公共 こうきょう 事業 じぎょう および公共 こうきょう 投資 とうし
編集 へんしゅう
国民 こくみん 生活 せいかつ に役立 やくだ つように政府 せいふ ・地方 ちほう 政府 せいふ などが行 おこな う事業 じぎょう のことを、公共 こうきょう 事業 じぎょう という[1] 。民間 みんかん 需要 じゅよう が落 お ち込 こ む不 ふ 況 きょう のときに、有効 ゆうこう 需要 じゅよう を創出 そうしゅつ し、景気 けいき を押 お し上 あ げるという伝統 でんとう 的 てき な経済 けいざい 政策 せいさく の一 ひと つでもある[1] 。建設 けんせつ 国債 こくさい を利用 りよう して行 おこな われる事業 じぎょう もある。また、将来 しょうらい 的 てき に国益 こくえき となると見込 みこ まれるものに税金 ぜいきん を投入 とうにゅう することを、公共 こうきょう 投資 とうし という[2] 。
高速 こうそく 道路 どうろ ・鉄道 てつどう などの社会 しゃかい 資本 しほん といった、民間 みんかん に任 まか せていては最 さい 適量 てきりょう までの生産 せいさん が行 おこな われないという市場 いちば の失敗 しっぱい が起 お きる公共 こうきょう 財 ざい の生産 せいさん を行 おこな うことが目的 もくてき である。インフラストラクチャー (社会 しゃかい 資本 しほん )整備 せいび そのものの意味 いみ で用 もち いられる(故 ゆえ に公共 こうきょう 工事 こうじ と同一 どういつ 視 し される)ことが多 おお いが、本来 ほんらい は経済 けいざい 学 がく 及 およ び政治 せいじ 学 がく における概念 がいねん である。
市場 いちば 経済 けいざい のみでは供給 きょうきゅう が困難 こんなん と考 かんが えられる不 ふ 特定 とくてい 多数 たすう が利用 りよう する社会 しゃかい 資本 しほん の整備 せいび を行 おこな うことにより、地域 ちいき に直接的 ちょくせつてき ・間接 かんせつ 的 てき な経済 けいざい 効果 こうか が期待 きたい できるとされている。
失業 しつぎょう を削減 さくげん するために、公共 こうきょう 事業 じぎょう を増 ふ やして景気 けいき を刺激 しげき する政策 せいさく は財政 ざいせい 政策 せいさく に含 ふく まれる。公共 こうきょう 事業 じぎょう の増加 ぞうか は有効 ゆうこう 需要 じゅよう を創出 そうしゅつ する効果 こうか がある。ジョン・メイナード・ケインズ は1920年代 ねんだい において既 すで に、不 ふ 況 きょう 下 か にて政府 せいふ が公共 こうきょう 事業 じぎょう を用 もち いて失業 しつぎょう 率 りつ を下 さ げたり経済 けいざい を下 した 支 ささ えしたりすることの必要 ひつよう 性 せい と有効 ゆうこう 性 せい を唱 とな えていた[3] 。
直接的 ちょくせつてき な経済 けいざい 効果 こうか としては、例 たと えば建設 けんせつ 需要 じゅよう による資材 しざい 消費 しょうひ や、公共 こうきょう 工事 こうじ に携 たずさ わる従事 じゅうじ 者 しゃ の雇用 こよう を増大 ぞうだい させる等 とう のフロー効果 こうか があるといわれ、間接 かんせつ 的 てき な経済 けいざい 効果 こうか としては、例 たと えば交通 こうつう 網 もう が整備 せいび されることにより物流 ぶつりゅう が合理 ごうり 化 か され、あるいは都市 とし 基盤 きばん が整備 せいび されることで企業 きぎょう 等 とう の進出 しんしゅつ を促 うなが すなど、整備 せいび された社会 しゃかい 資本 しほん が地域 ちいき の経済 けいざい 活動 かつどう の促進 そくしん につながる等 とう のストック効果 こうか が指摘 してき されている。かつてのアメリカでのニューディール政策 せいさく やドイツでの計画 けいかく 経済 けいざい など、各地 かくち で景気 けいき 低迷 ていめい 期 き に景気 けいき 回復 かいふく の効果 こうか があったこともあり、当時 とうじ の経済 けいざい 学者 がくしゃ の間 あいだ では経済 けいざい 波及 はきゅう 効果 こうか が高 たか いといわれてきた。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の大竹 おおたけ 文雄 ふみお は「租税 そぜい を使 つか って公共 こうきょう 事業 じぎょう ・公共 こうきょう サービスを拡充 かくじゅう することは、高 こう 所得 しょとく 者 しゃ から失業 しつぎょう 者 しゃ に富 とみ の再 さい 分配 ぶんぱい を行 おこな うという格差 かくさ 縮小 しゅくしょう 策 さく であると同時 どうじ に、失業 しつぎょう という非 ひ 効率 こうりつ 性 せい を解消 かいしょう する政策 せいさく でもある」と指摘 してき している[4] 。大竹 おおたけ は「長期 ちょうき 不況 ふきょう の悪循環 あくじゅんかん を止 と める唯一 ゆいいつ の方法 ほうほう は、失業 しつぎょう 者 しゃ を公共 こうきょう 事業 じぎょう ・公的 こうてき サービスで雇用 こよう することである。ただし、無駄 むだ な財 ざい ・サービスを作 つく り出 だ しても意味 いみ がなく、それなら失業 しつぎょう 者 しゃ に直接 ちょくせつ お金 かね を渡 わた したほうが資源 しげん を浪費 ろうひ せずにすむ。生産 せいさん 能力 のうりょく を高 たか めるような公共 こうきょう 事業 じぎょう は意味 いみ がない」と指摘 してき している[5] 。
公共 こうきょう 事業 じぎょう は政治 せいじ 家 か による利益 りえき 誘導 ゆうどう の温床 おんしょう になりやすく、箱 はこ 物 ぶつ 行政 ぎょうせい と揶揄 やゆ されるような弊害 へいがい を引 ひ き起 お こしやすい。費用 ひよう 対 たい 効果 こうか の見極 みきわ めが重要 じゅうよう である。また、公共 こうきょう 事業 じぎょう 対象 たいしょう が建設 けんせつ に傾斜 けいしゃ しているため、建設 けんせつ 業 ぎょう の肥大 ひだい を招 まね きやすいという批判 ひはん がある。
UFJ総合 そうごう 研究所 けんきゅうじょ 調査 ちょうさ 部 ぶ は「公共 こうきょう 事業 じぎょう 拡大 かくだい による成長 せいちょう 率 りつ の押 お し上 あ げ効果 こうか は、あくまで一時 いちじ 的 てき なものである」と指摘 してき している[6] 。三和 さんわ 総合 そうごう 研究所 けんきゅうじょ は「プラス成長 せいちょう を維持 いじ するために、公共 こうきょう 事業 じぎょう の『バラマキ』を続 つづ けても仕事 しごと が増 ふ えるのは地場 じば の建設 けんせつ 業者 ぎょうしゃ ぐらいで、『景気 けいき へのプラス効果 こうか が波及 はきゅう する』と言 い われても多 おお くの人 ひと にとっては実感 じっかん できるものではない」と指摘 してき している[7] 。経済 けいざい 学者 がくしゃ の松原 まつばら 聡 さとし は「公共 こうきょう 事業 じぎょう によって、建設 けんせつ 業 ぎょう ・セメント業 ぎょう などの業種 ぎょうしゅ は潤 うるお うが、ほかの業種 ぎょうしゅ への波及 はきゅう 効果 こうか は小 ちい さい。また公共 こうきょう 事業 じぎょう で使 つか う機械 きかい を国外 こくがい から購入 こうにゅう したり、外国 がいこく 人 じん 労働 ろうどう 者 しゃ に頼 たよ る場合 ばあい が多 おお いため、国内 こくない の景気 けいき 刺激 しげき につながらない」と指摘 してき している[8] 。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の高橋 たかはし 洋一 よういち は「政治 せいじ 的 てき な意味 いみ では、公共 こうきょう 事業 じぎょう より減税 げんぜい のほうが公平 こうへい である。公共 こうきょう 事業 じぎょう は特定 とくてい の業者 ぎょうしゃ に対 たい する利益 りえき 供与 きょうよ となるが、減税 げんぜい は国民 こくみん 全員 ぜんいん に対 たい して行 おこな われるからである」と指摘 してき している[9] 。
