ジョン・メイナード・ケインズ

初代しょだいケインズ男爵だんしゃくジョン・メイナード・ケインズ（英えい: John Maynard Keynes, 1st Baron Keynes CB, FBA 、1883年ねん6月5日にち - 1946年ねん4月がつ21日にち）は、イギリスの経済けいざい学者がくしゃ、ジャーナリスト、貴族きぞく、投資とうし家か。

ジョン・メイナード・ケインズ
John Maynard Keynes

ケインズ経済けいざい学がく
ケインズ（1933年ねん）
生誕せいたん	1883年ねん6月5日にち イギリス イングランド ケンブリッジシャー、ケンブリッジ
死没しぼつ	(1946-04-21) 1946年ねん4月がつ21日にち（62歳さい没ぼつ） イギリス イングランド イースト・サセックス、ティルトン（ファール近郊きんこう）
国籍こくせき	イギリス
研究けんきゅう機関きかん	ケンブリッジ大学けんぶりっじだいがく
研究けんきゅう分野ぶんや	マクロ経済けいざい学がく、確率かくりつ論ろん
母校ぼこう	ケンブリッジ大学けんぶりっじだいがくキングス・カレッジ
博士はかせ課程かてい 指導しどう教員きょういん	アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド William Ernest Johnson
博士はかせ課程かてい 指導しどう学生がくせい	デヴィッド・チャンパーノウン ジョーン・ロビンソン
影響えいきょうを 受うけた人物じんぶつ	アダム・スミス、デヴィッド・リカード、デイヴィッド・ヒューム、ジョン・スチュアート・ミル、トマス・ロバート・マルサス、エドマンド・バーク、シルビオ・ゲゼル、G・E・ムーア、アルフレッド・マーシャル、クヌート・ウィクセル、デニス・ロバートソン、ミハウ・カレツキ
論敵ろんてき	カール・マルクス、フリードリヒ・ハイエク、アルフレッド・マーシャル、アーサー・ピグー
影響えいきょうを 与あたえた人物じんぶつ	T・K・ワイテイカー、パトリック・リンチ、サイモン・クズネッツ、ポール・サミュエルソン、ジョン・ヒックス、ジョージ・シャックル、ウィリアム・ヴィクレー、ジョン・ケネス・ガルブレイス、ハイマン・ミンスキー、ロバート・シラー、ジョセフ・スティグリッツ、ポール・クルーグマン、ヌリエル・ルビーニ、ロイ・ハロッド、ジョーン・ロビンソン、オースティン・ロビンソン、リチャード・カーン、ジェイムズ・ミード、ピエロ・スラッファ
実績じっせき	マクロ経済けいざい学がく ケインズ経済けいざい学がく 流動りゅうどう性せい選好せんこう説せつ 支出ししゅつ乗数じょうすう 総そう需要じゅよう・総そう供給きょうきゅうモデル
署名しょめい

人物じんぶつ

イングランド、ケンブリッジ出身しゅっしん。20世紀せいきにおける最さい重要じゅうよう人物じんぶつの一人ひとりであり、経済けいざい学者がくしゃの代表だいひょう的てき存在そんざいである。その功績こうせきが現代げんだいの経済けいざい学がくに与あたえた影響えいきょうは計はかり知しれない。ケインズは、失業しつぎょうの原因げんいんに関かんする経済けいざい理論りろんを確立かくりつし、代表だいひょう作さくである『雇用こよう・利子りしおよび貨幣かへいの一般いっぱん理論りろん』(1936) では、完全かんぜん雇用こよう政策せいさくに基もとづく経済けいざい不ふ況きょうの救済きゅうさい策さくを提唱ていしょうした。マクロ経済けいざい学がくの理論りろんと実践じっせん、および各国かっこく政府せいふの経済けいざい政策せいさくを根本こんぽん的てきに変かえ、最もっとも影響えいきょう力りょくのある経済けいざい学者がくしゃの1人ひとりである。

ケインズは、数学すうがくを研究けんきゅう後ご、景気けいき循環じゅんかん理論りろんを改良かいりょうし、有効ゆうこう需要じゅように基もとづいてケインズサーカスを率ひきいてマクロ経済けいざい学がくを確立かくりつさせた。ケインズ経済けいざい学がくとして知しられる学派がくはの基礎きそとなる理論りろんを作成さくせいした。また、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん後ごの外為がいため体制たいせい（ブレトン・ウッズ体制たいせい）をめぐりハリー・ホワイトと案あんを出だし合あった。

ケインズ経済けいざい学がくは、1970年代ねんだいに景気けいき後退こうたい対策たいさくとしてはマネーサプライに限定げんていすべきと主張しゅちょうするマネタリズムが台頭たいとうしてからは、一時いちじ勢いきおいを失うしなったものの、2007年ねんの世界せかい金融きんゆう危機きき以後いご、ケインズ理論りろんに基もとづく政策せいさくが成功せいこうし、新しんケインズ主義しゅぎも台頭たいとうした。

経済けいざい学がくの大家たいかアルフレッド・マーシャルの弟子でしであり、論敵ろんてきアーサー・セシル・ピグーとは兄弟きょうだい弟子でしであった。また、ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインやブルームズベリー・グループとの交流こうりゅうが有名ゆうめいである。

経歴けいれき

ケインズは、ケンブリッジ大学けんぶりっじだいがくの経済けいざい学者がくしゃであるジョン・ネヴィル・ケインズと母ははフローレンスとの間あいだに1883年ねんに生うまれた。

ケインズは、名門めいもんパブリック・スクールであるイートン・カレッジを経へて、1902年ねんにケンブリッジ大学けんぶりっじだいがくのキングス・カレッジに入学にゅうがくした。ケンブリッジ大学けんぶりっじだいがくでは、数学すうがくを専攻せんこうした。学生がくせい時代じだいは、政治せいじにも関心かんしんを持もち、さまざまな活動かつどうを行おこない、学内がくないのサークル「ザ・ソサエティ」では代表だいひょうを務つとめた。1905年ねんにはアルフレッド・マーシャルに学まなび、経済けいざい学がくの道みちへと進すすんだ。

ケインズは、1906年ねんにケンブリッジ大学けんぶりっじだいがく卒業そつぎょう後ご、高等こうとう文官ぶんかん試験しけんを2位いで通過つうかして、インド省しょうに就職しゅうしょくした。その後ご、1908年ねんにインド省しょうを退官たいかんし、ケンブリッジ大学けんぶりっじだいがくに戻もどってキングス・カレッジの研究けんきゅう員いんとなった。大学だいがくでは講師こうしとして貨幣かへい論ろんを研究けんきゅう・担当たんとうし、また経済けいざい原論げんろんも講義こうぎするようになった。1912年ねんには経済けいざい学がく誌しのエコノミック・ジャーナル誌し編集へんしゅう者しゃに就任しゅうにんし、1945年ねんまで務つとめている。その後ご、1915年ねんには大蔵省おおくらしょうに移うつり、役人やくにん生活せいかつを送おくる。

1919年ねん、第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせんの終結しゅうけつのためのパリ講和こうわ会議かいぎに大蔵省おおくらしょう首席しゅせき代表だいひょうとして参加さんかしたものの、寛大かんだいな賠償ばいしょうを主張しゅちょうするケインズの提案ていあんは受うけ入いれられず、敗戦はいせん国こくドイツに対たいし莫大ばくだいな賠償ばいしょう請求せいきゅうが突つきつけられることとなった。これに反対はんたいしたケインズは6月がつに大蔵省おおくらしょうを退職たいしょくし、再ふたたびケンブリッジ大学けんぶりっじだいがくに戻もどる。同年どうねん12月がつにはパリ講和こうわ会議かいぎの内幕うちまくとその失敗しっぱいを論証ろんしょうした『平和へいわの経済けいざい的てき帰結きけつ』を発表はっぴょうし、ベストセラーとなったものの強つよい批判ひはんを浴あびた。

その後ご、1921年ねんには長年ながねんの研究けんきゅうをまとめた『確率かくりつ論ろん』を発表はっぴょうし、1923年ねんには『貨幣かへい改革かいかく論ろん』を発表はっぴょうした。1925年ねんには当時とうじの保守党ほしゅとう政権せいけんの大蔵おおくら大臣だいじんであったウィンストン・チャーチルの金本位きんほんい制せい復帰ふっき政策せいさくに反対はんたいして『チャーチル氏しの経済けいざい的てき帰結きけつ』を発表はっぴょうし、金本位きんほんい制せい復帰ふっき論争ろんそうを引ひき起おこした。その後ごも1926年ねんに『自由じゆう放任ほうにんの終おわり』、1930年ねんに『貨幣かへい論ろん』を発表はっぴょうするなど活発かっぱつな活動かつどうを続つづけた。またこのころ、ケンブリッジに所属しょぞくする若手わかての経済けいざい学者がくしゃが定期ていき的てきな会合かいごうを開ひらき、『貨幣かへい論ろん』の内容ないように対たいする討論とうろんを行おこなっていた。この集あつまりはケインズサーカス（ケンブリッジサーカス）と呼よばれ、リチャード・カーンを中心ちゅうしんとして、ピエロ・スラッファ、ジェームス・ミード、オースティン・ロビンソン、ジョーン・ロビンソンによって構成こうせいされていた。このグループの活動かつどう期間きかんは短みじかかったが、乗数じょうすう効果こうか概念がいねんの発展はってんに大おおきな役割やくわりを果はたした。

