はっさんし、くもができにくいためあめすくない。ただし、この緯度いどにあってもアジア・アフリカ・北米ほくべい南米なんべい大陸たいりく東岸とうがんでは海洋かいようせい高気圧こうきあつからのみなみり(北半球きたはんきゅう場合ばあい南半球みなみはんきゅうではきたり)のあたりえんりゅう暖流だんりゅう影響えいきょう湿潤しつじゅんとなり、年間ねんかんとおしてあめおお温暖おんだん湿潤しつじゅん気候きこうとなる[24]

これらの気圧きあつたいぶし変化へんかともな南北なんぼく移動いどうする。これにより、ぶしにより雨量うりょういちじるしく変化へんかする地域ちいきがある。乾燥かんそうたいりの熱帯ねったい位置いちするサバナ気候きこう熱帯ねったいモンスーン気候きこう地域ちいきでは、雨季うき乾季かんき明瞭めいりょうあらわれ、年間ねんかん雨量うりょうの9わり雨季うき集中しゅうちゅうする。一方いっぽう、ヨーロッパの地中海ちちゅうかい沿いはなつこうあつたいふゆ低圧ていあつたいはいるためふゆあめおおなつ乾燥かんそうする地中海ちちゅうかいせい気候きこうとなる[24]

災害さいがい 編集へんしゅう

雨量うりょうぶしとしにより変動へんどうし、すくぎてもおおぎても災害さいがいとなりうる。大雨おおあめ集中しゅうちゅう豪雨ごうう)や長期間ちょうきかんあめによる災害さいがいには、家屋かおく流失りゅうしつ田畑たはた冠水かんすいをもたらす洪水こうずいすべりがけくずなどがある。少雨しょううによる災害さいがいには、水不足みずぶそく旱魃かんばつなどがある[3]

あめつよ 編集へんしゅう

あめつよさは一定いってい時間じかんあめりょう雨量うりょう、うりょう)であらわし、そのふかさをミリメートル(mm)で表現ひょうげんする。通常つうじょうもちいるのは1あいだ雨量うりょう時間じかん雨量うりょう)だが、短時間たんじかん降雨こううつよさをあらわすために10分間ふんかん雨量うりょうなどをもちいることもある。なお、ゆきや霰などのあめ以外いがいによる降水こうすいふくめた場合ばあい降水こうすいりょう[5]

日本にっぽんでは、気象庁きしょうちょう予報よほう防災ぼうさい情報じょうほうつぎのようなあめつよさの表現ひょうげんもちいる[26][27][ちゅう 1]。また、「大雨おおあめ」は災害さいがいおそれのあるようなあめしてもちいる[27]

分類ぶんるい 1あいだ雨量うりょう イメージ 周囲しゅうい様子ようす影響えいきょう
小雨こさめ 数時間すうじかんつづいても1mm未満みまん
よわあめ 3mm未満みまん
ややつよあめ 10mm以上いじょう 20mm未満みまん ザーザーとる。 あめおとはなごえくききとれない。地面じめんいちめんみずたまりができる。
つよあめ 20mm以上いじょう 30mm未満みまん 土砂降どしゃぶり。 かさをさしていてもれる。くるまワイパーはやくしてもまえづらい。側溝そっこう下水道げすいどうちいさなかわがあふれ、小規模しょうきぼのがけくずれがはじまる。
はげしいあめ 30mm以上いじょう 50mm未満みまん バケツをひっくりかえしたようにる。 道路どうろかわのようになる。くるまのスピードがはやいとブレーキかなくなる(ハイドロプレーニング現象げんしょう)。山崩やまくずれ・崖崩がけくずれがきやすくなり、危険きけん場所ばしょでは避難ひなん準備じゅんび必要ひつよう都市としでは下水げすいかんから雨水あまみずがあふれる。
非常ひじょうはげしいあめ 50mm以上いじょう 80mm未満みまん たきのようにる。ゴーゴーとつづ かさまったやくにたなくなる。みずしぶきであたりいちめんしろっぽくなり、視界しかいわるくなる。くるま運転うんてん危険きけんとされる。おおくの災害さいがい発生はっせいする。都市としでは地下ちかしつ地下街ちかがい雨水あまみずなが場合ばあいがある。マンホールからみず噴出ふんしゅつする。土石流どせきりゅうこりやすい。
猛烈もうれつあめ 80mm以上いじょう 息苦いきぐるしくなるような圧迫あっぱくかんがある。恐怖きょうふかんじる。 あめによるだい規模きぼ災害さいがい発生はっせいするおそれがつよく、厳重げんじゅう警戒けいかい必要ひつよう

あめ性質せいしつ 編集へんしゅう

 
にじ
 
雨粒あまつぶ形状けいじょう

雨粒あまつぶ 編集へんしゅう

落下らっかするあめ水滴すいてき雨粒あまつぶ(あまつぶ)といい、雨滴うてき(うてき)ともいう。雨水あまみずのきなどからちるのは雨垂あまだ(あまだれ)、あまだれがちてあたるところをあめたれ(あまだれおち)という。なお、あめによるものではないが、濃霧のうむとき森林しんりんなかきり微小びしょう水滴すいてき枝葉えだはにつき、大粒おおつぶ水滴すいてきとなってあめのようにちる現象げんしょう(きさめ、きあめ)という。

雨粒あまつぶ温度おんどは、おおむ気温きおんよりつめたい傾向けいこうにあるが、落下らっかしてくる大気たいき気温きおん湿度しつど左右さゆうされる。地表ちひょうにおいては、おおよそ湿しめたま温度おんどちか温度おんどになるとかんがえられている[29]