小野 おの 善康 よしやす は「無意味 むいみ な公共 こうきょう 事業 じぎょう と減税 げんぜい は本質 ほんしつ 的 てき には同 おな じである。穴 あな を掘 ほ って埋 う めるだけや、環境 かんきょう 破壊 はかい を引 ひ き起 お こすような公共 こうきょう 事業 じぎょう をやるくらいなら、失業 しつぎょう を放置 ほうち したほうがまだましである」と指摘 してき している[10] 。小野 おの は、満足 まんぞく 度 ど を高 たか める公共 こうきょう 事業 じぎょう ・公的 こうてき サービスを増 ふ やすことで失業 しつぎょう を減 へ らすことが、一番 いちばん の不 ふ 況 きょう 対策 たいさく になるとしている[5] 。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の伊藤 いとう 元重 もとしげ は「現実 げんじつ の世界 せかい では、穴 あな 掘 ほ りのような無駄 むだ な公共 こうきょう 事業 じぎょう は不要 ふよう である。道路 どうろ 建設 けんせつ ・研究 けんきゅう 開発 かいはつ といった社会 しゃかい 的 てき に意味 いみ のある支出 ししゅつ によって、同 おな じ刺激 しげき 効果 こうか が期待 きたい できる」と指摘 してき している[11] 。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の岩田 いわた 規久男 きくお は「民間 みんかん 投資 とうし 誘発 ゆうはつ 型 がた の公共 こうきょう 投資 とうし は、土木 どぼく 工事 こうじ 関係 かんけい 者 しゃ の所得 しょとく を一時 いちじ 的 てき に増 ふ やすという単発 たんぱつ 的 てき 効果 こうか ではなく、社会 しゃかい 資本 しほん 整備 せいび が民間 みんかん 資本 しほん と結合 けつごう し、恒久 こうきゅう 的 てき な所得 しょとく を生 う み出 だ す効果 こうか を持 も っている」と指摘 してき している[12] 。
公共 こうきょう 事業 じぎょう は、それ自体 じたい が需要 じゅよう を増加 ぞうか させるだけでなく、公共 こうきょう 事業 じぎょう から所得 しょとく を得 え た人 ひと が消費 しょうひ し、それがさらなる消費 しょうひ を生 う むという乗数 じょうすう 効果 こうか がある[13] 。公共 こうきょう 事業 じぎょう 費 ひ には、土地 とち の購入 こうにゅう 費 ひ も含 ふく まれており、土地 とち の購入 こうにゅう は付加 ふか 価値 かち を生 う み出 だ さないためGDPには直接 ちょくせつ 影響 えいきょう を与 あた えない[14] 。
森永 もりなが 卓郎 たくろう は「公共 こうきょう 事業 じぎょう の景気 けいき 拡大 かくだい 効果 こうか が落 お ちてきているのは事実 じじつ である。現在 げんざい (2002年 ねん )の経済 けいざい 学者 がくしゃ たちの検証 けんしょう で明 あき らかになっている。ただし、公共 こうきょう 事業 じぎょう が景気 けいき 対策 たいさく として即効 そっこう 性 せい があるのは事実 じじつ である。少 すく なくとも投資 とうし 総額 そうがく 分 ぶん の効果 こうか はある」と指摘 してき している[15] 。
経済 けいざい 学者 がくしゃ のポール・クルーグマン は、道路 どうろ ・ダムの建設 けんせつ などの社会 しゃかい 資本 しほん の整備 せいび に使 つか う公共 こうきょう 事業 じぎょう の乗数 じょうすう 効果 こうか は、1.5位 い あるとしている[16] 。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の原田 はらだ 泰 やすし は「マクロ計量 けいりょう モデルによる近年 きんねん (2009-2014年 ねん )の研究 けんきゅう 結果 けっか では、1兆 ちょう 円 えん の公共 こうきょう 事業 じぎょう をするとほぼ1兆 ちょう 円 えん のGDPが増 ふ えるという結果 けっか となる。政府 せいふ 支出 ししゅつ を増 ふ やせばその分 ぶん だけGDPが増 ふ えるという結果 けっか である。これは乗数 じょうすう が1ということであり、乗数 じょうすう というほどの効果 こうか はないことになる。さらに、これは金融 きんゆう 政策 せいさく も発動 はつどう した結果 けっか であり、金融 きんゆう 政策 せいさく を発動 はつどう しない場合 ばあい には乗数 じょうすう は1以下 いか になってしまう」と指摘 してき している[17] 。
大竹 おおたけ 文雄 ふみお は「無駄 むだ な公共 こうきょう 事業 じぎょう が、景気 けいき 対策 たいさく と考 かんが えられていたのは、政府 せいふ の支出 ししゅつ は100%便益 べんえき を高 たか めることになるというGDP計算 けいさん 上 じょう の仮定 かてい によっていただけである」と指摘 してき している[4] 。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の小野 おの 善康 よしやす は「国民 こくみん 経済 けいざい 計算 けいさん では、公共 こうきょう 事業 じぎょう は所得 しょとく として計上 けいじょう される。これが誤解 ごかい を生 う み、公共 こうきょう 事業 じぎょう には所得 しょとく 増大 ぞうだい 効果 こうか があると思 おも われているだけである。公共 こうきょう 事業 じぎょう の本当 ほんとう の効果 こうか は、できた物 もの の価値 かち だけである。数字 すうじ 上 じょう での乗数 じょうすう 効果 こうか だけが強調 きょうちょう され、批判 ひはん する側 がわ も乗数 じょうすう 効果 こうか が小 ちい さいということが問題 もんだい であるとしている。消費 しょうひ 関数 かんすう は、妥当 だとう 性 せい が疑問 ぎもん である上 うえ 、乗数 じょうすう 効果 こうか という見 み せかけの効果 こうか の根拠 こんきょ となった」と指摘 してき している[18] 。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の小塩 こしお 隆士 たかし は「公共 こうきょう 事業 じぎょう の乗数 じょうすう 効果 こうか が発揮 はっき されるためには、いったん引 ひ き上 あ げられた公共 こうきょう 事業 じぎょう の水準 すいじゅん をそれ以降 いこう も維持 いじ しなければならない。景気 けいき が上向 うわむ きでない段階 だんかい で公共 こうきょう 事業 じぎょう の水準 すいじゅん を元 もと に戻 もど してしまうと、公共 こうきょう 事業 じぎょう はむしろ景気 けいき の押 お し下 さ げ要因 よういん になってしまう」と指摘 してき している[19] 。