1936年ねん、ケインズは彼かれの代表だいひょう作さくとなる『雇用こよう・利子りしおよび貨幣かへいの一般いっぱん理論りろん』を発表はっぴょうし、激はげしい論争ろんそうを呼よび起おこしたが、この書しょに端はしを発はっするケインズ経済けいざい学がくはまもなく経済けいざい学がくの主流しゅりゅうとなった。1937年ねん夏なつに心臓しんぞう発作ほっさを起おこして一時いちじ活動かつどうを縮小しゅくしょうするものの、1940年ねんには大蔵おおくら大臣だいじんの経済けいざい顧問こもんとして21年ねんぶりに大蔵省おおくらしょうに復帰ふっきした。1940年ねん6月がつ、大蔵省おおくらしょうとイングランド銀行いんぐらんどぎんこう員いんからなる為替かわせ管理かんり会議かいぎ委員いいんに指名しめいされる。1941年ねんには大蔵おおくら大臣だいじん顧問こもんとなり、9月にはイングランド銀行いんぐらんどぎんこう理事りじに就任しゅうにんした。

1942年ねん6月がつ、Baron Keynes of Tilton（ティルトンのケインズ男爵だんしゃく）の爵位しゃくいを授さづけられ、上院じょういんの自由党じゆうとう席せきに着つく。

1944年ねんにはブレトンウッズ連合れんごう国こく通貨つうか会議かいぎに参加さんかし、主おもにアメリカと戦時せんじ借款しゃっかんや戦後せんご経済けいざい体制たいせいに対たいしてイギリスの立場たちばから交渉こうしょうを繰くり返かえし、バンコールという国際こくさい通貨つうかの創設そうせつを提案ていあんするが、結局けっきょくはアメリカのハリー・ホワイト案あんによる国際こくさい通貨つうか基金ききんおよび世界銀行せかいぎんこうの設立せつりつ案あんが通とおり、ブレトン・ウッズ体制たいせいが築きずかれることとなった。

1945年ねんには、自分じぶんの教おしえ子ごだった労働党ろうどうとうのヒュー・ドールトン蔵相ぞうしょうの顧問こもんを8ヶ月かげつ務つとめ、同年どうねん、計量けいりょう経済けいざい学会がっかい会長かいちょうに就任しゅうにん。

1946年ねん2月がつ、ブレトン・ウッズで創設そうせつされた国際こくさい通貨つうか基金ききん (IMF)と国際こくさい復興ふっこう開発かいはつ銀行ぎんこう (IBRD)の理事りじに任命にんめいされた。しかし、こうした激務げきむは彼かれの健康けんこうを損そこなっていき、1946年ねんに心臓しんぞう発作ほっさで倒たおれ、サセックス州しゅうファールで4月がつ21日にちに没ぼっした。

経済けいざい学者がくしゃとして

詳細しょうさいは「ケインズ経済けいざい学がく」を参照さんしょう

ケインズ・モデル

『雇用こよう・利子りしおよび貨幣かへいの一般いっぱん理論りろん』（1935年ねん - 1936年ねん）では、不完全ふかんぜん雇用こようのもとでも均衡きんこうは成立せいりつし得えるとし、また完全かんぜん雇用こようを与あたえるための理論りろんとして、反はんセイの法則ほうそくを打うち立たてて、「産出さんしゅつ高だかは消費しょうひと投資とうしとからなる」とする有効ゆうこう需要じゅようの原理げんりを基礎きそとして、有効ゆうこう需要じゅようの不足ふそくに基もとづく非ひ自発じはつ的てきな失業しつぎょうの原因げんいんを明あきらかにした。

有効ゆうこう需要じゅようは、市場いちばメカニズムに任まかせた場合ばあいには不足ふそくすることがある。しかし、ケインズは、投資とうしの増加ぞうかが所得しょとくの増加ぞうか量りょうを決定けっていするという乗数じょうすう理論りろんに基もとづいて、減税げんぜい・公共こうきょう投資とうしなどの政策せいさくにより投資とうしを増大ぞうだいさせるように仕向しむけることで、有効ゆうこう需要じゅようは回復かいふくすることができるとした。生産せいさん者しゃが価格かかくを変かえずに、供給きょうきゅう量りょうを総そう需要じゅように応おうじて調整ちょうせいする。ケインズは総そう需要じゅようの増大ぞうだいさせる方法ほうほうとして、財政ざいせい政策せいさく、特とくに財政ざいせい支出ししゅつ政策せいさくを重視じゅうしした。

なお、上うえの議論ぎろんに対たいしては、公共こうきょう投資とうし政策せいさくないし投資とうしの国家こっか管理かんりの本質ほんしつは、単たんなる有効ゆうこう需要じゅようの付加ふかではなく、政府せいふによる公共こうきょう投資とうしが企業きぎょう家かのマインドを改善かいぜんすることで経済けいざい全体ぜんたいの投資とうし水準すいじゅんが底上そこあげされ得えるという点てんにあり、生産せいさん手段しゅだんの国有こくゆう化かを意味いみするものではない。

これらの彼かれの提唱ていしょうした理論りろんを基礎きそとする経済けいざい学がくを「ケインズ経済けいざい学がく」（「ケインズ主義しゅぎ」ともいう）と呼よぶ。このケインズの考かんがえ方かたは経済けいざい学がくを古典こてん派は経済けいざい学がく者ものとケインジアンとに真まっ二ぷたつに分わけることとなった。そのため、ケインズ理論りろんの提唱ていしょうは、のちにケインズ革命かくめいと呼よばれるようになった。

ケインズは、大だい不況ふきょう下かでは、金融きんゆう政策せいさくは効果こうか的てきではなく、消費しょうひを直接的ちょくせつてきに増ふやす財政ざいせい支出ししゅつ政策せいさくが最もっとも効果こうかがあると主張しゅちょうした。ケインズの有効ゆうこう需要じゅよう創出そうしゅつの理論りろんは、大だい恐慌きょうこうに苦くるしむアメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領だいとうりょうによるニューディール政策せいさくの強力きょうりょくな後うしろ盾たてとなった。

不ふ確実かくじつ性せい

『雇用こよう・利子りしおよび貨幣かへいの一般いっぱん理論りろん』の翌年よくねん1937年ねんに発表はっぴょうした補足ほそく的てき論文ろんぶん『雇用こようの一般いっぱん理論りろん』においては、経済けいざい活動かつどうにおける不ふ確実かくじつ性せいの影響えいきょうを強調きょうちょうした。ケインズは元々もともとはケンブリッジ大学けんぶりっじだいがくには数すう理学部りがくぶに入学にゅうがくしており、博士はかせ論文ろんぶんでもある最初さいしょの著作ちょさくは『確率かくりつ論ろん』(1921年ねん）である。ここにおいてケインズは、確かく率りつを数学すうがくではなく論理ろんり学がくの一いち分野ぶんやとして捉とらえる論理ろんり確かく率りつ主義しゅぎの立場たちばをとっており、確かく率りつや不ふ確実かくじつ性せいに関かんする哲学てつがく的てき問題もんだいについて広範こうはんな考察こうさつを行おこなっている。近年きんねんのケインズ研究けんきゅうでは、この頃ころの蓋然性がいぜんせいや不ふ確実かくじつ性せい全般ぜんぱんについての考察こうさつが、後ごのケインズの経済けいざい学がくへの考かんがえ方かたに関係かんけいしていると考かんがえられている。有名ゆうめいな「アニマル・スピリッツ（血気けっき）」という言葉ことばは、予測よそく不能ふのうな不ふ確実かくじつ性せい下かであっても投資とうし活動かつどうを行おこなう投資とうし家かの心理しんりを表あらわしたものである。

ハイエクとの関係かんけい

詳細しょうさいは「フリードリヒ・ハイエク#ケインズとの関係かんけい」を参照さんしょう

共産きょうさん主義しゅぎ批判ひはん

ケインズは、ロシア革命かくめいが発生はっせいした当初とうしょには賞賛しょうさんし、世界せかい大戦たいせんがもたらした唯一ゆいいつの価値かちある成果せいかとみなした。1919年ねん2月がつ、ロシア革命かくめい政府せいふはケインズに勲章くんしょうを授与じゅよしたが、ボリシェヴィキになることは断ことわるべきだと考かんがえたと述のべており、ロシア内戦ないせんで白はく衛まもる軍ぐんのアレクサンドル・コルチャークが敗北はいぼくし、処刑しょけいされると、ケインズは考かんがえをあらため、ロシア革命かくめいは失敗しっぱいであったと宣告せんこくした。1921年ねんにケインズは、労働ろうどう者しゃは、数ヶ月すうかげつ間あいだ、新あらたな安逸あんいつを期待きたいしたが、幻滅げんめつしたとし、「ヨーロッパの労働ろうどう者しゃ階級かいきゅうは過去かこ何なん年ねんにもわたってマルクス主義まるくすしゅぎ革命かくめいという究極きゅうきょく的てき希望きぼうを彼かれらの胸中きょうちゅうに抱いだきつづけてきた。彼かれらにとって、ボルシェヴィキ的てき実験じっけんの失敗しっぱいは壊滅かいめつ的てきでさえあった」と述のべた。

1922年ねんには、ロシア革命かくめいで権力けんりょくを奪取だっしゅしたのは、土地とちを奪取だっしゅした農民のうみん、革命かくめい神話しんわに心酔しんすいした共産きょうさん主義しゅぎという教条きょうじょうの狂信きょうしん者しゃたち、旧きゅう体制たいせいを憎悪ぞうおする破壊はかい主義しゅぎの熱狂ねっきょう者しゃたちだったとして、レーニンたちは共産きょうさん主義しゅぎの経済けいざいシステムに重大じゅうだいな関心かんしんを持もっていなかったし、不ふ明確めいかくな概念がいねんがその非情ひじょうさを覆おおい隠かくしている共産きょうさん主義しゅぎの教条きょうじょう主義しゅぎ者しゃたちは、おそろしく低級ていきゅうであったと批判ひはんする。さらに、彼かれらは大おおきな実験じっけんの機会きかいを得えたが、なにかを行おこなう知見ちけんを産うめず、戦争せんそうによる消耗しょうもうとそれに続つづく経済けいざい制裁せいさいは、飢饉ききんとは関係かんけいなく、彼かれらを絶望ぜつぼう的てきな状況じょうきょうにさせたし、彼かれらは経済けいざいの本質ほんしつに気きづいておらず、旧きゅう体制たいせいのなかの変更へんこう可能かのうな部分ぶぶんと変更へんこう不可能ふかのうな部分ぶぶんとを識別しきべつできなかったために、1921年ねんまでに、愚鈍ぐどんで非ひ効率こうりつな教条きょうじょう主義しゅぎ的てき体制たいせいは崩壊ほうかいしたと論ろんじた。その後ごレーニンはネップ（新しん経済けいざい政策せいさく）へ「妥協だきょう」した。