雨粒あまつぶ太陽光たいようこう反射はんしゃ分光ぶんこうし、にじつくることがある。

雨粒あまつぶおおきさと形状けいじょう 編集へんしゅう

雨粒あまつぶおおきさは、通常つうじょう直径ちょっけい1mm前後ぜんこうで、おおむ直径ちょっけい0.2 - 6mmの範囲はんいないにある。ちいさなものほど落下らっか速度そくどちいさく、とく直径ちょっけい0.5mm未満みまん雨粒あまつぶ一様いちよう状態じょうたいあめ霧雨きりさめ(きりさめ)といい、ほとんど浮遊ふゆうしているようにえるとされる。一方いっぽう直径ちょっけい6mmをえるようなおおきな雨粒あまつぶ分裂ぶんれつしやすく観測かんそくされにくい[30][31]

あめってくるとき、雨粒あまつぶ密度みつどは、1m3あたり10 - 1,000程度ていどである[32][33]雨粒あまつぶおおきさと密度みつど関係かんけいは、「マーシャル・パルマーのつぶみち分布ぶんぷ」としてあらわせる(マーシャルおよびパルマー、1947ねん)。実際じっさいにはすべての場合ばあい適用てきようできるわけではないが、おおきなつぶほど密度みつどひくい、おおよそ指数しすう関数かんすうてき分布ぶんぷになっている[34]

雨粒あまつぶ落下らっか速度そくどは、雨粒あまつぶおおきさにほぼ比例ひれいする。相当そうとう半径はんけい[ちゅう 2]0.1mm(直径ちょっけい0.2mm)では終端しゅうたん速度そくど70cm/s、0.5mm(直径ちょっけい1mm)では4m/s、1mm(直径ちょっけい2mm)では6.5m/sである。2mm(直径ちょっけい4mm)では9m/sにたっするがこれよりおおきくなっても速度そくどはほとんどわらず、やく9m/sが最大さいだいである[30]

雨粒あまつぶ空気くうきちゅう落下らっかするとき、雨粒あまつぶ半径はんけい1mm(直径ちょっけい2mm)よりちいさい場合ばあいは、表面張力ひょうめんちょうりょくのためにほぼ球形きゅうけいをしている。これよりおおきくなると、表面張力ひょうめんちょうりょくちいさくなるわりに空気くうき抵抗ていこうし、雨粒あまつぶ底面ていめんたいらなまんじゅうのような形状けいじょうとなるうえ、落下らっか振動しんどうはじめて不安定ふあんていとなり、分裂ぶんれつしやすくなる。おおきくなるほどこわれやすいため、実際じっさい地上ちじょう観測かんそくされている雨粒あまつぶは、最大さいだいでも直径ちょっけい8mm程度ていどまでである[18][30]

あめがしばしばなみだしずくがたえがかれているのは、さきからちるときや、まどガラスつた水滴すいてきなみだがたをしているためである。1951ねん北海道大学ほっかいどうだいがくまご長治ながはる博士はかせ空中くうちゅう落下らっかする雨粒あまつぶ写真しゃしん撮影さつえい成功せいこうし、「まんじゅうがた」を世界せかいはじめて確認かくにんした。

雨水あまみず化学かがく成分せいぶん 編集へんしゅう

雨水あまみずだい部分ぶぶんみずであるが、微量びりょう不純物ふじゅんぶつふくんでいる。不純物ふじゅんぶつりょうは、雨水あまみず1リットルちゅうすうmg - すうじゅうmgのオーダーである。不純物ふじゅんぶつ濃度のうどは、あめはじめに傾向けいこうがあり、つづくにしたがい、また雨量うりょうえるにしたがうすくなっていく。また、ぶし場所ばしょによりおおきく変動へんどうし、工業こうぎょう地帯ちたいでは濃度のうどたか[3]

不純物ふじゅんぶつ成分せいぶんすすなどの燃焼ねんしょう由来ゆらい有機物ゆうきぶつ硫黄いおう酸化さんかぶつ硫酸りゅうさん)、窒素ちっそ酸化さんかぶつ塩素えんそナトリウム土壌どじょう由来ゆらい成分せいぶんなどで、重金属じゅうきんぞくるいふくまれることもある[5][35]。これらはくも発生はっせいするさい(レインアウト)、あるいはあめとなって地上ちじょうちてくるさい(ウォッシュアウト)、周囲しゅうい空気くうきからまれる。降水こうすいりょうおお日本にっぽんでは、大気たいきちゅうから地表ちひょうへの沈着ちんちゃく物質ぶっしつの6 - 7わりあめによる湿性しっせい沈着ちんちゃくだとかんがえられている[35]

またかく実験じっけんのちなどには、雨水あまみずちゅう放射ほうしゃせい物質ぶっしつふくまれることがある[5]

雨水あまみずちゅうみず構成こうせいする水素すいそ酸素さんそ同位どういからだは、海水かいすいくらべるとややかる同位どういたい比率ひりつたかく、大気たいきちゅう水蒸気すいじょうきくらべるとややおも同位どういたい比率ひりつたかい。また、気温きおんひくいほど、緯度いどひくいほど、標高ひょうこうたかいほど、海岸かいがんからはなれるほど、それぞれ同位どういからだひくくなる[36]

あめ自体じたいくさいはないが、かみなりによりさんされるオゾン湿度しつど上昇じょうしょうすることによって粘土ねんどからされるペトリコールや、土壌どじょうちゅう細菌さいきんゲオスミンあめるときのにおいのもとだとわれている[37][38]