岩田 いわた 規久男 きくお は「現在 げんざい の借金 しゃっきん によって実施 じっし された公共 こうきょう 投資 とうし が将来 しょうらい のGDPを高 たか めるのであれば、累積 るいせき 残高 ざんだか の対 たい GDP比率 ひりつ を引 ひ き下 さ げることができる」と指摘 してき している[20] 。
原田 はらだ 泰 やすし は「公共 こうきょう 事業 じぎょう の実質 じっしつ GDPを引 ひ き上 あ げる効果 こうか は、予算 よさん で決 き められた名目 めいもく の支出 ししゅつ 額 がく を建設 けんせつ の物価 ぶっか 指数 しすう で割 わ ったものに依存 いぞん する。建設 けんせつ 物価 ぶっか が上 あ がれば、公共 こうきょう 事業 じぎょう の効果 こうか は削減 さくげん される。公共 こうきょう 事業 じぎょう は、経済 けいざい の下 しも 支 ささ えにはならず、経済 けいざい 効率 こうりつ を低下 ていか させる。財政 ざいせい 赤字 あかじ を問題 もんだい にするのなら、公共 こうきょう 事業 じぎょう は増 ふ やすべきではない」と指摘 してき している[21] 。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の竹中 たけなか 平蔵 へいぞう は「『不 ふ 況 きょう だから公共 こうきょう 事業 じぎょう を増 ふ やす』ということは言 い われるが『好 こう 況 きょう だから公共 こうきょう 事業 じぎょう を減 へ らす』ということは言 い われない。一度 いちど 政府 せいふ から仕事 しごと をもらうとそれが既得 きとく 権益 けんえき 化 か し、公共 こうきょう 事業 じぎょう を減 へ らそうとすると強 つよ い反発 はんぱつ があるからである」と指摘 してき している[22] 。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の高橋 たかはし 洋一 よういち は「費用 ひよう 対 たい 効果 こうか がプラスとなる公共 こうきょう 事業 じぎょう については、行 おこな う価値 かち がある」と指摘 してき している[23] 。高橋 たかはし は「公共 こうきょう 事業 じぎょう については、その後 ご に追加 ついか するコスト(費用 ひよう )と完成 かんせい した場合 ばあい の便益 べんえき を計算 けいさん する必要 ひつよう がある」と指摘 してき している[24] 。
大和総研 だいわそうけん は「公共 こうきょう 事業 じぎょう の役割 やくわり を軽視 けいし し過度 かど な緊縮 きんしゅく 財政 ざいせい を続 つづ ければ、財政 ざいせい は健全 けんぜん 化 か しても社会 しゃかい 資本 しほん ストックが不足 ふそく し、国民 こくみん 生活 せいかつ の質 しつ ・経済 けいざい の供給 きょうきゅう 力 りょく を低下 ていか させることになる。公共 こうきょう 事業 じぎょう は財政 ざいせい 面 めん のみで議論 ぎろん せず、規模 きぼ の適正 てきせい ・質 しつ の向上 こうじょう に着目 ちゃくもく することが大事 だいじ である」と指摘 してき している[25] 。
みずほ総合 そうごう 研究所 けんきゅうじょ は「単 たん なる公共 こうきょう 事業 じぎょう の削減 さくげん は、経済 けいざい にデフレをもたらすだけである」と指摘 してき している[26] 。
国 くに ・地方 ちほう の産業 さんぎょう 構造 こうぞう を歪 ゆが める可能 かのう 性 せい がある、という批判 ひはん もある。
政府 せいふ が道路 どうろ ・建物 たてもの などを建設 けんせつ する際 さい 、建設 けんせつ 業 ぎょう を中心 ちゅうしん に雇用 こよう 機会 きかい が創出 そうしゅつ されるが、これらの公共 こうきょう 事業 じぎょう を通 つう じた雇用 こよう 拡大 かくだい 策 さく は、すでに競争 きょうそう 力 りょく が弱 よわ くなった産業 さんぎょう を政府 せいふ 支出 ししゅつ によって支 ささ えるという側面 そくめん があるため、経済 けいざい 構造 こうぞう を硬直 こうちょく させるという弊害 へいがい も指摘 してき されている[27] 。
小塩 こしお 隆士 たかし は「政府 せいふ が公共 こうきょう 事業 じぎょう を増 ふ やした場合 ばあい 、民間 みんかん 企業 きぎょう の設備 せつび 投資 とうし が抑制 よくせい されることも考 かんが えられる。深刻 しんこく な不 ふ 況 きょう であるならこうしたケースは考 かんが えられないが、建設 けんせつ 資材 しざい ・労働 ろうどう 者 しゃ が不足 ふそく する場合 ばあい である」と指摘 してき している[28] 。
小野 おの 善康 よしやす は「公共 こうきょう 事業 じぎょう の場合 ばあい 、国民 こくみん は便益 べんえき を受 う ける場合 ばあい は当然 とうぜん と思 おも っても、負担 ふたん には不満 ふまん を感 かん じる。公共 こうきょう 事業 じぎょう は、受益 じゅえき と負担 ふたん の関係 かんけい が明確 めいかく ではなく、損 そん した気分 きぶん になりやすい」と指摘 してき している[29] 。
PFI (Private Finance Initiative)とは、民間 みんかん の資金 しきん ・経営 けいえい 能力 のうりょく を活用 かつよう して公共 こうきょう 施設 しせつ の建設 けんせつ ・維持 いじ 管理 かんり 、運営 うんえい を行 おこな う事業 じぎょう 手法 しゅほう である[30] 。1992年 ねん にイギリスで始 はじ まり、日本 にっぽん では1999年 ねん 9月 がつ に「民間 みんかん 資金 しきん 等 とう の活用 かつよう による公共 こうきょう 施設 しせつ 等 とう の整備 せいび 等 とう の促進 そくしん に関 かん する法律 ほうりつ 」(PFI法 ほう )が施行 しこう されている[30] 。
公共 こうきょう 事業 じぎょう により建造 けんぞう された本州 ほんしゅう 四国 しこく 連絡 れんらく 橋 きょう (明石海峡大橋 あかしかいきょうおおはし )
大鳴門橋 おおなるときょう の工事 こうじ 風景 ふうけい
日本 にっぽん では政府 せいふ 官公庁 かんこうちょう 、自治体 じちたい や地方 ちほう 公共 こうきょう 団体 だんたい 、特殊 とくしゅ 法人 ほうじん などが主体 しゅたい となって財政 ざいせい 資金 しきん を利用 りよう し行 おこな う。その費用 ひよう は、政府 せいふ ・自治体 じちたい ・財投 ざいとう 債 さい などからまかなわれ、さらに財政 ざいせい 法 ほう 第 だい 4条 じょう により、公共 こうきょう 事業 じぎょう 費 ひ に充 あ てられる建設 けんせつ 国債 こくさい の発行 はっこう が認 みと められている。
なお、経済 けいざい 統計 とうけい 上 じょう の「公共 こうきょう 事業 じぎょう 費 ひ 」と「公的 こうてき 固定 こてい 資本 しほん 形成 けいせい 」との違 ちが いについては、公的 こうてき 固定 こてい 資本 しほん 形成 けいせい を参照 さんしょう のこと。
公共 こうきょう 事業 じぎょう 費 ひ ・公的 こうてき 固定 こてい 資本 しほん 形成 けいせい の動向 どうこう
編集 へんしゅう