ケインズは、ボルシェビズムは、のぼせあがった理想りそう主義しゅぎと、スラブ人じんとユダヤ人じんの苦難くなんおよび彼かれらに特有とくゆうの気質きしつの双方そうほうから生しょうじた知的ちてき錯誤さくごとによって作つくり出だされた震ふるえ顫譫妄せんもう・精神せいしん的てき高揚こうようであるといった。

1925年ねんの新婚しんこん旅行りょこうで訪おとずれたソ連それんでの講演こうえんでケインズは、貨幣かへい愛あいを人間にんげん行動こうどうの動機どうきではなくしたことはロシア革命かくめいの功績こうせきだったとも述のべたものの、帰国きこく後ごの『ロシア管見かんけん』(1925)では、ソ連それんは狂信きょうしん的てきな少数しょうすう者しゃによって指導しどうされ、その政策せいさくは、宗教しゅうきょう的てき熱情ねつじょうをもって採用さいようされており、レーニン主義しゅぎは、宗教しゅうきょう・神秘しんぴ主義しゅぎ展てん観念論かんねんろんの混合こんごう物ぶつとした。しかし、ケインズは、ソ連それんは、貨幣かへいが廃止はいしできないことを理解りかいしており、価格かかくの問題もんだいに対たいしては、「ブルジョワ経済けいざい学がく」が適用てきようできることも理解りかいしており、その体制たいせいは一定いっていの安定あんてい性せいを獲得かくとくするだろうとした。なぜなら、ソ連それんは、メシア的てき・迫害はくがい的てきな宗教しゅうきょう性せいに頼たよっているし、レーニンは、ネップのように自分じぶんの信念しんねんを変更へんこうすることを恐おそれてもいないからであるとした。

『ロシア管見かんけん』

ケインズは『ロシア管見かんけん』(1925年ねん)で、共産きょうさん主義しゅぎは、政治せいじ的てきに誤あやまっており、間違まちがった理論りろん的てき基礎きそにもとづくとし、資本しほん論ろんについて、科学かがく的てきに誤あやまりというだけではなく、現代げんだいの世界せかいにとって興味きょうみもなければ、応用おうようもできない時代遅じだいおくれの教科書きょうかしょであるにもかかわらず、批判ひはんを許ゆるさないバイブルとして推挙すいきょしていると批判ひはんする。

ボルシェヴィキでは、宗教しゅうきょうを批判ひはんした。トロツキーは、人間にんげんが宗教しゅうきょう、詩し、道徳どうとく、哲学てつがくなどといった形かたちでとりとめもなく語かたってきた社会しゃかい的てき幻影げんえいは、抑圧よくあつされた人々ひとびとを欺あざむくためのものであり、社会しゃかい主義しゅぎ革命かくめいは、屈辱くつじょく的てきなペテンと幻影げんえいの覆おおいを剥はぎ取とり、真実しんじつに対たいする粉飾ふんしょくを血ちをもって洗あらい落おとすといい、この革命かくめいは現実げんじつ的てき・合理ごうり的てき・戦略せんりゃく的てき・数学すうがく的てきであればあるほど、強力きょうりょくなものとなるという。しかし、ケインズによれば、ボルシェヴィストは、宗教しゅうきょうを唾棄だきし、図書としょ室しつの宗教しゅうきょうの棚たなにも反はん宗教しゅうきょう的てき文献ぶんけんのみを並ならべよと指示しじするが、彼かれら自身じしんが宗教しゅうきょう的てきである。唯物ゆいぶつ論ろん的てき自負じふを純化じゅんかすれば、一方いっぽうには、自我じがを神秘しんぴ的てきな匿名とくめいの組合くみあいのなかに没入ぼつにゅうさせており、他方たほうには、自我じがを人類じんるい全体ぜんたいの理想りそうの追求ついきゅうに没入ぼつにゅうさせてるグループがある。

ケインズは、レーニン主義しゅぎは、ヨーロッパが数すう世紀せいきにわたって別々べつべつの魂たましいの引ひき出だしにしまいこんできた宗教しゅうきょうとビジネス（事業じぎょう）を組くみ合あわせたものであるが、レーニンたちの事業じぎょうは、宗教しゅうきょうに従属じゅうぞくしたもので、非ひ効率こうりつ的てきである。新興しんこう宗教しゅうきょうと同様どうようにレーニン主義しゅぎは、大衆たいしゅうからではなく、少数しょうすうの熱狂ねっきょう的てき改宗かいしゅう者しゃからその力ちからを引ひき出だしている。彼かれらは、宗教しゅうきょう的てき不ふ寛容かんようであり、日常にちじょう生活せいかつから彩いろどりと娯楽ごらくと自由じゆうを奪うばい去さり、代かわりに無表情むひょうじょうで単調たんちょうな代替だいたい物ぶつを与あたえ、彼かれらは、ボルシェヴィキに抵抗ていこうする人々ひとびとを公正こうせいさや慈悲じひ心しんを微塵みじんもみせずに迫害はくがいしており、伝道でんどう者しゃ的てきな熱情ねつじょうと統一とういつ宗教しゅうきょうを目指めざす野心やしんに満みちている。こうして、レーニン主義しゅぎとは、偽善ぎぜん者しゃに率ひきいられた、迫害はくがいと宣伝せんでんを行おこなう少数しょうすうの狂信きょうしん者しゃによって信仰しんこうされた宗教しゅうきょうであって、たんなる政党せいとうではなく、またレーニンは、ビスマルクではなく、マホメットなのであるとケインズはいう。

資本しほん主義しゅぎに満足まんぞくしている人々ひとびとは、すでに宗教しゅうきょうをもっているか、あるいはまったく宗教しゅうきょうを必要ひつようとしていない。ケインズは、ソヴィエトロシアに善よきことを求もとめる人々ひとびとに共感きょうかんを抱いだくものの、現実げんじつの赤色あかいろロシアには嫌悪けんおすべき点てんが多おおすぎるとする。日常にちじょう生活せいかつの自由じゆうと安全あんぜんが破壊はかいされ、迫害はくがい・破壊はかい・国際こくさい紛争ふんそうを意図いと的てきに利用りようし、国内こくないのあらゆる家族かぞくと団体だんたいにスパイを送おくり込こみ、国外こくがいでは紛争ふんそうを巻まき起おこす。マルクス経済けいざい学がくは、時代遅じだいおくれの教科書きょうかしょであり、科学かがく的てきに誤あやまりというだけではなく、現代げんだいの世界せかいにとって興味きょうみもなければ、応用おうようもできないものであるにもかかわらず、ソ連それんの教義きょうぎでは、批判ひはんを許ゆるさないバイブルとして推挙すいきょする。

コミュニストは、こうしたことは、自分じぶん達たちの信仰しんこうではなく、革命かくめいの戦術せんじゅつであると答こたえるだろうが、彼かれらは、新あたらしい秩序ちつじょを地上ちじょうに建設けんせつし、革命かくめいがそこに至いたる唯一ゆいいつの手段しゅだんであると信しんじている。

ロシア・コミュニズムは、人々ひとびとの行動こうどうの金銭きんせん的てき動機どうきの重要じゅうよう度どを変化へんかさせ、社会しゃかい的てき基準きじゅんを変かえる。イギリスでは、実業じつぎょう家かになり財産ざいさんを築きずくことは、公務員こうむいんになること、教育きょういく、学術がくじゅつの世界せかいに努つとめることと比くらべて、社会しゃかい的てきに尊敬そんけいされないことはないし、あるいはかえって大おおきな尊敬そんけいを受うけることもあるだろう。しかし、ソ連それんにおいては、金儲かねもうけに従事じゅうじすることが、可能かのう性せいのある就職しゅうしょく口こうとは見みなされず、強盗ごうとう、偽造ぎぞう、横領おうりょうの技能ぎのうを習得しゅうとくすることとみなされるように目論もくろまれており、倹約けんやくや貯蓄ちょちく、家計かけいを安定あんていさせることさえ、価値かちの低ひくいこととされる。しかし、実際じっさいのソ連それんでは、他人たにんより多おおく所得しょとくを得える成功せいこう者しゃはおり、人民じんみん委員いいんは毎週まいしゅう５ポンドを得えて、さらに各種かくしゅの無料むりょうサービス、自動車じどうしゃ、アパート、劇場げきじょうのボックス席せき等とうも支給しきゅうされる。教授きょうじゅや公務員こうむいんは、下級かきゅう労働ろうどう者しゃの3倍ばい、貧農ひんのうの6倍ばいの所得しょとくを得えており、格差かくさは解消かいしょうされていないだけでなく、物価高ぶっかだかと法外ほうがいな累進るいしん税制ぜいせいのために人々ひとびとの生活せいかつは苦くるしい。多額たがくの利益りえきを得えようとすれば、賄賂わいろや横領おうりょうの類るいの危険きけんを冒おかすことになるし、浪費ろうひ癖へきがある者ものは捜査そうさと死刑しけいを含ふくむ刑罰けいばつを蒙こうむる危険きけんを冒おかすことになる。

利潤りじゅんを見込みこんだ売買ばいばいを禁止きんししてはいないが、そのような職業しょくぎょうを不安定ふあんていで恥はずべきものにしようと仕向しむけている。私営しえいの商人しょうにんは、中世ちゅうせいのユダヤ人じんのように、公認こうにんの無法者むほうものとされ、特権とっけんや保護ほごは受うけられない。