通常つうじょうでも雨水あまみず大気たいきちゅう二酸化炭素にさんかたんそ吸収きゅうしゅうするため、pH(水素すいそイオン指数しすう)は6前後ぜんこうとやや酸性さんせいしめす。あめ硫黄いおう酸化さんかぶつ窒素ちっそ酸化さんかぶつなどを大気たいきちゅうからみ、つよ酸性さんせいしめすものもある。一方いっぽう土壌どじょう燃焼ねんしょう由来ゆらいするアンモニウムカルシウム成分せいぶんみ、pHが中和ちゅうわされることもある。中国ちゅうごく東部とうぶでは、石炭せきたん資源しげん豊富ほうふなためその利用りようにより硫黄いおう酸化さんかぶつ大量たいりょう排出はいしゅつされると同時どうじ土壌どじょうから黄砂こうさなどに由来ゆらいするアンモニウムやカルシウムが排出はいしゅつされ、汚染おせんのポテンシャル自体じたいたかわり酸性さんせい被害ひがい顕著けんちょではない。大気たいきちゅう二酸化炭素にさんかたんそ濃度のうど考慮こうりょした平衡へいこう状態じょうたいがpH5.6であることから、この以下いかのものを酸性さんせいぶが、pH5.0以下いかとする定義ていぎもある[35]

特異とくいあめ 編集へんしゅう

 
さかなあめえがいた、シンガポール

通常つうじょうとはちがい、異物いぶつふくんだあめいろいたあめることがあり、ぞくかい(かいう)とばれる[5]

黄砂こうさなどの土壌どじょう由来ゆらい成分せいぶんすなどろ)や火山灰かざんばいふくみ、黄色おうしょく赤色あかいろていするあめることがあり、どろ(でいう)とばれる。また赤色あかいろ場合ばあい英語えいごばん(けつう)ともばれる。工業こうぎょう地帯ちたい煤煙ばいえんふくんだあめくろ(こくう)とばれる[5][39]

特殊とくしゅれいとして、あめ一緒いっしょさかなカエル穀物こくもつるような現象げんしょう世界せかい各地かくち報告ほうこくされており[39]、"falls from the skies"の頭字かしらじファフロツキーズばれる。

かく攻撃こうげきかく実験じっけんおこなわれた場所ばしょでは、放射ほうしゃせい降下こうかぶつふくくろあめったれいがある。1945ねん8がつ6にち広島ひろしまへの原子げんしばくだん投下とうかのちこうレベルの放射能ほうしゃのうくろあめった。このあめれただけで放射線ほうしゃせん障害しょうがい原因げんいんとなり、被曝ひばくこした。かく爆発ばくはつにより放出ほうしゅつされる大量たいりょうねつやその市街地しがいち火災かさい上昇じょうしょう気流きりゅうこし、大量たいりょう粉塵ふんじんじったことで黒色こくしょくていした。長崎ながさきへの原子げんしばくだん投下とうかにおいても、くろあめっている[40]

観測かんそく報告ほうこく 編集へんしゅう

 
ハリケーン・リタのレーダー画像がぞうあかいところほどあめつよ

観測かんそく機器きき 編集へんしゅう

あめ観測かんそくおも雨量うりょうけい気象きしょうレーダーによりおこなわれる。雨量うりょうけい標準ひょうじゅんされており、日本にっぽんでは直径ちょっけい20cmの円筒えんとうがた器具きぐもっともちいられている。雨量うりょうけい地点ちてんごとの正確せいかく雨量うりょうかるが、雨量うりょう地域ちいきによりおおきくかたよることがあり雨量うりょうけいだけではあめ全体ぜんたいぞう把握はあくできない。一方いっぽう気象きしょうレーダーはめんてきあめつよさの分布ぶんぷかるが、雨粒あまつぶおおきさを測定そくていできないため実際じっさい雨量うりょうおおきな誤差ごさてしまう。防災ぼうさいめんでは、両者りょうしゃ欠点けってんおぎなうため雨量うりょうけいやレーダーの情報じょうほうわせてコンピューター処理しょりしたうえ活用かつようする[5][41]

日本にっぽん場合ばあい防災ぼうさい目的もくてき気象庁きしょうちょうアメダス雨量うりょうけい国内こくないやく1,300かしょ設置せっちされている[42]。また気象庁きしょうちょう気象きしょうレーダーは20かしょ設置せっちされ、国内こくないほぼ全域ぜんいきをカバーしている[43]。このほか国土こくど交通省こうつうしょう都道府県とどうふけん鉄道てつどう会社かいしゃ電力でんりょく会社かいしゃなどが、独自どくじ雨量うりょうけいやレーダーなどを保有ほゆうしている[41]

あめ観測かんそく歴史れきしふるく、最古さいこのものとしては紀元前きげんぜん4世紀せいきマウリヤあさ時代じだい古代こだいインドおこなわれた観測かんそく記録きろくカウティリヤ著書ちょしょしるされている。15世紀せいき朝鮮ちょうせんではむねどうせい計器けいきもちいて観測かんそくおこなわせたとされる。中国ちゅうごくでも15世紀せいき観測かんそくおこなわれた。ヨーロッパでは、17世紀せいき雨量うりょうけい考案こうあんされ、ロバート・フックおこなった観測かんそく記録きろくなどがのこっている。日本にっぽんでは、18世紀せいきはじめに徳川とくがわ吉宗よしむね雨量うりょう観測かんそくさせたとされるが、記録きろく自体じたいのこっていない[3][44]