第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 中 なか は、決戦 けっせん 非常 ひじょう 措置 そち 要綱 ようこう に基 もと づき1944年度 ねんど から原則 げんそく 、公共 こうきょう 土木 どぼく 事業 じぎょう が中断 ちゅうだん されることとなった[33] 。
戦後 せんご の日本国 にっぽんこく 政府 せいふ によるインフラストラクチャー 整備 せいび は、敗戦 はいせん で焦土 しょうど となったこともあり日本 にっぽん を復興 ふっこう させるのに不可欠 ふかけつ であった[34] 。
日本 にっぽん 政府 せいふ の一般 いっぱん 歳出 さいしゅつ の公共 こうきょう 事業 じぎょう 関係 かんけい 費 ひ をみると、高度 こうど 経済 けいざい 成長 せいちょう には他 た の項目 こうもく 同様 どうよう 、名目 めいもく 数値 すうち ながらに年率 ねんりつ 10%以上 いじょう のペースで増加 ぞうか を示 しめ した。バブル崩壊 ほうかい 後 ご の1992年 ねん 8月 がつ 、総合 そうごう 経済 けいざい 対策 たいさく 以降 いこう の9年間 ねんかん の総 そう 事業 じぎょう 費 ひ は106兆 ちょう 円 えん に達 たっ し、内訳 うちわけ で公共 こうきょう 事業 じぎょう 費 ひ は59.8兆 ちょう 円 えん に上 のぼ った[35] 。1993年 ねん には、以前 いぜん は30兆 ちょう 円 えん 台 だい 前半 ぜんはん であった公共 こうきょう 投資 とうし は40兆 ちょう 円 えん 台 だい となり、対 たい GDP比 ひ で7%前半 ぜんはん 台 だい から8%台 だい に上昇 じょうしょう した[35] 。
GDP比率 ひりつ で日本 にっぽん の公的 こうてき 固定 こてい 資本 しほん 形成 けいせい では、円 えん 高 だか 不 ふ 況 きょう 後 ご の1978年 ねん から1979年 ねん まで(安定 あんてい 成長 せいちょう 期 き )とバブル崩壊 ほうかい 後 ご の1993年 ねん から1997年 ねん までと金融 きんゆう 危機 きき 後 ご の1999年 ねん (失 うしな われた10年 ねん 、インターネット・バブル )が6%台 だい と高 たか い数値 すうち であった[36] 。
1990年代 ねんだい は、1995年度 ねんど と1996年度 ねんど など景気 けいき 拡張 かくちょう 期 き (失 うしな われた10年 ねん 、インターネット・バブル )に入 はい っても公共 こうきょう 事業 じぎょう は増加 ぞうか している[37] 。
日本 にっぽん の公共 こうきょう 投資 とうし 対 たい GDP比 ひ は1980年 ねん には10%ほどであったが、バブル崩壊 ほうかい 後 ご 、1997年 ねん に橋本 はしもと 龍太郎 りゅうたろう の緊縮 きんしゅく 財政 ざいせい の影響 えいきょう で急減 きゅうげん した[38] 。
バブル経済 けいざい には8兆 ちょう 円 えん 程度 ていど の水準 すいじゅん だった公共 こうきょう 事業 じぎょう 関係 かんけい 費 ひ は、1998年 ねん のピーク時 じ には14.9兆 ちょう 円 えん に達 たっ し、対 たい GDP比率 ひりつ で日本 にっぽん の公的 こうてき 固定 こてい 資本 しほん 形成 けいせい は1990年代 ねんだい のピーク時 じ に6.6%となり、欧米 おうべい 主要 しゅよう 国 こく の約 やく 2倍 ばい の水準 すいじゅん となった[39] 。
橋本 はしもと 政権 せいけん 以降 いこう 、緊縮 きんしゅく 財政 ざいせい 政策 せいさく が中心 ちゅうしん 的 てき となり、公共 こうきょう 事業 じぎょう 批判 ひはん キャンペーンが展開 てんかい された[40] 。2002年度 ねんど (平成 へいせい 14年度 ねんど )からは、改革 かいかく を掲 かか げた小泉 こいずみ 純一郎 じゅんいちろう の一連 いちれん の施策 しさく により、公共 こうきょう 事業 じぎょう 関係 かんけい 費 ひ は毎年 まいとし 減少 げんしょう を続 つづ けた。政府 せいふ が2006年 ねん 7月 がつ に閣議 かくぎ 決定 けってい した「骨太 ほねぶと の方針 ほうしん 2006」に盛 も り込 こ んだ歳 とし 出入 でいり 改革 かいかく 案 あん においても、今後 こんご 5年間 ねんかん で1-3%ずつ削減 さくげん していく方針 ほうしん が明記 めいき されていた。公的 こうてき 固定 こてい 資本 しほん 形成 けいせい は、2001年度 ねんど には32兆 ちょう 円 えん であったが、2006年度 ねんど には22兆 ちょう 円 えん と5年間 ねんかん で10兆 ちょう 円 えん 削減 さくげん された[41] 。
2000年 ねん 以降 いこう は自民 じみん ・民主 みんしゅ 両 りょう 党 とう の政権 せいけん 下 か で公共 こうきょう 事業 じぎょう の削減 さくげん が行 おこな われた結果 けっか 、2010年 ねん には、公的 こうてき 固定 こてい 資本 しほん 形成 けいせい の対 たい GDP比 ひ は3.2%(ドイツ1.6%、イギリス2.5%、アメリカ2.5%、フランス3.1%)と、ほぼ半分 はんぶん になった[39] 。先進 せんしん 国 こく の中 なか で、アメリカと並 なら んで政府 せいふ 支出 ししゅつ の対 たい GDPは小 ちい さくなった(2010年 ねん 時点 じてん )[42] 。
2014年 ねん 9月 がつ 17日 にち 、国土 こくど 交通省 こうつうしょう が発表 はっぴょう した7月 がつ の建設 けんせつ 総合 そうごう 統計 とうけい によると、「未 み 消化 しょうか 工事 こうじ 」は16兆 ちょう 7333億 おく 円 えん と過去 かこ 最高 さいこう となり、統計 とうけい を取 と り始 はじ めた2009年 ねん 1月 がつ 以来 いらい 、最 もっと も多 おお くなった[43] 。
この節 ふし は中立 ちゅうりつ 的 てき な観点 かんてん に基 もと づく疑問 ぎもん が提出 ていしゅつ されているか、議論 ぎろん 中 ちゅう です 。
そのため、中立 ちゅうりつ 的 てき でない偏 かたよ った観点 かんてん から記事 きじ が構成 こうせい されているおそれがあり、場合 ばあい によっては記事 きじ の修正 しゅうせい が必要 ひつよう です。議論 ぎろん はノート を参照 さんしょう してください。 (2019年 ねん 5月 がつ )
この節 ふし には独自 どくじ 研究 けんきゅう が含 ふく まれているおそれがあります。 問題 もんだい 箇所 かしょ を検証 けんしょう し出典 しゅってん を追加 ついか して、記事 きじ の改善 かいぜん にご協力 きょうりょく ください。議論 ぎろん はノート を参照 さんしょう してください。(2019年 ねん 5月 がつ )
普代 ふだい 水門 すいもん
岩手 いわて 県 けん 普代 ふだい 村 むら や洋 よう 野 の 町 まち では、M9.0という東日本 ひがしにっぽん 大震災 だいしんさい においても高 たか さ15.5mの普代 ふだい 水門 すいもん (1984年 ねん 完成 かんせい )や太田名部 おおたなべ 防潮 ぼうちょう 堤 つつみ (普代 ふだい 村 むら )や高 たか さ12mの防潮 ぼうちょう 堤 つつみ (洋 よう 野 の 町 まち )が破壊 はかい されずに津波 つなみ をはね返 かえ し、それらの地域 ちいき の貴重 きちょう な人命 じんめい と財産 ざいさん を守 まも った[44] [45] [46] 。普代 ふだい 村 むら では2011年 ねん の東北 とうほく 地方 ちほう 太平洋 たいへいよう 沖 おき 地震 じしん において被災 ひさい した民家 みんか は無 な く、死者 ししゃ はゼロである[47] 。普代 ふだい 水門 すいもん 自体 じたい は、事業 じぎょう 計画 けいかく 時 じ に15.5メートルは高 たか すぎるとして非難 ひなん を浴 あ びたが、当時 とうじ の村長 そんちょう である和 かず 村 むら 幸 さいわい 得 とく [47] が「15メートル以上 いじょう 」と譲 ゆず らず、防災 ぼうさい のための政府 せいふ 支出 ししゅつ を惜 お しまなかった[48] 。