ケインズは、もし共産きょうさん主義しゅぎが勝利しょうりを収おさめるとすれば、それは改良かいりょうされた経済けいざい運営うんえい技術ぎじゅつとしてではなく、一ひとつの宗教しゅうきょうとしての勝利しょうりとなるだろうことを確信かくしんしているという。型かたにはまった批判ひはんでは、共産きょうさん主義しゅぎを宗教しゅうきょうとみなして、あまりに憎悪ぞうおするために、その経済けいざい面めんの非ひ効率こうりつ性せいを誇張こちょうしており、他方たほうでは、経済けいざい的てきな非ひ効率こうりつ性せいの印象いんしょうが強つよすぎるために、宗教しゅうきょうとしての側面そくめんを過小かしょう評価ひょうかしている。ケインズは、共産きょうさん主義しゅぎの経済けいざい運営うんえい技術ぎじゅつは、イギリスのブルジョワ的てき理想りそうを残のこした社会しゃかい（19世紀せいきの個人こじん主義しゅぎ的てき資本しほん主義しゅぎではない）に適用てきようして、成功せいこうするとは思おもわれないとして、こう述のべる。

少すくなくとも理論りろん的てきには、革命かくめいが不可欠ふかけつな手段しゅだんであるような経済けいざい的てき改善かいぜん法ほうなどが存在そんざいするとは、私わたしには考かんがえられない。それどころか、われわれは、急激きゅうげきな変化へんかを伴ともなうような方法ほうほうによれば、すべてを失うしなうことになろう。西にしヨーロッパ諸国しょこくの産業さんぎょうの状態じょうたいにおいては、赤色あかいろ革命かくめいの戦術せんじゅつは、国民こくみん全体ぜんたいを貧困ひんこんと死しの淵ふちに追おいやることになるだろう。 — ジョン・メイナード・ケインズ、『ロシア管見かんけん』(1925年ねん)

しかし、宗教しゅうきょうとしての共産きょうさん主義しゅぎの力ちからは、かなりのものとなるだろうという。平凡へいぼんな人間にんげんを褒ほめそやす教義きょうぎは、これまでの宗教しゅうきょうが大衆たいしゅうを捉とらえてきたもので、宗教しゅうきょうには、信徒しんとたちを団結だんけつさせる紐帯ちゅうたいを作つくり上あげ、それは無む宗教しゅうきょう者しゃの利己りこ的てきな原子げんし論ろんに十分じゅうぶんに対抗たいこうする力ちからを持もっている。これに対たいして、資本しほん主義しゅぎは絶対ぜったい的てきに非ひ宗教しゅうきょう的てきであり、内的ないてきな団結だんけつもなければ、強つよい公共こうきょう心しんもなく、富とみを持もてるものと追おい求もとめるものの集合しゅうごうでしかない。

『自由じゆう放任ほうにんの終焉しゅうえん』

「自由じゆう放任ほうにんの終焉しゅうえん」(1926)では、アダム・スミス以来いらいの自由じゆう放任ほうにんの原則げんそくは、それへの反対はんたい提案ていあんである保護ほご主義しゅぎと、マルクス派は社会しゃかい主義しゅぎの両方りょうほうの内容ないようが貧弱ひんじゃくであったために、分別ふんべつある公衆こうしゅうによって堅持けんじされてきたとし、保護ほご主義しゅぎもマルクス主義まるくすしゅぎ、貧弱ひんじゃくな思考しこうの見本みほんであり、ある過程かていを分析ぶんせきし、それを結論けつろんにいたるまで追求ついきゅうできない無能力むのうりょくさの見本みほんであると批判ひはんする。

マルクス主義まるくすしゅぎなどの19世紀せいきの国家こっか社会しゃかい主義しゅぎは、ベンサムや自由じゆう競争きょうそうから発生はっせいしたもので、個人こじん主義しゅぎと同おなじ哲学てつがくであり、あるいはより明瞭めいりょうで、あるいはより混乱こんらんした表現ひょうげんである。個人こじん主義しゅぎは、消極しょうきょく的てきに、現存げんそんする自由じゆうへの制限せいげんを回避かいひしようとし、国家こっか社会しゃかい主義しゅぎは、積極せっきょく的てきに独占どくせんを打破だはしようとするが、いずれも自由じゆうを強調きょうちょうする同一どういつの知的ちてき雰囲気ふんいきに対たいする異ことなった反応はんのうなのである。

スターリン以後いご

その後ご、ソ連それんがスターリン主義しゅぎへと転化てんかすると、ケインズはますます批判ひはん的てきになった。

1934年ねん7月がつ、ケインズは、ソ連それんに好意こうい的てきであったために降格こうかく減給げんきゅうの危機ききに瀕ひんしたハロルド・ラスキを、共産きょうさん主義しゅぎ者しゃの言論げんろんの自由じゆうは保護ほごすべきであるとして、擁護ようごした。ケインズによれば、治安ちあん妨害ぼうがい法ほうもまた、前まえの世代せだいが、苦くるしみながら守まもってきた市民しみん的てき・政治せいじ的てき自由じゆうをどれだけ微小びしょうなものであっても、堅持けんじすることの重要じゅうよう性せいを強調きょうちょうするものであり、意見いけんへの審問しんもんや、漠ばくとした行政ぎょうせい上じょうの疑惑ぎわくの基もとづく調査ちょうさ、政敵せいてきの政治せいじ的てき暗殺あんさつなどは、名目めいもくが国家こっかの安全あんぜんであれ、文明ぶんめいを破壊はかいする思想しそうと同おなじ系列けいれつに属ぞくする。たしかに左翼さよくはマルクス主義まるくすしゅぎを弄もてあそんできたが、右翼うよくでも、またひとしく左翼さよくでも、どんな小ちいさな背反はいはんであっても、自由じゆうのとりでにおいて許容きょようされるべきであるとしてラスキを擁護ようごした。

しかし、このケインズの書簡しょかんに対たいしてフランク・ピトケアンが「左翼さよくは、マルクス主義まるくすしゅぎを弄もてあそんできた」という部分ぶぶんに対たいして苦情くじょうをいうと、ケインズは、マルクス主義まるくすしゅぎは、ファシストやナチズムと同様どうように、経済けいざい秩序ちつじょの変革へんかくのために個人こじんの政治せいじ的てき自由じゆうをいつでも犠牲ぎせいにする用意よういを備そなえていると批判ひはんし、「マルクス主義まるくすしゅぎ思想しそうを弄もてあそぶ輩やからは、個人こじんの政治せいじ的てき自由じゆうを反動はんどう的てき攻撃こうげきから守まもることにおいて、明確めいかくな良心りょうしんを持もち得えないだろう」と述のべ、ケインズ自身じしんは、政治せいじ的てき自由じゆう主義しゅぎによる経済けいざい改革かいかくが自分じぶんの目標もくひょうであると述のべる。

古ふるい理論りろんが欠陥けっかんを持もつばかりではない。世界せかいの諸しょ事実じじつが変化へんかしつつある。ショウやスターリンは、今いまなお資本しほん主義しゅぎ世界せかいについてのマルクスの描写びょうしゃでもって満足まんぞくしている。それは、彼かれの時代じだいには大おおいに真実しんじつらしさをもっていたが、四よん分ぶんの三さん世紀せいきあとに現代げんだい世界せかいの急速きゅうそくな流ながれと共ともに、承認しょうにんし難がたいものとなっている。彼かれらは、資本しほん主義しゅぎがどうなりつつあるか将来しょうらいに向むかってみるのではなく、どんなものであったか後うしろ向むきに振ふり返かえっているのだ。それは、進化しんかが或あるる社会しゃかい形態けいたいから他たのそれへめまぐるしいペースで進行しんこうしつつあるような社会しゃかい的てき、経済けいざい的てき分野ぶんやにおいて、独断どくだん的てきに断定だんていする輩やからの宿命しゅくめいである。 — ジョン・メイナード・ケインズ、1934年ねん11月がつ10日とおか

ケインズによれば、19世紀せいき後半こうはんには、シティと産業さんぎょうの指導しどう層そうは権力けんりょくを保持ほじしていたが、何なんらかの理由りゆうで、時ときと株式会社かぶしきがいしゃと行政ぎょうせい機構きこうとが、サラリーマン（俸給ほうきゅう生活せいかつ者しゃ）階級かいきゅうを権力けんりょくの座ざにつけた。プロレタリアートではなく、サラリアートだ。ウェルズもいうように、革命かくめいは時代遅じだいおくれだ。というのは、革命かくめいは個人こじん的てきな権力けんりょくへの反抗はんこうだが、今日きょうのイギリスでは誰だれも個人こじん的てきな権力けんりょくを持もっていない。

また、共産きょうさん主義しゅぎは、経済けいざい問題もんだいの意味いみを過大かだい評価ひょうかしているが、経済けいざい問題もんだいは解決かいけつできないほど難むずかしいことはないという。共産きょうさん主義しゅぎは、経済けいざい状態じょうたいを改善かいぜんする手段しゅだんとしては、人間にんげんの知性ちせいへの侮辱ぶじょくであるが、経済けいざい状態じょうたいを悪化あっかさせる手段しゅだんとしては精妙せいみょうで強つよい魅力みりょくを持もつ。共産きょうさん主義しゅぎは、19世紀せいきが経済けいざい的てき成果せいかの組織そしき化かに失敗しっぱいしたことへの反動はんどうではなく、その比較的ひかくてき成功せいこうへの反動はんどうであり、われわれすべての内在ないざいする禁欲きんよく主義しゅぎへの訴うったえである。ショウとウェルズは偉大いだいな共産きょうさん主義しゅぎの牧師ぼくしである。