連続れんぞくした雨量うりょう観測かんそく記録きろくなかでもっともふる信頼しんらいできるものは、イギリスロンドン郊外こうがいキューにおけるもので、1697ねんからの記録きろくがある。このデータは、気候きこう変動へんどうろんじるうえで、降水こうすいりょう長期ちょうき変動へんどうしめ資料しりょうとして引用いんようされている。また日本にっぽんでは、1875ねん6月1にち気象きしょう記念きねん)に当時とうじ東京とうきょう気象台きしょうだい雨量うりょう観測かんそくはじまった[44]

気象きしょうレーダー 編集へんしゅう

気象きしょうレーダーは、波長はちょう5 - 10cmの電波でんぱマイクロ)を放射ほうしゃして雨粒あまつぶからの反射はんしゃ検知けんちし、半径はんけいおよそ300 - 500kmの領域りょういきない降雨こうう分布ぶんぷ調しらべるものである。レーダー電波でんぱ反射はんしゃ強度きょうどは、雨粒あまつぶ直径ちょっけいの6じょう大気たいきちゅう個数こすう密度みつど)のせきあらわされる。どう程度ていど雨量うりょうでも雨粒あまつぶおおきさがことなるために誤差ごさしょうじることがあり、レーダーのみで正確せいかく雨量うりょうもとめられない[5][41][45]

なお、ゆきけてあめわりつつあるとき、電波でんぱ屈折くっせつしてしまうためその高度こうどのレーダー反射はんしゃつよくなる。これをブライトバンドという。さらに、雨粒あまつぶ以外いがいのもの、たとえばとり昆虫こんちゅうなどのしょう動物どうぶつ空気くうきみだれなどで異常いじょう観測かんそく結果けっかがみられることがあり、このようなものをエンジェルエコーと[41]

気象きしょう衛星えいせい 編集へんしゅう

実用じつよう投入とうにゅうされている気象きしょう衛星えいせい赤外線せきがいせんによりくも観測かんそくおこなうもので、あめ直接ちょくせつ観測かんそくおこなっていない[45]衛星えいせいによるあめ直接ちょくせつ観測かんそく可能かのうとなったのは1990年代ねんだいであり、熱帯ねったい降雨こうう観測かんそく衛星えいせい(TRMM)は熱帯ねったいあめ観測かんそくおこなった。その国際こくさいてき協力きょうりょくにより複数ふくすう衛星えいせいによるぜんたま降水こうすい観測かんそく計画けいかく(GPM)が展開てんかいされている。

報告ほうこく 編集へんしゅう

観測かんそく記録きろく通報つうほうでは、直径ちょっけい0.5mm以上いじょう水滴すいてき場合ばあいを「あめ」とび、直径ちょっけい0.5mm未満みまん水滴すいてき一様いちようるものは「霧雨きりさめ」として区別くべつする[31]。さらに、対流たいりゅうせいくも積雲せきうん積乱雲せきらんうん)からあめは「驟雨しゅうう」、冷却れいきゃく水滴すいてきあめは「ちゃくごおりせいあめ」として区別くべつする。

国際こくさい気象きしょう通報つうほうしき[ちゅう 3]では、観測かんそくっているかんでいるか、ゆきともなうかどうか、かみなりともなか、あめの3段階だんかい強度きょうどかみなりの3段階だんかい強度きょうどなどのわせで区分くぶんされる天気てんきから選択せんたくして報告ほうこくする。強度きょうどの3区分くぶんは、時間じかん雨量うりょう3mm未満みまんよわあめ、3mm以上いじょう15mm未満みまんなみあめ、15mm以上いじょうつよあめあめあらわ基本きほん記号きごう [46][47]

ラジオ気象きしょう通報つうほうなどの日本にっぽんしき天気てんきでは、観測かんそくあめっている場合ばあい天気てんきを「あめ」とする。天気てんき記号きごうは( )。ただし、時間じかん雨量うりょう換算かんさんして15mm以上いじょう強度きょうどあめ場合ばあいは「あめつよし」( )、対流たいりゅうせいくもからあめ驟雨しゅうう)は「にわかあめ」に分類ぶんるいする。また、霰や雹、かみなりともな場合ばあいはそちらを優先ゆうせんして報告ほうこくする[48][49]

航空こうくう気象きしょう通報つうほうしき[ちゅう 4]では「降水こうすい現象げんしょう」のらんのRAがあめあらわ略号りゃくごう強度きょうどあらわ付加ふか記号きごう驟雨しゅううちゃくごおりせいあめあらわ略号りゃくごうもある[50]

みず循環じゅんかんみず資源しげん 編集へんしゅう

 
あめどい雨水あまみずタンク、フランスにて

地球ちきゅうみず循環じゅんかんなかで、くもあるいは水蒸気すいじょうきとして大気たいきちゅうふくまれるみずやく13×1015kg、また年間ねんかん降水こうすい総量そうりょう重量じゅうりょうにしてやく400×1015kg、たかさにして平均へいきん800mmと見積みつもられており、やく10日間にちかんわることに相当そうとうする。なお、降水こうすいのうち陸地りくちるのは4ぶんの1で、のこりの4ぶんの3は海洋かいようっている。ただし、りくいきではったあめのうちすみやかに地表ちひょうながれるのは1わりで、のこりの9わり一旦いったん地下ちか浸透しんとうして地下水ちかすいてんじ、すうげつからすうひゃくねんをかけてゆっくりと湧出ゆうしゅつする[51]