平成 へいせい 24年 ねん 7月 がつ 九州 きゅうしゅう 北部 ほくぶ 豪雨 ごうう で、大分 おおいた 県 けん 竹田 たけだ 市 し ではダムが完成 かんせい していた場所 ばしょ では被害 ひがい は無 な かったが、玉来川 たまらいがわ 下流 かりゅう で氾濫 はんらん し市 し が広範囲 こうはんい にわたって浸水 しんすい 。住宅 じゅうたく 21棟 むね が全壊 ぜんかい し、半壊 はんかい 15棟 むね 、床上 ゆかうえ 浸水 しんすい 103棟 むね 、床下 ゆかした 浸水 しんすい 41棟 むね となり、橋 はし の流失 りゅうしつ もみられた。この豪雨 ごうう の影響 えいきょう で豊後 ぶんご 竹田 たけだ 駅 えき -宮地 みやじ 駅 えき 間 あいだ は豪雨 ごうう の翌年 よくねん 8月 がつ 3日 にち まで不通 ふつう 状態 じょうたい となった。
自民党 じみんとう の谷垣 たにがき 禎一 ていいち や同市 どうし を地盤 じばん とする衛藤 えとう 征士郎 せいしろう は、事業 じぎょう 仕分 しわ け で玉来 たまらい ダム建設 けんせつ が延期 えんき されていたことが洪水 こうずい の原因 げんいん と主張 しゅちょう したが[49] 、民主党 みんしゅとう の大河原 おおかわら 雅子 まさこ は同年 どうねん 7月 がつ 30日 にち の参議院 さんぎいん 決算 けっさん 委員 いいん 会 かい で、完成 かんせい 予定 よてい は当初 とうしょ から2017年 ねん であり自公 じこう 政権 せいけん が続 つづ いていたとしてもダムは完成 かんせい していなかったと指摘 してき している[50] 。
また公益社 こうえきしゃ 団 だん 法人 ほうじん 土木 どぼく 学会 がっかい の調査 ちょうさ では、魚住 うおずみ ダム(竹田 たけだ 調整 ちょうせい 池 ち 堰 せき )のせき上 あ げや阿蔵 あぞう 新橋 しんばし および玉来 たまらい 新橋 しんばし の橋脚 きょうきゃく に流木 りゅうぼく が集積 しゅうせき し水位 すいい を上昇 じょうしょう させた可能 かのう 性 せい を指摘 してき 。検討 けんとう の結果 けっか 、洪水 こうずい は流木 りゅうぼく による流水 りゅうすい 断 だん 面積 めんせき の減少 げんしょう が引 ひ き起 お こしたと推測 すいそく している[51] 。
平成 へいせい 26年 ねん 8月 がつ 豪雨 ごうう による広島 ひろしま 市 し の土砂 どしゃ 災害 さいがい
編集 へんしゅう
2014年 ねん 8月 がつ における集中 しゅうちゅう 豪雨 ごうう の影響 えいきょう により広島 ひろしま 市 し の安佐北 あさきた 区 く などで大 だい 規模 きぼ な土砂 どしゃ 災害 さいがい が発生 はっせい した。政府 せいふ は、被害 ひがい 区域 くいき に建設 けんせつ 計画 けいかく があった9基 き の砂防 さぼう 堰堤 えんてい のうち一 ひと つも完成 かんせい していなかったことを認 みと めた。ダムが完成 かんせい していれば被害 ひがい を最小限 さいしょうげん に抑 おさ えられた可能 かのう 性 せい が指摘 してき されている[52] 。国土 こくど 交通省 こうつうしょう は、2010年 ねん の時点 じてん で日本 にっぽん 全国 ぜんこく 89,000箇所 かしょ の砂防 さぼう ダム計画 けいかく のうち22パーセントしか建設 けんせつ が完成 かんせい していないとしている[52] 。また現地 げんち 自治体 じちたい による住民 じゅうみん への避難 ひなん 勧告 かんこく が遅 おく れたことも指摘 してき されている[53] 。
竹中 たけなか 平蔵 へいぞう は、日本 にっぽん の公共 こうきょう 事業 じぎょう が増加 ぞうか した理由 りゆう として、1)景気 けいき 対策 たいさく として国民 こくみん の期待 きたい 感 かん を利用 りよう し一部 いちぶ の族 ぞく 議員 ぎいん が建設 けんせつ 業者 ぎょうしゃ へのバラマキを続 つづ けたこと、2)抑制 よくせい する仕組 しく みが日本 にっぽん の社会 しゃかい に無 な かったこと、3)1980-1990年代 ねんだい にかけて巨額 きょがく の経常 けいじょう 収支 しゅうし 黒字 くろじ を抱 かか えていたことの3つを挙 あ げている[54] 。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の井堀 いぼり 利宏 としひろ は「1990年代 ねんだい 以降 いこう 、日本 にっぽん で公共 こうきょう 事業 じぎょう に無駄 むだ が多 おお くなったのも、財政 ざいせい 赤字 あかじ が拡大 かくだい していったのも、受益 じゅえき と負担 ふたん の乖離 かいり が進 すす んだからである」と指摘 してき している[55] 。
中野 なかの 剛志 たけし はデフレーション 対策 たいさく を含 ふく め財政 ざいせい 出動 しゅつどう の必要 ひつよう 性 せい を訴 うった えており、その投資 とうし 先 さき としては、老朽 ろうきゅう 化 か した橋 はし 、道路 どうろ 、下水 げすい 管 かん 、被災 ひさい 地 ち の復興 ふっこう 、耐震 たいしん 強化 きょうか 、水害 すいがい 対策 たいさく など将来 しょうらい に向 む けたインフラストラクチャー が山 やま ほど存在 そんざい することを強調 きょうちょう している。それにもかかわらず、現代 げんだい 日本 にっぽん では老朽 ろうきゅう 化 か したインフラの更新 こうしん 投資 とうし など本来 ほんらい やるべきことを怠 おこた り、こうして削減 さくげん した公共 こうきょう 事業 じぎょう を財源 ざいげん として社会 しゃかい 保障 ほしょう 費 ひ や子 こ ども手当 てあて に資金 しきん をあてていることを批判 ひはん している[56] 。ケインズ経済 けいざい 学 がく 的 てき な不 ふ 況 きょう 対策 たいさく は国民 こくみん 統合 とうごう された福祉 ふくし 国家 こっか でないと機能 きのう せず、マクロ経済 けいざい 管理 かんり ができない国 くに はグローバル化 か すべきではなかったとしている[57] 。
エコノミストの神尾 かみお 文彦 ふみひこ は、日本 にっぽん の公共 こうきょう インフラのその更新 こうしん 投資 とうし 額 がく は、2050年 ねん 時点 じてん で20兆 ちょう 円 えん 以上 いじょう 、2010-2050年度 ねんど で約 やく 490兆 ちょう 円 えん と試算 しさん している(2009年 ねん 時点 じてん )[58] 。
藤井 ふじい 聡 さとし は、300兆 ちょう 円 えん 規模 きぼ の公共 こうきょう 事業 じぎょう によるインフラ整備 せいび を提言 ていげん している[59] 。
