軍事 ケインズ主義
ケインズの言葉
「
1939
1940
- (アメリカの
産業 経済 の巨大 な生産 力 により)あなた方 の戦争 準備 は(英国 と違 って)犠牲 を必要 とするどころか、かえって個人 の消費 をこれまで以上 に促進 し、それ(戦争 準備 による消費 の促進 と米国 の復活 )はニューディールが成功 しても失敗 に終 わっても米 国民 に与 えることができなかったものになる。
- (アメリカの
NSC68
チャルマーズ・ジョンソンによれば、このイデオロギーの
一般 的 な言説
経済 効果
軍需 で政府 の支出 が増大 する。これが乗数 効果 によって波及 し消費 者 の消費 が増大 する。国 が発展 途上 にある場合 、軍隊 が学識 、技能 が低 く就職 しづらい国民 層 (地方 ・農村 部 の子弟 など)を募兵 や徴兵 の形 で雇用 することで就労 や教育 の機会 を与 える。兵器 の開発 のための研究 が民間 の技術 の移転 、国家 の技術 力 の増進 につながる。
反対 意見
経済 が軍需 産業 に依存 するようになると私企業 である軍 産 界 に政府 ・軍 が操 られ政治 の私物 化 につながる。軍事 研究 は民間 部門 の生産 性 向上 や国富 の強化 に寄与 するとは限 らない。たとえば旧 ソ連 や北朝鮮 などの国 は莫大 な予算 を軍備 に振 り向 けたが、どちらも経済 が破綻 してしまったほか、ロナルド・レーガンが大統領 を務 めていたアメリカでも、SDI計画 などで防衛 費 がかさみ1985年 に債務 国 に転落 してしまった。軍備 は、兵器 自体 に価格 をつけることができるので財 として国富 の一部 を形成 するが、一般 には道路 や港湾 ・鉄道 整備 などの公共 資本 投資 とはことなり経済 インフラを向上 させる方向 に機能 しない(但 し、インターネットやGPSなど軍事 への技術 投資 が民生 化 されることで新 たな市場 が形成 されることもある)。国際 競争 を優位 に導 くための民間 設備 投資 に十分 な資本 が向 かわないので産業 の衰退 、空洞 化 を招 く。非常 に高度 な技術 を用 いる現代 の軍隊 ではまともに戦 える兵士 になるまで訓練 するのに時間 と費用 がかかる。そのため少数 精鋭 主義 に傾 いており多数 の徴兵 を前提 としている雇用 創出 の効果 は限定 的 である。現実 の軍事 衝突 を招 いた場合 、生命 や財産 が大量 に失 われ、国土 が荒廃 することで、当初 期待 された経済 活性 化 の効果 以上 の損失 をもたらす可能 性 がある。ある推計 によるとアメリカの1940年度 のGDPは9,308億 ドルであったが1945年度 までに国債 を累積 で20,850億 ドルを発行 しGDP16,470億 ドルと急進 させた。この間 の貨幣 所得 は1.75倍 (44年 に1.82倍 )、物価 は1.33倍 、実質 所得 は1.32倍 となっている。一方 、日本 のGDPは1940年度 に2,097億 ドルであったが1945年 には1,568億 ドルに低下 した。また1935年 (昭和 10年 )の国富 は1243億 円 であったが、第 二 次 世界 大戦 終了 時点 で失 われた国富 は496億 円 との計測 がある[4]。国内 の雇用 が逼迫 しており、また資本 市場 での調達 が困難 であったり租税 が国民 的 合意 を得 ることができない(例 えば合理 的 な軍事 的 危険 が存在 しない等 )水準 にあるにも拘 らず、追加 的 な軍事 費 を増加 させることは、クラウディングアウトの経過 を生 じるなり国民 の税 負担 による可処分 所得 の減少 により企業 や個人 の投資 や消費 行動 に影響 をあたえる可能 性 がある。
脚注
- ^ a b チャルマーズ・ジョンソン「
軍事 ケインズ主義 の終焉 」(岩波書店 『世界 』2008年 4月 号 ) - ^ 「
大 機 小 機 」日本経済新聞 2001年 9月 19日 - ^ 「
世界 の名著 」第 57巻 宮崎 義一 訳 中央公論社 - ^
内閣 省 HP:歴史 的 史料 :国富 調査 関係
関連 項目
関連 書籍 ・論文
- チャルマーズ・ジョンソン「
軍事 ケインズ主義 の終焉 」(岩波書店 『世界 』2008年 4月 号 ) 大橋 陽 「「軍 産 複 合体 」再考 」『一 橋 論叢 』第 123巻 第 6号 、日本 評論 社 、2000年 6月 、950-965頁 、doi:10.15057/10507、ISSN 00182818、NAID 110000316654。森 杲「アメリカ国防 経済 論 の形成 過程 :第 2次 大戦 後 の経済 政策 における軍事 要因 」『經濟 學 研究 』第 36巻 第 3号 、北海道大学 經濟學部 、1986年 12月、391-424頁 、ISSN 04516265、NAID 120000951466。