自然しぜん環境かんきょう 編集へんしゅう

生物せいぶつにとってあめは、生存せいぞん必要ひつよう不可欠ふかけつみず、しかも飲用いんようてきした淡水たんすい供給きょうきゅうするという重要じゅうよう役割やくわりをもつ。地上ちじょう生息せいそくする生物せいぶつおおくは、あめあつまってできた水辺みずべ地面じめんにしみんだのちいずみやそれらが合流ごうりゅうしてできるかわから生存せいぞん必要ひつようみず摂取せっしゅする。人間にんげんにおいても同様どうようであり、海水かいすい淡水たんすい施設しせつ利用りようしている一部いちぶのぞけば、世界せかい水道すいどうすいはほぼあめ由来ゆらいする淡水たんすい利用りようしている。

また、あめ地形ちけいおよぼす作用さようおおきい。雨水あまみず地形ちけいけず浸食しんしょく作用さようや、土壌どじょう浸透しんとうすることで土質どしつ変化へんかさせる作用さようがある。植生しょくせいあめ左右さゆうされ、あめおお地域ちいきでは森林しんりん発達はったつし、農業のうぎょう生産せいさんさかんである[52]

また、たとえばあめ地面じめんれると地中ちちゅうからミミズてきて、それをねらってとり低空ていくう飛行ひこうするというふうに、生物せいぶつにはあめるとき特有とくゆう生態せいたい多々たたある。

雨水あまみず利用りよう 編集へんしゅう

人類じんるいは、工業こうぎょう用水ようすい農業のうぎょう用水ようすい飲料いんりょうすい利用りよう水力すいりょく発電はつでんなど、産業さんぎょう生活せいかつつうじて雨水あまみずみなもととするみず資源しげん利用りようしている[3]

水力すいりょく発電はつでん雨水あまみず雪解ゆきどすい由来ゆらいするみず重力じゅうりょく落下らっかによってしょうじる運動うんどうエネルギー電気でんきとして利用りようするものであり、海水かいすい蒸発じょうはつくも生成せいせい凝結ぎょうけつ凝固ぎょうこ)・降雨こううといった自然しぜんのプロセスを復元ふくげんりょくとした再生さいせい可能かのうエネルギーである。

また雨水あまみず直接ちょくせつ利用りようとして、庭先にわさきなどで雨水あまみず貯留ちょりゅう利用りようする雨水あまみずタンクなどもある。

人工じんこう降雨こうう 編集へんしゅう

くも凝結ぎょうけつくもつぶ成長せいちょううながしてあめやす科学かがくてき人工じんこう降雨こううは、1940年代ねんだいはじめてこころみられた。ドライアイスヨウぎんこおりあきらかくとする方法ほうほうひろもちいられ、条件じょうけんととのったくもであれば一定いってい成果せいかられることが報告ほうこくされている。しかし、1971ねんにアメリカがベトナム戦争せんそうにおいてあめ増加ぞうかさせて補給ほきゅう寸断すんだんさせる作戦さくせん計画けいかくしたことを契機けいきに、悪影響あくえいきょう側面そくめん議論ぎろんされることとなった。1976ねんには環境かんきょう改変かいへん兵器へいき禁止きんし条約じょうやく採択さいたく(1978ねん発効はっこう)され、敵対てきたいこくへの気象きしょう改変かいへん技術ぎじゅつ使用しよう禁止きんしされている[53]

文化ぶんか生活せいかつ 編集へんしゅう

 
歌川うたがわ広重ひろしげ名所めいしょ江戸えどひゃくけい

あめ概念がいねんあめたいするかんがかたは、その土地とち気候きこうによって様々さまざまなものがある。イギリスドイツフランスなど西洋せいよう温暖おんだん地域ちいき西岸せいがん海洋かいようせい気候きこう地域ちいき)では「あめ」をかなしいイメージでとらえる傾向けいこうつよ[よう出典しゅってん]、いくつかの童謡どうようにもそれが表現ひょうげんされている。

一方いっぽうあめすくないアフリカ中東ちゅうとう中央ちゅうおうアジア乾燥かんそう地帯ちたいなどでは、あめたのしいイメージ、よろこばしいものとしてとらえられることがおおく、あめ歓迎かんげいされる。

民俗みんぞく 編集へんしゅう

古来こらいよりひとは、めぐみをもたらす半面はんめん災厄さいやくをもたらすあめを、崇拝すうはいすると同時どうじ畏怖いふしていたとかんがえられる。はしてきれいとして、ノアの洪水こうずいのみならず、世界せかい破壊はかい創造そうぞうをもたらす洪水こうずい神話しんわ世界せかい各地かくち存在そんざいする。洪水こうずい神話しんわは、あめ破壊はかいせい創造そうぞうせいの2つのめん象徴しょうちょうしているとかんがえられる[54][55]

また、世界せかいおおくの神話しんわ伝承でんしょうにおいてあめは、至高しこうしん天神てんじん雷神らいじん活動かつどう結果けっかとしてもたらされると解釈かいしゃくされている。メソポタミア神話しんわ天候てんこうしんアダドヒッタイト天候てんこうしんテシュブフェニキアあらしかみバアル天候てんこう支配しはい洪水こうずいつかさどるとされ、かみいかりが洪水こうずいかんばつの原因げんいんだとしておそれられた。ギリシア神話しんわでは、全能ぜんのうかみゼウスかみなり武器ぶきとしてほか巨人きょじんかみ々とたたかさいあめるとされた。インド神話しんわでは、おうインドラ雷神らいじんでもあり、あくりゅうブルトラを退治たいじすることでかわみずもどし、田畑たはたかんばつからすくったとされる。日本にっぽん神話しんわでは、スサノオヤマタノオロチたおしたさいにそのからてん叢雲むらくもけんくもつかさど神器じんぎとされる。スサノオが高千穂峰たかちほのみねりた天孫てんそん降臨こうりんさいには、あめかぜがもたらされたとつたえられる[54][55]