岩田 いわた 規久男 きくお は「デフレから脱却 だっきゃく して景気 けいき が回復 かいふく するまでに、役 やく に立 た つ公共 こうきょう 事業 じぎょう は、できる限 かぎ り終 お わらせておくべきである。景気 けいき が回復 かいふく してから役 やく に立 た つ公共 こうきょう 事業 じぎょう を実施 じっし すれば、民間 みんかん 活動 かつどう を阻害 そがい する」と指摘 してき している[60] 。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の清滝 きよたき 信宏 のぶひろ は従来 じゅうらい 型 がた の公共 こうきょう 事業 じぎょう は効率 こうりつ が悪 わる いため、インフラの更新 こうしん 投資 とうし の方 ほう が望 のぞ ましいと指摘 してき している[61] 。
竹中 たけなか 平蔵 へいぞう は「問題 もんだい は、本当 ほんとう に子 こ どもたちがそのインフラを必要 ひつよう としているかが解 わか らないということである」と指摘 してき している[62] 。
原田 はらだ 泰 やすし は「建設 けんせつ 業 ぎょう の生産 せいさん 性 せい は、公共 こうきょう 事業 じぎょう を削減 さくげん した2000年 ねん 以降 いこう 高 たか くなっている。これは公共 こうきょう 事業 じぎょう の縮小 しゅくしょう によって競争 きょうそう がきびしくなり、人員 じんいん 整理 せいり が進 すす んだからである」と指摘 してき している[63] 。また原田 はらだ は「必要 ひつよう な公共 こうきょう 事業 じぎょう に限 かぎ って重点的 じゅうてんてき に行 おこな うのは当然 とうぜん である」と指摘 してき している[64] 。
建設 けんせつ 業 ぎょう の供給 きょうきゅう 制約 せいやく
経済 けいざい 学者 がくしゃ の飯田 いいだ 泰之 やすゆき は「好 こう 況 きょう 時 じ の公共 こうきょう 事業 じぎょう は人手 ひとで 不足 ふそく を招 まね く」と指摘 してき している[65] 。
原田 はらだ 泰 やすし は「公共 こうきょう 事業 じぎょう の増額 ぞうがく は地方 ちほう の活性 かっせい 化 か の答 こた えにはならない。アベノミクス の第 だい 2の矢 や で公共 こうきょう 事業 じぎょう を増 ふ やしたら、人手 ひとで が集 あつ まらなくなってしまった。地方 ちほう で高齢 こうれい 化 か が進 すす み、公共 こうきょう 事業 じぎょう で働 はたら く人 じん がいなくなっていたということである[66] 」「ケインズは、穴 あな を掘 ほ ってまた埋 う めるような仕事 しごと でも、失業 しつぎょう を放置 ほうち するよりましだと言 い ったが、一理 いちり はある。しかし、建設 けんせつ 工事 こうじ 費 ひ ・建設 けんせつ 労働 ろうどう 者 しゃ の賃金 ちんぎん が上 あ がっているということは、その分野 ぶんや ではすでに資材 しざい ・人材 じんざい が足 た りているということである。ケインズ政策 せいさく を行 おこ なう前提 ぜんてい が崩 くず れている[17] 」と指摘 してき している。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の片岡 かたおか 剛士 たけし は建設 けんせつ 業 ぎょう の供給 きょうきゅう 制約 せいやく の要点 ようてん として、1)建設 けんせつ 業 ぎょう の規模 きぼ の減少 げんしょう 、2)建設 けんせつ 業 ぎょう 就業 しゅうぎょう 者 しゃ の高齢 こうれい 化 か の進行 しんこう 、3)建設 けんせつ 工事 こうじ の特定 とくてい 地域 ちいき への集中 しゅうちゅう 、4)建設 けんせつ 関係 かんけい の技能 ぎのう 労働 ろうどう 者 しゃ の減少 げんしょう 、5)鉄鋼 てっこう ・セメントなどの建設 けんせつ 資材 しざい の不足 ふそく 、を挙 あ げている[67] 。
1990年代 ねんだい の「失 うしな われた30年 ねん 」に景気 けいき 浮揚 ふよう を狙 ねら って公共 こうきょう 事業 じぎょう が盛 さか んに実施 じっし されて以来 いらい 、公共 こうきょう 事業 じぎょう への依存 いぞん が続 つづ いた結果 けっか 、公共 こうきょう 事業 じぎょう の生産 せいさん 性 せい は大 おお きく低下 ていか しているという問題 もんだい はしばしば指摘 してき されている[68] 。池田 いけだ 信夫 しのぶ は「100兆 ちょう 円 えん 以上 いじょう の『景気 けいき 対策 たいさく 』としての公共 こうきょう 事業 じぎょう は、不 ふ 況 きょう をかえって長期 ちょうき 化 か させた。労働 ろうどう 生産 せいさん 性 せい が低 ひく い部門 ぶもん に労働 ろうどう が移動 いどう することによって、経済 けいざい 全体 ぜんたい の生産 せいさん 性 せい が低下 ていか した」と指摘 してき している[69] 。
内閣 ないかく 府 ふ のマクロモデルによる試算 しさん では、公共 こうきょう 事業 じぎょう の乗数 じょうすう 効果 こうか の低下 ていか が指摘 してき されている。その試算 しさん では公共 こうきょう 事業 じぎょう の乗数 じょうすう 効果 こうか は、1980年 ねん の1.67から1990年 ねん には1.31まで低下 ていか した[70] 。乗数 じょうすう 効果 こうか の低下 ていか の要因 よういん として、車 くるま の通 とお らない道路 どうろ 、飛行機 ひこうき の飛 と ばない空港 くうこう 、空 あ き地 ち の目立 めだ つ工業 こうぎょう 団地 だんち など効率 こうりつ の悪 わる い公共 こうきょう 事業 じぎょう を優先 ゆうせん させたことが挙 あ げられている[70] 。
日本 にっぽん の公共 こうきょう 事業 じぎょう とGDPの関係 かんけい を相関 そうかん 係数 けいすう という統計 とうけい 的 てき 尺度 しゃくど で見 み ると、1980-95年 ねん では0.849、1996-2013年 ねん ではマイナス0.886となっている[71] 。
財政 ざいせい 支出 ししゅつ の増大 ぞうだい は、クラウディングアウト 効果 こうか による民間 みんかん 投資 とうし や消費 しょうひ の減少 げんしょう を引 ひ き起 お こしたり、マンデルフレミングモデル に従 したが うと円 えん 高 だか を招 まね いて純 じゅん 輸出 ゆしゅつ を減少 げんしょう させたりすることから、需要 じゅよう 刺激 しげき の効果 こうか は相殺 そうさい されるため、公共 こうきょう 事業 じぎょう による景気 けいき 対策 たいさく は効果 こうか に乏 とぼ しいとされる[17] 。
しかしマンデルフレミングモデルは小国 しょうこく 開放 かいほう 経済 けいざい モデルであると指摘 してき されている[72] 。
エコノミストの安達 あだち 誠司 せいじ は「老朽 ろうきゅう 化 か したインフラなどの社会 しゃかい 資本 しほん の整備 せいび は国 くに 全体 ぜんたい の生産 せいさん 性 せい を高 たか める可能 かのう 性 せい はある」と指摘 してき している[73] 。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の若田部 わかたべ 昌 あきら 澄 きよし は「公共 こうきょう 事業 じぎょう については、都市 とし 部 ぶ のインフラ、新幹線 しんかんせん ・高速 こうそく 道路 どうろ 、地震 じしん 対策 たいさく などは必要 ひつよう である」と指摘 してき している[74] 。若田部 わかたべ は「建設 けんせつ 業 ぎょう よりも波及 はきゅう 効果 こうか が高 たか い可能 かのう 性 せい があるものとしては、介護 かいご 、医療 いりょう 、環境 かんきょう 、サービスがあり、公共 こうきょう 事業 じぎょう といってもやり方 かた はいくらでもある」と指摘 してき している[75] 。