階級かいきゅう闘争とうそうの党派とうはは、何なにが為なされるべきかは、よく知しられたことだと信しんじていますーすなわち、我々われわれは、変化へんかがなされることを望のぞむ貧まずしき良よき人々ひとびとと、利己りこ的てきな理由りゆうでそれを妨さまたげようと欲ほっする富とめる悪あしき人々ひとびととに分割ぶんかつされる。悪あしきものが権力けんりょくを握にぎっている。そして、革命かくめいは、彼かれらをその席せきから追おい出だすために求もとめられるのだ、と。私わたしは、事態じたいを異ことなったふうに展望てんぼうします。何なにがなされるべきかを知しることは極きわめて難むずかしく、また、それを知しっている（もしくは、知しっていると考かんがえる）人間にんげんにとって自みずからが正ただしいのだと他人たにんを説得せっとくすることは、途方とほうもなく難むずかしいと私わたしは考かんがえます。 — ジョン・メイナード・ケインズ、1934年ねん11月24日にち

共産きょうさん主義しゅぎは、暴力ぼうりょく革命かくめいによるブルジョワジーの打倒だとうだけが解決かいけつとなると主張しゅちょうしたが、ケインズは、あらゆる暴力ぼうりょく的てきな社会しゃかい変革へんかくに反対はんたいした。

1934年ねん12月には、ケインズは、資本しほん論ろんは、イスラム教いすらむきょうのコーランのように、多おおくの人々ひとびとが「千歳ちとせの岩いわ」とみなし、霊感れいかんを宿やどした本ほんとみなしているとした。しかし、資本しほん論ろんは、社会しゃかい学がく的てき価値かちはどうあれ、経済けいざい学がく的てき価値かちはゼロであるとケインズはいう。

ケインズは、『雇用こよう・利子りしおよび貨幣かへいの一般いっぱん理論りろん』の執筆しっぴつ中ちゅうの1935年ねん1月がつ、自分じぶんが準備じゅんびしている経済けいざい理論りろんの書物しょもつによって、世界せかいの人々ひとびとの経済けいざい問題もんだいについての考かんがえ方かたは大おおきく変革へんかくされるだろうし、なかんずく、マルクス主義まるくすしゅぎのリカード的てき基礎きそは打うち壊こわされるだろうと述のべている。マルクス主義まるくすしゅぎは、資本しほん主義しゅぎ的てき個人こじん主義しゅぎは現実げんじつには機能きのうできないという極きわめてもっともらしい推論すいろんを、リカードの経済けいざい学がくから引ひき出だしたとケインズはいう。

ケインズは、マルクス主義まるくすしゅぎは、自由じゆう放任ほうにん経済けいざい学がくと同おなじく、ベンサム的てきな功利こうり主義しゅぎに起源きげんをもっていると考かんがえた。

1937年ねん7月がつにケインズは、スターリンは共産党きょうさんとうを破壊はかいしており、スターリンはいずれ他ほかの独裁どくさい者しゃと区別くべつができなくなるだろうと指摘してきした。

政治せいじ思想しそう

自由党じゆうとう

ケインズはケンブリッジ時代じだいより自由党じゆうとうの活動かつどうに積極せっきょく的てきに関与かんよし、この活動かつどうを通つうじて自由じゆう主義しゅぎの確立かくりつに努つとめた

1927年ねん8月がつに自由党じゆうとう党首とうしゅデビッド・ロイド・ジョージが自由党じゆうとう産業さんぎょう研究けんきゅう会かい（Liberal Industrial Inquiry）を創設そうせつするとそれに参加さんかし、「大おおきな政府せいふ」志向しこうの新あらたな経済けいざい政策せいさくを立案りつあんし、ここでケインズ主義しゅぎの理論りろんを確立かくりつした。

ケインズは自由党じゆうとうを、保守党ほしゅとうのような頑迷がんめいな保守ほしゅ主義しゅぎでも、労働党ろうどうとうのような破壊はかい主義しゅぎでもなく、自由じゆうに未来みらいを建設けんせつにあたる政党せいとうとみなした。ケインズは、労働党ろうどうとうは金融きんゆう問題もんだいに関心かんしんを持もっていないと批判ひはんした。

ケインズ自身じしんは議員ぎいんとなることはなかった。1939年ねんに庶民しょみん院いんのケンブリッジ大学けんぶりっじだいがく選挙せんきょ区くにおいて2議席ぎせきのうち1つに空席くうせきが生しょうじると、ケインズを補欠ほけつ選挙せんきょに推おす動うごきが起おき、保守党ほしゅとう・自由党じゆうとう・労働党ろうどうとうの主要しゅよう3党とうがそろって支持しじを表明ひょうめいしたものの、新人しんじん議員ぎいんとなることで政治せいじへの影響えいきょう力りょくの低下ていかを懸念けねんしたケインズはこれを最終さいしゅう的てきに拒否きょひした。

ニュー・リベラリズム（ソーシャル・リベラリズム、リベラル・ソーシャリズム)

ドスタレールによれば、ケインズは、保守ほしゅ主義しゅぎへと変形へんけいした古典こてん的てき自由じゆう主義しゅぎ（ファシズムとナチズムはその極端きょくたんなかたちであった）との戦たたかいを主導しゅどうする一方いっぽうで、社会しゃかい主義しゅぎの急進きゅうしん的てきな形態けいたいであるボルシェヴィズムと共産きょうさん主義しゅぎを否定ひていし、ニュー・リベラリズム、ソーシャル・リベラリズム、あるいはリベラル・ソーシャリズムと互換ごかん的てきに表現ひょうげんされる道みちを支持しじした。

ケインズは、共産きょうさん主義しゅぎと保守ほしゅ主義しゅぎは、ともに文明ぶんめいの将来しょうらいを危険きけんにさらす袋小路ふくろこうじとみなした。1925年ねんには、経済けいざい的てき無秩序むちつじょから計画けいかく経済けいざいへの移行いこうは計はかり知しれない困難こんなんを伴ともなうだろうが、レナード・ホブハウスらが主張しゅちょうしたニュー・リベラリズム（ネオリベラリズムとは異ことなる）が立たち向むかうと述のべている。ケインズは、私的してき独占どくせんの打破だは、地主じぬし制せいと保護ほご貿易ぼうえきとの戦たたかい、個人こじん的てき自由じゆうの発展はってん、民主みんしゅ的てき政府せいふの発達はったつなどにおいて、自由じゆう主義しゅぎの伝統でんとう的てきな目的もくてきはすでに達成たっせいされており、経済けいざいに対たいしては、自由じゆうな働はたらきに委ゆだねることから、規制きせいを行使こうしする時代じだいが訪おとずれたと考かんがえていた。

1925年ねんのゼネストに共鳴きょうめいし、ゼネストの原因げんいんを保守党ほしゅとう政権せいけん財務ざいむ大臣だいじんウィンストン・チャーチルによる金本位きんほんい制せい復帰ふっきに求もとめ、『チャーチル氏しの経済けいざい的てき帰結きけつ』の中なかでチャーチルをシティの声こえばかり聞きいて炭鉱たんこう労働ろうどう者しゃを犠牲ぎせいにする政治せいじ家かと批判ひはんした。

優生ゆうせい学がく

ケインズは優生ゆうせい学がくの支持しじ者しゃだった。キャリアの最初さいしょ期きから優生ゆうせい学がくに興味きょうみをもち、1937年ねんから1944年ねんまでイギリス優生ゆうせい学がく協会きょうかいの理事りじを務つとめた。1946年ねんの講演こうえんでは、優生ゆうせい学がくを社会しゃかい学がくで最もっとも重要じゅうような分野ぶんやと述のべた。

ジャーナリズム

ケインズのジャーナリズムとの関かかわりは、1912年ねんのエコノミック・ジャーナル誌し編集へんしゅう者しゃ就任しゅうにんにさかのぼる。1919年ねんにはヴェルサイユ会議かいぎに大蔵省おおくらしょう主席しゅせき代表だいひょうとして出席しゅっせきし、ドイツ経済けいざいからは負担ふたんしきれない巨額きょがく賠償ばいしょうに反対はんたいして辞任じにん。その後ごドイツへの莫大ばくだいな賠償金ばいしょうきんを課かしたヴェルサイユ体制たいせいに対たいし「平和へいわの経済けいざい的てき帰結きけつ」（全集ぜんしゅう 第だい2巻かん、東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ）を出版しゅっぱんし大だい反論はんろんキャンペーンを行おこなった。これ以降いこうケインズはジャーナリストとしてマンチェスター・ガーディアンやイブニング・スタンダード、タイムズなどに寄稿きこうを行おこなうようになった。また1923年ねんには自由党じゆうとう系けいの週間しゅうかん紙しであるネーション紙しを買収ばいしゅうして責任せきにん者しゃの一人ひとりとなり、同紙どうしが1931年ねんにニュー・ステイツマン紙かみと合併がっぺいしてニュー・ステイツマン・アンド・ネーション紙しとなった後のちも定期ていき的てきな寄稿きこうを続つづけた。

投資とうし

1919年ねんの「平和へいわの経済けいざい的てき帰結きけつ」はベストセラーになり、ケインズに多額たがくの収入しゅうにゅうをもたらした。この収入しゅうにゅうをもとにケインズは積極せっきょく的てきな投資とうしを行おこない、1920年代ねんだい初頭しょとうには一度いちど失敗しっぱいしたものの1922年ねんには軌道きどうに乗のせ、以後いごも増減ぞうげんはあったものの破産はさんすることはなく、生涯しょうがいを通つうじ投資とうしから多額たがくの収入しゅうにゅうを得えて非常ひじょうに富裕ふゆうであった。