さらに、てんちち大地だいちははとし、両者りょうしゃまじわりによってあめ大地だいちみのりがもたらされるという、てんちちはは信仰しんこうひろられる[54]

水辺みずべ生息せいそくするカエルヘビなどの動物どうぶつはしばしば、水神すいじん水神すいじん化身けしん家来けらいとされたり、あめとかかわりのふかいものとされている。ヨーロッパでは、あるしゅとり昆虫こんちゅう活動かつどうあめ前触まえぶれとする伝承でんしょうひろられる[55]

あめかかわりのふか農耕のうこう牧畜ぼくちくおこな民族みんぞく部族ぶぞくでは「雨乞あまご」の習俗しゅうぞく存在そんざいする。あめへの依存いぞんおおきいアフリカの農民のうみん牧畜ぼくちくみんでは、雨乞あまごいをおこなあめ乞師の社会しゃかいてき地位ちいたかいという特徴とくちょうがある。雨乞あまごいの儀式ぎしきにはひろみずけむりかねなどがもちいられるが、これはみずあめけむりくもかね雷鳴らいめい象徴しょうちょうするるいかん呪術じゅじゅつであるとかんがえられている。一部いちぶでは、特徴とくちょうてき形状けいじょう自然しぜんぶつを「あめせき」や「あめ」などの神聖しんせい事物じぶつとしてまつ習俗しゅうぞくもある[55][54]。これにたいし、長雨ながあめ終息しゅうそくいのる「にちい」の習俗しゅうぞく存在そんざいするが、雨乞あまごいほどおおくはない[3]

日本にっぽんでは、あめはそれ自体じたい神格しんかくされず、水神すいじん龍神りゅうじんつかさどるものとされる。そして、かみ出現しゅつげんさいには、神威しんいあらわれとしてあめるとされる。これにつうじるものとして、七夕たなばたなどのふし神社じんじゃ祭礼さいれいにはあめるという伝承でんしょう各地かくちつたわっている。田植たうえる目安めやすとされる半夏生はんげしょうあめはんなつい、かみてんのぼるときのあめだとされている。また、歴史れきしてき水田すいでん稲作いなさくさかんであることから農民のうみんあめつよ関心かんしんいており、正月しょうがつ節分せつぶんにおける天気てんきうらないや雨乞あまごいの儀礼ぎれい各地かくちおこなわれてきた[3][55][54]

一方いっぽう大雨おおあめによる洪水こうずい山崩やまくずれをへびした水神すいじんのしわざだとする伝説でんせつや、はげしい夕立ゆうだち竜巻たつまき龍神りゅうじん昇天しょうてんだとする伝承でんしょうがある。そのほか、あめよるには人魂ひとだま幽霊ゆうれいあらわれやすいともされている[54]

あめ文化ぶんかてきモチーフにもなっている。ぶしかんじさせるものとして四季しきそれぞれのあめたいする感性かんせいおおきくことなり、古来こらいよりあめおおくの文学ぶんがく芸術げいじゅつのモチーフに叙情じょじょうてきえがかれ、江戸えど時代じだい浮世絵うきよえ版画はんがにおいては歌川うたがわ広重ひろしげ交差こうさするせん表現ひょうげんなど多様たようあめ表現ひょうげん開拓かいたくしている。

あめによる活動かつどう制約せいやく 編集へんしゅう

あめにより、人間にんげん活動かつどう制限せいげんされることもある。あめ外出がいしゅつするときには、かさレインコートなどの雨具あまぐ持参じさんける。野外やがい予定よていされていた行事ぎょうじが、雨天うてん中止ちゅうしになったり変更へんこうされるれいはよくられる。ただし、「少雨しょうう決行けっこう」のようによわあめ場合ばあいには雨天うてんかかわらず行事ぎょうじおこなわれる場合ばあいがある。

なお、類人猿るいじんえんにおいてもこのようなことがあり、あめ活動かつどう制約せいやくされる。かれらはあまよけのためにえだなどをあつめてかさ屋根やねのようなものをつくることがられている。

あめ表現ひょうげん 編集へんしゅう

日本にっぽんあめおお四季しき変化へんかみ、あめかんする語彙ごいあめ異名いみょう豊富ほうふであるとされる[54][55]