経済 けいざい 学者 がくしゃ のラグラム・ラジャン は「(日本 にっぽん が)内需 ないじゅ 主導 しゅどう 型 がた 経済 けいざい へ転換 てんかん するためにも構造 こうぞう 改革 かいかく は必要 ひつよう である。橋 はし やダムの建設 けんせつ など公共 こうきょう 事業 じぎょう の拡大 かくだい で内需 ないじゅ を刺激 しげき しても、根本 こんぽん 的 てき な解決 かいけつ にはならない」と指摘 してき している[76] 。
原田 はらだ 泰 やすし は「政府 せいふ 支出 ししゅつ の効率 こうりつ 低下 ていか とマンデル=フレミング・モデルの両方 りょうほう の効果 こうか が起 お きていることは確 たし かである。賢 かしこ い公共 こうきょう 事業 じぎょう をして、同時 どうじ に金融 きんゆう 緩和 かんわ をすればよい」と指摘 してき している[77] 。また原田 はらだ は「無駄 むだ な公共 こうきょう 事業 じぎょう に使 つか うのなら、税金 ぜいきん は極力 きょくりょく 取 と らないほうがいい」と指摘 してき している[78] 。原田 はらだ は「格差 かくさ 縮小 しゅくしょう のために無駄 むだ な公共 こうきょう 事業 じぎょう を行 おこな うには、膨大 ぼうだい なコストがかかる。むしろ、直接 ちょくせつ お金 かね を配 くば ったほうが安 やす くすむ。また、負 まけ の所得 しょとく 税 ぜい や技術 ぎじゅつ 習得 しゅうとく の援助 えんじょ というやり方 かた もある」と指摘 してき している[79] 。
岩田 いわた 規久男 きくお は、地方 ちほう 経済 けいざい の自立 じりつ 化 か にも資 し する公共 こうきょう 事業 じぎょう の例 れい として、林業 りんぎょう の復活 ふっかつ のための公共 こうきょう 事業 じぎょう (路 みち 網 もう 建設 けんせつ )、電力 でんりょく ・ガスの区域 くいき 間 あいだ の連携 れんけい 線 せん 整備 せいび のための公共 こうきょう 事業 じぎょう を挙 あ げている[80] 。
貯蓄 ちょちく 投資 とうし バランス・投資 とうし 回収 かいしゅう 性 せい
編集 へんしゅう
飯田 いいだ 泰之 やすゆき は「公共 こうきょう 事業 じぎょう とは、本来 ほんらい は社会 しゃかい 資本 しほん 整備 せいび である。日本 にっぽん の公共 こうきょう 事業 じぎょう は、建前 たてまえ で社会 しゃかい 資本 しほん ・インフラ整備 せいび となっているが、リターンの計算 けいさん は真剣 しんけん に行 おこな われていなかった結果 けっか 、採算 さいさん を度外視 どがいし した道路 どうろ 建設 けんせつ ・港湾 こうわん 整備 せいび が続 つづ いた」と指摘 してき している[81] 。
投資 とうし 回収 かいしゅう
「熊 くま しか通 とお らない有料 ゆうりょう 道路 どうろ なら、国債 こくさい を刷 す って建設 けんせつ しても、通行 つうこう 料 りょう 収入 しゅうにゅう で国債 こくさい を償還 しょうかん できない。しかし、東名高速道路 とうめいこうそくどうろ のように通行 つうこう 量 りょう が多 おお い道路 どうろ で、安価 あんか に建設 けんせつ できるなら、国債 こくさい を刷 す って建設 けんせつ しても通行 つうこう 量 りょう 収入 しゅうにゅう で充分 じゅうぶん 返済 へんさい 可能 かのう で、政府 せいふ 累積 るいせき 債務 さいむ は増 ふ えず、雇用 こよう 所得 しょとく を発生 はっせい させる」「一方 いっぽう 、福祉 ふくし も国庫 こっこ 収入 しゅうにゅう を発生 はっせい させないので、国債 こくさい を刷 す って福祉 ふくし 財源 ざいげん に充当 じゅうとう すれば、熊 くま 道 どう 同様 どうよう に政府 せいふ 累積 るいせき 債務 さいむ を増 ふ やしてしまう」「日本 にっぽん の問題 もんだい は採算 さいさん 道路 どうろ ・鉄道 てつどう の枯渇 こかつ にあるので、それ以外 いがい の発電 はつでん 所 しょ 建設 けんせつ 等 とう の投資 とうし 回収 かいしゅう 可能 かのう 事業 じぎょう 等 とう を行 おこな えばよい」
経済 けいざい 効率 こうりつ
1人 ひとり の失業 しつぎょう 者 しゃ に100円 えん の失業 しつぎょう 給付 きゅうふ を渡 わた すより10人 にん の失業 しつぎょう 者 しゃ に農林 のうりん の仕事 しごと を与 あた え、賃金 ちんぎん として100円 えん x10人 にん に渡 わた し、生産 せいさん 農産物 のうさんぶつ を900円 えん で市場 いちば 売却 ばいきゃく したほうが、少 すく ない予算 よさん でより多 おお くの人数 にんずう を救済 きゅうさい でき、GDPも増 ふ える(民間 みんかん 会社 かいしゃ では人件 じんけん 費 ひ が売上 うりあ げを上回 うわまわ る事業 じぎょう はできない)。
貯蓄 ちょちく 投資 とうし バランス
景気 けいき 後退 こうたい 局面 きょくめん においては、有効 ゆうこう 需要 じゅよう 不足 ふそく によって、財 ざい が売 う れなくなり工場 こうじょう 生産 せいさん 設備 せつび が遊 あそ んでしまうが、このような局面 きょくめん において、銀行 ぎんこう などから金銭 きんせん を借 か りて、更 さら に生産 せいさん 設備 せつび 投資 とうし をする経営 けいえい 者 しゃ はいないので、資金 しきん 実需 じつじゅ (資金 しきん の借 か り手 て )が不足 ふそく して、貯蓄 ちょちく 過剰 かじょう 状態 じょうたい に陥 おちい って資金 しきん が金融 きんゆう 機関 きかん で滞留 たいりゅう したり、投機 とうき に回 まわ って貨幣 かへい の流通 りゅうつう 速度 そくど が低下 ていか して景気 けいき が更 さら に悪化 あっか する。その場合 ばあい 、貯蓄 ちょちく を減 へ らし、投資 とうし ・消費 しょうひ を増 ふ やさねばならないが、投資 とうし 回収 かいしゅう 可能 かのう で投資 とうし 利回 りまわ りの高 たか い政府 せいふ 投資 とうし を行 おこな えば、大量 たいりょう の民間 みんかん 貯蓄 ちょちく を国債 こくさい で吸 す い上 あ げて投資 とうし に繋 つな げて、資金 しきん 流通 りゅうつう 速度 そくど を速 はや めることができる。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の円居 まどい 総一 そういち は「大半 たいはん の地方自治体 ちほうじちたい は、ダム・道路 どうろ 、そして原子力 げんしりょく 発電 はつでん 所 しょ の立地 りっち などによる公共 こうきょう 事業 じぎょう に依存 いぞん してきたのが実態 じったい であり、それが日本 にっぽん 経済 けいざい の構造 こうぞう 的 てき 弱点 じゃくてん であった」と指摘 してき している[82] 。