ケインズは、独自どくじの投資とうし法ほうを行おこなっていた。それは、インサイダー情報じょうほうを当あてにせず、朝あさ起おきてベッドの中なかで新聞しんぶんの金融きんゆう情報じょうほうを読よみ、電話でんわ取引とりひきを行おこなうだけというものであった。当初とうしょの投資とうし成績せいせきは順調じゅんちょうではなく、1929年ねんの大だい恐慌きょうこうまでは散々さんざんな結果けっかであった。また、1929年ねんの恐慌きょうこうは、ケインズも予想よそうすることはできず、暗黒あんこくの木曜日もくようびの時点じてんで、金融きんゆう資産しさんの8割わりを株式かぶしきに集中しゅうちゅう投資とうししていたという。しかし、1933年ねんからのケインズの動うごきは素晴すばらしいもので、中小ちゅうしょう型がたの割安わりやす株かぶに集中しゅうちゅう投資とうしするバリュー株かぶ戦略せんりゃくで成功せいこうした。1921年ねんに母校ぼこうキングス・カレッジの副ふく会計かいけい官かんに就つき、1924年ねんには正せい会計かいけい官かんとなったが、ここでカレッジの基金ききん3万まんポンドを運用うんようし、38万まんポンドに増ふやした。

また、ケインズは1921年ねんから1938年ねんまで国民こくみん相互そうご生命せいめい保険ほけん会社かいしゃの会長かいちょうを務つとめ、1923年ねんから1946年ねんの死しまでプロヴィンシャル保険ほけん会社かいしゃの取締役とりしまりやくになり、他ほかにもいくつかの投資とうし会社かいしゃを設立せつりつ・運営うんえいするなど、経済けいざい人じんとしての活動かつどうも行おこなっている。

ケインズは、株式かぶしき価格かかく形成けいせいの問題もんだいを、当時とうじの新聞しんぶんで行おこなわれていた美人びじんコンテストを例たとえにして、個々ここの判断はんだんに基もとづく投資とうしより投資とうし家集かしゅう団だんの好このみを考慮こうりょすべきであると説明せつめいした（美人びじん投票とうひょう）。

私生活しせいかつ

ダンカン・グラント (左ひだり) と、1912年ねん

ケインズはケンブリッジ時代じだいからリットン・ストレイチーやレナード・ウルフと親したしく、そのつながりでヴァージニア・ウルフ（旧姓きゅうせい・スティーヴン）などとも交友こうゆうを結むすんでいた。1905年ねんにヴァネッサ、トビー、ヴァージニア、エイドリアンのスティーヴン家か4人にん兄弟きょうだいがブルームズベリーに移住いじゅうすると、彼かれらの友人ゆうじん集団しゅうだんはブルームズベリー・グループと呼よばれるグループを作つくるようになり、ケインズはその主要しゅよう人物じんぶつの一人ひとりとなった。ブルームズベリー・グループとの交友こうゆうは長ながく続つづき、1916年ねんに徴兵ちょうへい制せいが導入どうにゅうされグループのほとんどが良心りょうしん的てき兵役へいえき拒否きょひを行おこなった際さいにはその申請しんせいが承認しょうにんされるよう尽力じんりょくしている。またケインズ自身じしんも、大蔵省おおくらしょう勤務きんむを理由りゆうに徴兵ちょうへい免除めんじょを受うけた。ケインズはこの交友こうゆうの中なかでしばしば友人ゆうじんたちのパトロンとして振ふる舞まい、また彼かれらの影響えいきょうで芸術げいじゅつの審美しんび眼めを養やしなったことは絵画かいが収集しゅうしゅうや芸術げいじゅつへの公的こうてき支援しえん支持しじへとつながっていった。

ケインズは若わかいころ同性愛どうせいあい者しゃであった。1910年ねん頃ごろに画家がかのダンカン・グラントと同おなじ部屋へやで過すごした。ケインズのメモには、1901年ねんから1915年ねんまで関係かんけいを持もった相手あいてとのリストが残のこされている。ケインズは1925年ねんにロシア人じんバレリーナのリディア・ロポコワと結婚けっこんし、彼かれの死しまで幸しあわせな結婚けっこん生活せいかつを送おくったが、一方いっぽうでリディアとブルームズベリー・グループの間あいだには溝みぞがあり、やがてケインズがグループからやや離はなれていく原因げんいんとなった。

ケインズは少年しょうねん時代じだいから古書こしょの収集しゅうしゅう癖へきがあったが、ブルームズベリー・グループの影響えいきょうで1908年ねんから絵画かいがの収集しゅうしゅうを始はじめ、死後しごの遺産いさんには大おおきなコレクションが含ふくまれていた。彼かれの絵画かいがコレクションは135点てんに上のぼり、ポール・セザンヌやジョルジュ・スーラなどの大家たいかや、ブルームズベリー・グループの友人ゆうじんたちの作品さくひん、さらに彼かれがパトロンとして支援しえんした若手わかて芸術げいじゅつ家かたちの作品さくひんが含ふくまれていた。ケインズは優すぐれた目利めききであり、所持しょじする絵画かいがの価値かちは死亡しぼう時じには大おおきく上昇じょうしょうして財産ざいさんの重要じゅうような一部分いちぶぶんとなっていた。

また彼かれはき上ずきあげた資産しさんから積極せっきょく的てきに芸術げいじゅつへの支援しえんを行おこない、1936年ねんにはケンブリッジ・アート・シアターを設立せつりつした。ケインズは芸術げいじゅつ分野ぶんやへの国家こっか支援しえんを支持しじしており、1942年ねんに音楽おんがく芸術げいじゅつ奨励しょうれい評議ひょうぎ会かい（CEMA）の会長かいちょうに就任しゅうにんすると、戦争せんそうにより生活せいかつ難なんに陥おちいっているプロの芸術げいじゅつ家かへの支援しえんを充実じゅうじつさせる政策せいさくをとった。1946年ねんにCEMAが改組かいそされて新あらたに英国えいこく芸術げいじゅつ協議きょうぎ会かい (Arts Council of Great Britain)が設立せつりつされるとその初代しょだい会長かいちょうに就任しゅうにんした。

著作ちょさく

単行本たんこうぼん

• 1913 Indian Currency and Finance
  • 日本語にほんご訳やく：ケインズ全集ぜんしゅう1巻かん（後記こうき）
• 1919 The Economic Consequences of the Peace
  • 日本語にほんご訳やく：講和こうわの経済けいざい的てき帰結きけつ 救すくい仁ひとし郷ごう繁しげる訳やく ぺりかん社しゃ, 1972
  • 日本語にほんご訳やく：平和へいわの経済けいざい的てき帰結きけつ 山形やまがた浩ひろし生せい訳やく 東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ, 2024
  • ケインズ全集ぜんしゅう2巻かん（後記こうき）
• 1921 A Treatise on Probability
  • 日本語にほんご訳やく：ケインズ全集ぜんしゅう8巻かん（後記こうき）
• 1922 Revision of the Treaty
  • 日本語にほんご訳やく：ケインズ全集ぜんしゅう3巻かん（後記こうき）
• 1923 A Tract on Monetary Reform
  • 日本語にほんご訳やく：貨幣かへい改革かいかく問題もんだい 岡部おかべ菅かん司つかさ・内山うちやま直ただし共ども訳やく、岩波書店いわなみしょてん, 1924
  • ケインズ全集ぜんしゅう4巻かん（後記こうき）
  • お金かねの改革かいかく論ろん 山形やまがた浩ひろし生せい訳やく 講談社こうだんしゃ学術がくじゅつ文庫ぶんこ, 2014.7
• 1926 The End of Laissez-Faire
  • 日本語にほんご訳やく：自由じゆう放任ほうにんの終焉しゅうえん 山田やまだ文雄ふみお訳わけ 現代げんだい教養きょうよう文庫ぶんこ（社会しゃかい思想しそう研究けんきゅう会かい出版しゅっぱん部ぶ）, 1953
• 1930 A Treatise on Money
  • 日本語にほんご訳やく：ケインズ貨幣かへい論ろん 鬼頭おにがしら仁三郎じんざぶろう訳わけ 同文どうぶん館かん, 1932-33。5分冊ぶんさつ
  • ケインズ全集ぜんしゅう5,6巻かん（後記こうき）
• 1931 Essays in Persuasion
  • 日本語にほんご訳やく：説得せっとく評論ひょうろん集しゅう 救すくい仁ひとし郷ごう繁しげる訳わけ ぺりかん社しゃ, 1969、新版しんぱん1987
  • ケインズ全集ぜんしゅう9巻かん（後記こうき）
  • ケインズ説得せっとく論集ろんしゅう 山岡やまおか洋一よういち訳わけ 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん出版しゅっぱん社しゃ, 2010.4／日経にっけいビジネス人文じんぶん庫こ, 2021.12
• 1936 The General Theory of Employment, Interest and Money
  • 日本語にほんご訳やく：『雇用こよう・利子りしおよび貨幣かへいの一般いっぱん理論りろん』塩野谷しおのや九十九つくも訳わけ 東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ, 1941、改訂かいてい新版しんぱん1995、ケインズ全集ぜんしゅう7巻かん（後記こうき）
  • 間宮まみや陽介ようすけ訳わけ 岩波いわなみ文庫ぶんこ, 2008、ワイド版ばん2012
  • 雇用こよう、利子りし、お金かねの一般いっぱん理論りろん 山形やまがた浩ひろし生せい訳やく 講談社こうだんしゃ学術がくじゅつ文庫ぶんこ, 2012.3
  • 雇用こよう、金利きんり、通貨つうかの一般いっぱん理論りろん 大野おおの一はじめ訳わけ 日経にっけいBPクラシックス, 2021.4
• 1940 How to Pay for the War: A radical plan for the Chancellor of the Exchequer
  • 日本語にほんご訳やく：戦費せんぴ支弁しべん論ろん 日本銀行にっぽんぎんこう調査ちょうさ局きょく訳やく 日本銀行にっぽんぎんこう調査ちょうさ局きょく, 1940
  • 戦費せんぴと国民こくみん経済けいざい 救すくい仁ひとし郷ごう繁しげる訳やく 東亜とうあ書しょ局きょく, 1940
• 1949 Two Memoirs. Ed. by David Garnett (国際こくさい決済けっさい銀行ぎんこう副ふく総裁そうさいCarl Melchiorとジョージ・エドワード・ムーアについての回想かいそう)