あめつよさやかたによる表現ひょうげん
霧雨きりさめ きりのようにこまかいあめ雨粒あまつぶおおきさが0.5mm未満みまんあめ気象庁きしょうちょう定義ていぎ)。
小糠雨こぬかあめ糠雨ぬかあめ ぬかのように非常ひじょうこまかい雨粒あまつぶが、おとてずにしずかにるさま。
細雨さいう あまりつよくないあめがしとしととつづくさま。
小雨こさめ よわあめ。あまりつぶおおきくないあめが、それほどながくない時間じかんってあめ
微雨びう きゅうすが、あまりつよくなくすぐにみ、れてもすぐかわ程度ていどあめ
時雨しぐれ(しぐれ) あまりつよくないがったりんだりするあめ
とく晩秋ばんしゅうから初冬しょとうにかけての、れていたかとおもうとサアーッとり、かさをさすあいだもなく青空あおぞらもどってくるようなとおあめす。
俄雨にわかあめ(にわかあめ) りだしてすぐにあめったりんだり、つよさの変化へんかはげしいあめなつ俄雨にわかあめ夕立ゆうだちきつね嫁入よめいり、てんあきらなどとばれる。
ひじかさあめ驟雨しゅうう(しゅうう)と同義どうぎ
地雨じあめ あまりつよくないあめ広範囲こうはんい一様いちようるさま。俄雨にわかあめたいし、しとしとつづあめで、いきおいがきゅう変化へんかするのはまれ
村雨むらさめ りだしてすぐにあめ群雨むらさめごうなどともく。地方ちほうによっては「どん」(とんぺい)」ともばれる。
村時雨むらしぐれ(むらしぐれ) ひとしきりつよってはとおぎてあめかたによって片時かたときよこ時雨しぐれ時間じかんによってあさ時雨しぐれゆう時雨しぐれ小夜さよ時雨しぐれける。
片時かたとき ひとところに村時雨むらしぐれ地雨じあめせい村時雨むらしぐれ
よこ時雨しぐれ 横殴よこなぐりに村時雨むらしぐれ
涙雨なみだあめ なみだのようにほんのすこしだけあめ。また、かなしいときやうれしいときなど、感情かんじょう変化へんかうつしたあめ
天気てんき れているにもかかわらずあめ
とおあめ 雨雲あまぐもがすぐとおぎてしまい、りだしてすぐにあめ
スコール 短時間たんじかん猛烈もうれつあめるさま。熱帯ねったい地方ちほうあめともなってやってくる突然とつぜん強風きょうふう由来ゆらいする。
大雨おおあめ 大量たいりょうあめ一般いっぱんてき認識にんしき)。大雨おおあめ注意報ちゅういほう基準きじゅん以上いじょうあめ気象庁きしょうちょう定義ていぎ)。
豪雨ごうう 大量たいりょうはげしいあめ一般いっぱんてき認識にんしき)。いちじるしい災害さいがい発生はっせいした顕著けんちょ大雨おおあめ現象げんしょう気象庁きしょうちょう定義ていぎ)。
雷雨らいう かみなりともなったはげしいあめ普通ふつう短時間たんじかんはげしくあめ場合ばあいおおい。
風雨ふうう かぜともなったはげしいあめ
長雨ながあめ 数日すうじつ以上いじょうつづくような、まとまったあめ
ぶしによる表現ひょうげん
春雨はるさめ(はるさめ) はるにあまりつよくなくしとしととあめ
地雨じあめせいのしっとりとした菜種梅雨なたねづゆころあめす。さくらはなくころは、はならせるので「はならしのあめ」ともばれる。
菜種梅雨なたねづゆ 3月から4がつごろにみられる、しとしととつづあめ
はなくころのあめとくさんがつ下旬げじゅんからよんがつにかけて、関東かんとうから西にし地方ちほう天気てんきがぐずつく時期じきす。
五月雨さみだれ(さみだれ) かつては梅雨つゆことした。現在げんざいは5月にるまとまったあめすこともある。
また、五月雨さみだれたいして、この梅雨つゆ五月晴さつきばというが、5月のさわやかな晴天せいてんをさすことがある。
はし梅雨づゆ 梅雨入つゆいまえの、あめつづきの天候てんこう
梅雨つゆ(ばいう、つゆ) 地域ちいきがあるが5がつ - 7がつにかけて、しとしととながつづあめ
あば梅雨づゆ 梅雨つゆ終盤しゅうばんる、まとまったはげしいあめ。「あら梅雨つゆ」ともう。
おく梅雨つゆ 梅雨つゆわりにる、かみなりともなうようなあめ
かえ梅雨づゆ 梅雨つゆけとおもっていたところにふたたびやってくる長雨ながあめ。「がえ梅雨づゆ」、「もど梅雨つゆ」ともいう。
みどり 新緑しんりょくのころにあめみどり一種いっしゅ
麦雨ばくう むぎじゅくするころあめみどり一種いっしゅ
夕立ゆうだち なつによくられる突然とつぜん雷雨らいう。あるいはたんなつ俄雨にわかあめす。午後ごごとく夕方ゆうがた前後ぜんこうることがおおい。白雨はくう(はくう)ともいう。
きつね嫁入よめい 夕立ゆうだちの、とくっているのにあめをさす。てんあきら(さばえ)などともいう。
秋雨あきさめ(あきさめ) あきる、しとしととあめとくに9がつから10がつにかけての長雨ながあめをさす。秋雨前線あきさめぜんせんによってこり、台風たいふうシーズンの特徴とくちょうあき霖(しゅうりん)。
あき時雨しぐれ あきわりに時雨しぐれ
あき入梅にゅうばい 秋雨あきさめ秋雨あきさめり。
えき ふゆはじめの時雨しぐれ立冬りっとうから小雪こゆきのころの時雨しぐれ
かんきゅうあめ かんはいって(小寒しょうかんかんりという)9にちあめ豊年ほうねんきざしとされる。
かんあめ(かんのあめ) かんうち大寒だいかんから節分せつぶんまで)にあめ
山茶花さざんか梅雨づゆ 11月から12がつごろにみられる、しとしととつづあめ山茶花さざんかくころのあめ
氷雨ひさめ ふゆつめたいあめのことをすこともある。
淫雨いんう 梅雨つゆのようにしとしととながつづき、なかなかまないあめ
その区分くぶんからの表現ひょうげん
わたし(わたくしあめ) あるかぎられた土地とちだけにあめてんじて個人こじん利得りとくもある。
そとまち(ほまちあめ) 局地きょくちてきな、かぎられたひとだけをうるおあめ
翠雨すいう(すいう) 青葉あおばりかかるあめ時期じきによってみどり麦雨ばくう草木くさきうるおあめという視点してんあまみず区別くべつする。
あま(かんう) 草木くさきうるおあめみどり一種いっしゅ
みず(ずいう) 穀物こくもつ成長せいちょうたすけるあめみどり一種いっしゅ
慈雨じう めぐみのあめ少雨しょううかんばつのときに大地だいちうるお待望たいぼうあめ