岩田 いわた 規久男 きくお は「住民 じゅうみん が政治 せいじ 活動 かつどう を通 つう じ、自己 じこ 負担 ふたん 無 な しの公共 こうきょう 事業 じぎょう を求 もと める行為 こうい は、レント・シーキング である[83] 」「ある特定 とくてい の地域 ちいき に公共 こうきょう 事業 じぎょう が割 わ り当 あ てられ、その地域 ちいき 住民 じゅうみん が公共 こうきょう 事業 じぎょう の費用 ひよう を負担 ふたん しないのであれば、利益 りえき だけを享受 きょうじゅ できる。負担 ふたん なしに得 え られた利益 りえき は、競争 きょうそう 的 てき 市場 いちば では得 え られない超過 ちょうか 利益 りえき であり公共 こうきょう 事業 じぎょう によるレント である[84] 」と指摘 してき している。岩田 いわた は「公共 こうきょう 事業 じぎょう の地元 じもと 誘致 ゆうち によって、最 もっと も利益 りえき を享受 きょうじゅ するのは地元 じもと の建設 けんせつ 業者 ぎょうしゃ である」と指摘 してき している[85] 。
飯田 いいだ 泰之 やすゆき は「財政 ざいせい 政策 せいさく を効 き かせるポイントは、いかに金 かね を使 つか う人 ひと にまわすかにある。公共 こうきょう 事業 じぎょう にまわしても、地方 ちほう の土建 どけん 業者 ぎょうしゃ は借金 しゃっきん でぎりぎりであるため、金 かね を返 かえ して終了 しゅうりょう というのがほとんどである」と指摘 してき している[86] 。
県民 けんみん 一 いち 人 にん 当 あ たり公共 こうきょう 事業 じぎょう 額 がく をみると、多 おお い順 じゅん に島根 しまね 県 けん 79万 まん 円 えん 、高知 こうち 県 けん 67万 まん 円 えん 、徳島 とくしま 県 けん 65万 まん 円 えん となっており、最 もっと も少 すく ないのは神奈川 かながわ 県 けん 20万 まん 円 えん となっている(2002年 ねん 時点 じてん )[87] 。
みずほ総合 そうごう 研究所 けんきゅうじょ は「各 かく 都道府県 とどうふけん で面積 めんせき ・社会 しゃかい 資本 しほん の整備 せいび 状 じょう 況 きょう が違 ちが うため、単純 たんじゅん 比較 ひかく はできない。公共 こうきょう 事業 じぎょう 自体 じたい が、景気 けいき 調整 ちょうせい 機能 きのう と所得 しょとく 再 さい 分配 ぶんぱい 機能 きのう を一部 いちぶ 担 にな っているため、地域 ちいき 間 あいだ で格差 かくさ があることは仕方 しかた ない面 めん もある」と指摘 してき している[87] 。
池田 いけだ 信夫 しのぶ は「公共 こうきょう 事業 じぎょう は、大都市 だいとし ・地方 ちほう 中核 ちゅうかく 都市 とし に重点的 じゅうてんてき に配分 はいぶん すべきである。地方 ちほう 都市 とし は、自然 しぜん 環境 かんきょう を保護 ほご することに予算 よさん を使 つか うべきである」と指摘 してき している[88] 。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の竹森 たけもり 俊平 しゅんぺい は「現在 げんざい (2014年 ねん )でも生産 せいさん 性 せい の高 たか い経済 けいざい 的 てき にメリットのある公共 こうきょう 事業 じぎょう のプロジェクトはまだ存在 そんざい する。例 たと えば、首都 しゅと 圏 けん の交通 こうつう 混雑 こんざつ を解消 かいしょう するための公共 こうきょう 事業 じぎょう などは、明白 めいはく にメリットが存在 そんざい する。有益 ゆうえき なプロジェクトが大都市 だいとし にはいくらでもあるのに、公共 こうきょう 事業 じぎょう は地方 ちほう で集中 しゅうちゅう 的 てき に実施 じっし される。それは公共 こうきょう 投資 とうし の大都市 だいとし 圏 けん と地方 ちほう 圏 けん への配分 はいぶん の違 ちが いで明確 めいかく に表 あらわ れている。政治 せいじ プロセスの歪 ゆが みによる弊害 へいがい である。日本 にっぽん では人 ひと の住 す むところではなく、住 す まないところにも橋 はし ・道路 どうろ ・コンサートホールがつくられる。これでは公共 こうきょう 事業 じぎょう は無意味 むいみ という評価 ひょうか が定着 ていちゃく してもおかしくない」と指摘 してき している[68] 。
円居 まどい 総一 そういち は「原子力 げんしりょく 発電 はつでん は、産業 さんぎょう 政策 せいさく と相 あい まって、巨大 きょだい なビジネス・公共 こうきょう 事業 じぎょう として推進 すいしん されてきた」と指摘 してき している[89] 。円居 まどい は「地方自治体 ちほうじちたい が原子力 げんしりょく 発電 はつでん 依存 いぞん に陥 おちい っていった要因 よういん は、産業 さんぎょう 基盤 きばん の弱体 じゃくたい 化 か にある」と指摘 してき している[90] 。
松原 まつばら 聡 さとし は「無駄 むだ な公共 こうきょう 事業 じぎょう が行 おこな われる大 おお きな原因 げんいん は、政治 せいじ 家 か と業界 ぎょうかい と官僚 かんりょう の癒着 ゆちゃく にある」と指摘 してき している[91] 。
公共 こうきょう 事業 じぎょう がカルテル も含 ふく めて談合 だんごう の温床 おんしょう になっており、官僚 かんりょう ・官吏 かんり の関係 かんけい 企業 きぎょう への天下 あまくだ り などを通 つう じて政 せい 財 ざい 官 かん の癒着 ゆちゃく の原因 げんいん になっているとの指摘 してき がある。岩田 いわた 規久男 きくお は「一人 ひとり 当 あ たりのレントが費用 ひよう よりも大 おお きいほど、レント・シーキング活動 かつどう は活発 かっぱつ となる」と指摘 してき している[84] 。
1998年 ねん 、米国 べいこく の経済 けいざい 雑誌 ざっし フォーブス アメリカ版 ばん に、当時 とうじ アジア支局 しきょく 長 ちょう であったベンジャミン・フルフォード が、日本 にっぽん の公共 こうきょう 事業 じぎょう は暴力団 ぼうりょくだん の資金 しきん 源 げん になっているという記事 きじ を執筆 しっぴつ 、掲載 けいさい された。
関西国際空港 かんさいこくさいくうこう の1期 き 工事 こうじ 代金 だいきん の20-30%が暴力団 ぼうりょくだん に流 なが れていると関西 かんさい の中堅 ちゅうけん ゼネコンの幹部 かんぶ や警察 けいさつ の暴力団 ぼうりょくだん の担当 たんとう 刑事 けいじ が証言 しょうげん している[92] [93] 。また日本 にっぽん 弁護士 べんごし 連合 れんごう 会 かい の公共 こうきょう 事業 じぎょう プロジェクトでも同様 どうよう の結果 けっか も出 で ている[93] 。
全日本 ぜんにほん 自治 じち 団体 だんたい 労働 ろうどう 組合 くみあい (自治労 じちろう )は、地方自治体 ちほうじちたい が国 くに から補助 ほじょ 金 きん を受 う けていることが国 くに 直轄 ちょっかつ の大型 おおがた 公共 こうきょう 事業 じぎょう を拒否 きょひ できない理由 りゆう だと指摘 してき し、補助 ほじょ 金 きん が廃止 はいし されても執行 しっこう が続 つづ けられる公共 こうきょう 事業 じぎょう への転換 てんかん を主張 しゅちょう している。また環境 かんきょう に配慮 はいりょ した公共 こうきょう 事業 じぎょう が収入 しゅうにゅう に繋 つな がらない実態 じったい に対 たい して、環境 かんきょう を守 まも るために税金 ぜいきん を投入 とうにゅう するシステムの構築 こうちく を求 もと めている[94] 。