主おもな論文ろんぶん、パンフレット

• 1915 The Economics of War in Germany
• 1922 Inflation as a Method of Taxation
• 1925 Am I a Liberal?
• 1926 Laissez-Faire and Communism
• 1929 Can Lloyd George Do It?
• 1930 Economic Possibilities for our Grandchildren
• 1931 The End of the Gold Standard (Sunday Express)
• 1931 The Great Slump of 1930
• 1933 The Means to Prosperity
• 1933 An Open Letter to President Roosevelt (New York Times)
• 1933 Essays in Biography
• 1937 The General Theory of Employment

ケインズ全集ぜんしゅう

全集ぜんしゅう：The Collected Writings of John Maynard Keynes. 30 volumes
　London, Macmillan, 1971-1989. Reprint: Royal Economic Society, Cambridge University Press
1971年ねんから1989年ねんにかけ、ケンブリッジ大学けんぶりっじだいがく出版しゅっぱん会かい・全ぜん30巻かんで刊行かんこう。
日本語にほんご版ばん『ケインズ全集ぜんしゅう』は、東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃで刊行かんこう中ちゅうで、未み完結かんけつである。

• 1巻かん、インドの通貨つうかと金融きんゆう 則武のりたけ保夫やすお 片山かたやま貞雄さだお訳わけ、1977
• 2巻かん、平和へいわの経済けいざい的てき帰結きけつ 早坂はやさか忠ただし訳わけ、1977
• 3巻かん、条約じょうやくの改正かいせい 千田せんだ純一じゅんいち訳わけ、1977
• 4巻かん、貨幣かへい改革かいかく論ろん 中内なかうち恒夫つねお訳やく、1978
• 5・6巻かん、貨幣かへい論ろん 小泉こいずみ明あきら・長沢ながさわ惟おもんみ恭きょう訳やく、1979
• 7巻かん、雇用こよう・利子りしおよび貨幣かへいの一般いっぱん理論りろん 塩野谷しおのや祐一ゆういち訳わけ、1983
• 8巻かん、確率かくりつ論ろん 佐藤さとう隆三りゅうぞう訳わけ、2010
• 9巻かん、説得せっとく論集ろんしゅう 宮崎みやざき義一ぎいち訳わけ、1981
• 10巻かん、人物じんぶつ評伝ひょうでん 大野おおの忠男ただお訳わけ、1980
• Volume 11, Economic Articles and Correspondence: Academic
• Volume 12, Economic Articles and Correspondence: Investment and Editorial
• Volume 13, The General Theory and After: Part I. Preparation
• 14巻かん、一般いっぱん理論りろんとその後ご、第だい二に部ぶ、ドナルド・モグリッジ編へん、清水しみず啓あきら典てん・柿原かきはら和夫かずお・細谷ほそや圭けい訳わけ、2016
• 15巻かん、インドとケンブリッジ 1906～14年ねんの諸しょ活動かつどう エリザベス・ジョンソン編へん 三木みき谷たに良一りょういち・山上やまかみ宏人ひろと訳やく、2010
• Volume 16, Activities 1914–1919: The Treasury and Versailles
• 17巻かん、条約じょうやく改正かいせいと再興さいこう 1920～22年ねんの諸しょ活動かつどう ジョンソン編へん 春はる井い久志くし訳やく、2014
• 18巻かん、賠償ばいしょう問題もんだいの終結しゅうけつ 1922～32年ねんの諸しょ活動かつどう ジョンソン編へん 武野むの秀樹ひでき・山下やました正毅まさき訳やく、1989
• 19巻かん、金本位きんほんい復帰ふっきと産業さんぎょう政策せいさく 1922～29年ねんの諸しょ活動かつどう モグリッジ編へん 西村にしむら閑也訳やく、1998
• 20巻かん、雇用こようと失業しつぎょう対策たいさくの再考さいこう 1929～31年ねんの諸しょ活動かつどう モグリッジ編へん 小谷野こやの俊夫としお訳わけ、2023
• 21巻かん、世界せかい恐慌きょうこうと英えい米べいにおける諸しょ政策せいさく 1931～39年ねんの諸しょ活動かつどう モグリッジ編へん 舘野たての敏さとし・北原きたはら徹とおる・黒木くろき龍三りゅうぞう・小谷野こやの俊夫としお訳やく、2015
• Volume 22, Activities 1939–1945: Internal War Finance
• Volume 23, Activities 1940–1943: External War Finance
• 24巻かん、平和へいわへの移行いこう 1944～46年ねんの諸しょ活動かつどう モグリッジ編へん 堀家ほりいえ文吉ぶんきち郎ろう・柴しば沼ぬま武たけし・森もり映うつ雄ゆう訳やく、2002
• 25巻かん、戦後せんご世界せかいの形成けいせい ー精算せいさん同盟どうめい：1940-44年ねんの諸しょ活動かつどう、村野むらの孝たかし訳やく、1992
• 26巻かん、戦後せんご世界せかいの形成けいせい ブレトン・ウッズと賠償ばいしょう 1941～46年ねんの諸しょ活動かつどう モグリッジ編へん 石川いしかわ健一けんいち・島村しまむら高こう嘉よしみ訳やく、1988
• 27巻かん、戦後せんご世界せかいの形成けいせい-雇用こようと商品しょうひん 1940～46年ねんの諸しょ活動かつどう モグリッジ編へん 平井ひらい俊しゅん顕あきら・立脇たちわき和夫かずお訳わけ、1996
• 28巻かん、社会しゃかい・政治せいじ・文学ぶんがく論集ろんしゅう モグリッジ編へん 那須なす正彦まさひこ訳わけ、2013
• 29巻かん、一般いっぱん理論りろんとその後ご 第だい13巻かんおよび第だい14巻かんへの補遺ほい。モグリッジ編へん 柿原かきはら和夫かずお訳やく、2021
• Volume 30, Bibliography and Index

その他たの日本語にほんご訳やく

• 金きむ解禁かいきんと国民こくみん経済けいざい 梶かじ哲次てつじ訳やく、二酉にのとり名著めいちょ刊行かんこう会かい, 1928
• 人物じんぶつ評伝ひょうでん 熊谷くまがい尚夫ひさお・大野おおの忠男ただお訳やく 岩波書店いわなみしょてん（岩波いわなみ現代げんだい叢書そうしょ）, 1959、新版しんぱん1992
• 「世界せかいの名著めいちょ69 ケインズ ハロッド」中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ, 1971
  • 「若わかき日ひの信条しんじょう 自由じゆう放任ほうにんの終焉しゅうえん 私わたしは自由じゆう党員とういんか 繁栄はんえいへの道みち、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくとケインズ・プラン」宮崎みやざき義一ぎいち訳わけ
  • 「貨幣かへい改革かいかく論ろん 戦費せんぴ調達ちょうたつ論ろん」中内なかうち恒夫つねお訳やく
    • 新版しんぱん「貨幣かへい改革かいかく論ろん 若わかき日ひの信条しんじょう」中公ちゅうこうクラシックス, 2005.11
• デフレ不ふ況きょうをいかに克服こくふくするか ケインズ1930年代ねんだい評論ひょうろん集しゅう 松川まつかわ周二しゅうじ編へん訳やく、文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう〈文春ぶんしゅん学藝がくげいライブラリー〉2013.10

脚注きゃくちゅう

参考さんこう文献ぶんけん

• 浅野あさの栄一えいいち『ケインズ 人じんと思想しそう（新装しんそう版ばん2016年ねん）』清水しみず書院しょいん、1990年ねん。 
• クラーク, ピーター 著ちょ、関谷せきや喜三郎きさぶろう・石橋いしばし春男はるお 訳わけ『ケインズ 最もっとも偉大いだいな経済けいざい学者がくしゃの激動げきどうの生涯しょうがい』中央経済社ちゅうおうけいざいしゃ、2017年ねん。 
• 伊藤いとう邦武くにたけ『ケインズの哲学てつがく』岩波書店いわなみしょてん、1999年ねん、新版しんぱん2011年ねん
• 橘たちばな木き俊しゅん詔みことのり 『朝日あさひおとなの学まなびなおし 経済けいざい学がく 課題かだい解明かいめいの経済けいざい学がく史し』 朝日新聞あさひしんぶん出版しゅっぱん、2012年ねん
• 岩田いわた規久男きくお 『マクロ経済けいざい学がくを学まなぶ』 筑摩書房ちくましょぼう〈ちくま新書しんしょ〉、1996年ねん
• 河合かわい秀和ひでかず『チャーチル イギリス現代げんだい史しを転換てんかんさせた一人ひとりの政治せいじ家か 増補ぞうほ版ばん』中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ〈中公新書ちゅうこうしんしょ〉、1998年ねん（平成へいせい10年ねん）。ISBN 978-4121905307。 
• 高橋たかはし直樹なおき『政治せいじ学がくと歴史れきし解釈かいしゃく ロイド・ジョージの政治せいじ的てきリーダーシップ』東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱん会かい、1985年ねん（昭和しょうわ60年ねん）。ISBN 978-4130360395。 
• Yergin, Daniel; Stanislaw, Joseph (2002). The Commanding Heights: The Battle for the World Economy. Simon and Schuster. ISBN 978-0-7432-2963-0. オリジナルの22 April 2017時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170422131246/https://books.google.com/books?id=uNYzPUhXhJYC&pg=PP1 21 April 2017閲覧えつらん。 
• ドスタレール, ジル 鍋島なべしま直樹なおき、小峯こみね敦あつし監訳かんやく訳やく (2007), ケインズの闘たたかい: 哲学てつがく・政治せいじ・経済けいざい学がく・芸術げいじゅつ（日本語にほんご版ばん2008年ねん）, 藤原ふじわら書店しょてん 
• ケインズ, ジョン・メイナード 宮崎みやざき義一ぎいち訳わけ (1925), Short View of Russia （ロシア管見かんけん）（日本語にほんご版ばん1981年ねん）, ケインズ全集ぜんしゅう9 説得せっとく論集ろんしゅう, 東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ, pp. 299-322 (原典げんてん,p253-271) 