比較的ひかくてきあたらしいあめかんする言葉ことばまれている。明確めいかく定義ていぎはないものの、微妙びみょうことなった意味いみ使用しようされている。

集中しゅうちゅう豪雨ごうう かぎられた場所ばしょ集中しゅうちゅうてきはげしいあめ一般いっぱんてき認識にんしき)。警報けいほう基準きじゅんえるような局地きょくちてき大雨おおあめ気象庁きしょうちょう定義ていぎ)。局地きょくちてき豪雨ごうう局地きょくち豪雨ごうう
ゲリラゲリラ豪雨ごうう かぎられた場所ばしょみじか時間じかん集中しゅうちゅうてきる、突然とつぜんはげしいあめ
短時間たんじかんきょう みじか時間じかん集中しゅうちゅうてきつよあめ
ゲリラ雷雨らいう かみなりともなったゲリラ・ゲリラ豪雨ごうう

レインガーデン 編集へんしゅう

 
冬場ふゆばのレインガーデン

レインガーデン(Rain gardens)とはバイオリテンション施設しせつ(bioretention facilities)ともばれ、所謂いわゆるガーデン(庭園ていえん)というよりも、雨水あまみず土壌どじょうさい吸収きゅうしゅうされるのを促進そくしんするために考案こうあんされた様々さまざま手法しゅほうの1つである。また、汚染おせんされた雨水あまみず流出りゅうしゅつ処理しょりするために使用しようされることもある。レインガーデンは、浸透しんとうめん (imperviousからの表面ひょうめん流出りゅうしゅつ (runoff流量りゅうりょう総量そうりょう汚染おせん物質ぶっしつ濃度のうど測定そくてい (pollutant load減少げんしょうさせるように設計せっけいされた外部がいぶ空間くうかんである。都市としならば屋根やね車道しゃどう駐車ちゅうしゃじょうしょうスペースの芝生しばふエリアなどが活用かつようされる[56]

日本にっぽんでもくに企業きぎょうでもグリーンインフラとら[1][2]おおくのこころみがなされており、大成建設たいせいけんせつでは「地上ちじょうった雨水あまみず下水道げすいどう直接ちょくせつ放流ほうりゅうすることなく一時いちじてき貯留ちょりゅうし、ゆっくり地中ちちゅう浸透しんとうさせる構造こうぞうったうえ栽空あいだ[57]」、鹿島建設かしまけんせつでも「レインガーデンは降雨こうう雨水あまみず一時いちじてき貯留ちょりゅうし、時間じかんをかけて地下ちか浸透しんとうさせる透水とうすいがたうえ栽スペース[58]」として開発かいはつしている。

レインガーデンは、植物しょくぶつ天然てんねんまたは人工じんこう土壌どじょう培地ばいちたよりに雨水あまみず保持ほじし、浸潤しんじゅん (infiltrationのラグタイムをながくし、都市とし流出りゅうしゅつすいはこ汚染おせん物質ぶっしつ浄化じょうかしている。そしてったあめさい利用りようして最適さいてきする方法ほうほう提供ていきょうすることで、追加ついか灌漑かんがい施設しせつ必要ひつようせい低減ていげんまたは回避かいひする。これは都市としヒートアイランド効果こうかとしてられる、ねつ吸収きゅうしゅうする浸透しんとうめんおおふく都市としとく有効ゆうこう緩和かんわさくである[59]あめおお都市としならば、降雨こううりょうおお地区ちくでも洪水こうずいすくない場所ばしょつくることができる。

レインガーデンのうえ栽には一般いっぱん野草やそうスゲイグサシダ低木ていぼく小木おぎなどの湿地しっち植生しょくせい活用かつようされる。これらの植物しょくぶつは、レインガーデンになが栄養分えいようぶんみずみ、蒸散じょうさんのプロセスをつうじて地球ちきゅう大気たいき水蒸気すいじょうきとして放出ほうしゅつさせる[60]ふか植物しょくぶつも、地面じめんにろする追加ついかチャネルを形成けいせいする。

地球ちきゅう以外いがい天体てんたいあめ 編集へんしゅう

金星かなぼしでは、表面ひょうめんおおあつ硫酸りゅうさんくもから硫酸りゅうさんあめっている。しかし、地表ちひょうが400℃をえる高温こうおんであるため、途中とちゅう蒸発じょうはつしてしまい地表ちひょうにはとどかない[61]

土星どせい衛星えいせいタイタンでは、-170℃のつめたい地表ちひょうメタンエタン構成こうせいされるあめっており、かわみずうみのような地形ちけい形成けいせいされていることが観測かんそくされている[62]

脚注きゃくちゅう 編集へんしゅう

注釈ちゅうしゃく 編集へんしゅう

  1. ^ 配色はいしょくは「気象庁きしょうちょうホームページにおける気象きしょう情報じょうほう配色はいしょくかんする設定せってい指針ししん」(れい2ねん7がつ一部いちぶ改訂かいてい)での解析かいせき雨量うりょう降水こうすい短時間たんじかん予報よほう・レーダー・ナウキャストのものを使用しようした[28]
  2. ^ おおきな雨粒あまつぶ変形へんけいするため、それを球形きゅうけい換算かんさんした半径はんけいのこと。
  3. ^ SYNOPSHIPなどにもちいる96しゅ天気てんき地上ちじょう天気てんき#天気てんき参照さんしょう
  4. ^ METARTAF

出典しゅってん 編集へんしゅう

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参考さんこう文献ぶんけん 編集へんしゅう

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関連かんれん項目こうもく 編集へんしゅう

外部がいぶリンク 編集へんしゅう