がけ崩くずれ

がけ崩くずれ（がけくずれ）とは、斜面しゃめん上じょうの土砂どしゃや岩いわ塊かたまりが安定あんてい性せいを失うしなって崩落ほうらくする現象げんしょう。斜面しゃめん変動へんどうの一種いっしゅ。また、土砂どしゃ災害さいがいであり斜面しゃめん崩壊ほうかいの一種いっしゅ。一般いっぱん的てきに、明瞭めいりょうなすべり面めんを持もつ崩壊ほうかい（地じすべり）や人工じんこう的てきに造成ぞうせいされた斜面しゃめんで発生はっせいするがけ崩くずれは対象たいしょう外がいとして扱あつかわれる。

がけ崩くずれ

定義ていぎ

地質ちしつ学がくで用もちいられる斜面しゃめん変動へんどうの分類ぶんるいはD.J.ヴァーンズによる分類ぶんるいが基礎きそとなっている。

B.W.ピプキンとD.D.トレントによる斜面しゃめん変動へんどうの分類ぶんるいでは、移動いどう速度そくどの極きわめて速はやいものを崩落ほうらく（Fall）とし、岩石がんせきの崩落ほうらくを岩石がんせき崩落ほうらく（Rock fall）、粗そ粒つぶ土どの崩落ほうらくを落石らくせき（Debris fall）、細ほそ粒つぶ土どの崩落ほうらくをがけ崩くずれ（Earth fall）に分類ぶんるいしている。

発生はっせい原因げんいん

主おもに地中ちちゅうの水分すいぶんによって土どの抵抗ていこう力りょくが弱よわまり、集中しゅうちゅう豪雨ごううや地震じしんなどをきっかけに急激きゅうげきに斜面しゃめんが崩落ほうらくすることをいう。

対策たいさく

がけ崩くずれの対策たいさくとして、法ほう面めんの整形せいけい、落石らくせき防止ぼうし網もう、落石らくせき防止ぼうし柵しがらみ、モルタルの吹ふき付つけ工事こうじなどが行おこなわれる。

土留どどめ柵しがらみ工こう

表土ひょうど層そうの崩壊ほうかいを防止ぼうしするため斜面しゃめんに鋼はがね製せいの柵しがらみを打うち込こみ、侵食しんしょく土砂どしゃの流出りゅうしゅつを防止ぼうしするため地上ちじょう部ぶに柵しがらみを設置せっちする工法こうほう。

法ほう枠わく工こう

斜面しゃめんにコンクリート製せいの枠わくを設置せっちして枠わく内ないには植生しょくせい等とうを行おこなうことで侵食しんしょくや風化ふうかを防ふせぐ工法こうほう。

擁よう壁かべ工こう

斜面しゃめんの下したにコンクリート壁かべを作つくって下部かぶからの崩壊ほうかいを防ふせぐとともに上部じょうぶからの土砂どしゃを食くい止とめる工法こうほう。

日本にっぽんでは、国土こくど交通省こうつうしょうの補助ほじょ事業じぎょうである急きゅう傾斜地けいしゃち崩壊ほうかい対策たいさく事業じぎょうなどや農林水産省のうりんすいさんしょうの補助ほじょ事業じぎょうである民有みんゆう林りん治山ちさん事業じぎょうなどが行おこなわれるほか、中小ちゅうしょう規模きぼの崩壊ほうかいに対たいしては市町村しちょうそんの単独たんどく事業じぎょうが対策たいさくとして講こうじられる。公共こうきょう事業じぎょうについては、土砂どしゃ災害さいがいの危険きけん性せいの高たかい場所ばしょに居住きょじゅうする住民じゅうみん側がわにも負担ふたんを求もとめるべきという考かんがえから、分担ぶんたん金きんの拠出きょしゅつが求もとめられることもある。また、国くにや自治体じちたいが土木どぼく工事こうじ的てきな手法しゅほうによらず、土砂どしゃ災害さいがい防止ぼうし法ほうに基もとづき、住宅じゅうたく建設けんせつの規制きせいや移転いてんを住民じゅうみん側がわに求もとめることもある。

関連かんれん項目こうもく

• 土石流どせきりゅう
• 地じすべり