関連かんれん文献ぶんけん

伝記でんき

• ロイ・ハロッド 『ケインズ伝でん』 塩野谷しおのや九十九つくも訳わけ、東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ、1954-56、改訳かいやく版ばん1977 - 弟子でしによる古典こてん
• 『ケインズ 人じん・学問がくもん・活動かつどう』 ミロ・ケインズ編へん、佐伯さえき彰一しょういち・早坂はやさか忠ただし訳わけ、東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ 1978.9
• ドナルド・モグリッジ 『ケインズ』 塩野谷しおのや祐一ゆういち訳わけ、東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ 1979.7
• ロバート・スキデルスキー『ジョン・メイナード・ケインズ 裏切うらぎられた期待きたい 1883～1920年ねん』

宮崎みやざき義一ぎいち監訳かんやく、古屋こや隆たかし訳やく、東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ（全ぜん2巻かん）、1987-1992 - 前ぜん半生はんせいの詳細しょうさいな評伝ひょうでん

• スキデルスキー『ケインズ』浅野あさの栄一えいいち訳わけ、岩波書店いわなみしょてん、2001、新版しんぱん2009 - ケインズ研究けんきゅうの第一人者だいいちにんしゃによる伝記でんき
• スキデルスキー『ジョン・メイナード・ケインズ　1883-1946』 村井むらい章子あきこ訳やく、日本経済新聞にほんけいざいしんぶん出版しゅっぱん（上下じょうげ）、2023 - 完訳かんやく版ばん

研究けんきゅう書しょ、解説かいせつ書しょ

• 「一般いっぱん理論りろん」セイモア・E・ハリス編へん、日本銀行にっぽんぎんこう調査ちょうさ局きょく訳やく -『新あたらしい経済けいざい学がく』（東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ, 1949）pp. 276-294. に収録しゅうろく
• ケインズ「一般いっぱん理論りろん」講義こうぎ 高橋たかはし泰やすし蔵ぞう・塩野谷しおのや九きゅう十じゅう九きゅう共編きょうへん、春秋しゅんじゅう社しゃ, 1951
• ジョーン・ロビンソン著しる、川口かわぐち弘ひろし訳やく「雇傭こよう理論りろん入門にゅうもん ケインズ一般いっぱん理論りろんへの手引てびき」1951
• スキデルスキー『共産きょうさん主義しゅぎ後ごの世界せかい ケインズの予言よげんと我われらの時代じだい』本田ほんだ毅彦たけひこ訳わけ、柏書房かしわしょぼう「パルマケイア叢書そうしょ」、2003
• スキデルスキー『なにがケインズを復活ふっかつさせたのか？』山岡やまおか洋一よういち訳わけ、日本経済新聞にほんけいざいしんぶん出版しゅっぱん社しゃ、2010
• ケインズ 福岡ふくおか正夫まさお 東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ 1997.
• ケインズ 西部せいぶ邁 岩波書店いわなみしょてん「20世紀せいき思想家しそうか文庫ぶんこ」1983、改訂かいてい版ばん・イプシロン出版しゅっぱん企画きかく、2005.
• 現代げんだいに生いきるケインズ 伊東いとう光晴みつはる 岩波いわなみ新書しんしょ 2006.
• ケインズ 伊東いとう光晴みつはる 講談社こうだんしゃ学術がくじゅつ文庫ぶんこ 1993.
• ケインズ 時代じだいと経済けいざい学がく 吉川よしかわ洋ひろし ちくま新書しんしょ 1995.
• 実務じつむ家かケインズ ケインズ経済けいざい学がく形成けいせいの背景はいけい 那須なす正彦まさひこ 中公新書ちゅうこうしんしょ 1995.
• 美濃みの口くち武雄たけお「ジョン・メイナ-ド・ケインズ (人ひとと学説がくせつ<特集とくしゅう>)」『一いち橋きょう論叢ろんそう』第だい103巻かん第だい4号ごう、日本にっぽん評論ひょうろん社しゃ、1990年ねん4月がつ、420-436頁ぺーじ、doi:10.15057/11054、ISSN 00182818、NAID 110000315499。 
• ケインズ 世紀せいきの經濟けいざい學者がくしゃ 山田やまだ長夫ながお 壯たけし文ぶん社しゃ, 1949.- ※以下いかは古ふるい文献ぶんけん
• ケインズ経済けいざい学がく入門にゅうもん A.H.ハンセン 大石おおいし泰彦やすひこ訳わけ. 東京とうきょう創そう元もと社しゃ「現代げんだい社会しゃかい科学かがく叢書そうしょ」, 1956、新版しんぱん1986
• ケインズ経済けいざい学がく 新野しんの幸次郎こうじろう・置おけ塩しお信雄のぶお共著きょうちょ. 三さん一いち書房しょぼう, 1957.
• ケインズ入門にゅうもん 人じん・学説がくせつ・政策せいさく S.E.ハリス 塩野谷しおのや九きゅう十じゅう九きゅう訳やく. 東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ, 1957.
• ケインズ "新あたらしい経済けいざい学がく"の誕生たんじょう 伊東いとう光晴みつはる 岩波いわなみ新書しんしょ 1962. 現行げんこう版ばん
• ケインズ入門にゅうもん 塩野谷しおのや九きゅう十じゅう九きゅう 社会しゃかい思想しそう社しゃ・現代げんだい教養きょうよう文庫ぶんこ 1968.
• ケインズ 文明ぶんめいの可能かのう性せいを求もとめて 早坂はやさか忠ただし 中公新書ちゅうこうしんしょ 1969.
• ケインズ 著作ちょさくと思想しそう 則武のりたけ保夫やすお・早坂はやさか忠ただしほか全ぜん5名めい 有斐閣ゆうひかく新書しんしょ 1978.

• 丹羽にわ明あきら「ケインズ「一般いっぱん理論りろん」における利子りし率りつの役割やくわりについて」関西大学かんさいだいがく経済けいざい論集ろんしゅう40巻かん5号ごう,1991, p907-932.

関連かんれん項目こうもく

• ケインズ経済けいざい学がく
• ケインジアン
• 軍事ぐんじケインズ主義しゅぎ
• 福祉ふくし国家こっか
• 混合こんごう経済けいざい
• 修正しゅうせい資本しほん主義しゅぎ
• 流動りゅうどう性せい選好せんこう説せつ
• バンコール - シューマッハーと共ともに提案ていあんした国際こくさい通貨つうか。
• フィスカル・ポリシー - 補正ほせい的てき財政ざいせい政策せいさく、収縮しゅうしゅく的てき財政ざいせい政策せいさく。
• 古典こてん派はの公準こうじゅん

関連かんれん人物じんぶつ

• トマス・ロバート・マルサス - 忘わすれ去さられていたマルサスの過少かしょう消費しょうひ説せつを発掘はっくつすることで有効ゆうこう需要じゅよう理論りろんを構築こうちくした。
• アルフレッド・マーシャル - 直接ちょくせつの師し、失業しつぎょうとセイ法則ほうそくについてケインズは批判ひはん的てき継承けいしょう者しゃとなった。
• アーサー・セシル・ピグー - 兄弟きょうだい弟子でし、マーシャルの正当せいとう継承けいしょう者しゃでピグー・ケインズ論争ろんそうを起おこす。
• フリードリヒ・ハイエク
• クヌート・ヴィクセル - 公共こうきょう政策せいさく、利子りしによる累積るいせき過程かていモデルを提唱ていしょうしたスウェーデンの経済けいざい学者がくしゃ。
• フランク・ラムゼイ
• ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン
• ミハウ・カレツキ - ケインズ『一般いっぱん理論りろん』と同おなじものを既すでにケインズや「サーカス」に先さきんじてたった一人ひとりで構築こうちくしていたポーランドの経済けいざい学者がくしゃで、ケンブリッジでは「サーカス」と共ともに研究けんきゅうした。
• 宇沢うざわ弘文ひろふみ - 戦後せんご日本にっぽんにおけるケインズ一般いっぱん理論りろんの第一人者だいいちにんしゃで、「サーカス」とも交流こうりゅうがあった。
• 根井ねい雅弘まさひろ - 現代げんだい日本にっぽんにおける著名ちょめいなケインズ研究けんきゅう者しゃ
• ジョン・ヒックス - ケインズの理論りろんのうちの短期たんき的てき均衡きんこうメカニズムを比較ひかく静せい学がく的てきにモデル化かし、ネオケインジアニズムの先駆さきがけとなる。
• ポール・サミュエルソン - ネオケインジアニズムの代表だいひょう的てき唱道しょうどう者しゃ。
• F・L・ルーカス - 古典こてん学者がくしゃ、文芸ぶんげい評論ひょうろん家か。ケンブリッジで交遊こうゆう
• デイディ・ライランズ - 文学ぶんがく者しゃ、演出えんしゅつ家か。ケンブリッジで交遊こうゆう

外部がいぶリンク

• ジョン・メイナード・ケインズ
• ケインズ John Maynard Keynes
• 平和へいわの経済けいざい的てき帰結きけつ("The Economic Consequences of Peace"の原文げんぶん)
• 平和へいわの経済けいざい的てき帰結きけつ 1920 ジョン・メイナード・ケインズ著ちょ、山形やまがた浩ひろし生せい訳やく、2020年ねん10月がつ14日にち（上記じょうき論文ろんぶんの日本語にほんご訳やく）
• ケインズ『雇用こよう、利子りし、お金かねの一般いっぱん理論りろん』全訳ぜんやく、山形やまがた浩ひろし生せい訳やく
• ケインズ『雇用こようと利子りしとお金かねの一般いっぱん理論りろん』全ぜん段落だんらく要約ようやく、山形やまがた浩ひろし生せい訳やく
• 『ケインズ』 - コトバンク

イギリスの爵位しゃくい
先代せんだい 新設しんせつ	初代しょだいケインズ男爵だんしゃく 1942年ねん-1946年ねん	次代じだい 廃絶はいぜつ